JP6308651B2 - アンチスティック制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フラックス入りワイヤを使用したアーク溶接のアンチスティック制御方法に関するものである。
炭酸ガスをシールドガスとしてフラックス入りワイヤを使用するアーク溶接、シールドガスを使用しないでセルフシールド用フラックス入りワイヤを使用するセルフシールドアーク溶接等は、溶滴移行形態がスプレー移行形態となる。スプレー移行形態では、アーク熱によって溶接ワイヤ先端が溶融されて細粒となって溶融池へと移行する。スプレー移行形態では、溶滴は短絡移行するのではなく、自由落下によって移行する。
フラックス入りワイヤを使用したアーク溶接(以下、フラックス入りワイヤ溶接という)には、定電圧特性の溶接電源が使用され、溶接ワイヤは定速送給される。フラックス入りワイヤ溶接では、スパッタの発生量が少なく、ビード外観も良好になる特徴がある。
反面、フラックス入りワイヤ溶接では、良好なアークスタート性が得られない場合が多いという問題がある。これは、フラックス入りワイヤはスラグ成分がソリッドワイヤに比べて多く含まれており、アンチスティック制御後の溶接終了時に溶融したスラグがワイヤ先端に蓄積し、それが絶縁物として凝固するためである。溶接ワイヤの先端にスラグが付着した状態で溶接を開始すると、溶接ワイヤが母材と接触してもスラグの介在のためにアークの点弧に失敗することになる。以下、フラックス入りワイヤ溶接における従来技術のアンチスティック制御方法について、図面を参照して説明する。
図11は、従来技術におけるフラックス入りワイヤ溶接のアンチスティック制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(C)は溶接ワイヤの送給速度Fwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
溶接開始信号Stは、溶接電源の外部から入力され、Highレベルになると開始指令となり、Lowレベルになると終了指令となる。同図において、時刻t1〜t2の期間が定常溶接期間となり、時刻t2〜t5の期間がアンチスティック制御期間Taとなる。
時刻t1〜t2の定常溶接期間中は、同図(A)に示すように、溶接開始信号StはHighレベル(開始指令)になっている。同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、一定値の予め定めた定常電圧設定値Ecrとなっている。同図(C)に示すように、送給速度Fwは、一定値となっている。同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは、上下に少し変動しているが、略一定値となっている。同図(E)に示すように、溶接電流Iwも、上下に少し変動しているが、略一定値となっている。溶接電圧Vwの瞬時値が電圧設定信号Erによって設定される。溶接電流Iwの平均値は、溶接ワイヤの送給速度Fwによって設定される。
時刻t2において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(終了指令)になると、送給モータに停止指令が出力されるので、同図(C)に示すように、送給速度Fwは慣性によって次第に減速して、時刻t3において0となり停止する。同時に、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、時刻t2において定常電圧設定値Ecrからアンチスティック電圧設定値Earに低下する。溶接電源の出力は、時刻t2〜t5の予め定めたアンチスティック制御期間Taの間継続される。
同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは、電圧設定信号Erの値が定常溶接期間よりも小さな値であるアンチスティック電圧設定値Earであるので、定常溶接期間よりも小さな値となる。同様に、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは、送給速度Fwが減速するので、定常溶接期間よりも小さな値となる。そして、時刻t2〜t3の期間中に2回の短絡が発生している。時刻t21〜t22及び時刻t23〜t24の短絡期間中は、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値となり、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは増加する。
時刻t3において送給速度Fwが0となると、アーク長は次第に燃え上がって長くなり、時刻t4において消弧する。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t3から次第に増加し、時刻t4において無負荷電圧値へと急増し、時刻t5まで維持する。同図(E)に示すように、溶接電流Iwは、アークが消弧する時刻t4まで通電し、その後は0となる。
アンチスティック制御期間Taが終了した時刻t5において、溶接ワイヤの先端と溶融池とは離反しており、溶接ワイヤの先端に粒が形成されている。この溶接ワイヤの先端粒にスラグが付着した状態となる。
特許文献1の発明では、溶接電流Iwは、定常溶接期間中は非パルス波形であり、アンチスティック制御期間Ta中はパルス波形となる。これにより、アンチスティック制御期間Ta中のスパッタ発生を少なくすることができる。
特開2007−313513号公報
そこで、本発明では、フラックス入りワイヤ溶接において、溶接終了時の溶接ワイヤの先端にスラグが付着することを抑制して、アークスタート性を良好にすることができるアンチスティック制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
フラックス入りワイヤを送給し、電圧設定信号に基づいて定電圧制御を行い溶接電圧及び溶接電流を出力して溶接し、溶接開始信号が終了指令に変化すると、送給モータに停止指令を出力すると共に前記電圧設定信号を定常電圧設定値からアンチスティック電圧設定値に切り換えて溶接を終了するアンチスティック制御方法において、
