JP5313783B2 - フィルム液晶パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム液晶パネル及びその製造方法に係わり、更に詳しくはパネル内部を常に正圧に保つことのできるフィルム液晶パネル及びその製造方法に関する。
従来、液晶を挟んで2枚の基板が対向して配置される構造の液晶パネルがある。液晶パネルは、近年、各企業や各大学等において電子ペーパーへの利用が考えられ開発が盛んに進められて一部では実現しつつある。
電子ペーパーは、従来、紙印刷物であった書籍や雑誌、新聞などを、電気的に表示書き換え可能な装置によって実現するものであり、薄く、軽く、そして見やすいという紙印刷物の優れた特性を備えるものである。
電子ペーパーが紙印刷物より優れているのは、表示内容の書き換えが可能であるという点にある。このため、電子ペーパーは紙印刷物のように使い捨てられることはないため、紙印刷物の代替として普及した場合、紙資源消費の削減に大きく貢献でき、環境保護の観点からも非常に有用であると考えられる。
このような電子ペーパーとしては、電気泳動方式やツイストボール方式、液晶表示ディスプレイや有機EL表示ディスプレイなどを利用して、研究・開発が行われている。このような液晶の一つに、コレステリック相が形成された液晶組成物(以下、コレステリック液晶という)を用いた液晶表示素子がある。
コレステリック液晶を用いた液晶表示素子は、カラー表示が可能であるだけでなく、メモリ性があるので、画面を書き換えるとき以外は、液晶に電圧を印加して駆動する必要がなく、消費電力の節減に有効である。
一方、電子ペーパーとしての液晶表示素子には、柔軟性が要求される。したがって、表示面にガラス基板を用いたのでは曲げの外力が加わったりすると表示面が割れてしまうため、電子ペーパーの液晶表示面にはフィルム基板が使用される。
ところで、フィルム液晶パネルに限らず、上下2枚の基板を対向配置してなる液晶パネルは、液晶の表示品質を一定に維持するために、上下2枚の基板の間隔を一定に保つ必要がある。
このような上下2枚の基板の間隔を一定に保つ方法としては、表示品位を確保するとともに各基板間の間隔を安定して均一にすることができる液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法が提供されている。
この技術では、第1基板と第2基板との間に複数の周辺スペーサと、1つの中央スペーサとを備え、周辺スペーサは、シール材に混入して設けられ、中央スペーサは、液晶層が収容される収容空間の略中央部に設けられる。
シール材の材料には、周辺スペーサを混ぜ合わせて用いる。そして、第1基板と第2基板を、周辺スペーサ混入のシール材、及び中央スペーサを介して対向配置し厚さ方向に均一に押圧しながら、光又は熱で周辺スペーサ混入のシール材及び中央スペーサを第1基板と第2基板に接着させるというものである(例えば、特許文献1参照)。
また、上下2枚の基板を対向配置してなる液晶パネルは、低温時になるとパネル内部に充填されている液晶の体積が縮小するため、パネル内部が負圧となって空間(気泡)が発生し、この空間(気泡)が液晶の表示品質を落とすという不具合が発生する。
この不具合を解消するために、従来は、予め低温にした液晶を注入することにより、低温時に生じる液晶の体積縮小により気泡が発生するのを防ぐという方法が採用されていた。しかし液晶は低温になると粘度が高くなるため、予め低温にした液晶を注入するには時間がかかって量産には不向きであるという新たな問題が発生した。
また、低温の液晶の注入を時間をかけずに行うには、液晶を高い圧力で注入する方法があるが、この方法を採用するには、高圧で液晶を注入する専用の設備が必要となり、その設備導入のコストがかかって導入が容易でないという問題がある。
このような問題を解決するために、液晶内に気泡が発生しても表示面に欠損を発生させないフィルム液晶装置およびその製造方法が提案されている。この技術では、対向配置された2枚の可撓性の透明基板の外周端部の間をシール部材で塞ぎ、内部に液晶層を封入したフィルム液晶装置において、少なくとも一方の透明基板の表示面の外側には、対向配置された透明基板の間の隙間が外側に向かって徐々に広くなるように形成された傾斜部が設けられている。
これにより、傾斜部の近傍で発生した気泡が、表面張力により球状になろうとして、傾斜部を押圧し、その反力によって気泡が表示面の外側に移動し、液晶内に気泡が発生しても表示面に欠損を発生させないことができるというものである(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−270641号公報 特開2005−037466号公報
