JP5445353B2 - 放電イオン化電流検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてガスクロマトグラフ(GC)用の検出器として好適な放電イオン化電流検出器に関し、さらに詳しくは、低周波バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器に関する。
GC用の検出器としては、熱伝導度検出器(TCD)、エレクトロンキャプチャ検出器(ECD)、水素炎イオン化検出器(FID)、炎光光度検出器(FPD)、フレームサーミオニック検出器(FTD)など、様々な方式の検出器が、従来から実用に供されている。こうした検出器の中で最も一般的に、特に有機物を検出するために使用されているのはFIDである。FIDは、水素炎により試料ガス中の試料成分をイオン化し、そのイオン電流を測定するものであり、6桁程度の広いダイナミックレンジを達成している。しかしながら、FIDは、(1)イオン化効率が低いため十分に低い最小検出量が得られない、(2)アルコール類、芳香族、塩素系物質に対するイオン化効率が低い、(3)危険性の高い水素を必要とするため防爆設備等の特別な設備を設置する必要があり、取扱いも面倒である、といった欠点を有している。
一方、無機物から低沸点有機化合物までを高い感度で検出可能な検出器として、パルス放電イオン化電流検出器(PDD:Pulsed Discharge Detector)が従来知られている(特許文献1など参照)。PDDでは、高圧のパルス放電によってヘリウム分子などを励起し、その励起状態にある分子が基底状態に戻る際に発生する光エネルギーを利用して分析対象の分子をイオン化する。そして、生成されたイオンによるイオン電流を検出し、分析対象の分子の量(濃度)に応じた検出信号を得る。
上記PDDは一般的に、FIDよりも高いイオン化効率を達成することができる。一例を挙げると、プロパンに対するFIDのイオン化効率は0.0005%程度にすぎないのに対し、PDDでは0.07%程度のイオン化効率が得られている。しかしながら、それにも拘わらずPDDのダイナミックレンジはFIDに及ばず、1桁程度以上低いのが実状である。これが、PDDがFIDほど普及しない一つの原因である。
従来のPDDにおけるダイナミックレンジの制約要因は、イオン化のためのプラズマの不安定性やプラズマ状態の周期的変動であると考えられる。これに対し、プラズマ状態を安定化・定常化するために、低周波交流励起誘電体バリア放電(以下「低周波バリア放電」と称す)を利用した放電イオン化電流検出器が提案されている(特許文献2など参照)。低周波バリア放電により生成されるプラズマは大気圧非平衡プラズマであり、高周波放電によるプラズマのような高温にはなりにくい。また、パルス高電圧励起によるプラズマのような印加電圧の状態の遷移に伴う周期的な変動も抑制され、安定した定常的なプラズマ状態が得られ易い。こうしたことから、本願発明者は低周波バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器に関する様々な検討や提案を行ってきている(特許文献3、特許文献4など参照)。
前述のように低周波バリア放電はプラズマ状態が安定であってノイズの点でも有利であることから、低周波バリア放電を用いた放電イオン化電流検出器は高いSN比を実現可能である。しかしながら、低周波バリア放電を用いた従来の放電イオン化電流検出器の問題点の1つに、検出感度の直線性の悪さがある。
図3は、オクタン(C8H18)を測定対象としたときの、FIDと従来の一般的な放電イオン化電流検出器との検出感度の実測値の一例を示す図である。図の横軸は試料導入量のLog値、縦軸は検出感度であり、FIDについては左方の目盛り、放電イオン化電流検出器については右方の目盛りで感度を示している。FIDよりも放電イオン化電流検出器のほうが感度の絶対値は2桁近く高い反面、試料導入量に対する感度の直線性が狭く、特に試料濃度が高い領域での感度の低下が大きいことが分かる。図3には示されていないが、実際には、FIDでは0.01[ng]よりも低い領域まで感度の直線性が維持されており、おおよそ7桁の試料導入量の範囲で感度の直線性は維持される。これに対し、放電イオン化電流検出器ではたかだか4桁程度の導入量の範囲でしか感度の直線性が維持されない。
米国特許第5394092号明細書 米国特許第5892364号明細書 国際公開第2009/119050号パンフレット 特開2010−60354号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、低周波バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器において、検出感度の直線性を維持できる試料導入量の範囲を拡大することを主たる目的としている。
