以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る収納用間仕切壁は、地震や津波、火災等の災害発生時に使用される災害関係物を含む収納物を内部の収納スペースに収納するためのものであって、この災害関係物が使用される建築物である学校の内部の2つの空間となっている教室と廊下を仕切るために用いられる。
図1には、この学校の教室1と廊下2の間取り図が示されている。教室1は、上記災害が発生したときに、この災害の被災者が利用する空間となっている。教室1と廊下2は壁3で仕切られており、非耐力壁となっているこの壁3は、本実施形態に係る収納用間仕切壁10と、出入口11Aを有する出入口用間仕切壁11との連設によって形成されている。すなわち、複数個が左右方向(間仕切壁幅方向)に連結されている収納用間仕切壁10のうち、右端の収納用間仕切壁10の右側と、左端の収納用間仕切壁10の左側とに出入口用間仕切壁11が連結されている。壁3によって廊下2と仕切られている教室1には、地震や津波、火災等の災害発生時において、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースから災害関係物を含む上述の収納物が取り出されて配置される。この災害関係物は、被災者が内部に入って寝食等するための生活空間を仕切る簡易式立体型仕切り60を構成する各種の部材であり、これらの部材は、箱等に梱包されて収納用間仕切壁10の内部の収納スペースに収納されており、簡易式立体型仕切り60を構成する各種の部材と、これらの部材が梱包されている箱とが、本実施形態に係る収納物20(図2を参照)となっている。
図2は、収納用間仕切壁10と出入口用間仕切壁11とを示す正面図である。これらの収納用間仕切壁10と出入口用間仕切壁11のそれぞれは、工場で予めユニットとして製造されて施工現場に搬入され、この施工現場で設置及び連設施工されたものとなっており、収納用間仕切壁10の上下端部と出入口用間仕切壁11の上下端部は、図2のコンクリート製の天井4と床5に埋設されている配筋材にアンカー部材が溶接で結合されることにより、天井4と床5に固定され、あるいは、天井4と床5に埋設されているナットとこのナットに螺入されるボルトにより、天井4と床5に固定されている。
図2に示されているように、出入口用間仕切壁11には、出入口11Aを開閉するための引き違い式の2個の引戸12が設けられている。また、収納用間仕切壁10は、左右両側の縦枠部材13,14と、これらの縦枠部材13,14の上端間に架設された上枠部材15と、縦枠部材13,14の下端間に架設された下枠部材16と、縦枠部材13,14の上下方向2箇所の間に架設された横枠部材17,18とが構造部材となって形成されており、縦枠部材13,14と上枠部材15と横枠部材17とで囲まれる空間が、引き違い式の2個のガラス障子19Aで開閉される上部窓となっているとともに、縦枠部材13,14と横枠部材17と横枠部材18とで囲まれる空間が、引き違い式の2個のガラス障子19Bで開閉される下部窓となっている。
そして、縦枠部材13,14と横枠部材18と下枠部材16とで囲まれる空間が、前述の災害関係物を含むものとなっている収納物20を収納するための収納スペースS1となっている。図3は、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1の構造を示す図2のS3−S3線断面図である。この図3に示されているように、収納スペースS1は、左右両側の縦枠部材13,14と、収納用間仕切壁10の厚さ方向両側の表面部材21,22とで囲まれた空間となっており、このため、収納スペースS1は、左右方向については左右両側の縦枠部材13,14まで、収納用間仕切壁10の厚さ方向については、この収納用間仕切壁10の厚さ方向両側の外面を形成している表面部材21,22まで、それぞれ達する大きなスペースとなっている。
表面部材21,22のうち、図1で示した教室1側に向いている表面部材21は、図3で示されている鉛直方向を軸方向とする回動中心軸23,24を中心に回動自在となっている2個の扉25,26によって形成されており、これらの扉25,26は観音開き式の扉となっている。これらの扉25,25は、収納スペースS1の開閉可能な蓋として機能する。そして、回動中心軸23は縦枠部材13に近接して、回動中心軸24は縦枠部材14に近接して、それぞれ配置されているため、扉25,26の回動中心部は、これらの縦枠部材13,14に接近した位置に設けられている。
このように本実施形態の扉25,26は、収納用間仕切壁10によって仕切られる2つの空間となっている教室と廊下のうち、廊下よりも大きい空間となっている教室側に向いているため、これらの扉25,26を開くことにより、この大きい空間に収納スペースS1に収納されている収納物20を直ちに取り出すことができるようになっている。
なお、表面部材22及び扉25,26はプレス加工により形成された板金製であり、また、表面部材22は、収納用間仕切壁10の構造部材となっている縦枠部材13,14と下枠部材16と横枠部材18とに溶接等により固着されている。
また、図3に示されているように、閉じられているときの扉25,26の位置と、表面部材22の位置は、下枠部材16等の上記構造部材における収納用間仕切壁10の厚さ方向の外面よりも少し内側の位置となっているが、これらの位置を構造部材の外面と同じ位置又は略同じ位置としてもよく、また、構造部材の外面よりも外側の位置としてもよい。
図4には、図1及び図2で示されている左右2個の収納用間仕切壁10同士を、収納用間仕切壁幅方向である左右方向に連結するための連結構造が示されている。左側の収納用間仕切壁10の縦枠部材14には、右側へ延出した2個の連結部14Aが形成されているとともに、右側の収納用間仕切壁10の縦枠部材13には、左側へ延出した2個の連結部13Aが形成されており、互いに収納用間仕切壁10の厚さ方向に重ねられた連結部13Aと連結部14Aがビス等の結合具27で結合されることにより、左右2個の収納用間仕切壁10同士が、これらの収納用間仕切壁10の左右方向の端部に設けられた連結部13A,14Aによって連結されている。また、左右2個の収納用間仕切壁10の間には、結合具27を隠すための化粧カバー28が配置され、この化粧カバー28は、連結部13A,14Aと同様に、収納用間仕切壁10の上下全長又は上下略全長に渡る長さを有している。
図1及び図2で示されている収納用間仕切壁10と出入口用間仕切壁11も、図4で示された連結構造と同様の構造により連結されている。
図5には、収納用間仕切壁10に2個設けられている扉25,26の正面図が示されている。図3で示した回動中心軸23,24は、図5に示されているように、横枠部材18と下枠部材16との間に上下に架け渡されているとともに、回動中心軸23,24の上下部は、横枠部材18と下枠部材16に配置された軸受け部材で回動自在に支持されている。回動中心軸23,24には、横枠部材18の下側と下枠部材16の上側とにおいて、図4で示されている平断面コ字形状の補強部材30が嵌合されている。上下寸法が小さいこれらの補強部材30は、扉25と26のうち、扉25については、扉25における縦枠部材13側の端部に扉25の上下全長に渡って形成されたL字形状の折曲部25Aの内部に包持されており、扉26については、扉26における縦枠部材14側の端部に扉26の上下全長に渡って形成されたL字形状の折曲部26Aの内部に包持されており、折曲部25A,26Aと補強部材30とを貫通して回動中心軸23,24に達するビス等の結合具31により、扉25,26と回動中心軸23,24とが結合されている。
