JP6306139B1 - エレベータの非常止め装置および制動子 - Google Patents
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Abstract
【課題】楔を軽量化することができるエレベータの非常止め装置を得ることにある。【解決手段】エレベータの非常止め装置は、昇降体に設けられ、ガイドレールを間に挟んで向かい合うとともに、昇降体の下降速度が定格速度を超過した時にガイドレールに向けて進出するように引き上げられる一対の楔と、楔に取り付けられたブレーキシューと、ブレーキシューとは反対側から楔に回転自在に接触する複数の転送ローラと、を備えている。各楔は、ブレーキシューが取り付けられた鉄製の楔本体と、楔本体に取り付けられ、転送ローラから押圧力を受ける受圧面を有するローラ受け部と、を備え、ローラ受け部が楔本体よりも軽量な材料で形成されている。【選択図】図6
Description
本発明の実施形態は、エレベータの非常止め装置および非常止め装置に用いる制動子に関する。
エレベータは、例えば乗りかごが定格速度を超過した速度で下降した場合に、乗りかごを強制的に制止させる非常止め装置を備えている。非常止め装置は、ガイドレールを挟むように配置された一対の楔を有し、当該楔のガイドレールと向かい合う面に夫々ブレーキシューが取り付けられている。
乗りかごの下降速度が定格速度を超過すると、ガバナ装置が作動し、当該ガバナ装置に連動するセフティリンク機構を介して非常止め装置の楔がガイドレールに沿って引き上げられる。これにより、楔がガイドレールに向けて進出するとともに、ブレーキシューがガイドレールに押し付けられる。この結果、ブレーキシューとガイドレールとの間に摩擦に基づく制動力が発生し、乗りかごが緊急停止する。
従来の非常止め装置によると、停止させる乗りかごの質量が大きくなる程、楔を大型化したり、あるいは楔の強度を高めることが必要不可欠となる。
しかしながら、楔の大型化および高強度化は、楔の質量の増大を招き、ブレーキシューをガイドレールに押し付けるための楔の引き上げ力をより大きくしなくてはならない。引き上げ力を大きくするには、セフティリンク機構の構造を工夫したり、ガバナロープを掴むガバナ装置の掴み力を増加させる必要があるが、いずれもコスト高を招く一つの要因となる。
本発明の目的は、楔の強度を確保しつつ楔を軽量化することができ、ブレーキシューをガイドレールに押し付ける際に必要とする楔の引き上げ力を低減できるエレベータの非常止め装置を得ることにある。
実施形態によれば、エレベータの非常止め装置は、ガイドレールに沿って昇降動される昇降体に設けられ、上部端板を有する装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記ガイドレールを間に挟んで向かい合うとともに、前記昇降体の下降速度が定格速度を超過した時に前記ガイドレールに近づくように前記上部端板に向けて引き上げられる一対の楔と、前記楔に取り付けられ、前記ガイドレールに押し付けられるブレーキシューと、前記ブレーキシューとは反対側から前記楔に回転自在に接触し、前記楔を前記ガイドレールに近づいたり遠ざかる方向に案内する複数の転送ローラと、を備えている。
前記各楔は、前記ブレーキシューが取り付けられた鉄製の楔本体と、前記楔本体に取り付けられ、前記転送ローラから押圧力を受ける受圧面を有するローラ受け部と、を備えている。前記楔本体は、前記ブレーキシューが前記ガイドレールに押し付けられた時に前記上部端板の下面に突き当たることで圧縮力を受ける上面を有し、前記ローラ受け部は、前記楔本体よりも軽量な材料で形成されるとともに、当該ローラ受け部の上端が前記楔本体の前記上面よりも下方に位置されている。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、トラクション方式のエレベータ1を概略的に示している。図1に示すように、エレベータ1は、建屋2に設けられた昇降路3を有している。乗りかご4および釣合錘5が昇降路3に配置されている。乗りかご4および釣合錘5は、夫々昇降体の一例である。乗りかご4は、昇降路3に固定した一対の第1のガイドレール6を介して昇降路3に昇降動可能に支持されている。釣合錘5は、昇降路3に固定した一対の第2のガイドレール7(一方のみを図示)を介して昇降路3に昇降動可能に支持されている。
