JP2002255630A - 衛生陶器 - Google Patents

衛生陶器

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JP2002255630A
JP2002255630A JP2001049605A JP2001049605A JP2002255630A JP 2002255630 A JP2002255630 A JP 2002255630A JP 2001049605 A JP2001049605 A JP 2001049605A JP 2001049605 A JP2001049605 A JP 2001049605A JP 2002255630 A JP2002255630 A JP 2002255630A
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JP2001049605A
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Hidemi Ishikawa
秀美 石川
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素地の焼成収縮、変形を極力抑えつつ、十分
な機械的強度を保持した、且つ、経年貫入の発生しない
衛生陶器を提供すること。 【解決手段】 陶磁器素地と、前記素地上の必要な部分
に釉薬層が形成されてなる衛生陶器であって、前記素地
中には、さらにアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金
属酸化物が併せて10重量%以下含有されており、前記
素地中におけるアルカリ金属酸化物量は2重量%以下で
あり、アルカリ土類金属酸化物のうちの必須成分として
CaO、且つ、MgOを含有しており、CaOとMgO
との合計量に対してMgOが20重量%以上であること
を特徴とする衛生陶器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗面器、小便器、
大便器、ベビーバス、手洗器、便器タンク、便器サナ、
流し、シャワーパンなどの衛生陶器に関する。
【0002】
【従来の技術】洗面器、小便器、大便器、ベビーバス、
手洗器、便器タンク、便器サナ、流し、シャワーパンな
どの衛生陶器は生活用品であり、そのため、どんなに体
重の重い人でも体重を預けて安心して使用可能な機械的
強度が要求される。また、意匠性も要求される。さら
に、上記商品は、水回りで使用されるために、化学的安
定性も要求される。そのため、古くから、衛生陶器に
は、施釉された陶磁器、とりわけ、1度の焼成で釉薬層
による色彩や模様に基づく意匠性の自由度までをも確保
しやすい1100〜1300℃の温度で焼成することに
より充分な機械的強度を確保できる施釉された硬質陶器
質素地、熔化質素地が一般的に用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、硬質陶
器質素地や熔化質素地を上記温度で焼成した場合、充分
な強度を得られる反面、焼成収縮や焼成変形が大きかっ
た。そのために、焼成後の製品形状や寸法を正確に設計
するのが困難となり、形状に基づく意匠性の付与や機能
性の付与の上での自由度が制約されていた。また、製品
の形状によっては、上記収縮や変形が、クラックの発生
や、形状のバラツキや、寸法精度の悪化を招き、引いて
は歩留まりを低下させる原因となる場合があった。さら
に、焼成前の成形体の体積が大きいため、窯詰め効率が
その分悪化し、生産性が充分に良好とは言い難かった。
【0004】一方、焼成収縮及び変形を極力抑えるため
には、素地中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属
酸化物などのいわゆるフラックス成分を極力減少させる
か、もしくは、焼成温度を低く設定し、いわゆる焼きを
甘くすることにより可能であるが、その場合、素地全体
が多孔質で熔化が不十分な陶器質素地となるため、吸水
性を有し、水和膨張による経年貫入の発生が懸念され
る。本発明は、上記課題を解決するためになされたもの
で、その目的は、素地部の焼成収縮、変形を極力抑えつ
つ、機械的強度を有し、且つ、水和膨張による経年貫入
の発生を防止した衛生陶器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すべく、
本発明では、陶磁器素地と、前記素地上の必要な部分に
釉薬層が形成されてなる衛生陶器であって、前記素地を
構成する主成分の組成がSiO:45〜70重量%、
Al:25〜50重量%であり、前記素地中に
は、さらにアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸
化物が併せて10重量%以下含有されており、前記素地