これにより、2個の扉25,26は回動中心軸23,24を中心に観音開き式に開閉自在となり、これらの扉25,26には、図2に示されているように、扉25,26を開閉操作するための取手部材32が設けられている。
図6には、取手部材32による開閉操作によって閉じられた扉25,26をその閉じられた状態に固定するための構造の正面図が示されており、図7は、図6のS7−S7線断面図である。図6及び図7から分かるように、下枠部材16の上面及び横枠部材18の下面には、扉25,26ごとにストップ部材33が取り付けられ、これらのストップ部材33は、下枠部材16の上面と横枠部材18の下面に溶接で結合されたベース部33Aと、このベース部33Aから扉25,26と対面する上下方向に延びるストップ部33BとからなるL字形状となっており、ストップ部33Bに扉25,26の収納スペースS1側の面が当接することにより、扉25,26は全閉となる。このように全閉となったときに、扉25,26に形成されている孔にビス等の結合具34を、扉25,26の収納スペースS1側とは反対側の面から挿入し、結合具34の雄ねじが形成されている軸部34Aをストップ部33Bに形成さされている雌ねじ孔に螺入して結合具34を締め付けることにより、扉25,26は、収納用間仕切壁10の構造部材となっている下枠部材16と横枠部材18とにストップ部材33及び結合具34を介して結合された全閉の固定状態となる。
取手部材32による操作によって開閉自在となっている扉25,26は、通常時においては上述のようにストップ部材33や結合具34による固定手段によって収納用間仕切壁10の構造部材に固定された状態となっており、地震や津波、火災等の災害発生が発生したときに、結合具34を取り外すことにより、固定手段による固定を解除することができるため、扉25,26を取手部材32によって回動中心軸23,24を中心に開き操作でき、これにより、収納用間仕切壁10の内部に設けられている収納スペースS1が開放され、この収納スペースS1に収納されている収納物20を取り出すことができるようになっている。
なお、扉25,26の最大開き角度を所定値に規定するために、例えば、扉25,26と横枠部材18との間にチェーン等の可撓性紐状部材を架け渡してもよい。
図3に示されているように、扉25,26には、これらの扉25,26の収納スペースS1側の面において、収納スペースS1側への突出量を有する第1補強部材35が取り付けられ、また、これらの扉25,26と収納用間仕切壁10の厚さ方向に対向して配置されている前述の表面部材22にも、この表面部材22の収納スペースS1側の面において、収納スペースS1側への突出量を有する第2補強部材36が取り付けられている。第1補強部材35は、収納用間仕切壁10及び扉25,26の幅方向である左右方向に間隔をあけて複数個設けられ、第2補強部材36も、収納用間仕切壁10及び表面部材22の幅方向である左右方向に間隔をあけて複数個設けられている。また、長手方向が上下方向となっているこれらの第1補強部材35と第2補強部材36は、互いに収納用間仕切壁10の厚さ方向に対向している。
図8は、これらの第1補強部材35付きの扉25,26及び第2補強部材36付きの表面部材22と、これらの第1及び第2補強部材35,36との関係で収納スペースS1に有効に収納されている収納物20とを示す収納用間仕切壁10の一部拡大の平断面図である。扉25,26及び表面部材22の上下寸法と略同じ又はこれらの上下寸法よりも多少短い上下寸法を有している第1及び第2補強部材35,36は、同じ断面形状が上下方向に連続している平断面ハット形状の板金折り曲げ製品であり、これらの第1及び第2補強部材35,36は、扉25,26、表面部材22に溶接等で結合されている。このため、扉25,26の強度は、第1補強部材35により補強されているとともに、表面部材22の強度も、第2補強部材36により補強されている。
また、扉25,26への第1補強部材35の取り付けは、表面部材22への第2補強部材36の取り付けと同じく、扉25,26における収納スペースS1側に向いている面で行われているため、第1補強部材35を扉26,26に設けても、収納用間仕切壁10全体の厚さ寸法は大きくならず、収納用間仕切壁10の厚さ寸法を図1で示した出入口用間仕切壁11の厚さ寸法と同じ又は略同じにすることができる。
そして、本実施形態では、図8に示されているように、扉25,26に取り付けられている第1補強部材35の収納スペースS1側への突出量L1は、表面部材22に取り付けられている第2補強部材36の収納スペースS1側への突出量L2よりも大きくなっている。このため、扉25,26が、表面部材22と異なり、収納用間仕切壁10の構造部材となっている左右の縦枠部材13,14や下枠部材16、横枠部材18に溶接等で結合されておらず、下枠部材16及び横枠部材18に回動中心軸23,24を中心に回動自在に配置された部材となっていても、扉25,26の強度を、第2補強部材36で補強された表面部材22と同じ程度又は略同じ程度又はそれ以上に大きくすることができる。
収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納されている収納物20は、図2に示されているように、上下複数段、図示例では上下3段に段積みされており、下段の収納物20Aは左右方向の寸法が大きいものになっており、中段の収納物20Bは、上下方向の寸法が収納物20Aよりも大きくて左右方向の寸法が収納物20Aよりも小さいものになっており、上段の収納物20Cは、上下方向の寸法及び左右方向の寸法が収納物20A,20Bよりも小さいものになっている。
そして、図8に示されているように、下段及び中段の収納物20A及び20Bについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法は、L3であり、これに対して上段の収納物20Cについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法は、L4であり、この寸法L4は、寸法L3よりも大きくなっている。また、寸法L3は、第1及び第2補強部材35,36を除いた表面部材22と扉25,26との間の間隔L5から第1及び第2補強部材35,36の突出量L1とL2とを差し引いた寸法L6と同じ又はこの寸法L6よりも小さくなっており、寸法L4は、この寸法L6よりも大きくなっている。また、寸法L4は、間隔L5よりも小さくなっているとともに、この間隔L5から突出量L1又はL2を差し引いた寸法と同じ又はこの寸法よりも小さくなっている。
なお、寸法L3,L4は、収納物20のうち、図1で説明した簡易式立体型仕切り60を構成する各種の部材が箱等に梱包されているときの寸法である。
以上のことから、下段及び中段の収納物20A及び20Bは、左右の縦枠部材13,14まで達する左右方向の寸法が大きくなっている収納スペースS1のどの箇所にも収納することができるが、上段の収納物20Cは、第1及び第2補強部材35,36が配置されている箇所に収納することはできない。
