JP2002068822A - 衛生陶器 - Google Patents

衛生陶器

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JP2002068822A
JP2002068822A JP2000264205A JP2000264205A JP2002068822A JP 2002068822 A JP2002068822 A JP 2002068822A JP 2000264205 A JP2000264205 A JP 2000264205A JP 2000264205 A JP2000264205 A JP 2000264205A JP 2002068822 A JP2002068822 A JP 2002068822A
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JP2000264205A
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Naoki Koga
直樹 古賀
Hidemi Ishikawa
秀美 石川
Ryosuke Kato
良輔 加藤
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 安いコストで、素地の焼成時の軟化変形量を
低減し、さらに高強度化し、省資源化及び軽量化に対応
した衛生陶器を提供する。 【解決手段】 陶磁器素地と、前記素地上の必要な部分
に釉薬層が形成されてなる衛生陶器であって、前記素地
を構成する主成分が、SiO:50〜75wt%、A
:20〜45wt%、LiO:0.05wt
%以上であり、また、LiOと、NaO、KOか
らなる群から選ばれた少なくとも1種の成分と、Ca
O、MgO、BaO、BeOからなる群から選ばれた少
なくとも1種の成分との和が2〜6wt%であり、さら
に結晶として石英、クリストバライト、ムライト、コラ
ンダムの中から選ばれた少なくとも1種類以上を含み、
全結晶量が素地全体100に対して10〜60wt%で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手洗い器、洗面
器、小便器、大便器、便器タンク、便器サナ等の衛生陶
器に関する。
【0002】
【従来の技術】陶磁器は焼成時に収縮しまた軟化し変形
することから、その変形量を見込んだ上での製品設計が
必要となる。また製品を構成する素地肉厚の設定につい
ては、焼成時の軟化による変形に大きく影響することか
ら、変形を防止するために製品の形状、大きさによって
素地肉厚が決定されている。衛生陶器のような比較的大
型で複雑な形状を持つ製品では、焼成時の製品変形を抑
えるための製品設計は非常に困難な技術とされており、
また素地の肉厚設定においては、通常の陶磁器製品と比
較するとかなりの厚めの設定となっている。衛生陶器用
の素地として一般的に使用されているのは熔化質素地と
呼ばれるもので、吸水性がなく科学的耐久性にも優れた
特徴を有する。このような従来の熔化質素地は、曲げ強
度が60〜90MPa程度であり、焼成時の軟化変形量
が25〜30mm程度である。陶磁器製品においても、
省資源化及び軽量化が期待されており、そのため素地の
薄肉化の検討が進められている。しかし、上述のことか
ら明かなように肉厚を薄くしたとき焼成時の製品の変形
が問題となってしまう。
【0003】このような問題を解消するための技術とし
て、焼成時の軟化変形量を小さくした熔化質素地の検討
が進められている。また、素地の肉厚を薄くしたとき製
品の強度低下という面も問題となることから、焼成時の
軟化変形量の低減と並行して高強度化も検討が進められ
ている例もある。
【0004】焼成時の軟化変形量を低減する方法として
は、原料を微粒化する方法が主に検討されている。原料
を微粒化することで素地の焼結性が向上し焼結フラック
ス成分が減らせるため、焼成時の素地の軟化が抑制され
る。
【0005】高強度化の方法としては、素地原料にコラ
ンダムを添加する方法が主に利用されている。素地中に
コランダムの粒子が分散されることによって、素地中の
破壊の基点となるグリフィスフローの長さが抑制され、