特許文献1の技術は、表示を維持するために電極の駆動を継続して行うタイプの液晶には適切な構成であるといえるが、例えば、コレステリック相が形成された液晶組成物から成るいわゆるコレステリック液晶を用いる場合には、適切なスペーサの構成とはいえないという問題がある。
これは、コレステリック液晶は、電極の駆動を止めても液晶のメモリ性によって表示を維持できる代わりに、その表示性が液晶の流動によって変わってしまうため、特許文献1のように、おおまかな配置のスペーサの構成では、画素毎に液晶を位置固定できないため消費電力が少なく経済性の良いコレステリック液晶の表示を維持できないからである。
また、特許文献2の技術は、傾斜部の近傍で発生した気泡を表示面の外側に移動させることができるが、全体表示領域の中央部で発生した気泡は移動するところがない。かりに傾斜部の方向に移動できたとしても時間がかかってしまうため、品質の良い表示の妨げになるという課題がある。
上記の課題を解決するために、本発明のフィルム液晶パネルは、対向して配置された2枚のフィルム基板と、該2枚のフィルム基板の間の外周端部を封止する封止部材と、該封止部材により封止された上記2枚のフィルム基板間内部に封入された液晶と、該液晶が封入された上記2枚のフィルム基板間の上下の間隔を一定に維持すると共に上記液晶による表示の1画素領域を区画する複数の隔壁部材と、該複数の隔壁部材の最外側の上記隔壁部材と上記封止部材との間に配設され上記隔壁部材及び上記封止部材よりも高さの低い複数の支柱と、該複数の支柱の上下に接着して上記2枚のフィルム基板の間の内側に向かって凸状となる上記2枚のフィルム基板の凸状部と、を有するように構成される。
また、上記の課題を解決するために、本発明のフィルム液晶パネルの製造方法は、対向して配置された2枚のフィルム基板の間の外周端部を封止部材で封止し、該封止部材で封止した内部に液晶を封入したフィルム液晶パネルの製造方法において、上記2枚のフィルム基板の内側面に上下で接着し、該2枚のフィルム基板の上記液晶を封入された上下の間隔を一定に維持すると共に、上記液晶による表示の1画素領域を区画する複数の隔壁部材を配置する工程と、複数の上記隔壁部材の最外側の上記隔壁部材と上記封止部材との間に、上記隔壁部材及び上記封止部材よりも高さの低い複数の支柱を配設する工程と、上記フィルム液晶パネル内に常温常圧環境下で所定量の液晶を注入して注入口を封止する工程と、上記2枚のフィルム基板と複数の上記支柱とが当接するよう上記2枚のフィルム基板の外側から圧力をかけ上記2枚のフィルム基板と複数の上記支柱とを接着させて上記所定量の液晶の体積を所定量圧縮する工程と、を含んで構成される。
上記フィルム液晶パネルの製造方法において、上記支柱は、例えば、熱を加えることにより硬化する樹脂体でもよく、また、例えば、紫外線を照射することにより硬化する樹脂体であってもよい。
本発明は、液晶パネル内部を常に正圧に保つことのできるフィルム液晶パネル及びその製造方法により、低温環境下でも液晶の収縮による気泡が発生せず高品質の表示状態を維持できるフィルム液晶パネル及びその製造方法を提供することが可能となるという効果を奏する。
本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの構造を模式的に示す平面図である。 本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの製造方法を工程順に説明する図(その1)である。 本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの製造方法を工程順に説明する図(その2)である。 本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの製造方法を工程順に説明する図(その3)である。 本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの製造方法を工程順に説明する図(その4)である。 本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの製造方法を工程順に説明する図(その5)である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るフィルム液晶パネルの構造を模式的に示す平面図である。図1に示すように、フィルム液晶パネル1は、上下に対向して配置された2枚のフィルム基板2及び3と、これら2枚のフィルム基板の間の外周端部を囲繞して封止する封止部材4とを有する。