このため、本実施形態では、下段及び中段の収納物20A及び20Bよりも収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法L4が大きくなっている上段の収納物20Cは、収納スペースS1のうち、扉25,26に収納スペースS1側への突出量L1をもって取り付けられている第1補強部材35と、表面部材22に収納スペースS1側への突出量L2をもって取り付けられている第2補強部材36との両方から外れた箇所に収納されている。
このため、収納物20に、収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法が異なる複数のもの20A,20B,20Cがあっても、これらの収納物20A,20B,20Cのうち、収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法が大きい収納物20Cを第1及び第2補強部材35,36から外れた箇所に収納することにより、このような収納物20Cも、収納物20A,20Bと同様に、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に有効に収納することができる。
なお、図3及び図8で示されている本実施形態では、扉25,26に複数個設けられている第1補強部材35と、表面部材22に複数個設けられている第2補強部材36は、収納用間仕切壁10の幅方向である左右方向の同じ位置において、互いに対向して配置されているが、これらの第1補強部材と第2補強部材の配置位置を左右方向にずらしてもよい。このようにした場合には、収納物に、収納用間仕切壁の厚さ方向の寸法が異なる複数のものがあるときに、収納用間仕切壁の厚さ方向の寸法が大きい収納物を、第1補強部材と第2補強部材のうち、一方の補強部材から外れた箇所に収納するようにする。
本実施形態において、扉25,26を開けて収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納物20を収納する作業は、収納用間仕切壁10の製造等が行われる工場において又はこの収納用間仕切壁10の設置施工作業が行なわれる施工現場において実施され、この収納作業の後に、扉25,26は閉じられ、前述した固定手段により収納用間仕切壁10の構造部材に固定される。そして、地震等の災害が発生した後に、固定手段による固定を解除してから扉25,26を開けることにより、収納物20が収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1から図1の教室1に取り出され、この収納物20により、図1で示されている簡易式立体型仕切り60が教室1で組み立てられる。
以上説明した本実施形態によると、収納用間仕切壁10の厚さ方向の両側に設けられている表面部材21,22のうち、一方の表面部材21は、回動中心軸23,24を中心に回動することにより開閉する扉25,26となっているため、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納されている収納物20を取り出すための作業、及び収納物20を収納スペースS1に収納するための作業を、扉25,26を開閉することにより直接的に行えることになり、このため、収納スペースS1に対する収納物20の出し入れを容易に行えるようになる。
また、本実施形態に係る収納用間仕切壁10の幅方向端部には、図4で説明したように、この収納用間仕切壁10の幅方向(左右方向)に配置される他の収納用間仕切壁10や出入口用間仕切壁11と連結することができる連結部13A,14Aが設けられているため、この連結を行うことにより、図1で示したように、教室1と廊下2とを仕切るために左右方向に長い寸法を有する壁3を形成することができる。
また、壁3を複数個の収納用間仕切壁10の連設によって形成すると、それぞれの収納用間仕切壁10の内部に収納物20を収納することができる収納スペースS1が設けられているため、壁3全体の内部に収納することができる収納物20の個数や容量を大きくすることができる。
また、本実施形態における収納物20は、地震や津波、火災等の災害発生時に使用される災害関係物を含むものとなっており、この災害関係物は、前述したように、壁3によって廊下2と仕切られている教室1に、地震等の災害発生時において、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1から取り出されて配置される図1の簡易式立体型仕切り60を構成する各種の部材である。
このため、本実施形態によると、学校の内部の空間となっている教室1を、通常時においては、収納用間仕切壁10によって廊下2と仕切ることができるとともに、地震等の災害が発生したときに教室1が被災者に開放されて利用されるようになった場合には、この収納用間仕切壁10に開閉可能に設けられている扉25,26を開くことにより、この収納用間仕切壁10の内部から、被災者にとって有用な災害関係物となっている簡易式立体型仕切り60を構成する各種の部材を直ちに取り出して、この簡易式立体型仕切り60を、教室1において、組み立てることができるようになる。
また、収納用間仕切壁10は、扉25,26が教室1側に向いて設置されているため、収納用間仕切壁10の内部から取り出された上記の各種の部材により、被災者に利用される教室1において、簡易式立体型仕切り60を短時間で組み立てることができる。
また、収納用間仕切壁10に2個設けられている扉25,26は、観音開き式扉となっているため、2個の扉25,26を開くことにより、収納用間仕切壁10に、2個の扉25,26の大きさに相当する大きな開口部を設けることができ、特に、図3から分かるように、これらの扉25,26の閉じられているときの合計の幅寸法は、左右の縦枠部材13,14の幅寸法を除いた収納用間仕切壁10の幅寸法と同じになっており、このため、扉25,26を開くことにより、図2で示したように、左右方向の寸法が充分に大きい長寸の収納物20Aであっても容易に取り出すことができる。
図9〜図11は、収納用間仕切壁10の内部に、収納スペースS1に収納される収納物20を表面部材22側へ押圧して不動の締め付け状態で収納するための締付体40を配置した実施形態を示しており、図9及び図10では、扉25,26が省略されている。
図9で示されている締付体40は、左右方向を長さ方向とするバンド状部材41を含んで構成されており、このバンド状部材41は、上下3段に段積みされている収納物20A,20B,20Cごとに設けられ、これらのバンド状部材41の両端部は、中段の収納物20Bについてのバンド状部材41を代表例として示している図10のように、収納用間仕切壁10の前述した構造部材となっている左右の縦枠部材13,14に連結されている。
すなわち、図10に示されているように、左右の縦枠部材13,14には、ベース部材42が溶接等で結合され、これらのベース部材42には、左右の縦枠部材13,14のうち、左側の縦枠部材13を代表例として示している図11のように、縦長状の第1リング部材43が連結され、これらの第1リング部材43に、図10に示されている真円状の第2リング部材44が連結されている。これらのベース部材42と第1リング部材43と第2リング部材44とにより、バンド状部材41の端部を左右の縦枠部材13,14に連結するために、これらの縦枠部材13,14に取り付けられた縦枠部材13,14側の連結具が構成されている。