低周波バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器では試料成分のイオン化が主としてプラズマからの光の作用によりなされること、従来の構成では特に試料成分の濃度が高い場合の検出感度の低下が顕著であること、などから、従来の構成において検出感度が低下する要因の1つは、高濃度の試料成分による光の吸収や散乱の影響で、その試料成分の一部にしか十分な光が照射されず、それ故にイオン化効率が上がらないことにあると予想される。また、本願発明者の検討によれば、生成されたイオンの寿命はかなり短いため、仮に十分な量のイオンが生成されたとしてもイオン収集用電極までの移動距離が長いと、途中で消滅してしまうことも予想される。さらにまた、生成されたイオンはバイアス電圧印加用電極に印加される直流電圧により形成される電場の作用でイオン収集用電極まで移動するが、イオン生成領域に十分な電場が及ばないとイオンの移動速度が小さく、やはり途中で消滅してしまうことも予想される。
上記観点から、本願発明者は、試料ガスをガス流路に導入した後に、高濃度の試料成分による光の吸収や散乱の影響が及ばない範囲まで試料成分を効率良く且つ迅速に拡散させること、及び、試料成分がイオン化される領域をできるだけイオン電流検出のためのイオン収集用電極やバイアス電圧印加用電極に近づけること、により、試料導入量に対する感度の直線性を改善することに想到し、実験的にその効果を確認した。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明は、放電により生起させたプラズマを利用して試料ガス中の試料成分をイオン化し検出する放電イオン化電流検出器であって、
a)プラズマガスが一方向に流通する第1ガス流路中に低周波交流電場による誘電体バリア放電を発生させ、該放電により前記プラズマガスからプラズマを生成させるプラズマ生成手段と、
b)前記第1ガス流路のプラズマガスの出口端に接続されたガス流路であって、その接続部と反対側の端部から前記プラズマガスの流れと対向する方向に希釈ガスが流通される第2ガス流路と、
c)前記第2ガス流路中に試料ガスを導入する試料ガス導入路と、
d)前記プラズマ生成手段により生成されるプラズマの作用によってイオン化された前記試料ガス中の試料成分に由来するイオン電流を検出するために、前記第2ガス流路中でガス流れ方向に互いに離して設けられたイオン収集用電極及びバイアス電圧印加用電極を含むイオン電流検出手段と、
e)前記プラズマガス、希釈ガス、及び試料ガスを前記第2ガス流路中から外部に排出するために、前記イオン収集用電極と前記バイアス電圧印加用電極との間に入口端が接続されたガス排出流路と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る放電イオン化電流検出器の好ましい一態様として、前記イオン収集用電極と前記バイアス電圧印加用電極とは前記プラズマガスの流れ方向にその順序で設けられ、前記試料ガス導入路は前記第2ガス流路中で前記ガス排出流路の接続部からみて前記イオン収集用電極が位置する側に試料ガスを導入するように配設される構成とするとよい。
なお、プラズマガス及び希釈ガスとしてはいずれも、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンのいずれか1つ、又はそれらの混合ガスを用いることができる。
本発明に係る放電イオン化電流検出器では、第2ガス流路中にあってガス排出流路の入口端の接続部付近で、プラズマガスの流れと希釈ガスの流れとが衝突し、大きな乱流を生じながら両ガスはガス排出流路に流れ込む。第2ガス流路中に生じる上記乱流によって、試料ガス導入路を通して導入された試料ガスに含まれる試料成分は迅速にプラズマガスや希釈ガス中に拡散する。したがって、試料ガス導入路の出口端付近に比較的高い濃度の試料成分が存在していても、それによる光の遮蔽の影響のない部分に拡がった試料成分に光が十分に当たる。それにより、高い効率で試料成分をイオン化することができる。
また、第2ガス流路中でガス排出流路の入口端付近には試料成分が十分に混じったプラズマガスと希釈ガスが存在するので、この部分で試料成分由来のイオンが生成される。この部分はイオン収集用電極とバイアス電圧印加用電極とに挟まれ、両電極に近いので、十分に大きな電場が作用しイオンは迅速にイオン収集用電極に向かって移動する。また、イオンの移動距離が短いので短時間で、つまり寿命がつきて消滅する前にイオン収集用電極に到達する。これにより、生成したイオンを効率良くイオン収集用電極に導いて、イオン電流に反映させることができる。
