上記課題を解決するためになされた本発明は、湾曲可能で、基端から遊端にかけて延在するとともに、その延在する方向を軸として回動可能な挿入部と、前記遊端の側に設けられた機能部材と、前記遊端の側に終端が固定された複数の制御ワイヤと、前記基端の側に設けられ、前記挿入部を湾曲させるべく前記複数の制御ワイヤの始端側を牽引する牽引部材とを備え、前記挿入部が回動するとき、前記機能部材、前記複数の制御ワイヤおよび前記牽引部材は前記挿入部とともに回動し、前記牽引部材は前記複数の制御ワイヤに対する牽引量を変化させて、前記挿入部の湾曲方向および湾曲角度を維持するようにしたものである。
これによって、挿入部の湾曲方向および湾曲角度を維持したまま挿入部の遊端の側を回動させて、遊端の側に設けられた機能部材としての撮像ユニットで撮像された画像と他の手術用機材等との間で天地を一致させることが可能となる。
また、本発明は、前記基端の側に湾曲不能な直線部が設けられ、前記牽引部材は、前記直線部に連結された回動部を備え、前記回動部の外周側の互いに異なる位置には前記複数の制御ワイヤがそれぞれ接続され、前記回動部は、前記直線部の軸と直交する面に対して傾斜可能で、かつ傾斜した状態で前記直線部とともに回動するようにしたものである。
これによって、挿入部の湾曲方向および湾曲角度には何ら影響を受けない直線部を回動させることで、湾曲した挿入部の遊端の側を回動させることが可能となる。
また、本発明は、前記牽引部材を挟んで前記直線部とは反対側に設けられて、前記直線部との同軸度が維持された球体軸受を備え、前記牽引部材は、前記回動部を相対的に回動可能に支持する静止部を備え、前記静止部は、前記球体軸受によって、前記直線部の軸と直交する面に対して傾斜可能に支持されているものである。
これによって、直線部と直交する面に対する静止部の傾斜方向および傾斜角度を容易に変化させることが可能になるとともに、静止部に支持された回動部の傾斜方向および傾斜角度を変化させることが可能となる。
また、本発明は、前記静止部を前記直線部の軸と直交する面に対して傾斜させるとともに、前記静止部の傾斜方向および傾斜角度を設定する傾斜設定部を更に備え、前記傾斜設定部は、前記回動部が回動する際に、前記直線部の軸と直交する所定の方向から見たときの前記静止部の傾斜方向および傾斜角度を維持するようにしたものである。
これによって、直線部の回動とともに回動部が回動した際においても、傾斜設定部によって静止部の傾斜方向および傾斜角度が維持され、挿入部の湾曲方向および湾曲角度を維持することが可能となる。
また、本発明は、前記直線部の外周に前記直線部を軸回りに回動させる回転操作部を備えるものである。
これによって、直線部の外周に設けられた回転操作部の外径を直線部の外径よりも大きくすることで、より小さな力で湾曲した挿入部の遊端の側を回動させることが可能となり、操作性が改善される。
また、本発明は、前記牽引部材はベアリングで構成され、前記回動部は前記ベアリングの外輪を含み、前記静止部は前記ベアリングの内輪を含むようにしたものである。
これによって、ベアリングといった汎用部品を用いて、挿入部の湾曲方向および湾曲角度を維持したまま挿入部の遊端の側が回動する内視鏡を構成することが可能となる。
また、本発明は、前記直線部には軸方向に延在する中空部が形成され、前記直線部の外周には、前記複数の制御ワイヤを前記中空部に導くワイヤガイドが設けられ、前記ワイヤガイドによって導かれた前記複数の制御ワイヤの終端が、前記挿入部の内面に固定されているものである。
これによって、挿入部を湾曲させる牽引力を挿入部の遊端の側まで確実に伝達することが可能となる。
また、本発明は、前記複数の制御ワイヤの各々が、前記牽引部材と前記ワイヤガイドとの間に1往復以上延在しているものである。
これによって、牽引部材上に実質的に動滑車を構成して、牽引部材を傾斜させた際の制御ワイヤの牽引量を増加させ、挿入部の湾曲角度を大きくすることが可能となる。
また、本発明は、前記機能部材を、撮像素子および前記撮像素子に入射光を結像する光学レンズで構成された撮像ユニットとしたものである。
これによって、撮像ユニットで挿入部の遊端が向く方向を撮像しつつ、湾曲した挿入部の遊端の側を回動させることで、画像を回転させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明に用いる方向については、原則として各図中の方向の記載に従うものとする。ただし、筒状、棒状に構成された部材については部材が延在する方向を、また回動する部材については回転軸の方向を「軸方向」と呼称することがある。また、軸を中心として内外に向かう方向を「径方向」、軸を中心として回動する方向を「周方向」と呼称することがある。また、軸方向に直交する断面が矩形形状である部材についても、便宜上「径方向」、「周方向」と呼称することがある。
図1は、本発明の実施形態に係る内視鏡1の全体構成図である。図1に示すように、内視鏡1は、主に把持部2と、連結部3と、連結部3を介して把持部2と連結された直線パイプ状で湾曲不能な直線部4と、湾曲可能に構成された挿入部5と、機能部材の一例としての撮像ユニット6aが収納された硬性部6と、直線部4を延在方向を軸として回動させる回転操作部7とで構成されている。
ここで、硬性部6の先端から回転操作部7の後端までの長さL1は約600mm、硬性部6の長さL2は約15mm、挿入部5の長さL3は約60mm、直線部4の長さL4は約450mm程度であり、また硬性部6、挿入部5、直線部4の外径は最大部分で約10mm程度とされている。手術の際には、このうち硬性部6と挿入部5とがトロッカーやトロッカーチューブを介して患部まで案内される。一方、直線部4の一部は体外に出た状態で術式が執り行われる。
把持部2には挿入部5を湾曲させるべく操作を行う第1操作部2aと、硬性部6に搭載された撮像ユニット6aによる撮像方向を操作する第2操作部2bとが設けられている。施術者等が第1操作部2aを操作すると、挿入部5はその操作量に応じて所定の方向(例えば下方)に向けて湾曲し、硬性部6に設けられた撮像ユニット6aの撮像方向が変化、即ち視野が移動する。把持部2において第1操作部2aは第1軸Ax1を中心として回転可能であり、操作性を考慮して、この回転方向と挿入部5の湾曲方向とが一致するようにされている。