バンド状部材41の両端部には、図11に示されているように、第2リング部材44に係止可能となっているフック部材45が取り付けられており、このフック部材45がバンド状部材41側の連結具となっている。フック部材45を第2リング部材44に係止することにより、バンド状部材41とフック部材45とで構成されている締付体40により、収納物20Bは表面部材22側へ押圧され、より具体的には、表面部材22に設けられた前述の第2補強部材36に収納物20Bが押圧当接され、これにより、収納物20Bは不動の締め付け状態で収納スペースS1に収納される。
また、本実施形態では、ベース部材42と第1リング部材43と第2リング部材44とにより構成された縦枠部材13,14側の連結具は、図10から分かるように、扉25,26と表面部材22とのうち、表面部材22側に近い箇所において、縦枠部材13,14に配置されているため、すなわち、バンド状部材41の端部に設けられているフック部材45を第2リング部材44を介してベース部材42に連結するための第1リング部材43は、扉25,26と表面部材22とのうち、表面部材22側に近い箇所において、ベース部材42に連結されているため、バンド状部材41の端部のフック部材45を、扉25,26と表面部材22とのうち、表面部材22側に近い箇所において、縦枠部材13,14に連結することができる。
これによると、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納される収納物20を、バンド状部材41を含んで構成されている締付体40により、表面部材22側へ一層確実に押圧することを実現することができ、これにより、収納物20を一層確実に不動の締め付け状態として収納スペースS1に有効に収納できることになる。
また、本実施形態におけるバンド状部材41は、弾性的に伸縮可能となった伸縮部材となっており、このため、収納用間仕切壁10の厚さ方向についての寸法が異なる各種の収納物20に有効に対処できるとともに、バンド状部材41の弾性的締め付け力により収納物20を、表面部材22側へさらに一層確実に押圧して不動の締め付け状態で収納できる。
なお、バンド状部材41側の連結具となっているフック部材45と、ベース部材42と第1リング部材43と第2リング部材44とにより構成される縦枠部材側の連結具とを、バンド状部材41の両方の端部側のうち、一方の端部側のみに設けるようにし、バンド状部材41の他方の端部を縦枠部材13又は14に結合してもよい。
また、バンド状部材41側の連結具及び縦枠部材側の連結具は、図9〜図11に示された実施形態のものに限定されず、任意の形状及び構造のものでよい。
図12は、別実施形態に係る締付体50を示す。この締付体50は、上下方向及び左右方向の大きな寸法を有するシート状部材51を含んで構成されたものとなっている。このシート状部材51は、弾性的に伸縮可能となったネット等の部材で形成されているとともに、シート状部材51の左右方向両端部には、縦枠部材13,14に上下複数個設けられた縦枠部材側の連結具に連結されるシート状部材51側の連結具が上下複数個設けられている。
この実施形態におけるシート状部材51側の連結具及び縦枠部材側の連結具も、シート状部材51の左右両方の端部側のうち、一方の端部側のみに設けるようにし、シート状部材51の他方の端部を縦枠部材13又は14に結合してもよい。
また、この実施形態において、シート状部材51側の連結具及び縦枠部材側の連結具は、図9〜図11で示した実施形態と同様のものでもよく、あるいは、図9〜図11に示された実施形態のものに限定されず、任意の形状及び構造のものでよい。
図12の実施形態に係る締付体50によると、この締付体50は、上下複数段に段積みされた収納物20A,20B,20Cをカバーすることができる上下方向及び左右方向の大きな寸法を有するシート状部材51を含んで構成されたものとなっているため、これらの収納物20A,20B,20Cを一括して表面部材22側へ押圧して不動の締め付け状態で収納スペースS1に収納できることになる。
次に、収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1から取り出されて図1の教室1で組み立てられる簡易式立体型仕切り60について説明する。
図13には、この簡易式立体型仕切り60の立体型骨組み61が示されている。この立体型骨組み61は、複数本の棒状部材70と、複数本の棒状部材70を、互いに隣接する2本の棒状部材70を直角又は略直角の配置関係とさせて連結するための第1連結部材71と、2本の棒状部材70を直列に連結するための第2連結部材72とを含んで組み立てられており、そして、右面73と、左面74と、前面75と、後面76とを有している。本実施形態の立体型骨組み61では、右面73及び左面74は、前面75及び後面76の2倍の大きさとなっている。図14には、これらの右面73と、左面74と、前面75と、後面76とに正面視で四角形の形状となっているシート部材80を配設し、これにより完成した簡易式立体型仕切り60が示されている。この簡易式立体型仕切り60は、左右方向の寸法と、前後方向の寸法と、上下方向の寸法とを有するものであって、内部は、地震等の災害発生時において、被災者が入って寝食等の生活を行える空間S2となっている。
長寸部材となっている棒状部材70は、図1で示した収納物20A,20B,20Cのうち、収納物20Aの前述した箱に梱包されて収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納されていたものであり、また、折り畳み可能となっているシート部材80は収納物20Bの箱に梱包されて、第1及び第2連結部材71,72は収納物20Cの箱に梱包されて、それぞれ収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納されていたものである。
図15は、第1連結部材71を示している。この第1連結部材71は、左面71Aと、右面71Bと、前面71Cと、後面71Dと、上面71Eと、下面71Fとを有する六面体の合成樹脂製の部材であり、左面71Aと、右面71Bと、前面71Cと、後面71Dと、上面71Eとには、棒状部材70を連結可能とするための棒状部材連結部77が設けられている。これらの棒状部材連結部77は、左面71Aと、右面71Bと、前面71Cと、後面71Dと、上面71Eとから突出した突起となっており、このため、第1連結部材71には、互いに隣接する2個同士が直角又は略直角をなして水平四方向又は略水平四方向へ突出した4個の棒状部材連結部77と、これらの棒状部材連結部77に対して直角又は略直角をなす一つの方向へ突出した1個の棒状部材連結部77とによる合計5個の棒状部材連結部77が設けられている。
図16は、第2連結部材72を示している。この第2連結部材72も六面体の合成樹脂製の部材であり、互いに水平方向又は略水平方向に対向する2つの面72A,72Bには、棒状部材70を連結可能とするための棒状部材連結部78が設けられ、これらの棒状部材連結部78は、2つの面72A,72Bから突出した突起となっている。
図17は、棒状部材70を示している。長さ方向と直交する断面が円形となっているこの棒状部材70は、硬質紙製又は合成樹脂製であって、内部は、棒状部材70の両端まで連続している空洞部70Aとなっており、このため、棒状部材70は、円形の中空パイプである。空洞部70Aの大きさは、内部に第1及び第2連結部材71,72の棒状部材連結部77,78を圧入できる大きさであり、この圧入を行うことにより、棒状部材70同士を第1連結部材71や第2連結部材72によって連結することができる。
