JP6300343B2 - 柱脚金物及びそれを用いた柱脚構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建築構造物における柱部材の下端部がその上に接合され、かつ、基礎コンクリート中から上方に突出したアンカーボルトの先端部に締結される柱脚金物、及びそれを用いた柱脚構造に関するものである。
図12から図15は、従来の柱脚金物6、及びそれを用いた従来の柱脚構造2について説明するために参照する図である。
図12に示すように、従来の柱脚構造2は、柱脚金物6を備え、この柱脚金物6は、底板部6cと、その底板部6cの上面6dの外形輪郭より中央側において上方に高く突出した支持台部6fにより構成され、その支持台部6fの上面6gに鉄骨柱4(柱部材)の下端面が接触して、鉄骨柱4が溶接により接合されていた。この柱脚金物6は、基礎コンクリート3の上方にモルタル8を介して設けられていた。
そして、基礎コンクリート3中からモルタル8を貫いて上方に突出するアンカーボルト10の上端部が、柱脚金物6のボルト挿通孔6a,6b(図13参照)に挿通して、アンカーボルト10に形成されたオネジ部に、上下に2つ重ねられたナット部材12(ダブルナット、図12参照)のメネジ部がネジ締結されることにより、鉄骨柱4は、柱脚金物6を介して基礎コンクリート3上に立設するよう固定されていた(例えば、特許文献1参照)。
従来の柱脚構造2における柱脚金物6は金属製であり、図12,13に示すように、正方形状の平面と厚さを有する板状に形成されていた。また柱脚金物6には、底板部6cの厚さ方向(図13中紙面に対して垂直方向)に貫通するボルト挿通孔6aと6bが計12個形成されていた。これらのボルト挿通孔6a,6bは、それぞれの孔径が略同一に形成されており、図12に示すように、それぞれには1本のアンカーボルト10が緩く挿通していた。
そして、柱脚金物6のボルト挿通孔6aは、図13に示すように、底板部6cの正方形状の四つの隅部それぞれに1つずつ形成されていた。
また、ボルト挿通孔6bは、底板部6cの正方形状の四つの辺部において、隅部のボルト挿通孔6aよりも辺部の長さ中央寄りの2箇所の位置に配置されていた。
そして、底板部6cにおける1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成されたボルト挿通孔6bの2つの中心位置を通る直線と、上記1つの辺部に直角方向に隣接する辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された、ボルト挿通孔6bの2つの中心位置を通る直線との交点の位置に、ボルト挿通孔6aの中心位置が配置されていた。
このように、底板部6cの四つの隅部及びその近傍には、1つのボルト挿通孔6a、及びそれと隣り合うように配置された2つのボルト挿通孔6bの、計3つのボルト挿通孔6a,6bが形成されていた。
このため、図13に示す柱脚金物6は、底板部6cの正方形状の隅部に1つのボルト挿通孔6aだけが形成された柱脚金物(例えば、特許文献1参照)や、隅部の近傍に2つのボルト挿通孔6bだけが形成された柱脚金物よりも、底板部6cの挿通孔を挿通するアンカーボルト10の本数が増えるため、アンカーボルト10の径を大きくしなくとも柱脚金物6の基礎コンクリート3への固定強度を大きくできるようになっていた。
そして、地震等により鉄骨柱4に発生する力を、底板部6cとアンカーボルト10を介して基礎コンクリート3に伝達するため、底板部6cの厚さは所定の曲げ応力に耐えられるように設定されていた。このとき底板部6cの厚さは、それぞれのアンカーボルト10の引張力と、アンカーボルト10の中心から、アンカーボルト10から最短位置の支持台部6fの側面の高さ下端位置迄の距離に比例する値として求められていた。
特開2003−336266号公報
しかしながら、図13に示すように、支持台部6fの上面6gは、鉄骨柱4下端の断面形状に対応する形状となっており、図14に示す支持台部6fの側面6hの高さ下端の、底板部6cの上面6dの高さ位置における支持台部6fの水平断面も、その上面6gと同じ形状となるように、支持台部6fの上面6gからその高さ下端までの側面6hは、底板部6cの上面6dに対して垂直に形成されていた。
このため、図15に示すように、ボルト挿通孔6aの中心位置から、ボルト挿通孔6aから最短位置の支持台部6fの角部6qの高さ下端位置までの長さ寸法L1は、ボルト挿通孔6bの中心位置から、ボルト挿通孔6bから最短位置の支持台部6fの側面6hの高さ下端位置までの長さ寸法L2よりも大きくなっていた。
図12に示すアンカーボルト10の引張力により、底板部6cに作用する曲げモーメントは、ボルト挿通孔6a,6bのそれぞれの中心位置から、支持台部6fの側面6hの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法に比例した大きさとなる。
このため、ボルト挿通孔6aが形成された底板部6cの正方形状の隅部は、ボルト挿通孔6bが形成された底板部6cの辺部の長さ中央寄りの部分よりも、地震等により発生するアンカーボルト10の引張力による曲げモーメントは大きくなるので、その隅部の曲げ変形が大きくなっていた。
そして、ボルト挿通孔6aに挿通されたアンカーボルト10にかかる引張力による曲げモーメントが、ボルト挿通孔6bに挿通されたアンカーボルト10にかかる引張力による曲げモーメントよりも大きくなって、底板部6cの正方形状の隅部のみが降伏する可能性が大きくなっていた。
このため、ボルト挿通孔6aが形成された底板部6cの正方形状の隅部が、地震等により発生するアンカーボルト10の引張力に耐えられる曲げ耐力を向上させることができるように、底板部6cの厚さを厚くして剛性を増大させる必要があった。このため、底板部6cの厚さを厚くすることにより柱脚金物6の大型化や重量化、高額化を招くという問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その隅部を含めた全体の曲げ耐力を向上させることができると共に、その大型化や重量化、高額化を防止することができる柱脚金物、及びそれを用いた柱脚構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明による柱脚金物は、
