JP6293233B2 - 精錬装置及び精錬方法 - Google Patents
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Description
真空脱ガス装置は、例えば、特許文献1に開示されているように、溶融された鋼が入れられる取鍋と、取鍋の上側に設けられて鋼の脱ガス処理に供され、内部に鋼を還流させる真空槽と、真空槽の下部に取り付けられて鋼に浸積される一対の浸積管と、を備える。
真空脱ガス装置において鋼を脱ガス処理を施す間に、取鍋に入れられた鋼は浸積管よりも低い個所において浸積管に出入しながら還流される。このため、浸積管よりも高い個所において鋼が局部的に渋滞して浸積管に流入できないという難点がある。特に、浸積管よりも高い位置で浸積管から遠く離れている個所には、デッドゾーン(Dead zone)と呼ばれる鋼の還流速度が急激に下がる渋滞領域が形成される。
真空脱ガス装置において鋼の脱ガス処理を終えるまでに要する時間は、デッドゾーンの大きさに影響を受ける。例えば、デッドゾーンが大きくなるほど、鋼の成分均一化及び脱ガス処理の完了が遅くなる。すなわち、鋼の精錬操業の生産性の向上のために、デッドゾーンを減らしたり、デッドゾーンが形成されることを防いだりしなければならない。
したがって、デッドゾーンを減らしたり、デッドゾーンの発生を防いだりして操業の生産性を向上させる新たな方策が求められている。
流動制御部は、複数本の浸積管のうちのいずれか一本の浸積管に近い一方の側から上向きに傾くように形成されることが好ましい。
流動制御部は、容器の中心部に回転対称となるように容器の内周面の複数の個所にそれぞれ形成されることがよい。
容器の外径の大きさを1としたとき、流動制御部は、容器の内周面から0.03〜0.10の厚さで突出することが好ましい。
流動制御部は、容器の内周面から150mm〜250mmの厚さで突出することができる。
流動制御部は、容器の底面から2,000mm〜3,800mmの高さに形成されることがよい。
流動制御部は、複数本の浸積管のうちのいずれか一本の浸積管に近い容器の内周面の一方の側から45°離れた個所に上向きに傾くように形成されることができる。
容器の内部において溶鋼の一部を還流させる過程は、浸積管の端部よりも低い個所から高い個所に容器の内周面に沿って溶鋼の一部を還流させる過程を含むことがよい。
容器の内部において溶鋼の一部を還流させる過程は、容器の中心部に回転対称となるように溶鋼の一部を還流させる過程を含むことが好ましい。
例えば、製鉄所の真空脱ガス装置に適用される場合、耐火煉瓦を用いて取鍋の内壁に流動制御部を設け、これを用いて鋼の還流精錬の際に還流される鋼の流れの一部を制御して浸積管と溶湯面との間に鋼の流れを導くことができる。したがって、取鍋の内部にデッドゾーンが生成されることを抑制又は防止することができる。これにより、溶鋼の脱ガス処理が終わるまでかかる時間を効果的に短縮することができ、精錬済みの鋼の品質を向上させる効果を有する。
以下、一つの製鉄所の真空脱ガス装置を例として本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、各種の溶融物を還流させて処理する装置としても使用可能である。
図1及び図2に基づいて、本発明の精錬装置を説明する。
本発明の実施形態による精錬装置は、例えば、鋼Mを脱ガス処理するように設けられる精錬装置であり、真空槽10と、第1の浸積管20と、第2の浸積管30と、容器50及び流動制御部60を備える。
上部槽は、内部が下側に開放された構造の容器50である。上部槽は、例えば、約数torrの高真空条件下で使えるように外皮が鋼板材質により製作さる。上部槽の内部面は、耐火物材質の放熱板により保護されることがよい。上部槽は、内部に酸素が吹込み可能なように一方の側にランス(図示せず)が貫設される。上部槽は、内部に合金鉄が投入可能なように他方の側に合金鉄投入口が延設される。下部槽は、内部が上側に開放される構造の容器50である。下部槽は、上部槽の開放された下部に組み付けられる。下部槽は、高真空条件下で工程が行えるように外皮が鋼板材質により製作される。下部槽の内部面には、耐火物が構築されることがよい。下部槽の内部に鋼が還流されながら脱ガス処理される。
上昇管に流入する鋼M、例えば、溶鋼を下部槽に向かって上昇させるように、上昇管は、内部にアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスが噴射される。このために、上昇管には、一方の側に不活性ガスを供給するための供給管40が貫設される。
容器50、例えば、取鍋(ladle)は、真空槽10の下側に配設され、内部が上側に開放される。容器50には、外壁を形成して構造及び形状を維持する筒状の鉄皮が備えられる。鉄皮には、鉄皮の内側を取り囲む少なくとも一つの耐火物層が形成される。耐火物層は、耐火煉瓦などの定形耐火物、又は、キャスタブル耐火物又は耐火モルタルなどの不定形耐火物を用いて構築される。