このため、第1連結部材71によると、最大5本の棒状部材70を、互いに水平方向又は略水平方向や上下方向又は略上下方向に隣接する2本の棒状部材70同士を直角又は略直角の位置関係とさせて連結することができ、また、第2連結部材72によると、2本の棒状部材70を直列の位置関係とさせて連結することができる。
図18は、シート部材80を示している。可撓性を有する不透明の布又は合成樹脂製シートで形成されているこのシート部材80は、前述したように、正面視で四角形の形状となっており、左右方向の寸法及び上下方向の寸法は、棒状部材70の長さと同じ又は略同じ、あるいは棒状部材70の長さよりも少し大きくなっている。また、シート部材80の上辺部と下辺部には、シート部材80の幅方向(左右方向)の全長に渡って袋部80Aが形成されている。このような袋部80Aは、シート部材80の素材シートの上部を下側へ、下部を上側へそれぞれ折り曲げるとともに、これらの端部を素材シートの本体部に縫着又は接着等することにより形成されている。
図13で示されている簡易式立体型仕切り60の立体型骨組み61は、棒状部材70が合計34本、第1連結部材71が合計12個、第2連結部材72が合計14個、それぞれ用いられて組み立てられている。この立体型骨組み61では、2本の棒状部材70が第2連結部材72で水平方向又は略水平方向に直列に連結されることによって1組の棒状部材組みが形成されており、この棒状部材組みを第1連結部材71によって水平方向又は略水平方向に2組連結したものを上下に配置されることにより、立体型骨組み61の右面73と、左面74とが形成され、また、1組の棒状部材組みを上下に配置することにより、前面75と、後面76とが形成されている。そして、右面73と前面75及び後面76との上下の交差部、及び左面74と前面75及び後面76との上下の交差部に、2個の第1連結部材71が配置されており、これらの上下2個の第1連結部材71同士は、立体型骨組み61の上下寸法を規定するために長さ方向を上下方向とした棒状部材70によって連結されている。また、右面73及び左面74のそれぞれの前後方向中央部に上下2個配置されている第1連結部材71同士も、長さ方向を上下方向とした棒状部材70によって連結されており、右面73及び左面74のそれぞれの前後方向中央部に配置されている第1連結部材71同士は、右面73と左面74の間に配置された上述の棒状部材組みによって連結されている。
なお、以上の説明から分かるように、この立体型骨組み61では、第1連結部材71が上下に配置されており、これらの第1連結部材71は、互いに上下が逆となって用いられている。また、第1連結部材71は、立体型骨組み61のそれぞれの角部に配置されている。
以上の立体型骨組み61は、棒状部材70の端部における空洞部70Aに、第1及び第2連結部材71,72に突起として形成されている棒状部材連結部77,78を圧入することによって形成されており、この圧入を行う前に、言い換えると、棒状部材70と第1及び第2連結部材71,72とを連結する前に、立体型骨組み61の右面73、左面74,前面75、後面76のそれぞれの上辺部と下辺部を形成するために水平方向又は略水平方向が長さ方向となっている上下2本の棒状部材70を、図18で示したシート部材80の上辺部と下辺部に2個設けられている袋部80Aの内部に挿入し、この後に、棒状部材70と第1及び第2連結部材71,72とを連結する。
これによって図14で示した簡易式立体型仕切り60が完成することになり、この簡易式立体型仕切り60では、シート部材80が右面73、左面74,前面75、後面76に配設されているため、これらの面73〜76がシート部材80によって遮閉されている。図19には、右面73、左面74,前面75、後面76のうち、2枚のシート部材80によって遮閉されている前面75の正面図が示されている。
本実施形態では、上述したように、棒状部材70と第1及び第2連結部材71,72とにより立体型骨組み61が組み立てられるため、この立体型骨組み61により、簡易式立体型仕切り60に必要とされる強度を付与することができる。
また、この立体型骨組み61の右面73、左面74,前面75、後面76にシート部材80を配設することによって簡易式立体型仕切り60が完成し、これらの右面73、左面74,前面75、後面76がシート部材80によって遮閉される構造となっているため、これらの面73〜76の遮閉を容易に行うことができるとともに、簡易式立体型仕切り60全体を組み立てるための作業を簡単に短時間で行える。
また、大きな面積を有しているそれぞれのシート部材80は可撓性材料で形成されているため、折り畳み可能であり、このため、前述した収納用間仕切壁10の内部の収納スペースS1に収納するときに折り畳むことにより、全体をコンパクト化して有効に収納することができる。
さらに、それぞれのシート部材80は、立体型骨組み61を構成するためにこの立体型骨組み61の上下部に2本配置されている棒状部材70を、シート部材80の上下部に2個設けられている袋部80Aの内部に挿入することにより、右面73、左面74,前面75、後面76に配設されるため、これらの面73〜76にシート部材80を配設するための作業を容易に行える。
また、第2連結部材72は、シート部材80の上辺部と下辺部に設けられた袋部80Aの内部に挿入できる大きさとなっているため、この第2連結部材72を袋部80Aで隠して、左右2枚のシート部材80同士を接続した状態にできる。
さらに、それぞれの棒状部材70は、内部に空洞部70Aが棒状部材70の両端まで連続して形成された中空パイプとなっているため、これらの棒状部材70を軽量化することができて、取り扱いを容易化することができる。
また、可撓性を有するシート部材80は、棒状部材70の長さ方向に移動自在であり、このため、図20に示されているように、上述の前面75を遮閉している2枚のシート部材80のうち、少なくとも一方を前面75の左右方向端部に配置されている第1連結部材71側へ移動させることにより、被災者が入って寝食等の生活を行うための簡易式立体型仕切り60の内部の空間S2に出入りするための開口部を前面75に設けることができる。
図21は、図13で示されている簡易式立体型仕切りの立体型骨組み61よりも左右方向の寸法が大きい立体型骨組み81であって、立体型骨組み61と同じく、棒状部材70と第1及び第2連結部材71,72を用いて組み立てることができる立体型骨組み81を示している。
この立体型骨組み81の右面93及び左面94は、立体型骨組み61の右面73及び左面74と同じ前後方向の寸法となっているが、立体型骨組み81の前面95及び後面96は、立体型骨組み61の前面75及び後面76の2倍の左右方向の寸法となっている。すなわち、立体型骨組み81の前面95及び後面96は、右面93及び左面94と同じく、2本の棒状部材70と1個の第2連結部材72で形成された前述の1組の棒状部材組みを第1連結部材71によって2組連結したものを上下に配置されることにより、形成されている。
この立体型骨組み81では、多数用いられている第1連結部材71のうち、立体型骨組み81の中央部の上下に配置された2個の第1連結部材71について、これらの第1連結部材71に合計5個設けられている棒状部材連結部77の全部に棒状部材70が連結されている。
