JP6299520B2 - 熱電変換モジュール及びその製造方法、センサモジュール及び情報処理システム - Google Patents
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Description
環境発電技術は、時計においては1988年にキネティックと呼ばれる振動を利用した技術が実用化され、その後、温度差や太陽光を利用した技術も実用化されており、μWオーダの電力供給が果たされている。
特に、温度差を利用した熱電変換素子を用いる場合、熱電変換素子を吸熱側熱導体と放熱側熱導基板で挟み、熱電変換素子の周囲に断熱層を設けることで、特性を向上させることが行なわれている。
例えば、断熱構造として、熱電変換素子3や吸熱側伝熱部材4の周囲に空間を形成すべく、図9に示すように、箱状の成形体9Aで熱電変換素子3や吸熱側伝熱部材4の周囲を覆った状態で、全体をモールド樹脂6で封止することが考えられる。
しかしながら、実際には、図11、図12に示すように、成形体9A、9Bが、基板2に搭載されている電子部品1に当たることによって成形体9A、9Bと基板2との間に隙間ができてしまう。このような隙間が空いたままモールド樹脂6で封止すると、図13に示すように、この隙間からモールド樹脂6が入り込み、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲にモールド樹脂6が充填されてしまい、断熱構造としての空間がなくなってしまうため、特性を向上させるのが難しい。なお、図13では、図12の構成においてモールド樹脂6が入り込んだ状態を示しているが、図11の構成の場合も同様の課題がある。
本情報処理システムは、上述のセンサモジュールと、センサモジュールによって得られたデータを処理するコンピュータとを備える。
本熱電変換モジュールの製造方法は、開口部を有し、電子部品が搭載されている基板の開口部に熱電変換素子を設けるとともに、熱電変換素子を挟んで上下両側に吸熱側伝熱部材及び放熱側伝熱部材を設ける工程と、吸熱側伝熱部材の周囲に樹脂成形体を設けるとともに、樹脂成形体が電子部品に当たることによって樹脂成形体と基板との間に形成される隙間を樹脂封止材によって封止し、熱電変換素子及び吸熱側伝熱部材の周囲を断熱する断熱構造を形成する工程と、基板、熱電変換素子、吸熱側伝熱部材、放熱側伝熱部材、樹脂成形体及び樹脂封止材の全体をモールド樹脂で封止する工程とを備える。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかる熱電変換モジュール及びその製造方法について、図1〜図16を参照しながら説明する。
なお、熱電変換モジュール7を、熱電モジュール、電源モジュールともいう。また、熱電変換素子3を、熱電素子、熱電発電デバイスともいう。また、基板2を、回路基板又はプリント基板ともいう。また、電子部品1を、素子ともいう。
また、吸熱側伝熱部材4は、熱電変換素子3への吸熱を目的とした伝熱部品であって、熱電変換素子3に熱を伝える高温側の伝熱部品である。また、放熱側伝熱部材5は、熱電変換素子3からの放熱を目的とした伝熱部品であって、熱電変換素子3に熱を伝える低温側の伝熱部品である。これらの伝熱部材4、5は、例えば金属等の高熱伝導率の材料からなる。例えば、図3、図4に示すように、吸熱側伝熱部材4は、例えば発熱部品などの熱源8に熱的に接続される。また、放熱側伝熱部材5は、例えばヒートシンク12Aや放熱シートなどの放熱部材(放熱部品)12に熱的に接続されるのが好ましい。つまり、熱電変換モジュール7は、放熱側伝熱部材5に熱的に接続されている放熱部材12を備えるものとするのが好ましい。これにより、放熱性を高めることができる。なお、熱源8が発熱部品である場合、発熱部品8からの熱を放熱するために、発熱部品8に熱的に接続される放熱部材(放熱器)として、吸熱側伝熱部材4、放熱側伝熱部材5及び放熱部材12が設けられており、その間に熱電変換素子3が介装されていると見ることもできる。
ここで、樹脂成形体9は、固体樹脂成形体、即ち、樹脂の固体成形体であり、断熱構造11を形成するために用いられる。