本発明に係る放電イオン化電流検出器によれば、特に、従来の構成において顕著な検出感度低下がみられた試料成分濃度が高い場合においても、高いイオン化効率と高いイオン収集効率とを実現することにより、検出感度の低下を抑えることができる。それにより、試料導入量に対する検出感度の直線性が従来よりも向上し、幅広い濃度の成分検出に対応が可能となる。
本発明の一実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 本実施例の放電イオン化電流検出器における検出動作を従来構成と比較して説明するための要部の構成図。 オクタンを測定対象としたときの、FIDと従来の一般的な放電イオン化電流検出器との検出感度の実測値の一例を示す図。 本実施例の放電イオン化電流検出器における検出感度の実測値の一例を示す図。
本発明の一実施例による放電イオン化電流検出器について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図である。
本実施例の放電イオン化電流検出器1は、例えば外径がφ3.9[mm]の石英管である円筒管2を備え、円筒管2の内部は上端がプラズマガス導入口3である上部ガス流路4となっている。なお、円筒管2の材質は誘電体であれば石英でなくてもよい。円筒管2の外壁面にはその長手方向に沿って、金属(例えばSUS、銅など)製の環状のプラズマ生成用電極5、6、7がそれぞれ所定間隔離して周設されている。プラズマ生成用電極5、6、7とガス流路4との間には円筒管2の壁面が存在するから、この壁面自体が電極5、6、7の表面を被覆する誘電体被覆層として機能し、誘電体バリア放電を可能としている。
3個のプラズマ生成用電極5、6、7のうち、中央の電極5には励起用高圧電源8が接続され、この電極5を上下から挟む2個の電極6、7はいずれも接地されている。このように、高電圧が印加される電極5を2つの接地した電極6、7で挟む構造を採用することにより、放電で発生したプラズマがガス上流側及び下流側に拡がるのを抑えることができ、実質的なプラズマ生成領域を2個のプラズマ生成用電極6、7の間に制限することができる。
励起用高圧電源8は低周波の高圧交流電圧を発生するものであり、その周波数は50[Hz]〜100[kHz]の範囲、さらに好ましくは100[Hz]〜20[kHz]の範囲とするとよい。交流電圧の波形形状は、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯状などのいずれでもよい。
円筒管2の下部には、イオン収集用電極11とバイアス電圧印加用電極12とがアルミナ、PTFE樹脂などの絶縁体13で挟まれるように配置されている。これらはいずれも同一内径の円筒形状体であり、それらの内側には上部ガス流路4に連続した下部ガス流路10が形成される。この下部ガス流路10の下端は希釈ガス導入口14であり、希釈ガス導入口14から下部ガス流路10中には試料ガスを導入するためのキャピラリ管16が挿入されている。このキャピラリ管16の中心軸は下部ガス流路10の中心軸とほぼ一致しており、キャピラリ管16の先端はイオン収集用電極11で囲まれる領域に位置している。イオン収集用電極11とバイアス電圧印加用電極12とで挟まれる絶縁体13には、下部ガス流路10の中心軸を挟んで対向する2箇所に、ガス排出管15が接続されている。
イオン電流を検出するためのイオン電流検出部20は電流アンプ21とバイアス直流電源22とを含み、バイアス直流電源22はバイアス電圧印加用電極12に所定の直流バイアス電圧を印加する。電流アンプ21の入力端はイオン収集用電極11に接続され、イオン収集用電極11に入射したイオンにより流れる電流を検出して増幅する。
次に、この放電イオン化電流検出器1による検出動作を、図1に加えて図2を参照して説明する。図2(a)は本実施例の放電イオン化電流検出器における検出動作を説明するための下部ガス流路10内の部分拡大図、図2(b)は比較対象の従来の放電イオン化電流検出器における同部分の拡大図である。
図1中に下向き矢印で示すように、プラズマガス導入口3にはプラズマガスとしてヘリウム(He)が所定流量で供給される一方、上向き矢印で示すように、希釈ガス導入口14には希釈ガスとしてプラズマガスと同一のヘリウムが同流量で供給される。また、図2(a)中に上向き破線矢印で示すように、キャピラリ管16には検出対象の成分を含む試料ガスが供給される。例えば、本検出器をガスクロマトグラフの検出器として用いる場合には、カラムで成分分離された試料ガスをキャピラリ管16に導入すればよい。なお、プラズマガスや希釈ガスとしては、電離され易いガスであればヘリウムのほか、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンなどのうちの1種又はそれらを2種以上混合したガスなどでもよい。