前記アンチスティック電圧設定値を振動波形にすることによって前記溶接電流を三角波状又は正弦波状の振動波形にし、前記アンチスティック電圧設定値を前記アンチスティック制御の期間中に短絡が発生しない値に設定し、前記アンチスティック電圧設定値の振動波形の振幅及び/又は周期を、前記フラックス入りワイヤの種類に応じて変化させる、
ことを特徴とするアンチスティック制御方法である。
請求項2の発明は、前記電圧設定信号が前記アンチスティック電圧設定値に切り換わった時点から所定期間が経過した後の前記アンチスティック電圧設定値の前記振幅及び/又は前記周期を、前記所定期間が経過する前よりも大きな値に設定する、
ことを特徴とする請求項1記載のアンチスティック制御方法である。
請求項3の発明は、前記電圧設定信号が前記アンチスティック電圧設定値に切り換わった時点から所定周期が経過した後の前記アンチスティック電圧設定値の前記振幅及び/又は前記周期を、前記所定周期が経過する前よりも大きな値に設定する、
ことを特徴とする請求項1記載のアンチスティック制御方法である。
請求項4の発明は、今回の溶接終了から次の溶接開始までの休止時間が基準時間以上のときは今回の前記アンチスティック電圧設定値を振動波形にし、前記休止時間が前記基準時間未満のときは前記今回のアンチスティック電圧設定値を一定値にする、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンチスティック制御方法である。
本発明によれば、溶接電流を振動波形にすることによって、溶接ワイヤの内側のフラックス成分が気化して外側の金属成分が露出した状態と、露出した金属成分を溶融する状態とを繰り返すようにすることができ、溶接ワイヤの先端部にスラグが付着していない状態で溶接を終了させることができる。さらに、本発明によれば、溶接電流の振動波形を三角波状又は正弦波状にすることによって、アーク力の変化を穏やかにすることができ、スパッタの発生を少なくし、ビード外観を良好にすることができる。さらに、本発明によれば、アンチスティック制御期間中の短絡を防止することによって、短絡に伴って溶接ワイヤの先端部に溶融池からのスラグが付着することを防ぐことができる。これらの作用効果により、本発明では、フラックス入りワイヤ溶接において、溶接終了時の溶接ワイヤの先端にスラグが付着することを抑制して、アークスタート性を良好にすることができる。
本発明の実施の形態1に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図3の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態3に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態3に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図5の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態4に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態5に係るアンチスティック制御方法を実施するためのロボットを使用した溶接装置のブロック図である。 本発明の実施の形態5に係るアンチスティック制御方法を説明するための、休止時間Tdが基準時間以上であるときの図8の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態5に係るアンチスティック制御方法を説明するための、休止時間Tdが基準時間未満であるときの図8の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。 従来技術におけるフラックス入りワイヤ溶接のアンチスティック制御方法を示すタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する駆動信号Dvによるインバータ制御によって出力制御を行い、出力電圧Eを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流回路、整流された直流を平滑するコンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を整流する2次整流回路を備えている。リアクトルWLは、上記の出力電圧Eを平滑して溶接電圧Vwを出力する。
溶接ワイヤ1は、送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給され、母材2との間にアーク3が発生して溶接が行われる。溶接トーチ4内の給電チップ(図示は省略)と母材2との間に溶接電圧Vwが印加し、アーク3中を溶接電流Iwが通電する。溶接ワイヤ1には、フラックス入りワイヤが使用される。
定常電圧設定回路ECRは、予め定めた定常電圧設定信号Ecrを出力する。アンチスティック電圧オフセット値設定回路ESRは、予め定めたアンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrを出力する。振幅設定回路WRは、予め定めた振幅設定信号Wrを出力する。周期設定回路TFRは、予め定めた周期設定信号Tfrを出力する。
アンチスティック電圧設定回路EARは、溶接トーチ4のトーチスイッチ(図示は省略)のオン/オフに対応した溶接開始信号St、上記のアンチスティック電圧オフセット値設定信号Esr、上記の振幅設定信号Wr及び上記の周期設定信号Tfrを入力として、溶接開始信号StがLowレベルに変化すると、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値に、振幅設定信号Wrによって定まる振幅及び周期設定信号Tfrによって定まる周期で振動する波形を重畳して、振動波形となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
起動回路ONは、上記の溶接開始信号Stを入力として、溶接開始信号StがHighレベルからLowレベルに変化するタイミングを予め定めたアンチスティック制御期間Taだけオフディレイして、起動信号Onを出力すると共に、アンチスティック制御期間Taの間Highレベルになるアンチスティック制御期間信号Tasを出力する。