ここで、図1に示すような箱状樹脂成形体9Aの場合、箱状樹脂成形体9Aで熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲を覆った状態で、全体をモールド樹脂6で封止することで、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に空間が形成され、断熱構造11が形成されることになる。この場合、吸熱側伝熱部材4を箱状樹脂成形体9Aの開口部9Xに通して、箱状樹脂成形体9Aを基板2の上方に被せることで、箱状樹脂成形体9Aで熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲が覆われ、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に空間が形成されて、断熱構造11が形成されることになる。
また、図2に示すような発泡樹脂成形体9Bの場合、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に発泡樹脂成形体9Bを設け、全体をモールド樹脂6で封止することで、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に発泡樹脂成形体9Bが設けられ、かつ、空間が形成され、断熱構造が形成されることになる。この場合、吸熱側伝熱部材4を発泡樹脂成形体9Bの開口部9Xを通して、発泡樹脂成形体9Bを基板2の上方に被せることで、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に発泡樹脂成形体9Bが設けられ、かつ、空間が形成されて、断熱構造が形成されることになる。
この発泡性樹脂材料としては、モールド時の熱によって熱変形の少ない材料であり、かつ、モールド時の圧力でつぶれない材料、即ち、一定以上の圧縮強度を有する材料、例えば5%圧縮強度>1N/cm2である材料であることが好ましい。
樹脂封止材10は、断熱構造11を形成するための樹脂成形体9が基板2に搭載されている電子部品1に当たることによって樹脂成形体9と基板2との間に隙間が形成されてしまった場合に、この隙間を封止するために用いられるものである。この場合、樹脂成形体9の外周部に沿った樹脂成形体9と基板2との間の隙間は、樹脂封止材10又は電子部品1によって封止されることになる。この樹脂封止材10は、樹脂成形体9を基板2に接着する機能を有するものとするのが好ましい。つまり、樹脂封止材10は、樹脂成形体9に接着し、また、基板2に接着するものであることが好ましい。
ここで、樹脂封止材10は、硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなることが好ましい。また、樹脂封止材10は、液状樹脂で塗布後に硬化するもの(硬化性樹脂;塗布後に加熱することによって硬化する熱硬化性樹脂を含む)、あるいは、固体樹脂であるが、加熱等で軟化するもの(熱可塑性樹脂)を用いるのが好ましい。
そして、基板2、熱電変換素子3、吸熱側伝熱部材4、放熱側伝熱部材5、樹脂成形体9及び樹脂封止材10の全体がモールド樹脂6で封止(モールド)されて、一体化されている。
まず、上述したように、熱電変換素子3は、配線を形成した2枚の基板間にp型熱電材料とn型熱電材料を交互に並べて接続した構造になっており、p型熱電材料とn型熱電材料の間にはなにも充填されておらず、空隙のままになっているため、素子の機械的強度は非常に弱く、扱いづらい。
これらの構造のものに対して伝熱シミュレーションを行なったところ、図8に示すように、空気層を設けていない図6に示す構造のものに対し、空気層を設けている図7に示す構造の方が、熱電変換素子3(熱電変換モジュール7)の特性(発電特性;ここでは開放電圧)が約10%程度向上することが分かった。
また、発泡樹脂は熱伝導率が約0.02〜約0.05W/mK程度であり、空気と同等程度であるため、発泡樹脂を設けることで断熱効果を得ることができる。つまり、発泡樹脂は断熱材として機能する。
しかしながら、実際には、図11、図12に示すように、成形体9A、9Bが、基板2に搭載されている電子部品1に当たることによって成形体9A、9Bと基板2との間に隙間ができてしまう。
