JP4936492B2 - 放電イオン化電流検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてガスクロマトグラフ(GC)用の検出器として好適な放電イオン化電流検出器に関する。
ガスクロマトグラフ用の検出器としては、熱伝導度検出器(TCD)、エレクトロンキャプチャ検出器(ECD)、水素炎イオン化検出器(FID)、炎光光度検出器(FPD)、フレームサーミオニック検出器(FTD)など、様々な方式の検出器が、従来から提案され、実用に供されている。こうした検出器の中で最も一般的に、特に有機物を検出するために使用されているのは、水素炎イオン化検出器である。水素炎イオン化検出器は、水素炎により試料ガス中の試料成分をイオン化し、そのイオン電流を測定するものであり、6桁程度の広いダイナミックレンジを達成している。
しかしながら、水素炎イオン化検出器は、(1)イオン化効率が低いため十分に低い最小検出量が得られない、(2)アルコール類、芳香族、塩素系物質に対するイオン化効率が低い、(3)危険性の高い水素を必要とするため防爆設備等の特別な設備を設置する必要があり、取扱いも面倒である、といった欠点を有している。
一方、無機物から低沸点有機化合物までを高い感度で検出可能な検出器として、パルス放電イオン化電流検出器(PDD:Pulsed Discharge Detector)が従来知られており(特許文献1など参照)、実用にも供されている(非特許文献1など参照)。パルス放電イオン化電流検出器では、高圧のパルス放電によってヘリウム分子などを励起し、その励起状態にある分子が基底状態に戻る際に発生する光エネルギーを利用して分析対象の分子をイオン化する。そして、生成されたイオンによるイオン電流を検出し、分析対象の分子の量(濃度)に応じた検出信号を得る。
上記のようなパルス放電イオン化電流検出器では一般的に、水素炎イオン化検出器よりも高いイオン化効率を達成することができる。一例を挙げると、プロパンに対する水素炎イオン化検出器のイオン化効率は0.0005[%]程度にすぎないのに対し、パルス放電イオン化電流検出器では0.07[%]程度のイオン化効率を実現している。しかしながら、それにも拘わらずパルス放電イオン化電流検出器のダイナミックレンジは水素炎イオン化検出器に及ばず、1桁程度以上低いのが実状である。これが、パルス放電イオン化電流検出器が水素炎イオン化検出器ほど普及しない一つの原因である。
米国特許第5,394,092号明細書 米国特許第5,892,364号明細書 「無機ガス分析はppbの領域へ PDD高感度分析システム」、[online]、株式会社島津製作所、[平成20年2月29日検索]、インターネット<URL: http://www.an.shimadzu.co.jp/products/gc/pdd.htm> テシュケ(M. Teschke)ほか4名、「ハイ-スピード・フォトグラフス・オブ・ア・ダイエレクトリック・バリア・アトモスフェリック・プレッシャ・プラズマ・ジェット(High-Speed Photographs of a Dielectric Barrier Atmospheric Pressure Plasma Jet)」、アイトリプルイー・トランスアクション・オン・プラズマ・サイエンス(IEEE Transaction on Plasma Science), Vol. 33, No, 2, April 2005, pp. 310-311 グラス(R. Gras)ほか3名、「ガス・クロマトグラフィック・アプリケイションズ・ウィズ・ザ・ダイエレクトリック・バリア・ディスチャージ・ディテクタ(Gas Chromatographic Applications with the Dielectric Barrier Discharge Detector)」、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィック・サイエンス(Journal of Chromatographic Science), Vol. 44, February 2006 ボチェック(P. Bocek)ほか1名、「フレーム・イオナイゼイション・ディテクション(Flame Ionisation Detection)」、クロマトグラフィック・レビュー(Chromatographic Reviews), 15(1971), pp. 111-150 西川、野島、「放電プラズマにより生成したクラスターイオンを用いた気中ウイルス不活性技術」、シャープ技報、第86号、2003年8月、pp. 10-15 静電気学会編、「静電気ハンドブック」、オーム社、2006年11月、pp. 213-214
従来のパルス放電イオン化電流検出器におけるダイナミックレンジの制約要因は明確に解明されているわけでないが、次のような要因が考えられる。即ち、従来の一般的なパルス放電イオン化電流検出器では、数[mm]以下の微小間隔を隔てて配置された電極間に短時間の高電圧パルスを印加することで放電を行い、プラズマを発生させるようにしている。これは、DC放電を改良したものであり、印加電圧をパルス化することでDC放電による電極の発熱やプラズマの不安定性を抑制することを意図している。
しかしながら、その結果として、パルス電圧の立ち上がり、ピーク電圧、立ち下がりといった電圧状態の遷移に伴うプラズマの周期的変動が発生し、それがそのままイオン化の周期的変動を引き起こす。即ち、周期的にしか効率のよい励起が行われていないため、それによって平均的な励起効率が低下し、それに起因するプラズマの不安定性がイオン化の不安定性をもたらすと推定できる。また、周期的なプラズマ状態の変動はバックグラウンドノイズの要因となり得る。こうしたことから、結果的に、従来のパルス放電イオン化電流検出器では検出信号のSN比が十分に上がらず、それがダイナミックレンジの制約要因となっているものと考えられる。
プラズマ状態を定常化するためにはDC放電の代わりに高周波放電を利用することが考えられるが、そうするとプラズマが高温になり、それによる種々の問題の発生が予想される。具体的には、放電電極等が高温になることで発生する熱電子などがプラズマに影響を及ぼし、プラズマ状態を不安定にするおそれがある。また、検出器として耐熱性を考慮した構成・構造が必要となり、大きなコスト増加要因となる。
これに対し、特許文献2、非特許文献3などには、プラズマを生成するために低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器が開示されている(なお、低周波交流励起誘電体バリア放電については非特許文献2などに詳しく報告されている)。低周波交流励起誘電体バリア放電により生成されるプラズマは大気圧非平衡プラズマであり、高周波放電によるプラズマのような高温にはなりにくい。また、パルス高電圧励起によるプラズマのような印加電圧の状態の遷移に伴う周期的な変動も抑えられ、安定した定常的なプラズマ状態が得られ易い。しかしながら、本願発明者らの検討によれば、上記のような低周波交流励起誘電体バリア放電を用いた放電イオン化電流検出器であっても、水素炎イオン化検出器と同程度又はそれを凌ぐダイナミックレンジを達成することは困難である。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、従来のパルス放電イオン化電流検出器はもちろんのこと、従来の低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器に比べて広いダイナミックレンジを確保し、分析感度や分析精度を向上させることができる放電イオン化電流検出器を提供することである。
