JP6303307B2 - 電気泳動装置、電気泳動装置の製造方法、及び電子機器 - Google Patents

電気泳動装置、電気泳動装置の製造方法、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動装置、電気泳動装置の製造方法、及び電子機器に関する。
上記電気泳動装置では、電気泳動材料を挟んで対向する画素電極と共通電極と間に電圧を印加して、帯電した黒粒子や白粒子等の電気泳動粒子を空間的に移動させる事で表示領域に画像を形成している。電気泳動装置としては、例えば、特許文献1に記載のように、一対の基板間を隔壁(スペーサー)によって複数の空間に区画し、各空間内に電気泳動粒子および分散液を含む電気泳動分散液を封入した構成のものが知られている。
電気泳動装置は、例えば、0℃以下(例えば、−30℃程度)では分散媒(例えば、アイソパー)の粘度が上昇することにより、電気泳動粒子の動きが悪くなり、書き換え速度が低下するという問題があった。そこで、0℃以下の温度でも粘度上昇が抑えられた分散媒として、シリコーンオイルが用いられている。
特開平2−284126号公報
しかしながら、電気泳動装置を製造する際、一方の基板上に隔壁を形成した後、隔壁で囲まれた中に分散液であるシリコーンオイルを入れ、その後、他方の基板で隔壁上を封止すると、余分なシリコーンオイルが、一対の基板を貼り合わせるためのシール材を乗り越え、シール材における他方の基板との接触部分にシリコーンオイルが付着する。よって、他方の基板との接着性が悪くなり、一方の基板と他方の基板とが剥がれやすくなるという課題がある。
また、一対の基板を貼り合せた際に、分散液の量が少ないと分散液と他方の基板との間に気泡が入ったり、分散液の量が多いとシール材から外部に分散液が溢れたりして、表示不良を起こすという課題がある。
本発明の態様は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る電気泳動装置は、対向配置された第1基板及び第2基板との間に設けられ、隔壁で複数のセルに区切られた分散媒を有する電気泳動層と、前記電気泳動層と前記第2基板との間、及び前記隔壁と前記第2基板との間に設けられた接合層と、平面視で前記電気泳動層の周囲に設けられた額縁隔壁と、前記額縁隔壁と前記第2基板との間に設けられたシール材と、平面視で前記電気泳動層と前記額縁隔壁との間に設けられた液溜り部と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、電気泳動層(表示領域)と額縁隔壁との間に液溜り部が設けられているので、第1基板と第2基板とを貼り合せた際、電気泳動層から溢れた分散媒を液溜り部に溜めることができる。よって、分散媒が額縁隔壁の上に設けられたシール材を超えて外部に溢れることを抑えることが可能となり、第2基板と貼り合わされるシール材の接着強度が低下することを抑えることができる。更に、電気泳動層の外側に液溜り部が設けられているので、分散媒の液量が少ない場合に気泡が発生したとしても、気泡を液溜り部の領域に留めることにより、表示に影響を与えることを防ぐことができる。
[適用例2]上記適用例に係る電気泳動装置において、前記接合層の端部と前記液溜り部とが平面視で重なることが好ましい。
本適用例によれば、接合層の端部と液溜り部とが平面視で重なるように配置されているので、接合層の大きさにばらつきが生じたとしても、接合層が表示領域に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
[適用例3]上記適用例に係る電気泳動装置において、前記隔壁と前記額縁隔壁とは同じ材料であることが好ましい。
本適用例によれば、同じ材料によって隔壁と額縁隔壁とが構成されているので、同じ工程で製造することが可能となり、効率よく製造することができる。
[適用例4]上記適用例に係る電気泳動装置において、前記分散媒は、シリコーンオイルであることが好ましい。
本適用例によれば、シリコーンオイルを用いることにより、低温(例えば、−30℃程度)であっても電気泳動層に含まれる電気泳動粒子を動作させることが可能となり、切り替え速度が低下することを抑えることができる。
