JP6303610B2 - 誘電体バリア放電イオン化検出器及びその調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてガスクロマトグラフ(GC)用の検出器として好適である誘電体バリア放電イオン化検出器及びその調整方法に関する。
ガスクロマトグラフ用の検出器としては、熱伝導度検出器(TCD)、エレクトロンキャプチャ検出器(ECD)、水素炎イオン化検出器(FID)、炎光光度検出器(FPD)、フレームサーミオニック検出器(FTD)など、様々な方式の検出器が、従来から実用に供されている。こうした検出器の中で最も一般的に、特に有機物を検出するために使用されているのはFIDである。FIDは、水素炎により試料ガス中の試料成分をイオン化し、そのイオン電流を測定するものであり、6〜7桁程度の広いダイナミックレンジ(直線性の良好な検出感度が得られる試料濃度範囲)を達成している。しかしながら、FIDは、イオン化効率が低いため十分に低い最小検出量が得られない、アルコール類、芳香族、塩素系物質に対するイオン化効率が低い、危険性の高い水素を必要とするため防爆設備等の特別な設備を設置する必要があり、取扱いも面倒である、といった欠点を有する。
近年、ガスクロマトグラフ用の新しい検出器として、誘電体バリア放電プラズマによるイオン化を利用した誘電体バリア放電イオン化検出器(Dielectric Barrier Discharge Ionization Detector、以下「BID」と略す)が実用化されている(特許文献1、2、非特許文献1など参照)。
上記文献に記載されたBIDでは、誘電体である石英ガラス管に周設された放電用電極に低周波の交流高電圧を印加することで、該管路内に供給された所定のガスを電離して非平衡大気圧プラズマを形成する。そして、このプラズマから発する光や励起種などの作用により、その管路内に導入された試料ガス中の試料成分をイオン化し、生成されたこのイオンを収集電極により収集して、イオンの量つまりは試料成分の量に応じた検出信号を生成する。一般に、放電イオン化検出器における試料成分のイオン化のメカニズムは、プラズマから照射される高エネルギの真空紫外光による光イオン化と、プラズマによって生成されたメタステーブルHe原子によるペニングイオン化であると言われているが、非特許文献1に記載されているように、BIDにおいては、真空紫外光による光イオン化が試料成分のイオン化に主として寄与していることが実験的に確認されている。
特開2010−60354号公報 国際公開第2012/169419号公報
品田ほか4名、「誘電体バリア放電を応用したガスクロマトグラフ用新規イオン化検出器の開発」、島津評論、第69巻、第3・4号、2013年3月29日発行
上述したBIDでは、プラズマが安定的に生成され、しかもプラズマの温度が低いのでガス流路を形成する石英ガラス管等の部材が加熱されることもない。そのため、プラズマの時間的変動や管路の加熱等に起因する様々なノイズを抑制することができ、その結果、FIDに比べて高いSN比を実現することができる。また、BIDは、幅広い有機化合物や無機化合物を高い感度で検出することができ、FIDでは十分な感度が得られにくいアルデヒド、アルコール、ハロゲン類などについても高感度の定量が可能であるという特徴もある。
即ち、BIDはFIDに比べて低濃度の試料に対して高い検出感度を有している。しかしながら、BIDはFIDに比べて高濃度の試料に対する検出感度の低下が大きいため、非特許文献1にも開示されているように、検出のダイナミックレンジは5桁程度にすぎず、6〜7桁のダイナミックレンジが得られるFIDに及ばない。このようなダイナミックレンジの狭さのため、BIDでは、濃度差が大きな複数の試料成分を含む混合試料の定量分析や、面積百分率法(クロマトグラム上の全ピーク面積に対する各ピーク面積の比率に基づいて試料濃度を算出する定量方法)による定量などを行う場合に、大きな誤差を生じるおそれがある。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高濃度試料に対する検出感度の低下を抑えることにより、従来のBIDに比べて検出のダイナミックレンジを改善することができるBID及びその調整方法を提供することである。
上述したようにBIDでは、主としてプラズマから発した光による光イオン化の作用により試料成分から生成されたイオンが収集電極に達することで検出信号が得られる。こうしたBIDにおける試料成分検出のメカニズムから、本願発明者は、ガス流路中に試料ガスを導入する試料導入管の末端の吐出口と収集電極との位置関係に着目し、その位置関係と検出感度との関係を実験的に子細に調べた。その結果、例えば非特許文献1等に開示されている構造のBIDでは、低濃度試料の検出感度が最良になるように試料導入管の吐出口と収集電極との位置関係を定めると、高濃度試料に対する検出感度の低下の程度が大きいことが判明した。さらにまた、収集電極に対する試料導入管の吐出口の位置を、最良の感度を与える位置からガス下流側にずらすと、検出感度は低下するものの高濃度試料に対する検出感度の低下が抑えられることも判明した。