放電イオン化電流検出器において、気体状の試料分子をイオン化する際の主な励起源は放電やプラズマからの光エネルギーである。光エネルギーによって試料分子がイオン化され、その試料分子イオンがイオン電流検出用電極まで移動してイオン電流に反映される。しかしながら、一般に気体試料分子イオンの寿命はマイクロ秒オーダーと非常に短く、イオン電流検出用電極に到達するまでに消滅する割合が多い。そのため、生成されたイオンの利用効率(イオン電流検出用電極まで到達するイオンの効率)があまり良好ではないために、イオン化効率を改善しても検出感度が上がりにくく、これがダイナミックレンジの抑制要因となっていると考えられる。
一方、水素炎イオン化検出器の水素炎中では、水素及び試料の燃焼によって様々なイオンやラジカルが生成されることが知られている(非特許文献4参照)。イオン電流に関連する主な反応は、水素炎中で試料から発生した炭化水素ラジカルと酸素との次の(1)式のような反応である。
CH + O → CHO+ + e- …(1)
この反応によりCHO+イオンが生成されるが、このイオンは不安定であるため、すぐに水素炎で生成された水分子と次の(2)式のような反応を生じ、ヒドロキソニウム(オキソニウムともいう)イオンH3+を生成する。
CHO+ + H2O → H3+ + CO …(2)
ヒドロキソニウムイオンは水和イオンの一種であり、こうした水和イオンは水和化されていないイオンに比べて一般に寿命が長い。例えば、空気中の放電で生成されたイオンを測定すると水和イオンが大部分を占めることが知られており(非特許文献5、6参照)、これから水和イオンの寿命が相対的に長いことが分かる。水素炎イオン化検出器で検出されるイオン電流の主体はこの水和イオンであり、水和イオンが長寿命であることがダイナミックレンジが相対的に広い要因であると考えられる。
以上のような観点に鑑みて、本願発明者は、低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器において、水素炎イオン化検出器における上記のようなイオン電流の検出メカニズムを利用することで試料成分から生成されたイオンの長寿命化を図り、それによりイオン電流検出用電極へのイオンの到達効率を改善してダイナミックレンジを向上させることに想到した。
即ち、上記課題を解決するために成された発明は、放電により所定ガスからプラズマを発生させる放電生起手段と、該放電生起手段により生起されたプラズマから発せられた光の照射によってイオン化された気体状の試料成分によるイオン電流を検出する検出用電極を含む電流検出手段と、を具備する放電イオン化電流検出器において、
前記光の照射により試料成分がイオン化されるイオン化領域又は該イオン化領域と前記検出用電極との間に水分子を供給するように、水素と空気又は酸素との混合ガスを燃焼させた水素炎を形成する水素炎形成手段、を備えることを特徴としている。
発明に係る放電イオン化電流検出器において、水素炎形成手段により水素と空気又は酸素との混合ガスが燃焼されて水素炎が形成されると、燃焼反応に伴って水分子が生成され、この水分子が、光の照射によって生成された試料分子イオンが多く存在する領域に供給される。水分子と試料分子イオンとが結合すると、試料分子イオンが水和された(試料分子イオンの周囲を水分子が取り囲んだ)水和イオンとなる。或いは、水分子が試料分子イオンと反応してヒドロキソニウムイオンを生成する場合もある。こうした水和イオンは元の気体状の試料分子イオンに比べて寿命が長いため、移動途中であまり消滅することなく検出用電極に効率良く到達し、イオン電流に反映される。
即ち、発明に係る放電イオン化電流検出器では、試料成分のイオン化は放電自体やプラズマから発せられた光の作用により行われるため、有機化合物だけでなく無機物についても高い効率でイオン化することができる。そして、生成された試料由来の各種イオンは水素炎により供給される水分子の作用により水和化されるので、寿命が延び、検出用電極まで効率良く到達することができる。それにより、幅広い物質に対する検出性と高いイオン化効率という放電イオン化電流検出器の利点を活かしながら、生成されたイオンをイオン電流に有効に反映さることができるので、検出感度を向上させることができ、それによってダイナミックレンジを拡大することができる。
発明に係る放電イオン化電流検出器の第1の態様として、前記イオン化領域に供給される試料成分を含む試料ガス流の上流に水素炎が形成されるように前記水素炎形成手段を配設した構成とすることができる。
また発明に係る放電イオン化電流検出器の第2の態様として、前記イオン化領域を経て前記検出用電極に流れるように供給される試料ガス流中であって前記イオン化領域と前記検出用電極との間に前記水素炎が形成されるように前記水素炎形成手段を配設した構成とすることができる。
また発明に係る放電イオン化電流検出器の第3の態様として、前記放電生起手段による放電によりプラズマが生起されるプラズマ生成領域を経て前記イオン化領域に流れるように供給されるプラズマガス流中であって該イオン化領域の上流に水素炎が形成されるように前記水素炎形成手段を配設した構成とすることもできる。
上記第1乃至第3のいずれの態様においても、水素炎で生成された水分子はガス流に乗って試料成分由来のイオンが多く存在する領域に達するので、水分子と試料分子イオンとの接触の機会が多くなり、試料分子イオンの水和化や反応によるヒドロキソニウムイオンの生成の効率を高めることができる。
特に第2の態様においては、試料分子イオンが直接、水素炎中を通るので、水分子との接触の機会は一層多く、試料分子イオンの水和化やヒドロキソニウムイオン生成の効率向上に有利である。
また第1及び第2の態様においては、試料ガスが水素炎中を通過するので、放電やプラズマからの光の作用ではなく、試料成分が水素炎中で燃焼される過程での試料分子イオンの生成も起こる。従って、イオン生成効率自体も向上させることができ、ダイナミックレンジを一層向上させることができる。
発明に係る放電イオン化電流検出器では、好ましくは、前記放電生起手段は、
少なくとも1つの表面が誘電体で被覆された対をなす放電用電極と、
該放電用電極に周波数が1[kHz]〜100[kHz]の範囲である交流電圧を印加する電圧印加手段と、
を備える構成とするとよい。
ここで前記所定ガス、つまりプラズマガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンのいずれか1つ、又はそれらの混合ガスを用いることができる。また、放電用電極の表面を被覆する誘電体として、好ましくは、石英ガラスを用いるとよい。石英ガラスは熱的にも化学的にも安定性が高く、脱ガスも少ないために、プラズマの安定化に寄与する。