素地の強度が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術に
は、すなわち原料の微粒化による焼成時の軟化変形量を
低減する方法、またコランダム添加による強度を向上さ
せる方法には次のような問題がある。 原料微粒化による焼成時の軟化変形量を低減する方法
の問題点 1)鋳込み成形では、成形体が再液状化する現象が生じ
やすくなる、可塑性が低下するなど成形性が悪化する。 2)原料粒子の配向性が大きくなり、乾燥切れ、焼成時
の歪みによる変形が生じやすくなる。 3)原料の粉砕負荷が増大する。 コランダム添加によって強度を向上させる方法の問題
点 1)原料中の可塑性成分が少なくなることで、鋳込み成
形の場合、成形体が再液状化する現象が生じやすくな
る、可塑性が低下するなど、成形性が悪化する。 2)原料コストが高くなる そこで、本発明では、上記問題点のような生産性を損な
うことなく、また安いコストで、素地の焼成時の軟化変
形量を低減し、さらに高強度化し、省資源化及び軽量化
に対応した衛生陶器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、陶磁器素地と、前記素地上の必要な部分に
釉薬層が形成されてなる衛生陶器であって、前記素地を
構成する主成分が、SiO2:50〜75wt%、Al2
3:20〜45wt%、Li2O:0.05wt%以上
であり、また、Li2Oと、Na2O、K2Oからなる群
から選ばれた少なくとも1種の成分と、CaO、Mg
O、BaO、BeOからなる群から選ばれた少なくとも
1種の成分との和が2〜6wt%であり、さらに結晶と
して石英、クリストバライト、ムライト、コランダムの
中から選ばれた少なくとも1種類以上を含み、全結晶量
が素地全体100に対して10〜60wt%であること
を特徴とする。素地成分としてLi2Oを含むことによ
り、焼成時の素地の軟化変形が小さくなり、更に素地の
強度が向上する。これによって、衛生陶器の生産性を損
なうことなく、また安いコストで、省資源化及び軽量化
に対応した衛生陶器を提供することが可能となる。その
理由は以下のように考えられる。素地成分のうちLi2
O、Na2O、K2O等のアルカリ酸化物や、CaO、M
gO、BaO、BeO等のアルカリ土類酸化物は焼成の
際、原料をガラス化し素地を焼結させる焼結フラックス
として作用する。これらの焼結フラックス成分の中でも
Liは最もイオン半径の小さな原子である。Li2O以
外の焼結フラックス成分のみで素地を焼結させたときよ
り、Li2Oを含む焼結フラックス成分で素地を焼結さ
せた場合の方が、イオン半径が様々な元素がガラス化に
作用し、ガラスを構成する原子の網目構造中に空間的に
効率よくこれらの元素が入り込めるため、ガラス化に必
要なエネルギーが少なくて済むことから、結果として焼
成中の素地の軟化変形量が小さくなる。また形成された
ガラスの密度が高くなることから素地の強度が向上す
る。このような効果を期待するためには、Li2Oは少
なくとも0.05wt%以上必要であり、また同時に、
Na2O、K2Oからなる群から選ばれた少なくとも1種
の成分と、CaO、MgO、BaO、BeOからなる群
から選ばれた少なくとも1種の成分の存在が必要であ
り、これらの総量が2〜6wt%でなければならない。
【0008】本発明の好ましい態様においては、前記素
地の構成成分の内、Li2O、Na2O、K2Oなどのア
ルカリ酸化物とCaO、MgO、BaO、BeOなどの
アルカリ土類酸化物の総量に対するアルカリ土類酸化物
の比率が15wt%以上であるようにする。そうするこ
とにより、これらの焼結フラックス成分の元素がガラス
を構成する原子の網目構造中に入り込む効率が向上し、
さらに焼成中の素地の軟化変形量が小さくなり、素地の
強度が向上する。
【0009】本発明の好ましい態様においては、前記素
地が結晶として石英を含む場合、その量が素地全体に対
して40wt%以下であるようにする。そうすることに
より、素地の熱膨張係数90×10-7(/℃)(50〜
600℃)以下に抑えることができ、焼成時に切れが発
生することなく、また耐熱衝撃性に優れた衛生陶器を提
供することが可能となる。