中におけるアルカリ金属酸化物量は2重量%以下であ
り、アルカリ土類金属酸化物のうちの必須成分としてC
aO、且つ、MgOを含有しており、CaOとMgOと
の合計量に対してMgOが20重量%以上であることを
特徴とする衛生陶器を提供する。フラックス成分である
アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の量を
10重量%以下にし、且つ、フラックス成分のうちで熔
融反応の促進性の高いアルカリ金属酸化物量を2重量%
以下にすることで、焼成収縮、変形を極力抑えることが
できる。さらに、アルカリ土類金属酸化物のうちの必須
成分としてCaO、且つ、MgOを含有しており、Ca
OとMgOとの合計量に対してMgOが20重量%以上
であるようにすることによって、CaO成分により十分
な機械的強度を保持しつつ、焼成収縮を抑制できる。ま
た、MgO成分により水和膨張を低減し、経年貫入を防
止する効果がある。
【0006】本発明の好ましい態様においては、前記素
地中における前記アルカリ土類金属酸化物のうちMgO
は1重量%以上であるようにする。1重量%以上とする
ことでMgO成分により水和膨張を低減し、経年貫入を
防止する効果がある。1重量%未満では経年貫入が入り
やすく、製品の破損に繋がる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、前記素
地には、さらに、結晶として石英、クリストバライト、
ムライト、コランダムからなる群から選ばれる少なくと
も1種の鉱物が含有されているようにする。そうするこ
とで、粒子分散強化機構(クラックデフレクション効果
等)が働くので、素地の強度が大きくなる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、前記素
地は、φ14×130mmの成形体テストピースを作製
し、その成形体テストピースを用いてオートグラフによ
りスパン100mm、クロスヘッドスピード2.5mm
/minの条件で、3点曲げ試験したときに算出される
曲げ強度が50MPa以上である。
【0009】また、幅25mm、厚み5mm、長さ23
0mmの成形体テストピースを作製し、その成形体テス
トピースをスパン200mmの2点で支持し、1000
℃まで4時間で昇温し、さらに1200℃まで2時間で
昇温し、1200℃で1時間保持した後、室温まで自然
冷却したときの焼成体テストピースのたわみ量が10m
m以下であるようにする。また、この焼成体テストピー
スをスパン200mmの2点で支持し、1000℃まで
4時間で昇温し、更に1200℃まで2時間で昇温し、
1200℃で1時間保持した後、室温まで自然冷却した
ときの再加熱焼成体テストピースのたわみ量が5mm以
下であるようにする。そうすることで、通常製品として
十分使用可能な機械的強度を有し、焼成変形が小さく、
寸法精度の安定した製品を得ることができる。
【0010】本発明の好ましい態様においては、前記素
地は、焼成体テストピースを作製したときの長手方向の
線熱膨張係数が90×10−7/℃以下にする。そうす
ることで、一般的に衛生陶器に使用されている釉薬との
マッチングが良く、釉飛び、貫入などの釉薬面の欠点が
発生しにくくなる。また、素地自体の焼成工程時の冷却
過程における素地切れを抑制し、さらに耐熱衝撃性が向
上する。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記素
地は、焼成体テストピースを作製したときの嵩密度が
2.1g/cm以下であるようにする。そうすること
で、通常の製品厚みで軽量性を有した衛生陶器を得るこ
とができる。
【0012】本発明の好ましい態様においては、前記素
地中における前記結晶のうち石英は20重量%以下であ
るようにする。そうすることで、熱膨張係数を狙いの値
に調整することが容易であり、逆に石英が20重量%を
越えると、熱膨張係数の調整が困難となり、線熱膨張係
数が90×10−7/℃以上になる場合がある。
【0013】本発明の好ましい態様においては、CaO
を含有する素地原料が珪灰石、石灰石、灰長石のいずれ
かであり、MgOを含有する素地原料がドロマイト、マ
グネサイト、カンラン岩、蛇紋岩、滑石、マグネシウム
クリンカーのいづれかであるようにする。そうすること
で、焼成収縮、変形を抑制するCaO成分、水和膨張を
低減し、経年貫入を抑制するMgO成分を容易に導入す
ることができる。
【0014】本発明の好ましい態様においては、前記素
地により作製した幅25mm、厚み5mm、長さ230
mmの成形体テストピースを、1000℃まで4時間で
昇温し、更に1200℃まで2時間で昇温し、1200
℃で1時間保持した後、室温まで自然冷却したときの焼
成体テストピースの長手方向の焼成収縮率が8%以下で
あるようにする。そうすることで、焼成収縮が小さく、
寸法精度、形状再現性の良い衛生陶器を得ることができ
