以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、ランフラットタイヤ2の一部が示されている。図2には、図1のII−II線に沿った、このタイヤ2の断面が示されている。この図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図2において、一点鎖線Eqはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
図2において、符号Rで示されているのはリムである。この図2において、タイヤ2はリムRに組み込まれている。このリムRは、正規リムである。このタイヤ2には、空気が充填されている。このタイヤ2の内圧は、正規内圧である。
タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、特に言及のない限り、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。なお、タイヤ2が乗用車用である場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
このタイヤ2は、トレッド4、ウイング6、サイドウォール8、クリンチ部10、ビード12、カーカス14、荷重支持層16、ベルト18、インナーライナー20及びチェーファー22を備えている。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接触するトレッド面24を形成する。トレッド面24には、溝26が刻まれている。この溝26により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、キャップ層28とベース層30とを有している。キャップ層28は、架橋ゴムからなる。ベース層30は、他の架橋ゴムからなる。キャップ層28は、ベース層30の半径方向外側に位置している。キャップ層28は、ベース層30に積層されている。
ウィング6は、トレッド4とサイドウォール8との間に位置している。ウィング6は、トレッド4及びサイドウォール8のそれぞれと接合している。ウィング6は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール8は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール8は、軸方向においてカーカス14よりも外側に位置している。サイドウォール8は、架橋ゴムからなる。サイドウォール8は、カーカス14の外傷を防止する。
バルジ、デント等の外観不良の防止の観点から、サイドウォール8の厚みは2mm以上が好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、このサイドウォール8の厚みは4mm以下が好ましい。本発明において、サイドウォール8の厚みは、タイヤ2の最大幅を示す位置におけるサイドウォール8の厚みにより表される。このタイヤ2の最大幅を示す位置は、後述の通りである。
カット等の外傷防止の観点から、サイドウォール8の硬度は50以上が好ましく、55以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬度は70以下が好ましく、65以下がより好ましい。硬度は、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図2に示された断面にこのデュロメータが押し付けられて、硬度が測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。後述する荷重支持層16の硬度も同様にして測定される。
サイドウォール8の熱伝導度は、0.1W/m/K以上が好ましい。パンク状態での走行のとき、このサイドウォール8から十分な放熱がなされる。放熱の観点から、熱伝導度は0.2W/m/K以上がより好ましい。サイドウォール8のゴム中に熱伝導性に優れた繊維が分散することにより、大きな熱伝導度が達成されうる。
クリンチ部10は、サイドウォール8の半径方向内側に位置している。クリンチ部10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ部10は、リムRのフランジFと当接している。
ビード12は、サイドウォール8よりも半径方向内側に位置している。ビード12は、軸方向においてクリンチ部10よりも内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス34は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス14は、カーカスプライ36からなる。カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されている。カーカスプライ36は、トレッド4及びサイドウォール8に沿っている。カーカスプライ36は、コア32の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部38と折り返し部40とが形成されている。折り返し部40の端42は、ベルト18の直下にまで至っている。換言すれば、折り返し部40はベルト18とオーバーラップしている。このカーカス14は、いわゆる「超ハイターンアップ構造」を有する。超ハイターンアップ構造を有するカーカス14は、パンク状態におけるタイヤ2の耐久性に寄与する。このカーカス14は、パンク状態での耐久性に寄与する。