なお、以降の説明において、第1操作部2aの操作によって挿入部5が湾曲し、これによって視野を移動させる動作を「湾曲動作」、湾曲によって硬性部6の先端が向く方向と直線部4の軸方向(第2軸Ax2)とがなす角度を「湾曲角度」、前面視において湾曲によって硬性部6の先端が向く方向を「湾曲方向」のように呼称することがある。そして、例えば硬性部6の先端が下方(上方)に向くように挿入部5が湾曲することを「下方(上方)に向けて湾曲する」のように表現することがある。
また、第2操作部2bも第1軸Ax1を中心として回動し、施術者等が第2操作部2bを操作すると、硬性部6に枢支された撮像ユニット6aの視野が、ここでは前方と下方との間を移動する。なお、以降の説明において、第2操作部2bを操作することによって視野を移動させる動作を「チルト動作」、あるいは単に「チルト」と呼称する。なお、第1操作部2aおよび第2操作部2bは、把持部2に設けられたストッパ(図示せず)によって操作範囲(第1軸Ax1を軸とする回動範囲)が規制されている。なお、第1操作部2a、第2操作部2bは図示するようなレバー式の他、回転グリップ等を用いてもよい。
図1は、内視鏡1の初期状態を示しており、このとき挿入部5は直線状で、かつ硬性部6における撮像ユニット6aの視野は前方を向いている。この状態から、第1操作部2aを操作すると挿入部5は下方に向けて湾曲し、第2操作部2bを操作すると撮像ユニット6aは下方に向けてチルトする。ここで、挿入部5の湾曲角度を0゜〜90゜、撮像ユニット6aのチルト角度を0゜〜90゜とすれば、湾曲動作とチルト動作とを組み合わせることで、挿入部5の湾曲角度を大きくせずとも(即ち、湾曲の際に大きな空間を占めることなく)視野の移動範囲を0゜〜180゜まで拡大することが可能となる。即ち、本実施形態の内視鏡1は、初期状態として直線状であった挿入部5が湾曲することで機能部材の先端が向く方向(撮像方向)と、枢支された機能部材が回動することで機能部材の先端が向く方向とが、略同一とされている。
把持部2の前方には連結部3が設けられている。連結部3は、把持部2に支持されるとともに、その前方において直線部4に接続されている。後述するように、第1操作部2aの操作によって発生した力はリンク部材10によって連結部3に伝達され、連結部3ではこの力を牽引力として挿入部5の遊端5bまで伝達する。
直線部4は、挿入部5の基端5aの側に一端が取り付けられ、第2軸Ax2方向に延在する中空部4a(図3等参照)を有する筒状かつ直線状の部材であり、ここではステンレス鋼で構成されている。直線部4は連結部3を介して把持部2に連結されて、把持部2から前方に向けて延伸されている。第2操作部2bの操作によって発生した力は(以降、第2操作部2bや第1操作部2a等を操作することで発生した力を「操作力」と呼称する)、把持部2の内部に設けられたギア機構によって第2軸Ax2を軸とする回転力に変換され、この回転力が硬性部6まで伝達される。なお、連結部3には第2軸Ax2方向に貫通する軸受開口部2d(図8等参照)が設けられており、回転力は連結部3を経由することなく直接的に硬性部6に向けて伝達される。
なお、把持部2は観察対象(ここでは、人体)の内部を撮影して得られた静止画および動画に対して画像処理等を行うビデオプロセッサ40と接続されており、ビデオプロセッサ40で処理された画像はディスプレイ装置41に表示される。一方、内視鏡1はビデオプロセッサ40から電力や各種の制御信号を受け取り、制御信号に基づくタイミングで撮像ユニット6aにおいて撮像が行われる。
図2は、挿入部5の構成を示す斜視図である。図示するように、挿入部5は基端5aから遊端5bにかけて延在しており、基端5aと遊端5bとの間において連結された複数の関節ピース30から構成される。以降の説明で、複数の関節ピース30の集合体が構成する軸を「挿入部5の軸」、その方向を「挿入部5の軸方向」のように呼称することがある。挿入部5は湾曲可能であることから、「挿入部5の軸方向」は湾曲方向および湾曲角度に応じて変化する。
関節ピース30は、ここではステンレス鋼で構成され、挿入部5の軸方向から見たときに略矩形状をなす部材であり、いずれも同一形状とされている。各関節ピース30は、前面視で左右(または上下)対称の位置にジョイント部30aを有し、関節ピース30はジョイント部30aを回動中心として隣接する関節ピース30に対して所定角度だけ回動可能に構成されている。挿入部5の軸方向から見たときに、ジョイント部30aを周方向に交互に90゜ずつずらして複数の関節ピース30を連結することで、挿入部5の遊端5bは基端5aに対して任意の方向に湾曲可能に構成されている。
また矩形形状の関節ピース30のうち、ジョイント部30aが形成されていない辺には、挿入部5の外縁から内径方向に屈曲するように形成されたワイヤ導通片30bが設けられ、ワイヤ導通片30bに形成された貫通孔に後述する制御ワイヤ20(図3等参照)が延設される。
また、周方向にジョイント部30aとワイヤ導通片30bとの間、即ち、前面視で略矩形状の関節ピース30の角部分には、関節ピース30の外面から凹陥する第1溝部30cが設けられている。挿入部5全体をみたとき、第1溝部30cは挿入部5の軸に沿って延設され、第1溝部30cには撮像ユニット6aから引き出されて画像データをビデオプロセッサ40に伝送する信号線、電源ライン等を束ねた伝送ケーブル18が収納されている。ただし、挿入部5が湾曲すると挿入部5の外面では軸方向の長さが変化することから、伝送ケーブル18は第1溝部30cに対して相対的に変位可能(即ち、挿入部5の軸に沿って摺動可能)に収納されている。なお、第1溝部30cが形成されている関節ピース30の角部分とは異なる他の角部分には第2溝部30dが延設されている。
