JP2016164007A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】通常走行時の良好な乗り心地を損なうことなく、ランフラット耐久性を向上させたランフラットタイヤの提供。
【解決手段】このタイヤ2では、荷重支持層20は、サイド部22からベルト12の半径方向内側まで延びている。赤道面から上記荷重支持層20の外端までの軸方向距離がWiとされ、赤道面からベルト12の端までの軸方向距離がWbとされたとき、距離Wiの距離Wbに対する比(Wi/Wb)は、0.75以下である。好ましくは、荷重支持層20は、サイド部22においてベルト12の端近辺まで延びる第一層46と、ベルト12の半径方向内側において、この第一層46の半径方向外側端から軸方向内側に向けて延びる第二層48とを備えている。第二層48の硬さH2は、上記第一層46の硬さH1よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、荷重支持層を備えたランフラットタイヤに関する。
サイドウォールの内側に荷重支持層を備えたランフラットタイヤでは、パンクによって内圧が低下すると、この支持層によって荷重が支えられる。このランフラットタイヤでは、パンク状態でも、ある程度の距離の走行が可能である。このパンク状態での走行は、ランフラット走行と称される。ランフラット走行が継続されると、支持層の変形と復元とが繰り返される。この繰り返しにより支持層で熱が生じ、タイヤが高温に達する。これらの変形や高温に耐えて、長時間のランフラット走行が可能なタイヤが望まれている。ランフラット耐久性に優れたタイヤが望まれている。
荷重支持層の剛性を高くすることで、ランフラット耐久性を向上させることができる。しかし、高い剛性を有する荷重支持層は、タイヤの縦バネ定数を大きくする。大きな縦バネ定数は、通常走行時の乗り心地を損ねる。乗り心地に優れたランフラットタイヤに対する要求も大きい。
ランフラットタイヤについての検討が特開2010−137853公報に開示されている。このタイヤでは、インサート(荷重支持層)はサイド部に位置している。このタイヤでは、高いランフラット耐久性と通常走行時の良好な乗り心地とを実現するために、インサートが硬いゴムと柔らかいゴムとの二層構造とされている。
特開2010−137853公報
通常走行時の良好な乗り心地を損なうことなく、さらにランフラット耐久性を向上させたランフラットタイヤが求められている。
本発明の目的は、通常走行時の良好な乗り心地が維持された上で、ランフラット耐久性が向上された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド、カーカス、ベルト及び一対の荷重支持層を備えている。上記カーカスは、このタイヤの一方のサイド部からもう一方のサイド部まで延びている。上記ベルトは、上記トレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されている。それぞれの荷重支持層は、上記カーカスの内側において、上記サイド部から上記ベルトの半径方向内側まで延びている。赤道面から上記荷重支持層の外端までの軸方向距離がWiとされ、赤道面から上記ベルトの端までの軸方向距離がWbとされたとき、距離Wiの距離Wbに対する比(Wi/Wb)は、0.75以下である。
好ましくは、上記トレッドが複数の主溝を備えている。赤道面から、最も軸方向外側に位置する主溝の底までの軸方向距離がWgとされたとき、上記距離Wiの上記距離Wgに対する比(Wi/Wg)は1.0以下である。
好ましくは、上記比(Wi/Wb)は0.40以上である。
好ましくは、上記荷重支持層は、サイド部において上記ベルトの端近辺まで延びる第一層と、ベルトの半径方向内側において、この第一層の半径方向外側端から軸方向内側に向けて延びる第二層とを備えている。上記第二層の硬さH2は、上記第一層の硬さH1よりも大きい。
好ましくは、H2の上記硬さH1に対する比(H2/H1)は1.1以上2.0以下である。
発明者らは、ランフラット走行時のタイヤの形状と、ランフラット耐久性との関係を詳細に検討した。ランフラット走行時には、トレッドが地面から浮き上がるように湾曲する「バックリング」が発生する。発明者らは、このバックリングを小さくすることが、ランフラット耐久性の向上に寄与することを見出した。
本発明に係る空気入りタイヤでは、荷重支持層は、上記カーカスの内側において、サイド部からベルトの半径方向内側まで延びている。赤道面から上記荷重支持層の外端までの軸方向距離Wiの、赤道面から上記ベルトの端までの軸方向距離Wbに対する比(Wi/Wb)は0.75以下である。外端がこの位置まで延びた荷重支持層は、トレッドの曲げ剛性を大きくする。この荷重支持層は、バックリングを小さくする。このタイヤでは、ランフラット耐久性が向上されている。荷重支持層の外端を上記の位置まで延ばすことは、縦バネ定数にほとんど影響を与えない。このタイヤでは、縦バネ定数は適切に維持されている。このタイヤでは、通常走行時の良好な乗り心地が維持されている。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、ランフラット走行状態にあるタイヤが示された模式図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面CLに対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、インナーライナー16、一対のチェーファー18及び一対の荷重支持層20を備えている。