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、45°から90°、さらには75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
荷重支持層16は、サイドウォール8の軸方向内側に位置している。この支持層16は、カーカス14とインナーライナー20とに挟まれている。支持層16は、半径方向において、内向きに先細りであり外向きにも先細りである。この支持層16は、三日月に類似の形状を有する。支持層16は、高硬度な架橋ゴムからなる。タイヤ2がパンクしたとき、この支持層16が荷重を支える。この支持層16により、パンク状態であっても、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。このランフラットタイヤ2は、サイド補強タイプである。タイヤ2が、図2に示された支持層16の形状とは異なる形状を有する支持層を備えてもよい。なお、本願においては、パンク状態以外の状態での走行が通常状態での走行である。
カーカス14のうち、支持層16とオーバーラップしている部分は、インナーライナー20と離れている。換言すれば、支持層16の存在により、カーカス14は湾曲させられている。パンク状態のとき、支持層16には圧縮荷重がかかり、カーカス14のうち支持層16と近接している領域には引張り荷重がかかる。支持層16はゴム塊なので、圧縮荷重に十分に耐えうる。カーカス14のコードは、引張り荷重に十分に耐えうる。支持層16とカーカス14のコードとにより、パンク状態でのタイヤ2の縦撓みが抑制される。縦撓みが抑制されたタイヤ2は、パンク状態での操縦安定性に優れる。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層16の硬度は60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬度は90以下が好ましく、80以下がより好ましい。
支持層16の下端44は、エイペックス34の上端46(すなわちビードの半径方向外側端)よりも、半径方向において内側に位置している。換言すれば、支持層16はエイペックス34とオーバーラップしている。支持層16の下端44とエイペックス34の上端46との半径方向距離は、5mm以上50mm以下が好ましい。この距離がこの範囲であるタイヤ2では、均一な剛性分布が得られる。この距離は10mm以上がより好ましい。この距離は40mm以下がより好ましい。
支持層16の上端48は、ベルト18の端50よりも軸方向において内側に位置している。換言すれば、支持層16はベルト18とオーバーラップしている。支持層16の上端48とベルト18の端50との軸方向距離は、2mm以上50mm以下が好ましい。この距離がこの範囲であるタイヤ2では、均一な剛性分布が得られる。この距離は5mm以上がより好ましい。この距離は40mm以下がより好ましい。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層16の最大厚みは3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、7mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、最大厚みは、25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
支持層16の熱伝導度は、0.2W/m/K以上が好ましい。パンク状態での走行のとき、この支持層16から熱が他の部材へ伝導する。伝導の観点から、熱伝導度は0.3W/m/K以上がより好ましい。支持層16のゴム中に熱伝導性に優れた繊維が分散することにより、大きな熱伝導度が達成されうる。
ベルト18は、カーカス14の半径方向外側に位置している。ベルト18は、カーカス14と積層されている。ベルト18は、カーカス14を補強する。ベルト18は、内側層52及び外側層54からなる。図2から明らかなように、内側層52の幅は、外側層54の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層52及び外側層54のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層52のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層54のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト18が、3以上の層を備えてもよい。
インナーライナー20は、カーカス14及び支持層16の内面に接合されている。インナーライナー20は、架橋ゴムからなる。インナーライナー20には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