電圧設定回路ERは、上記の定常電圧設定信号Ecr、上記のアンチスティック電圧設定信号Ear及び上記のアンチスティック制御期間信号Tasを入力として、アンチスティック制御期間信号TasがLowレベル(定常溶接期間)のときは定常電圧設定信号Ecrを電圧設定信号Erとして出力し、Highレベル(アンチスティック制御期間Ta)のときはアンチスティック電圧設定信号Earを電圧設定信号Erとして出力する。
出力電圧検出回路EDは、上記の出力電圧Eを検出して平滑し、出力電圧検出信号Edを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、上記の電圧設定信号Er(+)とこの出力電圧検出信号Ed(−)との誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。この電圧誤差増幅回路EVによって、溶接電源は定電圧制御される。
駆動回路DVは、上記の電圧誤差増幅信号Ev及び上記の起動信号Onを入力として、起動信号OnがHighレベルのときは電圧誤差増幅信号EvによるPWM変調制御を行い、その結果に基づく駆動信号Dvを出力する。これにより、溶接電源は、溶接開始信号StがHighレベルの期間+アンチスティック制御期間Taの間起動されて、出力電圧Eが出力される。
送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Fr及び上記の溶接開始信号Stを入力として、溶接開始信号StがHighレベルのときは溶接ワイヤ1を送給速度設定信号Frによって定まる値で送給するための送給制御信号Fcを上記の送給モータWMに出力し、溶接開始信号StがLowレベルになると送給モータWMの回転を停止させるための停止指令となる送給制御信号Fcを出力する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(C)は溶接ワイヤの送給速度Fwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示す。同図は、上述した図11と対応しており、時刻t1〜t2の定常溶接期間の動作は同一であるので、説明は繰り返さない。以下、同図を参照して異なる動作について説明する。
溶接開始信号Stは、溶接電源の外部から入力され、Highレベルになると開始指令となり、Lowレベルになると終了指令となる。同図において、時刻t1〜t2の期間が定常溶接期間となり、時刻t2〜t5の期間がアンチスティック制御期間Taとなる。
時刻t1〜t2の定常溶接期間中は、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、定常電圧設定信号Ecrの値となり、一定値である。
時刻t2において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(終了指令)になると、送給モータに停止指令が出力されるので、同図(C)に示すように、送給速度Fwは慣性によって次第に減速して、時刻t3において0となり停止する。溶接電源の出力は、時刻t2〜t5の予め定めたアンチスティック制御期間Taの間継続される。このアンチスティック制御期間Taは、送給モータが慣性によって減速する期間(時刻t2〜t3の期間)よりも長い期間に設定される。送給モータの慣性による減速期間は、モータの種類によって異なる値となり、50〜100ms程度である。これに50〜100ms程度を加算した値にアンチスティック制御期間Taを設定する。
また、時刻t2において溶接開始信号StがLowレベルになると、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、アンチスティック電圧設定信号Earによって設定される値となり、振動波形となる。同図(B)に示すように、アンチスティック電圧設定信号Earは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrの値を中心値として、振幅設定信号Wrの振幅及び周期設定信号Tfrの周期で矩形波状に振動する波形となる。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは三角波状に振動する波形となる。同様に、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは振幅W及び周期Tfで三角波状に振動する波形となる。また、上述した従来技術の図11の場合とは異なり、アンチスティック制御期間Ta中に短絡は発生していない。この点については、後述する。ここで、振幅W(A)は振動波形の最大値と最小値との差分値であり、上記の振幅設定信号Wrによって定まる値となる。周期Tf(ms)は、上記の周期設定信号Tfrによって定まる値である。溶接電圧Vw及び溶接電流Iwが三角波状の振動波形となるのは、図1のリアクトルWL及び外部の溶接ケーブルのインダクタンスの影響によって変化が緩やかになるためである。
溶接終了時に溶接ワイヤの先端にスラグが付着しないようにするためには、次の3要件が必要となる。
(1)アンチスティック電圧設定信号Earを振動波形にすることによって、アンチスティック制御期間Ta中の溶接電流Iwを振幅W及び周期Tfの振動波形にする。溶接電流Iwの振動波形において、電流値が小さい半周期中は、比較的低温になるので、溶接ワイヤの外側の金属成分はあまり溶融しない。これに対して、溶接ワイヤの内側のフラックス成分は低温であっても気化して消失する。この結果、溶接ワイヤの先端部には金属成分だけが露出した状態となる。この状態は、ソリッドワイヤと同じ状態を作り出していることになる。そして、電流値が大きい半周期中は、高温となるので、露出した金属成分が溶融されて、溶滴が形成される。これらの状態が繰り返されることによって、溶接ワイヤの先端部にスラグが付着していない状態で溶接を終了させることができる。溶接電流Iwの振幅Wは50〜150A程度であり、周期Tfは2〜8ms程度である。フラックス入りワイヤの種類が異なると、直径、粘性、フラックスの種類等が変化する。このために、フラックス入りワイヤの種類に応じて、振幅W及び/又は周期Tfを変化させることが望ましい。
