JP6327304B2 - 転炉型精錬炉の遮断扉及び転炉型精錬炉の操業方法 - Google Patents

転炉型精錬炉の遮断扉及び転炉型精錬炉の操業方法 Download PDF

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Description

本開示は、転炉型精錬炉の遮断扉及び転炉型精錬炉の操業方法に関する。
近年、1つの転炉型精錬炉を用いて溶銑を脱燐或いは脱炭する送酸精錬を行う際に、転炉型精錬炉の炉体内に溶銑を保持したままスラグのみを排出(「中間排滓」ともいう)させる中間排滓工程を途中で行い、送酸精錬を2段階で連続して行う方法が実用化されている。例えば、特許文献1には、脱燐処理後に溶銑を転炉内に残したまま転炉を傾転させてスラグのみを排出し、その後に同一転炉で脱炭精錬を実施し、脱炭精錬後のスラグを次の溶銑の脱燐処理に再利用する方法が開示されている。また、特許文献2には、一つの転炉型精錬炉を用いて、溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを途中の排滓工程を挟んで連続して行う溶銑の予備処理(脱燐)方法が開示されている。
これらの方法では、途中の中間排滓を行わないで、送酸精錬を継続して行う精錬方法と比較して、途中でスラグを排出することにより、その後の処理でのCaO系媒溶剤の使用量を削減できる利点がある。
また、1段階目の送酸精錬を実施した後、スラグだけでなく溶銑も一旦精錬炉から排出して、同一精錬炉又は別の精錬炉に移し替えてから2段階目の送酸精錬を実施する方法と比較すると、(i)溶銑の出湯や再装入に要する時間を短縮して転炉型精錬炉の稼動率を高めることができる、(ii)溶銑の移し替えが少ないため放熱ロスを少なくできる、(iii)2段階目の送酸精錬のスラグを炉体内に残して、次の溶銑の1段階目の送酸精錬に再利用することにより、CaO系媒溶剤の使用量を削減することができる、(iv)高塩基度である2段階目の送酸精錬のスラグの排出を低減させて、比較的低塩基度である1段階目の送酸精錬のスラグの排出を増加させることで、スラグの水和膨張特性を改善してスラグの利用促進を図ることができる、という利点がある。
これらの利点を享受するためには、中間排滓工程において、いかに速やかに目標量のスラグを炉内から排出するかが、操業上の重要な点となる。中間排滓工程でのスラグの排出量が少ない場合には、上述したようなCaO系媒溶剤の使用量を削減できる効果は期待できず、CaO系媒溶剤に使用量は途中の排滓を行わない方法とあまり変わらない。
そこで、特許文献1及び特許文献2では、中間排滓工程において効率的に排滓を行うために、1段階目の送酸精錬において溶融スラグをフォーミングさせて、溶融スラグの体積を増大させる方法が開示されている。特許文献1及び特許文献2では、溶融スラグの体積を増大させることにより、炉口から中間排滓する際に炉口下端からのスラグ浴面の高さを高くすることができ、溶融スラグの溢流による排出効率を高めることができる。ここで、スラグのフォーミングとは、溶融状態のスラグが気泡を含み、見掛け上、体積膨脹する現象である。
しかし、溶融スラグの排出速度を高めようとすると、炉前側の操業床上まで溶融スラグが流れ出るおそれがあるため、中間排滓時には、遮断扉で炉体を囲む隔壁の一部である固定壁の炉前側開放部を覆う必要がある。
一般に転炉型精錬炉では、操業床への高温物質の飛散や煙の流出による作業環境の悪化や火災などの災害の発生を防止するため、例えば特許文献2に開示されているように、転炉型精錬炉の炉体を囲むように炉体と操業床上の空間との間に隔壁が設けられる。この隔壁は一般に、固定壁と固定壁の炉前側開放部を移動可能に覆う移動壁である遮断扉とを有する。遮断扉は、炉前側操業床に設置されたレール上を自走するなどして移動し、溶銑やスクラップなどを炉体内に装入するたびに開かれ、吹錬中や中間排滓中には固定壁の炉前側開放部を覆うように閉じられる。この際、遮断扉の移動速度が大き過ぎるとレール上の堆積物による脱線などのトラブルを招くおそれがあるため、遮断扉の移動速度には制約がある。しかしながら、遮断扉の移動速度が極端に遅い場合には、遮断扉の開閉時間が長くなるため、転炉型精錬炉設備の生産性低下の一因となる。
遮断扉の移動ストロークを小さくして開閉時間を短縮するために、遮断扉は左右2枚に分割された両開きの構造であることが多い。しかし、中間排滓を頻繁に行う転炉型精錬炉設備の場合、中間排滓時に、遮断扉の召合せ位置のわずかな隙間に排出された溶融スラグが流れ込み易いため、溶融スラグが遮断扉や操業床の召合せ位置に凝固して付着する可能性があった。付着物は、中間排滓が繰り返し行われることで、次第に堆積し成長する。そして、付着物が大きくなりすぎると、遮断扉を閉じることができなくなり、遮断扉が機能しなくなるという問題があった。また、付着物を除去する場合には、余計な作業時間を要するため、生産性に悪影響を及ぼすこととなる。
特開2008−255446号公報 特開平4−362112号公報