尚、上下に重なって対向して配置された2枚のフィルム基板2及び3は、フィルム液晶パネル1全体が透明の構造であるため図1の平面図では見分けが付かない。
このフィルム液晶パネル1は、更に、封止部材4により封止された2枚のフィルム基板2及び3間の内部に封入された液晶5と、この液晶5が封入された2枚のフィルム基板2及び3の間に十字形に形成された複数の隔壁部材6を有する。
これら複数の隔壁部材6は、液晶5の表示領域7に配設されている。隔壁部材6は、2枚のフィルム基板2及び3間の上下の間隔を一定に維持すると共に、隣接する他の3個の隔壁部材6の十字形の4本の枝隔壁のうちのそれぞれ2本の枝隔壁と共に、液晶5による表示の1画素の表示領域8を区画している。
この1画素の表示領域8の大きさは、フィルム液晶パネル1の大きさにもよるが、本例の場合は一辺が160μmの四角である。また、隔壁部材6の十字形に形成されて四方に延びだす4本の隔壁枝部の幅は、およそ15μmである。
このフィルム液晶パネル1は、更に、上記複数の隔壁部材6の最外側の隔壁部材6aと封止部材4との間の液晶5の非表示領域9に配設された複数の支柱11を有する。複数の支柱11は、紫外線硬化性樹脂からなり、隔壁部材6(6a)及び封止部材4よりも、基板2及び3の面に垂直方向の長さを低く形成されている。
そして、このフィルム液晶パネル1の2枚のフィルム基板2及び3には、複数の支柱11の上下にそれぞれ接着して2枚のフィルム基板2及び3の間の内側に向かって凸状となる凸状部12を形成されている。
図2乃至図6は、上記フィルム液晶パネル1の製造方法を工程順に説明する図である。尚、図2、図5及び図6の断面の左端部は、図1のA−A´断面矢視図を示し、同じく右端部は、図1のA−A´断面矢視図の部分に対応する図示を省略した右端側の断面を示している。
また、図3及び図4は、図1のフィルム基板3(以下、上基板3という)の天地を逆にして示しており、それぞれ断面図の右端部が、図1のA−A´断面矢視図の部分に対応する。また、図2乃至図6には、図1と同一構成部分には図1と同一の番号を付与して示している。
図2に示すフィルム基板2(以下、下基板2という)は、透明フィルム13と、この透明フィルム13の上に積層された透明電極層14と、その透明電極層14の上に積層された配向膜15から成る。
本実施例では、透明フィルム13は、およそ縦180mm、横135mmに切断した厚さは約125μmのポリカーボネイト(PC)フィルムを用いる。また、PCフィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムを使用することもできる。これらのフィルムは十分な可撓性を備えている。
尚、通常フィルム液晶パネルのフィルムには、透光性を有するものが用いられるが、下基板2に用いられるフィルム13には、透光性のもの又は不透光性のもの、いずれを用いてもよい。
透明電極層14は、透明フィルム13上にパターニングされた0.175mmピッチの1024本の帯状の走査電極が並列に配置された電極層である。層の厚さは透明フィルム13の厚さの略1/10となる約130nmである。
上記の走査電極の形成材料としては、例えばインジューム錫酸化物(ITO)が代表的であるが、その他インジューム亜鉛酸化物(IZO)等の透明電極膜、アルミニューム又はシリコン等の金属電極、又はアモルファスシリコン等の光導電性膜等を用いることが出来る。
この透明電極層14の上には、機能膜として液晶分子の配列を制御するための配向膜15がコーティングされている。配向膜15は下基板2の透明電極層14と後述する上基板の透明電極層との短絡を防止する絶縁性薄膜を兼用するようにしてもよい。
この配向膜15には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びアクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニューム等の無機材料を用いることができる。この配向膜15の厚さは約40nmである。
この下基板2の表面、つまり配向膜15の上に、隔壁部材6及び封止部材4の母材である光硬化性樹脂膜(ネガ型フォトレジスタ(光の照射を受けた部分が硬化して残るタイプの感光性樹脂)の膜)を5μmの厚さにスピンコート又はロールコート等で塗布する。
そして、特には図示しないが、光硬化性樹脂膜の上に、マスクを設置する。マスクは、従来のパターニング用のガラスマスクを使用し、図1に示した隔壁部材6及び封止部材4の形状の切り抜き孔を形成する。なお、マスクとして、紫外線を透過させない例えばTi、Ni、Cu又はAl等の金属を用いても良い。