第2溝部30dには、例えば硬性部6の先端に向けて照明光を伝送する光ファイバ束や、洗浄液を供給する送水管(いずれも図示せず)が収納される。また、図2に現れない背面側に、第3および第4溝部を構成してもよく、硬性部6に撮像ユニット6a以外の機能部材を搭載する場合に、その機能部材が機械的な駆動力を必要とする場合(例えば機能部材が鉗子や超音波メスであるような場合)は、第3溝部等にパイプを延設し、このパイプ内に挿通されたワイヤ等を介して駆動力を伝達してもよい。なお、挿入部5の外周を柔軟性の高い被覆材(図示せず)で覆うようにしてもよい。
図3、図4は、連結部3の基本構成および連結部3の状態と挿入部5の湾曲状態との関連を示す説明図、図5は、連結部3を構成する牽引部材8およびワイヤガイド9を前方からみた概略構成図である。ここで、図3は、挿入部5が直線状となっている状態(初期状態)を、図4は、挿入部5が下方に向けて湾曲している状態を示している。以下、図3、図4、図5を用いて、挿入部5が一方向(ここでは上下方向)に湾曲可能にされた基本構成について説明する。
連結部3は、連結部筐体3aと、連結部筐体3a内に設けられた牽引部材8およびワイヤガイド9とで構成されている。牽引部材8を挟んで直線部4と反対側には、球体軸受2cが把持部2から前方に突出するように設けられ、連結部筐体3aは、その後部において球体軸受2cの軸部分に第2軸Ax2を軸とする回動および前後方向への移動を規制された状態で固定され、その前部において直線部4を第2軸Ax2を軸として回動自在に支持している。連結部筐体3aによって、直線部4の軸は球体軸受2cの軸(第2軸Ax2)と常に一致するよう、即ち同軸度を維持されて支持されている。
図5に示すように、牽引部材8は前面視で円形状をなす円盤状の部材であって(詳細な構成例は後に説明する)、図3に示すように、後方に設けられた静止部8cと前方に設けられた回動部8dとで構成される。静止部8cは後方から球体軸受2cによって支持されている。球体軸受2cは、牽引部材8の全体が前後方向に移動するのを規制する一方で、直線部4の軸(第2軸Ax2)と直交する面に対して、牽引部材8(静止部8c)を任意方向に傾斜可能に支持している。一方、回動部8dは静止部8cに対して相対的に回動可能とされている。
ワイヤガイド9は、主に第1定滑車9aaと第2定滑車9abとで構成される部材であり、基本構成では、2つのワイヤガイド9が直線部4の上下に固定されている。
図3、図4に示すように、牽引部材8の回動部8dには第2軸Ax2を挟んで上下2カ所にガイド片8aが設けられ、ガイド片8aは直線部4の後端近傍に前後方向に長孔として形成されたガイド孔4bに係合されている。ガイド片8aとガイド孔4bとは係合機構を構成する。この係合機構によって牽引部材8は直線部4の後端の側においても支持され、直線部4(第2軸Ax2)に対して相対的に変位(傾斜)可能とされている。即ち、回動部8dは、直線部4の軸と直交する面に対して傾斜可能で、かつ傾斜した状態で直線部4とともに回動する。
上述したように、直線部4は連結部筐体3aによって球体軸受2cとの同軸度を維持され、一方で牽引部材8は球体軸受2cによって傾斜可能とされているため、本構成によれば、連結部3の前後で把持部2(球体軸受2c)と直線部4との相対的な位置関係は不変のまま(即ち、両者の同軸度が維持されたまま)で、連結部3内において牽引部材8の傾斜方向および傾斜角度が変化する。ただし、ガイド片8aとガイド孔4bによる係合構造が設けられることで、牽引部材8が傾斜可能な方向は限定され、ここでは図3と図4との関係から理解されるように、牽引部材8は図4に示す第3軸Ax3を回動中心とする傾斜のみが許容され、その際の角度θの最大値は実質的に係合構造におけるガイド孔4bの前後長さによって決定される。
図3に示すように、牽引部材8の上部は、連結部3の内部において、コイルばね等の弾性体で構成された付勢部材8bによって常時後方に向けて付勢されており、他方、牽引部材8の下部は上述したリンク部材10を介して第1操作部2aによって後方に牽引されている。
また、牽引部材8の外周部において、上方には第1制御ワイヤ20aが、下方には第2制御ワイヤ20bの始端が固定されている(以降、これらをまとめて制御ワイヤ20と呼称することがある)。制御ワイヤ20としては、ステンレスワイヤの撚糸等を好適に用いることができる。本実施形態においては、制御ワイヤ20は第1動力伝達部材を構成し、制御ワイヤ20の始端側は牽引部材8によって後方に牽引される。基本構成では、制御ワイヤ20は牽引部材8の外周部において、第2軸Ax2を挟んで周方向に180゜離間した部位(ここでは、上下方向の外周部)に始端が固定されている。そして、制御ワイヤ20の固定位置に対応して牽引部材8の前方にワイヤガイド9が設けられている。
ワイヤガイド9は直線部4の外周に相対変位不能に固定されており、外周側に設けられた第1定滑車9aaと内周側に設けられた第2定滑車9abとで構成される。制御ワイヤ20は、まず第1定滑車9aaによって外周側から内周側へと延伸方向を変えられ、次に第2定滑車9abによって後方から前方へと延伸方向を変えられる。第2定滑車9abによって延伸方向を前方に変えられた制御ワイヤ20は筒状の直線部4の中空部4a内を挿入部5の基端5aまで導かれ、次いで挿入部5の内側に向けて突出したワイヤ導通片30b(図2参照)の導通孔を順次経由して挿入部5の遊端5b側に導かれる。
そして、図3に示すように、第1制御ワイヤ20aの終端は、挿入部5の遊端5b側の内面おいて、挿入部5の上方に設けられた第1固定点5dに固定され、同様に第2制御ワイヤ20bは、挿入部5の下方に設けられた第2固定点5eに固定される。
図3に示す初期状態において、第1操作部2aを操作して、牽引部材8の下部に後方に向けて操作力を付与すると、図4に示すように、牽引部材8は第1操作部2aの操作量に応じて、第2軸Ax2に直交する面に対して第3軸Ax3を軸として角度θだけ傾斜する。牽引部材8の傾斜に伴って第2制御ワイヤ20bが後方に牽引され、挿入部5の遊端5bの側において第2固定点5eが牽引されて、最終的に挿入部5は下方に向けて湾曲する。このとき、挿入部5の湾曲に伴って、第1固定点5dに接続された第1制御ワイヤ20aは前方に向けて繰り出されることになる。
