JP6294326B2 - 照明ガラスパネル - Google Patents

Description

本発明は、指向性方式で発光することが可能な照明グレージング材、特に自動車グレージング材に関する。

発光ダイオードモジュール（ＬＥＤモジュール）を単一シートのグレージング材又は積層グレージング材の端部に組み入れて、ＬＥＤにより放射された光がガラス板のへりを通って入り、光抽出手段とも呼ばれる拡散要素まで導かれるようにすることは、既知の手法である。

これらの照明グレージング材は、多くの場合、周囲を照明する機能を有する。実際のところ、光抽出手段は、照明で照らされたシートから抽出した光を全ての方向に無差別に拡散する。しかし、場合によっては、抽出光の拡散角度を制限するのが望ましいことがあり、あるいは必要なことさえある。例えば、建築分野において特定の装飾要素をその最良の効果を示すために照明することが求められる場合がそうであり、あるいは、自動車分野において車室の搭乗者の直ぐ近くの領域を、他の搭乗者、特に運転者の邪魔にならずに照明することが求められる場合がそうである。

もちろん、照らされたシートの拡散要素に近接した面の一つに固定した偏向器により、導波シートから抽出された拡散光を特定の方向に向けることを考えることが可能である。しかし、そのような解決策は、不透明であるそのような偏向器がグレージング材から突き出し、グレージング材の平面性と光源がオフにされたときのその透明性の印象を有意に傷つけるので、美的観点から満足できない。

本発明は、拡散光の抽出手段に代えて、グレージング材の端部に固定した面取りしたへりを含む平たい導波体を用いるという考えに基礎を置くものである。この面取りしたへりは、それと反対側のへりを通して注入された光を受け取ると、それを偏向させることによって反射する。これに起因する導波体の主面における入射角の減少が、光が導波体を出ていくのを可能にする。面取りしたへりによるこの反射の大部分が正反射タイプのものである場合、それは光を非常に広い角度で拡散させるよりも、それを特定の方向に向けるのを可能にする。

ドイツ国特許出願公開第１０２００７０１３６２７号明細書には、自動車の車室を照明するためのランプが開示されている。このランプは、光放射器（５）、受光器（１３）及び平たい導波体を含む作動システム（３）に連結された光源（２）を含む。車室は光放射器とは別の光源により直接照らされるのに対し、光放射器からの放射線を受け取る平たい導波体は作動システムの一部を構成する。

ドイツ国特許出願公開第１０２００７０１３６２７号明細書

特許文献１の光放射器によって導波体に注入される放射線は、人の目には見えない、例えば赤外線などの、波長範囲にあるものと合理的に見なすことができる。実際のところ、可視放射線が作動システムの構成部品によって車室の内部に向けて連続して放射されることは、望ましくない。

本発明の対象は、
・第１の主面、第２の主面、及びへりを有する、透明なガラス又はプラスチックのシート、
・第１の主面、第２の主面、注入用のへり、及び注入用のへりの反対側の面取りしたへりを有する、平たい導波体、
・平たい導波体の注入用のへりに面して配置されていて、それに少なくとも３５ルーメン（ｌｍ）の光束を注入するのに十分な能力を有する光源、好ましくは発光ダイオードモジュール（ＬＥＤモジュール）、
を含み、平たい導波体がその第２の主面を介してガラスシートの第１の主面に固定されているグレージング材、好ましくは自動車グレージング材である。

本発明の光源は、およそ４００ｎｍと７８０ｎｍの間の波長範囲の人の目に見える光を放射する。

この光源は、好ましくは、少なくとも５５ルーメン、特に少なくとも１００ルーメン、理想的には少なくとも２００ルーメンの光束を放射することができる。この光束は、導波体の有効性（出力側の光束／入力側の光束）が低い場合には一層大きくすべきである。それは、伝送される光学経路の長さ、材料の透明性、及び光源と導波体との連結の特質に応じて変動し、一般には２０〜３０％程度である。

十分な照明のためには、導波体の出力側の光束は少なくとも１０ルーメン、好ましくは１２ルーメンと４０ルーメンの間、特に１５ルーメンと３０ルーメンの間であるべきである。

本発明のグレージング材のガラス又はプラスチックのシートと導波体は、おのおの、本質的に互いに平行な２つの主面を有する。車室又は建物の内側に向けることを意図する面を、以下では「第１の主面」と称し、建物又は車両の車室の外側に向けようとする面を、以下では「第２の主面」と称する。

