以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る吐水装置10が、男性用小便器500に設置された状態を模式的に示す図である。吐水装置10は、男性用小便器500のボウル部BWに対して上方から洗浄水を供給するための装置として設置されている。吐水装置10は、給水配管PIと、開閉弁100と、アンテナユニット200と、制御部300と、スプレッダ400とを備えている。
給水配管PIは、不図示の水道管(給水路)から水の供給を受けるための配管である。給水配管PIの下流側端部はスプレッダ400に繋がっている。スプレッダ400は、吐水装置10から吐出される水の出口(吐水部)であって、ボウル部BWのうち上方部分に配置されている。水道管から供給された水は、給水配管PIを通過した後にスプレッダ400から吐出され、洗浄水としてボウル部BWの略全体に供給される。
開閉弁100は電磁式の開閉弁であって、給水配管PIの途中に配置されている。後述の制御部300によって開閉弁100が開閉し、スプレッダ400からの水の吐出が開始又は停止される。
アンテナユニット200は、男性用小便器500に使用者HBが接近したことを非接触で検知するためのセンサである。アンテナユニット200は所謂電波センサであって、使用者HBの接近を検知しようとする検知領域SAに向けて、所定周波数の電波を送信し使用者HBや尿流URに衝突し戻ってきた電波を受信することにより、検知領域SAに存在する検知対象の動作を検知するものである。
図2は男性用小便器500の天面501周辺の断面図である。図2に示すように、アンテナユニット200は、男性用小便器500の天面501の背面側に形成されているセンサ設置面502に設置されている。アンテナユニット200から送信された電波は、陶器である男性用小便器500を透過して検知領域SAに向かい進行する。その後、検知対象によって反射された電波は、再び男性用小便器500を透過してアンテナユニット200に到達し、アンテナユニット200により受信される。
アンテナユニット200は、送信した電波(以下、「送信波SW」とも称する)と、受信した電波(以下、「反射波RW」とも称する)とに基づいて検知信号を生成し、かかる検知信号を制御部300に送信する。この検知信号は、送信波SWの周波数と反射波RWの周波数との差分に相当する周波数(AC成分)信号と、検知対象からアンテナユニット200までの距離に応じた強度(DC成分)信号を有している。
制御部300は、アンテナユニット200から入力された上記検知信号に基づいて検知対象の動作(使用者HBの接近)を検知し、これに基づいて開閉弁100を動作させることによりスプレッダ400からの水の吐出を制御するものである。このような制御部300は、CPU、RAM等を備えたコンピュータ装置で構成されている。
尚、本実施形態に係る吐水装置10は、上記のように使用者HBの接近を検知して水の吐出を開始する構成となっているが、使用者HBによる排泄の開始(使用状況)を検知して水の吐出を開始する構成であってもよい。この場合、アンテナユニット200は尿URの動きを電波によって検知することとなる。また、検知領域SAは、尿URの動きを検知するための領域として設定される。
図3を参照しながら、アンテナユニット200の構成について説明する。図3に示したように、アンテナユニット200は、発振回路210と、送信アンテナ220と、受信アンテナ230と、ミキサ回路240とを有している。
発振回路210は、制御部300からの指令に基づいて所定周波数の高周波信号(出力信号)を生成し、これを送信アンテナ220に向けて出力する回路である。尚、発振回路210からの上記出力信号は、伝送線路を介し送信アンテナ220に入力されるほか、後述のミキサ回路240にも入力される。
送信アンテナ220は、検知領域SAに向けて送信波SWを送信するためのアンテナである。送信アンテナ220に発振回路210からの出力信号が入力されると、送信アンテナ220から送信波SWとして検知領域SAに向けて送信される。送信波SWの周波数は、出力信号の周波数と同一である。
受信アンテナ230は、検知領域SAの検知対象(使用者HB)によって反射された電波(反射波RW)を受信するためのアンテナである。受信アンテナ230が反射波RWを受信すると、反射波RWは受信アンテナ230によって電気信号(受信信号)に変換されて、ミキサ回路240に入力される。受信信号の周波数は反射波RWの周波数と同一である。
送信波SWを反射した検知対象が静止していた場合には、送信波SWの周波数と反射波RWの周波数とは一致する。一方、送信波SWを反射した検知対象が動いていた場合には、ドップラー効果により、送信波SWの周波数と反射波RWの周波数とは一致しない。これら周波数の差は、検知対象の動作速度によって変化する。