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、中間排滓を行う転炉型精錬炉において、召合せ位置へのスラグの付着を抑制することができる転炉型精錬炉の遮断扉及び転炉型精錬炉の操業方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、水平方向に平行な一軸方向に移動可能な第1の移動手段と、上記一軸方向の一端側に第1の召合せ部とを有し、転炉型精錬炉の炉体を囲む隔壁の一部である固定壁の炉前側開放部の一部を覆うことが可能な第1の扉部と、上記第1の扉部と上記一軸方向に並んで配され、上記一軸方向に移動可能な第2の移動手段と、上記第1の扉部と対向する上記一軸方向の一端側に第2の召合せ部とを有し、上記炉前側開放部の一部覆うことが可能な第2の扉部とを備え、上記第1の召合せ部と上記第2の召合せ部とが合わさり、上記第1の扉部と上記第2の扉部とにより上記炉前側開放部が覆われた閉じた状態において、上記第1の召合せ部と上記第2の召合せ部とが合わさる位置である召し合わせ位置と、上記炉体の炉口の中心位置との上記一軸方向に平行な方向における第1の距離d[m]が、0mよりも大きく、且つ、上記炉口の半径r[m]、上記炉体を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における上記炉口と炉前床との第2の距離L[m]、及び上記炉体のトラニオンの回転軸中心から上記炉口までの高さH[m]との関係が(1)式を満たすことを特徴とする転炉型精錬炉の遮断扉が提供される。
d/r≧1−3L/H ・・・(1)
本発明に一態様によれば、転炉型精錬炉の炉体に収容された溶銑に酸素ガスを供給し、上記溶銑を送酸精錬する一次送酸精錬工程と、上記一次送酸精錬工程の後、上記炉体に収容された上記溶銑を上記炉体に残留させたまま、上記炉体の炉口が炉前側に位置するように上記炉体を傾転させて、上記一次送酸精錬工程で生成したスラグの少なくとも一部を上記炉口から排出する中間排滓工程と、上記中間排滓工程の後、上記炉体に残留させた上記溶銑に上記酸素ガスを供給し、さらに送酸精錬する二次送酸精錬工程とを備え、上記中間排滓工程では、水平方向に平行な一軸方向に移動可能な第1の移動手段と上記一軸方向の一端側に第1の召合せ部とを有し、上記炉体を囲む隔壁の一部である固定壁の炉前側開放部の一部を覆うことが可能な第1の扉部と、上記第1の扉部と上記一軸方向に並んで配され、上記一軸方向に移動可能な第2の移動手段と、上記第1の扉部と対向する上記一軸方向の一端側に第2の召合せ部とを有し、上記炉前側開放部の一部を覆うことが可能な第2の扉部とを備えた遮断扉を、上記第1の召合せ部と上記第2の召合せ部とが合わさり、上記第1の扉部と上記第2の扉部とにより上記炉前側開放部が覆われた閉じた状態で、上記スラグを上記炉口から排出し、上記閉じた状態では、上記第1の召合せ部と上記第2の召合せ部とが合わさる位置である召し合わせ位置と、上記炉体の炉口の中心位置との上記一軸方向に平行な方向における第1の距離d[m]が、0mよりも大きく、且つ、上記炉口の半径r[m]、上記炉体を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における上記炉口と炉前床との第2の距離L[m]、及び上記炉体のトラニオンの回転軸中心から上記炉口までの高さH[m]との関係が(1)式を満たすことを特徴とする転炉型精錬炉の操業方法が提供される。
本発明の一態様によれば、中間排滓を行う転炉型精錬炉において、召合せ位置へのスラグの付着を抑制することができる。
炉体が傾転し、遮断扉が閉じた状態における転炉型精錬炉を示す正面図である。 炉体が正立し、遮断扉が閉じた状態における転炉型精錬炉を示す正面図である。 炉体が正立し、遮断扉が開いた状態における転炉型精錬炉を示す正面図である。 転炉型精錬炉を示す平面図である。 転炉型精錬炉を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る転炉型精錬炉の操業方法を示す説明図である。 実施例において、d/rとL/Hとの関係が、遮断扉の召合わせ位置へのスラグ付着に与える影響を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<転炉型精錬炉の遮断扉の構成>
はじめに、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態に係る転炉型精錬炉の遮断扉について説明する。転炉型精錬炉1は、溶銑を送酸精錬する精錬装置であり、図1に示すように、炉体2と、隔壁3と、集塵設備4とを有する。
炉体2は、図2のように正立した状態で、鉛直方向であるz軸正方向側の上部に開口部である炉口21を有する精錬容器であり、内壁全面に耐火物が設けられる。また、炉体2は、水平方向であるx軸方向側の両端に一対のトラニオン22(筒耳)を有し、一対のトラニオン22に接続された不図示の傾転装置によって、x軸方向に平行な一対のトラニオン22の軸心を中心として傾転可能に構成される。また、炉体2は、正立した状態で、鉛直方向下側の一部が、炉前床5よりも低い高さとなるように設けられる。
隔壁3は、炉体2の炉前床5よりも上側(z軸正方向側)の領域を囲む壁であり、固定壁31と、遮断扉32とを有する。固定壁31は、炉体2を囲んで形成され、炉前側となるx軸及びz軸に垂直なy軸負方向側に、一部が開口した炉前側開放部311を有する。炉前側開放部311は、矩形状の開口領域であり、炉前床5から集塵設備4の一部を含む所定の高さに形成される。遮断扉32は、第1の扉部32aと、第2の扉部32bとからなる、移動式の壁である。