こうした現象は、試料濃度が高すぎると、試料導入管からガス流路中に吐き出された試料ガス自体の光吸収が大きくなって収集電極付近に達する光の強度低下が顕著になり、その収集電極付近でのイオンの生成効率が低下する、との推測で十分説明が可能である。本発明は上記のような実験的な、さらにはこれを補足するシミュレーション計算による知見に基づいてなされたものである。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明に係る誘電体バリア放電イオン化検出器(BID)は、
放電用電極と、
所定のガスが流通するガス流路中に誘電体バリア放電を生起させてプラズマを生成するべく前記放電用電極に交流電圧を印加する電圧印加部と、
前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、そのガスの流れ方向と反対方向に試料ガスを吐き出す試料ガス導入部と、
前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、前記プラズマから発せられた光によって前記試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極を含むイオン検出部と、
を具備する誘電体バリア放電イオン化検出器であって、
前記試料ガス導入部における前記ガス流路中への試料ガスの吐出口が、前記収集電極よりも前記所定ガスのガス下流側に配置されてなることを特徴としている。
ここで、所定のガスは特に限定されないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンのいずれか1つ、又はそれらの混合ガスなどである。
本発明に係るBIDでは、プラズマ生成領域から発せられた光が収集電極近傍にまで達し、その光の作用で試料ガス中の試料成分がイオン化され、そのイオンが収集電極に達して検出される。したがって、プラズマ生成領域から収集電極まで至るガス流路は直線的であり、所定のガスはプラズマ生成領域を経たあと収集電極近傍を通る。ただし、所定のガスがプラズマ生成領域を通過したあと、その一部が分岐されて該ガス流路の外部へと排出され、残りが収集電極近傍を通るような流路構成であってもよい。いずれにしても、試料ガス導入部の吐出口よりガス流路中に吐き出された試料ガスは、その吐出方向と逆行する所定ガスにより押し戻され、該所定ガスと合流して流れる。
ガス流路中で試料ガスはこのように流れるため、試料ガス導入部の吐出口から所定ガスのガス上流側に離れるに従い、試料濃度は急速に下がる。通常、高い検出感度を達成するために、収集電極の近傍で試料濃度ができるだけ高くなるように、試料ガス導入部の吐出口は収集電極よりも所定ガスのガス上流側に配置される。
これに対し、本発明に係るBIDでは、試料ガス導入部の吐出口は収集電極よりも所定ガスのガス下流側に配置される。このため、収集電極の近傍では試料ガスは所定のガスでかなり希釈されており、検出感度の点では、試料ガス導入部の吐出口を収集電極より所定ガスのガス上流側に配置した場合に比べて不利である。一方、試料ガスの試料濃度が高い場合であっても、収集電極の近傍では試料濃度が下がっているため、また、プラズマ生成領域と収集電極との間に高濃度の試料ガスも存在しないため、プラズマから発せられた光はあまり減衰せずに収集電極近傍に達する。それによって、高濃度試料に対する検出感度の低下が抑えられ、広い試料濃度範囲に亘って検出感度の直線性を確保することができる。
なお、収集電極は所定ガスの流れ方向に或る程度の幅を有しているが、ガス流路中に形成した直流電場によってイオンの移動を促進させる場合、収集電極においてその電場強度が集中する箇所が実効的な収集電極であるとみなすことができる。そこで、上記イオン検出部が、上記収集電極よりも前記所定ガスのガス上流側又はガス下流側に配置された、上記直流電場を形成するためのバイアス電極を含む場合、該バイアス電極が位置する側の前記収集電極の端部の位置が実効的な収集電極の位置であるとすればよい。
例えば、収集電極より所定ガスのガス上流側にバイアス電極が配置されている場合には、そのバイアス電極に近い側の収集電極の端部が実効的な収集電極であり、所定ガスの流れ方向に幅を持たないこの実効的な収集電極よりガス下流側に試料ガス導入部の吐出口を設けるようにすればよい。