表裏両面と厚さを有する板状に形成された底板部と、この底板部の上面の外形輪郭より中央側で上方に向かって高さを有する支持台部とを有し、この支持台部の上面に柱部材の下端部が接合される柱脚金物であって、
前記外形輪郭の隅部それぞれの位置に第1ボルト挿通孔が形成されると共に、
前記外形輪郭の辺部それぞれの長さ方向における前記第1ボルト挿通孔より中央寄りの2つの位置に第2ボルト挿通孔が形成され、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分において、前記支持台部の側面と前記底板部の上面との間の隅部を埋める、前記第1ボルト挿通孔、及び前記第2ボルト挿通孔の中心に近づくような位置に形成された隅肉盛部を有し、
前記隅肉盛部は、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分における所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第1ボルト挿通孔の中心位置の方向に向かって突出する形状の第1の突出部と、
前記第1の突出部の前記第2ボルト挿通孔側の2つの部分と、前記支持台部の側面との間の隅部の2箇所の位置において、前記支持台部の所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第2ボルト挿通孔の中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成された第2の突出部とを有することを特徴とするものである。
また、本発明による柱脚金物は、
前記隅肉盛部は、前記第1ボルト挿通孔の中心位置から前記隅肉盛部までの最短距離の長さ寸法と、前記第2ボルト挿通孔の中心位置から前記支持台部の側面までの最短距離の長さ寸法が略同じ長さとなるように形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明による柱脚金物は、
前記隅肉盛部は、前記第1ボルト挿通孔の中心位置から前記隅肉盛部までの最短距離の長さ寸法と、前記第2ボルト挿通孔の中心位置から前記隅肉盛部までの最短距離の長さ寸法が略同じ長さとなるように形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明による柱脚金物は、
底板部の、1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線と、前記1つの辺部に直角方向に隣接する他の辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線との交点の位置に前記第1ボルト挿通孔の中心位置が配置されたことを特徴とするものである。
また、本発明による柱脚金物は、
底板部の、1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線と、前記1つの辺部に直角方向に隣接する辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線との交点の位置よりも前記支持台部の中央部寄りにずれた位置に前記第1ボルト挿通孔の中心位置が配置されたことを特徴とするものである。
また、上記課題を解決するために、本発明による柱脚構造は、
表裏両面と厚さを有する板状に形成された底板部と、この底板部の上面の外形輪郭より中央側で上方に向かって高さを有する支持台部とを有し、この支持台部の上面に柱部材の下端部が接合される柱脚金物を備えた柱脚構造であって、
前記柱脚金物は、
前記外形輪郭の隅部それぞれの位置に第1ボルト挿通孔が形成されると共に、
前記外形輪郭の辺部それぞれの長さ方向における前記第1ボルト挿通孔より中央寄りの2つの位置に第2ボルト挿通孔が形成され、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分において、前記支持台部の側面と前記底板部の上面との間の隅部を埋める、前記第1ボルト挿通孔、及び前記第2ボルト挿通孔の中心に近づくような位置に形成された隅肉盛部を有し、
前記隅肉盛部は、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分における所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第1ボルト挿通孔の中心位置の方向に向かって突出する形状の第1の突出部と、
前記第1の突出部の前記第2ボルト挿通孔側の2つの部分と、前記支持台部の側面との間の隅部の2箇所の位置において、前記支持台部の所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第2ボルト挿通孔の中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成された第2の突出部とを有することを特徴とするものである。
このような本発明の柱脚金物によれば、
表裏両面と厚さを有する板状に形成された底板部と、この底板部の上面の外形輪郭より中央側で上方に向かって高さを有する支持台部とを有し、この支持台部の上面に柱部材の下端部が接合される柱脚金物であって、
前記外形輪郭の隅部それぞれの位置に第1ボルト挿通孔が形成されると共に、
前記外形輪郭の辺部それぞれの長さ方向における前記第1ボルト挿通孔より中央寄りの2つの位置に第2ボルト挿通孔が形成され、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分において、前記支持台部の側面と前記底板部の上面との間の隅部を埋める、前記第1ボルト挿通孔、及び前記第2ボルト挿通孔の中心に近づくような位置に形成された隅肉盛部を有し、