このように、電子部品1が搭載されている基板2の開口部2Aに熱電変換素子3を設ける場合、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲には、電子部品1が搭載されているため、ここに断熱構造11を形成して、特性を向上させるのが難しい。
なお、図14〜図16では、図2の構成、即ち、発泡樹脂成形体9Bを備える熱電変換モジュール7の製造方法を示しているが、図1の構成、即ち、箱状樹脂成形体9Aを備える熱電変換モジュール7の製造方法も同様である。また、樹脂成形体9の開口部9Xの壁面がテーパ状になっているものを例示しているが、テーパ状になっていないものでも同様である。
次に、図14(A)、(B)、図15(A)、(B)、図16(A)〜(G)に示すように、吸熱側伝熱部材4の周囲に樹脂成形体9を設けるとともに、樹脂成形体9が電子部品1に当たることによって樹脂成形体9と基板2との間に形成される隙間を樹脂封止材10によって封止し、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲を断熱する断熱構造11を形成する。
このようにして、熱電変換モジュール7を製造することができる。
ここで、上述の断熱構造11を形成する工程において、図14(A)、(B)に示すように、樹脂成形体9を設けた後に、隙間を樹脂封止材10によって封止して、断熱構造11を形成するようにすれば良い。
例えば、樹脂封止材10として液状樹脂で塗布後に硬化するものを用いる場合、この断熱構造11を形成する工程では、まず、樹脂成形体9の開口部9Xに吸熱側伝熱部材4を通して、電子部品1が搭載されている基板2の上方に樹脂成形体9を設置した場合[図15(B)参照]に、樹脂成形体9が基板2に搭載されている電子部品1に当たることによって樹脂成形体9と基板2との間に形成される隙間が封止されるように、図15(A)に示すように、電子部品1が搭載されている基板2上に、樹脂封止材10としての液状樹脂を塗布する。つまり、樹脂成形体9の開口部9Xに吸熱側伝熱部材4を通して、電子部品1が搭載されている基板2の上方に樹脂成形体9を設置した場合[図15(B)参照]に、樹脂成形体9が当たって接触する電子部品1の高さ以上の高さになるように、電子部品1が搭載されている基板2上に、樹脂封止材10としての液状樹脂を塗布する。この場合、樹脂封止材10としての液状樹脂は、樹脂成形体9を設置した場合にその外周部に沿うように、電子部品1が搭載されている基板2上の少なくとも一部に塗布されることになる。そして、図15(B)に示すように、樹脂成形体9の開口部9Xに吸熱側伝熱部材4を通して、電子部品1が搭載されている基板2の上方に樹脂成形体9を設置する。その後、樹脂封止材10としての液状樹脂が硬化するか又は加熱硬化させることで、樹脂成形体9と樹脂封止材10とを接着して、断熱構造11を形成するようにすれば良い。この場合、樹脂成形体9の外周部に沿った樹脂成形体9と基板2との間の隙間が樹脂封止材10又は電子部品1によって埋められたものとなる。
この場合、吸熱側伝熱部材4と樹脂成形体9は接着されず、吸熱側伝熱部材4と熱電変換素子3が例えばグリースなどを介して熱的に接続されるのみとなるため、吸熱側伝熱部材4は不安定である。また、吸熱側伝熱部材4とモールド樹脂6の接着面積が小さくなると、熱電変換モジュール7から脱落するおそれもある。さらに、モールディング時にこの隙間からモールド樹脂6が侵入し、熱電変換素子3が設置されている箇所にモールド樹脂6が流れ込むおそれもある。
そこで、手番やコストを増やさず、吸熱側伝熱部材4を安定させ、脱落等のおそれをなくし、さらには、この隙間からモールド樹脂6が侵入しないようにするために、図16(F)に示すように、樹脂成形体9の吸熱側伝熱部材4が設けられる開口部9Xを、その壁面がテーパ状になっているものとし、熱電変換素子3側の開口面積が小さくなっているものとするのが好ましい。つまり、樹脂成形体9の吸熱側伝熱部材4と接する面にテーパを形成し、樹脂成形体9と吸熱側伝熱部材4との間の隙間が熱電変換素子3側で小さくなるようにするのが好ましい。この場合、樹脂成形体9の開口部9Xは、その開口面積が、熱電変換素子3が設置されている空間に面する側とその反対側とで異なることになる。