第1のガイドレール6および第2のガイドレール7は、夫々昇降路3の高さ方向に沿って一直線状に延びているとともに、昇降路3内で互いに間隔を存して平行に配置されている。さらに、第1のガイドレール6および第2のガイドレール7は、夫々脚部8および刃部9を備えている。刃部9は、脚部8と直交するように脚部8の表面の中央部から突出されている。
図1に示すように、乗りかご4は、かご枠11およびかご本体12を備えている。かご枠11は、下梁13、上梁14および左右の縦桟15a,15bを有している。下梁13は、かご本体12の下を通して縦桟15a,15bの下端部の間に跨っている。上梁14は、かご本体12の上を通して縦桟15a,15bの上端部の間に跨っている。縦桟15a,15bは、夫々第1のガイドレール6の直前に位置するとともに、第1のガイドレール6に沿って起立している
かご本体12は、四角い箱形の要素であって、かご枠11に支持されている。かご本体12は、かご枠11の下梁13、上梁14および縦桟15a,15bによって囲まれている。
かご本体12は、四角い箱形の要素であって、かご枠11に支持されている。かご本体12は、かご枠11の下梁13、上梁14および縦桟15a,15bによって囲まれている。
下部案内装置17a,17bが下梁13の左端部および右端部に取り付けられている。同様に、上部案内装置18a,18bが上梁14の左端部および右端部に取り付けられている。下部案内装置17a,17bおよび上部案内装置18a,18bは、夫々複数のローラを有する。ローラは、第1のガイドレール6の刃部9に対し三方から転がり接触することで、乗りかご4を第1のガイドレール6に沿って昇降動可能に案内する。
巻上機20が昇降路3の上端の機械室22に設置されている。巻上機20は、メインロープ23を介して乗りかご4および釣合錘5を昇降路3に吊り下げている。メインロープ23を巻き上げたり、巻き戻す方向に巻上機20を運転することで、乗りかご4および釣合錘5が昇降路3に沿ってつるべ式に駆動される。
図1に示すように、エレベータ1は、乗りかご4および釣合錘5のような昇降体が予め規定された定格速度を超過した速度で下降した時に、昇降体を強制的に制止させる安全装置25を装備している。安全装置25は、ガバナ装置26および一対の非常止め装置27a,27bを備えている。安全装置25は、乗りかご4および釣合錘5のいずれにも適用可能であるが、本実施形態では、乗りかご4に適用された安全装置25について説明する。
ガバナ装置26は、一対のフライウエイトを有するガバナシーブ30、ラチェットホイール31、ロープ掴み32、テンショナシーブ33、ガバナロープ34およびガバナスイッチ35を主要な要素として備えている。
ガバナシーブ30、ラチェットホイール31、ロープ掴み32およびガバナスイッチ35は、巻上機20と共に機械室22に収容されている。テンショナシーブ33は、昇降路3の底に設置されている。ガバナロープ34は、ガバナシーブ30とテンショナシーブ33との間に無端状に巻き掛けられている。そのため、ガバナロープ34は、乗りかご4が昇降動する範囲の全域に亘るように昇降路3に沿って鉛直方向に延びている。
ガバナロープ34は、ガバナシーブ30とテンショナシーブ33との間の中間部がセフティリンク機構36に連結されている。セフティリンク機構36は、起立された一対のリフトレバー37a,37bを含む。リフトレバー37a,37bは、乗りかご4に設けられた一対の非常止め装置27a,27bに個々に連結されている。
これにより、ガバナロープ34は、乗りかご4が昇降動する方向に乗りかご4と同じ速度で走行するようになっている。
ロープ掴み32は、固定シュー38および可動シュー39を有している。固定シュー38は、機械室22内でガバナシーブ30から下向きに繰り出されたガバナロープ34と向かい合っている。可動シュー39は、固定シュー38に対しガバナロープ34を間に挟んだ反対側に位置されている。さらに、可動シュー39は、固定シュー38の上側に退避した第1の位置と、固定シュー38と協働してガバナロープ34を挟み込む第2の位置との間で回動可能となっている。
第1の位置では、可動シュー39がガバナロープ34から離れているとともに、ラチェットホイール31に引っ掛かっている。そのため、可動シュー39は、乗りかご4の下降速度が定格速度を超過しない限り第1の位置に保持されている。
さらに、ガバナスイッチ35は、乗りかご4の下降速度が定格速度を超過した状態において、巻上機20の電源を遮断するとともに、巻上機20が有する電磁ブレーキを作動させる。
