図1は、本発明の間仕切りユニットの第1実施形態として、簡易トイレを配設するための独立した閉空間を区画形成する場合を示す斜視図である。
図1に示す簡易トイレ用の間仕切りの場合、間仕切りユニット1は、厚さ10mmの紙製強化段ボール板からなる4枚の間仕切り板2、平面ファスナからなる16本の連結ベルト3、および2種類の補強フレーム5からなる。
本実施形態において、前記間仕切り板2は、図2に示すように、外形状を横縦寸法を約90cm×180cmの矩形とする3×6判の紙製強化段ボール板である。なお、段ボール板とは、波形に成型した中芯原紙の片面または両面に板紙(ライナー)を貼り合わせたもの(JIS Z 0108)をいう。段ボール板としては、例えば、波形状に成形した中芯原紙の両面に板紙を接着した両面段ボール板や、前記両面段ボール板の片側の外面に中芯原紙ならびに板紙(以下、この組み合わせを片面段ボール板という)を接着した複両面段ボール板などを例示できるが、前記複両面段ボール板にさらに片面段ボール板を1乃至複数枚接着したものも例示することができる。そして、1m四方の面積当たり400g以上の板紙を使用したものを強化段ボール板と称する。なお、本明細書中においては、前述したJISに規定されている段ボール板以外のものも段ボール板と称する。すなわち、後述する図18(a)のプラスチック板本体も、便宜上、段ボール板の範疇に含めるものとする。
間仕切り板2の素材として紙製強化段ボールを用いることで、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、この3×6判サイズは一般的に流通している板ものの建材サイズであるため、建築物の間仕切りとしても区画が簡単となるし、無駄な空間を残さずに区画することが可能となる。
そして、本実施形態においては、前記各間仕切り板2を縦長に配置した場合の側辺(長辺)および端辺(短辺)には、複数枚の間仕切り板2を結束する際に平面ファスナからなる連結ベルト3を貫通させる連結小孔6が、側辺には4個、端辺には2個、それぞれ所定の間隔を以て形成されている。前記連結ベルト3としての平面ファスナは、表面に多数のループが形成され、裏面に前記ループに係合しうる多数の鈎が形成されて構成されている、また、前記連結小孔6は、該間仕切り板2に上下や表裏が形成されないように、上下、左右に対象に位置が調整されて形成されている。
本実施形態においては、4枚の間仕切り板2のうちの1枚として、図3および図4に詳示する出入り口用間仕切り板7を用いている。前記出入り口用間仕切り板7は前述の間仕切り板2の基本構成を有し、さらに、開閉扉8、扉止め受け部9、およびロック機構10を備えている。
前記開閉扉8は、出入り口用間仕切り板7の中央部に、縦方向に連接辺が位置し、この連接辺の上下端を起点とするコ字状の切欠きを形成することにより、前記連接辺を揺動基部として開閉可能とされた扉部11と、前記扉部11における前記切欠きの各辺に対向する三方向を囲う外枠部12とから形成されている。前記連接辺は扉部11の揺動基部として作用すべく、筋状に押し潰され、罫線部13として形成されている。
前記外枠部12の前記連接辺の対向辺における内側には、前記扉部11が外方にのみ開き、区画された小空間内には開かないようにするための扉止め受け部9が形成されている。
そしてさらに、前記外枠部12の前記連接辺の対向辺には、前記ロック機構10を構成する固定ロック部14が形成されている。本実施形態において、前記ロック機構10は前記外枠部12の前記連接辺の対向辺に2箇所形成されており、該配設箇所は前記扉止め受け部9に切欠き部15が形成されている。図5乃至図8に詳示するように、各ロック機構10は、該間仕切り板2の外面に配設された平面ファスナからなる外側固定ロック部14A、該間仕切り板2の内面に配設された平面ファスナからなる内側固定ロック部14B、および前記固定ロック部14に対応する扉部11側の位置に、該扉部11の開閉つまみ16を兼ねて配設され前記両固定ロック部14A、14Bに接合可能な他の平面ファスナからなる可動ロック部17から構成されている。