第1の扉部32aは、炉前側開放部311の一部を覆うことが可能な略矩形状の形状を有し、第1の移動手段321aと、x軸負方向側端部の第1の召合せ部322aと、第1の保護板323aとを有する。第1の扉部32aのy軸正方向側の面には、z軸負方向側となる下端側の所定領域に、鋼管などの冷却部材が設けられる。冷却部材は、内部に冷却水が流れることで、冷却される。また、第1の扉部32aのy軸正方向側の面における上記所定領域は、後述する中間排滓工程において、炉口21から排出されるスラグがかかる可能性のある領域や炉内からの輻射熱を強く受ける領域を含むように設けられる。第1の移動手段321aは、第1の扉部32aの下端にx軸方向に並んで設けられた一対の車輪であり、炉前床5上の水平方向に平行な一軸方向となるx軸方向に延在して設けられる不図示のレール上に配される。また、第1の移動手段321aは、第1の扉部32aに設けられた不図示のモータ等の駆動装置に接続され、駆動装置の駆動力を受けて回転することで、第1の扉部32aをx軸方向に沿って移動させる。第1の保護板323aは、図4及び図5に示すように、第1の扉部32aの下端部に、第1の召合せ部322aからx軸正方向へ延在し、且つ炉体2側となるy軸正方向側に突出して設けられる。第1の保護板323aは、y軸正方向側の高さが低くなるように上面が傾斜し、炉前床5よりもy軸正方向に延出して設けられる。
第2の扉部32bは、炉前側開放部311の一部を覆うことが可能な略矩形状の形状を有し、第2の移動手段321bと、x軸正方向側端部の第2の召合せ部322bと、第2の保護板323bとを有する。第2の扉部32bのy軸正方向側の面には、必要に応じて第1の扉部32aと同様に、z軸負方向側となる下端側の所定領域に、鋼管などの冷却部材が設けられる。第2の移動手段321bは、第1の移動手段321aと同様な一対の車輪であり、炉前床5上のレール上に配される第1の移動手段321aと同じレール上に配される。また、第2の移動手段321bは、第2の扉部32bに設けられた不図示のモータ等の駆動装置に接続され、駆動装置の駆動力を受けて回転することで、第2の扉部32bをx軸方向に沿って移動させる。第2の保護板323bは、第1の保護板323aと同様に、第2の扉部32bの下端部に、第2の召合せ部322bからx軸負方向へ延在し、且つ炉体2側となるy軸正方向側に突出して設けられる。第2の保護板323bは、y軸正方向側の高さが低くなるように上面が傾斜し、炉前床5よりもy軸正方向に延出して設けられる。
遮断扉32は、両開き式の扉であり、第1及び第2の扉部32a,32bが、第1及び第2の移動手段によって水平方向に移動することで開閉動作を行う。この際、図1及び図2に示すように、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが合わさり、炉前側開放部311を覆った状態が、遮断扉32が閉じた状態となる。一方、図3に示すように、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが離間し、炉前側開放部311が開放された状態が、遮断扉32が開いた状態となる。遮断扉32が閉じた状態では、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが合わさるx軸方向の位置である召合せ位置Pが、炉口21の中心位置Pに対して、x軸方向に第1の距離d[m]だけずれて配される。
ここで、第1の距離dは、0mよりも大きく、且つ下記(1)式を満たす。なお、(1)式において、rは炉口21の半径[m]、Lは図5のように炉体2を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における炉口21と炉前床5とのy軸方向の第2の距離[m]、Hは炉体2のトラニオン22の回転軸中心から炉口21までの高さ[m](図5におけるy軸方向の高さ)をそれぞれ示す。なお、炉口21が円形ではない場合には、上記rは炉口21のx軸方向の径の1/2とする。
d/r≧1−3L/H ・・・(1)
さらに、第1の距離dの条件に加えて、半径rに対する第1の距離dの比の値d/rが、0.2以上であることが好ましく、0.86以上であることがより好ましい。
また、第1及び第2の扉部32a,32bの炉前側開放部311を覆う矩形領域のx軸方向の幅W1,W2は、幅W1と幅W2とを足した長さが炉前側開放部311のx軸方向の長さ以上となるように形成される。さらに、半径rに対する第1の距離dの比の値d/rが0.20以上である場合、幅W1の長さは、幅W2の長さの1.25倍以上4.0倍以下であることが好ましく、1.8倍以上3.0倍以下であることがより好ましい。
なお、炉前床5は、炉体2の回転駆動系の保守点検が容易に行えるように、トラニオン22の回転軸中心よりも低い(z軸負方向側の)位置に配置される。また、工場の建設費用を抑制する観点からトラニオン22の高さが制約され、且つ、炉前床5の高さをその下を取鍋等が通過できる高さ以上にする必要があることから、炉前床5からトラニオン22の回転軸中心までの高さは、通常、高さHの1/2程度以下となる。
集塵設備4は、送酸精錬中や中間排滓中、出湯中などに、炉体2の炉口21から排出する排ガスや粉塵を吸引し、排ガス中のガス成分とダストとを分離回収する設備である。集塵設備4は、z軸方向に昇降可能なスカート41と、スカート41の上部に接続されたフード42とを有する。炉口21から発生する排ガスは、スカート41及びフード42を介して、不図示の排ガス回収装置へと送られ、分離回収される。