この実施形態から分かるように、棒状部材70と第1及び第2連結部材71,72を用いて組み立てられる簡易式立体型仕切りの立体型骨組みは、合計5個の棒状部材連結部77の全部を用いた第1連結部材71が使用されているものでもよく、あるいは、これらの棒状部材連結部77のうちの一部が用いられた第1連結部材71が使用されているものでもよい。また、第2連結部材72を使用してもよく、使用しなくてもよい。
これにより、各種大きさや形状となっている簡易式立体型仕切りの立体型骨組みを、必要に応じて組み立てることができる。また、これらの立体型骨組みは、棒状部材70を用いて組み立てられるものであるため、棒状部材70の長さ寸法と同じ又は略同じ、あるいはこの長さ寸法よりも少し大きい幅寸法を有しているシート部材80を、これらの立体型骨組みに共通して用いることができる。
また、棒状部材70は第1及び第2連結部材71,72の棒状部材連結部77,78から抜き取り可能であるため、一旦組み立てた立体型骨組みを別の大きさや形状のものに組み立て直すこともできる。
図22は、別実施形態に係る第1連結部材171を示す。六面体の部材となっているこの第1連結部材171にも、図15の第1連結部材71と同様に、互いに隣接する2個同士が直角又は略直角をなして水平四方向又は略水平四方向へ突出した4個の棒状部材連結部177と、これらの棒状部材連結部177に対して直角又は略直角をなす一つの方向へ突出した1個の棒状部材連結部177とが設けられている。そして、この実施形態の第1連結部材171では、上記4個の棒状部材連結部177に対して直角又は略直角をなす一つの方向へ突出した1個の棒状部材連結部177が設けられている面177Aとは上下逆になっている面177Bには、穴179が形成されている。この穴179は、簡易式立体型仕切りに関係する図23の付属部材190を第1連結部材171に取り外し可能に連結するための付属部材連結部となっている。
図23には、穴179に付属部材190を圧入することで第1連結部材171にこの付属部材190が取り付けられて組み立てられている簡易式立体型仕切りが示されている。この付属部材190は、下部が穴179に圧入される支柱190Aと、この支柱190Aに取り付けられたパネル等の面状部材190Bとを有するものであり、この面状部材190Bには、付属部材190が取り付けられている簡易式立体型仕切りを使用している使用者等に関する事項190C、例えば、使用者の氏名等が表示される。
このように付属部材190が取り付けられる簡易式立体型仕切りは、第1連結部材171を1個だけ用いて、他の第1連結部材を図15の第1連結部材71として組み立ててもよく、あるいは、全部の第1連結部材を図22の第1連結部材171として組み立ててもよい。
付属部材190を取り付けることができる第1連結部材171を用いて簡易式立体型仕切りを組み立てた場合には、この第1連結部材171を、複数本の棒状部材70同士を連結するためと、付属部材190を取り付けるためとの兼用部材として用いることができる。
また、図23の簡易式立体型仕切りを形成している複数枚のシート部材のうち、1枚のシート部材180には、上辺部が開口しているポケット部181が設けられている。このポケット部181は、シート部材180に、ポケット用シート182の左右両辺部と下辺部とを縫着又は接着等で結合することによって形成されている。これにより、シート部材180には、内部に回覧版や新聞等の被収納物183を収納することができるポケット部181を設けることができる。
なお、ポケット部181は、シート部材180の表裏両面に設けてもよく、あるいは、表裏両面のうち、一方の面だけに設けてもよい。また、ポケット部181の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。
さらに、図23の簡易式立体型仕切りは、ポケット部が設けられていない図18のシート部材80も用いられて形成されており、このようにポケット部が設けられていないシート部材80と、ポケット部181が設けられているシート部材180との両方を用いて簡易式立体型仕切りを形成してもよく、簡易式立体型仕切りは、ポケット部が設けられていないシート部材80だけにより、あるいは、ポケット部181が設けられているシート部材180だけにより形成してもよい。
また、前述した実施形態では、棒状部材にシート部材を配設するために、このシート部材の上辺部と下辺部に袋部を設け、これらの袋部の内部に棒状部材を挿入する構成としたが、シート部材の上辺部と下辺部に、これらの上辺部と下辺部に沿って複数個の孔を形成し、これらの孔に棒状部材をシート部材の表裏から交互に挿入することにより、棒状部材にシート部材を配設してもよく、あるいは、棒状部材にシート部材の上辺部と下辺部をクリップ等の挟着具で挟着することにより、棒状部材にシート部材を配設してもよい。
さらに、前述した第1連結部材は、上下両面のうち、一方の面だけに棒状部材連結部を設けたものとなっていたが、上下両面に棒状部材連結部を設け、これにより、複数本の棒状部材を第1連結部材により上下に連結できるようにして、上下寸法が大きい簡易式立体型仕切りを組み立てることができるようにしてもよい。
図24には、図1で示した学校の教室1と廊下2を仕切るために、別実施形態に係る収納用間仕切壁210を用いて形成されている壁203が示されている。この壁203も、図2の壁3と同様に、複数個の収納用間仕切壁210と、出入口用間仕切壁11との連設によって形成されており、それぞれの収納用間仕切壁210の幅方向端部には、隣接する他の収納用間仕切壁210及び出入口用間仕切壁11と連結するための連結部が設けられている。
また、工場で予め非耐力壁のユニットとして製造されるこの実施形態の収納用間仕切壁210も、左右両側の縦枠部材213,214と、これらの縦枠部材213,214の上端間に架設された上枠部材215と、縦枠部材213,214の下端間に架設された下枠部材216と、縦枠部材213,214の上下方向2箇所の間に架設された横枠部材217,218とが構造部材となって形成されており、縦枠部材213,214と上枠部材215と横枠部材217とで囲まれる空間が、引き違い式の2個のガラス障子219Aで開閉される窓となっているとともに、縦枠部材213,214と横枠部材218と下枠部材216で囲まれる空間が、引き違い式の2個の不透明障子219Bで開閉される地窓となっている。
そして、縦枠部材213,214と横枠部材217,218とで囲まれる空間が、収納物20を収納するための収納スペースS3となっている。図25は、収納用間仕切壁210の内部の収納スペースS3の構造を示す図24のS25−S25線断面図である。この図25に示されているように、この収納スペースS3も、左右両側の縦枠部材213,214と、収納用間仕切壁210の厚さ方向両側の表面部材221,222とで囲まれた空間となっており、このため、収納スペースS3は、左右方向については左右両側の縦枠部材213,214まで、収納用間仕切壁210の厚さ方向については、この収納用間仕切壁210の厚さ方向両側の外面を形成している表面部材221,222まで、それぞれ達する大きなスペースとなっている。
表面部材221,222のうち、図1で示した教室1側に向いている表面部材221は、図25で示されている鉛直方向を軸方向とする回動中心軸223,224を中心に回動自在となっている2個の扉225,226によって形成されており、板金の折り曲げ品であるこれらの扉225,226は、観音開き式の扉となっている。