本実施形態において、前記外側固定ロック部14Aおよび内側固定ロック部14Bは、図5乃至図8に詳示するように、前記扉止め受け部9に形成された切欠き部15に対応する外枠部12に貫通孔18を形成し、この貫通孔18を通して前記外枠部12に平面ファスナを巻回することによって形成されている。すなわち、前記外側固定ロック部14Aおよび内側固定ロック部14Bは、鈎あるいはループが形成された平面ファスナにより構成されている。
そして、前記可動ロック部17は、図5乃至図8に詳示するように、前記扉部11のこれに相対する位置にも貫通孔18を形成し、この貫通孔18を通して前記扉部11に平面ファスナの一端部を巻回させて固定し、他端部は、前記外側固定ロック部14Aおよび内側固定ロック部14Bに対して接合可能でありとともに把持可能な長さを有する舌片部19として形成されている。このとき、前記舌片部19は前記両固定ロック部14A、14Bとしての平面ファスナに接合可能に、ループあるいは鈎が形成された平面ファスナを表裏面とするようにして形成されている。
また、本実施形態の連結ベルト3としての平面ファスナは、幅20mm、長さ20cm〜30cmに形成されている。このように、連結ベルト3として平面ファスナを用いることにより、部材の軽量化、低コスト化の他、組み立て(結束)作業を簡便なものとすることができる。
さらに、前記補強フレーム5は、図1に示すように、コ字状の溝部20が形成された合成樹脂製の補強部材である。前記溝部20は前記紙製強化段ボール板の厚さ方向となる幅寸法を10mmに形成されている。そして、本実施形態においては、2枚の間仕切り板2の一側辺同士を突き合わせて90°に形成されたコーナ部を構成する前記間仕切り板2の上辺または下辺に前記溝部20を嵌入させて使用する8個のL字型の連結部補強フレーム5aと、間仕切り板2の上辺あるいは下辺に嵌入させて使用する4本のI字型の間仕切り板補強フレーム5bとを備えている。
そして、本実施形態の間仕切りユニット1は、平面形状90cm四方の四角形を形成するように、4枚の間仕切り板2を配置し、連結させる間仕切り板2同士を前記連結ベルト3を用いて連結させる。すなわち、前記側辺を互いに突き合わせるようにして配置された2枚の間仕切り板2の対応する連結小孔6に連結ベルト3としての平面ファスナを通し、該2枚の間仕切り板2が90°のコーナ部を形成するように、順次、連結させる(連結角度90°のL字連結)。
本実施形態における各々の間仕切り板2には自立機構は配設されていないが、複数枚の間仕切り板2を組み合わせ、1以上のコーナ部を形成することで、交差する方向に位置する間仕切り板同士がお互いを支承し合うことで起立する。
続いて、90°のコーナ部を構成する前記間仕切り板2の連結部における上辺および下辺に、L字型の前記連結部補強フレーム5aの前記溝部20を嵌入させる。また、前記出入り口用間仕切り板7およびこれに対向して配置される間仕切り板2の上辺および下辺には、前記間仕切り板補強フレーム5bを嵌入させる。このように、間仕切り板2の上辺あるいは下辺におけるコーナ部などの要部に補強フレーム5のコ字状の溝部20を嵌め込むことで、組立強度を補強することができる。
ここで、出入り口用間仕切り板7の開閉扉8とその開閉扉8の扉部11に配設されたロック機構10の作用を説明する。なお、図5は、小空間の外側から見た前記ロック機構10の構成を示す斜視図であり、前記開閉扉8の扉部11を開いた状態を示す説明図である。図6は、小空間の外側から見た前記ロック機構10を示す斜視説明図であり、前記開閉扉8の扉部11を閉じて、小空間に入室者が居ない、空室状態を示す説明図である。また、図7は、小空間の内側から見た前記ロック機構10の構成を示す斜視図であり、前記開閉扉8の扉部11を閉じる状態を示す説明図である。そして、図8は、小空間の内側から見た前記ロック機構10を示す斜視説明図であり、前記開閉扉8の扉部11を閉じてロック機構10を作用させた状態を示す説明図である。
入室者は、図5に示す状態から、開閉つまみ16を兼ねた可動ロック部17の舌片部19を把持して小空間内に入室し、扉部11を閉じて扉止め受け部9に当接させた状態(図7参照)で、可動ロック部17の前記舌片部19を構成する平面ファスナを内側固定ロック部14Bを構成する平面ファスナに接合させ、係止させる(図8参照)。このとき、開閉扉8の外側には開閉つまみ16である前記舌片部19は位置しておらず、外側固定ロック部14Aはその係止面を露呈させた状態となっている。この状況から、他者は該小空間に入室者がいることを知ることができる。万が一、入室者の有無を把握できない場合であっても、扉部11を開閉するための開閉つまみ16、すなわち舌片部19が小空間外には出ていないので、扉部11を開くことはできない。