【0010】本発明の好ましい態様においては、前記素
地が結晶としてムライトを含み、その量が素地全体に対
して10wt%以上であるようにする。そうすることに
より、耐熱衝撃性に優れた衛生陶器を提供することが可
能となる。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記素
地が結晶としてコランダムを含むようにする。コランダ
ムは高いヤング率を有することから素地中に均一に分散
させることで、大きな強度向上の効果を得ることができ
る。
【0012】本発明の好ましい態様においては、前記素
地が結晶としてコランダムを含み、コランダムの量が素
地全体を100とすると30wt%以下であるようにす
る。そうすることにより、成形性の悪化を最小限に抑え
ることができる。
【0013】本発明においては、素地原料を成形する工
程、必要に応じて必要な部位に施釉する工程、1100
〜1300℃の温度で焼成する工程を含む方法により作
成可能な衛生陶器であって、前記素地原料は、粘土質鉱
物、石英、Li2O含有原料と、必要に応じてアルカリ
含有原料、アルカリ土類含有原料を含有し、前記Li2
O含有原料の量は、Li2Oの量が前記素地原料に対し
0.05〜1wt%になるよう調整し、前記粘土質鉱物
はカオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、セリサ
イト、パイロフィライトから選ばれた少なくとも1種類
を含む鉱物であり、前記石英の量は前記素地原料に対し
40wt%以下であり、前記素地粘土質鉱物の量は前記
素地原料に対し30〜90wt%であり、前記素地原料
は、レーザー回折粒度測定器に基づく平均粒子径が3〜
10μmとなるように粒度調整されていることを特徴と
する。そうすることで、生産性を損なうことなく、また
安いコストで、省資源化及び軽量化に対応した衛生陶器
を提供することができる。
【0014】本発明においては、素地原料を成形する工
程、必要に応じて必要な部位に施釉する工程、1100
〜1300℃の温度で焼成する工程を含む方法により作
成可能な衛生陶器であって、前記素地原料は、粘土質鉱
物、石英、コランダム、Li2O含有原料と、必要に応
じてアルカリ含有原料、アルカリ土類含有原料を含有
し、前記Li2O含有原料の量は、Li2Oの量が前記素地
原料に対し0.05〜1wt%になるよう調整されてお
り、前記粘土質鉱物はカオリナイト、ディッカイト、ハ
ロイサイト、セリサイト、パイロフィライトから選ばれ
た少なくとも1種類を含む鉱物であり、前記石英の量は
前記素地原料に対し40wt%以下であり、前記コラン
ダムの量は前記素地原料に対し30wt%以下であり、
前記素地粘土質鉱物の量は前記素地原料に対し30〜9
0wt%であり、前記素地原料は、レーザー回折粒度測
定器に基づく平均粒子径が3〜10μmとなるように粒
度調整されていることを特徴とする。素地中にコランダ
ムを含むようにすることで更に強度向上効果が得られ
る。
【0015】本発明の好ましい態様においては、前記コ
ランダムを前記素地原料に導入する原料が、焼成ばん土
頁岩であるようにする。そうすることで、安価に素地中
にコランダムを導入することができる。
【0016】本発明の好ましい態様においては、前記L
2O含有原料が、スポジュメンであるようにする。そ
うすることで、素地中に効率よく、さらに安価にLi2
Oを導入できる。
【0017】本発明の好ましい態様においては、前記ス
ポジュメンの添加量が、素地原料全体を100とすると
0.5〜20wt%であるようにする。そうすることで、
素地原料中のLi2O量を容易に0.05〜1wt%の
範囲に調整することができる。また、スポジュメンの量
が20wt%を超えると素地の成形性が劣り好ましくな
い。
【0018】本発明の好ましい態様においては、前記L
2O量含有原料が、ユークリプタイト、ペタライト、
炭酸リチウムの中から選ばれた少なくとも1種類である
ようにする。そうすることで、素地中に効率よくLi2
Oを導入できる。
【0019】本発明の好ましい態様においては、前記ア
ルカリ土類含有原料がドロマイトであるようにする。そ
うすることで、素地中に効率よく、また安価に、Ca
O、MgOを導入することができる。