特に、樹脂成形体9の開口部9Xは、その熱電変換素子3側における樹脂成形体9と吸熱側伝熱部材4との間の隙間が、モールド樹脂6が侵入できない程度の大きさになる一方、その反対側における樹脂成形体9と吸熱側伝熱部材4との間の隙間が、モールド樹脂6が容易に侵入できる程度の大きさになるように、熱電変換素子3側及びその反対側の開口面積の大きさが設定されていることが好ましい。これにより、図16(H)に示すように、樹脂成形体9と吸熱側伝熱部材4との間の隙間からモールド樹脂6が侵入し、熱電変換素子3が設置されている箇所にモールド樹脂6が流れ込んでしまうのを防止しながら、モールド樹脂6と吸熱側伝熱部材4との接着面積を増大させることができ、吸熱側伝熱部材4を容易に固定することが可能となる。
[実施例]
次に、本発明を更に具体的に説明するために実施例を挙げる。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
熱電変換素子3としてはYAMAHA社製GKB20を使用し、これをプリント基板2に実装した後、吸熱側伝熱部材4及び放熱側伝熱部材5を熱電変換素子3の両側にそれぞれグリースを介して熱的に接続した。ここでは、吸熱側伝熱部材4としては、材料をアルミニウムとし、直径φ約20mm、高さ約20mmのサイズを有する円柱状のものを用いた。また、放熱側伝熱部材5としては、材料をアルミニウムとし、約20mm×約20mm×約10mmのサイズを有する板状のものを用いた。
このため、樹脂封止材10としてエポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)を用い、この隙間を液状のエポキシ樹脂(ダム材)で埋め、約150℃〜約180℃で約30分〜約1時間加熱して硬化させた。
このようにして作製した熱電変換モジュール7では、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲へのモールド樹脂6の侵入は観察されず、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に空間が形成されて断熱構造11を形成することができた。
[実施例2]
実施例2では、実施例1の熱電変換モジュール7に対し、断熱構造11を形成する樹脂成形体9の材料、箱状樹脂成形体9Aの下端が当たった電子部品1の高さ、樹脂封止材10の材料が異なり、このほかは実施例1と同様である。
また、箱状樹脂成形体9Aを設置したところ、箱状樹脂成形体9Aの下端は高さ約1mmの電子部品1に当たり、即ち、箱状樹脂成形体9Aの下端(設置面)と基板2の表面との間の距離が約1mmとなり、箱状樹脂成形体9Aの下端と基板2との間に隙間ができた。
このようにして作製した熱電変換モジュール7では、ポリカーボネートからなる箱状樹脂成形体9Aに変形等は見られず、また、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲へのモールド樹脂6の侵入は観察されず、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に空間が形成されて断熱構造11を形成することができた。
[実施例3]
実施例3では、実施例1の熱電変換モジュール7に対し、断熱構造11を形成する樹脂成形体9の材料、樹脂封止材10の材料が異なり、このほかは実施例1と同様である。
また、箱状樹脂成形体9Aを設置したところ、箱状樹脂成形体9Aの下端は高さ約3mmの電子部品1に当たった。つまり、箱状樹脂成形体9Aの下端(設置面)と基板2の表面との間の距離が約3mmとなり、箱状樹脂成形体9Aの下端と基板2との間に隙間ができた。
このようにして作製した熱電変換モジュール7では、メラミン樹脂からなる箱状樹脂成形体9Aに変形等は見られず、また、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲へのモールド樹脂6の侵入は観察されず、熱電変換素子3及び吸熱側伝熱部材4の周囲に空間が形成されて断熱構造11を形成することができた。
[実施例4]
実施例4では、実施例1の熱電変換モジュール7に対し、熱電変換素子3、断熱構造11を形成する樹脂成形体9の形状及び材料、モールド樹脂6の材料が異なり、また、ダミー成形体13を用いた作製方法である点で異なり、このほかは実施例1と同様である。
