JP6841386B2 - 鋼の連続鋳造開始方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造開始方法、特に鋳型への注湯開始に先立つタンディッシュ内雰囲気ガスの適正な置換処理を経て、連続鋳造を開始する方法に関する。
近年、鉄鋼材料の品質や特性については、要求が年々に高くなっており、より清浄性の高い鋼を製造するための技術が求められている。とくに、鉄鋼材料中の非金属介在物(以下、「介在物」という)は品質や特性に大きく影響するため、その低減が求められている。鋼中に存在する介在物としては、硫化物や窒化物等もあるが、大半は製鋼プロセスの脱酸過程において生成する酸化物である。
そのため、従来、脱酸過程において生成する介在物を除去するため、二次精錬プロセスにおける様々な技術開発がなされてきた。その結果、軸受鋼に代表されるような高い清浄性が求められる材料においても、シングルppm程度の鋼中酸素レベルのものが安定的に製造できるようになってきた。
一方で、二次精錬後の溶鋼は、連続鋳造鋳型に分注するためのタンディッシュを通過させるが、溶鋼注入前のタンディッシュ内に大気が存在していると、注入された溶鋼と大気中の酸素と反応して酸化物系の介在物を生成するため、二次精錬時に鋼中介在物を低減させたにも拘わらず、タンディッシュにおいて再び汚染されてしまうという問題があった。
このような問題に対して、従来、特許文献1では、タンディッシュ内を不活性ガスでパージし、該タンディッシュ内の酸素濃度が1vol%以下になった時点で、タンディッシュへの溶鋼注入を開始する方法を提案している。
特許3642284(特開2002−254148号公報)
しかしながら、上記従来技術には次のような問題点があった。それは、特許文献1に開示の技術では、タンディッシュ内の酸素濃度を1vol%まで下げる具体的な方法が不明確であり、不活性ガスの流量やその際のタンディッシュの形態によっては、雰囲気中酸素濃度を下げるのに長時間を要し、操業効率が悪いという問題があった。
本発明は、従来技術が抱えている上記の問題に鑑みて開発したものであって、その目的とするところは、連続鋳造工程における溶鋼注入前のタンディッシュ内雰囲気中の酸素濃度を効率的にかつ簡便に低減させることのできる方法を提案することにある。
上記課題を解決するために開発した本発明に係る方法は、
溶鋼を保持する取鍋と溶鋼の連続鋳造鋳型との間に介在させるタンディッシュ内に溶鋼を注入するに当たり、注入開始前の該タンディッシュ内雰囲気中ガスの置換を通じて雰囲気中酸素濃度を低減させた状態で溶鋼の注入を行って連続鋳造を開始するのに際し、
該タンディッシュの蓋に、取鍋からの溶鋼注入用孔の他に、該タンディッシュ内雰囲気ガス置換のための、1以上のガス排出用孔を設け、前記溶鋼注入用孔と前記ガス排出用孔との距離Lを下記(1)式を満足するように配置するとともに、前記溶鋼注入用孔周りに設置した1つ以上の供給管から前記タンディッシュ内空間に、雰囲気置換用不活性ガスを前記ガス排出用孔の総面積Aおよびタンディッシュ内体積Vに対して流量Qが下記(2)式を満足するように供給することを特徴とする、鋼の連続鋳造開始方法である。

W/4≦L≦2W/3 ・・・(1)
2.0≦Q/(A・V) ・・・(2)
ただし、
W:タンディッシュ長辺の内法長さ(m)、
L:溶鋼注入用孔中心と雰囲気置換ガスのガス排出用孔中心との最短距離(m)、
Q:雰囲気置換用不活性ガスの単位時間あたりの合計吹き込み流量(Nm/min)、
A:ガス排出用孔の総面積(m
V:タンディッシュ内体積(m)。
なお、本発明に係る上記の方法については、さらに、タンディッシュの蓋に設けた前記溶鋼注入用孔の中心から雰囲気置換ガスのガス排出用孔中心との最短距離を上記(1)式の範囲を満たすLで表すとき、2L/3以内の範囲で、該タンディッシュの蓋の溶鋼注入用孔に沿うその周りから吹き込む不活性ガスとは別に、少なくとも1箇所以上の位置から不活性ガスの吹き込みを行うと共に、該不活性ガス吹き込み角度を前記ガス排出用孔へ向かって10〜80°の傾きをもって吹き込むこと、がより好ましい実施の形態となり得る。