(2)アンチスティック制御期間Ta中の溶接電流Iwの振動波形を、三角波状又は正弦波状にする。これは、矩形波になると、急激なアーク力の変化によって、溶滴及び溶融池が乱れ、スパッタ及びビード外観が悪くなるためである。このために、電流変化が穏やかな三角波及び正弦波にすることによって、アーク力の変化が穏やかになり、スパッタの発生及びビード外観の悪化を抑制することができる。溶接電流Iwの振動波形を三角波状又は正弦波状にするためには、アンチスティック電圧設定信号Earの振動波形を台形波状、三角波状又は正弦波状にすれば良い。
(3)アンチスティック制御期間Ta中に溶接ワイヤと溶融池との間に短絡が発生しないように、アンチスティック電圧設定信号Earを設定する。アンチスティック制御期間Ta中に短絡が発生すると、溶融池の表面に漂っているスラグ成分が溶接ワイヤの先端部に付着することになり、上記(1)項の作用効果を損なわせることになる。したがって、短絡の発生を防止する必要がある。アンチスティック電圧設定信号Earは、上記のアンチスティック電圧オフセット値設定信号Esr、上記の振幅設定信号Wr及び上記の周期設定信号Tfrによって設定される。短絡を発生させないようにするために、アンチスティック電圧設定信号Earの平均値は上記の定常電圧設定信号Ecrの値よりも大きな値に設定されることになる。
時刻t3において送給速度Fwが0となると、アーク長は次第に燃え上がって長くなり、時刻t4において消弧する。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t3から次第に増加し、時刻t4において無負荷電圧値へと急増し、時刻t5まで維持する。同図(E)に示すように、溶接電流Iwは、アークが消弧する時刻t4まで通電し、その後は0となる。
[実施の形態2]
実施の形態1の発明では、アンチスティック制御期間Taを所定値に設定していた。これに対して、実施の形態2の発明では、アンチスティック制御期間Taを溶接電圧Vw及び溶接電流Iwの振動波形の周期が所定回数だけ含まれるように設定される。
図3は、本発明の実施の形態2に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図1に周期計数回路CTを追加し、図1の起動回路ONを第2起動回路ON2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
周期計数回路CTは、溶接開始信号St及びアンチスティック電圧設定信号Earを入力として、溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点からアンチスティック電圧設定信号Earの振動波形の周期が所定回数だけ終了した時点で短時間Highレベルになる周期計数信号Ctを出力する。
第2起動回路ON2は、溶接開始信号St及び上記の周期計数信号Ctを入力として、溶接開始信号StがHighレベルに変化するとHighレベルになり、周期計数信号CtがHighレベルに変化するとLowレベルに変化する起動信号Onを出力すると共に、溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点から周期計数信号CtがHighレベルに変化した時点までの期間をアンチスティック制御期間TaとしてHighレベルになるアンチスティック制御期間信号Tasを出力する。
図4は、本発明の実施の形態2に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図3の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(C)は溶接ワイヤの送給速度Fwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(F)は周期計数信号Ctの時間変化を示す。同図は、上述した図2と対応しており、同一の説明は繰り返さない。以下、同図を参照して異なる動作について説明する。
溶接開始信号Stは、溶接電源の外部から入力され、Highレベルになると開始指令となり、Lowレベルになると終了指令となる。同図において、時刻t1〜t2の期間が定常溶接期間となり、時刻t2〜t4の期間がアンチスティック制御期間Taとなる。
時刻t2において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(終了指令)になると、送給モータに停止指令が出力されるので、同図(C)に示すように、送給速度Fwは慣性によって次第に減速して、時刻t3において0となり停止する。溶接電源の出力は、時刻t2〜t4のアンチスティック制御期間Taの間継続される。この時刻t4がどのように決まるかについては、後述する。
また、時刻t2において溶接開始信号StがLowレベルになると、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、アンチスティック電圧設定信号Earによって設定される値となり、振動波形となる。同図(B)に示すように、アンチスティック電圧設定信号Earは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrの値を中心値として、振幅設定信号Wrの振幅及び周期設定信号Tfrの周期で矩形波状に振動する波形となる。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは三角波状に振動する波形となる。同様に、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは振幅W及び周期Tfで三角波状に振動する波形となる。溶接電圧Vw及び溶接電流Iwが振動波形になることの作用効果については、図2と同様である。
時刻t2に溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点から電圧設定信号Erの振動波形の周期が所定回数終了した時刻t4において、同図(F)に示すように、周期計数信号Ctは短時間Highレベルになる。これに応動して、溶接電源の出力は停止される。この結果、時刻t4において、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは0Vとなり、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは0Aとなり、アークは強制的に消弧される。この点が実施の形態1とは異なる点である。