[適用例5]本適用例に係る電気泳動装置の製造方法は、第1基板上の表示領域に複数のセルに区切るための隔壁、及び前記表示領域の外側に前記表示領域を囲むように前記隔壁から所定の間隔をあけて額縁隔壁を形成する工程と、前記額縁隔壁の上にシール材を塗布する工程と、前記表示領域に電気泳動粒子を含む分散媒を前記シール材の上面より低い高さになるように供給する工程と、大気圧より低い圧力下で、前記第1基板と対向配置される第2基板を前記第1基板に近づけ、前記第2基板と前記シール材とを接触させる工程と、前記圧力下で前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とする。
本適用例によれば、分散媒の上面よりシール材の上面の方が高くなるように分散媒を供給するので、第1基板と第2基板とを貼り合わせたとき、分散媒より先にシール材が第2基板と接触する。よって、第2基板と貼り合わされるシール材の部分の接着強度が低下することを抑えることができる。また、表示領域と額縁隔壁との間に隙間(液溜り部)を残すので、第1基板と第2基板とを貼り合せた際、供給した分散媒の量が多い場合には、隙間に溜めることが可能となり、分散媒が外部に溢れることを防ぐことができる。一方、供給した分散媒の量が少なく気泡が発生した場合には、気泡を隙間の領域に留めることにより、表示に影響を与えないようにすることができる。
[適用例6]本適用例に係る電子機器は、上記の電気泳動装置を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、上記の電気泳動装置を備えているので、表示品質が低下することを抑えることが可能な電子機器を提供することができる。
電気泳動装置が搭載された電子機器の斜視図。 電気泳動装置の電気的な構成を示す等価回路図。 電気泳動装置の構造を示す模式平面図。 図3に示す電気泳動装置のA−A’線に沿う模式断面図。 電気泳動装置のうち主に液溜り部及び額縁隔壁の構造を示す模式平面図。 図5に示す電気泳動装置のB−B’線に沿う模式断面図。 電気泳動装置の製造方法を工程順に示すフローチャート。 電気泳動装置の製造方法のうち一部の製造方法を示す模式断面図。 電気泳動装置の製造方法のうち一部の製造方法を示す模式断面図。 変形例のシール部の構造を示す模式図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
<電子機器の構成>
図1は、電気泳動装置が搭載された電子機器の斜視図である。以下、電気機器の構成を、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、電子機器100は、電気泳動装置10と、電子機器100を操作するためのインターフェイスとを備えている。インターフェイスとは、具体的には操作部110で、スイッチなどから構成される。
電気泳動装置10は、表示領域Eを有するディスプレイモジュールである。表示領域Eは複数の画素から成り、これらの画素が電気的に制御される事で表示領域Eに画像が表示される。
なお、電気泳動装置10を備えた電子機器として、電子ペーパー(EPD:Electronic Paper Display)に適用するようにしてもよい。
<電気泳動装置の電気的な構成>
図2は、電気泳動装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、電気泳動装置の電気的な構成を、図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、電気泳動装置10は、複数のデータ線12と、複数の走査線13とを有し、データ線12と走査線13とが交差する部分に画素11が配置される。具体的には、電気泳動装置10は、データ線12と走査線13とに沿ってマトリクス状に配置された複数の画素11を有している。各画素11は、画素電極21と共通電極22との間に配置された電気泳動粒子を含む分散媒15を有する。
画素電極21は、トランジスター16(TFT16)を介してデータ線12に接続されている。また、TFT16のゲート電極は、走査線13に接続されている。なお、図2は、例示であり、必要に応じて保持容量などの他の素子が組み込まれてもよい。
<電気泳動装置の構造>