る。
【0015】本発明の好ましい態様においては、SiO
、Alを主成分とする窯業原料と、CaO、M
gOのアルカリ土類金属酸化物を含有する鉱物とを混合
し、粒度調整を行うことにより素地原料を作製する素地
調製工程と、前記素地原料により成形素地を形成する成
形工程と、前記成形素地を乾燥する乾燥工程と、前記成
形素地上の必要な部分に釉薬を適用する施釉工程と、焼
成工程とを含む工程により作製可能な衛生陶器であるよ
うにする。そうすることで、焼成変形が小さく、寸法精
度の良好であり、且つ、実用上問題のない機械的強度を
有し、水和膨張の発生しにくい衛生陶器を容易に得るこ
とができる。
【0016】本発明の好ましい態様においては、前記素
地調製工程における素地原料のレーザー回折式粒度測定
器により測定する平均粒子径が1〜20μm、好ましく
は5〜10μmであるようにする。平均粒子径が1μm
以下になると、泥漿の凝集状態が激しくなり解膠が困難
となり、成形性に問題が生じる。また、平均粒子径が2
0μm以上になると素地の熔化、鉱物化が不十分となり
十分な機械的強度を得ることができない。
【0017】本発明の好ましい態様においては、前記成
形工程における成形方法が泥漿鋳込み成形であるように
する。そうすることで、衛生陶器に代表される大型複雑
形状品を寸法精度を良く、容易に成形することができ
る。
【0018】本発明の好ましい態様においては、前記焼
成工程における焼成温度が1100℃〜1300℃であ
るようにする。1100℃〜1300℃という高火度焼
成により、素地強度を極端に低下させることなく、曲げ
強度で50MPa以上という、実用上問題のない強度を
有することが可能となっている。焼成温度が1100℃
より低いと素地の熔化、鉱物化が不十分となり、ねらい
とする強度を得ることができない。また、1300℃よ
り高いと熔化焼結が進行しすぎるため、ねらいとする焼
成収縮量、変形量を得ることができなくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的な一実施
態様について説明する。本発明の衛生陶器は、陶磁器素
地と、前記素地上の必要な部分に釉薬層が形成されてい
る。ここで、必要な部分とは、例えば、生活用品として
色彩、模様、質感等の意匠性を持たせたい部分や、衛生
性を強化したい部分などであり、便器の洗浄面やリム
部、便器タンク外面、洗面器のボール面や上面などであ
る。
【0020】衛生陶器の素地は、その構成する主成分の
組成がSiO:45〜70重量%、Al:25
〜50重量%であり、前記素地中には、さらにアルカリ
金属酸化物及びCaO、MgO、BaO、BeOからな
る群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ土類金属酸
化物が併せて10重量%以下含有されており、前記素地
中におけるアルカリ金属酸化物量は2重量%以下であ
り、アルカリ土類金属酸化物のうちの必須成分としてC
aO、且つ、MgOを含有しており、CaOとMgOと
の合計量に対してMgOが20重量%以上である。ま
た、本素地の焼成変形については、幅25mm、厚み5
mm、長さ230mmの成形体テストピースを作製し、
その成形体テストピースをスパン200mmの2点で支
持し、1000℃まで4時間で昇温し、さらに1200
℃まで2時間で昇温し、1200℃で1時間保持した
後、室温まで自然冷却したときの焼成体テストピースの
たわみ量が10mm以下である。焼成収縮については、
前記素地の、幅25mm、厚み5mm、長さ230mm
の焼成体テストピースを1000℃まで4時間で昇温
し、さらに1200℃まで2時間で昇温し、1200℃
で1時間保持した後、室温まで自然冷却したときの焼成
体テストピースの長手方向の収縮率が8%以下である。
そして、上記焼成変形、焼成収縮の条件を満たしつつ、
機械的強度については、φ14×130mmの焼成体テ
ストピースを作製し、その焼成体テストピースを用いて
オートグラフによりスパン100mm、クロスヘッドス
ピード2.5mm/minの条件で、3点曲げ試験した
ときに算出される曲げ強度が50MPa以上である。
【0021】更に上記条件を満たしつつ、焼成体テスト
ピースを作製したときの熱膨張係数は90×10−7
℃以下であり、さらに、上記条件を満たしつつ、焼成体
テストピースを作製したときの嵩密度を2.1g/cm
以下であり、軽量化も図ることができる。
【0022】上記衛生陶器は、SiO、Al
主成分とする窯業原料と、CaO、MgOのアルカリ土
類金属酸化物を含有する鉱物とを混合し粒度調整を行う
ことにより素地原料を作製する素地調製工程と、前記素
地原料により成形素地を形成する成形工程と、前記成形
素地を乾燥する乾燥工程と、前記成形素地上の必要な部
分に釉薬を適用する施釉工程と、焼成工程とを含む工程
により作製可能である。
【0023】ここで、窯業原料とは、通常の熔化質素地