上記のように、ミキサ回路240には、発振回路210からの出力信号と、受信アンテナ230からの受信信号とが入力される。ミキサ回路240は、これらに基づいて検知信号を抽出し、当該検知信号を制御部300に送信する。既に説明したように、検知信号は、送信波SWの周波数と反射波RWの周波数との差分に相当する周波数(AC成分)信号と、検知対象からアンテナユニット200までの距離に応じた強度(DC成分)信号を有している。従って、制御部300は、検知信号を受信することによって検知対象の動きを検知することができ、当該動きに基づいてスプレッダ400からの水の吐出(開閉弁100の開閉)を制御することができる。
図4は、アンテナユニット200を示す斜視図である。図4に示したように、アンテナユニット200は、平板状の基板201の一方の面上に、6枚のパッチアンテナ(221、222、231、232、233、234)が配置され、基板201の裏側の略全面には、送信波SWの周波数に対してグランドとして作用する図示しない接地電極が配置された構成となっている。これらパッチアンテナは、全て同一形状、同一仕様となっている。全てのパッチアンテナの励振方向は、長方形状である基板201の短辺と平行な方向(図4で矢印AR1で示した方向)である。
各パッチアンテナ(221、222、231、232、233、234)は指向性持ったアンテナとなっている。このパッチアンテナの指向性について、図4のパッチアンテナ221を用いて説明する。パッチアンテナ221の指向性は、パッチアンテナ221の中心点MPを始点として、図4の基板201に対して垂直となる方向において最大となる。そのため、パッチアンテナ221が送信アンテナとして用いられる場合には、パッチアンテナ221の送信波SWは、中心点MPから基板201に対して垂直となる方向で、その放射強度が最大となる。また、パッチアンテナ221が受信アンテナとして用いられる場合には、中心点MPに向けて、基板201に対して垂直となる方向に沿って到達した受信波RWを、最も感度良く受信することができる。
図4に示すアンテナユニット200では、送信電極となる2枚のパッチアンテナ(221、222)によって、送信アンテナ220が構成されている。複数の送信電極(221、222)は所定間隔Dだけ離れて直線状に配置され、図示しない電力均等分配回路からなる伝送線路にて相互に接続されている。従って、複数の送信電極(221、222)の全体の外形を隙間なく包含する単一の長方形状の領域(図4で、点線DL1で囲まれた領域)の面積が、送信アンテナ220の実効開口面積である。また、送信アンテナ220を構成する複数の送信電極(221、222)から送信される送信波SWは励振方向が矢印AR1となるように直線偏波されて放射される。
複数の送信電極(221、222)は電力均等分配回路からなる伝送線路によって接続されているため、各送信電極(221、222)から放射される電波は同じ位相をもった電波となる。そのため、複数の送信電極(221、222)からそれぞれ放射された電波は、図4に一点鎖線で示す、複数の送信電極(221、222)から等距離となる面EPで干渉し、強め合う。
即ち、図4に示す送信アンテナ220の送信波SWは、面EPにおいて複数の送信電極から送信された電波が干渉し強め合うことで、1枚の送信電極から送信される電波よりも高い強度を持つ電波となる。従って、送信アンテナ220から送信される送信波SWの最大放射強度方向MDは、図4に示すように、複数の送信電極(221、222)の中心点MPを結んだ直線と面EPとの交点となる中心点CPを始点として、基板201に対して垂直となる方向になる。
また、図4に示す送信アンテナ220では、複数の送信電極(221、222)から送信された電波が面EPで干渉し強め合うため、送信波SWは面EPに沿って縦長の放射パターンとなる。
また、受信アンテナ230は、図4に示すように、受信電極となる4枚のパッチアンテナ(231、232、233、234)から構成されている。複数の受信電極(231、232、233、234)は、図4に示したように互いに離間して、且つ正方形状の領域の4隅にそれぞれ格子状に配置され、図示しない電力均等分配回路からなる伝送線路にて相互に接続されている。つまり、受信アンテナ230は全体が一つの受信電極となっているのではなく、四つに分割された受信電極を有する構成となっている。複数の受信電極(231、232、233、234)の全体の外形を隙間なく包含する単一の正方形状の領域(図4で、点線DL2で囲まれた領域)の面積が、受信アンテナ230の実効開口面積である。
尚、送信アンテナ220、及び、受信アンテナ230の実効開口面積は、パッチアンテナの形状や大きさ、複数のアンテナ間の配置関係で適宜変更しても良い。
本実施形態の小便器500に形成される凹凸部600について、図5を用いて説明する。図5は図2のA−A線における小便器500の断面図であって、図5(a)は凹凸部600が凸形状として形成されている場合、図5(b)は凹凸部600が凹形状として形成されている場合の図である。
