JP6350391B2 - 放電イオン化検出器 - Google Patents
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Description
(1)Heプラズマの光エネルギーは非常に高い(約17.7eV)。このため、Ne(ネオン)、He以外の殆どの化合物をイオン化して検出することができる。FIDは無機化合物をイオン化することができないため、Heをプラズマ生成用ガスとして用いたBIDは特に無機化合物の検出に有用である。
(2)Arプラズマの光エネルギーはHeプラズマほど高くない(約11.7eV)ため、FIDと同様に無機化合物をイオン化することはできない。しかしながら、それは水に対する感度を有さないことを意味しており、Ar(又はArを微量添加したHe)をプラズマ生成用ガスとして用いたBIDでは、水溶液中の有機化合物の測定に際し、非常に量が多い溶媒である水の影響を受けることなく、微量な有機化合物を感度良く検出できるという利点がある。
前記絶縁性部材の前記ガス流路に面した表面全体、又はその表面の中で前記対となる電極を繋ぐ任意の経路を遮断し得る領域に、前記プラズマから発せられた光が当たることを阻止する遮光部、を備えることを特徴としている。
対となる電極はガス流路中のガスの流れ方向に沿って離して配置され、
該対となる電極のうちガス上流側に配置された電極を絶縁性部材よりもガス流路内方へと突出するように設けることで、その突出した部分を遮光部として機能させる構成としている。
対となる電極はガス流路中のガスの流れ方向に沿って離して配置され、
該対となる電極の間に挟まれた絶縁性部材にあってガス上流側に位置する部分をそれよりもガス下流側に位置する部分よりもガス流路内方へと突出する形状とすることで、その突出した部分を遮光部として機能させる構成としている。
[第1実施例]
図1は第1実施例のBIDの概略構成図、図2はこの実施例のBIDにおけるイオン収集部の拡大図である。
図1中に矢印で示すように、第1ガス流路2中にはガス供給管6を通してプラズマ生成用ガスが所定流量で以て供給される。プラズマ生成用ガスは電離され易いガスであり、典型的にはHeであるが、Ar、N2、Ne、Xe、Krなど、又はそれらの混合ガスでもよい。プラズマ生成用ガスは第1ガス流路2中を下向きに流れ、一部はバイパス排気管10を通して外部に排出され、その残りは希釈ガスとして第2ガス流路8中を下向きに流れ試料排気管17を通して外部に排出される。一方、試料成分を含む試料ガスは試料導入管18を通して供給され、その末端の吐出口から第2ガス流路8中に吐き出される。試料ガスは希釈ガスの流れ方向とは逆方向に吐き出されるが、図1中に矢印で示すように、試料ガスはすぐに希釈ガスによって押し返され、希釈ガスと合流して下方向に進む。
図3は本発明の第2実施例のBIDにおけるイオン収集部の拡大図である。図1、図2に示したBIDと同じ構成要素には同じ符号を付している。
この第2実施例のBIDでは、バイアス電極12と絶縁性部材13との位置関係は第1実施例と同じであり、バイアス電極12による遮光のために絶縁性部材13の表面13aにプラズマからの光が殆ど入射しない点は第1実施例と同じである。
図4は本発明の第3実施例のBIDにおけるイオン収集部の拡大図である。この第3実施例のBIDでは、バイアス電極12、絶縁性部材13、及び収集電極14の内径は同一であり、別の遮光部材30が第2ガス流路8内に挿設されている。遮光部材30は円筒体の一開放端面にフランジが形成された形状であり、例えば加工性セラミックなどの絶縁体からなる。この第3実施例のBIDでは、プラズマから放出された光は遮光部材30の円筒体で遮光され、絶縁性部材13の表面13aには直接照射されない。したがって、上記各実施例と同様に、バイアス電極12と収集電極14との間のリーク電流が抑えられ、それによって検出信号におけるベースライン電流を低減することができる。
図5は本発明の第4実施例のBIDにおけるイオン収集部の拡大図、図6(a)は図5においてバイアス電極12、絶縁性部材130及び収集電極14をガスの流れ方向(図5の縦方向)の1箇所で直線状に切断して展開した図、図6(b)は絶縁性部材130の部分的な断面拡大図である。
図7は本発明の第5実施例のBIDにおけるイオン収集部の拡大図である。上記第4実施例のBIDでは絶縁性部材130に窪み130aを形成している代わりに、この第5実施例のBIDでは、絶縁性部材131に全周に亘って第2ガス流路8の内方に突出する突起131aを設けている。プラズマから発せられた光はこの突起131aによって遮られ、その突起131aよりもガス下流側の表面131bには光が直接当たらない。これによって、第4実施例と同様に、絶縁性部材131の表面には帯状に光が直接当たらない領域が形成され、この領域の電気抵抗は下がらないためリーク電流の増加は抑えられる。
