JP2020139180A - アーク式電気炉における排滓方法及び溶融金属の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1にアーク式電気炉における排滓方法S10の流れを示す。また、図2に排滓方法S10において用いられるアーク式電気炉100の構成の一例を概略的に示す。図1及び2に示すように、排滓方法S10は、アーク式電気炉100の内部に配置された溶融金属1をアーク放電によって加熱して、溶融金属1の液面にスラグ又は不純物(スラグ等2)を浮上させる、浮上工程S1と、電気炉100の内部に設置された少なくとも1つのガス吹出手段10によって、溶融金属1の液面よりも上方から溶融金属1の液面又は溶融金属1の液面に存在するスラグ等2へとガスを吹き付けて、溶融金属1の液面に存在するスラグ等2を電気炉100の側面に設けられた排滓口20へと誘導するとともに、排滓口20へと誘導されたスラグ等2を排滓口20を介して電気炉100の外部へと排出する、排滓工程S2と、を備えている。ここで、排滓方法S10は、排滓工程S2において、ガス吹出手段10から吹き出されるガスの向きを排滓口20に向かう向きとし、且つ、ガス吹出手段10から吹き出されるガスの吹出幅W1を、排滓口20における溶融金属1の液面の最小幅W2の半分以上とすることに一つの特徴がある。
まず、排滓方法S10にて用いられるアーク式電気炉100の構成について説明する。図2に示すように、アーク式電気炉100は、アーク放電によって溶融金属1を加熱することが可能であり、且つ、溶融金属1の液面へと浮上したスラグ等2を外部へと排出することが可能であるように構成される。具体的には、アーク式電気炉100は、電気炉の内部に設置された少なくとも1つのガス吹出手段10と、電気炉の内部から外部へとスラグ等2を排出するために電気炉の側面(側壁43)に設けられた少なくとも1つの排滓口20とを有する。ガス吹出手段10は、電気炉の内部に溶融金属1が配置された状態において、溶融金属1の液面よりも上方から溶融金属1の液面又は溶融金属1の液面に存在するスラグ等2へとガスを吹き付けて、溶融金属1の液面に存在するスラグ等2を排滓口20へと誘導可能であるように構成される。
図3を参照しつつアーク式電気炉100に備えられるガス吹出手段10の機能について説明する。ガス吹出手段10は、電気炉の内部に溶融金属1が配置された状態において、溶融金属1の液面よりも上方から溶融金属1の液面又は溶融金属1の液面に存在するスラグ等2へとガスを吹き付けて、溶融金属1の液面に存在するスラグ等2を排滓口20へと誘導可能であるように構成される。例えば、ガス吹出手段10はガス吹出孔(吹出孔10a、図4参照)を備えていてもよい。この場合、例えば、図3に示すように、ガス吹出手段10のガス吹出孔の延長線と溶融金属1の液面とが交わる領域α(溶融金属1の液面においてガスが吹き付けられる領域α)がガス吹出孔の斜め下に配置されるように、ガス吹出手段10から斜め下に向かってガスが吹き出されるように構成するとよい。また、ガス吹出手段10から吹き出されたガスが排滓口20の方向に向かうように、電気炉の内部におけるガス吹出手段10の向きを調整するとよい。本発明者が確認した限りでは、ガス吹出手段10から吹き出されるガスの進行方向が、水平面に対して15度以上60度以下となるように構成された場合、スラグ等2の排出効率を一層高め易い。すなわち、図3(C)に示すように、ガス吹出手段10からのガスの進行方向と水平面とのなす角度θが15度以上60度以下であってもよい。
図6を参照しつつ水平断面における排滓口20の形状や排滓口20における溶融金属1の液面の最小幅W2について説明する。図6(A)に示すように、アーク式電気炉100においては、例えば、水平断面において入口側(電気炉の内部側)から出口側(電気炉の外部側)にかけて開口幅が略同じである排滓口20が採用され得る。この場合、「排滓口20における溶融金属1の液面の最小幅W2」は、排滓口20の入口側及び出口側の開口幅と一致することとなる。
アーク式電気炉100は上記のガス吹出手段10と排滓口20とを備えていればよく、これ以外の構成については従来と同様とすることができる。上述の通り、アーク式電気炉100は、内部に溶融金属が配置される空間が形成される。ここで、当該空間の内壁には、外壁を保護するために、耐火ブロックからなる耐火壁体が形成され得る。また、耐火壁体のみならず、内部で冷却水が循環して外壁を保護する冷却パネル部材が装着され得ることも一般的である。