このタイヤ2のうち、トレッド4の端近辺から半径方向内側に延びる部分は、サイド部22と称される。サイドウォール6、ビード8、チェーファー18及び荷重支持層20の一部は、サイド部22に位置している。サイド部22以外のタイヤの中央部分は、クラウン部と称される。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、周方向に延び軸方向に並列する複数の主溝26が刻まれている。本明細書では、軸方向において、最も外側に位置する主溝26は、外端主溝26bと称される。それ以外の主溝26は内側主溝26aと称される。図に示されるとおり、この実施形態では、トレッド4は、2つの外端主溝26bと2つの内側主溝26aとを備えている。この実施形態では、トレッド4は全部で4つの主溝26を備えている。主溝26の数は4に限られない。トレッド4が3以下の主溝26を備えていてもよい。トレッド4が5以上の主溝26を備えていてもよい。トレッド4が主溝26を備えなくてもよい。
トレッド4は、キャップ層28とベース層30とを有している。キャップ層28は、ベース層30の半径方向外側に位置している。キャップ層28は、ベース層30に積層されている。キャップ層28は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層30は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層30の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。トレッド4は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、軸方向においてカーカス10よりも外側に位置している。サイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。
損傷防止の観点から、サイドウォール6の硬さは50以上が好ましく、55以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬さは70以下が好ましく、65以下がより好ましい。本願において、硬さは「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられて、硬さが測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。後述するエイペックス及び荷重支持層20の硬さも同様にして測定される。
図示されないが、このタイヤ2が、サイドウォール6の半径方向略内側にクリンチを備えていてもよい。このときクリンチは、軸方向において、ビード8及びカーカス10よりも外側に位置している。クリンチは、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチは、リムのフランジと当接する。
それぞれのビード8は、サイドウォール6よりも半径方向内側に位置している。ビード8は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス34は、高硬度な架橋ゴムからなる。
ビード8の部分が適切な剛性を有するとの観点から、エイペックス34の硬さは60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬さは90以下が好ましく、80以下がより好ましい。
カーカス10は、一方のサイド部22からもう一方のサイド部22まで延びている。カーカス10は、カーカスプライ36からなる。カーカスプライ36は、両側のビード8の間に架け渡されている。カーカスプライ36は、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、コア32の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部38と折返し部40とが形成されている。折返し部40の端は、ベルト12の直下にまで至っている。換言すれば、折返し部40はベルト12とオーバーラップしている。このカーカス10は、いわゆる「超ハイターンアップ構造」を有する。超ハイターンアップ構造を有するカーカス10は、パンク状態におけるタイヤ2の耐久性に寄与する。
図1に示されるように、主部38は、エイペックス34の軸方向内側に位置している。折返し部40は、エイペックス34の軸方向外側に位置している。換言すれば、エイペックス34はカーカスプライ36の主部38とその折返し部40との間に位置している。
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面CLに対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層12a及び外側層12bからなる。図1から明らかなように、内側層12aの幅は、外側層12bの幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層12a及び外側層12bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面CLに対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層12aのコードの赤道面CLに対する傾斜方向は、外側層12bのコードの赤道面CLに対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト12が、3以上の層を備えてもよい。