さらに、本発明に係る上記の方法については、タンディッシュ雰囲気中酸素濃度が、下記(3)式を満たした時点以降で、取鍋内溶鋼をタンディッシュへ注入開始することがより好ましい実施の形態となり得る。

0.3×M/V≧(O) ・・・(3)
M:タンディッシュ内満杯時溶鋼量(ton)
V:タンディッシュ内体積(m
(O):タンディッシュ雰囲気中酸素濃度(vol%)
前記のような構成を有する本発明に係る鋼の連続鋳造開始方法によれば、タンディッシュの蓋に設けた雰囲気置換ガスのガス排出用孔の設置位置やガス排出用孔の総面積、不活性ガスの吹き込み角度等を適切に制御するようにしたことで、再酸化による溶鋼の汚染を効果的に防ぐことができ、とくに高清浄鋼の連続鋳造などに対して極めて有効な方法を提供することができる。
(a),(b),(c),(d)はタンディッシュ形態例を示す略線図である。 タンディッシュの部分横断面図である。 不活性ガス吹込み角度を説明するためのタンディッシュの略線図である。
発明者らは、図1に示すような種々の形態(a)〜(d)のタンディッシュ1について、連続鋳造に先立つ処理として、該タンディッシュ1内に雰囲気置換用ガスとして予め不活性ガスの吹き込みを行うことによって、再酸化による溶鋼の汚染を防ぐための好ましい方法について調査した。図2、図3は、この実験の前提として用いたタンディッシュの仕様(I型)を示すものである。これら種々のタンディッシュにおいて、ガス用のサンプリング孔を設置し、振動式吸引ポンプと電気化学式酸素センサーを用いたガス中酸素濃度計によりタンディッシュ雰囲気中酸素濃度の計測を行った。なお、この検討の段階において、発明者らは、タンディッシュ1内の雰囲気置換ガスのためのガス排出用孔3の有無、その大きさや設置位置、置換用不活性ガスの吹き込み角度や吹き込み流量によって、タンディッシュ1内雰囲気中の酸素濃度を低濃度にするための置換時間が変化することを確認した。タンディッシュ内雰囲気置換のための不活性ガスとしては、アルゴンガスや窒素ガス等を用いることができる。
なお、タンディッシュ1内に介在物浮上促進のための溶鋼流動制御用の堰を設置してもよいが、特にタンディッシュ蓋1tから下方に向かって堰板6を設置する場合は、タンディッシュ1内の溶鋼の貯留量が増して堰板6の下端が溶鋼に浸漬した状態になっても、タンディッシュ1内のガスの流れを阻害しないように、該堰板6とタンディッシュ蓋1tの間には、該堰板6の前後のタンディッシュ1内空間を連通するように少なくとも一部に間隙を設けることが望ましい。
このときの発明者が行った実験によると、雰囲気置換用に用いる不活性ガスを単に吹き込むだけで、もしそのガスを適正に排出するためのガス排出用孔を設けなければ、吹き込んだ不活性ガス等がタンディッシュ1内に滞留したままとなり、やがて溶鋼注入用孔2から排出されることになり、その結果として、タンディッシュ1内ではガスの予期しない動きや滞留が起こり、酸素濃度の低下が却って進まなくなり、雰囲気置換に長い時間を要するという結果を招くことが分かった。
これに対し、タンディッシュ蓋1tの適所に雰囲気置換ガス排出のためのガス排出用孔3を設けること、即ちタンディッシュの蓋1tに下記(1)式を満足する条件の位置に、そのガス排出用孔3を1以上設けると、雰囲気置換のための不活性ガスの吹き込み位置から前記ガス排出用孔3までのガスの流れを停滞させることなく一定方向へ向って安定した流れが形成されるようになり、タンディッシュ内雰囲気を短時間のうちに低酸素濃度へと置換させることができることが分かった。
(数1)
W/4≦L≦2W/3 ・・・(1)
ここで、
Wは、タンディッシュ長辺の内法長さ(m)、
Lは、溶鋼注入用孔中心と雰囲気置換ガスのガス排出用孔中心との最短距離(m)。
なお、溶鋼注入用孔中心および雰囲気置換ガスのガス排出用孔中心とは、それぞれのタンディッシュ蓋開口部の水平面内形状における重心位置とする。