原料として使用されている原料、および、耐火物原料と
して使用されている原料の双方をさす。ここで、熔化質
素地原料とは、例えば、陶石、長石、珪石、雲母、カオ
リン、蛙目粘土、木節粘土などであり、耐火物原料と
は、例えば、蝋石、バン土頁岩、シャモット、蝋石粘
土、耐火粘土、フリントクレー、ボーキサイトなどであ
る。
【0024】また、前記CaOを含有する素地原料は珪
灰石、石灰石、灰長石のいずれか、MgOを含有する素
地原料はドロマイト、マグネサイト、カンラン岩、蛇紋
岩、滑石のいづれかが好ましく使用可能である。
【0025】上記素地原料と上記窯業原料とを混合し粒
度調整を行う方法としては、例えば、下記の方法が利用
できる。 (1)上記素地原料と上記窯業原料とを、ボールミル等
に投入後、一括で混合粉砕する。 (2)上記素地原料と上記窯業原料とを、別のボールミ
ルにて粉砕後に、混合する。
【0026】成形工程には、泥漿鋳込み成形法、乾式プ
レス成形法、湿式プレス成形法、CIP成形法、射出成
形法、押出成形法、ろくろ成形法等利用できるが、泥漿
鋳込み成形法が特に好ましい。衛生陶器は大型複雑形状
品が多いが、泥漿鋳込み成形法では、それらを容易に成
形可能だからである。泥漿鋳込み成形法における圧力印
加手段としては、型吸引力、ヘッド圧、加圧、真空吸引
を単独或いは複数組合せて利用可能である。成形型に
は、石膏型、樹脂型等が利用できる。また、場所によ
り、一重成形と二重成形を使い分けるようにしてもよ
い。
【0027】乾燥工程は、室温から110℃程度の温度
で行うのが好ましい。施釉工程は、スプレー法、ディッ
プ法等の方法が利用可能であるが、特にスプレー法が好
ましい。焼成工程では、1000〜1300℃の温度で
焼成するのが好ましい。
【0028】
【実施例】図1は本発明の実施例及び比較例の素地組成
及び含有量を示すものである。図1に示す実施例及び比
較例の素地調製方法は、所定の原材料を秤量し、水35
部と解膠剤として珪酸ソーダを適量添加したものをポッ
トミル中で湿式粉砕し、平均粒径を6μmに調整した。
ここで、焼成収縮低減および強度の向上に寄与するCa
O成分含有素地原料として、珪灰石を、水和膨張低減に
よる経年貫入抵抗性向上に寄与するMgO成分含有素地
原料として、ドロマイトを選択した。次に、原料スラリ
ーを物性測定用サンプルの所定形状に成形可能な石膏型
に流し込み、着肉成形後に脱型し、成形体テストピース
を成形した。成形体テストピースは、40℃で24時間
乾燥した後、電気炉で1000℃まで4時間、1200
℃まで2時間で昇温し、1200℃で1時間保持後、自
然冷却するヒートカーブにより焼成した。その後、これ
らの焼成体テストピースの物性値を測定した。図2に実
施例1、2および比較例1〜3の測定結果を示す。
【0029】素地曲げ強度は、φ14×130mmの焼
成体テストピースにより、島津製オートグラフにより、
スパン100mm、クロスヘッドスピード2.5mm/
minの条件で、3点曲げ方法で試験したときに算出さ
れる値である。
【0030】焼成変形量は、幅30mm、厚み15m
m、長さ260mmの成形体テストピース(未焼成素
地)を焼成時にスパン200mmで支持しておき、焼成
後のたわみ量と焼成体テストピースの厚みを測定した値
である。このときのたわみ量は焼成後の焼成体テストピ
ースの厚みの二乗に反比例するため、次式で厚みが10
mmの時に換算したたわみ量を変形量としている。 焼成変形量=たわみ量測定値×(焼成後の焼成体テスト
ピースの厚み)/10
【0031】再加熱時の変形量は、幅25mm、厚み5
mm、長さ230mmの焼成体テストピース(焼成素
地)をスパン200mmの2点で支持し、1000℃ま
で4時間で昇温し、さらに1200℃まで2時間で昇温
し、1200℃で1時間保持した後、室温まで自然冷却
したときの焼成体テストピースのたわみ量を再加熱時の
変形量とした。ただし、焼成体テストピースの厚みが5
mmになっていない場合については、たわみ量は焼成体
テストピースの厚みに反比例するので、補正した値を再
加熱時の変形量とする。その補正方法は、2種類の異な
る厚みの焼成体テストピースで再加熱時の変形量を実測
し、次式でnを算出し、さらに焼成体テストピースの厚
みが5mmのときの再加熱時の変形量を求める。 変形量2=変形量1×(厚み1/厚み2) 変形量1:厚み1の焼成体テストピースでの再加熱時の
変形量 変形量2:厚み2の焼成体テストピースでの再加熱時の
変形量 n:補正のための係数
【0032】嵩密度は、アルキメデス法により測定し
た。幅25mm、厚み5mm、長さ20mmの焼成体テ
ストピース(焼成素地)を105℃で24時間乾燥した
後、焼成体テストピースが吸湿しない環境下で室温まで
冷却し、質量W1を測定する。次に焼成体テストピース
を真空中に1時間保って、気泡を放出させる。さらに同
環境下において、焼成体テストピースを水中に1時間保