図1に示すように、非常止め装置27a,27bは、第1のガイドレール6の直前に位置するようにかご枠11の下梁13に取り付けられている。非常止め装置27a,27bは、互いに共通の構成を有するため、一方の非常止め装置27aを代表して説明する。
図2ないし図4に示すように、非常止め装置27aは、装置本体41、一対の楔受け42a,42b、板ばね43および一対の制動子44a,44bを主要な要素として備えている。
装置本体41は、上部端板46、下部端板47および柱48を備えている。上部端板46は、フラットな四角い板であり、かご枠11の下梁13の下面に固定されている。下部端板47は、上部端板46と略同じ大きさを有するフラットな四角い板であり、上部端板46の下方に位置されている。柱48は、上部端板46と下部端板47との間を一体的に結合するように上部端板46と下部端板47との間に介在されている。そのため、上部端板46および下部端板47は、昇降路3の高さ方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。
図2および図3に示すように、上部端板46の前端中央部には、第1のガイドレール6の刃部9が入り込むスリット50が形成されている。同様に、下部端板47の前端中央部には、第1のガイドレール6の刃部9を避ける凹部51が形成されている。
一対の楔受け42a,42bは、上部端板46の前端両側部と下部端板47の前端両側部との間に配置されている。楔受け42a,42bは、第1のガイドレール6の刃部9を間に挟んで向かい合うように並んでいるとともに、夫々刃部9に近づいたり遠ざかる方向に移動可能に装置本体41に支持されている。
楔受け42a,42bは、夫々ガイド面52およびばね受け部53を有している。ガイド面52は、第1のガイドレール6の刃部9の側面と向かい合うように第1のガイドレール6に沿って起立されている。さらに、ガイド面52は、楔受け42a,42bの下端から上端の方向に進むに従い刃部9の側面に近づくように傾斜されている。
ばね受け部53は、ガイド面52の反対側に位置するように楔受け42a,42bの外側部に形成されている。ばね受け部53は、楔受け42a,42bの高さ方向に延びた凹みで規定されている。
さらに、楔受け42a,42bの前面および背面には、夫々ガイド溝54が形成されている。ガイド溝54は、ガイド面52と隣り合うとともに、ガイド面52に沿って傾斜するように一直線状に延びている。
図4に示すように、板ばね43は、略U形に湾曲されているとともに、互いに間隔を存して向かい合う第1の端部43aおよび第2の端部43bを有している。本実施形態によると、第1の端部43aおよび第2の端部43bを互いに近づく方向に付勢する初期圧が板ばね43に付与されている。
板ばね43の第1の端部43aは、一方の楔受け42aのばね受け部53に嵌合されている。板ばね43の第2の端部43bは、他方の楔受け42bのばね受け部53に嵌合されている。さらに、第1の端部43aおよび第2の端部43bに、夫々一対の押圧具55a,55bが取り付けられている。押圧具55a,55bは、夫々球面状に湾曲された頭部56を有している。頭部56は、板ばね43の初期圧によりばね受け部53に設けた半球状の凹部57に嵌合されている。
図2および図3に示すように、制動子44a,44bは、楔受け42a,42bの間で第1のガイドレール6の刃部9を間に挟んで向かい合うように配置されている。制動子44a,44bは、互いに共通の構成を有するため、一方の制動子44aを代表して説明する。
図5および図6に示すように、制動子44aは、楔60、ブレーキシュー61および転送板62を主要な要素として備えている。楔60は、制動子44aの主要部を構成する要素であって、シュー取り付け面63、受圧面64および上面65を有する。
シュー取り付け面63は、第1のガイドレール6の刃部9の側面と向かい合うように第1のガイドレール6に沿って一直線状に延びている。受圧面64は、シュー取り付け面63の反対側に位置するとともに、楔受け42aのガイド溝54と同じ角度で傾斜されている。上面65は、楔60の上端に位置された水平な面であり、装置本体41を構成する上部端板46の下面と向かい合っている。
ブレーキシュー61は、楔60のシュー取り付け面63に沿って延びる細長い板状の要素であって、例えばセラミックスを主成分とする摩擦材あるいは鋳鉄等で形成されている。ブレーキシュー61は、第1のガイドレール6の刃部9の側面と向かい合うように、楔60のシュー取り付け面63の上に二本の皿ねじ66で固定されている。