<転炉型精錬炉の操業方法>
次に、図6を参照して、本実施形態に係る転炉型精錬炉1の操業方法について説明する。本実施形態では、1つの転炉型精錬炉1を用いて、高炉から出銑された溶銑の脱珪処理及び脱燐処理を連続して行う。まず、図6(A)に示すように、トラニオン22を中心に炉口21が炉前側に位置するように、反出湯側に傾転させた炉体2に、溶銑鍋6に収容された溶銑Mを炉口21から注ぎいれることで、炉体2に溶銑Mを装入する(装入工程)。装入工程では、溶銑Mが装入される前に、予め、炉体2の内部には、スクラップ等の冷鉄源Sが収容される。また、装入工程では、溶銑Mが装入される際には遮断扉32が開いた状態で行われ、装入工程が終了した後には遮断扉32の閉動作が行われ、遮断扉32が閉じた状態となる。
次いで、図6(B)に示すように、炉体2を正立させ、送酸ランス7から酸素ガスを吹き込み、溶銑Mに酸素ガスを供給することで脱珪処理(脱Si吹錬)を行う(一次送酸精錬工程)。この際、遮断扉32が閉じた状態で、脱珪処理が行われる。一次送酸精錬工程では、炉内に酸素源が供給され、さらに必要に応じて、CaO系媒溶剤や、珪素源などの燃焼熱源が供給される。また、一次送酸精錬工程では、次工程の中間排滓工程において、脱珪処理に伴い発生するスラグSの排滓性を高めるため、スラグSが適度にフォーミングするように実施条件が制御される。また、一次送酸精錬工程では、炉体2の底部に設けられた底吹きノズル23から不活性ガスが溶銑Mに吹き込まれ、溶銑Mの攪拌力が強まることで脱珪反応が促進される。一次送酸精錬工程は、溶銑Mの珪素濃度や溶銑量、副原料の添加量などに応じた所定量の酸素ガスが吹き込まれることで終了する。
さらに、図6(C)に示すように、炉体2を炉口21が炉前側に位置するように傾転させることで、炉体2から脱珪処理後のスラグSの少なくとも一部を排出する中間排滓が行われる(中間排滓工程)。中間排滓工程では、炉体2を反出湯側に傾転させることで、浴面に浮いている比重の軽いスラグSのみを炉口21から排出させる。中間排滓工程で排出されたスラグSは、炉体2の下方に配された不図示の溶滓収容容器(排滓鍋)に収容される。中間排滓工程におけるスラグSの排出量は、次工程の二次送酸精錬工程でのCaO系媒溶剤の使用量を効果的に削減するために、一次送酸精錬工程終了時における炉体2内のスラグSの半量程度以上とすることが望ましい。なお、本実施形態では、一次送酸精錬工程において、スラグSが適度にフォーミングするように実施条件を制御するため、スラグSがフォーミングし、スラグ層の表面レベルを高くした状態で中間排滓が行われる。このため、スラグSを効率よく排出することができる。
この際、炉体2の正立時において炉内のスラグSの表面の高さが高いほど、小さい傾動角度でスラグSの流出が始まり、傾動角度を大きくするにつれて、炉口21の位置及び角度が変化するとともに、スラグSの排出速度が増大する。炉体2の傾動角度は、スラグSの排出速度が適正な範囲となるよう随時調整され、最終的に溶銑Mが流出しない範囲で90度近くまで大きくなる。なお、スラグSの排出速度が小さ過ぎると排滓時間の延長や排滓量の減少を招き、スラグSの排出速度が大き過ぎると排滓鍋に収容されずに飛散するスラグSの割合が増大したり、スラグSに混入して流出する溶銑の量が増大したりする問題がある。このため、これらの観点から適正な排出速度となるよう、炉体2の傾動角度が調整される。
また、スラグSが排出される間、スラグSがオーバーフローする部分の炉口21の形状は、炉前側から見た高さ及び奥行が炉体2の傾動角度に応じて変化する円弧状の形状となる。この円弧状の形状の下端から炉内のスラグSの表面までの高さが高くなるほど、スラグSを排出する駆動力が大きくなってスラグSの流速が増すとともに、円弧の形状に沿ってスラグSの排出流の幅(x軸方向の長さ)も増大することから、スラグSの排出速度が増大する傾向となる。このとき、スラグSの排出流は、幅方向中心部の方が幅方向端部に比べて流速が大きくなる。また、上記の円弧部の形状から、スラグSの流出位置は、排出流の幅方向中心部の方が幅方向端部に比べてトラニオン22の軸から水平方向に離れた位置となる。スラグSの排出流は水平方向の流速を有するので、放物線状の軌跡をたどって落下するが、上記のような理由から、水平方向の到達距離は、スラグSの排出流の幅方向中心部で大きく、排出流の幅方向端部で相対的に小さくなる傾向となる。
さらに、中間排滓工程では、遮断扉32が閉じた状態でスラグSの排出が行われる。この際、炉口21から排出されるスラグSは、遮断扉32にかかることになるが、上記のようなスラグSの排出流の形状の特徴から、スラグSの排出流の遮断扉32(保護板323a、323bを含む)への衝突位置の幅(x軸方向の長さ)は、炉体2と炉前床5との距離、あるいは第2の距離Lが大きくなるに従って定性的に狭くなる傾向となる。
さらに、スラグSの排出速度がある程度大きい場合、遮断扉32に衝突したスラグSの排出流は、遮断扉32の表面を幅方向(x軸方向)に広がりながら流下する。スラグの排出流の遮断扉32への衝突位置のz軸方向の高さは、落下する排出流の放物線状の軌跡から、炉体2と炉前床5との距離、あるいは上記の第2の距離Lが大きくなるに従って低くなる傾向となる。このため、スラグSの排出流が遮断扉32の表面を流下する際に幅方向(x軸方向)に広がる長さも、第2の距離Lが大きくなるに従って小さくなる傾向となる。