図5(a)に示す凹凸部600は、小便器500を製造する際に、小便器500の型の左右から流し込まれた泥漿が型内で衝突することによって形成される。そのため、図5(a)において凹凸部600はなだらかな左右対称な凸形状となっているが、場合によっては、図5(b)に示すように、凹形状として形成される場合もある。また、この凹凸部600は小便器500の左右方向の略中央において、小便器500の前後方向と平行に筋状に形成される。ここで、小便器500の左右方向は図5に示す矢印LRの方向であって、前後方向は紙面垂直となる矢印FBの方向である。
このようにして形成される凹凸部600の幅Wは5mm〜15mm、高さHは1mm〜3mm程度のものとなる。また、図5(a)の凸形状の凹凸部600の表面がセンサ設置面502から最も離れる位置を凹凸部600の頂点601と呼び、センサ設置面502と頂点601の間にある面を凹凸部600の斜面602と呼ぶ。一方で、図5(b)の凹形状の凹凸部600においては、凹凸部600の頂点601となるのは凹形状の最下点となる位置で、斜面602となるのは、センサ設置面502と頂点601の間にある面となる。
このように、凹凸部600は製造時において偶発的に発生する場合もあるが、凸形状の凹凸であれば小便器の補強用のリブとして人為的に形成される場合も考えられる。また凹凸部600は図5(a)、(b)に示すように、小便器500の左右方向の中心線A1付近に形成される。また以降の説明では、図5(a)に示す凹凸部600が凸形状で形成されている場合を用いて説明を行う。
図6はアンテナユニット200と凹凸部600との位置関係を表す図である。図6に示すように、アンテナユニット200を小便器500のセンサ設置面502に設置する際には、送信アンテナ220の最大放射強度方向MDが凹凸部600の頂点601を通過するように設置される。
また、送信アンテナ220の最大放射強度方向MDは凹凸部600の表面に対して垂直に入射するように設置される。図6において、凹凸部600の頂点601における接平面をA2で示す。凹凸部600はなだらかな左右対称な凸形状となっているため、その頂点601における接平面A2は略水平となる。また、アンテナユニット200は検知領域SAが小便器500の前方からみて真下方向となるように最大放射強度方向MDを小便器500の真下方向に向けて設置される。従って、送信アンテナ220の最大放射強度方向MDが凹凸部600の頂点601を通過するように設置されると、最大放射強度方向MDと凹凸部600の接平面A2は垂直となる。
さらに、アンテナユニット200は送信アンテナ220の励振方向AR1が小便器500の前後方向と平行になるように配置される。そのため、送信アンテナ220の励振方向AR1と、小便器500の前後方向に形成される凹凸部600とは平行になり、また、送信アンテナ220を構成する複数の送信電極(221、222)は小便器500の左右方向に所定の間隔Dを空けて直線状に配置される。
上述のように設置されるアンテナユニット200は、図示しないブラケット等の設置部材250によって、小便器500の設置面502に対して固定される。設置部材250は、設置面502にアンテナユニット200を固定でき、アンテナユニット200による電波の送受信を妨害しないものであれば、どのようなものであっても良い。
このように設置された、アンテナユニット200の送信アンテナ220から放射された送信波SWが小便器500を透過した際の様子について、図7を用いて説明する。図7は送信アンテナ220と小便器500のセンサ設置面502に形成される凹凸部600との位置関係を図6で示した位置関係とした際に、送信アンテナ220から放射される送信波SWの電波強度の変化を表したものである。図7はシミュレーションによって求めたもので、図7中に一点鎖線で表されている曲線は、送信アンテナ220から放射された送信波SWが同一の電波強度となっている範囲を結んだものである。この曲線は送信アンテナ220に近いほど電波強度が強く、そして、離れるほど電波強度が弱くなっている。
図6に示した設置状態において、送信アンテナ220の送信波SWの最大放射強度方向MDは凹凸部600の頂点を通過し、かつ、凹凸部600の表面に対して垂直に入射する。そのため、凹凸部600に入射した送信波SWは、小便器500を透過する際に屈折や干渉の影響を受けにくい。
また、凹凸部600の頂点601に入射した送信波SWは、小便器500の天面501に対しても垂直に入射する。そのため、凹凸部600から小便器500に入射した送信波SWが天面501から小便器500の表面側に出る際においても、屈折や干渉の影響を受けにくい。
従って、図7のシミュレーション結果に示される小便器500を透過した後の送信波SWの電波強度において、送信アンテナ220から最も離れる同一電波強度の点は小便器500の中央線A1上にあることがわかる。