上記の所定回数は、振動波形の周期が所定回数だけ終了する時刻t4が溶接ワイヤの慣性による送給が停止する時刻t3と略一致するように設定される。したがって、所定回数は、振動波形の周期Tf及び送給モータWMの慣性期間(時刻t2〜t3の期間)に応じて適正値に設定される。
上述した実施の形態1及び2によれば、アンチスティック電圧設定値を振動波形にすることによって、溶接電流を三角波状又は正弦波状の振動波形にし、アンチスティック電圧設定値をアンチスティック制御の期間中に短絡が発生しない値に設定する。溶接電流を振動波形にすることによって、溶接ワイヤの内側のフラックス成分が気化して外側の金属成分が露出した状態と、露出した金属成分を溶融する状態とを繰り返すようにすることができ、溶接ワイヤの先端部にスラグが付着していない状態で溶接を終了させることができる。溶接電流の振動波形を三角波状又は正弦波状にすることによって、アーク力の変化を穏やかにすることができ、スパッタの発生を少なくし、ビード外観を良好にすることができる。アンチスティック制御期間中の短絡を防止することによって、短絡に伴って溶接ワイヤの先端部に溶融池からのスラグが付着することを防ぐことができる。これらの作用効果により、本実施の形態では、フラックス入りワイヤ溶接において、溶接終了時の溶接ワイヤの先端にスラグが付着することを抑制して、アークスタート性を良好にすることができる。
[実施の形態3]
実施の形態3の発明では、電圧設定信号Erがアンチスティック電圧設定値Earに切り換わった時点(アンチスティック制御期間Taに移行した時点)から所定期間(先行期間Ts)が経過した後のアンチスティック電圧設定Ear値の振幅(振幅設定信号Wr)及び/又は周期(周期設定信号Tfr)を、所定期間が経過する前よりも大きな値に設定するものである。
図5は、本発明の実施の形態3に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図1に第2振幅設定回路WR2、第2周期設定回路TFR2及び先行期間設定回路TSRを追加し、図1のアンチスティック電圧設定回路EARを第2アンチスティック電圧設定回路EAR2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
第2振幅設定回路WR2は、予め定めた第2振幅設定信号Wr2を出力する。この第2振幅設定信号Wr2の値は、上記の振幅設定信号Wrの値よりも大きな値に設定される。
第2周期設定回路TFR2は、予め定めた第2周期設定信号Tfr2を出力する。この第2周期設定信号Tfr2の値は、上記の周期設定信号Tfrの値よりも大きな値に設定される。
先行期間設定回路TSRは、予め定めた先行期間設定信号Tsrを出力する。
第2アンチスティック電圧設定回路EAR2は、溶接開始信号St、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esr、振幅設定信号Wr、周期設定信号Tfr、上記の第2振幅設定信号Wr2、上記の第2周期設定信号Tfr2及び上記の先行期間設定信号Tsrを入力として、以下の処理を行ない、アンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
1)溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点から先行期間設定信号Tsrによって定まる期間中は、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値に、振幅設定信号Wrによって定まる振幅及び周期設定信号Tfrによって定まる周期で振動する波形を重畳して、振動波形となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
2)その後は、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値に、第2振幅設定信号Wr2によって定まる振幅及び第2周期設定信号Tfr2によって定まる周期で振動する波形を重畳して、振動波形となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
図6は、本発明の実施の形態3に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図5の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(C)は溶接ワイヤの送給速度Fwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示す。同図は、上述した図2と対応しており、同一の動作についての説明は繰り返さない。以下、同図を参照して異なる動作について説明する。
時刻t2において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベルになると、アンチスティック制御期間Taに移行する。アンチスティック制御期間Taに移行すると、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは振動波形のアンチスティック電圧設定信号Earの値に変化する。時刻t2〜t21の予め定めた先行期間Ts中は、同図(B)に示すように、アンチスティック電圧設定信号Earは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrの値を中心値として、振幅設定信号Wrの振幅及び周期設定信号Tfrの周期で矩形波状に振動する波形となる。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは三角波状に振動する波形となる。同様に、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは振幅W及び周期Tfで三角波状に振動する波形となる。