遮断扉32の表面において炉口21から排出されるスラグSがかかる幅に及ぼす、炉体2と炉前床5との距離、あるいは第2の距離Lの影響は、上述のように定性的に説明できる。さらに、本発明者らは、遮断扉32の表面のスラグSがかかる最大幅を炉口の半径r[m]で除して無次元化した指標、及び第2の距離L[m]を炉体2のトラニオン22の回転軸中心から炉口21までの高さH[m]で除して無次元化した指標を用いて整理することによって、遮断扉32にかかるスラグSの幅を定量的に評価することができることを知見した。即ち、本発明者らは、遮断扉32の表面のスラグSがかかる最大幅の半分(即ち、炉口の中心位置Pからのx軸方向の幅)をxsm[m]とすると、後述するように、xsm/r<1−3L/Hとなる関係にあることを見出した。
従って、遮断扉32の召合せ位置Pと炉口21の中心位置Pとのx軸方向の第1の距離d[m]が、0よりも大きく、且つ上記(1)式を満たしていれば、距離dはxsmよりも大きい値となるため、召合せ位置Pに排出されるスラグSがかかることがない。このため、召合せ位置PへのスラグSの付着を抑制することができる。中間排滓工程は、所定量のスラグSが排出された後、炉体2を正立させることで終了する。遮断扉32の炉口21に対面するスラグSがかかる部位は、水冷された鋼管などの冷却部材が設けられるため、スラグSが付着しても容易に剥離し、炉下に配した溶滓収容容器内などに落下することから、落下物の除去に余計な作業時間を要することもない。
その後、図6(D)に示すように、一次送酸精錬工程と同様に、送酸ランス7から酸素ガスを吹き込み、溶銑Mに酸素ガスを供給することで脱燐処理(脱P吹錬)を行う(二次送酸精錬工程)。この際、遮断扉32が閉じた状態で、脱燐処理が行われる。二次送酸精錬工程では、石灰系の媒溶剤、および必要に応じてスラグSの成分の調整や滓化を促進させるための各種副原料が炉体2の内部に添加される。脱燐処理工程は、溶銑Mの燐濃度や溶銑量、温度、スラグ成分等に応じて決められる所定量の酸素ガスが吹き込まれることで終了する。
次いで、図6(E)に示すように、炉前側と反対となる出湯側へ炉口21が位置するように炉体2を傾転させ、炉体2の炉裏側に設けられた出湯孔24から脱燐処理された溶銑Mを排出(出湯)させる(出湯工程)。排出された溶銑Mは、炉体2の下方に配置された不図示の溶銑鍋に収容される。出湯工程では、溶銑Mを出湯した後、後述する次の溶銑の送酸精錬において脱燐処理後のスラグSが必要な場合は、脱燐処理後のスラグSが炉体2の内部に残存した状態で処理が終了する。一方、次の溶銑の送酸精錬において脱燐処理後のスラグSが必要でない場合は、脱燐処理後のスラグSが炉外へと排出されることで処理が終了する。出湯工程において、溶銑Mを排出する際及びスラグSを排出する際には、遮断扉32は閉じた状態を継続する。
以上の、装入工程、脱珪処理工程、中間排滓工程、脱燐処理工程及び出湯工程の一連の処理が行われることで、溶銑Mが連続して脱珪処理および脱燐処理される。なお、本実施形態では、上記一連の送酸精錬が行われた後、同一の転炉型精錬炉1にて、遮断扉32を開き、スクラップS及び次の溶銑を装入して上記一連の送酸精錬が繰り返し行われる。この際、脱珪処理工程にて、前の送酸精錬の二次送酸精錬工程で発生したスラグSが用いられる場合には、炉体2の内部に二次送酸精錬工程で発生したスラグSが残留した状態で、次の溶銑の送酸精錬における装入工程が実施される。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、召合せ位置Pが炉口21の中心位置Pに対して、x軸負方向側にずれているとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、召合せ位置Pが炉口21の中心位置Pに対して、x軸正方向側にずれていてもよい。
また、上記実施形態では、図1に示すように、幅W1の長さが幅W2の長さの1.25倍以上4.0倍以下とすることが好ましいとしたが、本発明はかかる例に限定されない。遮断扉32は、閉じた状態において、炉前側開放部311を覆い、召合せ位置Pと炉口21の中心位置Pとの第1の距離dが0mよりも大きく、且つ(1)式を満たすように配されていれば、幅W1,W2は上記範囲に限定されない。なお、幅W1,W2を上記範囲とすることで、一般的な転炉型精錬炉1において、本発明のうち半径rに対する第1の距離dの比の値d/rを0.2以上とする実施形態を適用することができ、遮断扉32の全体の幅を小さくすることができる。また、幅W1の長さを幅W2の長さの1.8倍以上とすることで、一般的な転炉型精錬炉1において、本発明のうち半径rに対する第1の距離dの比の値d/rを0.86以上とする実施形態を適用することができ、遮断扉32の全体の幅を小さくすることができる。なお、転炉型精錬炉1の炉体形状は概ね相似形であり、炉口の半径rとトラニオンの回転軸中心から炉口までの高さHとの比r/Hは0.3〜0.5の範囲内にあることが一般的である。幅W1の長さが幅W2の長さの1.25倍未満である場合、転炉型精錬炉1の寸法(炉前側開放部の幅、炉口の大きさ及び遮断扉32の全体の幅)によっては、第1の距離dが炉口21の半径rの0.2倍より小さくなる可能性が生じる。一方、幅W1の長さが幅W2の長さの4.0倍超である場合、転炉型精錬炉1の寸法(炉前側開放部の幅、炉口の大きさ及び遮断扉32の全体の幅)によっては、第1の扉部の幅W1が長くなりすぎるため、遮断扉32の開閉に掛かる時間が長くなる可能性がある。