なお、牽引部材8によって制御ワイヤ20が引き出される長さ(以降、「牽引量」と呼称する)は、第3軸Ax3を軸とする牽引部材8の傾斜角度および、制御ワイヤ20の始端が牽引部材8に固定されている位置と第3軸Ax3(正確には、制御ワイヤ20の始端が固定されている面と第2軸Ax2との交点)までの距離とによって決定される。従って、牽引部材8の外径を大きくすることによって牽引量が増大され、これによって挿入部5の湾曲角度を大きくすることができる。牽引部材8が収納される連結部筐体3aは体外にあるため、外径のサイズについては特に制限を受けることはない。
本実施形態では、図3に示すように挿入部5が湾曲していない状態を初期状態としているが、付勢部材8bの張力を調整して、挿入部5が上方に向けて湾曲する状態を初期状態としてもよい。このようにすることで、第1操作部2aの操作によって、挿入部5は上方に向けて湾曲した状態から図3に示す直線状態となり、更に操作を加えることで、図4に示すように下方に向けて湾曲した状態まで変位させることが可能となる。
また、基本構成では、連結部筐体3aの内部において、牽引部材8の上部は付勢部材8bによって後方に付勢されるとしているが、牽引部材8の上部もリンク部材10と結合して、上下でプッシュプル構成としてもよい。このようにすることで、第1操作部2aの操作に基づいて第1制御ワイヤ20aを牽引して、図3に示す初期状態から、挿入部5を上方に向けて湾曲させることが可能となる。
また、例えば隣接する関節ピース30間をばね等の弾性部材(図示せず)で連結して、挿入部5が初期状態として自律的に直線状態(あるいは上述した、上方に向けて湾曲した状態)を維持するように構成してもよい。この場合、制御ワイヤ20を牽引しない場合、挿入部5は自身が備える弾性によって初期状態に復帰するため、挿入部5の湾曲方向は一方向に限定されるものの、制御ワイヤ20は最低限1本で足りる。
図6(a)、(b)は、連結部3の第1変形例を示す説明図である。上述した基本構成ではワイヤガイド9は第1定滑車9aa、第2定滑車9ab(図3等参照)を有していたが、第1変形例ではワイヤガイド9を単一の部材として構成している。図示するように、第1変形例においてワイヤガイド9は前方に小径部9b、後方に大径部9cを有するフランジ形状の部材で構成される。第1変形例のワイヤガイド9は、その表面において金属製の制御ワイヤ20が摺動するためステンレス鋼等の金属やセラミクスで構成することが望ましい。
第1変形例では、ワイヤガイド9は前後方向に2ピース化された直線部4に挟まれている。即ち、直線部4は前部4cおよび後部4dで構成されて、ワイヤガイド9の小径部9bに形成された同心円状の溝に前部4cが、同様に大径部9cに形成された溝に後部4dが嵌合される。直線部4の後部4dの後端近傍にはガイド孔4bが形成されて、このガイド孔4bが牽引部材8のガイド片8aと係合されている。
ワイヤガイド9の大径部9cの外周面および前面にはガイド溝9dが延設され、このガイド溝9dは大径部9cの内周側においては大径部9cと小径部9bとの間に延設され、その後、更に小径部9bの内周面を前後方向に延設されて小径部9bの前面に至る。このガイド溝9dによって制御ワイヤ20がガイドされる。なお、小径部9bおよび大径部9cはそれぞれ別部材として作成され、これらを接着することでワイヤガイド9として一体化される。このような構成とすることで、大径部9cと小径部9bとが重なった部分にガイド溝9dを簡易に設けることができる。
始端が牽引部材8に固定された制御ワイヤ20は、ガイド溝9dを経由して大径部9cの前面の外縁(第1方向転換部9e)および小径部9bの下面の内縁(第2方向転換部9f)で、それぞれ延伸方向が転換される。第1方向転換部9eおよび第2方向転換部9fはいずれもR面取りされており、制御ワイヤ20がガイド溝9dに沿ってスムーズに移動可能とされている。また、制御ワイヤ20が移動する際の摩擦を小さくするため、第1方向転換部9eおよび第2方向転換部9fの表面にフッ素加工等を施して摺動性を高めるのが望ましい。もちろん制御ワイヤ20に対して高摺動性の加工を施してもよい。
図7(a)、(b)は、挿入部5の遊端5b側に取り付けられた硬性部6の構成を示す透視図である。硬性部6は、主にカメラ支持体6bと、カメラ外郭6dと、撮像ユニット6aと、撮像ユニット6aを変位させる機能部材変位部6eと、外部からの駆動力を機能部材変位部6eに伝達する軸継手被係合部6fとで構成される。
カメラ外郭6dは略円筒状に構成されたステンレス製の部材である。カメラ外郭6dの前後方向の長さは、上側が長く、下側が短くされており、カメラ外郭6dの先端には前後方向に対して斜めにカットされたカット面が形成されている。カット面には半球状の透明なドーム6cが設けられ、ドーム6c内には撮像ユニット6aが設けられている。
撮像ユニット6aは、小型のCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)で構成される撮像素子(図示せず)、およびドーム6cを介して入射された被写体光を撮像素子に結像させる光学レンズ(図示せず)を有している。撮像ユニット6aはカメラ支持体6bの左右において前後方向に延設された支持アーム6gによって左右両側から枢支されている。なお、このような形状の撮像ユニット6aは、例えばスマートフォンやタブレット端末に使用されるカメラモジュールを流用することで、容易に実現できる。
機能部材変位部6eは、第4軸Ax4から径方向に離間して撮像ユニット6aに設けられた係合部6iと、係合部6iにおいて撮像ユニット6aの両側に係合されるとともに、係合部6iから後方に延伸された駆動アーム6eaと、駆動アーム6eaを後方から支持するアーム支持体6ebとで構成される。前面視においてアーム支持体6ebの略中央には前後を貫く螺子穴6jが設けられ、螺子穴6jには軸継手被係合部6fが挿通されている。