前記隅肉盛部は、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分における所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第1ボルト挿通孔の中心位置の方向に向かって突出する形状の第1の突出部と、
前記第1の突出部の前記第2ボルト挿通孔側の2つの部分と、前記支持台部の側面との間の隅部の2箇所の位置において、前記支持台部の所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第2ボルト挿通孔の中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成された第2の突出部とを有することにより、
その隅部を含めた全体の曲げ耐力を向上させることができると共に、その大型化や重量化、高額化を防止することができる柱脚金物、及びそれを用いた柱脚構造を提供することができる。
また、本発明の本発明の柱脚構造によれば、
表裏両面と厚さを有する板状に形成された底板部と、この底板部の上面の外形輪郭より中央側で上方に向かって高さを有する支持台部とを有し、この支持台部の上面に柱部材の下端部が接合される柱脚金物を備えた柱脚構造であって、
前記柱脚金物は、
前記外形輪郭の隅部それぞれの位置に第1ボルト挿通孔が形成されると共に、
前記外形輪郭の辺部それぞれの長さ方向における前記第1ボルト挿通孔より中央寄りの2つの位置に第2ボルト挿通孔が形成され、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分において、前記支持台部の側面と前記底板部の上面との間の隅部を埋める、前記第1ボルト挿通孔、及び前記第2ボルト挿通孔の中心に近づくような位置に形成された隅肉盛部を有し、
前記隅肉盛部は、
前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分における所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第1ボルト挿通孔の中心位置の方向に向かって突出する形状の第1の突出部と、
前記第1の突出部の前記第2ボルト挿通孔側の2つの部分と、前記支持台部の側面との間の隅部の2箇所の位置において、前記支持台部の所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第2ボルト挿通孔の中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成された第2の突出部とを有することにより、
その隅部を含めた全体の曲げ耐力を向上させることができると共に、その大型化や重量化、高額化を防止することができる柱脚金物、及びそれを用いた柱脚構造を提供すること
ができる。
本発明の第1の実施の形態に係る柱脚構造40を示すその側面図である。 図1に示す柱脚構造40における柱脚金物42の上面図である。 図2に示す柱脚金物42の側面図である。 図2に示す柱脚金物42のA−A線矢視断面図である。 図2に示す柱脚金物42の同図中右上部分を拡大して示す図であって、隅肉盛部44を説明するための部分拡大上面図である。 図3に示す柱脚金物42の同図中右上部分を拡大して示す図であって、隅肉盛部44を説明するための部分拡大側面図である。 図2に示す柱脚金物42の底面図である。 図1に示す柱脚構造40における柱脚金物42とアンカーボルト10との締結部を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る柱脚構造60を示すその側面図である。 図9に示す柱脚構造60における柱脚金物62の上面図である。 図10に示す柱脚金物62の側面図である。 従来の柱脚構造2を示すその側面図である。 図12に示す柱脚構造2における柱脚金物6の上面図である。 図13に示す柱脚金物6の側面図である。 図13に示す柱脚金物6の同図中右上部分を拡大して示す部分拡大上面図である。
以下、本発明に係る柱脚金物及びそれを用いた柱脚構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図8は、本発明の第1の実施の形態に係る柱脚金物42及びそれを用いた柱脚構造40について説明するために参照する図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る柱脚構造40は、柱脚金物42(図2参照)を備えて構成されており、この柱脚金物42は、基礎コンクリート3の上方にモルタル8を介して設けられている。
また、柱脚金物42は、図3に示すように、底板部42cと支持台部42fにより構成されており、同図中上下方向に長さを有する角筒状に形成された鉄骨柱4(柱部材、図1参照)の下端面が、上記支持台部42fの上面42gに接触して、互いの周部が溶接により接合されている。
そして、基礎コンクリート3中から上記モルタル8を貫通して、そのモルタル8の上方に突出するアンカーボルト10の上端部が、図2,図3に示す柱脚金物42の底板部42cに形成されたボルト挿通孔42a,42bに挿通している。
図1に示すように、柱脚金物42の底板部42cの上面42dより上方に突出したアンカーボルト10の、上端部に形成されたオネジ部が、座金48の中心孔を挿通して、上下に2つ重ねられたナット部材12(ダブルナット)のメネジ部にネジ締結されることにより、鉄骨柱4は柱脚金物42とモルタル8を介して基礎コンクリート3の上に立設するよう固定されている。