った後、常温に戻す。次に、この焼成体テストピースを
水中に細い糸で自由に吊るしたまま秤量し、質量W2を
測定する。その後、これを水中から取出し、絞った湿布
で手早く表面の水滴を拭い去り、直ちに質量W3を測定
する。嵩密度は水密度、W1、W2、W3から次式で求
める。 嵩密度=水密度×W1/(W3−W2)
【0033】耐貫入性は、150×150×12mm
のタイルを流し込み、一般的に衛生陶器に使用されるブ
リストル釉をスプレー法により施釉後、電気炉で100
0℃まで4時間、1200℃まで2時間で昇温し、12
00℃で1時間保持後、自然冷却するヒートカーブによ
り焼成したものをサンプルとした。次にJIS A 5
207に準拠したオートクレーブを使用した貫入試験を
実施し、試験体を赤インキに浸して、貫入の発生を目視
で評価した。
【0034】
【比較例】比較例1 素地自体のアルカリ金属酸化物量、アルカリ土類金属酸
化物量を極力減少させた調合である。比較例1の調合に
は、陶石、カオリン、カオリンシャモット、蛙目粘土、
チャイナクレーを素地原料として使用した。比較例1
は、素地のアルカリ金属酸化物の総量が0.9重量%で
あり、焼成収縮率は4.9%、変形量は4.0mmであ
り、曲げ強度は31.9MPaである。このように焼成
収縮率、変形量は小さいが、強度も低い。また、耐貫入
性評価ではオートクレーブ試験により貫入の発生が認め
られた。
【0035】比較例2 比較例1に、珪灰石を6wt%添加したものである。そ
の結果、焼成収縮率は3.5%、変形量は4.7mmで
あり、曲げ強度は60.2MPaと強度の向上が認めら
れたものの耐貫入性は不合格であった。
【0036】比較例3 比較例2と同様の方法で、比較例1に、ドロマイトを6
wt%添加したものである。その結果、焼成収縮率は
5.3%、変形量は5.4mmであり、収縮、変形は小
さいが、曲げ強度は43.2MPaであり、強度的には
小さく、また、耐貫入性も不合格であった。
【0037】実施例1 比較例1に、珪灰石6wt%、ドロマイト3wt%添加
したものである。その結果、焼成収縮率は3.3%、変
形量は4.8mmと最も小さな値となり、且つ、曲げ強
度は66.7MPaと大幅に向上している。さらに耐貫
入性も良好な結果を示した。
【0038】実施例2 実施例1においてドロマイトを9wt%に増加させたも
のである。その結果、焼成収縮率は4.3%、変形量は
5.2mmと収縮、変形が若干大きくなったものの、曲
げ強度は70.4MPaと大幅に向上する。このよう
に、CaO成分とMgO成分を組み合わせて添加するこ
とにより、焼成収縮、焼成変形が小さな状態で十分な機
械的強度を保持しつつ、耐貫入性にも優れる衛生陶器を
得ることができる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、素地の焼成収縮、変形
を極力抑えつつ、十分な機械的強度を保持し、且つ、経
年貫入の発生しない衛生陶器を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例の素地組成及び含有
量を示す。
【図2】本発明の実施例及び比較例の物性値を示す。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陶磁器素地と、前記素地上の必要な部分
    に釉薬層が形成されてなる衛生陶器であって、 前記素地を構成する主成分の組成がSiO:45〜7
    0重量%、Al:25〜50重量%であり、 前記素地中には、更にアルカリ金属酸化物及びアルカリ
    土類金属酸化物が併せて10重量%以下含有されてお
    り、 前記素地中におけるアルカリ金属酸化物量は2重量%以
    下であり、 アルカリ土類金属酸化物のうちの必須成分としてCaO
    とMgOとを含有しており、CaOとMgOとの合計量
    に対してMgOが20重量%以上であることを特徴とす
    る衛生陶器。
  2. 【請求項2】 前記素地中における前記アルカリ土類金
    属酸化物のうちMgOは1重量%以上であることを特徴
    とする請求項1に記載の衛生陶器。
  3. 【請求項3】 前記CaOを含有する素地原料は珪灰
    石、石灰石、灰長石のいずれかであり、前記MgOを含
    有する素地原料はドロマイト、マグネサイト、カンラン
    岩、蛇紋岩、滑石、マグネシウムクリンカーのいづれか
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれ
    かに記載の衛生陶器。
  4. 【請求項4】 前記素地には、更に、結晶として石英、
    クリストバライト、ムライト、コランダムからなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種の鉱物が含有されていること