また、退室するときは、入室者は、図8に示す状態から、前記可動ロック部17の舌片部19と前記内側固定ロック部14Bとの接合を解除し(図7参照)、開閉つまみ16としての前記舌片部19を把持して退室し、扉部11を閉じて扉止め受け部9に当接させる。そしてこの状態で、開閉つまみ16としての前記可動ロック部17の舌片部19を外側固定ロック部14Aを構成する平面ファスナに接合させ、係止させる(図6参照)。この状況から、他者は該小空間に入室者がいないこと、つまり、空室であることを知ることができる。
また、例えば、前記固定ロック部14を構成する平面ファスナを赤色、可動ロック部17を構成する平面ファスナを黒色とするなど、両ロック部材14、17を構成する平面ファスナの色を異ならせることで、小空間の使用、未使用の状態をより簡単に識別可能とすることもできる。
このように、本実施形態の間仕切りユニット1によれば、専門技術を要せずに、間仕切り板2を簡便な方法で連接することができる。つまり、連接させる複数の仕切り板の連結小孔6に連結ベルトを通して複数枚の間仕切り板2を結束し、連結させればよく、連結作業は極めて簡単である。
しかも、10mm厚の3×6判の紙製強化段ボール板の重量は約2.8キログラムと、軽量であるので、女性や子供でも取り扱いがさほど困難でなく、万が一、間仕切り板2が転倒したとしても、怪我をする危険はきわめて少なく、安全である。
また、間仕切り板2として、工業用に市販されている紙製強化段ボール板を用い使えば、材料コストが安価になるし、大量生産も容易である。さらに、材料としての紙製強化段ボール板は、使用後も再生が可能であり、さらに廃棄処理も焼却処分が可能であり、環境にも優しいものとなる。また、紙製強化段ボール板は硬く、堅牢であるので、洋服をハンガーにかけて間仕切り板2の上部にかけることなどもできる。
また、3×6判の紙製強化段ボール板のように、高さ寸法の十分な間仕切り板2を用いれば、通行者の視線もその間仕切り板2によって遮ることができるので、プライバシーの侵害を防止できる。すなわち、3×6判の板材を縦長に配設すれば、高さ寸法は180cmとなるが、この180cmの高さは、身長195cm前後の人の目の高さとなる。従って、3×6判の紙製強化段ボール板を縦長に配設することにより、ほぼ完全に視覚によるプライバシーの相互侵害を防止できる。
またさらに、小空間の出入り口として簡易なロック機能を備えた扉部11を有する出入り口用間仕切り板7を配設することで、プライバシーの保護やセキュリティに関する安心感を得ることができる。
そして、本実施形態の間仕切りユニット1は、部品点数が少なく、かつ立体的構造の部品が殆どないので、平面状態で梱包できる。よって梱包のための無駄な空間をほとんど必要とせず、コンパクトに収納でき、保管、運搬効率も良いといった優れた効果をも有する。
図9は、本発明の間仕切りユニット1の第2実施形態として、独立した4畳半大の小空間を区画形成する場合を示す斜視図である。
図9に示す4畳半大の小空間の間仕切りの場合、間仕切りユニット1は、厚さ10mmの紙製強化段ボール板からなる11枚の間仕切り板2、平面ファスナからなる40本の連結ベルト3、12本のI字型の短尺な連結部補強フレーム5a’、開口部に配設する1本のI字型の長尺な開口部補強フレーム5c、および1組のカーテン吊下ユニット22からなる。
本実施形態における間仕切り板2および連結ベルト3は、前記第1実施形態と同様の構成とし、その説明は省略する。
前記I字型の連結部補強フレーム5a’は、コ字状の溝部20が形成された合成樹脂製のフレームである。また、前記開口部用の開口部補強フレーム5cは、図10に示すような細板状の底板21を有し、その両端部には間仕切り板2の下辺を嵌入させるコ字状の溝部20が形成されて、長尺(少なくとも、前記間仕切り部材の横方向寸法以上を必要とし、好ましくは120cm程度)に形成されている。