また、断熱構造11を形成する樹脂成形体9として、ウレタンフォームからなる発泡樹脂成形体9Bを用いた。
また、発泡樹脂成形体9Bを設置したところ、発泡樹脂成形体9Bの下面は高さ約3mmの電子部品1に当たった。つまり、発泡樹脂成形体9Bの下面(設置面)と基板2の表面との間の距離が約3mmとなり、発泡樹脂成形体9Bの下面と基板2との間に隙間ができた。
その後、モールド樹脂6としてHenkel社製のポリオレフィン樹脂を用いてモールドして、熱電変換モジュール7を作製した。この場合、モールディング時の樹脂の温度は約200〜約250℃であったが、ウレタンフォームからなる発泡樹脂成形体9Bに変形等は見られなかった。
そして、このようにして作製した熱電変換モジュール7では、断熱構造を形成していないもの(例えば図6参照)と比較して、約10%以上の特性向上を確認することができた。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるセンサモジュール及び情報処理システムについて、図17〜図23を参照しながら説明する。
発電モジュール161には、例えば、上述の第1実施形態の熱電変換モジュール7が適用される。つまり、この発電モジュール161は、電子部品1が搭載されている基板2と、熱電変換素子3と、吸熱側伝熱部材4と、放熱側伝熱部材5と、樹脂成形体9と樹脂封止材10とによって形成される断熱構造11と、モールド樹脂6とを備える。このため、本センサモジュールは、少なくとも、センサ163と、センサ163に電気的に接続された、上述の第1実施形態の熱電変換モジュール7とを備える。
発電モジュール161及び蓄電モジュール162は、電力供給部168を構成する。この電力供給部168を構成する発電モジュール161及び蓄電モジュール162の少なくとも一方からは、センサ163、コントローラ164、及び、通信回路166に電力が供給される。発電モジュール161によって安定した電力を供給できる場合には、蓄電モジュール162が省かれても良い。
通信回路166及びアンテナ167は、通信部169を構成する。通信部169は、コントローラ164と図示しないサーバ175との間でデータの送受信を行う。なお、図17に示される例では、アンテナ167を用いた無線通信が採用されるが、無線通信の代わりに、有線通信が採用されても良い。
この情報処理システム170は、複数の一体型モジュール160と、サーバ175とを備える。つまり、本情報処理システム170は、上述の一体型モジュール(センサモジュール)160と、この一体型モジュール160によって得られたデータを処理するサーバ(コンピュータ)175とを備える。ここでは、情報処理システム170は、マンホール176から得られる情報を処理するシステムである。このため、複数の一体型モジュール160は、マンホール176に設置される。この複数のマンホール176に設置された複数の一体型モジュール160は、ネットワーク177を介してサーバ175と接続される。
この一体型モジュール160は、センサ163の検出対象又はセンサ163の種類に応じて、マンホール176の構造体である蓋178やコンクリート管179などに固定される。一体型モジュール160に備えられた熱電変換素子は、マンホール176の構造体と熱的に接続され、マンホール176の構造体と外気又はマンホール176内部の温度との温度差により発電する。
[第1適用例]
第1適用例では、図19に示すように、情報処理システム170は、マンホール176の構造体(蓋178やコンクリート管179)の劣化を把握するために利用される。
道路上を走る測定用の車両180がマンホール176上を通過する際に、コントローラ164は、通信回路166及びアンテナ167を介してメモリ165に蓄積されたデータを送信する。測定用の車両180に設けられたサーバ175は、データを回収する。
また、測定用の車両180の下部に、受信装置181に加え、マンホール176の蓋178の画像を取得するカメラ182を取り付け、マンホール176の蓋178(鉄部)の劣化を画像認識で判断することができるようにしても良い。この結果を元に、マンホール176の蓋178の交換時期を自治体に情報として販売するようにしても良い。ここで、データを回収する車両としては、特別な測定用の車両でなくとも、例えば自治体が運用するごみ収集車でも良い。ごみ収集車の底部に受信装置181やカメラ182を設置することで、回収費用をかけずに定期的にデータを回収することができる。