上記構成では、低周波交流励起誘電体バリア放電を利用して大気圧非平衡マイクロプラズマを生成し、このプラズマから放出される励起光や励起種の作用により目的とする試料成分をイオン化し、電流検出手段によりそのイオン電流を検出する。放電用電極の少なくとも一方の表面が誘電体に被覆されているため、従来のパルス放電イオン化電流検出器に比べて、プラズマに晒される金属表面が小さい。金属表面がプラズマに晒されると二次電子が放出されるが、この電子がプラズマに作用することでプラズマの状態は変化する。また、プラズマによって金属表面は汚れるが、汚れの進行度合に従ってプラズマ状態は変化する。こうしたことから、金属表面の露出が多いほど、プラズマは不安定になり易い。金属表面を誘電体で被覆した誘電体バリア放電電極構造では、プラズマへの金属表面の露出が少なくなるので、従来の一般的なパルス放電で生成されるプラズマに比べてその安定性を高めることができる。
また、誘電体プラズマ放電により生成される大気圧非平衡プラズマでは、プラズマの急激な発熱が進行する前に電力の供給が一旦遮断されるため、プラズマが高温になりにくい。特に低周波で電力供給がなされると、プラズマ温度は低く維持される。そのため、プラズマに晒される部位の温度上昇も小さく、そうした部位からの熱電子の放出や不純物ガスの放出が軽減される。熱電子や不純物ガスはプラズマ状態の不安定性の要因となるため、こうした要因を除去することでプラズマの安定性を高めることができる。
また、高周波交流励起や極短パルス高電圧励起などの他の放電では、発熱を伴うため、放電用電極の冷却が必要となる。通常、プラズマ発生用のガスを流すことで放電用電極を冷却するようにしており、適宜の放熱量を確保するべく所定の流速以上のガスを流し続ける必要がある。このガス流が確保できなくなると、放電用電極が過熱し、損傷や破壊に至るおそれがある。これに対し、低周波交流励起誘電体バリア放電では発熱が殆どないため、ガス流がない状態でも放電は通常通り維持され、放電用電極が損傷することもない。従って、例えば何らかの異常でガス供給が停止したり流量が落ちたりした場合でも、装置が損傷を受けることなく、高いフェールセーフ性が発揮される。
さらにまた低周波交流励起による大気圧非平衡プラズマでは、パルス高電圧励起によるプラズマのような印加電圧の状態の遷移に伴う周期的な変動も抑えられ、ほぼ定常的なプラズマが得られる。
また、上記構成による放電イオン化電流検出器では、対となる放電用電極の両方の表面を誘電体で被覆されたものとした両側誘電体バリア放電構造と、一方の表面のみを誘電体で被覆されたものとした片側誘電体バリア放電構造と、のいずれかを採用することができる。両側誘電体バリア放電構造では、放電自体の安定性が高く、それによって生成されるプラズマの安定性も高い。従って、前述した理由により、ノイズを低減し、SN比の向上及びダイナミックレンジの拡大に有利である。
一方、片側誘電体バリア放電構造では、両側誘電体バリア放電構造に比べて、プラズマに対する電子の供給量が増加するため、プラズマのエネルギーが上昇する。その結果、励起光や励起種の放出量が増え、イオン化性能の向上が図れる。このため、例えばイオン化ポテンシャルが高くイオン化されにくいガス(例えばN2、CF4など)に対してもイオン化を良好に行い、感度向上を図ることができる。また、片側誘電体バリア放電構造とする場合に、イオン電流検出用電極に近い側の電極表面を誘電体で被覆しない金属とすることで、プラズマから直接的にイオン電流検出用電極に入射する電子やイオン等の荷電粒子を阻止することができる。それによって、こうした荷電粒子に起因する起因するノイズを低減し、SN比を改善することができる。
低周波交流励起誘電体バリア放電による放電イオン化電流検出器では、放電用電極に印加される交流電圧の周波数が1[kHz]未満であると十分なイオン化効率が達成できない。一方、その周波数が100[kHz]を超えるとイオン化効率は改善されるが、プラズマの温度上昇が大きくなり、プラズマに晒される部位の温度が上昇し、それに伴う上述のような問題が顕著になる。そこで、1[kHz]〜100[kHz]という周波数範囲が設定されている。但し、イオン化性能を確保しつつプラズマを低温に維持するためには、より好ましくは、交流電圧の周波数を5[kHz]〜50[kHz]とするとよい。この周波数範囲では、低周波交流励起誘電体バリア放電を用いたことの優位性が特に発揮される。
また上記構成の低周波交流励起誘電体バリア放電による放電イオン化電流検出器では、放電電極とイオン電流検出用の電極との間に補助電極を設け、この補助電極を接地する又は基準電位点に接続するとよい。これにより、プラズマで発生した電子やイオンなどの荷電粒子が補助電極に捕捉され、イオン電流検出用電極に直接的に入射するのを抑制することができる。それによって、ノイズを一層低減し、SN比を改善することができる。この補助電極の効果は、上述した、片側誘電体バリア放電構造でイオン電流検出用電極に近い側の電極表面を誘電体で被覆しない金属とする場合と同様である。従って、片側誘電体バリア電極構造ではなく両側誘電体バリア電極構造との組合せで特に顕著な効果を発揮し得る。
また発明に係る放電イオン化電流検出器において、前記電流検出手段は、対をなす検出用電極と、所定周波数の交流バイアス電圧を前記検出用電極の一方に印加するバイアス電圧印加手段と、前記検出用電極の他方から得られる信号を前記交流バイアス電圧と同じ周波数の参照信号に対しロックイン検出するロックイン検出手段と、を有する構成とするとよい。
即ち、バイアス電圧を交流電圧とすることで、試料成分由来の正イオン又は電子を振動させ、それによって流れる交流電流分を検出する。このようなロックイン検出を行うことで、検出信号は交流バイアス電圧の周波数成分にのみ限定され、それ以外の周波数成分は除去される。これにより、信号線などへ飛び込む電磁波ノイズ、温度変動に起因するノイズ(熱起電力など)といった外乱ノイズを低減することができる。特に温度変動に起因するノイズなどの低周波ノイズ(<10[Hz])は本来の信号成分と同程度の周波数であるため、フィルタなどで除去することは困難であるが、ロックイン検出による周波数帯域制限によればかなり効果的に上記のような低周波ノイズを除去することができる。
上記のようなロックイン検出において、電極や信号ケーブルが持つ寄生容量が交流バイアス電圧で駆動されると不要な電流信号を生成することになる。しかしながら、寄生容量による電流は電圧信号に対しほぼ90°の位相差を持つ一方、試料成分由来のイオン電流による信号成分の位相差はほぼ0°である。そこで、放電生起手段によりプラズマを発生させない状態でロックイン検出出力がゼロになるようにロックイン検出手段の検出位相差を設定しておけば、寄生容量による電流成分を除去し、イオン電流信号のみを正確に検出することができる。
発明に係る放電イオン化電流検出器によれば、放電自体や放電により生成されたプラズマから発する光の作用により生成された試料成分由来のイオンが高い効率でイオン電流に反映されるようになるので、検出感度を向上させ、ダイナミックレンジを拡大することができる。また、試料ガス流中に水素炎が配置される構成とすれば、水素炎による試料成分のイオン化も行われるので、イオン生成効率が向上し、ダイナミックレンジの拡大に一層有利である。
また、低周波交流励起誘電体バリア放電を用いた場合には、試料成分をイオン化するプラズマが安定した定常的な状態を維持するので、試料成分のイオン化も安定的になる。また、放電用電極などから放出される二次電子や熱電子はプラズマ状態に影響を与えるのみならず、より直接的にイオン電流検出用の電極に飛び込んでノイズの要因となり得るが、これが少なくなることでノイズレベルが低下する。これにより、検出されるイオン電流のSN比が改善され、ダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