そして、前記カーテン吊下ユニット22は、直線状のカーテンフレーム23と、前記カーテンフレーム23の中間部に展張可能に配設されるカーテン25とから構成されている。本実施形態においては、前記カーテンフレーム23は、図11に示すように、両端部に間仕切り板2を嵌入させるコ字状の溝部20が形成された長尺な合成樹脂製のフレームで、I字型の連結部補強フレーム5a’と同様に構成されている。
また、前記カーテン25は、カーテン本体25aの上端部に前記カーテンフレーム23を貫挿させる袋部25bが縫製により形成されている。
そして、本実施形態の間仕切りユニット1は、各間仕切り板2を縦長に用い、平面形状270cm四方の四角形(4畳半大)を形成する。すなわち、前記4辺の内の3辺は、3枚の間仕切り板2を直線状に配置し、残りの一辺は中央部に開口する出入り口を形成するように両側にそれぞれ1枚ずつ間仕切り板2を配置させ、その状態で連接する間仕切り板2を前記連結ベルト3を用いて連結させる。すなわち、該2枚の間仕切り板2が180°の直線を形成するように順次連結させる部分(連結角度180°のI字連結部分)と、該2枚の間仕切り板2が90°のコーナ部を形成するように連結させる部分(連結角度90°のL字連結部分)とを組み合わせ、前記側辺を互いに突き合わせるようにして配置された2枚の間仕切り板2の対応する連結小孔6に連結ベルト3としての平面ファスナを通して、順次、連結させる。
本実施形態においても、各々の間仕切り板2には自立機構は配設されていないが、複数枚の間仕切り板2を組み合わせ、1以上のコーナ部を形成することで、交差する方向に位置する間仕切り板同士がお互いを支承し合うことで、間仕切り板2として起立し、作用するものとなる。
続いて、2枚の間仕切り板2を180°の直線状に連結した、I字連結部分における前記間仕切り板2の上辺および下辺に、短尺なI字型の連結部補強フレーム5a’の前記溝部20を嵌入させる。このように、間仕切り板2の上辺あるいは下辺における連結部に連結部補強フレーム5a’のコ字状の溝部20を嵌入させることで、2枚の間仕切り板2を連結するとともに組立強度を補強することができる。
さらに、本実施形態においては、カーテン本体25aの上部に形成された袋部25bに前記カーテンフレーム23を貫挿させて、カーテン本体25aの上端部に前記カーテンフレーム23の中間部を位置させる。そして、その状態で、該小空間の出入り口を構成する開口部に臨む2枚の間仕切り板2の近接対向する両端上辺に、前記カーテンフレーム23の前記溝部20を嵌入させ、前記2枚の間仕切り板2間にカーテンフレーム23を懸架し、前記カーテン本体25aを吊下させる。また、前記開口部に臨む、間仕切り板2の近接対向する両端下辺に、開口部用の長尺なI字型の開口部補強フレーム5cの溝部20を嵌入させ、前記開口部には開口部補強フレーム5cの底板21が位置するようにする。これにより、前記開口部通過時に足を引っ掛けてしまうことを防止することができる。なお、この開口部に底板21を配置させる構成の開口部補強フレーム5cに代えて、全長に亘ってコ字状の溝20が形成された開口部補強フレーム5c’を使用することも可能である(次の第3実施形態における図13および図15、第4実施形態における図16および図17参照)。その場合、出入り口に配設された補強フレーム5には、開口部通過時に足を引っかけないようにマットなどをかぶせてもよい。
このような構成を有する本実施形態の間仕切りユニット1は、第1実施形態の間仕切りユニット1のように出入り口用間仕切り板7を間仕切り板2として用いていないため、前記出入り口用間仕切り板7を配設したことにより得られる作用効果を得ることができないが、それ以外の構成要素から得られる作用効果は全て奏するものであり、さらに、前記カーテン吊下ユニット22を配設したことによる特別な作用効果を得ることができる。
すなわち、前記カーテン吊下ユニット22は、前記袋部25bに対しカーテンフレーム23が遊嵌された状態であるので、前記カーテン本体25aをカーテンフレーム23に沿って移動させることにより、カーテン25の展張状態を調整することができる。
このような構成を有するカーテン吊下ユニット22であっても、前記カーテンフレーム23の両端部に形成された溝部20を、出入り口となる開口部に臨む、2枚の間仕切り板2の近接対向する両端上辺に嵌入させることで、カーテン25を吊下することができる。