上記の先行期間Tsが経過した時刻t21以降の期間中は、同図(B)に示すように、アンチスティック電圧設定信号Earは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrの値を中心値として、第2振幅設定信号Wr2の振幅及び第2周期設定信号Tfr2の周期で矩形波状に振動する波形となる。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは三角波状に振動する波形となる。同様に、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは第2振幅W2及び第2周期Tf2で三角波状に振動する波形となる。ここで、Wr2>Wr及びTfr2>Tfrであり、W2>W及びTf2>Tfである。
上記の先行期間Tsは、先行期間Tsが経過した時点t21からアークが消弧する時刻t4までの期間中に1〜5周期の振動波形が含まれるように設定される。上記では、先行期間Ts以降の期間中の振幅及び周期が先行期間Ts中よりも大きくなる場合を説明したが、どちらか片方だけを大きくしても良い。
上述した実施の形態3によれば、電圧設定信号がアンチスティック電圧設定値に切り換わった時点から所定期間が経過した後のアンチスティック電圧設定値の振幅及び/又は周期を、所定期間が経過する前よりも大きな値に設定する。これにより、実施の形態3では、実施の形態1及び2の効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、実施の形態3では、アークが消弧する直前の溶接ワイヤへの入熱を大きくすることができるので、溶接が終了したときの溶接ワイヤの先端粒径を適正化することができる。このために、さらにアークスタート性を良好にすることができる。実施の形態1及び2のように振動波形の振幅及び周期が一定の場合は、振幅及び周期を大きくすると溶融池からスパッタが発生しやすくなるために、大きな値に設定することができない。この結果、溶接ワイヤの先端粒径は適正サイズよりも小さくなってしまう。この点を実施の形態3では改善したものである。
[実施の形態4]
実施の形態3の発明では、先行期間Tsを所定期間として設定していた。これに対して、実施の形態4の発明では、先行期間Tsをアンチスティック電圧設定信号の振動波形の所定周期に設定するものである。
図7は、本発明の実施の形態4に係るアンチスティック制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図3と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図3に第2振幅設定回路WR2、第2周期設定回路TFR2及び先行周期設定回路NSRを追加し、図3のアンチスティック電圧設定回路EARを第3アンチスティック電圧設定回路EAR3に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
第2振幅設定回路WR2は、予め定めた第2振幅設定信号Wr2を出力する。この第2振幅設定信号Wr2の値は、上記の振幅設定信号Wrの値よりも大きな値に設定される。
第2周期設定回路TFR2は、予め定めた第2周期設定信号Tfr2を出力する。この第2周期設定信号Tfr2の値は、上記の周期設定信号Tfrの値よりも大きな値に設定される。
先行周期設定回路NSRは、予め定めた先行周期設定信号Nsrを出力する。
第3アンチスティック電圧設定回路EAR3は、溶接開始信号St、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esr、振幅設定信号Wr、周期設定信号Tfr、上記の第2振幅設定信号Wr2、上記の第2周期設定信号Tfr2及び上記の先行周期設定信号Nsrを入力として、以下の処理を行ない、アンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
1)溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点から、アンチスティック電圧設定信号Earの振動波形の周期が先行周期設定信号Nsrによって定まる回数だけ終了するまでの期間中は、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値に、振幅設定信号Wrによって定まる振幅及び周期設定信号Tfrによって定まる周期で振動する波形を重畳して、振動波形となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
2)その後は、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値に、第2振幅設定信号Wr2によって定まる振幅及び第2周期設定信号Tfr2によって定まる周期で振動する波形を重畳して、振動波形となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
本発明の実施の形態4に係るアンチスティック制御方法を説明するための、図7の溶接電源における各信号のタイミングチャートは、上述した図6と同一である。但し、先行期間Tsが、先行周期設定信号Nsrによってさだまる所定周期である点だけが異なる。また、実施の形態4の作用効果についても、実施の形態3と同様である。
[実施の形態5]
実施の形態5の発明は、今回の溶接終了から次の溶接開始までの休止時間が基準時間以上のときは今回のアンチスティック電圧設定値を振動波形にし、休止時間が上記の基準時間未満のときは今回のアンチスティック電圧設定値を一定値にするものである。
図8は、本発明の実施の形態5に係るアンチスティック制御方法を実施するためのロボットを使用した溶接装置のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図1にロボット制御装置RCを追加し、図1のアンチスティック電圧設定回路EARを第4アンチスティック電圧設定回路EAR4に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
同図は、ロボットを使用した溶接装置の場合であるので、溶接トーチ4及び送給モータWMはロボット(図示は省略)に搭載されている。
ロボット制御装置RCは、ロボット(図示は省略)の動作を予め教示された作業プログラムに従って制御すると共に、以下の処理を行ない溶接開始信号St及び休止時間判別信号Stdを出力する。
1)作業プログラムに従ってロボットに搭載された溶接トーチ4を今回の溶接開始位置に移動させ、到着すると溶接開始信号StをHighレベルにして出力し、溶接線に沿って溶接トーチ4を移動させて溶接を行い、溶接トーチ4が今回の溶接終了位置に到達すると溶接開始信号StをLowレベルにして出力する。