プラズマガスは上部ガス流路4を下向きに流れ、キャピラリ管16を通して供給され、吐出口16aから吐き出される試料ガスと合流し、下部ガス流路10の途中まで下方に向かって流れる。他方、希釈ガスは下部ガス流路10の途中まで上方に向かって流れる。そして、上方から下向きに流れるガスと下方から上向きに流れるガスとはガス排出管15の接続部付近で衝突し、合流してガス排出管15を通して排出される。
上述したようにプラズマガスが上部ガス流路4内に流れている状態で、図示しない制御回路からの制御信号により、励起用高圧電源8は低周波の高圧交流電圧をプラズマ生成用電極5とプラズマ生成用電極6、7との間に印加する。これによってプラズマ生成用電極5とプラズマ生成用電極6、7との間で誘電体被覆層(円筒管2の壁面の一部)を通した誘電体バリア放電が起こる。この誘電体バリア放電によって、上部ガス流路4中を流れるプラズマガスが広く電離されてプラズマ(大気圧非平衡マイクロプラズマ)が発生する。
上記放電により生成されたプラズマによる発光光は、上部ガス流路4中を通過した下部ガス流路10内に及ぶ。キャピラリ管16の先端の吐出口16aから下部ガス流路10に吐き出された試料ガス中の試料成分は主として下部ガス流路10中の吐出口16aとガス排出管15の接続部との間の領域に存在する。プラズマからの発光光がこの試料成分が存在する部位まで到達すると、主として光イオン化により試料成分をイオン化する。こうして生成された試料イオンは、バイアス電圧印加用電極12に印加されている100〜200V程度のバイアス直流電圧の作用によりイオン収集用電極11に達し、イオン収集用電極11で電子を授受する。これにより、イオン化により生じた試料イオンの量、つまりは試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ21に入力され、電流アンプ21はこれを増幅して検出信号として出力する。このようにして、この放電イオン化電流検出器1では、導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。
従来の放電イオン化電流検出器では、図2(b)に示すように、イオン収集用電極11、バイアス電圧印加用電極12の間にガス排出管が接続されておらず、下部ガス流路10中に下向きにガスが流れる。試料ガスはこの下向きのガス流に対向するように吐き出されるが、試料ガスの流量はプラズマガスの流量に比べて格段に少ないため、試料ガスはキャピラリ管16の周囲を下向きに流れ、その外側を取り囲むように大量のプラズマガスが流れる。このように試料ガスがプラズマガスと十分に混じらずに鞘状に分離して、或いは、試料ガスがプラズマガスにより十分に希釈されずに流れるため、次のような不具合が起こると考えられる。
試料ガス中の試料成分の濃度が高い場合、吐出口16aの近傍の領域Bでは特に試料濃度が高いため、プラズマから到来する光はその領域Bにおいて吸収・散乱され、その下方には届きにくい。そのため、キャピラリ管16の周囲に沿って流れる試料ガスには光があまり当たらず、領域B付近で試料成分はイオン化されるものの、それ以外の部分での試料成分のイオン化は起こりにくい。そのため、イオン化効率自体が上がりにくい。また、領域Bは下部ガス流路10の径方向に中央付近に位置するため、イオン収集用電極11、バイアス電圧印加用電極12から比較的離れている。そのため、バイアス電圧印加用電極12により形成される電場による領域B付近の電位勾配は緩く、そのため領域B付近で発生した試料イオンはイオン収集用電極11に向かって加速されにくい。また、一般に生成されたイオンの寿命は短いのに対し、試料イオンがイオン収集用電極11に達するまでの距離は長いため、イオン収集電極11に到達するまでに消滅してしまうイオンの割合も多く、領域Bで生成されたイオンの収集効率の良好でない。さらにまた、領域B付近では試料ガス自体もプラズマを形成するので、試料濃度が高いとプラズマによる実効的なバイアス電圧の低下も無視できず、それによってイオンの移動は一層鈍ることになる。
以上のような様々な要因により、図2(b)に示した従来の構造では、特に試料濃度が高くなったときの感度が急に下がり、結果的に感度の直線性が低下するものと考えられる。