本発明において、上記(1)式の条件を外れる位置に雰囲気置換ガスのためのガス排出用孔3を設けた場合、即ち、L<W/4のときは、雰囲気置換用に吹き込んだ不活性ガスがタンディッシュ1の全域にまで届かず、前記ガス排出用孔3に向かう短絡的なガスの流れが多くなる。そのため、L≧W/4であることが好ましい。一方、L>2W/3のときは、雰囲気置換ガスを排出するためのガス排出用孔3の設置位置がタンディッシュ端部側(外側)になり、適切な開口面積を確保できないおそれがあるため、L≦2W/3であることが好ましい。
また、本発明においては、タンディッシュ1内に吹き込む雰囲気置換用の不活性ガスの単位時間あたりの合計吹き込み流量についても制御することが有効である。即ち、溶鋼注入用孔周りに設置した1つ以上の供給管からタンディッシュ内へ供給される不活性ガスの単位時間あたりの吹き込み流量については、下記(2)式の条件を満たすようにすることが必要である。その理由は、鋳造前におけるタンディッシュ内の雰囲気置換、特に連々鋳時の取鍋交換のときには、時間が限られた中で効率よくガス置換を行う必要がある。即ち、大気雰囲気から低酸素濃度になるまでの雰囲気置換を、短時間とくに数分以内程度で行うためには、ガス排出用孔面積およびタンディッシュ内体積について、下記(2)式を満足するような単位時間あたりの不活性ガスの流量を、タンディッシュ内に供給する必要があるためである。もし、かかる(2)式の条件を外れて、Q/(A・V)<2.0になると、ガス排出用孔総面積およびタンディッシュ内体積に対して、雰囲気置換に用いる不活性ガスの流量が不足すると共に、ガス排出用孔における不活性ガスの流出速度が確保できなくなるため、大気の流入を招いてその影響が大きくなり、雰囲気置換が効率的に進まなくなる。
(数2)
2.0≦Q/(A・V) ・・・(2)
ここで、
Qは、雰囲気置換用不活性ガスの単位時間あたりの合計吹き込み流量(Nm/min)、
Aは、ガス排出用孔の総面積(m
Vは、タンディッシュ内体積(m)。
なお、NmのNは、ガスの標準状態を表す。
ここで、雰囲気置換用不活性ガスの合計吹き込み流量を限定する理由は、十分な雰囲気置換を実現するためには、Q/(A・V)≧2.0を満足することが必要であり、好ましくは、Q/(A・V)≧6.0であり、そのためには、後述する1つ以上の不活性ガス吹き込みパイプ4の適所設置が有効となる。
なお、雰囲気置換用不活性ガスのガス排出用孔3は、前記(1)式を満たしていれば、タンディッシュ蓋1tだけでなく、非常時に利用するオーバーフロー樋開口部5(図1(d))などで代用してもよい。この場合、前記Lは、溶鋼注入用孔2とオーバーフロー樋開口部5の距離を示す。また、実際のタンディッシュにおいては、蓋と蓋あるいは蓋とタンディッシュ鉄皮等との間に隙間が存在することがあるが、そのために大気流入が生じたり、吹き込んだ不活性ガスがその隙間から流出して、適正なガスフロー形成ができなかったりするため、本発明の効果を十分に得られない場合がある。そのため、耐熱シートや不定形耐火物による養生を鋳造前に実施しておくことが望ましい。前記オーバーフロー樋開口部5を排出用孔として用いない場合は、耐熱シート等で非常時に溶鋼流れを阻害しない程度に養生しておくことが望ましい。
次に、発明者らは、タンディッシュ1内部への不活性ガスの吹き込み方、とくに溶鋼注入用孔2に沿う不活性ガスの吹き込みとは別に設けた1つまたは複数の不活性ガス吹き込みパイプ4の吹き込み角度(θ)についても検討した。その結果、例えば、図2に示す例において、少なくとも一箇所から、雰囲気ガス(不活性ガス)のガス排出用孔3に向かって所定の傾斜を与えることにより、雰囲気中の酸素濃度をより効率的に低減させ得ることができた。ここで、不活性ガスの吹き込み角度θは、図3に示すように、不活性ガス吹き込み点aとガス排出用孔3の中心bを鉛直方向に通る平面において、直線a−bを基準としたガス排出用孔3へ向かう下向きの角度である。基本的には、不活性ガスの吹き込みは、下方に向けて吹き込むが、その一部についてはガス排出用孔3に向って10〜80°傾斜させることで、タンディッシュ1内におけるガスの流れに推進力が付与され、より効率的に雰囲気調整(ガスの置換)を行うことができるようになる。