導波体はガラスのシートに、その第２の主面をガラスのシートの第１の主面の方に向けるようにして固定される。

平たい導波体はガラス又はプラスチックのシートに、その主平面がシートの主平面と実質的に平行になるようにして固定されるのが好ましい。この固定は、例えば、接着剤で接着して行うことができ、さもなければシートの端部と導波体の端部をクランプする装置により又は封入により一緒に保持してもよい。接着に用いる接着剤は、透明であるのが好ましく、そして導波体よりも小さい屈折率を示す。

導波体の面取りは、鋭角（α）が導波体のへりと第１の主面とにより形成される角度に相当するようなものである。言い換えれば、面取りの先端はシートの第１の主面と接触しない（図１参照）。

導波体の面取りしたへりと第１の主面とにより形成される鋭角（α）の値は、１０°と８０°の間であり、好ましくは２０°と６０°の間、特に２５°と５５°の間である。導波体がガラスのシートの平面と平行である場合、この角度αは、導波体の面取りしたへりがガラスのシートの第１の主面と形成する角度α’に等しい。

１つの実施形態では、導波体の面取りしたへりを反射コーティングで被覆する。

とは言え、本発明が追求する技術的効果は、そのような反射コーティングなしでも、それほどではないにせよやはり達成される。実際のところ、空気の屈折率は実質的に１に等しく、導波体の屈折率は１より有意に大きいので、導波体の内部から面取りしたへりに所定の値θ₁よりも大きい入射角θで到達するいずれの光線も当該へりにより反射される（スネル−デカルトの法則）。しかし、面取りしたへりに反射コーティングがない結果として、光の一定部分の屈折が生じて（θ＜θ₁）、それが目標とされた新たな方向へ失われることになる。この屈折する部分は、導波体の主平面に対して面取りしたへりにより形成される角度の値に依存し、面取り部がより鋭角になればなるほど、すなわち角度αが小さくなればなるほど、屈折により失われる光の部分は少なくなり、面取りしたへりに存在する反射コーティングの有用性が少なくなる。

反射コーティングは金属コーティングであるのが好ましい。この金属コーティングが導波光に対して不透明となるのに十分厚い場合には、その存在が屈折による光の損失をなくし、従って反射される光の部分を最大にする。反射力の大きい金属を使用するのが好ましく、例えば銀、ニッケル、クロム、鉄、銅及び／又はアルミニウムに基づく層を使用するのが好ましい。

１つの実施形態では、面取りしたへりの表面を覆うこの反射コーティングは、平たい導波体の第２の主面の少なくとも一部も覆って延在する。

面取りしたへりは、注入用のへりを通して注入されて導波体により導かれる光の反射の大部分が鏡面反射となるのに十分小さい粗さを有するのが好ましい。

１つの実施形態では、面取りしたへりは凸型又は凹型の曲率を有することができ、あるいはまたフレネルレンズタイプの、任意選択的にそのような曲率に相当する、表面構造を有することができる。単一の曲率を有する面取りしたへりは、反射光を焦点に集中させあるいは分散させるのを有利に可能にする。

平たい導波体は、基本的に、光吸収率の小さい任意の材料で製作することができる。挙げることができる好ましい透明材料には、無機ガラス、又はプラスチック材料、特にポリカーボネート（ＰＣ）、ポリ（メチルメタクリレート）（ＰＭＭＡ）もしくはシクロオレフィンコポリマー（ＣＯＣ）が含まれる。

平たい導波体は、第１のシートの外周の近くに、好ましくは注入用のへりがガラスのシートのへりと平行になるようにして、固定される付加構成要素である。

導波体の幅（注入用のへりと面取りしたへりの先端との間の距離）は、一般に、シートの寸法に比べてかなり制限される。本発明のグレージング材の主な利点の１つは、反射及び放出される前に導波体内で光が移動する光学経路が比較的短いことにある。それゆえ、導波体の幅は好ましくは３ｃｍと４０ｃｍの間であり、特に５ｃｍと３０ｃｍの間であり、理想的には７ｃｍと２０ｃｍの間である。

本発明のグレージング材の特に興味深い実施形態では、ガラス又はプラスチックのシートは着色した材料で製作され、導波体は無色の透明材料で製作される。

既に述べたように、平たい導波体の注入用のへりは、シートのへりに対して実質的に平行である。これらの２つのへりは、導波体の注入用のへりの近くでシートの第１の主面上にＬＥＤモジュールを固定するための、及び／又はグレージング材を車両の車体構造に接着するための、自由なストリップを残すように、互いに対してオフセットされるのが好ましい。