本開示の排滓方法S10においては、浮上工程S1において、上記のようなアーク式電気炉100の内部に配置された溶融金属1をアーク放電によって加熱する。「アーク式電気炉の内部に配置された溶融金属」とは、アーク式電気炉100の内部に固体金属を収容したうえでアーク放電によって固体金属を溶融させて得られた溶融金属や、あらかじめ溶融させた金属をアーク式電気炉100の内部への流し込むようにして配置された溶融金属や、溶融金属を保持した炉内に固体金属を投入したうえでアーク放電によって固体金属を溶融させて得られた溶融金属等、種々の形態を含む。溶融金属1は不純物を含むものであって液面にスラグ等2が浮上し得るものであればよい。そのような溶融金属1としては、例えば、溶鋼、ステンレスを含む各種鉄合金、ニッケル等が挙げられる。特にスラグの生成を伴う溶鋼が好ましい。アーク放電による溶融金属の加熱条件については従来と同様であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
排滓工程S2においては、電気炉100の内部に設置された少なくとも1つのガス吹出手段10によって、溶融金属1の液面よりも上方から溶融金属1の液面又は溶融金属1の液面に存在するスラグ等2へとガスを吹き付けて、溶融金属1の液面に存在するスラグ等2を電気炉100の側面に設けられた排滓口20へと誘導するとともに、排滓口20へと誘導されたスラグ等2を排滓口20を介して電気炉100の外部へと排出する。「溶融金属1の液面又は溶融金属1の液面に存在するスラグ等2へとガスを吹き付ける」とは、溶融金属1の液面にのみガスを吹き付ける形態、スラグ等2にのみガスを吹き付ける形態、及び、溶融金属1の液面及びスラグ等2の双方にガスを吹き付ける形態のいずれも含む概念である。特に、少なくとも溶融金属1の液面に存在するスラグ等2にガスを吹き付ける形態(スラグ等2にのみガスを吹き付ける形態、及び、溶融金属1の液面及びスラグ等2の双方にガスを吹き付ける形態)とするとよい。ここで、本発明者の新たな知見によれば、排滓口20を介して溶融金属の表面のスラグ等を排出を行う場合に、仮に電気炉の内部においてガスの上吹きを行って溶融金属の液面のスラグ等にガス流による運動エネルギーを与えたとしても、排滓口から排出されるスラグ等の排出速度を十分に高めることが難しい場合がある。ガスにより押されたスラグ等が排滓口付近で渦を形成し、排滓口から逃げる方向に運動し、与えられた運動エネルギーがスラグ等の排出に効率的に利用されていないためと考えられる。本発明者は、鋭意研究の結果、ガス吹出手段10からのガスの吹出幅W1によって、アーク式電気炉100におけるスラグ等2の排滓効率が変化することを突き止めた。本発明者の新たな知見によれば、排滓工程S2において、ガス吹出手段10から吹き出されるガスの向きを排滓口20に向かう向きとし、且つ、ガス吹出手段10からのガスの吹出幅W1を、排滓口20における溶融金属1の液面の最小幅W2の半分以上とすることで、排滓口20へと誘導されたスラグ等2を排滓口20を介して外部へと効率的に押し出すことができ、スラグ等2の排滓効率が顕著に高めることができる。尚、「ガス吹出手段10から吹き出されるガスの向きを排滓口20に向かう向きとする」とは、ガス吹出手段10から吹き出されたガスの進行方向を水平方向成分と鉛直方向成分とに分けた場合、当該水平方向成分の延長上に排滓口20が存在することを意味する。例えば、当該水平方向成分の延長上に排滓口20の入口及び出口の双方が存在するとよい。ガス吹出手段10から吹き出されたガスは、必ずしも排滓口20へと到達する必要はない。図3に示すように、排滓口20の入口よりも手前の溶融金属1の液面又は溶融金属1の液面に存在するスラグ等2に吹き付けられてもよい。
本開示の技術は溶融金属の製造方法としての側面も有する。すなわち、本開示の溶融金属の製造方法は、上記の排滓方法S10によって排滓を行う工程と、電気炉100の内部の溶融金属1を外部へと取り出す工程とを備える。電気炉100の内部の溶融金属1は、例えば、上述したように電気炉100の炉底42の出口42aを介して外部へと取り出せばよい。或いは、炉体を傾動させて溶融金属1を流出させてもよい。
炉径70cmの電気炉模擬容器を使用し、ランスの形状(吹出幅W1)やランスの位置を様々に変えて水モデル実験を行った。水モデル実験では、メタルの模擬流体として食塩水(比重1.15g/cm3)、スラグの模擬流体としてシリコーンオイル(比重0.965g/cm3)を使用し、液面におけるスラグ厚みを50mmとした。水モデル実験における排滓口の幅W2は200mmで固定とし、ランスから吹き出されるガスの進行方向が水平面に対して60度となるようにした。
(実施例1)