柱脚金物42は、金属製であり、図2に示す正方形状の平面と、図3に示す高さを有する、板状に形成された底板部42cと、その底板部42cの上面42dの外形輪郭より中央側の、図3中上方に向かって高さを有する支持台部42fにより構成されている。これらの底板部42cと支持台部42fは、後述する隅肉盛部44と共に鋳造又は鍛造により一体形成されている。
柱脚金物42の支持台部42fは、図2に示すように、その外形形状が鉄骨柱4の下端
面の正方形状より少し大きい正方形状に形成されており、その各辺と直角方向の内側に幅を有する角環状の上面42gが形成されている。そして、この角環状の上面42gの上記幅の内側の辺より中央側には、図4に示すような、図中下方に凹んだ凹部42iが形成されている。
そして、支持台部42fの上面42gは平滑に形成されており、その上に載置された鉄骨柱4の平滑な下端面がその上面42gに接触して、互いの周部間が溶接により接合されている。
また、底板部42cは、その四つの辺部それぞれの長さ方向中央部において、図4に示すように、その上面42dの中央部側の高さから、底板部42cの外側に向かってその辺部側面に近づくにつれて、徐々にその高さが低くなるような傾斜凹部42jが、図2,3に示すように三角形状に形成されている。
すなわち傾斜凹部42jは、図2,3に示すように、底板部42cの四つの辺部それぞれにおける、2つのボルト挿通孔42b,42bそれぞれの位置の近傍の、底板部42cの高さ下端側の2つの位置と、支持台部42fの側面42hの水平長さ中央部の位置の近傍で、底板部42cの上面42dにある1つの位置との、計3つの位置を繋いだ線で囲まれた、略三角形状の領域に形成されている。
図2に示すように、底板部42cには、その高さ方向(同図中紙面に対して垂直方向)に貫通する、ボルト挿通孔42a(第1ボルト挿通孔)とボルト挿通孔42b(第2ボルト挿通孔)が、その四つの隅部それぞれに3個ずつ計12個形成されている。これらのボルト挿通孔42a,42bは、それぞれの孔径が略同一に形成されており、それぞれに1本のアンカーボルト10が緩く挿通している。
そして、ボルト挿通孔42aは、底板部42cの正方形状の四つの隅部それぞれに1つずつ形成されている。
また、2つのボルト挿通孔42bは、ボルト挿通孔42aの略両側近傍に配置され、底板部42cの正方形状の四つの辺部において、隅部のボルト挿通孔42aよりも辺部の長さ中央部寄りの2箇所の位置に配置されている。
そして、底板部42cにおける1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成されたボルト挿通孔42bの2つの中心位置を通る直線と、上記1つの辺部に直角方向に隣接する他の辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成されたボルト挿通孔42bの2つの中心位置を通る直線との交点の位置にボルト挿通孔42aの中心位置が配置されている。
このため、図5に示すように、ボルト挿通孔42aの中心位置から、後述する隅肉盛部44が形成されてない場合における、支持台部42fの角部42qの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法L1が、ボルト挿通孔42bの中心位置から支持台部42fの側面42hの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法L2よりも大きくなっている。
また、図2,5に示すように、柱脚金物42の支持台部42fの4つの角部42q近傍における、側面42hの上端寄りの部分と底板部42cの上面42dとの間の隅部には、ボルト挿通孔42a,42bの中心位置に近づくような隅肉盛部44が、その隅部を埋めるように一体的に形成されている。隅肉盛部44は、支持台部42fの側面42hとの間に境界垂直断面を有し、底板部42cの上面42dとの間に境界水平断面を有している。
図5,6に示すように、隅肉盛部44は、柱脚金物42の支持台部42fの角部42qで交差する、2つの側面42hそれぞれの互いに隣り合う端部において、側面42hの上端寄りの部分から、底板部42cの上面42dに向かって傾斜し、ボルト挿通孔42aの中心位置の方向に向かって突出するように設けられた、2つの半肉盛部44a(第1の突出部),44b(第1の突出部)と、後述する2つの肉盛端部44c(第2の突出部)が互いに一体となって構成されている。
すなわち、半肉盛部44aは、図5において、後述する頂点Hから頂点K迄の長さに相当する所定の長さにおいて、図紙面に垂直で、側面42hの長さ方向と直角な断面(後述する第1の垂直断面)の形状が、略一定の、三角形に形成されている。
このように、2つの半肉盛部44a,44bは、上述の三角形の第1の垂直断面を有し、支持台部42fの側面42hの水平長さ方向と同一方向にその長さを有し、側面42hの長さ方向に、その側面42hの行止り面より外側に伸びる部分同士が交差するように互いが削られて、前記三角形の第1の垂直断面より大きな三角形の、第2の垂直断面を境にして、互いに対称かつ一体的に形成されるようになっている。
すなわち、上記第2の垂直断面は、図6における頂点Lと頂点K,Mの3点に囲まれて形成される三角形の断面のことであるが、この第2の垂直断面は図6では45度傾いて表示されているので、実際の第2の垂直断面は、図6の頂点Mと頂点Lの長さより長くなっている。
また、2つの半肉盛部44a,44bそれぞれの長さ方向の、側面42hの長さ方向にその端面より外側に伸びる部分と反対側に形成され、前記三角形の第1の垂直断面と同一形状の端面と、支持台部42fの側面42hと、底板部42cの上面42dとの三つの面の間には、略三角錘状に形成された肉盛端部44cがその三つの面に一体的に形成されている。
すなわち、肉盛端部44cは、半肉盛部44a,44bのボルト挿通孔42b側の部分と、支持台部42fの側面42hとの間の隅部の2箇所の位置において、側面42hの上端寄りの高さ位置(図6における頂点H)から、底板部42cの上面42dに向かって傾斜し、ボルト挿通孔42bの中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成されている。