本発明の参考例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 本発明の他の参考例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 図2の参考例による放電イオン化電流検出器を用いた実測例を示す図。 本発明の他の参考例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 本発明の第1実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 本発明の第2実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 本発明の第3実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 本発明の第4実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。 交流バイアス電圧を周波数0.01[Hz]に設定した場合の電圧−電流曲線の実測例を示す図。 交流バイアス電圧を周波数1[kHz]に設定した場合の電圧−電流曲線の実測例を示す図。 第4実施例の放電イオン化電流検出器を用いた実測例を示す図。 ロックイン出力のノイズ測定例を示す図。
符号の説明
100A、100B、200A、200B、200C、300…放電イオン化電流検出器
2、50…検出セル
3…ガス流路
4…ガス供給口
5…ガス排出口
10、11…誘電体被覆層
12…イオン電流検出用電極(バイアス電圧印加電極)
13…イオン電流検出用電極(イオン電流収集電極)
14…励起用高圧電源
15…バイアス直流電源
16…電流アンプ
17…イオン電流検出部
18…放電
21…円筒管
22…絶縁管
23…合流流路
25…導電性電極
30…分岐排気管
31…排出口
40…イオン電流検出部
41…ロックインアンプ
42…電流アンプ
43…パワーアンプ
51…水素炎形成用ノズル
52…水素供給管
53…噴出口
54…燃焼用空気供給管
55…排気管
56…イオン化領域
57…水素炎
58…試料ガス導入管
6…試料ガス導入流路
7…試料ガス供給口
8、9、9A、9B…プラズマ生成用電極
本発明に係る放電イオン化電流検出器の実施例を具体的に説明するのに先立って、低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器について添付図面を参照して説明する。図1は低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器の一参考例の概略構成図である。
この放電イオン化電流検出器100Aは、セラミックなどの絶縁体から成る検出セル2と、励起用高圧電源14と、イオン電流検出部17と、を備える。検出セル2の内部には、ガス供給口4とガス排出口5とを両端とするガス流路3と、試料ガス供給口7を入口端としてガス流路3の途中に接続される試料ガス導入流路6と、が形成されている。ガス流路3には、ガス流の上流側に1対のプラズマ生成用電極8、9が周設され、ガス流の下流側に1対のイオン電流検出用電極12、13が周設されている。
イオン電流検出用電極12、13はその金属(又は他の導電体)表面がガス流路3内に露出しており、その内部に流通するガスに直接接触する。一方、プラズマ生成用電極8、9は、金属(又は他の導電体)表面に、セラミック、ガラス、ポリマーなどの誘電体被覆層10、11が形成されたものであり、この誘電体被覆層10、11がガス流路3内に露出してガス流路3内に流通するガスに直接接触する。換言すれば、電極8、9の金属自体はガス流路3内に露出していない。
各電極8、9、12、13には検出セル2の外側でそれぞれリード線が接続され、プラズマ生成用電極8は励起用高圧電源14に接続され、もう一方のプラズマ生成用電極9は接地されている。また、イオン電流検出用電極13はイオン電流検出部17に含まれる電荷収集用の電流アンプ16に接続され、もう一方のイオン電流検出用電極12はバイアス直流電源15に接続されている。励起用高圧電源14は低周波の高圧交流電圧を発生するものであり、その周波数は1[kHz]〜100[kHz]の範囲、さらに好ましくは5[kHz]〜50[kHz]の範囲とするとよく、電圧振幅は1[kVp-p]〜10[kVp-p]程度の範囲とするとよい。また、交流電圧の波形形状は、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯状などのいずれでもよい。なお、イオン電流検出方式や形態はこれに限るものでなく、例えばイオン電流検出用電極12、13がガス流路3を横切るように設置された金属線又は金属板である構成とすることもできる。
この放電イオン化電流検出器100Aによる検出動作を説明する。図1中に下向き矢印で示すように、ガス供給口4にはプラズマガスとしてヘリウムが所定流量で供給される。また、図1中に右向き矢印で示すように、試料ガス供給口7には分析対象の成分を含む試料ガスが供給される。プラズマガスとしては、電離され易いガスであればヘリウムのほか、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンなどのうちの1種又はそれらを2種以上混合したガスなどでもよい。ガス流路3中でヘリウムガスと試料ガスとは合流して下方に向かって流れ、最終的にガス排出口5から排出される。
上述したようにヘリウムガスがガス流路3中に流通している状態で、図示しない制御回路からの制御信号により励起用高圧電源14が駆動され、励起用高圧電源14は低周波の高圧交流電圧をプラズマ生成用電極8、9間に印加する。これによってプラズマ生成用電極8、9の間で放電18が起こる。両電極8、9の表面には誘電体被覆層10、11が設けられ、放電18はこの誘電体被覆層10、11を通して行われるため、この放電18は誘電体バリア放電である。この誘電体バリア放電によって、ガス流路3中に流れるヘリウムガスが電離されてプラズマが発生するが、これは大気圧非平衡マイクロプラズマである。
プラズマ生成用電極8、9の金属表面はガス流路3内に露出していないので、この金属表面からの二次電子の放出はなく、プラズマの状態が安定する。また、大気圧非平衡プラズマでは、プラズマの急激な加熱が進行する前に印加電圧による電力の供給が一旦遮断されるため、プラズマが高温になりにくい。しかも、ここでは電力の供給が低周波で行われるため、プラズマの温度が低く維持される。そのため、電極8、9、12、13やガス流路3に面した管路内壁面などの温度上昇が抑えられる。その結果、電極8、9、12、13からの熱電子の放出や管路内壁面などからの不純物ガスの放出が殆どなく、安定したプラズマを形成することができる。