もちろん、試料ガス導入部の吐出口が収集電極よりガス下流側に大きく離れると、収集電極付近での試料濃度の低下が大きすぎ、検出感度やSN比がFID並み以下に下がってしまう。そこで、少なくとも通常のFIDに対して十分に高い検出感度を達成しつつ、従来のBIDに比べて感度直線性が得られる試料濃度範囲を広げるために、試料ガス導入部の吐出口は、上記ガス流路中で上記収集電極よりもガス下流側に7[mm]以内の範囲に配置されてなる構成とすることが好ましい。
また上記課題を解決するために成された本発明に係る誘電体バリア放電イオン化検出器(BID)の調整方法は、
放電用電極と、
所定のガスが流通するガス流路中に誘電体バリア放電を生起させてプラズマを生成するべく前記放電用電極に交流電圧を印加する電圧印加部と、
前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、そのガスの流れ方向と反対方向に試料ガスを吐き出す吐出口を有する試料ガス導入部と、
前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、前記プラズマから発せられた光によって前記試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極を含むイオン検出部と、
を具備する誘電体バリア放電イオン化検出器の調整方法であって、
前記試料ガス導入部における前記吐出口の位置を、前記収集電極の位置を含む所定の範囲で前記所定のガスの流れ方向に移動させつつ、検出感度が最大となる吐出口の位置を探索する最大位置探索ステップと、
前記最大位置探索ステップで探索された吐出口の位置より所定ガスのガス下流側にあって、その検出感度の最大値の90%〜10%の検出感度が得られる位置に、前記試料ガス導入部の吐出口の位置を定める吐出口位置設定ステップと、
を有することを特徴としている。
上記最大位置探索ステップにおいて、試料ガス導入部における吐出口の位置を収集電極の位置付近で所定のガスの流れ方向に移動させつつ、検出感度が最大となる吐出口の位置を探索したとき、検出感度の最大値が得られる吐出口の位置は、通常、収集電極よりもガス上流側に少しずれた位置になる。上述したように、吐出口をこの位置に定めると、低濃度試料に対しては高い検出感度が得られるものの、高濃度試料に対する感度の低下が顕著である。そこで、続く吐出口位置設定ステップにおいて、その検出感度の最大値が得られる位置からガス下流側に吐出口を移動させてゆき、検出感度がその最大値の90%〜10%の範囲に入る適宜の位置を見つけ、そこに試料ガス導入部の吐出口の位置を定める。
本願発明者の実験によれば、検出感度が最大値の90%になる位置に吐出口の位置を定めると、感度直線性が得られる試料濃度範囲は検出感度が最大値である位置に吐出口の位置を定めた場合に比べて約2倍に広がる。この位置からさらにガス下流側に吐出口の位置をずらしてゆくと、検出感度はさらに低下するものの、感度直線性が得られる試料濃度範囲はさらに広がる。検出感度が最大値の10%になる位置まで吐出口の位置をずらしても、FIDに比べれば十分に高い検出感度、SN比を実現することができ、従来のBIDに比べて、感度直線性が得られる試料濃度範囲を大幅に広げることができる。
本発明に係る誘電体バリア放電イオン化電流検出器及びその調整方法によれば、簡単な構成又は簡単な調整で以て、FIDに比べて検出感度、SN比が高いという利点を活かしつつ、従来のBIDに比べて検出のダイナミックレンジを拡大することができる。具体的には、検出のダイナミックレンジを従来のBIDよりも1桁程度拡大した6桁程度にすることができ、FIDのレベルに近づけることができる。それによって、濃度差のある混合試料の定量分析や面積百分率法による定量などでも高い精度を達成することができる。
本発明の一実施例によるBIDの概略構成図。 図1中のA部の拡大図(a)及びA部付近の試料ガス濃度分布シミュレーション結果を示す図(b)。 収集電極の位置に対する試料ガス吐出口の相対位置と検出感度との関係を実測した結果を示すグラフ。 試料ガス導入位置(検出感度が最大である位置基準)を変えたときの試料濃度と検出感度との関係を実測した結果を示すグラフ。 試料ガス導入位置(検出感度が最大である位置基準)を変えたときの試料濃度と検出感度との関係に基づく感度直線性の説明図。 試料ガス導入位置(検出感度が最大である位置基準)と収集電極の位置における試料ガス濃度との関係をシミュレーションした結果を示すグラフ。
本発明の一実施例によるBID及びその調整方法について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例のBIDの概略構成図である。