    を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の衛
    生陶器。
  5. 【請求項5】 前記素地中における結晶のうち石英は2
    0重量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の
    衛生陶器。
  6. 【請求項6】 前記素地により作製した長さ130m
    m、φ14の焼成体テストピースを、オートグラフによ
    りスパン100mm、クロスヘッドスピード2.5mm
    /minの条件で、3点曲げ試験したときに算出される
    曲げ強度が50MPa以上であることを特徴とする請求
    項1〜請求項5のいずれかに記載の衛生陶器。
  7. 【請求項7】 前記素地により作製した幅25mm、厚
    み5mm、長さ230mmの成形体テストピースを、ス
    パン200mmの2点で支持し、1000℃まで4時間
    で昇温し、更に1200℃まで2時間で昇温し、120
    0℃で1時間保持した後、室温まで自然冷却したときの
    焼成体テストピースのたわみ量が10mm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    衛生陶器。
  8. 【請求項8】 前記焼成体テストピースをスパン200
    mmの2点で支持し、1000℃まで4時間で昇温し、
    更に1200℃まで2時間で昇温し、1200℃で1時
    間保持した後、室温まで自然冷却したときの再加熱焼成
    体テストピースのたわみ量が5mm以下であることを特
    徴とする請求項7に記載の衛生陶器。
  9. 【請求項9】 前記素地により作製した幅25mm、厚
    み5mm、長さ230mmの成形体テストピースを、1
    000℃まで4時間で昇温し、更に1200℃まで2時
    間で昇温し、1200℃で1時間保持した後、室温まで
    自然冷却したときの焼成体テストピースの長手方向の焼
    成収縮率が8%以下であることを特徴とする請求項6〜
    請求項8のいずれかに記載の衛生陶器。
  10. 【請求項10】 前記焼成体テストピースの長手方向の
    線熱膨張係数が90×10−7/℃以下であることを特
    徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の衛生陶
    器。
  11. 【請求項11】 前記焼成体テストピースの嵩密度が
    2.1g/cm以下であることを特徴とする請求項6
    〜請求項10のいずれかに記載の衛生陶器。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11に記載の衛生陶器であ
    って、SiO、Alを主成分とする窯業原料
    と、CaO、MgOのアルカリ土類金属酸化物を含有す
    る鉱物とを混合し、粒度調整を行うことにより素地原料
    を作製する素地調製工程と、前記素地原料により成形素
    地を形成する成形工程と、前記成形素地上の必要な部分
    に釉薬を適用する施釉工程と、焼成工程とを含む工程に
    より作製可能な衛生陶器。
  13. 【請求項13】 前記素地調製工程における素地原料の
    レーザー回折式粒度測定器により測定する平均粒子径が
    1〜20μm、好ましくは5〜10μmであることを特
    徴とする請求項12に記載の衛生陶器。
  14. 【請求項14】 前記成形工程における成形方法が泥漿
    鋳込み成形であることを特徴とする請求項12記載の衛
    生陶器。
  15. 【請求項15】 前記焼成工程における焼成温度が11
    00℃〜1300℃であることを特徴とする請求項12
    に記載の衛生陶器。
  16. 【請求項16】 前記衛生陶器は、洗面器、小便器、大
    便器、ベビーバス、手洗器、便器タンク、便器サナ、流
    し、シャワーパンのいずれかであることを特徴とする請
    求項1〜請求項15のいずれかに記載の衛生陶器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006506255A (ja) * 2002-11-15 2006-02-23 サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク(セーエヌエールエス) 加圧鋳込みによるセラミック物品の製造方法
JP2015091744A (ja) * 2013-09-30 2015-05-14 Toto株式会社 大型セラミック板およびその製造方法
US12031312B2 (en) 2020-03-31 2024-07-09 Toto Ltd. Sanitary ware

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