このタイヤ2は、トレッド4の半径方向内側に、ベルト18を覆うバンドをさらに備えてもよい。この場合、バンドは螺旋状に巻かれたコードを含む。バンドのコードは、ベルト18を拘束する。これにより、ベルト18のリフティングが抑制される。バンドのコードには、有機繊維からなるコードが用いられる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。このタイヤ2では、ベルト18に代えて、バンドが用いられてもよい。
図1及び2に示されるように、このタイヤ2は、そのサイド面に多数のディンプル56を備えている。本発明においてサイド面とは、タイヤ2の外面のうち軸方向から目視されうる領域を意味する。
このタイヤ2のサイド面において、多数のディンプル56が形成されているゾーンは凹凸ゾーン58と称される。このタイヤ2は、そのサイド面に、多数のディンプル56を有する凹凸ゾーン58を備えている。
凹凸ゾーン58において、ディンプル56以外の部分はランド60と称される。したがって、このタイヤ2では、一のディンプル56とこの一のディンプル56の隣に位置する他のディンプル56との間はランド60である。この凹凸ゾーン58は、ランド60と、このランド60以外の多数のディンプル56とを備えている。
図1及び2において、符号OEは凹凸ゾーン58の外縁を表している。符号IEは、この凹凸ゾーン58の内縁を表している。図から明らかなように、このタイヤ2の凹凸ゾーン58はリムR側というよりもトレッド4側に位置している。
図2に示されるように、ウィング及びサイドウォールからなる部分の表面に、凸部62を設けることによりディンプル56は形成されている。凸部62は、この表面から外向きに突出している。このタイヤ2では、凸部62の外面がランド60である。ディンプル56は、ランド60から窪んでいる。
タイヤ2は、走行時に回転する。タイヤ2が装着された車輌は、進行する。タイヤ2の回転と車輌の進行とにより、ディンプル56を横切って空気が流れる。これにより、乱流が発生する。乱流は、放熱を促進する。このタイヤ2では、熱によるゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での長時間の走行が可能である。乱流は、パンク状態のみならず、通常状態での放熱にも寄与する。ディンプル56は、通常状態でのタイヤ2の耐久性にも寄与する。運転者の不注意により、内圧が正規値よりも小さい状態で走行がなされることがある。この場合の耐久性にも、ディンプル56は寄与しうる。
パンク状態においてタイヤ2の走行が継続されると、支持層16の変形と復元とが繰り返される。これにより、支持層16は熱を帯びる。前述したように、多数のディンプル56が形成された凹凸ゾーン58はこのタイヤ2のサイド面においてトレッド4側に位置している。図から明らかなように、凹凸ゾーン58は支持層16と軸方向において重複している。このタイヤ2では、凹凸ゾーン58が放熱に効果的に寄与しうる。
このタイヤ2では、凹凸ゾーン58は、多数のディンプル56aが周方向に沿って並んだ第一列iを備えている。さらにこの凹凸ゾーン58は、この第一列iの半径方向外側において、他の多数のディンプル56bが周方向に沿って並んだ第二列iiを備えている。さらにこの凹凸ゾーン58は、この第二列iiの半径方向外側において、さらに他の多数のディンプル56cが周方向に沿って並んだ第三列iiiを備えている。このタイヤ2の凹凸ゾーン58では、多数のディンプル56は周方向に沿って3列に並べられている。この凹凸ゾーン58に含まれる多数のディンプル56が、2列に並べられてもよい。これらのディンプル56が4列以上に並べられてもよい。この凹凸ゾーン58が、第一列iの半径方向内側において、他の多数のディンプルが周方向に沿って並んだ別の列をさらに備えてもよい。
本願においては、第一列iをなすディンプル56aは第一ディンプルと称される。第二列iiをなすディンプル56bは、第二ディンプルと称される。第三列iiiをなすディンプル56cは、第三ディンプルと称される。したがって、このタイヤの凹凸ゾーン58に含まれる多数のディンプル56は、多数の第一ディンプル56aと、多数の第二ディンプル56bと、多数の第三ディンプル56cとを含んでいる。
このタイヤ2では、第一列iに含まれる第一ディンプル56aの数は第二列iiに含まれる第二ディンプル56bの数と同じである。第二列iiに含まれる第二ディンプル56bの数は、第三列iiiに含まれる第三ディンプル56cの数と同じである。乱流の発生の観点から、一の列に含まれるディンプル56の数は120以上が好ましい。十分なサイズを有するディンプル56が得られるとの観点から、一の列に含まれるディンプル56の数は180以下が好ましい。
図3には、第一列iの第一ディンプル56aの断面が表されている。この図3には、このタイヤ2の周方向に対して垂直な断面が示されている。この図3において、上下方向はこのタイヤ2の半径方向である。
第一ディンプル56aは、第一スロープ面64aと第一底面66aとを備えている。図から明らかなように、第一スロープ面64aと第一底面66aとのコーナーは丸められている。第一スロープ面64aは、ランド60に連続している。第一スロープ面64aは、環状である。第一スロープ面64aは、ランド60に対して傾斜している。第一底面66aは、第一スロープ面64aに連続している。図から明らかなように、この第一底面66aは湾曲している。