導波体の注入用のへりとシートのへりの間のこの自由なストリップは、幅が好ましくは１ｃｍと１０ｃｍの間であり、特に３ｃｍと８ｃｍの間である。

平たい導波体はまた、注入用のへりと面取りしたへりとの間に位置する１以上の拡散要素を含むこともできる。この拡散要素は、
・導波体の第１の主面に位置し（例えばつや消しした領域又は半透明の拡散用エナメルの層）、
・導波体の第２の主面に位置し（例えばつや消しした領域又は半透明の又は非半透明の拡散用エナメルの層）、又は、
・導波体の厚み内に位置する（例えば粒子あるいは繊維質の要素）、
ことができる。

このような拡散要素が存在することは、ＬＥＤから注入された光の一部を周囲を照明するために拡散させ、非拡散光の部分を面取りしたへりによって一層目標に向ける（正反射）のを可能にする。

本発明のもう一つの対象は、上述のグレージング材を含む車両、好ましくは自動車であり、当該照明グレージング材が車両の屋根の一部を形成するのが好ましい。

本発明によるグレージング材の端部の模式断面図である。

図１のグレージング材は、車両の内側に向けられる第１の主面１１、車両の外側に向けられる第２の主面１２、及びへり１３を有する、ガラスシート１を含んでいる。シート１の第１の主面１１には、やはり第１の主面３１、第２の主面３２、及びへり３３を有する、平たい導波体３が接着されている。導波体のへり３３とシートのへり１３は、実質的に互いに平行である。導波体３は、光の注入用のへり３３の反対側に面取りしたへり３４を有しいている。導波体の面取りしたへり３４と第１の主面３１とにより形成される鋭角αは、その面取りしたへりとガラスシートの第１の主面１１との間の角度α’に等しい。光源２が注入用のへり３３の直ぐ近くに、この光源により放射された光が注入用のへり３３を介して注入され、導波体３の第１の主面と第２の主面の間で案内されて、面取りしたへり３４により反射されるように、位置している。導波体と光源２は、グレージング材を車両の車体構造（図示せず）に接着するのを目的とする接着剤シール（図示せず）の適用のための領域９を残すようにして、ガラスシートに固定される。
本発明の代表的態様としては、以下を挙げることができる：
《態様１》
・第１の主面（１１）、第２の主面（１２）、及びへり（１３）を有する、透明なガラス又はプラスチックのシート（１）、
・第１の主面（３１）、第２の主面（３２）、注入用のへり（３３）、及び注入用のへりの反対側の面取りしたへり（３４）を有する、平たい導波体（３）、
・平たい導波体（３）の注入用のへり（３３）に面して配置されていて、それに少なくとも３５ルーメン（ｌｍ）の光束を注入するのに十分な能力を有する光源（２）、
を含み、平たい導波体（３）がその第２の主面（３２）を介してガラスのシート（１）の第１の主面（１１）に固定されているグレージング材。
《態様２》
前記光源（２）が少なくとも５５ルーメン、好ましくは少なくとも１００ルーメン、特に少なくとも２００ルーメンの光束を放射可能であることを特徴とする、態様１記載のグレージング材。
《態様３》
前記導波体の出力側での光束が少なくとも１０ルーメン、好ましくは１２ルーメンと４０ルーメンの間、特に１５ルーメンと３０ルーメンの間であることを特徴とする、態様１又は２記載のグレージング材。
《態様４》
前記面取りしたへり（３４）と前記導波体の第１の主面（３１）とで形成される鋭角（α）が１０°と８０°の間、好ましくは２０°と６０°の間、特に２５°と５５°の間であることを特徴とする、態様１〜３のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様５》
前記面取りしたへり（３４）が反射コーティング（３５）で覆われていることを特徴とする、態様１〜４のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様６》
前記反射コーティング（３５）が金属コーティングであり、好ましくは銀、ニッケル、クロム、鉄、銅及び／又はアルミニウムに基づく層であることを特徴とする、態様５記載のグレージング材。
《態様７》
前記反射コーティング（３５）が前記平たい導波体（３）の第２の主面（３２）の少なくとも一部も覆って延在していることを特徴とする、態様５又は６記載のグレージング材。
《態様８》
前記面取りしたへり（３４）が凸型又は凹型の曲率を有し、あるいはフレネルレンズタイプの表面構造を有することを特徴とする、態様１〜７のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様９》
前記平たい導波体（３）がガラス又はプラスチック材料製であり、好ましくはポリカーボネート（ＰＣ）、ポリ（メチルメタクリレート）（ＰＭＭＡ）又はシクロオレフィンコポリマー（ＣＯＣ）製であることを特徴とする、態様１〜８のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様１０》
前記平たい導波体（３）の注入用のへり（３３）が前記シート（１）のへり（１３）に対して実質的に平行であることを特徴とする、態様１〜９のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様１１》
前記導波体（３）の前記注入用のへり（３３）と前記面取りしたへり（３４）の間において、前記第１の主面（３１）か、前記第２の主面（３２）か、又は厚み内に位置する、１以上の拡散要素（５）を更に含むことを特徴とする、態様１〜１０のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様１２》
自動車のグレージング材であることを特徴とする、態様１〜１１のいずれか１つに記載のグレージング材。
《態様１３》
態様１〜１２のいずれか１つに記載のグレージング材を含む車両、好ましくは自動車。
《態様１４》
前記グレージング材が当該車両の屋根の一部を形成していることを特徴とする、態様１３記載の車両。