半肉盛部44aの一つの頂点Kは、支持台部42fの角部42qの高さ方向中央位置より少し上側の位置に配置され、別の頂点Mは、隅肉盛部44が形成されてない場合における、支持台部42fの角部42qの高さ下端の仮想の位置に配置されている(図6参照)。
また、別の頂点Lは、頂点Mからボルト挿通孔42aの中心位置に向かって突出した、底板部42cの上面42d上に配置されている(図5参照)。このため、頂点Mと頂点Lとを結ぶ直線が、支持台部42fの側面42hの長さ方向に対して略45度傾いた角度となるように、隅肉盛部44は形成されている(図5参照)。
また、頂点Kと頂点Lとを結ぶ稜辺部44tが、ボルト挿通孔42aに挿通されたアンカーボルト10にネジ締結されるナット部材12(図1参照)に接触することがないように、頂点Lは上面42d上の所定位置に配置されている。
図6に示すように、半肉盛部44aの別の頂点Hは、支持台部42fの角部42qから側面42hの長さ方向中央部側(図6中左側)における、側面42hの頂点Kと同一高さ位置に配置されている。
また、頂点Jは、隅肉盛部44が形成されてない場合における頂点Hの鉛直方向下側の側面42hの高さ下端の仮想の位置から、側面42hに対して略垂直方向外側に向かって突出した、底板部42cの上面42d上に配置されている。また、頂点Iは、頂点Hよりも更に側面42hの長さ方向中央部側(図6中左側)における、側面42hの高さ下端位置に配置されている。
また、図5において、頂点Iと頂点Jとを結ぶ稜辺部44uが、ボルト挿通孔42bに挿通されたアンカーボルト10にネジ締結されるナット部材12(図1参照)に接触することがないように、頂点Iと頂点Jは、底板部42cの上面42d上の、それぞれの所定位置に配置されている。
ところで、半肉盛部44bは、上記半肉盛部44aに対して、稜辺部44tを有する前記三角形の第2の垂直断面に関して対称の形状に形成されている。
上記のように、隅肉盛部44はその稜辺部44tの先端部が、支持台部42fの角部42qからボルト挿通孔42aの中心位置に向かって突出するように形成されている。
そのため、隅肉盛部44の頂点Lの位置からボルト挿通孔42aの中心位置までの長さ寸法L3は、隅肉盛部44が形成されてない場合の、支持台部42fの角部42qの高さ下端位置からボルト挿通孔42aの中心位置までの長さ寸法L1よりも短くなっている。
また、ボルト挿通孔42bの中心位置から隅肉盛部44の稜辺部44uまでの最短距離の長さ寸法L4は、隅肉盛部44が形成されてない場合の、ボルト挿通孔42bの中心位置から長さ寸法L4と同方向の、支持台部42fの側面42hの高さ下端位置までの長さ寸法よりも短くなっている。
また、隅肉盛部44の頂点Lと頂点Jとを結ぶ稜辺部44v(図5参照)の所定の位置における、ボルト挿通孔42aの中心位置からの距離の長さ寸法は、隅肉盛部44が形成されてない場合の、ボルト挿通孔42aの中心位置から同方向の、支持台部42fの側面42hの高さ下端位置までの長さ寸法よりも短くなっている。
前述したように、鉄骨柱4から伝えられた曲げモーメントに耐えられるようにするためには、ボルト挿通孔42a,42bの中心位置から支持台部42fの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法に比例して、底板部42cの厚さを設定する必要がある。
したがって、柱脚金物42の支持台部42fに隅肉盛部44が形成されて、ボルト挿通孔42a,42bの中心位置から支持台部42fの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法が短くなることにより、底板部42cの厚さが厚くなるのを防止することができる。
このように、本実施の形態に係る柱脚構造40は、その柱脚金物42に隅肉盛部44が形成されているため、底板部42cにおける、支持台部42fの側面42hの高さ下端位置の剛性を、必要な位置で必要な大きさだけ増大させることができる。
すなわち、柱脚金物42における剛性の低い部分を隅肉盛部44により局所的に補強して剛性を増大させることにより、隅肉盛部44を形成していない場合の柱脚金物の底板部の厚さよりもその厚さが厚くなるのを防止して、柱脚金物42の大型化や重量化、高額化を防止することができる。
また、図5に示すように、ボルト挿通孔42aの中心位置から頂点Lの位置への長さ寸法L3と、ボルト挿通孔6bの中心位置から支持台部6fの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法L2が、おおよそ同じ長さに設定されている。
また、図5に示すように、ボルト挿通孔42aの中心位置から頂点Lの位置への長さ寸法L3は、隅肉盛部44の稜辺部44uにおける、ボルト挿通孔42bの中心位置からの最短距離の長さ寸法L4より同図中少し短くなってはいるが、長さ寸法L3と長さ寸法L4との差が少なくなっている。
このように、柱脚金物42の支持台部42fに隅肉盛部44が形成されることにより、ボルト挿通孔42a,42bそれぞれの中心位置から支持台部42fの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法同士の差が少なくなっている。
前述のように、鉄骨柱4から伝えられた曲げモーメントにより底板部42cに作用する応力は、ボルト挿通孔42a,42bの中心位置から隅肉盛部44が形成された支持台部42fの高さ下端位置までの長さ寸法に比例する。
そのため、その長さ寸法を均等化することにより、ボルト挿通孔42aが形成された底板部42cの正方形状の隅部が、ボルト挿通孔42bが形成された底板部42cの辺部の長さ中央寄りの部分よりも曲げ変形が大きくなることを防止することができる。