図4には、第二列iiの第二ディンプル56bの断面が表されている。この図4には、このタイヤ2の周方向に対して垂直な断面が示されている。この図4において、上下方向はこのタイヤ2の半径方向である。
第二ディンプル56bは、第二スロープ面64bと第二底面66bとを備えている。図から明らかなように、第二スロープ面64bと第二底面66bとのコーナーは丸められている。第二スロープ面64bは、ランド60に連続している。第二スロープ面64bは、環状である。第二スロープ面64bは、ランド60に対して傾斜している。第二底面66bは、第二スロープ面64bに連続している。図から明らかなように、この第二底面66bは平らである。
図示されていないが、第三列iiiの第三ディンプル56cは第三スロープ面と第三底面とを備えている。第三スロープ面と第三底面とのコーナーは丸められている。第三スロープ面は、ランド60に連続している。第三スロープ面は、環状であり、ランド60に対して傾斜している。第三底面は、第三スロープ面に連続している。そして、この第三底面は、第二ディンプル56bの第二底面66bと同様、平らである。
前述したように、このタイヤでは、第一ディンプル56aの第一底面66aは湾曲している。この第一底面66aの表面積は、平らとされた底面のそれよりも大きい。タイヤ2が撓みこの底面66aが引き延ばされても変形代が大きいので、この底面66aに係る張力は平らとされた底面よりも軽減される。この底面66aには割れは生じにくい。この底面66aは、タイヤの耐久性に寄与する。しかも湾曲した底面66aは、タイヤ2の軽量化にも寄与する。
図2において、符号Pwはこのタイヤ2の最大幅を示す位置を表している。この位置Pwは、このタイヤ2のサイド面にディンプル56が形成されていないと仮定して得られる仮想外面に基づいて表される。この図2には、この仮想外面が二点鎖線ILで表されている。
この図2から明らかなように、凹凸ゾーン58の第一列iはこのタイヤ2の最大幅を示す位置Pwにある。このタイヤ2では、第一ディンプル56aは、撓みに伴う変形の程度が特に大きい、最大幅を示す位置Pwにある。前述したように、第一ディンプル56aの第一底面66aは湾曲している。この第一ディンプル56aの配置は、タイヤ2の耐久性を一層向上させる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。本発明によれば、耐久性の向上が達成された空気入りタイヤ2が得られる。
図3において、矢印Rbは、第一ディンプル56aの第一底面66aの曲率半径を表している。耐久性及び軽量化の観点から、曲率半径Rbは30mm以下が好ましい。サイドウォール8の厚みの維持の観点から、この曲率半径Rbは20mm以上が好ましい。
このタイヤ2では、第一ディンプル56aの第一底面66a以外に、第二ディンプル56bの第二底面66bが湾曲していてもよい。第一ディンプルaの第一底面66a及び第二ディンプル56bの第二底面66bに加えて、第三ディンプル56cの第三底面も湾曲していてもよい。この場合、サイドウォール8の部分の剛性維持の観点から、撓みに伴う変形の程度に応じて、それぞれのディンプル56の深さが調節されるのが好ましい。つまり、最大幅位置Pwにある第一ディンプル56aが第二ディンプル56bよりも深く、第二ディンプル56bが第三ディンプル56cよりも深くなるように、凹凸ゾーン58に含まれるそれぞれのディンプル56の深さが調節されるのが好ましい。
図1から明らかなように、このタイヤ2では、ディンプル56の輪郭は六角形である。しかも第一列iの第一ディンプル56aと第二列iiの第二ディンプル56bとは、ジグザグに配置されている。第二列iiの第二ディンプル56bと第三列iiiの第三ディンプル56cとは、ジグザグに配置されている。このタイヤ2では、多数のディンプル56がハニカム様に配列している。この配列は、ディンプル56を密に配置しうる。密な配置は、凹凸ゾーン58における表面積に寄与しうる。大きな表面積は、放熱を促進する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、ディンプル56が密に配置されるので、小さなランド60が達成される。このタイヤ2では、ランド60による質量への影響が抑えられている。
このタイヤ2では、一のディンプル56の一辺がこの一のディンプル56の隣に位置する他のディンプル56の一辺と向き合うように、これらのディンプル56が配置される。このため、ランド60は全体として略一様な幅を有する。しかもこのランド60の、ディンプル56のコーナーにおける折れ曲がりは緩やかである。このため、このタイヤ2がパンク状態にあるときサイド面が半径方向に引き延ばされても、ランド60全体に応力がかかる。応力の集中が抑えられるので、このランド60はタイヤ2の耐久性に寄与しうる。本発明によれば、質量の増大を抑えつつ、耐久性の向上が達成されたタイヤ2が得られる。
図5は、タイヤ2の凹凸ゾーン58の一部が示された拡大平面図である。この図5には、第二列iiの第二ディンプル56bが示されている。この図5において、上下方向はタイヤ2の半径方向である。矢印Aで示された方向は、タイヤ2の周方向である。