軸継手被係合部6fはカメラ支持体6bを貫通してカメラ支持体6bの後端から露出し、その後端には前方に向けて凹陥する角穴6faが設けられている。硬性部6の内部において軸継手被係合部6fの前部はリードスクリュー6fbを構成している。リードスクリュー6fbとアーム支持体6ebに形成された螺子穴6jとは螺合され、リードスクリュー6fb(軸継手被係合部6f)を第5軸Ax5回りに回転させることで、アーム支持体6ebに設けられた駆動アーム6eaが支持アーム6gに沿って前後方向に移動する。このように機能部材変位部6eは、軸継手被係合部6fで受けた回転運動を直線運動に変換する。
駆動アーム6eaの前後方向の移動に伴って、係合部6iに係合された撮像ユニット6aは、支持アーム6gによって枢支された軸、即ち第4軸Ax4を中心として回動する。図7(a)に示すように、軸継手被係合部6fは、挿入部5の遊端5b側に突出する軸継手係合部21aと係合されており、軸継手係合部21aを第5軸Ax5を軸として回転させることで、第5軸Ax5に対して傾斜する方向に、撮像ユニット6aが変位(回動)する。これによって撮像ユニット6aによる撮像方向は、少なくとも前方(第5軸Ax5)方向から下方(第6軸Ax6)の間で変化し、これによって視野の上下方向への移動、即ち、チルト動作が実現される。なお、上述したリードスクリュー6fbの溝ピッチ等を適宜設定することで回転量に対する前後方向の移動量が設定され、枢支された撮像ユニット6aの回転角度を精密に調整することが可能となる。
このように、本実施形態では撮像素子と光学レンズとを備える撮像ユニット6aそのものが、枢支された軸の回りを回動するように構成したが、硬性部6において撮像素子を固定するとともに、撮像素子と光学レンズの間に枢支されたミラー部材(光学部材)を回動させて光路を変化させるように構成してもよい。
図8、図9は、チルト動作に供する駆動力を硬性部6に伝達する構成を示す説明図である。図示するように、把持部2と硬性部6との間には第2動力伝達部材としてスプリングジョイント21が延設されている。把持部2の側において、スプリングジョイント21は図示しないギア列等を介して第2操作部2b(図1参照)と機械的に接続されており、第2操作部2bを操作することによって、スプリングジョイント21が第2軸Ax2を軸として回転するように構成されている。上述のように、撮像ユニット6aはリードスクリュー6fbの回転力を直線運動に変換することで回動し、このとき把持部2に設けられたギア列は、第2操作部2bの第1軸Ax1(図1参照)回りの回転操作を複数回の回転運動に変換する。なお、スプリングジョイント21を可撓性のパイプ内に収納し、このパイプを把持部2と硬性部6との間に延設してもよい。
把持部2に設けられた球体軸受2cの先端、および連結部3に設けられた牽引部材8の径方向の中央部分には、それぞれ軸受開口部2d、牽引部材開口部8eが形成されている。スプリングジョイント21は軸受開口部2d、牽引部材開口部8eを経由して直線部4の中空部4a内を、第2軸Ax2に沿って前方に延伸される。即ち、スプリングジョイント21によって伝達される回転力は、牽引部材8との間で相互に干渉しないようにされている。
挿入部5の基端5a側には基端側支持部材5fが、遊端5b側には遊端側支持部材5gが取り付けられている。図8において基端側支持部材5fおよび遊端側支持部材5gは、いずれも前面視で関節ピース30と略同一の外形を有し、その外周面には外縁から内径方向に向かって複数の切欠き部(図示せず)が形成され、更に基端側支持部材5fおよび遊端側支持部材5gの径方向の中央部には貫通孔(図示せず)が設けられている。切欠き部には制御ワイヤ20が通され、また貫通孔にはスプリングジョイント21が通される。
挿入部5においても、スプリングジョイント21は挿入部5の中空部5c内を、挿入部5の軸に沿って延伸される。図9に示す挿入部5を湾曲させた状態においても、スプリングジョイント21を中空部5cの径方向の中心に位置させるため、関節ピース30の全てまたはその一部に、基端側支持部材5fおよび遊端側支持部材5gと同様に構成した図示しない中間支持部材(ただし、径方向のサイズは関節ピース30の内部に収まるように小さくされている)を付加し、この中間支持部材の貫通孔にスプリングジョイント21を通すようにしてもよい。
以下、図7(a)を併用して説明を続ける。遊端側支持部材5gからはスプリングジョイント21の先端が突出している。この先端には角ボルト形状の軸継手係合部21aが取り付けられている。この軸継手係合部21aと硬性部6の後端に設けられた軸継手被係合部6fの角穴6faとが連結されて、スプリングジョイント21の回転力が硬性部6(機能部材変位部6e)に伝達される。
以降、図8、図9を用いて、本実施形態に係る内視鏡1の動作について説明する。図8は、挿入部5が第2軸Ax2方向に直線状になっており(即ち、硬性部6が前方を向き)、かつ硬性部6に設けられた撮像ユニット6aの視野が前方を向いている状態を示している。図8に示す状態で、施術者等が把持部2の第2操作部2b(図1参照)を操作すると、その操作量に応じてスプリングジョイント21が回転し、これに伴って硬性部6に枢支された撮像ユニット6aが回動して視野は前方(第5軸Ax5の方向)から下方(第6軸Ax6の方向)へと移動する。撮像ユニット6aの回動角度は最大90゜とされており、施術者等は撮像ユニット6aの回動角度、即ちチルト角度を第5軸Ax5と第6軸Ax6との間で任意に調整することができる。
図8に示す状態から施術者等が把持部2の第1操作部2aを操作すると、その操作量に応じて牽引部材8が傾斜し、これによって制御ワイヤ20(ここでは、第2制御ワイヤ20b)が牽引されて、図9に示すように、挿入部5は前方(第2軸Ax2の方向)から下方(第7軸Ax7の方向)に向けて湾曲する。挿入部5の湾曲角度は、ここでは最大90゜とされており、施術者等は挿入部5の湾曲角度を第2軸Ax2と第7軸Ax7との間で任意に調整することができる。