すなわち、ボルト挿通孔42aが形成された底板部42cの正方形状の隅部の曲げ変形を、ボルト挿通孔46bが形成された底板部42cの辺部の長さ中央寄りの部分の曲げ変形と略同じ程度に小さくすることができるため、柱脚金物42の隅部を含めた全体の曲げ耐力を向上させることができる。
本実施の形態において、標準的な径の長さ寸法(約400〜800mm)を有するアンカーボルト10を用いる場合は、隅肉盛部44が形成されてない場合における、支持台部42fの角部42qの高さ下端位置(隅肉盛部44の頂点M)と、隅肉盛部44の頂点Lを結ぶ直線の長さ寸法(図5,6参照)は、アンカーボルト10の径の長さ寸法の約0.6倍であることが望ましい。
隅肉盛部44の頂点Mと頂点Lを結ぶ直線の長さ寸法をアンカーボルト10の径の長さ寸法の約0.6倍にすることで、ボルト挿通孔42aの中心位置から頂点Lの位置への長さ寸法L3と、ボルト挿通孔42bの中心位置から支持台部42fの高さ下端位置までの最短距離の長さ寸法L2を略均等の長さにすることができる。
また、ボルト挿通孔42aの中心位置が、底板部42cの正方形状の四つの隅部における上記の位置に配置されているため、上記の位置よりも支持台部42fの角部42q寄りの位置に寄せて配置されている場合よりも、ボルト挿通孔42aに挿通されるアンカーボルト10と、ボルト挿通孔42bに挿通されるアンカーボルト10との間隔が大きくなっている。
そのため、ボルト挿通孔42a,42bに挿通するアンカーボルト10,10間に不図示の主鉄筋を配筋する場合には、アンカーボルト10に邪魔されにくくなるので、その配筋作業を容易に行うことができるようになっている。
柱脚金物42の底板部42cには、図7に示すように、その底面42e(裏面)の四つの隅部それぞれにおいて、その底面42eから同図中紙面の奥側に向かって凹んだ凹平面を有する段差凹部42mが形成されており、柱脚金物42のこの段差凹部42mの領域は、その底面42eから上面42dまでの高さ(図3参照)より、高さが低く形成されている。
段差凹部42mを形成する凹平面と底面42eとの段差部の両端部には境界段差面42nが形成され、この境界段差面42nは、その内側端部がボルト挿通孔42bの内周面に接して、その両外側端部が外側に向かって開いて伸びるように形成されている。
このため、段差凹部42mは、ボルト挿通孔42bより外側に向かって開口するような略三角形状に形成されている。
本実施の形態に係る柱脚構造40は、柱脚金物42に、図4に示す凹部42i、傾斜凹部42j、図7に示す段差凹部42mが形成されているために、柱脚金物42の大型化や重量化、高額化を防止することができる。
また、本実施の形態に係る柱脚構造40は、柱脚金物42に段差凹部42mや境界段差面42nが形成されているために、地震等により鉄骨柱4の水平断面に作用するせん断力により、柱脚金物42に対して水平力F(図8参照)が加えられても、柱脚金物42が水平方向にずれることを防止できる。
すなわち、図8に示すように、柱脚金物42の底面42eと基礎コンクリート3の間に充填されたモルタル8は、段差凹部42mの凹平面と境界段差面42nに密着すると共に、ボルト挿通孔42bを挿通するアンカーボルト10の外周面の一部にも密着するように、段差凹部42mの凹平面と基礎コンクリート3との間に充填されている。
このため、地震等により鉄骨柱4にせん断力が作用して、図8に示すように、柱脚金物42に対して図中左方向に向かう水平力Fが加えられた場合には、この水平力Fは、柱脚金物42の境界段差面42nがモルタル8を介して、水平力Fの方向の下流側で水平力Fに対応する何本かのアンカーボルト10それぞれを押すように動作することにより、その何本かのアンカーボルト10に伝えられる。
そして、何本かのアンカーボルト10が、水平力Fに対して抵抗力を発揮するため、柱脚金物42が基礎コンクリート3に対して水平方向にずれることを防止することができる。
さらに、柱脚金物42に加えられる水平力Fをアンカーボルト10が受けてその抵抗力を発揮するため、水平力Fを直接モルタル8だけで受けて、そのモルタル8が割れてしまうことを防止することができる。
また、柱脚金物42の段差凹部42mは、図7,8に示すように、ボルト挿通孔42bより外側に向かって開口するような形状に形成されているため、柱脚金物42と基礎コンクリート3の間にモルタル8を容易に充填することができる。
したがって、以上に説明したように、本実施の形態に係る柱脚金物42及びそれを用いた柱脚構造40によれば、柱脚金物42の隅部を含めた全体の曲げ耐力を向上させることができると共に、柱脚金物42の大型化や重量化、高額化を防止することができる。
図9〜図11は、本発明の第2の実施の形態に係る柱脚構造60について説明するために参照する図である。
本実施の形態に係る柱脚構造60は、図9に示すように、前記第1の実施の形態における柱脚金物42の代わりに、柱脚金物62を備えている点において、前記第1の実施の形態に係る柱脚構造60と異なるものである。その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る柱脚構造40と同様である。
すなわち、柱脚金物42においては、ボルト挿通孔42aの中心位置と、ボルト挿通孔42aに隣合う2つのボルト挿通孔42bの中心位置の計3点を直線で繋ぐことで形成される三角形が略直角三角形となっていたが、柱脚金物62においては、ボルト挿通孔62aの中心位置と、ボルト挿通孔62aに隣合う2つのボルト挿通孔62bの中心位置の計3点を直線で繋ぐことで形成される三角形が鈍角三角形となっている点において異なっている
柱脚構造40においては、柱脚金物42のボルト挿通孔42aは、底板部42cの、1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成されたボルト挿通孔42bの2つの中心位置を通る直線と、上記1つの辺部に直角方向に隣接する辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成されたボルト挿通孔42bの2つの中心位置を通る直線との交点の位置にボルト挿通孔42aの中心位置が配置されていた。