2)溶接トーチ4が今回の溶接開始位置に到達すると、作業プログラムに基づいて今回の溶接終了から次の溶接開始までの休止時間Tdを算出し、この休止時間Tdが基準時間以上であるときはHighレベルとなり、未満のときはLowレベルとなる休止時間判別信号Stdを出力する。
第4アンチスティック電圧設定回路EAR4は、上記の溶接開始信号St、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esr、振幅設定信号Wr、周期設定信号Tfr及び上記の休止時間判別信号Stdを入力として、以下の処理を行ない、アンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
1)溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点において休止時間判別信号StdがHighレベルであるときは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値に、振幅設定信号Wrによって定まる振幅及び周期設定信号Tfrによって定まる周期で振動する波形を重畳して、振動波形となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
2)溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点において休止時間判別信号StdがLowレベルであるときは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって定まる一定値となるアンチスティック電圧設定信号Earを出力する。
図9は、本発明の実施の形態5に係るアンチスティック制御方法を説明するための、休止時間Tdが基準時間以上であるときの図8の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(C)は溶接ワイヤの送給速度Fwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(F)は休止時間判別信号Stdの時間変化を示す。同図は、上述した図2と対応しており、同一の動作についての説明は繰り返さない。以下、同図を参照して異なる動作について説明する。
時刻t2において、溶接トーチ4が今回の溶接終了位置に到達すると、溶接トーチ4の移動は停止され、同図(A)に示すように、溶接開始信号StはLowレベルに変化する。溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点において、同図(F)に示すように、休止時間判別信号StdはHighレベルであるので、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは振動波形のアンチスティック電圧設定信号Earの値に変化する。時刻t2〜t5のアンチスティック制御期間Ta中の各信号の動作は図2の場合と同一となる。
時刻t5においてアンチスティック制御期間Taが終了すると、溶接トーチ4は次の溶接開始位置への移動を開始する。そして、時刻t6において、溶接トーチ4が次の溶接開始位置に到達すると、溶接トーチ4は停止し、同図(A)に示すように、溶接開始信号StはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(C)に示すように、送給速度Fwは一定値となり溶接ワイヤ1の送給が開始され、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwが印加し、同図(E)に示すように、溶接電流Iwが通電し、アークが点弧する。同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、時刻t5において定常電圧設定信号Ecrの値に変化する。
同図において、休止時間Tdは、溶接開始信号StがLowレベルに変化する時刻t2からHighレベルに変化する時刻t6までの時間である。この休止時間Tdは、作業プログラムから算出することができる。厳密には溶接終了時点はアークが消弧する時刻t4であるが、時刻t2〜t4の時間は100ms程度と短い時間であるので、溶接終了時点を時刻t2としても大差はない。
図10は、本発明の実施の形態5に係るアンチスティック制御方法を説明するための、休止時間Tdが基準時間未満であるときの図8の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は溶接電源の定電圧特性の出力値を設定するための電圧設定信号Erの時間変化をしめし、同図(C)は溶接ワイヤの送給速度Fwの時間変化を示し、同図(D)は溶接ワイヤと母材との間に印加する溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)はアークを通電する溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(F)は休止時間判別信号Stdの時間変化を示す。同図は、上述した図9と対応しており、同一の動作についての説明は繰り返さない。以下、同図を参照して異なる動作について説明する。
時刻t2において、溶接トーチ4が今回の溶接終了位置に到達すると、溶接トーチ4の移動は停止され、同図(A)に示すように、溶接開始信号StはLowレベルに変化する。溶接開始信号StがLowレベルに変化した時点において、同図(F)に示すように、休止時間判別信号Stdは図9とは異なりLowレベルであるので、同図(B)に示すように、電圧設定信号Erは、アンチスティック電圧オフセット値設定信号Esrによって設定された一定値となる。すなわち、同図では、時刻t2〜t5の期間中のアンチスティック電圧設定信号Earは、図9のときとは異なり振動波形とはならない。このために、同図(D)に示す溶接電圧Vw及び同図(E)に示す溶接電流Iwの波形も振動波形とはならない。この動作は、図11で上述した従来技術と同一となる。
同図においては、休止時間判別信号StdがLowレベルの場合であるので、時刻t2〜t6の休止時間Tdは図9のときよりも短くなる。