また、送信アンテナ220が複数の送信電極(221、222)から構成されている場合には、干渉面EPにおいて電波が干渉し、強め合うことで最大放射強度方向MDが干渉面EP上となっている。そのため、複数の送信電極(221、222)から放射された電波が凹凸部600に入射する際、中心点CPに対して非対称となる位置に入射すると、陶器内を通過する電波の位相にズレが生じる。従って、干渉面EPが変化するため、結果として最大放射強度方向MDも変化してしまう。本実施形態の小便器装置においては、複数の送信電極(221、222)は凹凸部600の頂点601を挟んで左右対称に配置されているため、斜面602の左右対称となる位置に入射する。そのため、複数の送信電極(221、222)から放射された電波は凹凸部600に入射する際、頂点601を挟んで左右対称となる位置に入射するため、陶器内を通過する電波の位相にズレが生じない。従って、干渉面EPは変化せず、結果として最大放射強度方向MDは変化しない。
即ち、送信波SWは凹凸部600に入射し小便器500を透過する際に屈折や干渉の影響を受けにくいため、小便器500を透過した後もその最大放射強度方向MD(指向性)の変化を極少にできる。
また、本実施形態において、凹凸部600の形状は左右対称であるため、小便器500を透過する際に複数の送信電極(221、222)から放射された電波の位相にズレが生じない。透過後の送信波SWの電波強度は略左右対称となっていることがわかる。さらに、凹凸部600は上述した通り、小便器500の略中央部に形成されており、且つ、最大放射強度方向MDは小便器500の真下方向となっているため、透過後の送信波SWの最大放射強度方向MDを小便器の中央部に向けて送信できていることがわかる。
また、電波センサの応答性向上のために送信波の周波数帯域を高くすると、送信波SWの波長は短くなるため、凹凸部600によって送信波SWの屈折や干渉により、その最大放射強度方向MD(指向性)が変化しやすくなるが、アンテナユニット200を上述のように設置することで、例えば10GHz帯から24GHz帯に変更したとしても、最大放射強度方向MD(指向性)の変化を極少にすることができる。
続いて図6において、アンテナユニット200を凹凸部600に対して右側にずらした場合の電波強度の変化の様子を図8に示す。
図8の状態では、送信アンテナ220の送信波SWの最大放射強度方向MDは、小便器500のセンサ設置面502に入射するまでは、図7と同様に、送信アンテナ220の法線方向となる。しかし、最大放射強度方向MDが凹凸部600に入射する際に、凹凸部600の斜面602に入射するため、最大放射強度方向MDが凹凸部600の表面に対して傾いて入射してしまう。そのため、送信アンテナ220から放射された送信波SWは凹凸部600の表面で屈折や干渉を起こし、小便器500側に入射した送信波SWは屈折や干渉の影響を受け、その指向性(最大放射強度方向MD)が変化してしまう。
さらに、小便器500側に入射した際に最大放射強度方向MDが変化した送信波SWは小便器500を透過して小便器500の天面501から表面側に出る際に、再び、小便器500の天面501において屈折や干渉の影響を受ける。そのため、図7において、最大放射強度方向MDは、小便器500の中央線A1から大きく逸れていることが分かる。
また、送信アンテナ220が複数の送信電極(221、222)から構成されている場合には、それぞれの送信電極(221、222)から放射された電波が、中心点CPに対して左右非対称な位置に入射するため陶器内を通過する電波に位相のズレが生じる。そのため、陶器を透過した電波は干渉により干渉面EPが変化し、それに伴って最大放射強度方向MDも変化する。
このように、送信波SWの最大放射強度方向MDが凹凸部600の斜面602に入射すると、小便器500を透過する際に屈折や干渉の影響を受けて変化してしまうため、最大放射強度方向MDを小便器500の中央部に向けることができない。
図7、図8においては、凹凸部600が凸形状に形成される場合を用いて説明したが、凹凸部600は上述したとおり、凹形状であってもよい。凹凸部600が凹形状で形成される場合であっても、送信アンテナ220の最大放射強度方向MDが凹凸部600の頂点を通過し、かつ、凹凸部600の表面に対して垂直に入射するようにアンテナユニット200を設置することで、小便器500を透過した後の送信波SWの最大放射強度方向MDの変化を極少にする事ができる。
また、上述したように、本実施形態の小便器装置のアンテナユニット200においては、送信アンテナ220の送信波SWの放射パターンは、図4の励振方向AR1と平行な面EPに沿って縦長な放射パターンとなる。このアンテナユニット200を小便器500に対して、面EPが小便器500の前後方向にと平行になるように取り付けることで、小便器500の左右方向の検知領域SAを前後方向の検知領域SAに対して狭くすることができ、隣設されている小便器500を使用している人HBを検知し、誤吐水してしまうことを防止することができる。