更に、図9に示す状態においても、施術者等はチルト角度を第5軸Ax5と第6軸Ax6との間で任意に調整することができる。ここで、挿入部5が湾曲する方向D2と枢支された撮像ユニット6aが回動(チルト)する方向D3とが略同一とされていることで、挿入部5の湾曲動作と、撮像ユニット6aのチルト動作によって、視野を前方(第2軸Ax2)から後方(第6軸Ax6)に180゜の範囲で移動させることが可能となる。即ち、本実施形態の構成によれば、挿入部5の湾曲角度を徒に大きくする必要がなく、挿入部5を短く構成しても視野を広範囲に移動させることができる。また、挿入部5の湾曲角度が小さくて済むことから、内視鏡1を狭い空間においても使用することができる。更に、挿入部5の湾曲角度が小さくなることで制御ワイヤ20の摩耗等が減少し、長期にわたって信頼性を維持することが可能となる。
本実施形態では、挿入部5を湾曲させるべく、挿入部5の基端5aの側で生じさせた操作力を牽引力として遊端5bの側に向けて伝達する第1動力伝達部材(制御ワイヤ20)、および硬性部6に機能部材として枢支された撮像ユニット6aを変位(回動)させるべく、基端5aの側で生じさせた操作力を回転力として遊端5bの側に向けて伝達する第2動力伝達部材(スプリングジョイント21)が、挿入部5の基端5aから遊端5bにかけて挿入部5の中空部5cに延在している。
そして上述したように、制御ワイヤ20は挿入部5の内面に沿って配置され、スプリングジョイント21は挿入部5の径方向の略中央に配置されている。従って、制御ワイヤ20を操作して挿入部5を湾曲させても、挿入部5の径方向の中央に配置されたスプリングジョイント21の経路長は不変であることから、スプリングジョイント21の先端に設けられた軸継手係合部21a(図7(a)参照)と硬性部6の後端に設けられた軸継手被係合部6f(図7(a)参照)とが常に安定して係合することとなり、撮像ユニット6aのチルト動作に用いる駆動力(回転力)を安定して伝達することができる。即ち、本実施形態によれば、挿入部5における制御ワイヤ20とスプリングジョイント21との経路を完全に分離して、しかも視野の移動に供される駆動力を牽引力と回転力といった異なる種類の伝達方式に分離して伝達することから、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材の相互の干渉を防止し、湾曲動作およびチルト動作の独立性を確保することができる。
なお、以上の説明において、チルト動作の駆動力を伝達する第2動力伝達部材として、スプリングジョイント21を例示したが、第2動力伝達部材を可撓性を有する棒状部材で構成してもよい。またこの棒状部材を長手方向に分割して複数の分割片とし、上述した挿入部5と同様の構成を採用して各分割片をジョイントで結合するようにしてもよい。
図10(a)は、連結部3の第2変形例を示す説明図、(b)は、連結部3の第3変形例を示す説明図である。図10(a)、(b)はそれぞれ、連結部3を構成する牽引部材8およびワイヤガイド9を前方から見たものである。上述した基本構成および第1変形例では、連結部3を構成する牽引部材8には2本の制御ワイヤ20が接続されていたが、第2、第3変形例は、牽引部材8に接続される制御ワイヤ20の数を増加させたものである。
図10(a)に示すように、第2変形例では連結部3を構成する牽引部材8に3本の制御ワイヤ20の始端が接続されている。制御ワイヤ20は、第2軸Ax2を中心として周方向に角度θ1=120゜ずつ離間するように牽引部材8の外周側に接続される。そして、制御ワイヤ20の終端は基本構成で説明したとの同様に、ワイヤガイド9の第1定滑車9aaおよび第2定滑車9abによって延伸方向を変えられた後、最終的に挿入部5の遊端5b(図3等参照)側において挿入部5の内面に接続されている。そして挿入部5を前方から見た際に、遊端5b側に接続された制御ワイヤ20の終端は、それぞれ挿入部5の軸を中心として周方向に角度θ1=120゜だけ離間している。
図10(b)に示すように、第3変形例では牽引部材8に4本の制御ワイヤ20の始端が接続されている。制御ワイヤ20は、第2軸Ax2を中心として周方向に角度θ2=90゜ずつ離間するように牽引部材8の外周側に接続される。そして、制御ワイヤ20の終端は、第2変形例と同様に、それぞれ挿入部5の軸を中心として周方向に角度θ2=90゜だけ離間するように挿入部5の遊端5b(図3等参照)側の内面に接続される。なお、第2変形例、第3変形例では、ワイヤガイド9を第1定滑車9aaおよび第2定滑車9abで構成しているが、定滑車に替えて、第1変形例で説明したようなフランジ状の部材で構成してもよい。
このように制御ワイヤ20を3本あるいは4本で構成すると、制御ワイヤ20の一または複数を選択的に牽引することで、挿入部5を任意の方向に湾曲させることが可能となり、更に制御ワイヤ20の牽引量を制御することで湾曲角度も調整できる。なお、このような構成に対応して、把持部2(図1参照)には図示しない第3操作部が設けられる。施術者等が、第3操作部および第1操作部2a(図1参照)を操作することで、挿入部5の湾曲方向および湾曲角度が調整、固定される。即ち、これらの操作部やリンク部材10(図1参照)を含む把持部2は、牽引部材8を直線部4の軸方向(第2軸Ax2)と直交する面に対して傾斜させるとともに、牽引部材8の傾斜方向および傾斜角度を設定する傾斜設定部を構成する。そして傾斜設定部を操作することで牽引部材8の傾斜方向または傾斜角度が変化し、牽引部材8に接続された複数の制御ワイヤ20に対して選択的に牽引力が加わることで、挿入部5が任意の方向に湾曲する。
以降、図10(b)に図3、図4を援用して、本実施形態における硬性部6の回動動作について説明する。なお、以降の説明において、牽引部材8には図10(b)に示すように4本の制御ワイヤ20が接続されているものとする。図3、図4においては、そのうち上下に配置された2本(第1制御ワイヤ20a、第2制御ワイヤ20b)のみが現れており、図面の表側において図10(b)に示す第3制御ワイヤ20cの始端が、図面の裏側において第4制御ワイヤ20dの始端が牽引部材8に接続されている。