【0020】本発明の好ましい態様においては、前記素
地の吸水率が1%以下であるようにする。そうすること
により、衛生的でまた化学的耐久性に優れた衛生陶器を
提供することができる。
【0021】本発明の好ましい態様においては、前記素
地の焼成時の軟化変形量が25mm以下であるようにす
る。そうすることで、生産性に優れた、省資源化及び軽
量化に対応した衛生陶器を提供することができる。
【0022】本発明の好ましい態様においては、前記素
地の曲げ強度が90MPa以上であるようにする。そう
することで、省資源化及び軽量化に対応した、さらに強
度に優れた衛生陶器を提供することができる。
【0023】本発明の好ましい態様においては、前記釉
薬層は前記素地よりも熱膨張係数が0〜30×10
-7(/℃)(50〜600℃)小さい釉薬であるように
する。素地表面に熱膨張係数が素地よりも0〜30×1
-7(/℃)小さい釉薬層を形成することによって、釉
薬表面の経年変化に伴う微細なひび割れが生じにくくな
る。
【0024】本発明の好ましい態様においては、前記素
地の熱膨張係数が50〜90×10 -7(/℃)(50〜
600℃)であるようにする。90×10-7以下にする
ことで、衛生陶器のような大型で複雑な構造を持つ製品
において、焼成時の降温過程にてクラックが発生し難く
なる。また、50×10-7以上にすることで、クラック
等の欠陥の生じ難い条件で釉薬層の意匠性の自由度を確
保することができる。
【0025】本発明の好ましい態様においては、前記成
形する工程における成形方法が泥漿鋳込み成形法である
ようにする。そうすることで、大型複雑形状の衛生陶器
を低コストで容易に製造できる。
【0026】
【発明の実施の形態】まず、以下に本発明における主要
な用語について説明する。 (結晶相)本発明において、結晶相とは特定の鉱物であ
り、X線回折において規則的な回折パターンを有する部
分をいう。結晶相の量は内部標準法で、各結晶相の標準
物質による検量線から定量し重量比で示した。
【0027】(ガラス相)本発明において、ガラス相と
は、X線回折おいて規則的な回折パターンを示さない上
記結晶部分以外の部分をいう。
【0028】(素地中のガラス相の比率)本発明におい
て、素地中のガラス相の比率とは、素地全体に対するガ
ラス相の重量比で定義する。具体的には、X線回折で定
量した上記結晶相量を除いた量とする。
【0029】(素地の成分)陶磁器成分には、ムライト
に代表される複合酸化物結晶やガラス相のように、複数
の金属種の酸化物や固溶体が存在するが、これらについ
ても蛍光X線分析法によって定量された単成分の金属酸
化物で換算して重量比により規程している。ただし、L
iは軽元素であるため、蛍光X線分析法では定量できな
いことから、素地中のアルカリ分をベルセリウス法によ
り溶解抽出し原子吸光法により定量した。
【0030】(素地の吸水率)幅25mm、厚み5mm、
長さ120mmのテストピース(焼成素地)を105℃で
24時間乾燥した後、テストピースが吸湿しない環境下
で室温まで冷却し、質量W1を測定する。次にテストピ
ースを真空中に1時間保って、気泡を放出させる。さら
に同環境下において、テストピースを水中に1時間保っ
た後、常温に戻す。これを水中から取出し、絞った湿布
で手早く表面の水滴を拭い去り、直ちに質量W2を測定
する。吸水率はW1、W2から次式で求める。 吸水率=(W2−W1)/W1×100
【0031】(素地の曲げ強度)素地の曲げ強度は、焼
成したφ13×130mmのテストピースにより、スパ
ン100mm、クロスヘッドスピード2.5mm/mi
nの条件で3点曲げ方法で測定する。
【0032】(素地の焼成収縮率)幅30mm、厚み1
5mm、長さ260mmの未焼成のテストピースに15
0mm長さで印を入れ、焼成後のその長さの変化分を1
50mmで除した百分率を素地の焼成収縮率とした。以
上は線方向の焼成収縮率であり、厚み方向の焼成収縮率
は焼成前後のテストピースの同一箇所の厚みをマイクロ
メーターにより測定することで求めた。
【0033】(素地の軟化変形量)未焼成の幅30m
m、厚み15mm、長さ260mmのテストピースをス
パン200mmで支持した状態で焼成し、焼成後のテス