図10の場合のように、休止時間Tdが基準時間未満であるときは、次の溶接開始時点t6において、溶接ワイヤの先端粒はまだ凝固しておらず溶融状態にある。このために、スラグが付着していても先端に固定化されていないので、溶接開始時に溶接ワイヤの先端が母材と接触したときにアークの点弧を阻害することにはならない。他方、アンチスティック制御期間Ta中に溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを振動波形にすると、振動波形にしないときに比べてスパッタの発生量がやや増加する傾向がある。したがって、休止時間Tdが基準時間未満であるときは、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを振動波形にしないようにしている。図9の場合のように、休止時間Tdが基準時間以上であるときは、次の溶接開始時点t6において、溶接ワイヤの先端粒は凝固している。このために、アンチスティック制御期間Ta中の溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを振動波形にしないと、溶接ワイヤの先端にスラグが付着して固定化されるので、アークの点弧に失敗することになる。したがって、休止時間Tdが基準時間以上であるときは、アンチスティック制御期間Ta中の溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを振動波形にしている。基準時間は、溶接終了後に溶接ワイヤの先端粒が凝固する時間よりも短い時間に設定される。基準時間は、例えば1〜3秒程度に設定される。基準時間は、溶接ワイヤの直径に応じて適正値に設定される。
上記においては、休止時間判別信号Stdがロボット制御装置RCによって自動設定される場合を説明したが、ティーチペンダント等から手動で設定するようにしても良い。すなわち、同一ワークの溶接を繰り返すような場合においては、休止時間Tdを計測して、その計測値に応じて休止時間判別信号Stdを設定すれば良い。また、上記においては、ロボットを使用した溶接装置の場合を説明したが、自動台車を使用した溶接装置にも適用することができる。
上述した実施の形態5によれば、今回の溶接終了から次の溶接開始までの休止時間が基準時間以上のときは今回のアンチスティック電圧設定値を振動波形にし、休止時間が基準時間未満のときは今回のアンチスティック電圧設定値を一定値にしている。これにより、実施の形態5では、実施の形態1〜4の効果に加えて、アンチスティック制御期間中のスパッタ発生量が増加することを抑制することができる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CT 周期計数回路
Ct 周期計数信号
DV 駆動回路
Dv 駆動信号
E 出力電圧
EAR アンチスティック電圧設定回路
Ear アンチスティック電圧設定信号
EAR2 第2アンチスティック電圧設定回路
EAR3 第3アンチスティック電圧設定回路
EAR4 第4アンチスティック電圧設定回路
ECR 定常電圧設定回路
Ecr 定常電圧設定信号
ED 出力電圧検出回路
Ed 出力電圧検出信号
ER 電圧設定回路
Er 電圧設定信号
ESR アンチスティック電圧オフセット値設定回路
Esr アンチスティック電圧オフセット値設定信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
Iw 溶接電流
NSR 先行周期設定回路
Nsr 先行周期設定信号
ON 起動回路
On 起動信号
ON2 第2起動回路
PM 電源主回路
RC ロボット制御装置
St 溶接開始信号
Std 休止時間判別信号
Ta アンチスティック制御期間
Tas アンチスティック制御期間信号
Td 休止時間
Tf 周期
Tf2 第2周期
TFR 周期設定回路
Tfr 周期設定信号
TFR2 第2周期設定回路
Tfr2 第2周期設定信号
Ts 先行期間
TSR 先行期間設定回路
Tsr 先行期間設定信号
Vw 溶接電圧
W 振幅
W2 第2振幅
WL リアクトル
WM 送給モータ
WR 振幅設定回路
Wr 振幅設定信号
WR2 第2振幅設定回路
Wr2 第2振幅設定信号

Claims (4)

  1. フラックス入りワイヤを送給し、電圧設定信号に基づいて定電圧制御を行い溶接電圧及び溶接電流を出力して溶接し、溶接開始信号が終了指令に変化すると、送給モータに停止指令を出力すると共に前記電圧設定信号を定常電圧設定値からアンチスティック電圧設定値に切り換えて溶接を終了するアンチスティック制御方法において、
    前記アンチスティック電圧設定値を振動波形にすることによって前記溶接電流を三角波状又は正弦波状の振動波形にし、前記アンチスティック電圧設定値を前記アンチスティック制御の期間中に短絡が発生しない値に設定し、前記アンチスティック電圧設定値の振動波形の振幅及び/又は周期を、前記フラックス入りワイヤの種類に応じて変化させる、
    ことを特徴とするアンチスティック制御方法。
  2. 前記電圧設定信号が前記アンチスティック電圧設定値に切り換わった時点から所定期間が経過した後の前記アンチスティック電圧設定値の前記振幅及び/又は前記周期を、前記所定期間が経過する前よりも大きな値に設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載のアンチスティック制御方法。
  3. 前記電圧設定信号が前記アンチスティック電圧設定値に切り換わった時点から所定周期が経過した後の前記アンチスティック電圧設定値の前記振幅及び/又は前記周期を、前記所定周期が経過する前よりも大きな値に設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載のアンチスティック制御方法。
  4. 今回の溶接終了から次の溶接開始までの休止時間が基準時間以上のときは今回の前記アンチスティック電圧設定値を振動波形にし、前記休止時間が前記基準時間未満のときは前記今回のアンチスティック電圧設定値を一定値にする、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンチスティック制御方法。
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