図24に示されているように、2個の扉225,226のうち、一方の扉226の上下部には2個の施錠装置233が設けられ、これらの施錠装置233は、収納用間仕切壁210の側断面図を示している図27にも示されている。それぞれの施錠装置233は、収納スペースS3に突出した状態で配置された板状の係止部材233Aを有し、この係止部材233Aは、施錠装置233における収納スペースS3側とは反対側の表面に形成されたキー穴にキーを差し込んで回動操作することにより、上下に180度回動する。横枠部材217,218のうち、横枠部材217の下面には、収納用間仕切壁210の厚さ方向である幅方向の両端部に下向きに垂下した垂下部240A,240Bが形成されている縦断面チャンネル形状の横長部材240が、挟着部材261を介して溶接等で結合され、また、横枠部材218の上面には、収納用間仕切壁210の厚さ方向である幅方向の両端部に上向きに立ち上がった立上り部241A,241Bが形成されている縦断面チャンネル形状の横長部材241が、挟着部材262を介して溶接等で結合されている。上述のキー操作によりそれぞれの施錠装置233の係止部材233Aを180度回動させて、これらの係止部材233Aを横長部材240,241の垂下部240Aと立上り部241Aとに、収納スペースS3の内側で収納用間仕切壁210の厚さ方向に対面させると、扉226を前述の回動中心軸224を中心に開き回動させることは、係止部材233Aが垂下部240Aと立上り部241Aに当接することにより、不可能となる。このため、扉226は、施錠装置233で施錠された状態になる。
また、図25に示されているように、扉226における扉225側の端部には、この端部の折り曲げによる被当たり部226Aが形成されているとともに、扉225における扉226側の端部には、この端部の折り曲げによる当たり部225Aが形成されており、2個の扉225,226が閉じているときには、当たり部225Aは、被当たり部226Aに、この被当たり部226Aよりも収納スペースS3の内側で収納用間仕切壁210の厚さ方向に対面している。このため、扉226が上述のように施錠装置233で施錠された状態になっているときには、扉225を回動中心軸223を中心に開き回動させることは、当たり部225Aが被当たり部226Aに当たることにより、不可能となるため、扉225も施錠された状態になっている。
一方、施錠装置233の係止部材233Aをキー操作により180度回動させて、係止部材233Aを垂下部240Aと立上り部241Aとに、収納用間仕切壁210の厚さ方向に対面させない状態にすると、上述の施錠状態が解除されるため、扉226を回動中心軸224を中心に開き回動させることができ、また、扉225も回動中心軸223を中心に開き回動させることができる。
図25に示されているように、それぞれの扉225,226には、これらの扉225,226の収納スペースS3側の面において、収納スペースS3側への突出量を有する第1補強部材235が取り付けられ、また、これらの扉225,226と収納用間仕切壁210の厚さ方向に対向して配置されている表面部材222にも、この表面部材222の収納スペースS3側の面において、収納スペースS3側への突出量を有する第2補強部材236が取り付けられている。それぞれが上下方向を長手方向として収納用間仕切壁210の幅方向に複数個配置されているこれらの補強部材235,236は、収納スペースS3の上下寸法と同じ又はこの寸法より少し短い上下長さを有し、また、施錠装置233に近くに配置されている1個の第1補強部材235を除き、複数個の第1補強部材235と複数個の第2補強部材236は、互いに収納用間仕切壁210の厚さ方向に対向している。
なお、この実施形態では、第1補強部材235の収納スペースS3側への突出量と、第2補強部材236の収納スペースS3側への突出量は、同じになっている。
また、第1補強部材235の突出量は、表面部材222及び第2補強部材236まで達しておらず、第2補強部材236の突出量は、扉225,226及び第1補強部材235まで達していない。したがって、第1補強部材235と第2補強部材236との間には、収納物20を収納するための間隔が確保されており、このような間隔を確保することができれば、第1及び第2補強部材235,236により扉225,226と表面部材222の強度を充分大きくしてもよい。
また、図25から分かるように、この実施形態における表面部材222は、収納用間仕切壁210の幅方向に並設された2枚の第1及び第2面状部材245,246を結合部247で結合することにより形成されており、これらの面状部材245,246は、板金の折り曲げ品である。図28に示されているように、第1面状部材245における第2面状部材246側の端部は、収納スペースS3側に延出した第1延出部245Aと、この第1延出部245Aの先端から第2面状部材246側へ折れ曲がって延出した第2延出部245Bとにより形成され、第2面状部材246における第1面状部材245側の端部は、収納スペースS3側に延出した第1延出部246Aと、この第1延出部246Aの先端から第2面状部材246の内側へ折れ曲がって延出した第2延出部246Bとにより形成されている。
これらの第1延出部245A,246A及び第2延出部245B,246Bは、収納スペースS3の上下寸法である第1及び第2面状部材245,246の高さの全長又は略全長に渡って形成されており、第2延出部245B,246B同士がリベットや溶接等で結合されることにより、2枚の面状部材245,246同士が結合されている結合部247が形成されている。
なお、この実施形態の第1及び第2補強部材235,236は、前述した実施形態の第1及び第2補強部材35,36と同じく、同じ断面形状が上下方向に連続している平断面ハット形状の板金折り曲げ製品であるため、第2補強部材236について示している図28のとおり、それぞれの補強部材235,236は、左右両側のフランジ部250と、これらのフランジ部250の内端部から収納スペースS3側へ立ち上がった左右両側の立上り部251と、これらの立上り部251同士を連結し、フランジ部250と平行になっている連結部252とからなる。
図26は、図25の一部を拡大した図であって、2枚の第1及び第2面状部材245,246の縦枠部材213,214への取付構造を示すものとして、第1面状部材245の縦枠部材213への取付構造を示したものである。面状部材245,246の縦枠部材213,214側の端部は、収納スペースS3の内側へ延出した第3延出部253になっており、この第3延出部253の先端からは、第4延出部254が収納用間仕切壁210の幅方向外側へ延出している。縦枠部材213,214には、チャンネル材による挟着部材260が溶接等で結合されており、この挟着部材260における収納用間仕切壁210の幅方向内側へ延びるフランジ部260Aと縦枠部材213,214とで第4延出部254が挟着されることにより、面状部材245,246は、収納用間仕切壁210の厚さ方向に不動となって縦枠部材213,214に取り付けられている。
なお、第3及び第4延出部253,254は、収納スペースS3の上下寸法である第1及び第2面状部材245,246の高さの全長又は略全長に渡って形成されている。