上記のように生成された大気圧非平衡マイクロプラズマから放出された励起光やヘリウム励起種は、ガス流路3中を通して試料ガスが存在する部位まで到達し、その試料ガス中の試料成分分子(又は原子)をイオン化する。こうして生成された試料イオンは、イオン電流検出用電極12に印加されているバイアス直流電圧の作用により、イオン電流検出用電極13で電子を授受する。これにより、生成された試料イオンの量、つまりは試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ16に入力され、電流アンプ16はこれを増幅して検出信号として出力する。このようにして、この放電イオン化電流検出器100Aでは、導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。試料成分分子はプラズマによる励起光やヘリウム励起種の作用でイオン化されるため、上述した理由でプラズマが安定状態を維持することでイオン化も安定的に行われ、安定したイオン電流が得られる。
プラズマ生成用電極8、9に印加する励起電圧の周波数の上昇に伴ってプラズマに注入される電力は大きくなり、イオン化性能は向上する。その反面、この励起電圧の周波数を高くし過ぎると、プラズマの温度上昇も大きくなり、低温プラズマの長所が損なわれる。こうした両者のトレードオフを考慮すると、励起用高圧電源14の周波数として5[kHz]〜50[kHz]とすることは妥当であり、誘電体バリア放電を用いたことの優位性が発揮される。
なお、上記例では、プラズマ生成用電極8、9がいずれも誘電体被覆層10、11を有する両側誘電体バリア放電構造を採用している。こうした両側誘電体バリア放電構造では、放電自体の安定性が高く、プラズマの安定性も高い。これに対し、接地側の電極9の誘電体被覆層11を取り除いて、片側誘電体バリア放電構造としてもよい。片側誘電体バリア放電では、両側誘電体バリア放電に比べて、プラズマに対する電子の供給量が増加するため、プラズマのエネルギーが上昇する。その結果、励起光やヘリウム励起種の放出量が増し、イオン化性能の向上が図れる。このため、イオン化されにくいガスについても検出感度を改善することができる。また、特にガス下流側のプラズマ生成用電極(イオン電流検出部側に近い電極)9の表面を金属とすることで、プラズマから直接的にイオン電流検出用電極12、13に入射する荷電粒子を阻止することができる。それにより、ノイズを低減し、SN比を改善する効果も期待できる。
図2は低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器の他の参考例の概略構成図である。上記参考例の構成と同一又は対応する構成要素には同一符号を付して、構成要素の対応関係を明確化している。
この放電イオン化電流検出器100Bでは、例えば石英などの誘電体から成る円筒管21の内部がガス流路3となっている。一例として、円筒管21の外径は3.9[mm]、内径は2.5[mm]である。この円筒管21の外壁面に互いに所定距離離して金属製のプラズマ生成用電極8、9が配設されている。このプラズマ生成用電極8、9とガス流路3との間には円筒管21の壁面が存在し、誘電体であるこの壁面の一部21a、21bが上記参考例における誘電体被覆層10、11として機能する。上記参考例と同様に、このプラズマ生成用電極8、9間に励起用高圧電源14が接続される。なお、プラズマ生成用電極8、9は例えば銅箔などから成る導電性テープを円筒管21周囲に巻回することで容易に設けることができる。
イオン電流検出用電極12、13は、例えば酸化アルミニウムなどからなる絶縁管22が間に介挿された同軸二重管構造体であり、その二重管の外筒管がバイアス直流電圧印加用のイオン電流検出用電極12、内筒管が電荷収集用のイオン電流検出用電極13となっている。これら内筒管、外筒管は例えば白金製であり、一例として、内筒管の外径は0.7[mm]、外筒管の外径は2.0[mm]、絶縁管22の外径は1.2[mm]、とすることができる。
イオン電流検出用電極13である内筒管の内側が試料ガス導入流路6であり、図2中に上向き矢印で示すように、内筒管の下端の試料ガス供給口7から試料ガス導入流路6中に試料ガスが供給される。円筒管21の上端のガス供給口4に供給されたヘリウムガスはガス流路3を下向きに流通し、試料ガス導入流路6中を上昇してくる試料ガスと合流して、内筒管の外側の絶縁管22と外筒管との間の間隙に形成される合流流路23を下向きに進んでイオン電流検出用電極12である外筒管下端のガス排出口5から吐き出される。
試料ガス中に含まれる試料成分の検出動作は上記参考例と同様である。即ち、ヘリウムをガス流路3中に流通した状態で、プラズマ生成用電極8、9間に、1[kHz]〜100[kHz]で1[kVp-p]〜10[kVp-p]程度の交流電圧を印加する。これにより、壁面の一部21a、21bの誘電体を介して誘電体バリア放電である放電18がガス流路3に発生し、大気圧非平衡マイクロプラズマが生成される。このプラズマから放出される励起光やプラズマ中で生成されるヘリウム励起種の作用により、試料ガス中の試料成分分子がイオン化される。そして、生成された試料イオンにより、イオン電流検出用電極13にイオン電流が流れ、イオン電流検出部17より検出信号が出力される。上記参考例と同様に、安定した大気圧非平衡プラズマが発生することで、試料成分のイオン化を安定して行い、安定した検出信号を取り出すことができる。
図3は図2に示した構成の放電イオン化電流検出器100Bを用いた実測例を示す図である。測定条件は、励起電圧の周波数:10[kHz]、振幅:5.8[kVp-p]、波形形状:両極性の三角波であり、バイアス直流電圧は+100[V]、ヘリウムガスの流量は160[mL/min]である。また、試料ガスは14.3[ng]のメタン(CH4)である。この試料ガスを10[s]間隔で3回パルス的に供給したときの検出信号を描出したのが図3であり、十分に大きな出力電流のピークが得られていることが分かる。
図4は図2に示した構成の変形例である放電イオン化電流検出器の概略構成図である。基本的な構成は図2の構成と同じであるが、さらに、ガス下流側に設置されたプラズマ生成用電極9とイオン電流検出用電極12、13との間のガス流路3中に、白金又は銅線などから成る導電性電極25が設けられ、この導電性電極25は接地されている。導電性電極25を設けることにより、前述したガス下流側のプラズマ生成用電極9表面を金属とした場合と同様に、プラズマで発生した荷電粒子が直接的にイオン電流検出用電極12、13に入射することを阻止することができる。それによって、ノイズを低減し、SN比を改善することができる。
上述したような低周波交流励起誘電体バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器では、パルス放電イオン化電流検出器に比べるとプラズマが安定化され、それにより検出信号のSN比の改善が図れる。しかしながら、試料ガスの濃度が高い場合には、プラズマによる発光光が試料ガス中で減衰してイオン化効率が下がる。また、試料ガスから生成されたイオンの寿命が短いために、イオン生成領域とイオン電流検出用電極との距離が長いと、イオンがイオン電流検出用電極に到達するまでに消滅する割合が多くなり、イオン収集効率が下がる。こうしたことから、ダイナミックレンジを上げることが困難である。こうした点を改善した発明に係る放電イオン化電流検出器の実施例を以下に説明する。
[第1実施例]