図3は、電気泳動装置の構造を示す模式平面図である。図4は、図3に示す電気泳動装置のA−A’線に沿う模式断面図である。以下、電気泳動装置の構造を、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3及び図4に示すように、電気泳動装置10は、第1基板としての素子基板51と、第2基板としての対向基板52と、電気泳動層33とを有する。素子基板51を構成する、例えば透光性を有するガラス基板からなる第1基材31上には、各画素11毎に画素電極21が配置されている。
詳述すると、図3及び図4に示すように、画素11(画素電極21)は、例えば、平面視でマトリクス状に形成されている。画素電極21の材料としては、例えば、ITO(錫を添加した酸化インジウム:Indium Tin Oxide)などの光透過性材料が用いられる。
第1基材31と画素電極21との間には、図示しない回路部が設けられており、回路部の中にTFT16などが形成されている。TFT16は、図示しないコンタクト部を介して、各画素電極21と電気的に接続されている。なお、図示しないが、回路部の中には、TFT16の他、各種配線(例えば、データ線12や走査線13など)や素子(例えば、容量素子)などが配置されている。画素電極21上を含む第1基材31上の全面には、第1絶縁層32が形成されている。
対向基板52を構成する、例えば透光性を有するガラス基板からなる第2基材41上には、複数の画素11に対して共通した(全面ベタ状の)共通電極22が形成されている。共通電極22としては、例えば、ITOなどの光透過性材料が用いられる。共通電極22上の全面には、第2絶縁層42が形成されている。
第1絶縁層32と第2絶縁層42との間には、電気泳動層33が設けられている。電気泳動層33を構成する電気泳動粒子34を含む分散媒15は、第1絶縁層32と、第2絶縁層42と、第1基材31上に設けられた隔壁35と、により仕切られた空間に充填されている。隔壁35は、図3に示すように、碁盤目状に形成されている。なお、隔壁35は、透光性材料(アクリルやエポキシ樹脂など)であることが好ましい。隔壁35の厚みは、例えば、5μmである。
図4においては、電気泳動粒子34として白色粒子と黒色粒子とを示してある。例えば、画素電極21と共通電極22との間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、電気泳動粒子34はいずれかの電極(画素電極21、共通電極22)に向かって電気泳動する。例えば、白色粒子が正荷電を有する場合、画素電極21を負電位とすると、白色粒子は、画素電極21側(下側)に移動して集まり、黒表示となる。
逆に、画素電極21を正電位とすると、白色粒子は、共通電極22側(上側)に移動して集まり、白表示となる。このように、表示側の電極に集合する白色粒子の有無や数等に応じて、所望の情報(画像)が表示される。なお、ここでは、電気泳動粒子34として白色粒子や黒色粒子を用いたが、他の有色粒子を用いてもよい。
また、電気泳動粒子34としては無機顔料系の粒子、有機顔料系の粒子または高分子微粒子等を用いることができ、各種粒子を2種以上混合して用いてもよい。電気泳動粒子34の径は、例えば、0.05μm〜10μm程度のものを用い、好ましくは、0.2μm〜2μm程度のものを用いる。
また、分散媒15に対する割合は、例えば、5wt%〜90wt%程度で調整し、好ましくは、10wt%〜80wt%程度に調整する。分散媒15の材料に制限はないが、例えば、シリコーンオイル、芳香族系炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、アイソパー、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、リン酸エステル類、フタル酸エステル類、カルボン酸エステル類、塩素化パラフィン等を用いることができる。
本実施形態では、−30℃程度の温度でも電気泳動粒子34の移動が可能なシリコーンオイルを用いる。ただし、シリコーンオイルは、シール材14bに付着することにより、シール材14bによる接着性を著しく低下させる面もある。
なお、以降においては、隔壁35によって囲まれた領域をセル36と呼ぶ。一つのセル36は、画素電極21、共通電極22、電気泳動層33を含む。