本実施例のBIDは、その内部が第1ガス流路2となっている誘電体円筒管1を備え、該誘電体円筒管1の外壁面には、それぞれガスの流れ方向に所定距離離して、例えばSUSや銅などの導電体からなる環状のプラズマ生成用電極3〜5が周設されている。また、誘電体円筒管1の上端にはガス供給管6が接続され、このガス供給管6を通して第1ガス流路2中に希釈ガスを兼ねるプラズマガスが供給される。プラズマ生成用電極3〜5と第1ガス流路2との間には誘電体円筒管1の壁面が存在するから、この壁面自体がプラズマ生成用電極3〜5の表面を被覆する誘電体被覆層として機能し、後述する誘電体バリア放電を可能としている。
3個のプラズマ生成用電極3〜5の中で中央のプラズマ生成用電極4には励起用高圧交流電源7が接続され、該電極4の上下に配置された2個のプラズマ生成用電極3、5はいずれも接地されている。このように高圧交流電圧が印加されるプラズマ生成用電極4を、接地した2個の電極3、5で挟む構成とすることにより、放電で発生したプラズマがガス上流側及びガス下流側に拡がるのを抑え、実質的なプラズマ生成領域を2個のプラズマ生成用電極3、5の間に制限することができる。励起用高圧交流電源7は、周波数が5〜30kHz程度(低周波数)で電圧が5〜10kV程度である高圧交流電圧を発生する。
誘電体円筒管1の下端には、同一内径の円筒形状体である反跳電極12、バイアス電極13、及び収集電極14が、アルミナ、PTFE樹脂などの絶縁体15を間に介挿してガスの流れ方向に沿って配置され、これらの内側には第1ガス流路2に連続する第2ガス流路11が形成されている。第1ガス流路2と第2ガス流路11との接続部にはプラズマガスの一部を外部に排出するバイパス排気管8が接続されている。また、第2ガス流路11の末端には試料排気管10が接続されている。
反跳電極12は接地されており、ガス流に乗って移動するプラズマ中の荷電粒子が収集電極14に到達することを防止する。これによって、ノイズを低減し、検出信号のSN比を改善することができる。バイアス電極13はイオン電流検出部20に含まれるバイアス直流電源21に接続され、収集電極14は同じくイオン電流検出部20に含まれる電流アンプ22に接続されている。第2ガス流路11中でバイアス電極13と収集電極14の内側及びその間が実質的なイオン検出領域である。また、試料排気管10が接続されている管路末端部9には、シール部17を介して細径の試料導入管16が挿通されており、この試料導入管16を通して第2ガス流路11中に試料ガスが供給される。
このBIDにおける、試料ガスに含まれる試料成分の検出動作を概略的に説明する。
図1中に矢印で示すように、第1ガス流路2中にはガス供給管6を通してプラズマガスが所定流量で以て供給される。プラズマガスは電離され易いガスであり、典型的にはヘリウムであるが、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンなど、又はそれらの混合ガスでもよい。プラズマガスは第1ガス流路2中を下向きに流れ、一部はバイパス排気管8を通して外部に排出され、その残りは希釈ガスとして第2ガス流路11中を下向きに流れ試料排気管10を通して外部に排出される。一方、試料成分を含む試料ガスは試料導入管16を通して供給され、その末端の試料ガス吐出口16aから第2ガス流路11中に吐き出される。試料ガス吐出口16aからは希釈ガスの流れ方向とは逆方向に試料ガスが吐き出されるが、図1中に矢印で示すように、試料ガスはすぐに押し返され、希釈ガスと合流して下方向に進む。
上述したようにプラズマガスが第1ガス流路2中に流通しているときに、励起用高圧交流電源7は高圧交流電圧をプラズマ生成用電極4に印加する。これにより、第1ガス流路2中でプラズマ生成用電極3、5で挟まれるプラズマ生成領域に誘電体バリア放電が起こり、プラズマガスが広く電離されてプラズマ(大気圧非平衡マイクロプラズマ)が発生する。大気圧非平衡マイクロプラズマから放出された励起光は、第1ガス流路2及び第2ガス流路11中を通って試料ガスが存在する部位まで到達し、その試料ガス中の試料成分をイオン化する。こうして生成されたイオンは、バイアス電極13に印加されている直流電圧によって形成される電場の作用によって収集電極14に近づくように移動し、収集電極14において電子を授受する。これにより、生成された試料成分由来のイオンの量、つまりは試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ22に入力され、電流アンプ22はこれを増幅して検出信号を出力する。このようにして、このBIDでは、試料導入管16を通して導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。
本実施例のBIDの基本的な構成要素は一般的なBIDと同じである。また、上述した基本的な検出動作は一般的なBIDと同様である。本実施例のBIDの構成上の特徴は、収集電極14に対する試料導入管16の試料ガス吐出口16aの位置が従来のBIDとは異なる特定の状態となるように、第2ガス流路11への試料導入管16の挿入長が調整されていることにある。