また、マンホール176内では湿度が常に高く、下水道183(又は上水道)の水がマンホール176内にあふれる可能性もある。また、マンホール176内部はほぼ一定温度だが、例えば蓋178では夏は高温、冬は低温になるうえ、さまざまな金属を溶かす硫化水素ガスなどが発生することが知られている。このような過酷な環境にあって、センサ163などの電子部品及び熱電変換素子を守り、かつ長期的な信頼性を保つことは重要である。この場合、一体型モジュール160を、センサ163などの電子部品及び熱電変換素子が樹脂で封止されたものとして構成することで、長期的な信頼性を保つことが可能となる。
[第2適用例]
第2適用例では、図20に示すように、情報処理システム170は、マンホール176と接続される下水道183の流量を予測するために利用される。
[第3適用例]
第3適用例では、図21に示すように、情報処理システム170は、マンホール176のセキュリティ及び作業履歴に利用される。
[第4適用例]
第4適用例では、図22に示すように、情報処理システム170は、道路交通情報の取得に利用される。
また、センサ163の検出値の強弱から、マンホール176上を通過する車両185,186,187の種類(例えば、小型車、普通車、トラック等)を検出するようにしても良い。この場合、センサ163の検出値と車両の種類とを関連付けたデータセットを予めメモリ165に記憶しておけば良い。そして、コントローラ164が、センサ163の検出値と上記データセットとから車の種類を判定し、この車の種類の情報をサーバ175へ送信するようにすれば良い。これにより、マンホール176上を通過する車両の種類を把握することが可能となる。
[第5適用例]
第5適用例では、図23に示すように、情報処理システム170は、降雨量の測定に利用される。
通常、Xバンドレーダの分解能は250mであるが、平均間隔が30mあまりのマンホール176にセンサ163が設置されることで、はるかにきめ細かい気象観測が可能になり、局所的な集中豪雨などの計測及び予測に役立つと考えられる。センサ163から出力されたデータ(信号)は、サーバ175にて受信される。
[その他]
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、適宜組み合わせることも可能である。
(付記1)
開口部を有し、電子部品が搭載されている基板と、
前記基板の前記開口部に設けられ、前記基板に電気的に接続されている熱電変換素子と、
前記熱電変換素子を挟んで上下両側に設けられた吸熱側伝熱部材及び放熱側伝熱部材と、
前記吸熱側伝熱部材の周囲に設けられた樹脂成形体と、前記樹脂成形体が前記電子部品に当たることによって前記樹脂成形体と前記基板との間に形成される隙間を封止する樹脂封止材とによって形成され、前記熱電変換素子及び前記吸熱側伝熱部材の周囲を断熱する断熱構造と、
前記基板、前記熱電変換素子、前記吸熱側伝熱部材、前記放熱側伝熱部材、前記樹脂成形体及び前記樹脂封止材の全体を封止するモールド樹脂とを備えることを特徴とする熱電変換モジュール。
前記樹脂成形体が、箱状樹脂成形体であることを特徴とする、付記1に記載の熱電変換モジュール。
(付記3)
前記樹脂成形体が、発泡樹脂成形体であることを特徴とする、付記1に記載の熱電変換モジュール。
前記樹脂封止材が、硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
(付記5)
前記樹脂成形体が、前記吸熱側伝熱部材が設けられる開口部を備え、前記開口部は、壁面がテーパ状になっており、前記熱電変換素子側の開口面積が小さくなっていることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
前記樹脂成形体と前記樹脂封止材とを係合する係合部を備えることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
(付記7)