<液溜り部及び額縁隔壁の構造>
図5は、電気泳動装置のうち主に液溜り部及び額縁隔壁の構造を示す模式平面図である。図6は、図5に示す電気泳動装置のB−B’線に沿う模式断面図である。以下、電気泳動装置のうち主に液溜り部及び額縁隔壁の構造を、図5及び図6を参照しながら説明する。なお、絶縁層や配線、電極などの図示は省略する。
図5及び図6に示すように、電気泳動装置10は、表示領域Eを囲むようにシール部14が設けられている。表示領域Eとシール部14との間には、液溜り部61が表示領域Eを囲むように設けられている。
シール部14は、素子基板51と対向基板52とを貼り合わせるために用いられ、素子基板51側に額縁隔壁14aが配置されており、対向基板52側にシール材14bが配置された、二階構造になっている。額縁隔壁14aの幅W1は、例えば、450μmである。シール材14bの幅は、額縁隔壁14aの幅W1と略等しい幅になっている。なお、シール材14bは、額縁隔壁14aの側面を覆うように配置するようにしてもよい。
額縁隔壁14aの上面までの高さは、表示領域Eに配置された隔壁35の上面までの高さと比較して低くなるように設定されている。具体的には、素子基板51と対向基板52とを貼り合せた際、額縁隔壁14aと対向基板52との間にシール材14bが残るようにする。これにより、シール材14bによる接着強度を維持することができる。シール材14bの厚みは、例えば、2μm〜5μmである。
シール部14と表示領域Eとの間には、液溜り部61が設けられている。液溜り部61の表示領域E側には隔壁35aが設けられ、外側には額縁隔壁14aが設けられている。言い換えれば、隔壁35aと額縁隔壁14aとによって囲まれた空間が液溜り部61となる。
液溜り部61は、余分な分散媒15を溜めるために設けられていると共に、気泡が表示領域Eに滞留しないようにするために設けられている。つまり、液溜り部61の領域には、気泡があってもよい。これにより、表示領域Eにおける見栄えが悪くなることを抑えることができる。言い換えれば、液溜り部61は、分散媒15の量のばらつきによって生じる不具合を吸収する領域である。液溜り部61の幅は、例えば、300μmである。このときの表示領域Eのサイズとしては、例えば、20mm×25mmである。
表示領域Eにおける隔壁35の上部と対向基板52との間には、分散媒15が隣接するセル36とセル36との間で行き来できないようにするための接合層62が設けられている。具体的には、接合層62は透明樹脂で構成されており、隔壁35の上部を接合層62に食い込ませている。接合層62の厚みは、電界の妨げにならない程度がよく、例えば、2μm〜6μmである。隔壁35の接合層62への食い込み量は、例えば、0.5μm〜1μmである。
接合層62の端部62aは、例えば、表示領域Eの最外周の隔壁35aと額縁隔壁14aとの間、つまり、液溜り部61の範囲に配置されている。接合層62は、表示領域Eより一回り大きく、大きさにばらつきが生じたとしても、表示領域Eに端部62aが配置されない大きさになっている。
また、シール部14の外側には、素子基板51と対向基板52との間の封止性を高めるために、モールド樹脂などからなる封止材63が設けられている。封止材63の幅は、例えば、250μmである。以下、電気泳動装置10の製造方法を説明する。
<電気泳動装置の製造方法>
図7は、電気泳動装置の製造方法を工程順に示すフローチャートである。図8及び図9は、電気泳動装置の製造方法のうち一部の製造方法を示す模式断面図である。以下、電気泳動装置の製造方法を、図7〜図9を参照しながら説明する。
最初に、図7を参照しながら、素子基板51の製造方法を説明する。ステップS11では、ガラス等の透光性材料からなる第1基材31上に、TFT16や、ITOなどの光透過性材料からなる画素電極21などを形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、第1基材31上にTFT16及び画素電極21などを形成する。なお、以降の断面図を用いた説明においては、TFT16や画素電極21などの説明及び図示を省略する。