トピース中央部のたわみ量とテストピースの厚みを測定
する。このときのたわみ量はテストピースの厚みの二乗
に反比例するので、次の式で、厚みが10mmの時に換
算したたわみ量を素地の軟化変形量とした。 素地の軟化変形量=たわみ量測定値×(焼成後のテスト
ピースの厚み)2/102
【0034】(素地の熱膨張係数)素地の熱膨張係数
は、その測定には焼成した直径5mm、長さ20mmの
テストピースを用い、示差膨張計によって、圧縮荷重法
また測定温度範囲50〜600℃にて測定した線熱膨張
係数で示した。
【0035】(素地の耐熱衝撃性)耐熱衝撃性は、幅2
5mm×厚み10mm×長さ110mmのテストピース
を、所定温度で1時間以上保持した後、水中に投入して
急冷し、クラック発生の有無をチェックし評価した。ク
ラックが生じない最大温度差を示した。
【0036】次に、本発明の衛生陶器を作製する方法の
一例について説明する。出発原料としては、粘土質鉱
物、Li含有原料を必須成分とし、その他に石英、アル
カリ金属含有原料、アルカリ土類含有原料、コランダム
含有原料が添加されていてもよい。上記原料を混合し必
要に応じてボールミル等により粉砕して素地原料を得
る。素地原料のレーザー回折粒度測定器に基づく平均粒
径は、3〜10μmに調整するのが好ましい。後の成形
工程で鋳込み成形法を用いる場合、素地原料は水に分散
してサスペンジョンとして用いる。サスペンジョン中に
は、分散剤、防腐剤、糊剤、抗菌剤等を添加してもよ
い。粘土質鉱物としては、カオリナイト、ディッカイ
ト、ハロイサイト、セリサイト、パイロフィライトが好
適に利用できる。アルカリ金属含有原料としては、セリ
サイト、長石、ネフェリンが好適に利用できる。Li含
有原料としては、スポジュメン、ペタライト、炭酸リチ
ウムが好適に利用できる。アルカリ土類含有原料として
は、ドロマイト、石灰石、炭酸マグネシウム、灰長石が
好適に利用できる。各原料の配合としては、粘土質鉱物
は30〜90重量部とするのが好ましく、Li含有原料
は1〜30重量部の範囲で使用するのが好ましい。アル
カリ含有原料あるいはアルカリ土類含有原料は素地全体
に対しアルカリ酸化物あるいはアルカリ土類酸化物の総
量が2〜6wt%に調整された範囲で使用することがで
きる。また、石英原料を使用する場合は40重量部以下
とすることが好ましい。
【0037】上記の素地原料を鋳込み成形法等により成
形し、脱型、乾燥後、必要部分に施釉し焼成する。鋳込
み成形型には、石膏型、樹脂型等が利用でき、圧力印加
法は加圧、真空吸引、型吸引、ヘッド圧のいずれも利用
できる。乾燥は例えば室温〜110℃程度で行うことが
できる。施釉は、湿式スプレー、乾式スプレー、(他の
例示)等の方法が利用できる。釉薬には、長石、石英、
石灰石等の天然原料、フリット釉等の非晶質原料等に顔
料や乳濁剤を添加したものが利用できる。釉薬として
は、熱膨張係数が素地よりも0〜30×10-7/℃小さ
い原料を用いるのが好ましい。焼成は1100〜130
0℃の温度で行うことができる。焼成には、連続焼成
炉、バッチ炉のいずれも利用可能である。
【0038】
【実施例】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づ
いて説明する。図3に実施例で使用した原料とその化学
組成、そして主要鉱物量を示す。図4、5に、比較例及
び本発明にかかる素地の使用原料、原料中の含有鉱物
量、素地の組成、特性値を示す。素地組成中の、アルカ
リ酸化物総量とは素地化学組成中のLi2O、Na2O、
2O等のアルカリ酸化物の総量を、アルカリ土類酸化
物総量とはMgO、CaO等のアルカリ土類酸化物の総
量を示す。図4、図5中の、No.1〜3は従来技術か
らなる熔化質素地であり、No.1の素地は従来から衛
生陶器の生産で使用されている素地、No.2、No.
3の素地は原料の微粒化とコランダムの添加によって、
焼成時の軟化変形量の低減と高強度化を図った熔化質素
地である。
【0039】No.4〜9は本発明からなる素地であ
る。No.4〜6、8、9の素地は原料としてスポジュ
メンを利用し、素地成分としてLi2OをNo.4〜6
は約0.2wt%、No.8は0.13wt%、No.