転送板62は、補強層の一例であって、例えばクロム鋼のような耐摩耗性に優れた合金鋼で形成されている。転送板62は、楔60の受圧面64を補強する要素であって、受圧面64に沿って延びる細長い形状を有している。転送板62は、受圧面64の上に二本の皿ねじ67を介して固定されている。そのため、転送板62は、楔受け42aのガイド溝54と平行となるように、ガイド溝54と同じ角度で傾斜されている。
さらに、楔60の前面および背面に夫々ガイド溝68が形成されている。ガイド溝68は、転送板62と隣り合うとともに、転送板62に沿って傾斜するように一直線状に延びている。
図2および図3に示すように、制動子44a,44bの楔60と楔受け42a,42bとの間に夫々ローラユニット70が介在されている。ローラユニット70は、一対のローラ支持板71a,71bと複数の転送ローラ72と、を備えている。
ローラ支持板71a,71bは、第1のガイドレール6に沿って延びる細長い板状の要素である。一方のローラ支持板71aの両側縁は、楔受け42a,42bの前面のガイド溝54および楔60の前面のガイド溝68に摺動可能に嵌合されている。他方のローラ支持板71bの両側縁は、楔受け42a,42bの背面のガイド溝54および楔60の背面のガイド溝68に摺動可能に嵌合されている。
そのため、ローラ支持板71a,71bは、楔受け42a,42bと楔60との間に跨るとともに、楔受け42a,42bおよび楔60の厚さ方向に互いに間隔を存して向かい合っている。
転送ローラ72は、ローラ支持板71a,71bの間に回転自在に支持されている。転送ローラ72は、ローラ支持板71a,71bの長手方向に一列に並んでいる。さらに、転送ローラ72は、楔受け42a,42bのガイド面52と楔60の転送板62との間で回転自在に挟持されている。
言い換えると、転送ローラ72は、ガイド面52および転送板62に接している。これにより、転送板62で覆われた楔60の受圧面64は、転送ローラ72から伝わる板ばね43の付勢力を受けている。
図6に示すように、制動子44aの主要部を構成する楔60は、楔本体75とローラ受け部76とに分割されている。楔本体75は、例えばダクタイル鋳鉄(FCD)のような強靭な金属材料で形成されている。楔本体75は、ブレーキシュー61が取り付けられたシュー取り付け面63、シュー取り付け面63の反対側に位置された第1の合面77および上面65を有する。
第1の合面77は、シュー取り付け面63と平行なフラットな面である。第1の合面77の上端は、上面65に達することなく上面65よりも下方に位置されている。そのため、上面65の全ての領域は、強靭な金属材料で形成されている。
ローラ受け部76は、例えば楔本体75よりも軽量な材料で形成されている。軽量な材料の一例は、アルミニウム、ジュラルミン、マグネシウム、チタンおよびカーボンである。ローラ受け部76は、転送板62で覆われた受圧面64および受圧面64の反対側に位置された第2の合面78を有する。
第2の合面78は、楔本体75の第1の合面77に突き合わされている。本実施形態では、転送板62を楔60に固定する二本の皿ねじ67がローラ受け部76を貫通して楔本体75にねじ込まれている。このねじ込みにより、楔本体75、ローラ受け部76および転送板62が一体構造物として組み立てられている。ローラ受け部76の上端は、上面65に達することなく上面65よりも下方に位置されている。
したがって、軽量な材料で形成されたローラ受け部76は、強靭な楔本体75と耐摩耗性に優れた転送板62との間に介在されている。ローラ受け部76の受圧面64を覆う転送板62は、ローラ受け部76よりも強度が大きい。
さらに、本実施形態の場合、制動子44a,44bを構成する楔本体75の下端部にリフトレバー37a,37bに連動する図示しない連携ロッドが連結されている。
次に、安全装置25の動作について説明する。
乗りかご4が昇降路3に沿って昇降動すると、ガバナロープ34を介してガバナシーブ30が回転し、当該ガバナシーブ30に支持されたフライウエイトが遠心力により変位する。
乗りかご4の下降速度が定格速度を超過すると、変位したフライウエイトによってガバナスイッチ35が操作される。これにより、巻上機20の電源が遮断されるとともに、巻上機20の電磁ブレーキが作動される。