前記放熱側伝熱部材に熱的に接続されている放熱部材を備えることを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
センサと、
前記センサに電気的に接続された、付記1〜7のいずれか1項に記載の熱電変換モジュールとを備えることを特徴とするセンサモジュール。
(付記9)
付記8に記載のセンサモジュールと、
前記センサモジュールによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。
開口部を有し、電子部品が搭載されている基板の前記開口部に熱電変換素子を設けるとともに、前記熱電変換素子を挟んで上下両側に吸熱側伝熱部材及び放熱側伝熱部材を設ける工程と、
前記吸熱側伝熱部材の周囲に樹脂成形体を設けるとともに、前記樹脂成形体が前記電子部品に当たることによって前記樹脂成形体と前記基板との間に形成される隙間を樹脂封止材によって封止し、前記熱電変換素子及び前記吸熱側伝熱部材の周囲を断熱する断熱構造を形成する工程と、
前記基板、前記熱電変換素子、前記吸熱側伝熱部材、前記放熱側伝熱部材、前記樹脂成形体及び前記樹脂封止材の全体をモールド樹脂で封止する工程とを備えることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。
前記断熱構造を形成する工程において、前記樹脂成形体を設けた後に、前記隙間を前記樹脂封止材によって封止して、前記断熱構造を形成することを特徴とする、付記10に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
(付記12)
前記断熱構造を形成する工程において、前記隙間が封止されるように前記樹脂封止材を設けた後に、前記樹脂成形体を設け、前記樹脂封止材を硬化又は軟化させて、前記断熱構造を形成することを特徴とする、付記10に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
前記断熱構造を形成する工程において、前記吸熱側伝熱部材の周囲にダミー成形体を設け、前記ダミー成形体が前記電子部品に当たることによって前記ダミー成形体と前記基板との間に形成される隙間を前記樹脂封止材によって封止した後、前記ダミー成形体に代えて前記樹脂成形体を設けて、前記断熱構造を形成することを特徴とする、付記10に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
前記断熱構造を形成する工程において、前記隙間が封止されるように前記樹脂封止材を設け、前記吸熱側伝熱部材の周囲にダミー成形体を設け、前記樹脂封止材を硬化又は軟化させた後、前記ダミー成形体に代えて前記樹脂成形体を設けて、前記断熱構造を形成することを特徴とする、付記10に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
前記樹脂成形体が、前記吸熱側伝熱部材が設けられる開口部を備え、前記開口部は、壁面がテーパ状になっており、前記熱電変換素子側の開口面積が小さくなっていることを特徴とする、付記10〜14のいずれか1項に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
(付記16)
前記ダミー成形体に代えて前記樹脂成形体を設ける際に、前記樹脂成形体と前記樹脂封止材とを係合させることを特徴とする、付記13又は14に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
2 基板
2A 開口部
3 熱電変換素子
4 吸熱側伝熱部材
5 放熱側伝熱部材
6 モールド樹脂
7 熱電変換モジュール
8 熱源
9 樹脂成形体
9X 開口部
9A 箱状樹脂成形体
9B 発泡樹脂成形体
10 樹脂封止材
11 断熱構造
12 放熱部材
12A ヒートシンク
13 ダミー成形体
13X 開口部
14 係合部
14A 開口部
14B 突起部
160 一体型モジュール
161 発電モジュール
162 蓄電モジュール
163 センサ
164 コントローラ
165 メモリ
166 通信回路(通信部)
167 アンテナ
168 電力供給部
169 通信部
170 情報処理システム
175 サーバ(コンピュータ)
176 マンホール
177 ネットワーク
178 蓋