流動制御部60は、例えば、耐火煉瓦により形成されてもよい。流動制御部60は、容器50の内側壁面に容器50の周に角度をもって突出施工されるか、或いは、容器50の内側壁面に螺旋状に突出施工される。ここでは、容器50の内部面に構築される耐火煉瓦と同じ材質の耐火煉瓦により施工された流動制御部60を例示する。この場合、流動制御部60は、容器50の内周面の所定の高さにおいて少なくとも2つの耐火煉瓦が一つの段をなして、約6個の段を有するように容器50の内周面に手軽に施工される。
流動制御部60は、容器50の内周面の一部において水平面に対し傾きをもって形成される。流動制御部60は、このような形状にすることにより鋼の流れの一部を容器50の内周面に沿って所望の高さまで上昇させることができる。このとき、流動制御部60は、容器50の底面の中心部が対称点となるように容器50の内周面の複数の個所、例えば、2個所にそれぞれ形成されることがよい。そうすることにより流動制御部60により形成される上昇流は、一方の側に偏心されることなく、安定的な流動を示す。もちろん、流動制御部60は、容器50の内周面の3個所以上に放射状に等間隔で形成されてもよく、この場合、流動制御部60の形成角度や位置及び高さなどが後述する流動制御部60の構造から適切に変更・調節されることがよい。
流動制御部60は、浸積管に出入して流動する鋼の還流を用いて、鋼の渋滞領域側に上昇流を手軽に形成するために、浸積管よりも低い高さに形成される。ここで、容器50の底面から容器50の上部の先端までの高さを1としたとき、流動制御部60は、容器50の底面から0.25〜0.75の高さに形成されることがよい。例えば、容器50の底面から容器50の上部の先端までの高さが8000mmである場合、流動制御部60は、容器50の底面から2000mm〜6000mmの高さに形成される。より好ましくは、流動制御部60が容器50の底面から2000mm〜3800mmの高さに形成される。
流動制御部60の下限高さH1は、容器50の内周面に形成される耐火物層の物理的な浸食に対応する高さである。例えば、容器50の内部に溶融された鋼が受鋼されたとき、容器50の底面及び所定の高さの内周面においては、物理的な浸食が非常に強力に起こる。このような物理的な浸食が避けられる高さが、容器50の底面から上部の先端までの高さの1/4の個所に相当する高さ、例えば、約2000mmである。このため、流動制御部60を、容器50の底面から上部の先端までの高さの1/4の個所に相当する高さ、例えば、2000mmの高さから形成することにより、耐火物の寿命を向上させることできる。
流動制御部60は、容器50の外径の大きさを1としたとき、0.03〜0.10の厚さに容器50の内周面から突設されることがよい。このとき、流動制御部60の開始点、例えば、下側端部と、終点、例えば、上側端部との間において選択される所定の高さを基準として、容器50の外径は、流動制御部60が設けられた高さにおける容器50の外径である。例えば、流動制御部60が設けられた高さにおける容器50の外径の大きさが2500mmであれば、流動制御部60は、容器50の内周面から75mm〜250mmの厚さに突出されることが好ましい。
流動制御部60が容器50の内周面から250mm以上に突出された場合、容器50の内部容積が小さくなって、容器50の内部に所望の容積を確保し難いという問題がある。流動制御部60が容器50の内周面から250mm未満に突出することにより、精錬操業に必要な鋼の容積を確保することができる。
例えば、流動制御部60がいずれか一本の浸積管に近い容器50の内周面上の一点から45°を超える個所に上向きに傾くように形成されて上述した浸積管に近い容器50の内周面上の一点から65°を超える個所まで形成される場合、流動制御部60により誘導される鋼の上昇流の終点が浸積管に近い容器50の内周面の一方の側から容器50の内周面の周方向に90°離れる容器50の内周面の他方の側を逸脱して形成される。
ここで、浸積管に近い容器50の内周面の一方の側から容器50の内周面の周方向に90°離れる容器50の内周面の他方の側は、鋼の還流がほとんど起こらないため鋼が渋滞する渋滞領域、所謂、デッドゾーンになり易い個所である。
すなわち、本発明の実施形態においては、流動制御部60がいずれか一本の浸積管に近い容器50の内周面の一方の側から45°離れた個所に上向きに傾くように設けられると、上述した浸積管に近い容器50の内周面の一方の側から60°〜65°離れた個所まで形成されるため、容器50の内部の渋滞領域、すなわち、デッドゾーンに鋼の上昇流の終点を位置させることが好ましい。これにより、容器50の上部の局部位置、例えば、デッドゾーンに鋼の流れが渋滞することを抑制又は防止することができる。
図1から図3を基にして、本発明の実施形態による精錬装置が適用される精錬方法について説明する。
まず、容器50の内部に溶融された鋼M、例えば、溶鋼を受鋼して設け、容器50を運んで真空槽10の下側に位置させる。
次いで、容器50を上昇、又は、真空槽10を下降させ、真空槽10の下部に取り付けられた浸積管を鋼に浸積させて容器50と真空槽10を組み合わせる。