ステップS12では、第1基材31上に第1絶縁層32を形成する。第1絶縁層32の製造方法としては、例えば、第1基材31上に絶縁性材料をスピンコート法などを用いて塗布し、その後、絶縁性材料を乾燥させることにより形成することができる。
ステップS13では、図8(a)に示すように、第1基材31(具体的には、第1絶縁層32)上に隔壁35を形成する。具体的には、表示領域Eの隔壁35と、表示領域Eの最外周の隔壁35aと、その外側に設ける額縁隔壁14aと、を形成する。隔壁35,35a,14aは、例えば、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成することができる。以上により、素子基板51が完成する。
隔壁35は、分散媒15に溶解しない材質からなり、その材質は有機物か無機物かは問われない。具体的に、有機物材料の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げられる。これらの樹脂単体又は二種類以上の複合剤を使用する。
続いて、対向基板52の製造方法を説明する。ステップS21では、第2基材41上に共通電極22を形成する。具体的には、ガラス基板などの透光性材料からなる第2基材41上の全面に、周知の成膜技術を用いて共通電極22を形成する。
ステップS22では、共通電極22上に第2絶縁層42を形成する。第2絶縁層42の形成方法としては、例えば、上記した第1絶縁層32と同様にして形成することができる。
ステップS23では、第2絶縁層42上に接合層62を形成する。接合層62の形成方法は、塗布法や印刷法などを用いて形成する。以上により、対向基板52が完成する。続いて、図7〜図9を参照しながら、素子基板51と対向基板52とを貼り合わせる方法を説明する。
まず、ステップS31では、図8(b)に示すように、額縁隔壁14aの上にシール材14bを塗布する。シール材14bの幅は、素子基板51と対向基板52とを貼り合せたときに、額縁隔壁14aから大きくはみ出さないようにするために、例えば、額縁隔壁14aの幅より狭くなるように塗布する。また、シール材14bの高さは、素子基板51と対向基板52とを貼り合せる際に、先にシール材14bと対向基板52とが接触するように、表示領域Eに塗布する分散媒15の高さより高くなるように塗布する。
ステップS32では、図8(c)に示すように、素子基板51上の表示領域Eに電気泳動粒子34を有する分散媒15を塗布する。分散媒15の量としては、素子基板51と対向基板52とを貼り合せたときに、額縁隔壁14a及びシール材14bで囲まれた中を満たすような液量である。
ステップS33では、図9(d)に示すように、素子基板51と対向基板52との貼り合わせを開始する。なお、気泡レスのパネルにしたいため、真空状態で行う。しかし、シリコーンオイルは揮発性が高いので、大気圧より低い低真空の状態にする。圧力は、例えば、500Paである。分散媒15の上面の高さより、シール材14bの上面の高さの方が高いので、素子基板51に対向基板52を近づけると、まず、シール材14bが対向基板52に接触する。
シール材14bが分散媒15より先に対向基板52に接触することにより、その後、対向基板52と分散媒15とが接触して分散媒15が対向基板52の表面に濡れ広がっても、シール材14bより外側に出ることを防ぐことができる。よって、対向基板52と接触するシール材14bの部分に分散媒15が接触することを防ぐことができ、シール材14bと対向基板52との接着強度が低下することを抑えることができる。
ステップS34では、図9(e)に示すように、素子基板51と対向基板52との間に分散媒15を封止する。素子基板51に対向基板52を押圧していくと、シール材14bが潰されると共に、分散媒15が額縁隔壁14a及びシール材14b側に押され充填される。そして、素子基板51と対向基板52との間に空気が入った場合には、空気が液溜り部61の方に逃げていく。
このとき、表示領域Eに設けられた隔壁35の上部は、対向基板52側に設けられた接合層62に食い込むことにより、隣接するセル36間で分散媒15が移動することを防ぐことができる。シール材14bは、紫外線硬化型樹脂であれば紫外線を照射して硬化(接着)させる。また、熱硬化型樹脂であれば、加熱することにより硬化(接着)させる(ステップS35)。素子基板51と対向基板52とを貼り合せたときのセルギャップは、例えば、30μmである。