一方、柱脚構造60においては、上記交点の位置よりも支持台部62fの角部62q寄り(中央部寄り)に少しずれた位置に、ボルト挿通孔62aの中心位置が配置されている(図10参照)。
柱脚金物62の底板部62cは、図10に示すその四つの隅部において、図11中高さ方向上側に隅部外形斜面62kが形成されている。
この隅部外形斜面62kは、同図中高さ方向下側に位置する隅部外形面62pから、底板部62cの上面62dの中央部寄りの位置に向かうように傾斜して形成されている。
この隅部外形斜面62kの下端から、下側の隅部外形面62pの下端までの高さは、底板部62cの上面62dから底面62eまでの全体の高さの略半分に形成されている点において、柱脚金物42と異なっている。
このような本実施の形態に係る柱脚構造60によっても、前記第1の実施の形態に係る柱脚構造40と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る柱脚構造60は、柱脚金物62におけるボルト挿通孔62aの中心位置が、柱脚金物42におけるボルト挿通孔42aの中心位置に相当する位置から支持台部62fの角部62q寄りの位置に少し寄せられて配置されていることにより、ボルト挿通孔62aの中心位置から隅肉盛部64までの最短距離の長さ寸法が更に短くなっている。
前述したように、鉄骨柱4から伝えられた曲げモーメントに耐えられるようにするために、ボルト挿通孔62a,62bの中心位置から、隅肉盛部64が形成された支持台部62fの高さ下端位置までの長さ寸法に比例して、底板部62cの厚さが設定されている。
このため、ボルト挿通孔62aの中心位置から隅肉盛部64までの最短距離の長さ寸法を、前記第1の実施の形態において図5を示して説明した長さ寸法L3よりも更に短くすることにより、柱脚金物42の底板部42cの厚さよりも、柱脚金物62の底板部62cの厚さを更に薄くすることができる。
このように、柱脚金物62の底板部62cの厚さを、前記第1の実施の形態における柱脚金物42の底板部42cの厚さよりも更に薄くすることにより、柱脚金物62の大型化や重量化、高額化を更に防止することができる。
また、本実施の形態に係る柱脚構造60は、柱脚金物62に、凹部62i、傾斜凹部62j、段差凹部62mに加えて隅部外形斜面62kが形成されていることにより、柱脚金物62の大型化や重量化、高額化を更に防止することができる。
なお、本発明は、前記第1,2の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
例えば、前記第1,2の実施の形態に係る柱脚構造40,60においては、柱脚金物42,62が正方形状の場合について説明したが、縦横の長さが異なる、正方形状以外の四角形であっても構わない。また、四角形以外の形状であっても構わない。
また、前記第1,2の実施の形態に係る柱脚金物42,62においては、その底板部42c,62cの底面42e,62eの四つの隅部それぞれに段差凹部42m,62mが形成されるようになっていたが、底板部42c,62cの底面42e,62eのいずれの隅部にも段差凹部42m,62mが形成されていなくてもよい。
また、前記第1,2の実施の形態に係る柱脚構造40,60においては、柱脚金物42,62にその下端部が接合される鉄骨柱4は、角筒状に形成されていたが、この形状に限定されず、例えば円筒状に形成されていてもよく、または筒状ではない中実状に形成されていてもよい。また、鉄骨柱4の形状に対応させて柱脚金物42,62の支持台部42f,62fの形状を変更してもよい。
そして、支持台部42f,62fの形状を円筒状に変更した場合には、柱脚構造40,60の水平断面において、支持台部42f,62fの円形状の外周面の、ボルト挿通孔42a,62aの中心位置から最短距離にある部分を、第1,2の実施の形態における角部42q,62qに相当するものとみなすことができる。
また、前記第1の実施の形態に係る柱脚金物42においては、隅肉盛部44の頂点K,頂点H(図6参照)は、支持台部42fの側面42hの高さ方向中央部より上側の位置に配置されていたが、このような位置に限定されない。例えば、頂点K,頂点Hを支持台部42fの側面42hの高さ上端位置に配置してもよい。
さらに、前記第1,2の実施の形態に係る柱脚金物42,62においては、隅肉盛部44,64は支持台部42f,62f及び底板部42c,62cと共に鋳造又は鍛造により一体形成されるようになっていたが、溶接等により側面42h,62hと上面42d,62dとの間の隅部を埋めるように、溶接材料を盛り付けることによって、支持台部42f,62f及び底板部42c,62cと一体的に形成されるようにしてもよい。
また、前記第1,2の実施の形態に係る柱脚金物42,62においては、隅肉盛部44,64は、2つの半肉盛部と肉盛端部により構成される形状となっていたが、ボルト挿通孔42a,62aの中心位置から隅肉盛部44,64の高さ下端位置までの長さ寸法と、ボルト挿通孔42b,62bの中心位置から支持台部42f,62fの側面42h,62hの高さ下端位置までの長さ寸法が均等化される形状であれば、このような形状に限定されない。
また、前記第1,2の実施の形態に係る柱脚金物42,62においては、支持台部42f,62fの角部42q,62q近傍にのみ隅肉盛部44,64が形成されていたが、他の位置にも別の隅肉盛部が形成されていてもよい。例えば、隅肉盛部44,64に加えて、支持台部42f,62fの側面42h,62hの長さ方向の中央部寄りの位置から、ボルト挿通孔42b,62bの中心位置の方向に突出するように別の隅肉盛部が形成されていてもよい。
2 柱脚構造
3 基礎コンクリート
4 鉄骨柱
6 柱脚金物
6a,6b ボルト挿通孔
6c 底板部
6d 上面
6f 支持台部