ガバナスイッチ35が操作されたにも拘らず、乗りかご4が停止せずにフライウエイトに作用する遠心力が増大すると、フライウエイトがラチェットホイール31に引っ掛かる。これにより、ラチェットホイール31がガバナシーブ30に追従して回転し、ラチェットホイール31からロープ掴み32の可動シュー39が外れる。そのため、可動シーブ39が第1の位置から第2の位置に向けて回動し、固定シュー38と協働してガバナロープ34を掴む。
この結果、ガバナロープ34の走行が停止する。ガバナロープ34の走行が停止した状態でも乗りかご4は下降を続けるので、セフティリンク機構36のリフトレバー37a,37bが乗りかご4に対し引き上げられる。
リフトレバー37a,37bの動きは、連携ロッドを介して制動子44a,44bの楔60に伝わり、楔60が第1のガイドレール6に沿って強制的に引き上げられる。楔60に固定された転送板62および楔受け42a,42bのガイド面52は、上方に進むに従い第1のガイドレール6の刃部9に近づくように傾いている。
このため、楔60は、転送板62とガイド面52との間に介在されたローラユニット70の転送ローラ72にガイドされながら、第1のガイドレール6の刃部9に近づくように移動する。
この移動により、楔60に固定されたブレーキシュー61が第1のガイドレール6の刃部9に押し付けられる。ブレーキシュー61が刃部9に押し付けられると、ブレーキシュー61と刃部9との間に生じる摩擦力により楔60が上部端板46に向けて押し上げられる。
この移動により、楔60に固定されたブレーキシュー61が第1のガイドレール6の刃部9に押し付けられる。ブレーキシュー61が刃部9に押し付けられると、ブレーキシュー61と刃部9との間に生じる摩擦力により楔60が上部端板46に向けて押し上げられる。
この際、楔受け42a,42bのガイド面52は、上部端板46の方向に進むに従い第1のガイドレール6に近づくように傾いている。このため、押し上げられた楔60およびローラユニット70が第1のガイドレール6と楔受け42a,42bとの間に食い込み、楔受け42a,42bが板ばね43の付勢力に抗して互いに遠ざかる方向に押し広げられる。
これにより、制動子44a,44bの楔60は、板ばね43の反力を受けることで第1のガイドレール6に向けて弾性的に付勢され、第1のガイドレール6の刃部9が制動子44a,44bのブレーキシュー61の間で強固に挟み込まれる。したがって、ブレーキシュー61と刃部9との間に摩擦に基づく制動力が発生し、乗りかご4が緊急停止する。
さらに、第1のガイドレール6の刃部9がブレーキシュー61の間で挟持された時点では、図7に示すように、楔本体75の上面65が上部端板46の下面に突き当たり、楔60の移動が制止される。そのため、楔本体75の上面65は、上部端板46との接触に伴い圧縮力を受ける。
実施形態によると、制動子44a,44bの主要部を構成する楔60は、ブレーキシュー61が固定された楔本体75と、転送板62が固定されたローラ受け部76とに分割されている。このような構成の制動子44a,44bにおいて、
楔60の上面65の面積をA1、
転送ローラ72と向かい合う楔60の側面の面積をA2、
楔60の上面65が上部端板46に突き当たった時に上面65に加わる圧縮力(制動力)をμp、
第1のガイドレール6とブレーキシュー61との間の摩擦係数をμ、
楔60の側面が受ける板ばね43の付勢力をPとし、
さらに、例えばA2=5A1、μ=0.3、衝撃係数α=2と仮定した制動子では、楔60の側面に加わる力F2=Pとなり、楔60の上面65に加わる力F1は、α×μp=0.6Pとなる。これにより、楔60の側面に生じる応力(F2/A2)は、楔60の上面65に生じる応力(F1/A1)の1/3倍となる。
楔60の上面65の面積をA1、
転送ローラ72と向かい合う楔60の側面の面積をA2、
楔60の上面65が上部端板46に突き当たった時に上面65に加わる圧縮力(制動力)をμp、
第1のガイドレール6とブレーキシュー61との間の摩擦係数をμ、
楔60の側面が受ける板ばね43の付勢力をPとし、
さらに、例えばA2=5A1、μ=0.3、衝撃係数α=2と仮定した制動子では、楔60の側面に加わる力F2=Pとなり、楔60の上面65に加わる力F1は、α×μp=0.6Pとなる。これにより、楔60の側面に生じる応力(F2/A2)は、楔60の上面65に生じる応力(F1/A1)の1/3倍となる。
したがって、楔60の側面が必要とする強度は、単純に楔60の上面65が必要とする強度の1/3で足りることとなる。すなわち、楔60の受圧面64は、圧縮力を受けることなく単に転送ローラ72を介して伝わる板ばね43の付勢力を受けるに止まるので、当該受圧面64は、板ばね43の付勢力に打ち勝てるだけの強度を有していればよいことになる。さらに、本実施形態のように受圧面64を耐摩耗性に優れた転送板62で覆うようにすれば、受圧面64の荷重負担をより軽減することができる。