さらに、上記実施形態では、一次送酸精錬工程では脱珪処理を行い、二次送酸精錬工程では脱燐処理を行う精錬形態としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、一次送酸精錬工程では脱珪処理を行い、二次送酸精錬工程では脱燐及び脱炭処理を行う精錬形態、一次送酸精錬工程では脱珪及び脱燐処理を行い、二次送酸精錬工程では脱炭処理を行う精錬形態、または一次送酸精錬工程では脱燐処理を行い、二次送酸精錬工程では脱炭処理を行う精錬形態であってもよい。なお、装入工程において炉内に収容される冷鉄源SやスラグSの量や、中間排滓工程におけるスラグSを炉外へ排出する量、出湯工程において炉体2内に二次送酸精錬工程後のスラグSを残留させる量などの各種操業条件は、上記各精錬形態に応じて、精錬効率や精錬コストが最小となるように適宜設定される。例えば、一次送酸精錬工程では脱珪処理を行い、二次送酸精錬工程では脱燐及び脱炭処理を行う精錬形態は、溶銑Mの珪素含有量が高い場合や、珪素を燃焼熱源として追加して大量のスクラップ溶解を行う場合、脱珪処理と同時に脱硫反応を進行させる場合などに用いられる。したがって、脱燐及び脱炭処理でのスラグ組成制御やスラグSからの復硫防止の観点から、特に中間排滓後の残留スラグ量を減少させることが必要となる。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る転炉型精錬炉1の遮断扉32は、水平方向に平行な一軸方向(x軸方向)に移動可能な第1の移動手段321aと、一軸方向の一端側に第1の召合せ部322aとを有し、転炉型精錬炉1の炉体2を囲む隔壁3の一部である固定壁31の炉前側開放部311の一部を覆うことが可能な第1の扉部32aと、第1の扉部32aと一軸方向に並んで配され、一軸方向に移動可能な第2の移動手段321bと、第1の扉部32aと対向する一軸方向の一端側に第2の召合せ部322bとを有し、炉前側開放部311の一部覆うことが可能な第2の扉部32bとを備え、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが合わさり、第1の扉部32aと第2の扉部32bとにより炉前側開放部311が覆われた閉じた状態において、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが合わさる位置である召し合わせ位置Pと、炉体2の炉口21の中心位置Pとの一軸方向に平行な方向における第1の距離d[m]が、0mよりも大きく、且つ、炉口21の半径r[m]、炉体2を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における炉口21と炉前床5との第2の距離L[m]、及び炉体2のトラニオン22の回転軸中心から炉口21までの高さH[m]との関係が(1)式を満たす。
上記(1)の構成によれば、召合せ位置Pを炉口21の中心位置Pからずらすことにより、転炉型精錬炉1において中間排滓を行う際に、召合せ位置Pに排出されたスラグSがかかることを防止することができる。このため、遮断扉32の召合せ位置Pやその下方の炉前床5へのスラグSの流入及び付着を抑制することができる。このため、遮断扉の召合せ部に付着した付着物により遮断扉が機能しなくなることを防止でき、さらに、付着物を除去する必要がなくなることから生産性を向上させることができる。また、上記(1)の構成によれば、遮断扉32を両開き式とすることで、一枚の扉部からなる片開き式の遮断扉に比べ、扉の開閉に要する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。なお、第1の距離dが(1)式を満たさない場合、スラグSをフォーミングさせた状態で中間排滓を行うと、炉口21からスラグSが流出する可能性がある領域に、召合わせ位置Pが位置することとなるため、召合せ部へのスラグSの付着の防止と、スラグSの排出速度の増大とを両立させることが困難であり、生産性を向上させる効果が十分に得られない。
(2)上記(1)の構成において、半径rに対する第1の距離dの比の値d/rが、0.2以上である。
(3)上記(2)の構成において、半径rに対する第1の距離dの比の値d/rが、0.86以上である。
(4)上記(3)の構成において、閉じた状態において、召し合わせ位置Pが、一軸方向に平行な方向において、第1の距離dが炉口21の半径rよりも長くなるように配される。
上記(2)〜(4)の構成によれば、中間排滓を行う際に、召合せ位置Pに排出されたスラグSがかかることを、より確実に防止することができる。
(5)上記(2)〜(4)のいずれかの構成において、第1の扉部32aの一軸方向の幅W1は、第2の扉部32bの一軸方向の幅W2の1.25倍以上4.0倍以下である。
上記(5)の構成によれば、一般的な転炉型精錬炉1において適用することができる。