Claims (17)

1. ・第１の主面（１１）、第２の主面（１２）、及びへり（１３）を有する、透明なガラス又はプラスチックのシート（１）、
   ・第１の主面（３１）、第２の主面（３２）、注入用のへり（３３）、及び注入用のへりの反対側の面取りしたへり（３４）を有する、平たい導波体（３）、
   ・平たい導波体（３）の注入用のへり（３３）に面して配置されていて、それに少なくとも３５ルーメン（ｌｍ）の光束を注入するのに十分な能力を有する光源（２）、
   を含み、
   平たい導波体（３）がその第２の主面（３２）を介してガラス又はプラスチックのシート（１）の第１の主面（１１）に固定されており、かつ
   平たい導波体の面取りしたへり（３４）と第１の主面（３１）とによって、鋭角（α）が形成されている、
   グレージング材。
2. 前記光源（２）が少なくとも５５ルーメンの光束を放射可能であることを特徴とする、請求項１記載のグレージング材。
3. 前記導波体の出力側での光束が少なくとも１０ルーメンであることを特徴とする、請求項１又は２記載のグレージング材。
4. 前記面取りしたへり（３４）と前記導波体の第１の主面（３１）とで形成される鋭角（α）が１０°と８０°の間であることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載のグレージング材。
5. 前記面取りしたへり（３４）が反射コーティング（３５）で覆われていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載のグレージング材。
6. 前記反射コーティング（３５）が金属コーティングであることを特徴とする、請求項５記載のグレージング材。
7. 前記反射コーティング（３５）が銀、ニッケル、クロム、鉄、銅及び／又はアルミニウムに基づく層であることを特徴とする、請求項５記載のグレージング材。
8. 前記反射コーティング（３５）が前記平たい導波体（３）の第２の主面（３２）の少なくとも一部も覆って延在していることを特徴とする、請求項５〜７のいずれか１項に記載のグレージング材。
9. 前記面取りしたへり（３４）が凸型又は凹型の曲率を有し、あるいはフレネルレンズタイプの表面構造を有することを特徴とする、請求項１〜８のいずれか１項に記載のグレージング材。
10. 前記平たい導波体（３）がガラス又はプラスチック材料製であることを特徴とする、請求項１〜９のいずれか１項に記載のグレージング材。
11. 前記平たい導波体（３）がポリカーボネート（ＰＣ）、ポリ（メチルメタクリレート）（ＰＭＭＡ）又はシクロオレフィンコポリマー（ＣＯＣ）製であることを特徴とする、請求項１〜９のいずれか１項に記載のグレージング材。
12. 前記平たい導波体（３）の注入用のへり（３３）が前記シート（１）のへり（１３）に対して実質的に平行であることを特徴とする、請求項１〜１１のいずれか１項に記載のグレージング材。
13. 前記導波体（３）の前記注入用のへり（３３）と前記面取りしたへり（３４）の間において、前記第１の主面（３１）か、前記第２の主面（３２）か、又は厚み内に位置する、１以上の拡散要素（５）を更に含むことを特徴とする、請求項１〜１２のいずれか１項に記載のグレージング材。
14. 自動車のグレージング材であることを特徴とする、請求項１〜１３のいずれか１項に記載のグレージング材。
15. 請求項１〜１４のいずれか１項に記載のグレージング材を含む車両。
16. 当該車両が自動車である、請求項１５に記載の車両。
17. 前記グレージング材が当該車両の屋根の一部を形成していることを特徴とする、請求項１５又は１６記載の車両。

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