9は0.37wt%含む素地であり、No.4は更に高
強度化のためにコランダムを含む素地である。No.7
の素地は原料としてペタライトを利用し、素地成分とし
てLi2Oを約0.2wt%含むようにした素地であ
る。
【0040】No.4の素地は軟化変化量が16.9m
mであり、No.2の素地が23.3mmであるよう
に、原料粒径がNo.2の素地より大きいのに関わら
ず、3割程度小さい軟化変形量が得られている。素地中
のLi2O成分の効果である。No.5〜7、8、9の
素地についても同じ効果が得られている。No.7の素
地はLi含有原料としてペタライトを使用したものであ
り、このようにスプジュメンでもペタライトでも同じ効
果が得られる。その他のLi含有原料でも同様の効果が
期待できる。
【0041】また、強度向上の効果が得られている。N
o.5の素地は曲げ強度が98MPaであり、No.1
の素地が85MPaであるように、原料粒径が同じでコ
ランダムも同じように含まないにも関わらず約1割程度
の高い強度が得られている。No.4の素地はコランダ
ムを含むが、同じコランダムを含むNo.2の素地と比
較すると、またNo.6〜9の素地も、コランダムの有
無を考慮する必要があるNo.2の素地と比較すると何
れも高い強度が得られている。これらも素地中のLi2
O成分の効果である。
【0042】このように素地中にLi2Oを含むことを
特徴とする本発明の方法によれば、従来技術より大きな
原料粒径で、またより少ないコランダム量で、従来技術
と焼成時の軟化変形量と強度が同等な素地が得られる。
これによって、原料の微粒化とコランダム添加が要因で
生じる従来技術における、成形性、乾燥切れ、焼成時の
歪みによる変形、粉砕負荷、原料コストに関する問題点
を改善することができる。
【0043】図1は本発明のNo.4の素地で試作した
ストール小便器Aの模式図である。製品の素地肉厚は省
資源、軽量化のため、No.1素地のような従来の熔化
質素地で生産されている同一製品より約20%薄肉にな
っている。比較のため従来技術からなるNo.3の素地
でも試作した図6には、その試作で使用した釉薬の化学
組成を示す。本釉薬はブリストル釉と呼ばれる衛生陶器
用に一般的に使用されている釉薬であり、釉薬の熱膨張
係数は51×10-7/℃である。試作は、原料をボール
ミルで粉砕することで素地泥漿を調製し、石膏型を使用
し泥漿鋳込み成形法によって成形した後、仕上げ加工、
乾燥、施釉工程を経た後焼成することによって行った。
図7に原料の粉砕条件と粉砕に要した時間を示す。この
ように原料の粉砕に掛かる時間が大幅に短縮でき、粉砕
の負荷が削減できた。
【0044】成形性に関しては、型の合わせ面で生じる
バリの切り取り及び仕上げ作業、穴開け作業においてN
o.3の素地に対して本発明の素地の方が作業性が良好
であった。また、No.3の素地ではバリの切り取り箇
所にササクレと称する細かな切れが発生したが、本発明
の素地ではササクレの発生も減少した。さらに、そのサ
サクレが起点となってNo.3の素地では乾燥切れが生
じたが、本発明の素地では乾燥切れに至るものは発生し
なかった。
【0045】焼成後の試作品は、いずれの素地において
も素地の薄肉化が原因となる大きな変形は生じなかっ
た。ただし、次の点において違いが見られた。図1中の
ストール小便器Aの上面部1の部分は、形状面において
最も変形等の許されない部分である。また、上面部1の
中央部には図2に示すような凹凸上の線2が生じる。こ
れらの点に関して、本発明の素地の方が良好であり、上
面部1の部分における変形が少なく、凹凸状の線2も小
さかった。
【0046】これらの現象は、素地の線方向の焼成収縮
と厚み方向の焼成収縮差によって生じるものである。こ
の差が大きいと素地の軟化変形という要因とは別に焼成
時の収縮の歪みによって製品が変形する。また、凹凸状
の線2が生じるのは、成形時型内に泥漿が充填される際
に泥漿が衝突する場所に相当し、この部分の原料粒子の
向きが他の場所と異なる結果、焼成時の収縮差が生じ焼
成後の素地の肉厚に違いが起こるためである。図8に各
素地の線方向の焼成収縮率と厚み方向の焼成収縮率を示
す。
【0047】このようにNo.3の素地がその差が一番
大きく、本発明の素地は従来から利用されて熔化質素地
とほぼ同じ程度である。線方向の焼成収縮率と厚み方向