図2(a)は図1中のA部の拡大図である。この実施例のBIDでは、試料導入管16の試料ガス吐出口16aが、収集電極14においてバイアス電極13側(つまり図2(a)の上側)の端部Pよりも下側、つまり希釈ガスの下流側に所定距離dだけずれた位置になるように、第2ガス流路11中へ試料導入管16が挿入されている。従来の一般的なBIDでは、試料ガス吐出口16aの位置は端部Pより上側、つまり希釈ガスの上流側に所定距離だけずれた位置に定められており、この点で本実施例のBIDは従来のBIDと異なる。なお、端部Pは収集電極14の中でバイアス電極13に最も近い部位であるため、バイアス電極13に直流電圧が印加されることで第2ガス流路11中に形成された直流電場は端部Pに集中する。したがって、収集電極14の中でイオンの収集に最も寄与するのは端部Pであり、ここでは、この端部Pの位置が実効的な収集電極14の位置であるとみなせる。
上述したように、試料ガス吐出口16aを端部Pより希釈ガスの下流側に配置した理由を、従来のBIDにおける構成と対比しつつ説明する。
図2(b)はA部付近の試料ガス濃度分布をシミュレーション計算した結果を示す図である。シミュレーションの際の構成及び測定条件は、収集電極14の内径:φ3[mm]、試料導入管16の内径:φ0.25[mm]、希釈ガスの流量:10[mL/min]、試料ガスの流量:1[mL/min]、である。試料導入管16の試料ガス吐出口16aから上方に向かって吐き出された試料ガスは、上方から下方に向かう希釈ガス(プラズマガス)の流れに押され向きを変えて下方に向かう。ただし、一般に試料ガスの拡散速度は非常に速いため、第2ガス流路11の径方向については速やかに濃度一定となる。その結果、試料ガス吐出口16a周囲の試料ガス濃度分布は、図2(b)に示したように、希釈ガス上流及び下流方向にそれぞれ向かうに従い濃度差がついた分布となる。
上述したように、BIDにおけるイオン化メカニズムは主としてプラズマから照射される真空紫外光による光イオン化である。したがって、一般的には光強度が大きいほどイオン生成効率は高くなる。また、光強度が同じであれば、光が当たる領域に存在する試料成分の量が多いほど該成分由来のイオン量は多くなる。ただし、光イオン化に際して試料分子(又は原子)から放出された電子はイオンの近傍に存在しているために比較的再結合し易く、収集電極14から離れた位置で生成されたイオンは収集電極14に達するまでに消失し易い。そのため、検出信号に反映されるのは収集電極14の近傍で生成されたイオンが主であると考えられる。こうしたことから、収集電極14によって収集されるイオン電荷量は(1)式で表されるものと推測できる。
[イオン電荷量C]∝[収集電極14近傍の試料濃度]×[収集電極14近傍に到達する真空紫外光の光強度] …(1)
試料ガス吐出口16aの位置と収集電極14との相対的な位置関係と検出感度との関係を考える上で、図2(b)に示したシミュレーション結果から分かることは次の二つである。
[1]試料ガス吐出口16aの位置が収集電極14の位置に対して希釈ガス下流側にいくほど、該収集電極14近傍における試料濃度は低くなる。
[2]試料ガス吐出口16aの位置が収集電極14の位置に対して希釈ガス上流側にいくほど、第2ガス流路11中に吐き出された試料ガスが希釈ガスの流れに乗って収集電極14近傍に到達するまでの距離が長くなる。プラズマから発せられた光が収集電極14付近に達するまでには上記試料ガス中を通過することになるため、試料ガス吐出口16aの位置が収集電極14の位置に対して希釈ガス上流側にいくほど試料ガス雰囲気中の光路長が長くなり、光が試料ガスに吸収され、収集電極14付近に達した光の強度は低くなる。
これら二つの結論と(1)式の関係とを併せて収集電極14に対する試料ガス吐出口16aの相対的な位置と検出感度との関係を考えると、或る相対位置において検出感度は最大となり、その位置から試料ガス吐出口16aを希釈ガス上流側及び下流側のいずれにずらしても検出感度が下がることが容易に推測できる。そこで、これを確認するために、試料ガスとして窒素を用い、収集電極14の位置に対して試料ガス吐出口16aの位置を上下に移動するように試料導入管16の挿入長を変化させたときの検出感度を実測した。
図3は収集電極14の位置に対する試料ガス吐出口16aの相対的な位置と検出感度との関係の実測結果を示すグラフである。横軸の相対位置が「0」であるときに、収集電極14と試料ガス吐出口16aとは同位置であり、その位置から希釈ガス上流側に試料ガス吐出口16aが移動したときを正、希釈ガス下流側に試料ガス吐出口16aが移動したときを負として示している。即ち、この横軸の数値の絶対値は図2(a)中の距離dに対応している。ただし、ここでいう収集電極14の位置とは、図2(a)中に示した端部の位置Pである。