(6)本発明の一態様に係る転炉型精錬炉1の操業方法は、転炉型精錬炉1の炉体2に収容された溶銑Mに酸素ガスを供給し、溶銑Mを送酸精錬する一次送酸精錬工程と、一次精錬工程の後、炉体2に収容された溶銑Mを炉体2に残留させたまま、炉体2の炉口21が炉前側に位置するように炉体2を傾転させて、一次送酸精錬工程で生成したスラグSの少なくとも一部を炉口21から排出する中間排滓工程と、中間排滓工程の後、炉体2に残留させた溶銑Mに酸素ガスを供給し、さらに送酸精錬する二次送酸精錬工程とを備え、中間排滓工程では、水平方向に平行な一軸方向(x軸方向)に移動可能な第1の移動手段321aと一軸方向の一端側に第1の召合せ部322aとを有し、炉体2を囲む隔壁3の一部である固定壁31の炉前側開放部311の一部を覆うことが可能な第1の扉部32aと、第1の扉部32aと一軸方向に並んで配され、一軸方向に移動可能な第2の移動手段321bと、第1の扉部32aと対向する一軸方向の一端側に第2の召合せ部322bとを有し、炉前側開放部311の一部を覆うことが可能な第2の扉部32bとを備えた遮断扉32を、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが合わさり、第1の扉部32aと第2の扉部32bとにより炉前側開放部311が覆われた閉じた状態で、スラグSを炉口21から排出し、閉じた状態では、第1の召合せ部322aと第2の召合せ部322bとが合わさる位置である召し合わせ位置Pと、炉体2の炉口21の中心位置Pとの一軸方向に平行な方向における第1の距離d[m]が、0mよりも大きく、且つ、炉口21の半径r[m]、炉体2を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における炉口21と炉前床5との第2の距離L[m]、及び炉体2のトラニオン22の回転軸中心から炉口21までの高さH[m]との関係が(1)式を満たす。
上記(6)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を得ることができる。また、中間排滓工程では、中間排滓処理に掛かる時間を短縮させることが必要となるが、スラグSの排出速度を上げてしまうと、スラグSが遮断扉32により大量にかかることとなる。しかし、上記(6)の構成によれば、中間排滓工程において、遮断扉32にスラグSがかかったとしても、召合せ位置PにスラグSがかかることがないため、スラグSの排出速度を上げることができ、中間排滓に掛かる時間を短縮させることができる。このため、転炉型精錬炉における生産性を向上させることができ、溶銑予備処理を実施する溶銑量や溶鋼の生産量を増大することができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、高さHに対する第2の距離Lの比の値L/Hが異なる複数の転炉型精錬炉1を用いて、溶銑Mを送酸精錬し、中間排滓時の遮断扉32へのスラグSの付着の状況を確認した。
まず、装入工程として、冷鉄源Sを予め装入した炉体2に高炉から出銑された溶銑Mを装入した。
次いで、遮断扉32を閉じて、一次送酸精錬工程として、脱珪処理を行った。一次送酸精錬工程では、送酸ランス7から酸素ガスを溶銑Mに供給すると共に、底吹きノズル23から攪拌ガスを溶銑Mに吹き込んだ。また、一次送酸精錬工程では、中間排滓工程でのスラグSの排滓性(排出性)を高めるために、スラグSの塩基度(スラグS中のSiOに対するCaOの質量%比)を0.8〜1.3の範囲に調整すると共に、送酸ランス7からの送酸速度とランス高さ(溶銑Mの浴面から送酸ランス7の下端までの高さ)を調整することで一次送酸精錬後のスラグS中の酸化鉄含有量が10〜30質量%となるような操業条件とすることで、スラグSをフォーミングさせた。
さらに、中間排滓工程として、炉体2を炉前側に炉口21が位置するように傾転させ、炉内のスラグSを炉口21から流出させた。中間排滓工程では、召合せ位置Pが炉口21の中心位置Pからx軸方向に第1の距離dだけ離れた遮断扉32を閉じた状態で中間排滓を行った。排出されたスラグSは、炉体2の下方に配した溶滓収容容器に収容させた。
その後、二次送酸精錬工程として、脱燐処理を行った。一次送酸精錬工程では、送酸ランス7から酸素ガスを溶銑Mに供給すると共に、底吹きノズル23から攪拌ガスを溶銑Mに吹き込んだ。
次いで、出湯工程として、炉体2を炉前側に炉口21が位置するように傾転させ、脱燐処理を行った溶銑Mを出湯孔24から排出させた。
図7に実施例の結果を示す。図7に示すグラフは、横軸が高さHに対する第2の距離Lの比の値L/H、縦軸が半径rに対する第1の距離dの比の値d/rとなるプロットであり、各条件において遮断扉32の召合わせ位置PへのスラグSの付着の有無を示す。なお、実施例では、各L/Hの条件における遮断扉32のx軸方向へのスラグSの付着の有無から、各d/rの条件においてスラグSの付着が有るか否かを判別した。図7に示すように、スラグSの付着が有るのはd/r<1−3L/Hの領域であり、実線Aを閾値とする、第1の距離dが、0mよりも大きく、且つ(1)式を満たす条件とすることで、遮断扉32の召合せ位置PにスラグSがかかることがないことが確認できた。また、図7の破線B,Cに示すように、上記の第1の距離dの条件に加えて、d/rを0.2以上、さらに0.86以上とすることで、より確実に遮断扉32の召合せ位置PへのスラグSの付着を抑制することができることが確認できた。
また、実施例では、実際に上記実施形態と同様に遮断扉32の召合わせ位置Pを配し、遮断扉32の召合せ位置PへのスラグSの付着の有無を確認した。図7に示す、L/Hが0.25、d/rが0.43となる条件のプロット、及びL/Hが0.15、d/rが1となる条件のプロットは、上記実施形態と同様に遮断扉32の召合わせ位置Pをずらして配した条件である。前者の条件では遮断扉の幅の比W1/W2は約1.5であり、後者の条件では遮断扉の幅の比W1/W2は約2.3であった。これらの条件では、中間排滓工程において、排出されたスラグSが召合せ位置Pにかかることがなかったため、スラグSの排出速度を上げることができ、召合せ位置Pが中心位置Pにある遮断扉に比べ、中間排滓工程に掛かる時間を短縮できることを確認した。また、中間排滓後において、遮断扉32の召合せ部322a,322bや炉前床5の召合せ位置Pに、スラグSなどの付着物がないことを確認した。