の焼成収縮率の差は、原料粒子の配向性を示すものと考
えることができ、原料が微粒になるほど原料の配向性が
大きくなる。このように、本実施例の効果として原料の
配向性を少なくし焼成時の歪みによる変形を小さくする
ことができる。
【0048】
【発明の効果】従って、本発明によれば、焼成時の軟化
変形量が小さく、素地強度の高い素地を効率よく得るこ
とができ、生産性良く省資源、軽量化を実現した衛生陶
器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の中で試作したストール小便器の模式
図。
【図2】図1中の上面部1の箇所の拡大模式図。
【図3】使用原料の化学組成と含有鉱物量。
【図4】比較例及び本発明にかかる素地の使用原料、原
料中の含有鉱物量、素地の組成、特性値。
【図5】本発明にかかる素地の使用原料、原料中の含有
鉱物量、素地の組成、特性値。
【図6】試作で使用した釉薬の化学組成。
【図7】図4のNo.3、4の素地の原料のボールミル
の粉砕時間。
【図8】図4のNo.1、3、4の素地の焼成収縮率。
【符号の説明】
A…ストール小便器 1…上面部 2…凹凸状の線

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陶磁器素地と、前記素地上の必要な部分
    に釉薬層が形成されてなる衛生陶器であって、 前記素地を構成する主成分が、SiO2:50〜75w
    t%、Al23:20〜45wt%、Li2O:0.0
    5wt%以上であり、また、Li2Oと、Na2O、K2
    Oからなる群から選ばれた少なくとも1種の成分と、C
    aO、MgO、BaO、BeOからなる群から選ばれた
    少なくとも1種の成分との和が2〜6wt%であり、さ
    らに結晶として石英、クリストバライト、ムライト、コ
    ランダムの中から選ばれた少なくとも1種類以上を含
    み、全結晶量が素地全体100に対して10〜60wt
    %であることを特徴とする衛生陶器。
  2. 【請求項2】 前記素地の構成成分の内、Li2O、N
    2O、K2Oなどのアルカリ酸化物とCaO、MgO、
    BaO、BeOアルカリ土類酸化物の総量に対するアル
    カリ土類酸化物の比率が15wt%以上であることを特
    徴とする請求項1に記載の衛生陶器。
  3. 【請求項3】 前記素地が結晶として石英を含む場合、
    その量が素地全体に対して40wt%以下であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の衛生陶器。
  4. 【請求項4】 前記素地が結晶としてムライトを含み、
    その量が素地全体に対して10wt%以上であることを
    特徴とする請求項1〜3に記載の衛生陶器。
  5. 【請求項5】 前記素地が結晶としてコランダムを含む
    ことを特徴とする請求項1〜4に記載の衛生陶器。
  6. 【請求項6】 前記素地が結晶としてコランダムを含
    み、コランダムの量が素地全体を100とすると30w
    t%以下であることを特徴とする請求項5に記載の衛生
    陶器。
  7. 【請求項7】 素地原料を成形する工程、必要に応じて
    必要な部位に施釉する工程、1100〜1300℃の温
    度で焼成する工程を含む方法により作成可能な衛生陶器
    であって、 前記素地原料は、粘土質鉱物、石英、Li2O含有原料
    と、必要に応じてアルカリ含有原料、アルカリ土類含有
    原料を含有し、 前記Li2O含有原料の量は、Li2Oの量が前記素地原
    料に対し0.05〜1wt%になるよう調整し、 前記粘土質鉱物はカオリナイト、ディッカイト、ハロイ
    サイト、セリサイト、パイロフィライトから選ばれた少
    なくとも1種類を含む鉱物であり、 前記石英の量は前記素地原料に対し40wt%以下であ
    り、 前記素地粘土質鉱物の量は前記素地原料に対し30〜9
    0wt%であり、 前記素地原料は、レーザー回折粒度測定器に基づく平均
    粒子径が3〜10μmとなるように粒度調整されている
    ことを特徴とする衛生陶器。
  8. 【請求項8】 素地原料を成形する工程、必要に応じて
    必要な部位に施釉する工程、1100〜1300℃の温