本実施形態の間仕切りユニット1のように、一部材としてカーテン吊下ユニット22を備えることで、出入り口に簡便にカーテンを吊下ることができ、小空間のレイアウトにさらなるアレンジを加えることが可能となる。
勿論、該四畳半大の小空間の出入り口を構成する開口部にカーテン吊下ユニット22を配設せず、出入り口を開放した構成とすることも可能である。
また、前記カーテン吊下ユニット22を窓に相当する部分に用いることも可能である。その態様については、以下の第3実施形態の中で説明する。
図12は、本発明の間仕切りユニット1の第3実施形態として、体育館などの大きな施設内部を複数個の小空間に間仕切る場合のレイアウトの一例を示す平面図である。このレイアウト中に示される施設は、その内部空間を前述した2つの実施形態で説明した間仕切り板(出入り口用間仕切り板7を含む)2を平面ファスナからなる連結ベルト3を用いて様々に連結するとともに、必要に応じて補強フレーム5やカーテン吊下ユニット22を随所に配設し、広さや平面形状、用途などの異なる複数の小空間が形成されている。なお、本実施形態において用いる前記間仕切り板2は、前述の第1および第2実施形態で用いた間仕切り部材と同様に外形状を横縦寸法を約90cm×180cmの矩形とする3×6判の紙製強化段ボール板であるが、図13および図14に示すように、前記連結小孔6が、縦長とした間仕切り板2の側辺(長辺)に4個、端辺(短辺)に2個、それぞれの形成位置を調整されつつ形成されている点で異なっている。他の本実施形態の間仕切りユニット1を構成する各部材についての説明は省略する。
図13は、図12中矢印Aに示す部分の要部拡大斜視図であり、縦長に配置され、側辺を互いに突き合わせるようにして配置された3枚の間仕切り板2の対応する連結小孔6に、連結ベルト3としての平面ファスナを通し、3枚連結で連結角度90°および180°のT字に連結した、その連結状態を示している。
また、図14は、図12中矢印Bに示す勉強部屋の壁部を示す要部拡大正面図である。この図14に示すように、本実施形態においては、1枚の間仕切り板2を横長に用い、縦長に配設された2枚の間仕切り板2間の下半分側に配設し、間仕切り板が配設されない上半分の空間を窓部として機能させている。つまり、縦長に配置された2枚の間仕切り板2の側辺(長辺)下方に形成された連結小孔6と、横長に配置された間仕切り板2の側辺(端辺)に形成された連結小孔6とを連結ベルト3としての平面ファスナにより連結させるとともに、該2枚の間仕切り板2の下辺における連結部をI字型の短尺な連結部補強フレーム5a’に嵌入させ、補強している。
また、前記窓部として機能する開口部に臨む間仕切り板2の近接対向する両端上辺には、カーテン吊下ユニット22を構成し、その中間部にカーテン25を吊下させたカーテンフレーム23の溝部20を嵌入させ、縦長に配置された前記2枚の間仕切り板2間にカーテンフレーム23を懸架し、カーテン25を吊下させている。
さらに、前記窓部を構成する前記横長に配置された間仕切り板2の上方に位置する端辺(長辺)には、該端辺と略同寸とされた間仕切り板補強フレーム5bの溝部20を嵌入させ、該窓部を補強している。
このように、必要に応じて間仕切り板2を横長に配置することにより、窓に相当する部分を形成することができるばかりでなく、小空間内のさらなる間仕切りも可能となり、小空間のレイアウトにさらなるアレンジを加えることが可能となる。
また、図15は図12中矢印Cに示す小空間の区画状態を示す斜視説明図である。この図15に示すように、本実施形態の間仕切りユニット1は、複数の小空間を形成する大空間の床や壁等に何等の工作を必要としないので、任意の場所に自在に間仕切りを設置し、小空間を形成することができる。なお、床や壁等に何等の工作を必要としないという点に関しては、前記第1、第2実施形態においても同様である。
また、本実施形態のように、災害時などの緊急時に、体育館等の大広間を間仕切りユニット1で複数の小空間に区分する場合、雑然と、無秩序に避難者を収容するより、一人当たりの占有面積を制限することできるので収容効率を上げることができ、避難所の管理統制も容易になる。
また、本実施形態のように、3×6判のサイズを基準として小空間を形成すれば、3×6判サイズは1畳大であるので、該小空間内に畳を正数枚敷き詰めることができ、避難者の居住性を向上させることができるとともに、設置占有面積の計算、設計も容易となる。