図5には、ディンプル56の輪郭を表す六角形の頂点が符号Pa、Pb、Pc、Pd、Pe及びPfで表されている。このディンプル56では、頂点Paが半径方向において最も外側に位置し、頂点Pdが半径方向において最も内側に位置している。この図5では、頂点Paと、この頂点Paのパラ位にある頂点Pd、言い換えれば、この頂点Paと正反対の位置にある頂点Pdとを結ぶ対角線が実線Daで表されている。本発明では、この対角線Daは主対角線と称される。頂点Paのオルト位にある、左右の頂点Pb及び頂点Pfを結ぶ対角線が実線Dbで表されている。本発明では、この対角線Dbは第一副対角線と称される。頂点Paのメタ位にある、左右の頂点Pc及び頂点Peを結ぶ対角線が実線Dcで表されている。本発明では、この対角線Dcは第二副対角線と称される。
このタイヤ2では、応力の集中を抑えるとの観点から、ディンプル56の輪郭において、六角形のコーナーが丸められてもよい。この場合は、このコーナーをなす二辺の交点によって表される仮想点が、頂点とされる。
図6に示されているように、第一ディンプル56aは、その主対角線Da1が半径方向に延在するように配置されている。このタイヤ2では、第一ディンプル56aの輪郭は、この主対角線Da1に対して対称である。第二ディンプル56bは、その主対角線Da2が半径方向に延在するように配置されている。このタイヤ2では、第二ディンプル56bの輪郭はこの主対角線Da2に対して対称である。第三ディンプル56cは、その主対角線Da3が半径方向に延在するように配置されている。このタイヤ2では、第三ディンプル56cの輪郭はこの主対角線Da3に対して対称である。
このタイヤ2では、ディンプル56は、その輪郭における、一の頂点Paとこの一の頂点Paと正反対の位置にある他の頂点Pdとを結ぶ対角線Daが半径方向に延在するように、配置されている。しかもディンプル56の輪郭は、この対角線Daに対して対称である。このディンプル56の配置及び輪郭は、ハニカム様の配列に寄与しうる。密な配置は、凹凸ゾーン58における表面積に寄与しうる。大きな表面積は、放熱を促進する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。小さなランド60が達成されるので、ランド60による質量への影響が抑えられる
このタイヤ2では、第一ディンプル56aの主対角線Da1と、第三ディンプル56cの主対角線Da3とは、周方向において一致している。第二ディンプル56bの主対角線Da2は、周方向において、第一ディンプル56aの主対角線Da1とこの第一ディンプル56aの隣に位置する他の第一ディンプル56aの主対角線Da1との中間に位置している。この主対角線Da2は、周方向において、第三ディンプル56cの主対角線Da3とこの第三ディンプル56cの隣に位置する他の第三ディンプル56cの主対角線Da3との中間に位置している。この主対角線Da1、主対角線Da2及び主対角線Da3の位置関係は、ディンプル56のハニカム様の配列に寄与しうる。密な配置は、凹凸ゾーン58における表面積に寄与しうる。大きな表面積は、放熱を促進する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。小さなランド60が達成されるので、ランド60による質量への影響が抑えられる。
このタイヤ2では、第二ディンプル56bの主対角線Da2の長さは、第三ディンプル56cの主対角線Da3の長さと同等、又は、この主対角線Da3よりも短いのが好ましい。第一ディンプル56aの主対角線Da1の長さは、第二ディンプル56bの主対角線Da2の長さと同等、又は、この主対角線Da2よりも短いのが好ましい。この主対角線Da1、主対角線Da2及び主対角線Da3の長さの関係は、ディンプル56のハニカム様の配列に寄与しうる。密な配置は、凹凸ゾーン58における表面積に寄与しうる。大きな表面積は、放熱を促進する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。小さなランド60が達成されるので、ランド60による質量への影響が抑えられる。質量の増大を抑えつつ、耐久性の向上が達成されるとの観点から、第二ディンプル56bの主対角線Da2の長さの、第三ディンプル56cの主対角線Da3の長さに対する比は、1以下が好ましく、0.7以上が好ましい。第一ディンプル56aの主対角線Da1の長さの、第二ディンプル56bの主対角線Da2の長さに対する比は、1以下が好ましく、0.7以上が好ましい。
図7に示されているように、このタイヤ2では、第一ディンプル56aの頂点Pb1及び頂点Pf1は、半径rb1の円周上に存在している。第二ディンプル56bの頂点Pb2及び頂点Pf2は、半径rb2の円周上に存在している。第三ディンプル56cの頂点Pb3及び頂点Pf3は、半径rb3の円周上に存在している。このタイヤ2では、質量の増大を抑えつつ、耐久性の向上が達成されるとの観点から、第三ディンプル56cの第一副対角線Db3の長さの、第二ディンプル56bの第一副対角線Db2の長さに対する比が、半径rb3の半径rb2に対する比に1.05を乗じたものと同等とされるのが好ましい。同様の観点から、第二ディンプル56bの第一副対角線Db2の長さの、第一ディンプル56aの第一副対角線Db1の長さに対する比が、半径rb2の半径rb1に対する比に1.05を乗じたものと同等とされるのが好ましい。