更に、図9(f)に示すように、額縁隔壁14a及びシール材14bの外周に封止材63を形成する。封止材63は、アクリルやエポキシ樹脂などである。以上により、素子基板51と対向基板52とによって挟持された空間が封止される。その後、必要に応じて、製品の形状に切断し、電気泳動装置10を完成させる。
以上詳述したように、本実施形態の電気泳動装置10、電気泳動装置10の製造方法、及び電子機器によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態の電気泳動装置10によれば、表示領域Eの電気泳動層33と額縁隔壁14aとの間に液溜り部61が設けられているので、素子基板51と対向基板52とを貼り合せた際、電気泳動層33から溢れた分散媒15を液溜り部61に溜めることができる。よって、分散媒15が額縁隔壁14aの上に設けられたシール材14bを超えて外部に溢れることを抑えることが可能となり、対向基板52と貼り合わされるシール材14bの接着強度が低下することを抑えることができる。更に、電気泳動層33の外側に液溜り部61が設けられているので、分散媒15の液量が少ない場合に気泡が発生したとしても、気泡を液溜り部61に留めることにより、表示に影響を与えることを防ぐことができる。
(2)本実施形態の電気泳動装置10によれば、同じ材料で隔壁35,35a及び額縁隔壁14aが構成されているので、同じ工程で製造することが可能となり、効率よく製造することができる。
(3)本実施形態の電気泳動装置10によれば、分散媒としてシリコーンオイルを用いていることにより、低温(例えば、−30℃)であっても電気泳動層33に含まれる電気泳動粒子34を動作させることが可能となり、切り替え速度が低下することを抑えることができる。
(4)本実施形態の電気泳動装置10の製造方法によれば、塗布した分散媒15の上面よりシール材14bの上面の方が高くなるように分散媒15を供給するので、素子基板51と対向基板52とを貼り合わせたとき、分散媒15より先にシール材14bが対向基板52と接触する。よって、対向基板52と貼り合わされるシール材14bの部分の接着強度が低下することを抑えることができる。また、表示領域Eと額縁隔壁14aとの間に隙間を残すので、素子基板51と対向基板52とを貼り合せた際、供給した分散媒15の量が多い場合には、隙間(液溜り部61)に溜めることが可能となり、分散媒15が外部に溢れることを防ぐことができる。一方、供給した分散媒15の量が少なく気泡が発生した場合には、気泡を隙間(液溜り部61)に留めることにより、表示に影響を与えないようにすることができる。
(5)本実施形態の電子機器によれば、上記の電気泳動装置10を備えているので、表示品質の低下が抑えられた電子機器を提供することができる。
なお、本発明の態様は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、本発明の態様の技術範囲に含まれるものである。また、以下のような形態で実施することもできる。
(変形例1)
上記したように、シール部14は、額縁隔壁14aの上にシール材14bが配置された構造であることに限定されず、図10に示すように構成してもよい。図10(a)は、電気泳動装置の構成を示す模式平面図である。図10(b)は、図10(a)に示す電気泳動装置のC−C’線に沿う模式断面図である。
図10(a)、(b)に示すように、額縁隔壁14aは、表示領域E側に第1額縁隔壁14a1が表示領域Eを囲むように配置されている。また、額縁隔壁14aは、第1額縁隔壁14a1を囲むように、第1額縁隔壁14a1から所定の間隔を空けて第2額縁隔壁14a2が配置されている。つまり、二重に額縁隔壁(14a1,14a2)が配置されている。
第1額縁隔壁14a1の上、第2額縁隔壁14a2の上、及び第1額縁隔壁14a1と第2額縁隔壁14a2との間には、シール材14bが配置されている。
このように額縁隔壁14a及びシール材14bを構成することにより、シール材14bを介して額縁隔壁14a1,14a2と対向基板52とを接着する接着面積を広げることが可能となり、素子基板51と対向基板52との貼り合わせ強度を向上させることができる。また、シール材14bの量が多く塗布されたとき、第1額縁隔壁14a1と第2額縁隔壁14a2との間に入り込むことにより、シール材14bの幅より外側に出て悪影響を与えることを抑えることができる。その結果、封止を安定させることができる。