図3に示したように、検出感度は或る相対位置において極大値を示すことが確認できる。この例では、検出感度が極大値を示すのは、試料ガス吐出口16aを収集電極14よりも希釈ガス上流側にd=1.5[mm]だけずらしたときである。上述したように従来の一般的なBIDでは、試料ガス吐出口16aは収集電極14よりも希釈ガス上流側に位置するように構成されているが、検出感度をできるだけ高くするという観点からはそうした構成が適切であるということが図3に示した実測結果から分かる。
図4は、複数の試料ガス導入位置における試料濃度と感度比との関係の実測結果を示すグラフである。この試料ガス導入位置は、図3中の検出感度最大値を示す位置(図3中の相対位置:+1.5[mm]、以下、この位置を「感度最大位置」という)を0[mm]とし、感度最大位置よりも希釈ガス上流側を正、希釈ガス下流側を負として表したものである。また、縦軸の感度比は、検出感度最大値を1とした相対値である。この実測結果から以下のことが分かる。
[1]試料ガス吐出口16aが感度最大位置よりも希釈ガス上流側にある場合(図4中の試料ガス導入位置:+3[mm]、+5[mm])には、試料濃度が0.1%以上である範囲で大きな感度低下が生じる。
[2]試料ガス吐出口16aが感度最大位置よりも希釈ガス下流側にある場合(図4中の試料ガス導入位置:−2[mm]、−4[mm])には、その位置が感度最大位置から遠ざかるほど、検出感度の直線性が良好である試料濃度範囲が高濃度側に広がる。
以上のことから、検出感度最大値が得られる試料ガス導入位置、つまり感度最大位置を目安とし、その位置よりも希釈ガス下流側に試料ガス吐出口16aを設けることで、高濃度試料に対する感度の低下を抑制し、検出感度の直線性が良好である試料濃度範囲、つまりダイナミックレンジを広げることができることが分かる。
上記実測例では感度最大位置は図3中の相対位置:+1.5[mm]であるが、当然のことながら、この位置は管路内径などの検出器の構造や希釈ガス流量などの測定条件によって変化する。しかしながら、検出器の構造や測定条件が変わったとしても、図2(b)に示した試料ガス濃度の相対分布状態は縦横それぞれの倍率が変わるだけで分布の傾向はほぼ同じである。そのため、検出器の構造や測定条件に拘わらず、次の手順によって、試料ガス吐出口16aを感度最大位置に定めた場合に比べてダイナミックレンジを確実に改善することが可能である。
[ステップS1]収集電極14の位置に対して試料ガス吐出口16aの位置を希釈ガスの流れ方向に変えながら、所定試料(例えば標準試料)に対する検出感度をそれぞれ実測し、その検出感度が最大となる位置を探索する。即ち、感度最大位置を求める。
[ステップS2]試料ガス吐出口16aの位置を上記感度最大位置から希釈ガス下流側に適宜の距離だけずらす。
ステップS2におけるずらし量によって、検出感度が直線性を有する試料濃度範囲、つまり感度直線性範囲が異なる。
図5は、図4において試料ガス導入位置が0又は負であるものを抽出したグラフである。図5において、試料ガス導入位置:−2[mm]に着目すると、図中に点線で示している試料ガス導入位置:0[mm]における感度低下直線に沿うように感度が低下していることが分かる。この場合、試料ガス吐出口16aを感度最大位置から離したことで、感度比は感度最大値の75%程度に低下しているものの、感度直線性範囲は約0.3%から約1%に、つまり約3倍拡大している。このように、収集電極14の位置に対して試料ガス吐出口16aの位置を希釈ガス下流側にずらしていくと、感度は低下するものの、感度直線性の拡大の効果は十分に大きいといえる。
この効果としては感度最大位置のときの感度直線性範囲よりも2倍以上に広げることが望ましいが、図5中に示した上記感度低下直線から、感度比を検出感度最大値のときの90%以下に下げるように試料ガス吐出口16aを移動させれば感度直線性範囲を2倍以上に拡大できることが分かる。したがって、上記ステップS2では、ずらし量を予め決めず、検出感度が検出感度最大値の90%以下になるように、試料ガス吐出口16aの位置を感度最大位置から希釈ガス下流側にずらすようにするとよい。
本実施例のBIDでは、上述したような調整手順で以て、第2ガス流路11への試料導入管16の挿入長を調整することで、検出感度最大値に対する感度の低下を最小限に抑えつつ感度直線性範囲を拡大することができる。ただし、そうした調整作業を行うことなく、試料導入管16の試料ガス吐出口16aの位置を収集電極14の位置に対して予め定めることにより、検出感度最大値に対する感度の低下をできるだけ抑えながら感度直線性範囲を拡大することができる。即ち、上述したように、試料ガス吐出口16aの位置を収集電極14の位置よりも希釈ガス下流側にすれば、図3から明らかなように、検出感度は検出感度最大値から90%以上下がる。したがって、収集電極14の位置よりも希釈ガス下流側に、試料ガス吐出口16aの位置を定めればよい。