バンド14は、ベルト12の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド14の幅はベルト12の幅と略同等である。図示されていないが、バンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト12が拘束されるので、ベルト12のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト12及びバンド14は、補強層を構成している。ベルト12のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー16は、カーカス10及び荷重支持層20の内面に接合されている。インナーライナー16は、架橋ゴムからなる。インナーライナー16には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー16は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー18は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー18がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。チェーファー18は、布とこの布に含浸したゴムとからなっている。
それぞれの荷重支持層20は、カーカス10よりも内側に位置している。荷重支持層20は、インナーライナー16の外側に位置している。荷重支持層20は、カーカス10とインナーライナー16とに挟まれている。荷重支持層20は、サイド部22からベルト12の半径方向内側まで延びている。荷重支持層20は、サイド部22において、半径方向内向きに先細りである。この先端は、荷重支持層20の内端42と称される。荷重支持層20は、ベルト12の内側において、軸方向内向きに先細りである。この先端は、荷重支持層20の外端44と称される。
この実施形態では、荷重支持層20は、第一層46と第二層48とを備えている。荷重支持層20は、第一層46と第二層48とからなる。第一層46は、サイドウォール6の軸方向内側に位置している。第一層46の半径方向内側端49が、荷重支持層20の内端42となる。半径方向において、第一層46の内側端49は、エイペックス34の外側端50よりも、内側に位置している。換言すれば、第一層46はエイペックス34とオーバーラップしている。半径方向において、第一層46の外側端52は、ベルト12の端の近辺まで延びている。第一層46は、サイド部22においてベルト12の端近辺まで延びている。第二層48は、第一層46の半径方向外側端から軸方向内側に向けて延びている。第二層48の軸方向内側端54が、荷重支持層20の外端44となる。第二層48は、ベルト12の半径方向内側に位置している。
図1において、両矢印Wiは、赤道面CLから荷重支持層20の外端44までの軸方向距離である。この実施形態においては、これは、赤道面CLから第二層48の軸方向内側端54までの軸方向距離である。両矢印Wbは赤道面CLからベルト12の端までの軸方向距離である。このタイヤ2では、距離Wiの距離Wbに対する比(Wi/Wb)は、0.75以下である。
荷重支持層20が第一層46のみから構成されていてもよい。このとき、第一層46の軸方向内側端が、荷重支持層20の外端44となる。
以下では、本発明の作用効果が説明される。
図2は、一般的なランフラットタイヤ60のランフラット走行時の状態が示された模式図である。このタイヤ60はリムRに装着されている。ランフラット走行時には、荷重支持層が荷重を支える。この荷重により、荷重支持層は撓む。タイヤ60のサイド部62は、湾曲する。タイヤのサイド部62の半径方向外側部分は、トレッド64の中央部の方向に入り込むように変形する。これにより、トレッド64には、軸方向内側の向けて圧縮力が負荷される。矢印Fは、この圧縮力を示している。図示されないが、トレッド64の接地部分には、周方向にも圧縮力が負荷される。これにより、図に示されるように、トレッド64は、その接地面の中央近辺が地面から浮き上がるように湾曲する。この湾曲はバックリングと称される。浮き上がったトレッド64の表面と地面との距離の最大値BHは、バックリング量と称される。バックリング量BHが大きくなると、荷重支持層のバッドレス部近辺での歪みが大きくなり、発熱が増加する。発明者らは、この発熱を小さくすることが、ランフラット耐久性向上に有効であることを見出した。発明者らは、バックリング量BHを小さくすることで、ランフラット耐久性が向上できることを見出した。
本発明に係る空気入りタイヤ2では、荷重支持層20は、上記カーカス10の内側において、上記サイド部22から上記ベルト12の半径方向内側まで延びている。荷重支持層20の外端44は、距離Wiの距離Wbに対する比(Wi/Wb)が0.75以下となる位置まで延びている。この荷重支持層20は、トレッド4の軸方向及び周方向から負荷される圧縮力に対する曲げ剛性を増加させる。この荷重支持層20は、バックリング量BHを小さくする。このタイヤ2は、ランフラット耐久性が向上されている。この観点から、比(Wi/Wb)は0.65以下がより好ましく、0.55以下がさらに好ましい。また、荷重支持層20の外端44を上記の位置まで延ばすことは、縦バネ定数にほとんど影響を与えない。このタイヤ2では、縦バネ定数は適切に維持されている。このタイヤ2では、通常走行時の良好な乗り心地が維持されている。