このときの、前記吹き込みパイプ4からの不活性ガスの吹き込み角度を10〜80°傾斜させるようにした理由は、吹き込み角度が10°より小さい傾き(θ)では、吹き込んだガスがタンディッシュ1の蓋沿いを流れ、有効に作用しない。一方、その吹き込み角度が、80°より大きいと、ほぼ真下に向かって流れるため、こちらも推進力付与の観点からは有効でない。また、吹き込み位置によっては却って溶鋼注入用孔2の周りから吹き込んだ不活性ガスの流れを阻害するように作用するため、80°より小さい傾斜角に設定することが好ましい。
また、傾斜を付与した不活性ガス吹き込みパイプ4の位置は、タンディッシュ蓋1tの溶鋼注入用孔2の中心と雰囲気置換ガスのガス排出用孔3の中心との最短距離をLとするとき、溶鋼注入用孔2の中心から2L/3以内の範囲に設置することが望ましい。もし、その設置箇所が、2L/3より大きくなると、溶鋼注入用孔2のまわりからの不活性吹き込みパイプ4’を介して吹き込んだ不活性ガスに推進力を付与する前にガス排出用孔3から排出されてしまうため、期待する効果が得られない。
したがって、タンディッシュ蓋1tの溶鋼注入用孔2の中心から2L/3以内の範囲において、該溶鋼注入用孔2のまわりから吹き込む不活性ガスとは別に、少なくとも1箇所以上から不活性ガス吹き込みパイプ4を通じて不活性ガスの吹き込みを行う。また、不活性ガス吹き込みの水平成分については、直線abに対して、左右に20°以内であれば、本発明の効果を得ることができる。
なお、前述の説明において、タンディッシュ蓋1tに設けた雰囲気置換ガスのガス排出用孔3の開口面積については特には定めないが、前記ガス排出用孔3の開口面積をπ(H/4)よりも大きくした場合、大気流入の影響が大きくなる。そのため、本発明をより効率的に実施するためには、該ガス排出用孔3の開口面積をπ(H/4)以下にするのがよい。ここで、Hはタンディッシュ短辺における内法長さ(m)である。このとき、タンディッシュ1に設けられた非常用のオーバーフロー樋を、前記ガス排出用孔3の1つとして用いる場合には、その開口面積がπ(H/4)以下であれば同様の効果を得ることが可能である。
さらに、種々の実験・検討の結果、溶鋼の再酸化量は、タンディッシュ中酸素濃度、満杯時のタンディッシュ中溶鋼重量、およびタンディッシュ内体積に影響を受けることを見出した。すなわち、タンディッシュへ取鍋内溶鋼を注入開始する際のタンディッシュ中酸素濃度が、下記(3)式を満足するとき、再酸化による溶鋼中酸素の増加を大きく低減でき、溶鋼中の酸素濃度増加量を1mass ppmより低位にすることが可能である。一方で、(3)式を満足しない場合、タンディッシュ雰囲気中酸素濃度の溶鋼への影響が大きくなり、再酸化による介在物が増加するおそれがある。
したがって、タンディッシュ雰囲気中酸素濃度が(3)式を満足した時点で、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入を開始するのが良い。
(数3)
0.3×M/V≧(O) ・・・(3)
M:タンディッシュ内満杯時溶鋼量(ton)
V:タンディッシュ内体積(m
(O):タンディッシュ雰囲気中酸素濃度(vol%)
ここで、「満杯」とは当該連続鋳造機の定常鋳込み中に、タンディッシュ内に収容している溶鋼量が最大の場合をいう。
さらに、種々の実験・検討の結果、溶鋼の再酸化量は、タンディッシュ中酸素濃度、満杯時のタンディッシュ中溶鋼重量、およびタンディッシュ内体積に影響を受けることを見出した。すなわち、タンディッシュへ取鍋内溶鋼を注入開始する際のタンディッシュ中酸素濃度が、下記(3)式を満足するとき、再酸化による溶鋼中酸素の増加を大きく低減でき、溶鋼中の酸素濃度増加量を1massppmより低位にすることが可能である。一方で、(3)式を満足しない場合、タンディッシュ雰囲気中酸素濃度の溶鋼への影響が大きくなり、再酸化による介在物が増加するおそれがある。