次に、収集電極14の位置に対する試料ガス吐出口16aの適切な設置位置の範囲について考察する。上述したように試料ガス吐出口16aの位置を希釈ガス下流側に移動させることでダイナミックレンジを拡大すると、その代償として検出感度が低下する。そのため、許容される検出感度の下限が試料ガス吐出口16aの移動の許容範囲となる。一般的なBIDの検出感度(イオン化効率)はFIDの50倍程度であり、BIDの最大の利点は検出感度が高いことであるから、少なくても検出感度についてはFIDを十分に上回る必要がある。こうしたことから、検出感度の低下は検出感度最大値の1/10程度までに抑えることが望ましい。
(1)式で示したように、検出感度は収集電極14近傍での試料濃度に比例する。試料ガス吐出口16aが収集電極14よりも希釈ガス下流側にある場合、収集電極14近傍での試料濃度は、試料ガスが希釈ガスの流れに逆らって上流側に拡散し、どの程度の量が収集電極14近傍に達するかによって決まる。即ち、これは、上方からの希釈ガスの流速と試料ガスの拡散速度とのバランスに依存する。ここで、試料ガスの拡散速度はガス種に依存するものの、その依存性はそれほど大きくないので、ほぼ一定と考えることができる。したがって、試料ガス吐出口16aの適切な位置の範囲を左右する主たるパラメータは希釈ガスの流速である。図4に示した実測では、第2ガス流路11に流れる希釈ガス流量は12.5[mL/min]であって、その管路の内径はφ3[mm]であるので、希釈ガスの流速は約30[mm/sec]である。この条件において、試料ガス吐出口16aを希釈ガスの流れ方向に移動させたときの、収集電極14近傍での試料濃度をシミュレーション計算した結果を図6に示す。図6の横軸は、図4等で用いた試料ガス導入位置の値である。
試料ガス導入位置:−2[mm]及び−4[mm]における実測の感度比(図4に示した結果)とシミュレーション計算による試料濃度(図6に示した結果)とをまとめたのが表1である。
両者を比較すると実測感度のほうが大きめではあるものの、試料ガス導入位置に対する変化の傾向は合致している。実測例の条件の下で検出感度が1/10になるのは、図6から試料ガス導入位置:約−6[mm]であるので、希釈ガスの流速を条件として試料ガス導入位置の範囲を決めるとすると、希釈ガス流速が30[mm/sec]であるときに、試料ガス導入位置の下限は−6[mm]となる。つまり、試料ガス導入位置を0[mm]〜−6[mm]の範囲とすれば、FIDに対する検出感度の優位性を十分に維持しつつ、ダイナミックレンジを従来のBIDよりも拡大することができることになる。
希釈ガスの流速を変更する場合、流速が大きいほど試料ガス導入位置の下限は小さくなり、希釈ガス流速:a[mm/sec]、試料ガス導入位置:x[mm]としたときに、a・x=180を満たすようにすればよい。この式からは、希釈ガスの流速を遅くするほど、試料ガス導入位置の下限の絶対値を大きくできることになる。ただし、現実には希釈ガス流速を30[mm/sec]よりも小さくすると、試料ガス吐出口16aから希釈ガス上流側への試料ガスの拡散が大きくなりすぎ、試料ガスがプラズマ生成用電極3〜5の位置にまで達して管路内壁を汚染するおそれがある。経験的にいえば、希釈ガス流速を15[mm/sec]程度まで下げると汚染が顕在化する。そのため、希釈ガス流速の下限は30[mm/sec]からせいぜい70〜80%程度である。これに対応して、試料ガス導入位置の下限も−6[mm]から20〜30%増しの−7〜−8[mm]程度まで拡大することができる。
即ち、実用的な範囲で希釈ガスの流速の変更を考慮した場合、FIDに対する検出感度の優位性を十分に維持しつつ、ダイナミックレンジを従来のBIDよりも拡大することができる試料ガス導入位置の範囲は−8mm程度であるといえる。これは、収集電極14に対して試料ガス吐出口16aの位置を希釈ガス下流側に最大7[mm]程度離すことに相当するから、試料ガス吐出口16aの位置が収集電極14の位置から希釈ガス下流側に最大7[mm]程度の範囲内になるように試料導入管16の挿入長を定めれば、当初の目的が達成し得ると結論付けることができる。
なお、上記実施例のBIDでは、第1ガス流路2と第2ガス流路11との接続部からバイパス排気管8を通して一部のプラズマガス(希釈ガス)を排出していたが、バイパス排気管8を有さない構成も採り得る。その場合には、ガス供給管6を通して供給されたプラズマガスの全量が第2ガス流路11を経て試料排気管10から排出されるが、本発明をそのまま適用できることは当然である。
また上記実施例のBIDでは、収集電極14の希釈ガス上流側にバイアス電極13が配置されていたが、収集電極14の希釈ガス下流側にバイアス電極13が配置されている構成も考え得る。その場合には、バイアス電極13に印加された直流バイアス電圧により第2ガス流路11中に形成され電場が集中するのは、収集電極14の下縁端である。したがって、図2(a)に示した符号Pの位置、つまり希釈ガスの流れ方向に収集電極14が極端に薄いとみなしたときの位置が、収集電極14の下縁端であると考えればよい。