そして、このマスクの上から紫外線照射光源により紫外線を照射する。これにより、マスクの下の光硬化性樹脂膜は、マスクの隔壁部材6及び封止部材4の形状の切り抜き孔にしたがって紫外線を照射され、放射された部分が硬化する。つまり、切り抜き孔の部分(紫外線が照射された部分)のみ硬化し、それ以外の部分(紫外線が照射されなかった部分)は硬化しない。
続いて、マスクを撤去(除去)し、溶剤に浸漬して、紫外線を照射されなかった部分、つまり光硬化性樹脂膜の非硬化部分を除去する。これにより、光硬化性樹脂膜の紫外線を照射され硬化した部分が下基板2の表面に残る。すなわち、図2に示す隔壁部材6及び封止部材4が下基板2上に形成される。
図3は、図2に続くフィルム液晶パネル1の製造工程を説明する図である。尚、図3は図1に示した上基板3を、その天地を逆にして示している。この上基板3も下基板2と同様に、透明フィルム13と、この透明フィルム13の上に積層された透明電極層14と、その透明電極層14の上に積層された配向膜15から成る。
これらの構成部分それぞれの材質及び構成は、下基板2の場合とほぼ同様であるが、透明電極層14における電極の構成及び配列が下基板2の場合と異なる。すなわち、この上基板3では、透明フィルム13上に、0.175mmピッチで、760本の帯状のデータ電極がパターニングされている。
これらのデータ電極は、上基板3を図1に示したように下基板2に対向して配設したとき、下基板2の透明電極層14の1024本の帯状の走査電極に直交する向きで並列に配置される。これらデータ電極と走査電極とが交差する領域が、図1に示した1画素の表示領域8に対応している。つまり本例のフィルム液晶パネル1の総画素数は1024×760=778,240個である。
図3に示すように、天地を逆にした上基板3の上、つまりに配向膜15の面に、マスク16を用いて、マスク16に形成されている網目17から、アクリレート系のUV硬化樹脂18を塗布する。マスク16には、スクリーン印刷のスクリーンを用い、網目17を形成する位置は図1に示した複数の支柱11に対応する位置である。
尚、図3には、UV硬化樹脂18がマスク16の網目17を通して配向膜15の面に塗布される様子を分かり易く示すため、マスク16を配向膜15の面から離間した状態で示しているが、実際にはマスク16は配向膜15の面に密着している。
このスクリーン印刷で、配向膜15の面には、隔壁部材6及び封止部材4よりも高さの低い支柱11が形成される。例えば、隔壁部材6及び封止部材4の高さが4.5μmとすれば、支柱11の高さは、4.3μm程度となる。なお、支柱11の高さはマスク16の厚さである。
図4は、スクリーン印刷により、UV硬化樹脂18を用いて上基板3の配向膜15の面に形成された支柱11を示す図である。
図5は、支柱11を配向膜15の面に形成された図4に示す上基板3を、その天地を逆にして図2に示した下基板2の上に被せて下基板2に対向配置した図である。尚、図5には、図2及び図4に示した構成と同一の構成部分には、図2及び図4と同一の符号を付与して示している。
図5に示す対向配置された下基板2と上基板3の2枚のフィルム基板は、不図示の位置合わせ装置を用いて位置合わせされている。そして、表示領域7の複数の隔壁部材6(図1参照)の中の最外側の隔壁部材6aと封止部材4との間に複数の支柱11が上から挿入される形で配置されている。
この状態で、支柱11は、隔壁部材6(6a)及び封止部材4よりも差分bだけ高さが低い。この高さが低い分の差分bは、隔壁部材6及び封止部材4の高さ4.5μmから支柱11の高さ約4.3μmを差し引いたおよそ0.2μmである。
図6は、上下2枚のフィルム基板(下基板2、上基板3)に外部から圧力を加えて下基板2の非表示領域9の上面を支柱11の下端面に接着させる最終工程を示す図である。外部から加える圧力は、高圧空気による圧力又は機械的に加える圧力のいずれでもよい。
図6に示すように、非表示領域9の支柱11に対応する部分の下基板2及び上基板3は外部から加わる圧力により、支柱11の高さが低いbの分だけ上下から押し込まれて凸部19を形成する。
そして、透明な下基板2の外部下方から行われる光源20からの紫外線の照射によって支柱11が硬化し、下基板2と支柱11の下端面が接着して、下基板2及び上基板3の凸部19が支柱11を介して相互に接着される。
尚、光源20は、支柱11の素材に熱硬化性樹脂を用いた場合は、近赤外線を照射するハロゲンランプ等で構成する。
このようにして完成したフィルム液晶パネル1において、非表示領域9の複数の支柱11に対応する部分で、下基板2及び上基板3がそれぞれ内側に例えば0.2μm×1/2の距離を押し込まれて形成された凸部19により、非表示領域9の液晶5は凸部19によって圧縮され、この圧縮された分、四方に膨張しようとする内圧が発生する。