このタイヤ2では、第一ディンプル56aの頂点Pc1及び頂点Pe1は、半径rc1の円周上に存在している。第二ディンプル56bの頂点Pc2及び頂点Pe2は、半径rc2の円周上に存在している。第三ディンプル56cの頂点Pc3及び頂点Pe3は、半径rc3の円周上に存在している。このタイヤ2では、質量の増大を抑えつつ、耐久性の向上が達成されるとの観点から、第三ディンプル56cの第二副対角線Dc3の長さの、第二ディンプル56bの第二副対角線Dc2の長さに対する比が、半径rc3の半径rc2に対する比に1.05を乗じたものと同等とされるのが好ましい。同様の観点から、第二ディンプル56bの第二副対角線Dc2の長さの、第一ディンプル56aの第二副対角線Dc1の長さに対する比が、半径rc2の半径rc1に対する比に1.05を乗じたものと同等とされるのが好ましい。
図3において矢印Deで示されているのは、第一ディンプル56a、すなわち、湾曲した底面を有するディンプル56の深さである。深さDeは、ディンプル56の底からランド60までの距離である。このタイヤ2では、深さDeは1mm以上4mm以下が好ましい。深さDeが1mm以上であるディンプル56では、十分な乱流が生じる。この観点から、深さDeは1.2mm以上がより好ましい。深さDeが4mm以下であるディンプル56では、その底において空気が滞留しにくい。このディンプル56は、サイドウォール8の厚みを適正に維持しうる。この観点から、深さDeは3.8mm以下がより好ましい。
図4において符号αで示されているのは、スロープ面64の角度である。角度αは、10°以上70°以下が好ましい。角度αが10°以上であるディンプル56では、十分な容積と小さな深さとが両立されうる。この観点から、角度αは20°以上がより好ましく、25°以上が特に好ましい。角度αが70°以下であるディンプル56では、乱流が底面66にまで流入し易い。この観点から、角度は60°以下がより好ましく、55°以下が特に好ましい。
図4において矢印Hpで示されているのは、凸部62の高さである。高さHpは、第二ディンプル56bの底面66bからランド60までの距離である。このタイヤ2では、底面66は平らであるから、この高さHpは第二ディンプル56b、すなわち、平らな底面を有するディンプル56の深さでもある。このタイヤ2では、高さHpは1mm以上3mm以下が好ましい。高さHpが1mm以上に設定されることにより、十分な深さのディンプル56が得られる。このディンプル56では、十分な乱流が生じる。この観点から、高さHpは1.2mm以上がより好ましい。高さHpが3mm以下に設定されることにより、その底において空気が滞留しにくいディンプル56が得られる。この観点から、高さHpは2.8mm以下がより好ましい。この高さHpは、ディンプル56の輪郭をなす一辺の長さの10%以上20%以下に設定されるのが好ましい。
このタイヤ2では、隣接するディンプル56の間のランド60の幅は1mm以上3mm以下が好ましい。この幅が1mm以上に設定されることにより、ランド60が十分な剛性を有する。この観点から、この幅は1.2mm以上がより好ましい。幅が3mm以下に設定されることにより、多数の箇所で乱流が発生しうる。この観点から、幅は2.8mm以下がより好ましい。
ディンプル56の容積は、1.0mm3以上400mm3以下が好ましい。容積が1.0mm3以上であるディンプル56では、十分な乱流が生じる。この観点から、容積は1.5mm3以上がより好ましく、2.0mm3以上が特に好ましい。容積が400mm3以下であるディンプル56では、底において空気が滞留しにくい。この観点から、容積は350mm3以下がより好ましく、300mm3以下が特に好ましい。
ディンプル56の面積は、3mm2以上4000mm2以下が好ましい。面積が3mm2以上であるディンプル56では、十分な乱流が生じる。この観点から、面積は12mm2以上がより好ましく、20mm2以上が特に好ましい。ディンプル56の面積が4000mm2以下であるタイヤ2は、軽量である。この観点から、面積は2000mm2以下がより好ましく、1300mm2以下が特に好ましい。本発明においてディンプル56の面積は、ディンプル56の輪郭に囲まれた領域の面積を意味する。
このタイヤ2では、凹凸ゾーン58における、ディンプル56の面積の占有率Yは50%以上85%以下である。この占有率Yが50%以上に設定されることにより、十分な放熱がなされる。ディンプル56の形成による質量への影響が抑えられる。この観点から、占有率Yは60%以上が好ましい。占有率Yが85%以下に設定されることにより、ランド60の剛性が適切に維持される。このランド60はタイヤ2の耐久性に寄与しうる。この観点から、占有率Yは80%以下が好ましい。
本発明においてディンプル56の面積の占有率Yは、下記数式によって算出される。
Y = (S1 / S2) × 100
この数式において、S1は凹凸ゾーン58に含まれる全てのディンプル56の面積の合計値であり、S2はディンプル56がないと仮定されたときの凹凸ゾーン58の仮想表面積である。
図2において、符号Peで示されているのはタイヤ2の赤道である。赤道面に溝が設けられている場合は、この溝がないと仮定して得られる仮想トレッド面に基づいて、この赤道Peは決められる。両矢印Haで示されているのは、ベースラインBLからこの赤道Peまでの半径方向高さである。この高さHaは、タイヤ2の断面高さである。ベースラインBLは、コア32の、半径方向における最も内側地点を通過する。このベースラインBLは、軸方向に延びる。両矢印Hbは、ベースラインBLから凹凸ゾーン58の内縁IEまでの半径方向高さである。両矢印Hcは、この内縁IEから外縁OEまでの半径方向高さである。この高さHcは、凹凸ゾーン58の半径方向幅でもある。