図3、図4に示すように、直線部4の外周には直線部4を第2軸Ax2回りに回動させる回転操作部7が固定されている。ただし、回転操作部7および直線部4は無制限に回動する訳ではない。即ち、把持部2には図示しないストッパが設けられており、ストッパに規制されることで、回転操作部7は最大1回転(あるいは時計回りまたは反時計回りについて半回転ずつ)の回動が許容されている。このように直線部4の回動が制限されることで、挿入部5の軸方向に沿って延在する伝送ケーブル18(図2参照)が過大に捻じれてしまうことが防止される。
更に、上述したように、牽引部材8の静止部8cは、球体軸受2cによって第2軸Ax2と直交する面に対して任意の方向に傾斜可能、かつ第2軸Ax2を軸として回動不能に固定される。一方、牽引部材8の回動部8dは第2軸Ax2から角度θだけ傾斜した方向を軸として回動可能に構成されている。また、直線部4の後端近傍の上下には前後方向に長孔をなすガイド孔4bが設けられ、牽引部材8のガイド片8aがガイド孔4bによってガイドされ、牽引部材8は直線部4に対して相対的に傾斜可能とされている。
ここで、連結部3は図10(b)に示すように左右についても上下と同様の構成を備えることから、牽引部材8は、図4に示す第8軸Ax8を軸として左右にも傾斜可能とされている。即ち、牽引部材8は第3軸Ax3および第8軸Ax8を軸とする回動が可能に構成されている。そして、牽引部材8の傾斜方向および傾斜角度は把持部2の第1操作部2a(リンク部材10)および第3操作部(図示せず)によって固定されている。なお、図4では、牽引部材8が第3軸Ax3を回動中心として反時計回りに角度θだけ傾斜し、他方、第8軸Ax8の回りには回動していない状態を示しており、このとき挿入部5は下方に向けて湾曲する。
このような状態において、直線部4の外周に固定された回転操作部7を第2軸Ax2を軸として回動させると、回転操作部7の回動に伴って、直線部4が第2軸Ax2を軸として回動する。この回転は、直線部4に設けられたガイド孔4bと牽引部材8に設けられたガイド片8aとを介して牽引部材8の回動部8dに伝達される。回動部8dは牽引部材8の静止部8cに対して回動自在とされているから、回動部8dは第2軸Ax2に対して角度θだけ傾斜した軸を回転軸として回動する。
回動部8dが回動すると、これに伴って回動部8dに始端が固定された制御ワイヤ20および直線部4に固定されたワイヤガイド9も同時に回動する。牽引部材8が回動する際に、上述した傾斜設定部は、直線部4の軸方向(第2軸Ax2)と直交する所定の方向から見たときの静止部8cの傾斜方向および傾斜角度を維持する。これによって、静止部8cに回動可能に支持された回動部8dが回動する際も、回動部8dの傾斜方向および傾斜方向が維持される。即ち、牽引部材8の傾斜方向および傾斜角度については、回転操作部7を回動させても常に図4に示す状態が維持されるため、回動部8dの回動とともに牽引部材8によって牽引される複数の制御ワイヤ20のそれぞれの牽引量が変化して、挿入部5は下方に向けて湾曲した状態を保つ。即ち、回転操作部7を回動させると、挿入部5の遊端5bは第5軸Ax5を軸として方向D1に回動することになる。
以下、図9を援用して説明を続ける。挿入部5の遊端5bが回動することで、遊端5b側に取り付けられた硬性部6も回動し、撮像ユニット6aによる当初の撮像方向が第6軸Ax6の方向(後方)だとすると、視野は第5軸Ax5を軸として方向D1(周方向)に移動する。即ち、本実施形態では、挿入部5が回動するとき、機能部材としての撮像ユニット6a、複数の制御ワイヤ20および牽引部材8は挿入部5とともに回動し、牽引部材8は複数の制御ワイヤ20に対する牽引量を変化させて、挿入部5の湾曲方向および湾曲角度を維持する。これはカメラワークにおける「パン」に対応する動作であり、以降、周方向に視野を移動させる動作を「パン動作」あるいは単に「パン」と呼称する。
また、当初の撮像方向が第5軸Ax5である場合、挿入部5の遊端5bが回動することで、撮像された画像は光軸回りに回転する。これはカメラワークにおける「ロール」に対応する動作であり、以降、光軸回りに画像を回転させる動作を「ロール動作」あるいは単に「ロール」と呼称する。なお、「パン動作」と「ロール動作」とを合わせて「パン動作等」のように呼称する。
なお、本実施形態では、挿入部5の湾曲方向および湾曲角度には何ら影響を受けない直線部4を回動させるといった、簡易かつ直観的な操作でパン動作およびロール動作が行え、また上述した回転操作部7の外径は直線部4の外径よりも大きく構成され、より小さな力でこれらの動作が行えるようにして操作性の改善を図っている。
さて、このようにパン動作等の際に硬性部6が回動するが、このとき硬性部6は、挿入部5の軸に沿って延設されたスプリングジョイント21に対しても相対的に回動することとなる。このため、パン動作等は、厳密にはスプリングジョイント21を回転させるのと等価の回転力を生じさせる。しかしながら、上述したように枢支された撮像ユニット6a(図7参照)を回動させるためには、リードスクリュー6fbの多数回の回転を要し、更にパン動作等による硬性部6の回動は最大で1回転に制限されることから、パン動作等によってチルト角度が変位することは大きな問題とはならない。
ただし、このような副次的なチルト角度の変化が問題となる場合は、硬性部6または把持部2(図1参照)に、あるいは硬性部6と把持部2との間に、スプリングジョイント21による動力伝達を遮断する動力遮断部(図示せず)を設けてもよい。具体的には、動力遮断部として把持部2において構成されるギア列中に電磁クラッチ(図示せず)を介在させるとともに、回転操作部7(図1参照)にスイッチや静電容量変化を検出するタッチセンサ等を設けて、回転操作部7に対して施術者等による操作が及んだ場合に、電磁クラッチによってスプリングジョイント21の回転力を切り離すように構成してもよい。