図16および図17は、本発明の間仕切りユニット1の第4実施形態として、簡易な更衣室を区画形成する場合を示す斜視図である。
本実施形態に示す更衣室用の間仕切りの場合、間仕切りユニット1は、プラスチック板としての内部に複数の中空部を有する中空プラスチック板からなる3枚の間仕切り板2、平面ファスナからなる8本の連結ベルト3、6本のL字型の連結部補強フレーム5a、1本のI字型の開口部補強フレーム5c’、および1組のカーテン吊下ユニット22からなる。
本実施形態において、前記間仕切り板2は、厚さ寸法5mmとされた、外形状の横縦寸法を約90cm×180cmの矩形とする3×6判の中空プラスチック板本体29を有している。
プラスチック板の一態様として例示した中空プラスチック板における中空プラスチック板本体29とは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックを一体中空構造とした板状パネルの意であり、中空の態様としては、例えば、図18(a)に示すように、2枚の平行なプラスチック板41、41間に同一方向に平行に延在する複数本の桟41を一体に形成したプラスチック段ボール板としてもよいし、あるいは、図18(b)に示すような多数の気泡43が内蔵された発泡性多孔状の発泡プラスチック板などを例示することができる。要は、板材の軽量化を目的として、中空構造を備えたプラスチック板を意味する。なお、必要に応じては1枚のムクのプラスチック板としてもよい。
このように、間仕切り板2の素材として中空プラスチック板を用いることで、部材の軽量化を図ることができ、紙製の間仕切り板2を使用する場合に比べて水分や温度に耐用を示すため反復利用が可能となり、長期的な使用を考えれば低コストとなる。また、屋外での使用にも適したものとなる。さらに、中空構造を有する板材は、この中空構造部によって遮音(消音)効果を得ることができるので、住居や事務室などを区画する場合には防音効果を期待することができる。
また、この3×6判サイズは一般的に流通している板ものの建材サイズであるため、建築物の間仕切りとしても区画が簡単となるし、無駄な空間を残さずに区画することが可能となる。
また、中空プラスチック板本体29は、プラスチック材料により大判に形成されたシート状部材から所望の大きさの板材を切断して形成されるため、その切断部は鋭利な切り口が露呈した状態とされる。そのため、本実施形態においては、前記中空プラスチック板本体29の各外周辺にはコ字型の、溝部20が形成された合成樹脂製の保護フレーム30の前記溝部20が嵌入されており、プラスチック板として一体に形成されている。このように、中空プラスチック板本体29の各外周辺を保護フレーム30で被覆する構成とすることで、利用者を中空プラスチック板本体29の切断部が露呈した状態の外周辺から保護するとともに、中空プラスチック板本体29の反りを防止し、強度を補うことができる。例えば、本実施形態の場合、中空プラスチック板本体29は厚さ寸法を5mmのものを利用しているので、前記保護フレーム30としては、前記中空プラスチック板本体29の厚さ方向となる前記溝部20の幅寸法を5mm、同方向における外形の幅寸法を10mmとする。このような寸法とすることで、前記連結部補強フレーム5aとして、前述の第1実施形態等で用いたL字型の連結部補強フレーム5aを利用することができる。
さらに、本実施形態においては、前記中空プラスチック板本体29として、白色、黄色、青色などの所望色に着色され、半透明状態とされた板材を用いる。一般的に、白色半透明の中空プラスチック板本体29は、他の色に着色された半透明の中空プラスチック板本体29よりも透光性の点で優れている。よって、所望の着色がされた半透明の中空プラスチック板本体29を有するプラスチック板を間仕切り板2に採用することで、該半透明の中空プラスチック板本体29を有するプラスチック板の配設面を採光面とすることができる。なお、半透明の中空プラスチック板本体29を有するプラスチック板は、更衣室を構成する3枚の間仕切り板2の内、1枚以上に利用されていればよい。また、更衣室として利用する場合、男性用の更衣室と、女性用の更衣室を色で判別させるために、例えば、男性用として、青色に着色され、半透明とされた中空プラスチック板本体29を有するプラスチック板を使用して更衣室を形成し、女性用として、赤色に着色され、半透明とされた中空プラスチック板本体29を有するプラスチック板を使用するなどの工夫を施すことができる。