シャフト炉でペレットを還元して、還元率90%のDRIを製造した。次に、このDRIを100t規模の上述の直流電気炉(排滓口の幅W2=1.0m)に100t装入し、還元材として石炭を10t使用して溶解および還元を行い、[C]=3.5mass%で温度1400℃の溶銑を製造した。この時、上部電極を陰極、下部電極を陽極としてアークを生成し、スラグ塩基度が1.3となるように生石灰を添加した。生成した溶銑中のS濃度は0.0033mass%で、スラグ中のS濃度は0.33mass%であった。
実施例1と同一条件において溶銑を製造し、DRIの溶解および還元が終了した後のスラグ量M1は20tであった。上述の直流電気炉の上部に設置したワイドランス(W1/W2=0.6)を下降させ、図2及び図4(A)のようなランス配置とした。スラグが排滓口に向かうように、N2ガスを26Nm3/h/m2でスラグ面に吹き付け、5分間排滓を行った。この結果、排滓されたスラグ量M2は10.5tであり、M1とM2の比率より、排滓率は53%であった。
実施例1と同一条件において溶銑を製造し、DRIの溶解および還元が終了した後のスラグ量M1は22tであった。上述の直流電気炉の上部に設置した3本のランスを下降させ、図4(B)のようなランス配置とした(W1/W2=0.6)。スラグが排滓口に向かうように、N2ガスを26Nm3/h/m2でスラグ面に吹き付け、5分間排滓を行った。この結果、排滓されたスラグ量M2は12.5tであり、M1とM2の比率より、排滓率は57%であった。
実施例1と同一条件において溶銑を製造し、DRIの溶解および還元が終了した後のスラグ量M1は20.5tであった。上述の直流電気炉の上部に設置したナローランス(W1/W2=0.06)を下降させ、図2及び図4(A)のようなランス配置とした。スラグが排滓口に向かうように、N2ガスを26Nm3/h/m2でスラグ面に吹き付け、5分間排滓を行った。この結果、排滓されたスラグ量M2は9tであり、M1とM2の比率より、排滓率は44%であった。
実施例1と同一条件において溶銑を製造し、DRIの溶解および還元が終了した後のスラグ量M1は20tであった。ランスによるガス吹きを行わずに5分間排滓を行った。この結果、排滓されたスラグ量M2は8.5tであり、M1とM2の比率より、排滓率は43%であった。
2 スラグ又は不純物
10 ガス吹出手段
20 排滓口
21 スラグドア
30 電極
41 炉蓋(天井部材)
42 炉底
42a 出口
43 側壁
100 アーク式電気炉
Claims (5)
- アーク式電気炉の内部に配置された溶融金属をアーク放電によって加熱して、前記溶融金属の液面にスラグ又は不純物を浮上させる、浮上工程と、
前記電気炉の内部に設置された少なくとも1つのガス吹出手段によって、前記溶融金属の液面よりも上方から前記溶融金属の液面又は前記溶融金属の液面に存在する前記スラグ又は不純物へとガスを吹き付けて、前記溶融金属の液面に存在する前記スラグ又は不純物を前記電気炉の側面に設けられた排滓口へと誘導するとともに、前記排滓口へと誘導された前記スラグ又は不純物を前記排滓口を介して前記電気炉の外部へと排出する、排滓工程と、
を備え、
前記排滓工程において、前記ガス吹出手段から吹き出されるガスの向きを前記排滓口に向かう向きとし、且つ、前記ガス吹出手段から吹き出されるガスの吹出幅W1を、前記排滓口における前記溶融金属の液面の最小幅W2の半分以上とする、
アーク式電気炉における排滓方法。 - 前記少なくとも1つのガス吹出手段が、ランス及びバーナーから選ばれる少なくとも1つである、
請求項1に記載の排滓方法。 - 前記少なくとも1つのガス吹出手段が、幅広のガス吹出孔を有する、
請求項1又は2に記載の排滓方法。 - 前記排滓工程において、複数の前記ガス吹出手段からガスを各々吹き出し、各々のガスの向きを前記排滓口に向かう向きとする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の排滓方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の排滓方法によって排滓を行う工程と、
前記電気炉の内部の溶融金属を外部へと取り出す工程と、
を備える、
溶融金属の製造方法。
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CN113943589A (zh) * | 2021-10-28 | 2022-01-18 | 赣州市怡辰宏焰能源科技有限公司 | 一种气化炉水冷散热型底座 |
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