表示領域7に相互に隣接して配置さている隔壁部材6の十字形の枝隔壁の端部間の間隙は、液晶5の流動性を抑えながらも液晶5の体積的な変動(内圧の変動)は伝達可能に構成されている。したがって、上記の非表示領域9の液晶5に発生した内圧は表示領域7全体に行き渡る。
液晶5全体の内圧による最終的な膨張係数はおよそ3%である。この3%の膨張係数による内圧で、液晶5は常温常圧環境下では常に正圧(加圧状態)となる。勿論表示機能に支障は無い。
このように液晶の入ったフィルム液晶パネルの内圧を高くして常温常圧環境下で液晶パネル内を正圧化しておくので、低温状態で液晶が収縮してもパネル内部が負圧になるのを防ぐことができる。
したがって、低温時に液晶パネル内部の液晶容積が減ったとしても、液晶パネル内部の圧力が減るだけで、液晶パネル内部の圧力が負圧になることはなく、フィルム基板と液晶の間に空間(気泡)が発生することを防止することができる。したがって、気泡によって表示機能が低下することもない。
また、本発明のフィルム液晶パネルの製造方法によれば、常温常圧下で、通常の薄膜形成技術、フォトリソ技術、隔壁(支持部)形成技術等により、フィルム液晶パネルを製造するので、特別に低温化した組立工程を設けたり、低温で粘度の高い液晶を高圧で封入するための高価な圧入装置を設備したりする必要がなく、短時間でかつ安価にフィルム液晶パネルを製造することができる。
なお、本実施例では、上基板3に支柱11を形成する場合を説明したが、下基板2に支柱11を形成することでも良く、手順は上基板3の場合と同様である。また、上基板3および下基板2の両方に支柱11を設けることも可能である。
本発明は、液晶を挟んで2枚のフィルム基板が対向して配置される構造のフィルム液晶パネル及びその製造方法に利用することができる。
1 フィルム液晶パネル
2 フィルム基板(下基板)
3 フィルム基板(上基板)
4 封止部材
5 液晶
6 隔壁部材
6a 最外側の隔壁部材
7 表示領域
8 1画素の表示領域
9 非表示領域
11 支柱
12 凸状部
13 透明フィルム
14 透明電極層
15 配向膜
16 マスク
17 網目
18 UV硬化樹脂
19 凸部
20 光源

Claims (4)

  1. 対向して配置された2枚のフィルム基板と、
    該2枚のフィルム基板の間の外周端部を封止する封止部材と、
    該封止部材により封止された前記2枚のフィルム基板間内部に封入された液晶と、
    該液晶が封入された前記2枚のフィルム基板間の上下の間隔を一定に維持すると共に前記液晶による表示の1画素領域を区画する複数の隔壁部材と、
    該複数の隔壁部材の最外側の前記隔壁部材と前記封止部材との間に配設され前記隔壁部材及び前記封止部材よりも高さの低い複数の支柱と、
    前記2枚のフィルム基板の間で、外側は凹状、内側は凸状となるよう外側から押圧されて形成され、液晶の内圧を高めた状態で、前記複数の支柱の上下に接着された前記2枚のフィルム基板の凸状部と、
    を有することを特徴とするフィルム液晶パネル。
  2. 対向して配置された2枚のフィルム基板の間の外周端部を封止部材で封止し、該封止部材で封止した内部に液晶を封入したフィルム液晶パネルの製造方法において、
    前記2枚のフィルム基板の内側面に上下で接着し、該2枚のフィルム基板の前記液晶を封入された上下の間隔を一定に維持すると共に、前記液晶による表示の1画素領域を区画する複数の隔壁部材を配置する工程と、
    複数の前記隔壁部材の最外側の前記隔壁部材と前記封止部材との間に、前記隔壁部材及び前記封止部材よりも高さの低い複数の支柱を配設する工程と、
    前記フィルム液晶パネル内に常温常圧環境下で所定量の液晶を注入して注入口を封止する工程と、
    前記2枚のフィルム基板と複数の前記支柱とが当接するよう前記2枚のフィルム基板の外側から圧力をかけ、前記2枚のフィルム基板の間で、外側は凹状、内側は凸状となるよう外側から押圧して形成し、液晶の内圧を高めた状態で、前記2枚のフィルム基板と複数の前記支柱とを接着させて前記所定量の液晶の体積を所定量圧縮する工程と、
    を含むことを特徴とするフィルム液晶パネルの製造方法。
  3. 前記支柱は、熱を加えることにより硬化する樹脂体である、ことを特徴とする請求項記載のフィルム液晶パネルの製造方法。
  4. 前記支柱は、紫外線を照射することにより硬化する樹脂体である、ことを特徴とする請求項記載のフィルム液晶パネルの製造方法。
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