次いで、真空槽10の内部を減圧して鋼を真空槽10の内側に流入させ、上昇管の内部に不活性ガスを注入して鋼を還流させる。鋼は、真空槽10の内部を還流する間に真空槽10の内部の2torr以下の低圧雰囲気下で脱ガス処理されてもよい。このとき、除去されるガスは、主に一酸化炭素、水素及び窒素ガスである。
このため、本発明の実施形態においては、流動制御部60を容器50内に設けて鋼の流動方向を適切に制御することにより、デッドゾーンの最小化又はデッドゾーンの生成の防止を図ることができる。
鋼を還流させる過程と同時に(又は、鋼を還流させる過程とともに)、容器50の内部において鋼の一部が上昇するように誘導してデッドゾーンに還流させる。具体的には、流動制御部60を用いて、浸積管の端部よりも低い個所から高い個所に向かって容器50の内周面に沿って鋼Mの流れの一部を上昇させて還流させる。一方、鋼の上昇流の流れは、容器50の底面中心部に回転対称となるように形成される。これにより、容器50の内部において鋼が局部的に渋滞してデッドゾーンに形成されることが抑制又は防止される。
このように、本発明の実施形態においては、容器50及び真空槽10に渡って形成される鋼の主還流の流れとは別途に容器50の内部に鋼の上昇流を補助的に形成することにより、容器50の内部に形成されるデッドゾーンの面積をかなり狭めることができる。実際に、鋼の脱ガス処理を終えるためには、デッドゾーンに渋滞された鋼を攪拌して全体の鋼を漏れなく脱ガス処理することが重要である。このために、本発明の実施形態においては、流動制御部60を用いてデッドゾーンを最小化して、脱ガス処理の時間を短縮させ、その結果、全体の工程の生産性を向上させることができる。
20:第1の浸積管
30:第2の浸積管
40:供給管
50:容器
60:流動制御部
d:容器の内周面から突出した流動制御部の厚さ
H1:流動制御部の下限高さ
H2:流動制御部の上限高さ
M:綱
θ1:流動制御部の開始点の角度
θ2:流動制御部の終点の角度
Claims (11)
- 内部に減圧可能な空間を有する真空槽と、
前記真空槽の下部に取り付けられて前記真空槽と連通される複数本の浸積管と、
前記真空槽の下側に配設され、内部が上側に開放される容器と、
前記容器の内周面に突設される流動制御部と、
を備え、
前記流動制御部は、前記容器の内周面の一部を取り囲んで周方向に傾くように形成されることを特徴とする精錬装置。 - 前記流動制御部は、前記複数本の浸積管のうちのいずれか一本の浸積管に近い一方の側から上向きに傾くように形成されることを特徴とする請求項1に記載の精錬装置。
- 前記流動制御部は、前記容器の底面の中心部が回転対称の対称点となるように前記容器の内周面の複数の個所にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1に記載の精錬装置。
- 前記流動制御部は、前記浸積管よりも低い高さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の精錬装置。
- 前記容器の外径の大きさを1としたとき、
前記流動制御部は、前記容器の内周面から0.03〜0.10の厚さで突出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の精錬装置。 - 前記容器の底面から上部の先端までの高さを1としたとき、
前記流動制御部は、前記容器の底面から0.25〜0.75の高さに形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の精錬装置。 - 前記流動制御部は、前記複数本の浸積管のうちのいずれか一本の浸積管に近い前記容器の内周面の一方の側から45°離れた個所に上向きに傾くように形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の精錬装置。
- 鋼を精錬する方法であって、
溶鋼が受鋼された容器を真空槽の下側に位置させる過程と、
前記容器と真空槽を組み合わせる過程と、
前記真空槽の内部を減圧して前記溶鋼を還流させながら前記溶鋼からガス成分を取り除く過程と、
前記容器の上部に形成される渋滞領域に前記溶鋼の流れの一部を導くように、前記容器の内周面の一部を取り囲んで周方向に傾くように形成された流動制御部を用いて、前記容器の内部において前記溶鋼の一部を還流させる過程と、
を含むことを特徴とする精錬方法。 - 前記容器と真空槽を組み合わせる過程は、前記真空槽の下部に取り付けられた浸積管を前記溶鋼に浸積させる過程を含むことを特徴とする請求項8に記載の精錬方法。
- 前記容器の内部において前記溶鋼の一部を還流させる過程は、
前記浸積管の端部よりも低い個所から高い個所に前記容器の内周面に沿って前記溶鋼の一部を還流させる過程を含むことを特徴とする請求項9に記載の精錬方法。 - 前記容器の内部において前記溶鋼の一部を還流させる過程は、
前記容器の底面の中心部が回転対称の対称点となるように前記容器の内周面に沿って前記溶鋼の一部を還流させる過程を含むことを特徴とする請求項10に記載の精錬方法。
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