さらに、本実施形態においては、複数枚の間仕切り板2を結束する際に、平面ファスナからなる連結ベルト3を貫通させる連結小孔6が、前記各間仕切り板2を縦長に配置した場合の側辺(長辺)には4個、端辺(短辺)には2個、それぞれ所定の間隔を以て形成されている。前記連結小孔6は、該間仕切り板2に上下や表裏が形成されないように、上下、左右に対象に位置が調整されて形成されている。なお、前記連結ベルト3としての平面ファスナおよび8個のL字型の連結部補強フレーム5aは、前記第1実施形態と同様の構成とする。
そして、前記カーテン吊下ユニット22は、図19の(a)乃至(c)に示すように、解放側端部に間仕切り板2を嵌入させるコ字状の、溝部20が形成された合成樹脂製の一組のL字状の嵌合用フレーム31を合成樹脂製の直線状フレーム32の両端部に一体に形成し、全体平面形状をコ字型とされたカーテンフレーム23と、前記直線状フレーム32の中間部に展張可能に配設されるカーテン25とを有している。前記カーテン25は、前記第2実施形態と同様の構成としてその説明は省略する。
そして、本実施形態の間仕切りユニット1は、3枚の間仕切り板2を縦長に用い、平面形状90cm四方の四角形(半畳大)をコ字状に囲うように配置し、連結させる間仕切り板2同士を前記連結ベルト3を用いて連結させる。すなわち、前記側辺を互いに突き合わせるようにして配置された2枚の間仕切り板2の対応する連結小孔6に連結ベルト3としての平面ファスナを通し、該2枚の間仕切り板2が90°のコーナ部を形成するように、順次、連結させる(連結角度90°のL字連結)。
本実施形態における各々の間仕切り板2においても自立機構は配設されていないが、複数枚の間仕切り板2を組み合わせ、1以上のコーナ部を形成することで、交差する方向に位置する間仕切り板2同士がお互いを支承し合うことで間仕切り板2として起立し、作用するものとなる。
続いて、90°のコーナ部を構成する前記間仕切り板2の上辺および下辺には前記L字型の連結部補強フレーム5aの前記溝部20を嵌入させる。また、本実施形態においては、該小空間の出入り口を構成する2枚の間仕切り板2の解放側下辺にも、前記L字型の連結部補強フレーム5aの溝部20を嵌入させ、両連結部補強フレーム5a間に、前記1本のI字型の開口部補強フレーム5c’を配設する。このように、間仕切り板2の上辺あるいは下辺におけるコーナ部などの要部に補強フレーム5のコ字状の溝部20を嵌め込むことで、組立強度を補強することができる。なお、前記出入り口の下方に配設された開口部補強フレーム5c’には、開口部通過時に足を引っかけないようにマットなどをかぶせてもよい。また、前記カーテンフレーム23と同じ構成のものを利用してもよい。さらに、間仕切りユニットを更衣室として使用する本実施形態の場合、小空間内の床部には、半畳大のカーペット等を敷設してもよい。
さらに、本実施形態においては、カーテン本体25aの上部に形成された袋部25bに前記直線状フレーム32を貫挿させて、カーテン本体25aの上端部に前記直線状フレーム32の中間部を位置させる。そして、その状態で、該小空間の出入り口を構成する2枚の間仕切り板2の解放側上辺にもそれぞれ前記嵌合用フレーム31の前記溝部20を嵌入させ、前記2枚の間仕切り板2間に直線状フレーム32を懸架し、前記カーテン本体25aを吊下させる。
すなわち、前記カーテン吊下ユニット22は、図19(c)に示すように、前記袋部25bに対し直線状フレーム32が遊嵌された状態であるので、前記カーテン本体25aを直線状フレーム32に沿って移動させることにより、カーテン25の展張状態を調整することができる。
このような構成を有する本実施形態の間仕切りユニット1は、前述の各実施形態の間仕切りユニットと同様に、専門技術を要せずに、間仕切り板2を簡便な方法で連接することができる。つまり、連接させる複数の仕切り板2の連結小孔6に連結ベルト3を通して複数枚の間仕切り板2を結束し、連結させればよく、連結作業は極めて簡単である。