したがって、タンディッシュ雰囲気中酸素濃度が(3)式を満足した時点で、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入を開始するのが良い。
(数4)
0.3×M/V≧(O) ・・・(3)
M:タンディッシュ内満杯時溶鋼量(ton)
V:タンディッシュ内体積(m
(O):タンディッシュ雰囲気中酸素濃度(vol%)
以下に、本発明の実施例について比較例と対比して説明する。この実施例は、1チャージの溶鋼量が約200トン規模の実機にて、転炉−取鍋精錬炉−RH真空脱ガス炉−連続鋳造の各工程を経て高清浄度鋼の代表として挙げられる軸受け鋼を製造した例である。かかる軸受け鋼の成分組成は、炭素濃度0.90質量%以上1.10質量%以下、けい素濃度0.15質量%以上0.25質量%以下、マンガン濃度0.45質量%以下、リン濃度0.020質量%以下、イオウ濃度0.0050質量%以下、アルミニウム濃度0.030質量%以下、クロム濃度1.4質量%以上1.7質量%以下、窒素濃度0.0050質量%以下のものである。それぞれの方法では、取鍋精錬炉での加熱撹拌処理、RH真空脱ガス処理を経て、取鍋からタンディッシュを経て湾曲型連続鋳造機(鋳型直下垂直部無し)によりブルーム鋳片(鋳片引抜き方向に垂直な断面寸法は厚み300mm×幅400mm)を、約0.70m/minの鋳片引抜き速度で鋳造した。このとき、種々の形態(図1(a)のT型、図1(b),(c),(d)のI型)のタンディッシュを用い、まず、鋳造床にある加熱位置に設けたバーナーでコークス炉ガスを燃焼させた火炎で、槽内を約1000℃に加熱した。次に、前記バーナーを消火し、タンディッシュを鋳込み位置へ移動しつつ、不活性ガスを溶鋼注入用孔からのものとは別に設けたガス吹き込みパイプを通じてタンディッシュ内への吹き込みを開始した。その後、取鍋底面のスライディングノズルに取り付けたロングノズルを通じて、取鍋内の溶鋼のタンディッシュ内への注入を開始した。また、併せて、タンディッシュ注入前の溶鋼中トータル酸素濃度すなわち溶存酸素濃度と介在物相当の酸素濃度の和を1としたときの、鋳片中トータル酸素濃度の指数を示した。なお、トータル酸素分析用のサンプルは、鋳込み開始端から約3トンに当たる位置で切断された鋳片最ボトム部のトップ側断面における幅中央の厚み1/4位置から採取し、不活性ガス融解−赤外線吸収法に従う分析に供した。
表1に、本発明例及び比較例についての、タンディッシュの形態、不活性ガス総流量、不活性ガス吹き込み開始3分後のタンディッシュ雰囲気中酸素濃度を示す。
Figure 0006841386
表1に示すとおり、本発明例についてはいずれも、タンディッシュへの注入開始時のタンディッシュ内雰囲気中の酸素濃度は2vol%以下に低減しており、溶鋼注入後もほぼ再酸化が起きないレベルに到達していると共に、鋳片におけるトータル酸素濃度についても良好な結果であった。一方、雰囲気置換ガスのガス排出用孔を未設置のタンディッシュを用いた試験を行ったところ、タンディッシュへの溶鋼注入開始時の酸素濃度は2.9vol〜6.2vol%と高位であった。また、たとえガス排出用孔を用いた場合でも、溶鋼注入用孔と不活性ガスのガス排出用孔の距離が本発明条件よりも短かったり、不活性ガスの吹き込み合計流量がタンディッシュ容積やガス排出用孔面積に対して不十分であった場合においては、タンディッシュへの溶鋼注入開始時の酸素濃度はいずれも3vol%以上と、溶鋼の再酸化を抑制できるレベルまでは達しなかった。結果として、鋳片におけるトータル酸素濃度は、タンディッシュ注入前よりも増加する結果であり、良好な結果を得ることは出来なかった。
実施例1と同様に、1チャージの溶鋼量が約200トンの規模の実機にて、転炉−取鍋精錬炉−RH真空脱ガス炉−連続鋳造の各工程で実施例1と同組成の軸受け鋼を製造した。このとき、LとWで規定される種々の形態のタンディッシュを用いて、タンディッシュ内へ溶鋼の注入を開始した。