発明の第1実施例による放電イオン化電流検出器について説明する。図5はこの第1実施例による放電イオン化電流検出器200Aの概略構成図である。上記各参考例の構成と同一又は対応する構成要素には同一符号を付している。
本実施例の放電イオン化電流検出器200Aは、水素炎形成用ノズル51が配設された略密閉構造の検出セル50を備え、この検出セル50に、内部にガス流路3が形成された石英などの誘電体から成る円筒管21、燃焼用空気供給管54、及び排気管55が接続されている。水素炎形成用ノズル51には水素供給管52が接続され、その接続部よりも下方の流路が試料ガス導入流路6となっている。検出セル50の内部において、水素炎形成用ノズル51の上部には1対のイオン電流検出用電極の一方のイオン電流収集電極13が配設されており、導電体である水素炎形成用ノズル51がバイアス直流電源15に接続され、イオン電流検出用電極の他方のバイアス電圧印加電極12として機能する。また、プラズマ生成用電極8、9A、9Bはガス流路3に沿って3つ配設され、中央のプラズマ生成用電極8に励起用高圧電源14が接続され、この電極8を両側から挟む2つのプラズマ生成用電極9A、9Bは接地されている。
この放電イオン化電流検出器200Aによる検出動作を説明する。図5中に上向き矢印で示すように、試料ガス導入流路6には試料ガスを含むキャリアガスが供給され、このキャリアガスは水素供給管52中の流路に供給された水素ガスと混合される。この混合ガスは水素炎形成用ノズル51の噴出口53から検出セル50内に噴き出し、燃焼用空気供給管54を通して供給される空気(又は酸素)の作用により燃焼して水素炎57を形成する。一方、ガス供給口4にはプラズマガスとしてヘリウムが所定流量で供給される。前述のように、プラズマガスとしては、電離され易いガスであればヘリウムのほか、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンなどのうちの1種又はそれらを2種以上混合したガスなどでもよい。
ヘリウムガスがガス流路3中に流通している状態で、図示しない制御回路からの制御信号により励起用高圧電源14が駆動され、励起用高圧電源14は低周波(1〜100[kHz]、好ましくは5〜50[kHz])の高圧交流電圧(1〜20[kVp-p]程度)をプラズマ生成用電極8、9A、9B間に印加する。これによってプラズマ生成用電極8、9A、9Bの間で誘電体バリア放電である放電18が起こり、ガス流路3中に流れるヘリウムガスが電離されてプラズマが発生する。高電圧が印加される電極8を2つの接地した電極9A、9Bで挟む構造にすることにより、放電で発生したプラズマがガス上流側及び下流側に拡がるのを抑えることができ、実質的なプラズマ生成領域を2つのプラズマ生成用電極9A、9Bの間に制限することができる(文献として、北野ほか、「低周波大気圧マイクロプラズマジェット」、応用物理、Vol.77、 No.4、2008年、 pp. 383-389参照)。
ガス流路3中で発生したプラズマ(及び放電18自体)から放出される光は検出セル50に導入され、イオン電流収集電極13の手前にあるイオン化領域56付近で、噴出口53から噴出する混合ガスの流れに照射される。噴出口53から噴き出す試料ガス中の試料成分は水素炎57中で一部がイオン化されるが、多くはイオン化されずにイオン化領域56に達し、プラズマから放出された励起光の作用により試料成分分子がイオン化される。水素炎57では燃焼により水分子が発生するため、この水分子がイオン化領域56付近で生成された試料分子イオンと結合して水和イオンを生成したり、試料分子イオンと反応して一種の水和イオンであるヒドロキソニウムイオンを生成したりする。
前述したようにヒドロキソニウムイオン等の水和イオンは水和化されていないイオンに比べて長寿命であり、しかもイオン化領域56はイオン電流収集電極13に近い。そのため、試料分子イオンの水和イオンやヒドロキソニウムイオンは、水素炎形成用ノズル51(バイアス電圧印加電極12)とイオン電流収集電極13との間に印加されている50〜300[V]程度の直流バイアス電圧により形成される直流電場の作用により誘引され、イオン電流収集電極13まで効率よく(途中で消滅することなく)到達する。そして、試料分子イオンやヒドロキソニウムイオンはイオン電流収集電極13と電子の授受を行う。これにより、生成された試料イオンの量、つまりは試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ16に入力され、電流アンプ16はこれを増幅して検出信号として出力する。このようにして、この放電イオン化電流検出器200Aでは、導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。
もちろん、プラズマからの励起光等の作用で生成された試料分子イオンのイオン電流収集電極13への到達効率が向上するだけでなく、水素炎57中で試料ガスが燃焼されることで試料分子イオンが生成されることによるイオン化効率の向上も加わって、イオン電流収集電極13には従来の放電イオン化電流検出器に比べて多くの試料分子イオンが到達する。それにより、従来は検出できないような低濃度の試料でも検出が可能となり、ダイナミックレンジを向上させることができる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例による放電イオン化電流検出器について説明する。図6はこの第2実施例による放電イオン化電流検出器200Bの概略構成図である。上記第1実施例及び上記各参考例と同一又は対応する構成要素には同一符号を付している。
この第2実施例では、プラズマ生成用電極8、9A、9Bが周設された円筒管21が排気管を兼ね、検出セル50の天面に、水素炎形成用ノズル51の噴出口53と対向するように接続されている。なお、水素炎形成用ノズル51と円筒管21の接続部との間に配設されたイオン電流収集電極13は円筒形状となっているが、これは電極面積を増やすためである。
第2実施例の放電イオン化電流検出器200Bでは、プラズマガスであるヘリウムガスをガス流路3に供給せず、試料ガスとともに試料ガス導入流路6に供給されたキャリアガスであるヘリウムをプラズマガスとして利用する。即ち、キャリアガスは水素炎形成用ノズル51から検出セル50内に噴き出し、検出セル50内からガス流路3を経てその上端のガス排出口5から吐き出される。この際に、放電18によりヘリウムが電離され、大気圧非平衡マイクロプラズマが発生する。このプラズマから放出される励起光により、水素炎57中を通過した試料分子はイオン化され、さらに水素炎57により生成された水分子の作用により、試料分子イオンの水和イオンやヒドロキソニウムイオンを生成する。これらイオンの検出のメカニズムは第1実施例と同様である。
この第2実施例の構成では、第1実施例に比べて構造が簡単になり、検出セル50にガスを供給する配管も簡素化される。その代わり、水素炎57の燃焼後の排気ガスがガス流路3を通過するため、円筒管21の内壁が汚れ易く、洗浄の頻度を高める必要がある。
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例による放電イオン化電流検出器について説明する。図7はこの第3実施例による放電イオン化電流検出器200Cの概略構成図である。上記第1及び第2実施例並びに上記各参考例と同一又は対応する構成要素には同一符号を付している。