    度で焼成する工程を含む方法により作成可能な衛生陶器
    であって、 前記素地原料は、粘土質鉱物、石英、コランダム、Li
    2O含有原料と、必要に応じてアルカリ含有原料、アル
    カリ土類含有原料を含有し、 前記Li2O含有原料の量は、Li2Oの量が前記素地原
    料に対し0.05〜1wt%になるよう調整されてお
    り、 前記粘土質鉱物はカオリナイト、ディッカイト、ハロイ
    サイト、セリサイト、パイロフィライトから選ばれた少
    なくとも1種類を含む鉱物であり、 前記石英の量は前記素地原料に対し40wt%以下であ
    り、 前記コランダムの量は前記素地原料に対し30wt%以
    下であり、 前記素地粘土質鉱物の量は前記素地原料に対し30〜9
    0wt%であり、 前記素地原料は、レーザー回折粒度測定器に基づく平均
    粒子径が3〜10μmとなるように粒度調整されている
    ことを特徴とする衛生陶器。
  9. 【請求項9】 前記コランダムを前記素地原料に導入す
    る原料が、焼成ばん土頁岩であることを特徴とする請求
    項8に記載の衛生陶器。
  10. 【請求項10】 前記Li2O含有原料が、スポジュメ
    ンであることを特徴とする請求項7〜9に記載の衛生陶
    器。
  11. 【請求項11】 前記スポジュメンの添加量が、素地原
    料全体を100とすると0.5〜20wt%であることを
    特徴とする請求項10に記載の衛生陶器
  12. 【請求項12】 前記Li2O含有原料が、ユークリプ
    タイト、ペタライト、炭酸リチウムの中から選ばれた少
    なくとも1種類であることを特徴とする請求項7〜9に
    記載の衛生陶器。
  13. 【請求項13】 前記アルカリ土類含有原料がドロマイ
    トであることを特徴とする請求項7〜12に記載の衛生
    陶器。
  14. 【請求項14】 前記素地の吸水率が1%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜13に記載の衛生陶器。
  15. 【請求項15】 前記素地の焼成時の軟化変形量が25
    mm以下であることを特徴とする請求項1〜14に記載
    の衛生陶器。
  16. 【請求項16】 前記素地の曲げ強度が90MPa以上
    であることを特徴とする請求項1〜15に記載の衛生陶
    器。
  17. 【請求項17】 前記釉薬層は前記素地よりも,熱膨張
    係数が0〜30×10-7(/℃)(50〜600℃)小
    さい釉薬であることを特徴とする請求項1〜16に記載
    の衛生陶器。
  18. 【請求項18】 前記素地の熱膨張係数が50〜80×
    10-7(/℃)(50〜600℃)であることを特徴と
    する請求項1〜17に記載の衛生陶器。
  19. 【請求項19】 前記成形する工程における成形方法が
    泥漿鋳込み成形法であることを特徴とする請求項7〜1
    8に記載の衛生陶器。
  20. 【請求項20】 前記衛生陶器は、手洗い器、洗面器、
    小便器、大便器、便器タンク、便器サナ、流し、ベビー
    バスの何れかであることを特徴とする請求項1〜19に
    記載の衛生陶器。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015190142A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 Toto株式会社 小便器装置
JP2016193811A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 Toto株式会社 大型セラミック板
TWI773211B (zh) * 2020-03-31 2022-08-01 日商Toto股份有限公司 衛生陶器
JP7343031B1 (ja) 2022-12-28 2023-09-12 Toto株式会社 陶器素地
JP7420209B1 (ja) 2022-12-28 2024-01-23 Toto株式会社 釉薬層を備えた陶器

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