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、上記記載した以外の点について、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても、本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…誘電体円筒管
2…第1ガス流路
3、4、5…プラズマ生成用電極
6…ガス供給管
7…励起用高圧交流電源
8…バイパス排気管
9…管路末端部
10…試料排気管
11…第2ガス流路
12…反跳電極
13…バイアス電極
14…収集電極
15…絶縁体
16…試料導入管
16a…試料ガス吐出口
17…シール部
20…イオン電流検出部
21…バイアス直流電源
22…電流アンプ

Claims (5)

  1. 放電用電極と、
    所定のガスが流通するガス流路中に誘電体バリア放電を生起させてプラズマを生成するべく前記放電用電極に交流電圧を印加する電圧印加部と、
    前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、そのガスの流れ方向と反対方向に試料ガスを吐き出す試料ガス導入部と、
    前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、前記プラズマから発せられた光によって前記試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極を含むイオン検出部と、
    を具備する誘電体バリア放電イオン化検出器であって、
    前記試料ガス導入部における前記ガス流路中への試料ガスの吐出口が、前記収集電極よりも前記所定ガスのガス下流側に配置されてなることを特徴とする誘電体バリア放電イオン化検出器。
  2. 請求項1に記載の誘電体バリア放電イオン化検出器であって、
    前記イオン検出部は、前記収集電極よりも前記所定ガスのガス上流側又はガス下流側に配置された、前記ガス流路中にイオンの移動を促進させる直流電場を形成するためのバイアス電極を含み、前記試料ガス導入部の吐出口は、前記バイアス電極が位置する側の前記収集電極の端部よりガス下流側に配置されてなることを特徴とする誘電体バリア放電イオン化検出器。
  3. 請求項1又は2に記載の誘電体バリア放電イオン化検出器であって、
    前記試料ガス導入部の吐出口は、前記ガス流路中で前記収集電極よりもガス下流側に7mm以内の範囲に配置されてなることを特徴とする誘電体バリア放電イオン化検出器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体バリア放電イオン化検出器であって、
    前記試料ガス導入部の吐出口の位置を前記所定ガスの流れ方向に移動させることで探索された検出感度が最大となる位置より所定ガスのガス下流側にあって、その検出感度の最大値の90%〜10%の検出感度が得られる位置に、前記試料ガス導入部の吐出口が配置されてなることを特徴とする誘電体バリア放電イオン化検出器。
  5. 放電用電極と、
    所定のガスが流通するガス流路中に誘電体バリア放電を生起させてプラズマを生成するべく前記放電用電極に交流電圧を印加する電圧印加部と、
    前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、そのガスの流れ方向と反対方向に試料ガスを吐き出す吐出口を有する試料ガス導入部と、
    前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に配置され、前記プラズマから発せられた光によって前記試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極を含むイオン検出部と、
    を具備する誘電体バリア放電イオン化検出器の調整方法であって、
    前記試料ガス導入部における前記吐出口の位置を前記所定のガスの流れ方向に移動させつつ、検出感度が最大となる位置を探索する最大位置探索ステップと、
    前記最大位置探索ステップで探索された吐出口の位置より所定ガスのガス下流側にあって、その検出感度の最大値の90%〜10%の検出感度が得られる位置に、前記試料ガス導入部の吐出口の位置を定める吐出口位置設定ステップと、
    を有することを特徴とする誘電体バリア放電イオン化検出器の調整方法。
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