この第3実施例では、プラズマ生成用電極8、9A、9Bが周設された円筒管21が検出セル50ではなく、水素炎形成用ノズル51の入口端に接続されている。また、水素炎形成用ノズル51の先端部付近に、内部に試料ガス導入流路6を有する試料ガス導入管58が接続されている。なお、水素炎形成用ノズル51の内部の流路は、プラズマから放出された光が通過し易いように拡げられている。
第3実施例の放電イオン化電流検出器200Cでは、図7中に上向き矢印で示すように、プラズマガスであるヘリウムガスがガス流路3に供給され、放電18によってプラズマが発生する。水素供給管52を経て供給された水素と試料ガス導入管58を経て供給された試料ガスとは水素炎形成用ノズル51内の流路で混合されるが、そこにプラズマからの励起光が導入されイオン化領域56ともなっている。従って、水素炎形成用ノズル51内のイオン化領域56で試料ガス中の試料分子はイオン化され、試料分子イオンは噴出口53から噴出して直ちに水素炎57中を通過する。その際に、水素炎57で生成された水分子と結合して水和イオンとなったりヒドロキソニウムイオンを生成したりする。そうして生成された水和イオンやヒドロキソニウムイオンがイオン電流収集電極13に到達して検出される。これらイオンの検出のメカニズムは第1実施例と同様である。
[第4実施例]
次に、発明には包含されないものの本発明に関連する実施例(第4実施例)による放電イオン化電流検出器について説明する。図8はこの第4実施例による放電イオン化電流検出器300の概略構成図である。上記第1乃至第3実施例及び上記各参考例と同一又は対応する構成要素には同一符号を付している。この放電イオン化電流検出器300は第1乃至第3実施例のように水素炎を利用したものではなく、主として検出方式の改良によりノイズを減らしてダイナミックレンジを拡大するものである。
第4実施例による放電イオン化電流検出器300の基本的な構造は図2に示した参考例の構造と類似しているが、プラズマ生成用電極8、9A、9Bは上記第1乃至第3実施例と同様に、ガス流路3に沿って3つ配設され、中央のプラズマ生成用電極8に励起用高圧電源14が接続され、この電極8を上下から挟む2つのプラズマ生成用電極9A、9Bは接地されている。上述したように、高電圧が印加される電極を2つの接地した電極で挟む構造にすることにより、放電で発生したプラズマがガス上流側及び下流側に拡がるのを抑えることができ、実質的なプラズマ生成領域を2つのプラズマ生成用電極9A、9Bの間に制限することができる。
また、上方から流れて来るヘリウムガスと下方から流れてくる試料ガスが合流するとともに、試料ガス中の試料成分がイオン化され検出されるイオン電流検出領域と、上記のプラズマ生成領域との間のガス流路3に分岐排気管30が接続され、この分岐排気管30を通して上方から流れてくるヘリウムガスの一部が排出口31から管外へと排出されるようになっている。分岐の割合は分岐部位以降の流路抵抗の比で決まるが、ここでは流路抵抗がほぼ等しくなるように管径や管長などのサイズが設定されており、ガス供給口4からガス流路3に導入されたヘリウムガスの約半分の量が分岐排気管30へと流れ、残りの約半分の量がイオン電流検出領域へ向かう。
微量ではあるが供給されるヘリウムには不純物が混じっており、円筒管21の内壁面などから不純物が放出されることがある。こうした不純物は微量であるがプラズマによって直接励起され易いため、そうして発生したイオンがイオン電流検出用電極12、13に到達するとノイズとなり、検出出力を不安定化させる一因にもなる。これに対し、イオン電流検出領域の手前でプラズマ生成領域を通過してきたヘリウムガスの一部を排出することで、これと一緒に不純物も排出し、イオン電流検出領域にまで達する不純物の量を減らし上記のようなノイズを低減することができる。なお、ヘリウムガスの排出に伴ってプラズマ中で生成されたヘリウム励起種の一部も排出されてしまうが、低周波交流励起誘電体バリア放電の場合、試料成分のイオン化においてプラズマからの励起光の作用が支配的である。そのため、励起光を十分にイオン電流検出領域に到達させさえすれば、イオン化効率は殆ど変わらない。
上述したように第4実施例の放電イオン化電流検出器300において最も大きな特徴は、イオン電流の検出方式である。即ち、この第4実施例では、ロックイン検出方式を採用しており、イオン電流検出部40は、ロックインアンプ41、電流アンプ42、パワーアンプ43を含む。イオン電流検出用電極13は電流アンプ42の入力に接続され、イオン電流検出用電極12はパワーアンプ43の出力に接続されている。図示しないが、ロックインアンプ41は、参照信号を発生させる参照信号生成部、参照信号の位相を調整する移相器、スイッチングにより参照信号に対する測定信号の位相同期検波を行う位相敏感検出器、同期検波信号に対して高周波成分を除去するローパスフィルタなどを含む。
試料ガス中の試料成分をイオン化するまでの動作は基本的に上記参考例と同様であるので説明を省略し、イオン電流の検出動作について説明する。ロックインアンプ41は所定周波数の参照信号を出力し、パワーアンプ43はこれを電力増幅して、交流バイアス電圧としてイオン電流検出用電極12に印加する。これにより、イオン電流検出領域には交流電場が形成され、これにより試料成分由来のイオンは振動してイオン電流検出用電極13に到達する。このイオン電流検出用電極13で得られたイオン化電流信号は電流アンプ42で電流−電圧変換された後にロックインアンプ41に測定信号として入力される。ロックインアンプ41は、測定信号の中から参照信号の周波数と同一の周波数成分を有する信号を取り出す。目的とする試料成分由来のイオンは参照信号と同じ周波数成分を持つ一方、測定系に起因する外乱ノイズ(例えば信号ケーブルへ飛び込む電磁波ノイズ、温度差による熱起電力に由来するノイズなど)の周波数はそれとは異なる。そのため、こうした外乱ノイズを効果的に除去し、高いSN比の検出出力を得ることができる。
ロックイン検出では、参照信号の周波数(ロックイン周波数)と参照信号と測定信号との位相差とを予め設定する必要がある。ロックイン検出では、イオン電流検出用電極12、13及びイオン電流検出部40の各構成要素やそれらを接続する信号ケーブルの寄生容量のために不所望の電流成分が重畳する。
図9は、交流バイアス電圧(つまり参照信号)の周波数を0.01[Hz]に設定して交流バイアス電圧振幅を変化させたときの電流信号を実測した結果である。この場合、周波数が低いので容量成分の電流は殆ど流れず、イオン化電流(数[nA]程度)をほぼそのまま測定できることが分かる。一方、交流バイアス電圧の周波数を1[kHz]に設定した場合、交流バイアス電圧振幅と電流信号との実測結果は図10に示すようになる(図9とは縦軸の目盛りが異なる点に注意)。このようにμAオーダーの大きな容量成分電流が流れてしまう。しかしながら、図10での電圧−電流曲線の形状から明らかなように、この容量成分による電流はバイアス電圧とはほぼ90°の位相差を持っている。一方、試料成分由来のイオン電流による信号成分の位相差はほぼ0°である。従って、プラズマを発生させない状態で電流信号、つまりロックインアンプ41の出力がゼロになるように位相差を予め設定すれば、寄生容量による電流成分を除去し試料成分由来のイオン電流信号のみを抽出することができる。