このタイヤ2では、凹凸ゾーン58が放熱に効果的に寄与しうるとの観点から、高さHcの断面高さHaに対する比率は30%以上が好ましく、40%以下が好ましい。このタイヤ2では、熱によるゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での長時間の走行が可能である。
このタイヤ2では、高さHbの断面高さHaに対する比率は40%以上60%以下が好ましい。これにより、凹凸ゾーン58が適正な位置に配置される。このタイヤ2では、凹凸ゾーン58が放熱に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、熱によるゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での長時間の走行が可能である。
図8には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ68のサイド面の一部が示されている。このタイヤ68は、そのサイド面に、多数のディンプル70が形成された凹凸ゾーン72を備えている。このタイヤ66の、凹凸ゾーン72以外の構成は、図1に示されたタイヤ2のそれと同じである。
図8から明らかなように、このタイヤ68の凹凸ゾーン72は、多数の第一ディンプル70aが周方向に沿って並んだ第一列iを備えている。この凹凸ゾーン72は、この第一列iの半径方向外側において、多数の第二ディンプル70bが周方向に沿って並んだ第二列iiをさらに備えている。この凹凸ゾーン72は、この第二列iiの半径方向外側において、多数の第三ディンプル70cが周方向に沿って並んだ第三列iiiをさらに備えている。そして、この凹凸ゾーン72は、第一列i、第二列ii及び第三列iii以外に、多数の第四ディンプル70dが周方向に沿って並んだ第四列iv、及び、多数の第五ディンプル70eが周方向に沿って並んだ第五列vを備えている。このタイヤ68では、凹凸ゾーン72における、第一列i、第二列ii及び第三列iiiの構成は、図1に示されたタイヤ2のそれと同じである。
このタイヤ68では、第四列ivは第三列iiiの半径方向外側に位置している。第四列ivの第四ディンプル70dと第三列iiiの第三ディンプル70cとは、ジグザグに配置されている。このタイヤ68では、第四列ivに含まれる第四ディンプル70dの数は第三列iiiに含まれる第三ディンプル70cの数と同等である。
このタイヤ68では、第五列vは第一列iの半径方向内側に位置している。第五列vの第五ディンプル70eと第一列iの第一ディンプル70aとは、ジグザグに配置されている。このタイヤ68では、第五列vに含まれる第五ディンプル70eの数は第一列iに含まれる第一ディンプル70aの数と同等である。第一列iに含まれる第一ディンプル70aの数は、第三列iiiに含まれる第三ディンプル70cの数と同等である。したがって、第五列vに含まれる第五ディンプル70eの数は第四列ivに含まれる第四ディンプル70dの数と同等である。
このタイヤ68では、第四ディンプル70d及び第五ディンプル70eの輪郭は二等辺三角形である。このタイヤ68は、その輪郭が六角形とされたディンプル70以外に、その輪郭が二等辺三角形とされたディンプル70をさらに備えている。
図8において、符号Ppは第四ディンプル70dの2つの等辺の交点で表される頂点を表している。符号Pqは、一の等辺と底辺との交点で表される頂点を表している。符号Prは、他の等辺と底辺との交点で表される頂点を表している。
図から明らかなように、第四ディンプル70dは、底辺が半径方向において外側に位置するように配置されている。しかも頂点Ppは、第二ディンプル70bの主対角線Da2と周方向において一致している。このタイヤ68の凹凸ゾーン72では、密なディンプル70の配置が達成されている。密なディンプル70の配置は、凹凸ゾーン72の表面積に寄与しうる。大きな表面積は、放熱を促進する。このタイヤ68は、耐久性に優れる。
第四ディンプル70dは、ランド74から窪んでいる。第四ディンプル70dは、小さなランド74の達成に寄与しうる。このタイヤ68では、ランド74による質量への影響が抑えられている。
凹凸ゾーン72の外縁OEにおいて一様な幅を有するランド74が得られるとの観点から、頂点Pq及び頂点Prは、半径方向において第三ディンプル70cの頂点Pa3と一致する、又は、この頂点Pa3よりも半径方向外側に位置するのが好ましい。
図8において、符号Psは第五ディンプル70eの2つの等辺の交点で表される頂点を表している。符号Ptは、一の等辺と底辺との交点で表される頂点を表している。符号Puは、他の等辺と底辺との交点で表される頂点を表している。
図から明らかなように、第五ディンプル70eは、底辺が半径方向において内側に位置するように配置されている。しかも頂点Psは、第二ディンプル70bの主対角線Da2と周方向において一致している。このタイヤ68の凹凸ゾーン72では、密なディンプル70の配置が達成されている。密なディンプル70の配置は、凹凸ゾーン72の表面積に寄与しうる。大きな表面積は、放熱を促進する。このタイヤ68は、耐久性に優れる。