179 コンクリート管
180 車両
181 受信装置
182 カメラ
183 下水道
184 データセンタ
185,186,187 車両
Claims (10)
- 開口部を有し、電子部品が搭載されている基板と、
前記基板の前記開口部に設けられ、前記基板に電気的に接続されている熱電変換素子と、
前記熱電変換素子を挟んで上下両側に設けられた吸熱側伝熱部材及び放熱側伝熱部材と、
前記吸熱側伝熱部材の周囲に設けられた樹脂成形体と、前記樹脂成形体が前記電子部品に当たることによって前記樹脂成形体と前記基板との間に形成される隙間を封止する樹脂封止材とによって形成され、前記熱電変換素子及び前記吸熱側伝熱部材の周囲を断熱する断熱構造と、
前記基板、前記熱電変換素子、前記吸熱側伝熱部材、前記放熱側伝熱部材、前記樹脂成形体及び前記樹脂封止材の全体を封止するモールド樹脂とを備えることを特徴とする熱電変換モジュール。 - 前記樹脂成形体が、前記吸熱側伝熱部材が設けられる開口部を備え、前記開口部は、壁面がテーパ状になっており、前記熱電変換素子側の開口面積が小さくなっていることを特徴とする、請求項1に記載の熱電変換モジュール。
- センサと、
前記センサに電気的に接続された、請求項1又は2に記載の熱電変換モジュールとを備えることを特徴とするセンサモジュール。 - 請求項3に記載のセンサモジュールと、
前記センサモジュールによって得られたデータを処理するコンピュータとを備えることを特徴とする情報処理システム。 - 開口部を有し、電子部品が搭載されている基板の前記開口部に熱電変換素子を設けるとともに、前記熱電変換素子を挟んで上下両側に吸熱側伝熱部材及び放熱側伝熱部材を設ける工程と、
前記吸熱側伝熱部材の周囲に樹脂成形体を設けるとともに、前記樹脂成形体が前記電子部品に当たることによって前記樹脂成形体と前記基板との間に形成される隙間を樹脂封止材によって封止し、前記熱電変換素子及び前記吸熱側伝熱部材の周囲を断熱する断熱構造を形成する工程と、
前記基板、前記熱電変換素子、前記吸熱側伝熱部材、前記放熱側伝熱部材、前記樹脂成形体及び前記樹脂封止材の全体をモールド樹脂で封止する工程とを備えることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。 - 前記断熱構造を形成する工程において、前記樹脂成形体を設けた後に、前記隙間を前記樹脂封止材によって封止して、前記断熱構造を形成することを特徴とする、請求項5に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
- 前記断熱構造を形成する工程において、前記隙間が封止されるように前記樹脂封止材を設けた後に、前記樹脂成形体を設け、前記樹脂封止材を硬化又は軟化させて、前記断熱構造を形成することを特徴とする、請求項5に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
- 前記断熱構造を形成する工程において、前記吸熱側伝熱部材の周囲にダミー成形体を設け、前記ダミー成形体が前記電子部品に当たることによって前記ダミー成形体と前記基板との間に形成される隙間を前記樹脂封止材によって封止した後、前記ダミー成形体に代えて前記樹脂成形体を設けて、前記断熱構造を形成することを特徴とする、請求項5に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
- 前記断熱構造を形成する工程において、前記隙間が封止されるように前記樹脂封止材を設け、前記吸熱側伝熱部材の周囲にダミー成形体を設け、前記樹脂封止材を硬化又は軟化させた後、前記ダミー成形体に代えて前記樹脂成形体を設けて、前記断熱構造を形成することを特徴とする、請求項5に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
- 前記ダミー成形体に代えて前記樹脂成形体を設ける際に、前記樹脂成形体と前記樹脂封止材とを係合させることを特徴とする、請求項8又は9に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
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