この結果、受圧面64を有するローラ受け部76を例えばアルミニウムのような軽量な材料で形成することができる。
さらに、圧縮力を受ける上面65およびブレーキシュー61を支えるシュー取り付け面63を有する楔本体75は、ダクタイル鋳鉄(FCD)のような強靭な金属材料で形成されている。楔本体75は、ローラ受け部76および転送板62に対し皿ねじ67で一体的に結合されている。
このため、楔60の強度を十分に確保しつつ、楔60そのものを軽量化することができる。よって、ブレーキシュー61をガイドレール6の刃部9に押し付ける際に必要とする楔60の引き上げ力を低減することができる。
しかも、楔60の軽量化に伴って、楔60を引き上げる際にガバナロープ34に作用する引っ張り力を小さく抑えることができる。この結果、ガバナロープ34の走行を停止させるロープ掴み力を小さく抑えることができ、その分、ロープ掴み力が小さい小型なロープ掴み32をガバナ装置26に適用できる。これにより、ガバナ装置26のコストの低減にも寄与するといった利点がある。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、非常止め装置は、乗りかご用に特定されるものではなく、釣合錘にも同様に実施することができる。
4,5…昇降体(乗りかご、釣合錘)、6,7…ガイドレール(第1のガイドレール、第2のガイドレール)、41…装置本体、44a,44b…制動子、46…上部端板、60…楔、61…ブレーキシュー、64…受圧面、65…上面、72…転送ローラ、75…楔本体、76…ローラ受け部。
Claims (5)
- ガイドレールに沿って昇降動される昇降体に設けられ、上部端板を有する装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記ガイドレールを間に挟んで向かい合うとともに、前記昇降体の下降速度が定格速度を超過した時に前記ガイドレールに近づくように前記上部端板に向けて引き上げられる一対の楔と、
前記楔に取り付けられ、前記ガイドレールに押し付けられるブレーキシューと、
前記ブレーキシューとは反対側から前記楔に回転自在に接触し、前記楔を前記ガイドレールに近づいたり遠ざかる方向に案内する複数の転送ローラと、を具備し、
前記各楔は、
前記ブレーキシューが取り付けられた鉄製の楔本体と、
前記楔本体に取り付けられ、前記転送ローラから押圧力を受ける受圧面を有するローラ受け部と、を備え、
前記楔本体は、前記ブレーキシューが前記ガイドレールに押し付けられた時に前記上部端板の下面に突き当たることで圧縮力を受ける上面を有し、
前記ローラ受け部は、前記楔本体よりも軽量な材料で形成されるとともに、当該ローラ受け部の上端が前記楔本体の前記上面よりも下方に位置されたエレベータの非常止め装置。 - 前記ローラ受け部の前記受圧面を覆う補強層をさらに備え、当該補強層は、前記ローラ受け部よりも強度が大きい材料で形成されているとともに、前記補強層に前記転送ローラが接する請求項1に記載のエレベータの非常止め装置。
- 前記ローラ受け部が前記楔本体と前記補強層との間に介在された請求項2に記載のエレベータの非常止め装置。
- ガイドレールに沿って昇降動される昇降体の下降速度が定格速度を超過した時に前記ガイドレールに近づくように引き上げられるとともに、前記ガイドレールの反対側に複数の転送ローラから押圧力を受ける受圧面を有する楔と、
前記楔に取り付けられ、前記ガイドレールに押し付けられるブレーキシューと、を具備し、
前記楔は、
前記ブレーキシューが取り付けられた鉄製の楔本体と、
前記楔本体に取り付けられ、前記受圧面を有するローラ受け部と、を備え、
前記楔本体は、前記ブレーキシューが前記ガイドレールに押し付けられた時に、上方から圧縮力を受ける上面を有し、
前記ローラ受け部は、前記楔本体よりも軽量な材料で形成されるとともに、当該ローラ受け部の上端が前記楔本体の前記上面よりも下方に位置された制動子。 - 前記ローラ受け部の前記受圧面を覆う補強層をさらに備え、当該補強層は、前記ローラ受け部よりも強度が大きい材料で形成されているとともに、前記補強層に前記転送ローラが接する請求項4に記載の制動子。
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