これに対し、本実施例の放電イオン化電流検出器では、図2(a)に示すように、イオン収集電極11とバイアス電圧印加用電極12との間にガス排出管15を接続し、下部ガス流路10中には上方と下方から対向するように略同流量のヘリウムを流しているため、試料成分のイオン化や生成したイオンの収集に関し、次のような効果がある。
即ち、下方向に流れる試料ガスを伴ったプラズマガスと上方向に流れる希釈ガスとはガス排出管15の接続部付近で衝突するため、この付近でガスの乱流が生じ試料ガスとプラズマガス及び希釈ガスとは混じり易い。そのため、試料成分が拡散したガスが領域A付近、つまりイオン収集用電極11とバイアス電圧印加用電極12との間で且つ両電極11、12に近接する位置に存在する。試料ガス中の試料濃度が高い場合に、吐出口16aの近傍の領域Bの試料濃度も高いが、領域Bでの光の吸収や散乱の影響を殆ど受けずに、領域Aにはプラズマからの光が到達する。したがって、イオン化効率を高くすることができる。また、領域Aはイオン収集用電極11及びバイアス電圧印加用電極12に近いため、領域A付近に作用する電場は強く、領域Aで生成したイオンには大きな運動エネルギが付与される。領域Aからイオン収集用電極11までの距離も短いので、領域Aで生成したイオンはその寿命がつきる前にイオン収集用電極11に到達してイオン電流に寄与する。したがって、発生したイオンをイオン収集用電極11に収集する効率も高くなる。そうしたことから、本実施例の放電イオン化電流検出器では、特に試料濃度が高くイオン化やイオンの収集に不利な条件の下でも高い検出感度を維持することができ、結果的に、試料導入量に対する検出感度の直線性を改善することが可能となる。
図4は本実施例の放電イオン化電流検出器の検出感度を異なる測定試料に対し実測した図である。図中のC8,C9,C10,C11は、オクタン(C8H18)、ノナン(C9H20)、デカン(C10H22)、ウンデカン(C11H24)を示す。いずれの試料に対しても、従来、検出感度の低下が顕著であった試料導入量の範囲(10〜1000[ng])においてもそれ以下の範囲と同程度の検出感度が得られることが分かる。なお、従来の構造よりも試料ガスの希釈の度合いが大きくなるため、感度の絶対値は下がっているものの、それでもFIDやTCDなどに比べると十分に高い感度を達成することができる。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…放電イオン化電流検出器
2…円筒管
3…プラズマガス導入口
4…上部ガス流路
5、6、7…プラズマ生成用電極
8…励起用高圧電源
10…下部ガス流路
11…イオン収集用電極
12…バイアス電圧印加用電極
13…絶縁体
14…希釈ガス導入口
15…ガス排出管
16…キャピラリ管
16a…吐出口
20…イオン電流検出部
21…電流アンプ
22…バイアス直流電源

Claims (2)

  1. 放電により生起させたプラズマを利用して試料ガス中の試料成分をイオン化し検出する放電イオン化電流検出器であって、
    a)プラズマガスが一方向に流通する第1ガス流路中に低周波交流電場による誘電体バリア放電を発生させ、該放電により前記プラズマガスからプラズマを生成させるプラズマ生成手段と、
    b)前記第1ガス流路のプラズマガスの出口端に接続されたガス流路であって、その接続部と反対側の端部から前記プラズマガスの流れと対向する方向に希釈ガスが流通される第2ガス流路と、
    c)前記第2ガス流路中に試料ガスを導入する試料ガス導入路と、
    d)前記プラズマ生成手段により生成されるプラズマの作用によってイオン化された前記試料ガス中の試料成分に由来するイオン電流を検出するために、前記第2ガス流路中でガス流れ方向に互いに離して設けられたイオン収集用電極及びバイアス電圧印加用電極を含むイオン電流検出手段と、
    e)前記プラズマガス、希釈ガス、及び試料ガスを前記第2ガス流路中から外部に排出するために、前記イオン収集用電極と前記バイアス電圧印加用電極との間に入口端が接続されたガス排出流路と、
    を備えることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  2. 請求項1に記載の放電イオン化電流検出器であって、
    前記イオン収集用電極と前記バイアス電圧印加用電極とは前記プラズマガスの流れ方向にその順序で設けられ、前記試料ガス導入路は前記第2ガス流路中で前記ガス排出流路の接続部からみて前記イオン収集用電極が位置する側に試料ガスを導入するように配設されていることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
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