比(Wi/Wb)は0.40以上が好ましい。比(Wi/Wb)を0.40以上とすることで、荷重支持層20のタイヤ2の質量への影響が抑えられる。このタイヤ2では、質量が適正に保たれている。
図1において、両矢印Wgは、赤道面CLから、最も軸方向外側に位置する主溝26の底までの軸方向の距離である。両矢印Wgは、赤道面CLから外端主溝26bの底までの軸方向距離である。図1に示されるように、荷重支持層20の外端44は外端主溝26bの底よりも軸方向内側に位置している。このようにトレッド4が複数の主溝26を有する場合は、荷重支持層20の外端44は、軸方向において、外端主溝26bの底と同じ位置であるか、又は外端主溝26bよりも内側に位置しているのが好ましい。換言すれば、距離Wiの距離Wgに対する比(Wi/Wg)は、1.0以下が好ましい。外端主溝26bの位置には、ランフラット走行時に大きな圧縮力が負荷されるのに対し、外端主溝26bの位置では、トレッド4の曲げ剛性はその周辺に比べて小さくなる。トレッド4は、外端主溝26bの位置において湾曲し易い。比(Wi/Wg)を1.0以下とすることで、トレッド4の外端主溝26bの位置における曲げ剛性が高くできる。このトレッド4ではバックリング量BHが効果的に小さくされている。このタイヤ2は、ランフラット耐久性が向上されている。
図1に示されるように、この実施形態では、荷重支持層20は、サイド部22においてベルト12の端近辺まで延びている第一層46と、第一層46の半径方向外側端から軸方向内側に向けて延びる第二層48とを備えている。このように、荷重支持層20が第一層46と第二層48とを備え、かつ第二層48の硬さH2は、第一層46の硬さH1よりも大きいのが好ましい。すなわち、硬さH2の硬さH1に対する比(H2/H1)は、1.0より大きいのが好ましい。比(H2/H1)を1.0より大きくすることで、この第二層48は、トレッド4の曲げ剛性を効果的に大きくする。このタイヤ2では、バックリング量BHがさらに小さくされている。このタイヤ2は、ランフラット耐久性が向上されている。この観点から比(H2/H1)は、1.1以上がより好ましい。
比(H2/H1)は2.0以下が好ましい。比(H2/H1)を2.0以下とすることで、このトレッド4は良好な衝撃吸収性が維持されている。この観点から比(H2/H1)は1.8以下がより好ましい。
第二層48の硬さH2は70以上が好ましい。硬さH2を70以上とすることで、この第二層48は、トレッド4の曲げ剛性を効果的に大きくする。このタイヤ2では、バックリング量BHがさらに小さくされている。このタイヤ2は、ランフラット耐久性が向上されている。この観点から硬さH2は80以上がより好ましい。硬さH2は150以下が好ましい。硬さH2を150以下とすることで、このトレッド4は良好な衝撃吸収性が維持されている。この観点から硬さH2は130以下がより好ましい。
第一層46の硬さH1は60以上が好ましい。硬さH1を60以上とすることで、この第一層46は、良好なランフラット耐久性を有する。この観点から硬さH1は65以上がより好ましい。硬さH1は90以下が好ましい。硬さH1を90以下とすることで、縦バネ定数が適正に維持される。このタイヤ2は、良好な乗り心地が実現されている。この観点から硬さH1は80以下がより好ましい。
図1において両矢印Woは、赤道面CLから第二層48の軸方向外側端56までの軸方向距離である。距離Woの距離Wbに対する比(Wo/Wb)は、0.90以上が好ましい。比(Wo/Wb)を0.90以上とすることで、この第二層48は、トレッド4の曲げ剛性を効果的に大きくする。このタイヤ2では、バックリング量BHがさらに小さくされている。このタイヤ2は、ランフラット耐久性が向上されている。この観点から比(Wo/Wb)は0.92以上がより好ましい。比(Wo/Wb)は1.0以下が好ましい。比(Wo/Wb)を1.0以下とすることで、この第二層48の縦バネ定数に与える影響が効果的に抑えられている。このタイヤ2は、良好な乗り心地が維持されている。
図1において、両矢印Tは第二層48の最大厚みである。詳細には、第二層48の内側面上の点から引いた垂線に沿って計測した、第二層48の内側面と外側面との距離の最大値である。厚みTは1.0mm以上が好ましい。厚みTを1.0mm以上とすることで、この第二層48は、トレッド4の曲げ剛性を効果的に大きくする。このタイヤ2では、バックリング量BHがさらに小さくされている。このタイヤ2は、ランフラット耐久性が向上されている。厚みTは2.0mm以下が好ましい。厚みTを2.0mm以下とすることで、荷重支持層20のタイヤ2質量への影響が抑えられる。このタイヤ2では、質量が適正に保たれている。
このタイヤ2では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、特に言及のない限り、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。なお、タイヤ2が乗用車用である場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(ランフラットタイヤ)を得た。このタイヤのサイズは、245/40RF19である。このタイヤでは、荷重支持層は第一層と第二層とからなる。比(Wo/Wb)は0.98である。厚さTは1.0mmである。このタイヤは4本の主溝を備えている。外端主溝の位置については、距離Wgは距離Wbの55%とされた。
[比較例1]