図27には、2枚の面状部材245,246の横枠部材217,218への取付構造を示すため、第2面状部材246の横枠部材217,218への取付構造が示されている。面状部材246の上端部は、収納スペースS3の内側へ延出した第5延出部255と、この第5延出部255の先端から下方へ垂下した第6延出部256とにより形成され、面状部材246の下端部は、収納スペースS3の内側へ延出した第7延出部257と、この第7延出部257の先端から上方へ立ち上がった第8延出部258とにより形成されている。横枠部材217の下面には挟着部材261が溶接等で結合されており、この挟着部材261の下方へ延びるフランジ部261Aと、前述した横長部材240の垂下部240Bとで第5延出部255が挟着され、また、横枠部材218の上面には挟着部材262が溶接等で結合されており、この挟着部材262の上方へ延びるフランジ部262Aと、前述した横長部材241の立上り部241Bとで第7延出部257が挟着され、これにより、表面部材222を形成している面状部材245,246は、収納用間仕切壁210の厚さ方向に不動となって横枠部材217,218に取り付けられている。
なお、第5〜第8延出部255〜258は、面状部材245,246の左右の幅方向の全長又は略全長に渡って形成されており、このため、これらの面状部材245,246からなる前述の表面部材222には、第5〜第8延出部255〜258が収納スペースS3の左右の幅方向の全長又は略全長に渡り形成されていることになる。
この実施形態では、このように2枚の面状部材245,246で形成されていて、2個の扉225,226と収納用間仕切壁210の厚さ方向に対向している表面部材222には、第2補強部材236が取り付けられているため、表面部材222が厚さの小さい板金で形成されていても、この表面部材222についての表面部材222の厚さ方向強度を確保することができ、外力等により表面部材222が収納用間仕切壁210の厚さ方向内側へ湾曲変形することを抑制できる。
また、この表面部材222を形成している2枚の面状部材245,246の幅方向両端部には、収納用間仕切壁210の厚さ方向へ突出した寸法を有する第1延出部245A,246Aと第3延出部253が形成されているとともに、これらの面状部材245,246の上下両端部には、収納用間仕切壁210の厚さ方向へ突出した寸法を有する第5延出部255と第7延出部257が形成されているため、これらの延出部245A,246A,253,255,257により、面状部材245,246についての面状部材245,246の厚さ方向強度を確保することができて、外力等により面状部材245,246が収納用間仕切壁210の厚さ方向内側へ湾曲変形することを抑制できる。
図29には、2個の扉225,226を省略した収納スペースS3の正面図が示されており、この図29には、収納スペースS3に上下に複数段積みされて収納されている収納物20D〜20Gも示されている。これらの収納物20D〜20Gは、図14で説明した簡易式立体型仕切り60と同様の仕切りを構成する部材を箱や袋に梱包したものである。また、この実施形態に係る簡易式立体型仕切りは、図17で示した棒状部材70が立体型骨組みの水平部材のみとなるものであり、この立体型骨組みの鉛直部材は、図17の棒状部材70よりも長い長寸の棒状部材により形成されるようになっている。このため、図29において、収納物20Dは図17の棒状部材70であり、収納物20Gは長寸の棒状部材である。また、収納物20Eは、図18で説明したシート部材80であり、収納物20Fは、図15及び図16で説明した連結部材71,72である。
なお、図29に示されている実施形態では、収納物20Dは、複数の棒状部材70の上下部だけを、上下面の一方が開口している上下2個の浅底状箱270,271の内部に挿入したものであり、収納物20Eは、複数の折り畳まれたシート部材80をビニルシート等の可撓性を有する袋に入れたものである。収納物20Fは、複数の連結部材71,72を箱に入れたものであり、収納物20Gは、上述した長寸の棒状部材を縦寸法の大きい箱に入れたものである。
また、収納物20D及び20Gの棒状部材70及び長寸の棒状部材は、長さ方向が上下方向となって収納スペースS3に収納されている。また、収納物20Fは複数の連結部材71,72を箱に入れたものであるために、この収納物20Fについての収納用間仕切壁210の厚さ方向寸法は、他の収納物20D,20E、20Gについての収納用間仕切壁210の厚さ方向寸法よりも大きくなっているが、この収納物20Fは、図29から分かるように、2個の扉225,226に設けられている第1補強部材235と表面部材222に設けられている第2補強部材236から収納用間仕切壁210の幅方向に外れた箇所に配置されているため、この収納物20Fを、第1補強部材235及び第2補強部材236の影響を受けることなく、収納スペースS3に有効に収納することができる。
なお、収納物20Fを第1補強部材235と第2補強部材236から収納用間仕切壁210の幅方向に外れた箇所に配置することは、図29から分かるように、図28で説明した左右両側のフランジ部250と、左右両側の立上り部251と、連結部252とからなる補強部材235,236のうち、連結部252だけから収納用間仕切壁210の幅方向に外れた箇所に収納物20Fを配置することでもよい。
さらに、この実施形態の収納物20Dの棒状部材70は、長さ方向が上下方向となって梱包されているため、この収納物20Dは、上下方向の強度が大きい硬質のものとなっている。そして、この収納物20Dの上に載置されている収納物20Eは、前述したように複数の折り畳まれたシート部材80を可撓性を有する袋に入れたものであるため、この収納物20Eは、収納物20Dよりも強度が小さい軟質のものとなっている。
そして、本実施形態では、硬質の収納物20Dの上に軟質の収納物20Eを段積みして、これらの収納物20D,20Eを収納スペースS3に収納しているため、硬質の収納物20Dの強度を有効に利用して、かつ、軟質の収納物20Eに変形癖が付くこと等を有効に防止して、この収納を行うことができる。
なお、棒状部材70は、それ自体で充分の強度を有しているため、棒状部材70の長さ方向を水平方向等とした収納物の上に、この収納物よりも軟質の収納物を載置してもよい。
また、この実施形態では、収納物20Dの棒状部材70と、収納物20Gの長寸の棒状部材は、図25から分かるように、収納用間仕切壁210の厚さ方向の本数が1本となって、収納スペースS3に収納されている。これによると、収納用間仕切壁210の厚さ方向における棒状部材の本数を複数本とした場合よりも、収納スペースS3に収納する棒状部材についての収納用間仕切壁210の厚さ方向寸法を大きくすることができるため、前述した簡易式立体型仕切りの立体型骨組みの強度を大きくすることができる。
また、この実施形態では、図25に示されているように、収納物20Dの棒状部材70と、収納物20Gの長寸の棒状部材は、収納用間仕切壁210の厚さ方向と直交する水平方向に複数本収納されているとともに、2個の扉225,226と表面部材222に設けられている第1及び第2補強部材235,236は、長手方向を上下方向としてこれらの扉225,226と表面部材222に取り付けられているため、扉225,226や表面部材222に収納スペースS3側への押圧力等の外部力が作用したときに、これらの棒状部材と補強部材が互いに上下方向に渡って接触することになり、これにより、扉225,226や表面部材222が収納スペースS3側へ湾曲変形することを有効に防止することができる。