(変形例2)
上記したように、分散媒としてシリコーンオイルを用いるようにしたが、用いる温度環境に応じて、シリコーンオイル以外の分散媒を用いるようにしてもよい。
(変形例3)
上記したように、隔壁35によって囲まれたセル36の形状は、平面視で格子状であることに限定されず、例えば、ハニカム形状(六角形)であってもよい。なお、格子形状やハニカム形状に限定されず、その他の多角形状、丸形状、三角形状などの形状であってもよい。
(変形例4)
上記したように、隔壁35をフォトリソグラフィ法を用いて形成することに限定されず、例えば、ナノインプリント法やスクリーン印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法などの印刷プロセスで形成するようにしてもよい。
(変形例5)
上記したように、シール材14bの幅は、額縁隔壁14aの幅W1と同じ、もしくは幅W1以上にすることに限定されず、シール材14bの接着性が維持できればよく、幅W1より狭く設けるようにしてもよい。
(変形例6)
上記したように、第1基材31及び第2基材41は、表示側に光透過性を有する材料を用いればよく、ガラス基板の他、プラスチックや金属よりなるフレキシブル基板を用いるようにしてもよい。
10…電気泳動装置、11…画素、12…データ線、13…走査線、14…シール部、14a…額縁隔壁、14a1…第1額縁隔壁、14a2…第2額縁隔壁、14b…シール材、15…分散媒、16…TFT(トランジスター)、21…画素電極、22…共通電極、31…第1基材、32…第1絶縁層、33…電気泳動層、34…電気泳動粒子、35,35a…隔壁、36…セル、41…第2基材、42…第2絶縁層、51…第1基板としての素子基板、52…第2基板としての対向基板、61…液溜り部、62…接合層、62a…端部、63…封止材、100…電子機器、110…操作部。

Claims (5)

  1. 対向配置された第1基板及び第2基板との間に設けられ、隔壁で複数のセルに区切られた分散媒を有する電気泳動層と、
    前記電気泳動層と前記第2基板との間、及び前記隔壁と前記第2基板との間に設けられた接合層と、
    前記電気泳動層の周囲に設けられた額縁隔壁と、
    前記額縁隔壁と前記第2基板との間に設けられたシール材と、
    前記電気泳動層と前記額縁隔壁との間に設けられた液溜り部と、を備え、
    前記接合層の端部と前記液溜り部とが重なることを特徴とする電気泳動装置。
  2. 請求項に記載の電気泳動装置であって、
    前記隔壁と前記額縁隔壁とは同じ材料であることを特徴とする電気泳動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電気泳動装置であって、
    前記分散媒は、シリコーンオイルであることを特徴とする電気泳動装置。
  4. 第1基板上の表示領域を複数のセルに区切る隔壁、及び前記表示領域を囲むように前記隔壁から所定の間隔をあけて額縁隔壁を形成する工程と、
    前記額縁隔壁の上にシール材を塗布する工程と、
    前記表示領域に電気泳動粒子を含む分散媒を前記シール材の上面より低い高さになるように供給する工程と、
    第2基板上に接合層を形成する工程と、
    大気圧より低い圧力下で、前記第2基板の前記接合層を前記第1基板に対向させて近づけ、前記第2基板と前記シール材とを接触させる工程と、
    前記圧力下で前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と、を有し、
    前記接合層の端部は、前記隔壁と前記シール材との間に配置されていることを特徴とする電気泳動装置の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の電気泳動装置を備えることを特徴とする電子機器。
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