図9は複数の小便器500が設置されている公共のトイレ室RMの平面図である。トイレ室RMでは、4台の男性用小便器500が一つの壁面に沿って並んでおり、このような壁面が互いに対向している。その結果、トイレ室RM内には計8台の男性用小便器500(及び吐水装置10)が配置されている。
このようなトイレ室RMにおいて、使用者HBが小便器500を使用するため、動線FLで移動した際に、左隣の小便器500の検知領域SBが左右方向に広がっていたとすると、左隣の小便器500の送信アンテナ220から送信された送信波SWが小便器500を使用しているHBによって反射してしまう。そのため、左隣の小便器500において、この反射波RWが受信されると、水の吐出が開始されてしまう場合が生じ得る。
従って、図9に示すように、小便器500の検知領域SAを小便器500の前後方向に縦長となるようにセンサユニット200を設置することで、隣接する小便器500を使用する使用者HBの誤検知を防止することができる。
このように、本発明に係る小便器装置は小便器500と、小便器500の裏側から所定の検知領域SAに向かい送信波SWを送信し、少なくとも一つの矩形状の送信電極から構成される送信アンテナ220と、検知領域SA内の使用者HBまたは尿URに送信波SWが衝突し反射された反射波RWを受信する受信アンテナ230と、送信波SWと反射波RWから検知信号を抽出する信号抽出部と、検知信号に基づいて小便器500のボウル面BWを洗浄する機能を有した制御部300と、を備え、小便器500の裏側には、小便器500の前後方向に筋状に形成される凹凸部600が形成され、送信アンテナ220は、送信波SWの最大放射強度方向MDが凹凸部600の表面に対して垂直に入射するように小便器の裏側に取り付けられていることを特徴とする。
このようにすることで、送信波SWの最大放射強度方向MDと凹凸部600の表面が垂直となり、送信波SWが凹凸部600に入射しても最大放射強度方向MDは屈折や干渉の影響を殆ど受けない。そのため、送信アンテナ220から送信された送信波SWの最大放射強度方向MDの変化を極少にできるため所望の検知エリアを確保することができる。
また、本発明に係る小便器装置において、最大放射強度方向MDは、小便器500の左右方向の略中央に形成された凹凸部600の頂点601を通過することも好ましい。
このようにすることで、送信波SWの最大放射強度方向MDの変化を極少にできると共に、小便器500の中央部に所望の検知エリアを確保することができる。
また、本発明に係る小便器装置において、送信アンテナ220は複数の送信電極から構成され、複数の送信電極は小便器の幅方向に所定の間隔を空けて直線状に配置されることも好ましい。
このようにすることで、複数の送信電極から送信される送信波SWが干渉し強めあうことで電波強度が強くなる干渉面が便器縦方向となるので、隣り合う小便器に接近した人を誤検知することを防止することができる。
続いて、本発明に係る小便器装置のアンテナユニット200の他の実施形態について、図10を用いて説明する。図10(a)及び、図10(b)に示されているアンテナユニット200では、送信電極となる一つのパッチアンテナ221から送信アンテナ220が構成されている。
図10(a)及び図10(b)のように、送信アンテナ220が一つの送信電極221から構成されている場合、その最大放射強度方向MDは送信電極221の中心点MPを始点として、基板201に垂直となる方向になる。
このように、1枚の送信電極221から構成される送信アンテナ220を小便器500に設置する場合には、送信電極221の励振方向AR1を小便器500の前後方向とすることが好ましい。このようにすることで、アンテナユニット200を図10(d)のように、小便器500の前方に向けて傾けて取り付けられた際に、送信波SWが小便器500を透過しやすくなることが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
また、上述したように、送信アンテナ220の最大放射強度方向MDが小便器500の凹凸部600の頂点601を、頂点601の接平面A2に対して垂直に通過するように、設置することで、送信波SWが凹凸部600に入射しても最大放射強度方向MDは屈折や干渉の影響を殆ど受けないように設置することができる。
そのため、送信アンテナ220が1枚の送信電極221から構成される場合には、送信電極221の励振方向AR1と凹凸部600とを平行にすることで、アンテナユニット200を前方向に傾けた際に、小便器500を透過する送信波SWの電波強度をより強くすることが出来る。
また同様の理由により、図10(c)に示すような、2枚の送信電極221によって送信アンテナ220が構成される場合においても、励振方向AR1が基板201の長辺に対して平行となっている場合には、図10(a)、(b)のアンテナユニット200と同様に励振方向AR1を小便器500の前後方向となるように設置することも好ましい。