なお、上記のような寄生容量は装置の構成・構造上決まることが多く、その場合には、例えばこの放電イオン化電流検出器の製造メーカーが出荷前の調整工程において上記位相差の設定を行っておけばよい。他方、寄生容量が装置の構成・構造だけで決まらず、周辺環境の温度等の影響を受ける場合には、プラズマを発生させないウォームアップの段階で、ロックインアンプ41の出力がゼロになるように自動的に位相差を設定すればよい。
図11は第4実施例の放電イオン化電流検出器300を用いた実測例を示す図である。ここでは、イオン電流検出部40の設定条件は、ロックイン周波数:1[kHz]、交流バイアス電圧振幅:80[Vp-p]、電流アンプの変換ゲイン:×105[V/A] とした。また、そのほかの測定条件は、励起電圧の周波数:11[kHz]、振幅:5.4[kVp-p]、波形形状:両極性の三角波であり、ヘリウムガスの流量は95[mL/min]である。また、試料ガスはメタン(CH4)であり、メタン6[ng]を3回シリンジで注入し、その後、大気21[ng]を3回シリンジで注入した際の分析結果が図11である。ピーク強度のばらつきはみられるが、これはシリンジの計量誤差の範囲の程度であり、十分な大きさのロックイン出力信号が得られていることが分かる。
図12はロックイン出力信号のノイズを計測した結果である。10[Hz]未満の低周波ノイズは殆ど観測されず、安定した出力が得られている。図11に示したピーク信号と図12に示したノイズの振幅とに基づいて検出限界を計算すると、メタンに対する検出限界は0.7[pgC/sec](但しSN比=3の場合)となり、水素炎イオン化検出器(検出限界:〜3[pgC/sec])に比べて十分高いSN比で検出できていることが確認できる。これと比較するために、ロックイン検出を行わない場合のイオン電流を直流バイアス電圧が100[V]である条件の下で測定した(他の条件は同一)場合、検出限界は7〜20[pgC/sec]となる。これにより、ロックイン検出によりノイズ低減効果が得られることが確認できる。
測定系に起因する低周波の外乱ノイズは、例えば信号ケーブルなどへ飛び込む電磁波ノイズや本検出器と周囲温度との温度差による熱起電力によるノイズなどである。検出器には試料ガスやプラズマガスを導入したりガスを排出したりするための開口部を設ける必要があるため、こうした開口部を通した外部からのノイズ侵入を完全に抑えることは不可能である。また、低沸点ガスを検出するために検出器は最大400℃程度まで加熱されるため、室温である検出器との間に発生する熱起電力の影響を完全に抑えることも難しい。こうしたことから、低周波ノイズを低減することは困難であるが、上述のようにロックイン検出を用いることで低周波ノイズを十分に抑制し、検出限界を引き下げることができる。
上述したように第4実施例は本発明には包含されないが、第4実施例で採用した検出方式を本発明の実施例である第1乃至第3実施例に適用することもできる。それにより、イオン電流収集電極13に到達する試料由来のイオンの量を増加させる一方、ノイズ(特に低周波ノイズ)を従来よりも低減することができるので、ダイナミックレンジの拡大に一層有利である。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは当然である。

Claims (9)

  1. 放電により所定ガスからプラズマを発生させる放電生起手段と、該放電生起手段により生起されたプラズマから発せられた光の照射によってイオン化された気体状の試料成分によるイオン電流を検出する検出用電極を含む電流検出手段と、を具備する放電イオン化電流検出器において、
    前記光の照射により試料成分がイオン化されるイオン化領域又は該イオン化領域と前記検出用電極との間に水分子を供給するように、水素と空気又は酸素との混合ガスを燃焼させた水素炎を形成する水素炎形成手段、を備えることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  2. 請求項1に記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記イオン化領域に供給される試料成分を含む試料ガス流の上流に水素炎が形成されるように前記水素炎形成手段を配設したことを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  3. 請求項1に記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記イオン化領域を経て前記検出用電極に流れるように供給される試料ガス流中であって、前記イオン化領域と前記検出用電極との間に前記水素炎が形成されるように前記水素炎形成手段を配設したことを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  4. 請求項1に記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記放電生起手段による放電によりプラズマが生起されるプラズマ生成領域を経て前記イオン化領域に流れるように供給されるプラズマガス流中であって該イオン化領域の上流に水素炎が形成されるように前記水素炎形成手段を配設したことを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記放電生起手段は、
    少なくとも1つの表面が誘電体で被覆された対をなす放電用電極と、
    該放電用電極に周波数が1[kHz]〜100[kHz]の範囲である交流電圧を印加する電圧印加手段と、
    を備えることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  6. 請求項5に記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記所定ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンのいずれか1つ、又はそれらの混合ガスであることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  7. 請求項5又は6に記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記誘電体は石英ガラスであることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記電流検出手段は、
    対をなす検出用電極と、
    所定周波数の交流バイアス電圧を前記検出用電極の一方に印加するバイアス電圧印加手段と、
    前記検出用電極の他方から得られる信号を前記交流バイアス電圧と同じ周波数の参照信号に対しロックイン検出するロックイン検出手段と、
    を有することを特徴とする放電イオン化電流検出器。
  9. 請求項8に記載の放電イオン化電流検出器において、
    前記放電生起手段によりプラズマを発生させない状態で前記ロックイン検出手段による検出出力がゼロとなるように該ロックイン検出手段の検出位相差を設定することを特徴とする放電イオン化電流検出器。
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