6g 上面
8 モルタル
10 アンカーボルト
12 ナット部材
14 主鉄筋
40,60 柱脚構造
42,62 柱脚金物
42a,42b,62a,62b ボルト挿通孔
42c,62c 底板部
42d,62d 上面
42e,62e 底面
42f,62f 支持台部
42g,62g 上面
42h,62h 側面
42i,62i 凹部
42j,62j 傾斜凹部
42m,62m 段差凹部
42n,62n 境界段差面
42q,62q 角部
44,64 隅肉盛部
44a,44b 半肉盛部
44c 肉盛端部
44t,44u,44v 稜辺部
48 座金
62k 隅部外形斜面
62p 隅部外形面
F 水平力
H,I,J,K,L,M 頂点
L1,L2,L3,L4 長さ

Claims (6)

  1. 表裏両面と厚さを有する板状に形成された底板部と、この底板部の上面の外形輪郭より中央側で上方に向かって高さを有する支持台部とを有し、この支持台部の上面に柱部材の下端部が接合される柱脚金物であって、
    前記外形輪郭の隅部それぞれの位置に第1ボルト挿通孔が形成されると共に、
    前記外形輪郭の辺部それぞれの長さ方向における前記第1ボルト挿通孔より中央寄りの2つの位置に第2ボルト挿通孔が形成され、
    前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分において、前記支持台部の側面と前記底板部の上面との間の隅部を埋める、前記第1ボルト挿通孔、及び前記第2ボルト挿通孔の中心に近づくような位置に形成された隅肉盛部を有し、
    前記隅肉盛部は、
    前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分における所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第1ボルト挿通孔の中心位置の方向に向かって突出する形状の第1の突出部と、
    前記第1の突出部の前記第2ボルト挿通孔側の2つの部分と、前記支持台部の側面との間の隅部の2箇所の位置において、前記支持台部の所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第2ボルト挿通孔の中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成された第2の突出部とを有する
    ことを特徴とする柱脚金物。
  2. 前記隅肉盛部は、前記第1ボルト挿通孔の中心位置から前記隅肉盛部までの最短距離の長さ寸法と、前記第2ボルト挿通孔の中心位置から前記支持台部の側面までの最短距離の長さ寸法が略同じ長さとなるように形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の柱脚金物。
  3. 前記隅肉盛部は、前記第1ボルト挿通孔の中心位置から前記隅肉盛部までの最短距離の長さ寸法と、前記第2ボルト挿通孔の中心位置から前記隅肉盛部までの最短距離の長さ寸法が略同じ長さとなるように形成された
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の柱脚金物。
  4. 底板部の、1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線と、前記1つの辺部に直角方向に隣接する他の辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線との交点の位置に前記第1ボルト挿通孔の中心位置が配置された
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の柱脚金物。
  5. 底板部の、1つの辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線と、前記1つの辺部に直角方向に隣接する辺部の長さ方向の2箇所の位置に形成された前記第2ボルト挿通孔の2つの中心位置を通る直線との交点の位置よりも前記支持台部の中央部寄りにずれた位置に前記第1ボルト挿通孔の中心位置が配置された
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の柱脚金物。
  6. 表裏両面と厚さを有する板状に形成された底板部と、この底板部の上面の外形輪郭より中央側で上方に向かって高さを有する支持台部とを有し、この支持台部の上面に柱部材の下端部が接合される柱脚金物を備えた柱脚構造であって、
    前記柱脚金物は、
    前記外形輪郭の隅部それぞれの位置に第1ボルト挿通孔が形成されると共に、
    前記外形輪郭の辺部それぞれの長さ方向における前記第1ボルト挿通孔より中央寄りの2つの位置に第2ボルト挿通孔が形成され、
    前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分において、前記支持台部の側面と前記底板部の上面との間の隅部を埋める、前記第1ボルト挿通孔、及び前記第2ボルト挿通孔の中心に近づくような位置に形成された隅肉盛部を有し、
    前記隅肉盛部は、
    前記支持台部の前記第1ボルト挿通孔の中心位置から最短距離にある部分における所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第1ボルト挿通孔の中心位置の方向に向かって突出する形状の第1の突出部と、
    前記第1の突出部の前記第2ボルト挿通孔側の2つの部分と、前記支持台部の側面との間の隅部の2箇所の位置において、前記支持台部の所定の高さ位置から前記底板部の上面に向かって傾斜し、前記第2ボルト挿通孔の中心位置の方向に近づくようにそれぞれ形成された第2の突出部とを有する
    ことを特徴とする柱脚構造。
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