第五ディンプル70eは、ランド74から窪んでいる。第五ディンプル70eは、小さなランド74の達成に寄与しうる。このタイヤ68では、ランド74による質量への影響が抑えられている。
凹凸ゾーン72の内縁IEにおいて一様な幅を有するランド74が得られるとの観点から、頂点Pt及び頂点Puは、半径方向において第一ディンプル70aの頂点Pd1と一致する、又は、この頂点Pd1よりも半径方向内側に位置するのが好ましい。
このタイヤ68では、凹凸ゾーン72における、ディンプル70の面積の占有率Yが50%以上85%以下である。これにより、十分な放熱がなされるとともにディンプル70の形成による質量への影響が抑えられる。しかもランド74の剛性が適切に維持される。このタイヤ68では、質量の増大を抑えつつ、耐久性の向上が達成される。
図示されていないが、このタイヤ68では、第一ディンプル70aの底面は湾曲している。この湾曲した底面の表面積は、平らとされた底面のそれよりも大きい。このタイヤ68が撓みこの底面が引き延ばされても変形代が大きいので、この底面に係る張力は平らとされた底面よりも軽減される。この底面には割れは生じにくい。この底面は、タイヤ68の耐久性に寄与する。
このタイヤ68では、図1に示されたタイヤ2と同様、第一ディンプル70aは、撓みに伴う変形の程度が特に大きい、タイヤの最大幅を示す位置にある。この第一ディンプル70aの配置は、タイヤ68の耐久性を一層向上させる。このタイヤ68は、耐久性に優れる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図2に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1のランフラットタイヤを得た。タイヤのサイズは、225/55RF17とされた。実施例1のサイド面には、多数のディンプルが形成された凹凸ゾーンが設けられている。実施例1では、図6に示されたディンプルの配列が採用された。ディンプルの輪郭が六角形であることが、表中、「輪郭」の欄に「H」で表されている。凹凸ゾーンにおけるディンプルの面積の占有率Yは、65%とされた。一列に含まれるディンプルの数は、150とされた。
最大幅位置Pwにある第一ディンプルには、湾曲した底面が採用された。このことが、表中、「第一ディンプルの底面」の欄に「B」で表されている。この底面の曲率半径Rbは、30mmとされた。サイドウォールの硬度は、60とされた。サイドウォールの厚みは、3mmとされた。支持層の厚みは、8mmとされた。
[比較例1]
サイド面にディンプルを設けず、サイドウォールの厚みを4mmとした他は実施例1と同様にして比較例1のタイヤを得た。
[比較例2]
ディンプルの輪郭を円形とし、ディンプル全てに平らな底面を採用した他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを得た。ディンプルの輪郭が円形であることが、表中、「輪郭」の欄に「R」で表されている。ディンプルの底面が平らであることが、表中、「第一ディンプルの底面」の欄に「F」で表されている。
[比較例3]
ディンプルの輪郭を四角形とし、ディンプル全てに平らな底面を採用した他は実施例1と同様にして、比較例3のタイヤを得た。ディンプルの輪郭が四角形であることが、表中、「輪郭」の欄に「S」で表されている。
[比較例4]
第一ディンプルに平らな底面を採用した他は実施例1と同様にして、比較例4のタイヤを得た。
[実施例2]
ディンプルの配列に図8に示された配列を採用した他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。
[実施例3−4及び比較例5−6]
占有率Yを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例3−4及び比較例5−6のタイヤを得た。
[実施例5−6]
ディンプル数を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5−6のタイヤを得た。
[実施例7−8]
サイドウォールの硬度を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例7−8のタイヤを得た。
[実施例9−10]
サイドウォールの厚みを下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例9−10のタイヤを得た。
[耐久性]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに内圧が220kPaとなるように空気を充填した。このタイヤのバルブコアを抜き取り、タイヤの内部を大気と連通させた。このタイヤに、5.1kNの荷重をかけつつ、80km/hの速度で、ドラム上を走行させた。走行距離が20kmであるときのタイヤの表面温度を測定した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1−3に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1−3に示されている。数値が小さいほど質量が小さい。
表1から3に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。