また、5〜10mm厚の3×6判の中空プラスチック板本体29の重量は、前述の10mm厚の紙製強化段ボール板よりも軽量であるので、女性や子供でも取り扱いがさほど困難でなく、万が一、間仕切り板2が転倒したとしても、怪我をする危険はきわめて少なく、安全である。
また、間仕切り板2として、工業用に市販されている中空プラスチック板本体29を使えば、材料コストが安価になるし、大量生産も容易である。さらに、紙製の間仕切り板を使用する場合に比べて水分や温度に耐用を示すので屋外での利用に最適であり、反復利用が可能となるので、長期的な使用を考えれば低コストとなりうる。また、本実施形態の間仕切り板2は、コ字状の溝部20が形成された保護フレーム30の前記溝部20を中空プラスチック板本体29の外周辺に嵌入させて一体に形成されているので、利用者を中空プラスチック板本体29の切断部が露呈した状態の外周辺から保護するとともに、中空プラスチック板本体29の反りを防止し、強度を補うことができる。
さらに、本実施形態においては、前記中空プラスチック板本体29として、白色、黄色、青色などの所望色に着色され、半透明状態とされた板材を用いているので、該半透明の中空プラスチック板本体29を有する間仕切り板2の配設面を採光面として利用することができ、明るく、清潔かつ圧迫感のない環境を提供することができる。また、中空プラスチック板本体29のカラーを選択することで、様々なデザイン効果を得、利用態様のバリエーションを広げることができる。
そして、本実施形態の間仕切りユニット1は、部品点数が少なく、かつ立体的構造の部品が殆どないので、平面状態で梱包できる。よって梱包のための無駄な空間をほとんど必要とせず、コンパクトに収納でき、保管、運搬効率も良いといった優れた効果をも有する。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、間仕切り板の連結角度や1つの連結ベルトで連結する枚数に制限はなく、全く自由である。つまり、間仕切り板2は2枚連結で連結角度180°のI字連結、2枚連結で連結角度90°のL字連結、3枚連結で連結角度90°のT字、4枚連結で連結角度90°の十字連結ができるが、その他にも五枚以上任意の板を放射状に連結させてもよい。また、その連結角度に合わせて、前記補強フレーム5の形状も、既に実施形態中で説明したI字型、L字型の他、T字型、十字型、放射型などを各種用意することができる。また、小空間のサイズは、簡易トイレや更衣室用などの半畳大から、4畳半大、6畳大、8畳大などと自由であるし、その小空間の平面形状も矩形に限らず、3角形、5角形、6角形などの多角形、星型などの多様な形状に仕切ることができる。
また、複数の間仕切り板を九十九折り状に連結させて自立させ、任意の長さの屏風状衝立を間仕切りとして用いることもできる。
さらに、使用目的に応じて、間仕切り板として、ベニヤ板、ムクの合成樹脂板などを用いることにより、各種イベントや展示会、あるいは選挙事務所のような仮設的な事務所の間仕切りなどの用途に耐え得るユニットとすることができる。
また、間仕切り板は矩形であればよく、その大きさは本実施形態で用いた3×6判にかぎらない。例えば、窓部用などの用途に応じて、半畳サイズの間仕切り板を用意してもいい。
さらに、前記実施形態においては、I字型の補強フレームとして、予め所望の長さ(短尺、長尺)に切断されたものを用意したが、間仕切りユニットとして販売する際には、切断可能な材料からなる長尺な補強フレームを部品として複数本組み入れてユニットとし、組立ての際に作業者は必要長に切断し、適宜、直線状の補強フレームとして使用するようにしてもよい。また、前記補強フレームを構成する材料についても合成樹脂材に限らず、例えば、木製であってもよい。
なお、段ボール板の板紙の材質が1m四方の面積で400g以下の一般の段ボール板を積層することによって強化段ボール板と同じ効果を得ることができる。
またさらに、前記カーテンフレームにおける1組の嵌合用フレームは、第4実施形態のようにL字状に形成されてる場合に限らない。例えば、直線状フレームの一端側にはL字状に形成された嵌合用フレームが配設され、他端側にはI字状に形成された嵌合用フレームが配設されてもよい。この場合、前記L字状の嵌合用フレームとI字状の嵌合用フレームが前記1組の嵌合用フレームということになる。
さらに、ロック機構の配設数についても第1実施形態のように2箇所に限定されない。