図8は本発明の第6実施例のBIDにおけるイオン収集部における第2ガス流路の横断面図である。この実施例のBIDでは、バイアス電極12と収集電極14とはそれぞれ円筒形状体を軸方向に切断した部分円筒状であり、バイアス電極12と収集電極14との間に同じく部分円筒状の絶縁性部材132が設けられている。そして、バイアス電極12、収集電極14、及び二つの絶縁性部材132によって、内部に第2ガス流路8が形成される円筒形状体が構成される。円筒形状体の上部には、この円筒形状体と誘電体円筒管(図1における誘電体円筒管1)とを接続する接続部(図1における接続部9)が設けられるが、その接続部の内周の形状は図8中に点線で示すように円形ではなく、一部が直線状に内方に膨出した形状(図8中の符号9a)となっている。この直線状の膨出部分がプラズマから発せられた光を遮る遮光部として機能し、絶縁性部材132の周方向の一部には光が直接的に照射されない。その結果、第4、第5実施例と同様に、光が直接的に当たらない絶縁性部材132の表面では電気抵抗が下がらず、リーク電流の増加は抑えられる。
上記第3実施例のBIDの構成において、遮光部材30を設けた場合と設けない場合(つまりは従来のBID)とで検出器感度とベースライン電流とを実測した結果を表1に示す。なお、この実測ではプラズマ生成用ガスとしてArを用いた。
また、上記各実施例は本発明の一例にすぎず、上記記載した以外の点について、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても、本願特許請求の範囲に包含されることも当然である。
2…第1ガス流路
3、4、5…プラズマ生成用電極
6…ガス供給管
7…励起用高圧交流電源
8…第2ガス流路
9…接続部
10…バイパス排気管
11、13、15、130、131、132…絶縁性部材
131a…突起
13a、131b…表面
12…バイアス電極
14…収集電極
16…管路末端部
17…試料排気管
18…試料導入管
19…シール部
20…イオン電流検出部
21…バイアス直流電源
22…電流アンプ
Claims (4)
- 所定のガスが流通するガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記ガスからプラズマを生成するプラズマ生成部と、前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に試料ガスを導入する試料ガス導入部と、前記プラズマから発せられた光によって前記試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集するために、前記ガス流路中で前記プラズマの生成領域よりガス下流側に間に絶縁性部材を挟んで配置された対となる電極を含むイオン検出部と、を具備する放電イオン化検出器において、
前記絶縁性部材の前記ガス流路に面した表面全体、又はその表面の中で前記対となる電極を繋ぐ任意の経路を遮断し得る領域に、前記プラズマから発せられた光が当たることを阻止する遮光部、を備えることを特徴とする放電イオン化検出器。 - 請求項1に記載の放電イオン化検出器であって、
前記対となる電極はガス流路中のガスの流れ方向に沿って離して配置され、
該対となる電極のうちガス上流側に配置された電極を前記絶縁性部材よりもガス流路内方へと突出するように設けることで、その突出した部分を前記遮光部として機能させることを特徴とする放電イオン化検出器。 - 請求項2に記載の放電イオン化検出器であって、
前記対となる電極のうち、ガス下流側に配置された電極は、前記絶縁性部材よりもガス流路内方へと突出するように設けられた電極よりもガス流路外方へと後退するように設けられていることを特徴とする放電イオン化検出器。 - 請求項1に記載の放電イオン化検出器であって、
前記対となる電極はガス流路中のガスの流れ方向に沿って離して配置され、
該対となる電極の間に挟まれた絶縁性部材にあってガス上流側に位置する部分をそれよりもガス下流側に位置する部分よりもガス流路内方へと突出する形状とすることで、その突出した部分を前記遮光部として機能させることを特徴とする放電イオン化検出器。
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