以上の結果から、本発明によれば、中間排滓を行う転炉型精錬炉1において、召合せ位置PへのスラグSの付着を抑制することができることが確認できた。
1 転炉型精錬炉
2 炉体
21 炉口
22 トラニオン
23 底吹きノズル
24 出湯孔
3 隔壁
31 固定壁
311 炉前側開放部
32 遮断扉
32a 第1の扉部
321a 第1の移動手段
322a 第1の召合せ部
323a 第1の保護板
32b 第2の扉部
321b 第2の移動手段
322b 第2の召合せ部
323b 第2の保護板
4 集塵設備
41 スカート
42 フード
5 炉前床
6 溶銑鍋
7 送酸ランス
W1,W2 (遮断扉の)幅
召合せ位置
(炉口の)中心位置
r (炉口の)半径
d 第1の距離
L 第2の距離
H (トラニオン回転軸中心から炉口までの)高さ
M 溶銑
スラグ
スクラップ

Claims (6)

  1. 水平方向に平行な一軸方向に移動可能な第1の移動手段と、前記一軸方向の一端側に第1の召合せ部とを有し、転炉型精錬炉の炉体を囲む隔壁の一部である固定壁の炉前側開放部の一部を覆うことが可能な第1の扉部と、
    前記第1の扉部と前記一軸方向に並んで配され、前記一軸方向に移動可能な第2の移動手段と、前記第1の扉部と対向する前記一軸方向の一端側に第2の召合せ部とを有し、前記炉前側開放部の一部覆うことが可能な第2の扉部と
    を備え、
    前記第1の召合せ部と前記第2の召合せ部とが合わさり、前記第1の扉部と前記第2の扉部とにより前記炉前側開放部が覆われた閉じた状態において、前記第1の召合せ部と前記第2の召合せ部とが合わさる位置である召し合わせ位置と、前記炉体の炉口の中心位置との前記一軸方向に平行な方向における第1の距離d[m]が、0mよりも大きく、且つ、前記炉口の半径r[m]、前記炉体を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における前記炉口と炉前床との第2の距離L[m]、及び前記炉体のトラニオンの回転軸中心から前記炉口までの高さH[m]との関係が(1)式を満たすことを特徴とする転炉型精錬炉の遮断扉。
    d/r≧1−3L/H ・・・(1)
  2. 前記半径rに対する前記第1の距離dの比の値d/rが、0.2以上であることを特徴とする請求項1に記載の転炉型精錬炉の遮断扉。
  3. 前記半径rに対する前記第1の距離dの比の値d/rが、0.86以上であることを特徴とする請求項2に記載の転炉型精錬炉の遮断扉。
  4. 前記閉じた状態において、前記召し合わせ位置が、前記一軸方向に平行な方向において、前記第1の距離dが前記半径rよりも長くなるように配されることを特徴とする請求項3に記載の転炉型精錬炉の遮断扉。
  5. 前記第1の扉部の前記一軸方向の幅は、前記第2の扉部の前記一軸方向の幅の1.25倍以上4.0倍以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の転炉型精錬炉の遮断扉。
  6. 転炉型精錬炉の炉体に収容された溶銑に酸素ガスを供給し、前記溶銑を送酸精錬する一次送酸精錬工程と、
    前記一次送酸精錬工程の後、前記炉体に収容された前記溶銑を前記炉体に残留させたまま、前記炉体の炉口が炉前側に位置するように前記炉体を傾転させて、前記一次送酸精錬工程で生成したスラグの少なくとも一部を前記炉口から排出する中間排滓工程と、
    前記中間排滓工程の後、前記炉体に残留させた前記溶銑に前記酸素ガスを供給し、さらに送酸精錬する二次送酸精錬工程と
    を備え、
    前記中間排滓工程では、水平方向に平行な一軸方向に移動可能な第1の移動手段と前記一軸方向の一端側に第1の召合せ部とを有し、前記炉体を囲む隔壁の一部である固定壁の炉前側開放部の一部を覆うことが可能な第1の扉部と、前記第1の扉部と前記一軸方向に並んで配され、前記一軸方向に移動可能な第2の移動手段と、前記第1の扉部と対向する前記一軸方向の一端側に第2の召合せ部とを有し、前記炉前側開放部の一部を覆うことが可能な第2の扉部とを備えた遮断扉を、前記第1の召合せ部と前記第2の召合せ部とが合わさり、前記第1の扉部と前記第2の扉部とにより前記炉前側開放部が覆われた閉じた状態で、前記スラグを前記炉口から排出し、
    前記閉じた状態では、前記第1の召合せ部と前記第2の召合せ部とが合わさる位置である召し合わせ位置と、前記炉体の炉口の中心位置との前記一軸方向に平行な方向における第1の距離d[m]が、0mよりも大きく、且つ、前記炉口の半径r[m]、前記炉体を正立した状態から反出湯側に90度傾転させた位置における前記炉口と炉前床との第2の距離L[m]、及び前記炉体のトラニオンの回転軸中心から前記炉口までの高さH[m]との関係が(1)式を満たすことを特徴とする転炉型精錬炉の操業方法。
    d/r≧1−3L/H ・・・(1)
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