表2に、本発明例の、タンディッシュ形態、タンディッシュ満杯時の溶鋼重量、不活性ガスの吹き込み合計流量、タンディッシュへの溶鋼注入開始時のタンディッシュ雰囲気中酸素濃度を示した。また、併せて、タンディッシュ注入前の溶鋼中トータル酸素濃度すなわち溶存酸素濃度と介在物相当の酸素濃度の和を1としたときの、鋳片中トータル酸素濃度の指数を示した。トータル酸素濃度用の鋳片サンプルの採取位置、および分析方法は実施例1と同様である。
表2に示すとおり、本発明例のいずれにおいても、タンディッシュへの溶鋼注入開始時のタンディッシュ内雰囲気中の酸素濃度は2vol%以下に低減しており、鋳片中トータル酸素濃度についても良好な結果が得られた。不活性ガスのガス排出孔の設置および不活性ガスの傾斜吹き込みを適切に行った本発明例15〜18については、タンディッシュへの溶鋼注入開始時のタンディッシュ雰囲気中酸素濃度が、傾斜吹き無しの場合よりも安定的に低減させることができた。さらに、傾斜吹き込みに加えて、タンディッシュへの溶鋼注入開始時のタンディッシュ雰囲気中酸素濃度が0.3×M/V(M:タンディッシュ満杯時溶鋼重量(ton)、V:タンディッシュ内体積(m))以下を満たす本発明例19〜22については、タンディッシュ内雰囲気中の酸素濃度が1vol%以下に低減しており、鋳片中トータル酸素濃度についても、タンディッシュ注入前の約7割以下と大変良好な結果が得られた。
Figure 0006841386
なお、本発明は鋼の成分や濃度により効果が制限されるものではなく、あらゆる成分系の鋼に適用することが可能である。
1 タンディッシュ
1t タンディッシュ蓋
2 溶鋼注入用孔
3 ガス排出用孔
4 不活性ガス吹き込みパイプ
5 オーバーフロー樋開口部
6 堰

Claims (3)

  1. 溶鋼を保持する取鍋と溶鋼の連続鋳造鋳型との間に介在させるタンディッシュ内に溶鋼を注入するに当たり、注入開始前の該タンディッシュ内雰囲気中ガスの置換を通じて雰囲気中酸素濃度を低減させた状態で溶鋼の注入を行って連続鋳造を開始するのに際し、
    該タンディッシュの蓋に、取鍋からの溶鋼注入用孔の他に、該タンディッシュ内雰囲気ガス置換のための、1以上のガス排出用孔を設け、前記溶鋼注入用孔と前記ガス排出用孔との距離Lを下記(1)式を満足するように配置するとともに、前記溶鋼注入用孔周りに設置した1つ以上の供給管から前記タンディッシュ内空間に、雰囲気置換用不活性ガスを前記ガス排出用孔の総面積Aおよびタンディッシュ内体積Vに対して流量Qが下記(2)式を満足するように供給することを特徴とする、鋼の連続鋳造開始方法。

    W/4≦L≦2W/3 ・・・(1)
    2.0≦Q/(A・V) ・・・(2)
    ただし、
    W:タンディッシュ長辺の内法長さ(m)、
    L:溶鋼注入用孔中心と雰囲気置換ガスのガス排出用孔中心との最短距離(m)、
    Q:雰囲気置換用不活性ガスの単位時間あたりの合計吹き込み流量(Nm/min)、
    A:ガス排出用孔の総面積(m
    V:タンディッシュ内体積(m)。
  2. タンディッシュの蓋に設けた前記溶鋼注入用孔の中心から雰囲気置換ガスのガス排出用孔中心との最短距離を上記(1)式の範囲を満たすLで表すとき、2L/3以内の範囲で、該タンディッシュの蓋の溶鋼注入用孔に沿うその周りから吹き込む不活性ガスとは別に、少なくとも1箇所以上の位置から不活性ガスの吹き込みを行うと共に、該不活性ガス吹き込み角度を前記ガス排出用孔へ向かって10〜80°の傾きをもって吹き込むことを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造開始方法。
  3. タンディッシュ雰囲気中酸素濃度が、下記(3)式を満たした時点以降で、取鍋内溶鋼をタンディッシュへ注入開始することを特徴とする、請求項1または2に記載の鋼の連続鋳造開始方法。

    0.3×M/V≧(O) ・・・(3)
    M:タンディッシュ内満杯時溶鋼量(ton)
    V:タンディッシュ内体積(m
    (O):タンディッシュ雰囲気中酸素濃度(vol%)
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