荷重支持層が第一層のみで構成されていること、及び比(Wi/Wb)を表1の通りとしたことの他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。比較例1は、従来のランフラットタイヤである。
[実施例2−6]
荷重支持層が第一層のみで構成されていること、及び比(Wi/Wb)を表1の通りとしたことの他は実施例1と同様にして、実施例2−6のタイヤを得た。
[実施例7−10]
第二層の硬さH2を表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例7−10のタイヤを得た。
[ランフラット耐久性]
タイヤを正規リム(サイズ=19×8.5J)に組み込み、市販の乗用車の前輪に装着した。このタイヤの内圧を常圧としてパンク状態を再現した。後輪には、市販のタイヤを装着した。装着後、JATMAにて規定される最大負荷荷重の65%に相当する縦荷重をタイヤに負荷した。この車両を80km/hの速度でテストコースを走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定した。この結果が、比較例1の走行距離を100とした指数値で下記の表1−2に示されている。数値が大きいほど、好ましい。数値が大きいほど、ランフラット耐久性に優れる。
[タイヤ質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1−2に示されている。数値が小さいほど、質量が小さいことが示されている。数値が小さいほど、好ましい。
[縦バネ定数]
下記の条件にて、タイヤの縦バネ定数を測定した。
使用リム:19×8.5J
内圧:240kPa
荷重:5.0kN
この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1−2に示されている。数値が小さいほど、縦バネ定数が小さいことを表している。数値が小さいほど、好ましい。
[乗り心地]
試作タイヤを標準リム(サイズ=19×8.5J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を240kPaとした。このタイヤを排気量が2500ccである自動車に装着した。この自動車を、その路面がアスファルトであるテストコースで走行させて、乗り心地についてドライバーによる官能評価を行った。この結果が、比較例1の結果を6として下記表1及び2に示されている。値が大きいほど好ましい。
Figure 2016164007
Figure 2016164007
表1−2に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、種々の車両に適用されうる。
2、60・・・タイヤ
4、64・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
12a・・・内側層
12b・・・外側層
14・・・バンド
16・・・インナーライナー
18・・・チェーファー
20・・・荷重支持層
22、62・・・サイド部
24・・・トレッド面
26・・・主溝
26a・・・内側主溝
26b・・・外端主溝
28・・・キャップ層
30・・・ベース層
32・・・コア
34・・・エイペックス
36・・・カーカスプライ
38・・・主部
40・・・折返し部
42・・・荷重支持層の内端
44・・・荷重支持層の外端
46・・・第一層
48・・・第二層
49・・・第一層の内側端
50・・・エイペックスの先端
52・・・第一層の外側端
54・・・第二層の内側端
56・・・第二層の外側端

Claims (5)

  1. トレッド、カーカス、ベルト及び一対の荷重支持層を備えており、
    上記カーカスが、このタイヤの一方のサイド部からもう一方のサイド部まで延びており、
    上記ベルトが、上記トレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されており、 それぞれの荷重支持層が、上記カーカスの内側において、上記サイド部から上記ベルトの半径方向内側まで延びており、
    赤道面CLから上記荷重支持層の外端までの軸方向距離がWiとされ、赤道面CLから上記ベルトの端までの軸方向距離がWbとされたとき、距離Wiの距離Wbに対する比(Wi/Wb)が、0.75以下である空気入りタイヤ。
  2. 上記トレッドが複数の主溝を備えており、
    赤道面CLから、最も軸方向外側に位置する上記主溝の底までの軸方向距離がWgとされたとき、
    上記距離Wiの上記距離Wgに対する比(Wi/Wg)が1.0以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記比(Wi/Wb)が0.40以上である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記荷重支持層が、サイド部において上記ベルトの端近辺まで延びる第一層と、ベルトの半径方向内側において、この第一層の半径方向外側端から軸方向内側に向けて延びる第二層とを備えており、
    上記第二層の硬さH2が、上記第一層の硬さH1よりも大きい請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記硬さH2の上記硬さH1に対する比(H2/H1)が1.1以上2.0以下である請求項4に記載の空気入りタイヤ。
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