このように、本実施形態の内視鏡1は、体腔内等において挿入部5を任意方向に湾曲させることが可能であるとともに、挿入部5の遊端5b側に設けられた撮像ユニット6aがチルトおよびパン動作等を行うものである。これによって、施術者による視野操作の自由度が大幅に向上し、本実施形態の内視鏡1を様々な術式に適用することが可能となる。そして、湾曲、チルト、パンおよびロールの全ての操作を施術者等の手元で行うことができるため、より安全に手術等を行うことが可能となる。
また、手術においては、内視鏡1の他に鉗子やレーザメス等といった他の手術用機材が体腔内に挿入されるが、内視鏡1と他の機材との位置関係によっては(例えば、内視鏡1の硬性部6の先端とレーザメスの先端とが向き合うような位置関係である場合)、レーザメスを移動させるべき方向と内視鏡1で撮像された画像の方向とが一致しない場合がある。本実施形態によれば、図9において、撮像ユニット6aによる撮像方向を第5軸Ax5の方向としたとき、硬性部6をロールさせることによって、光軸回りに画像を回転させること(天地反転)ができる。従って、他の機材の操作方向と画像とで天地(左右)を常に一致させることができ、手術等の安全性が確保できる。なお、天地反転(上下180゜の反転)は単純な画像処理によって対応できるが、画像の回転角度を任意としたとき、画像処理では補間によって画素を生成するため、特に撮像素子の画素数が少ない場合に解像度が低下する。この点、本実施形態の内視鏡1は撮像ユニット6aそのものをロールさせるため、解像度が低下することもない。
図11(a)は、連結部3の具体構成を示す分解斜視図、(b)は、牽引量を拡大する構成を示す説明図、(c)は、(b)の要部を示す説明図である。図11は、図10(b)に示す構成の具体例を示すものである。ただし、図11では、ワイヤガイド9として図6を用いて説明したフランジ状の部材を用いている。
図11(a)に示すように、牽引部材8はベアリング81と牽引板82とで構成されている。ベアリング81は内輪81aと外輪81bとの間に金属ボールを収容した、いわゆるボールベアリングである。
内輪81aの後方には図示しないフランジ状部材が内輪81aに対して回動不能に嵌合され、このフランジ状部材は把持部2から前方に突出する球体軸受2c(図3等参照)によって支持されている。また、フランジ状部材は球体軸受2cの軸部分において回り止めがなされ、これによって内輪81aは、球体軸受2cに対して傾斜可能かつ回動不能に支持される。フランジ状部材は内輪81aとの嵌合部分より後方において外径方向に張り出した大径部(図示せず)を備える。そして、この大径部には上述した傾斜設定部を構成するリンク部材10(図1参照)が連結され、リンク部材10の操作によって、ベアリング81の球体軸受2cに対する傾斜方向および傾斜角度が変化する。
一方、ベアリング81の外輪81bにはキャップ形状の牽引板82が固定されており、牽引板82はベアリング81の内輪81aに対して回動自在に設けられる。ベアリング81の内輪81aは、図3、図4に示す牽引部材8の静止部8cに相当し、ベアリング81の外輪81bおよび牽引板82は回動部8dに相当している。
牽引板82の外周側には、上下左右の各方向において、第1制御ワイヤ20a〜第4制御ワイヤ20dの始端側が固定され、制御ワイヤ20の各固定位置から内径方向に向かう中間位置には、牽引板82の前後を貫通する係合孔82aが設けられている。なお、係合孔82aは、図3、図4に示すガイド片8aに相当する。
ここで、直線部4の後部4dの後端には、係合孔82aと対応する位置に係合片4eが後方に向けて突設されている。係合片4eは、その後端において径方向に突設された係合爪4fを備えている。なお、係合片4eおよび係合爪4fは、図3、図4に示すガイド孔4bに相当する。係合片4eは牽引板82の係合孔82aに挿入され、後部4dは係合爪4fによって牽引板82からの抜け止めがなされる。ただし、係合片4eは前後方向に所定のストロークを備えており、係合片4eの基部とその後端に設けられた係合爪4fとの間に遊びが存在することで、直線部4の後部4dと牽引板82とは相対的に変位しうる。
ワイヤガイド9の大径部9cは、直線部4の後部4dの前端に固定され、またワイヤガイド9の小径部9bは、直線部4の前部4cの後端に固定されている。連結部3をこのように構成することで、牽引部材8を第2軸Ax2に直交する面に対して傾斜させることが可能となる。そして、牽引板82に始端を固定された制御ワイヤ20は、ワイヤガイド9を経由して直線部4の中空部4a(図3等参照)に導かれ、牽引部材8を傾斜させることで発生した牽引力が挿入部5(図3等参照)に向けて伝達される。なお、図示するように、ベアリング81、牽引板82、ワイヤガイド9には、いずれも径方向の中央に開口が形成されており、この開口に上述したスプリングジョイント21(図8等参照)が挿通される。
さて、図11(a)に示す構成では、制御ワイヤ20の始端は牽引板82の外周側に固定されており、牽引板82を傾斜させることで、牽引板82の外周の変位(図4に示すように、牽引部材8は第3軸Ax3、第8軸Ax8を軸として回動する)のうち前後方向の移動量がそのまま、制御ワイヤ20の牽引量となる。挿入部5の湾曲角度は牽引量によって決定されるから、湾曲角度を大きくしようとすると牽引量も大きくする必要がある。
図11(b)に示すように、牽引板82には各制御ワイヤ20に対応するワイヤ中継部82bが設けられている。制御ワイヤ20の始端はワイヤガイド9の後面(裏面)の外周側に固定され、制御ワイヤ20は、ワイヤガイド9(大径部9c)を起点として後方に向かい、牽引板82においてワイヤ中継部82bによって延伸方向が180゜逆転されて前方に向かう。その後、制御ワイヤ20は、再度ワイヤガイド9の外周面から引き入れられて、既に説明した経路を経て直線部4(前部4c)の中空部4a(図3等参照)に延伸される。即ち、制御ワイヤ20は牽引板82とワイヤガイド9との間を一往復する。
ワイヤ中継部82bは、図11(c)に示すように、牽引板82を前後に貫通する2つの貫通孔82c,82cによって構成され、制御ワイヤ20は貫通孔82c,82cを挿通することによって実質的に牽引板82に接続される。即ち、図11(b)の構成においても、制御ワイヤ20の始端側は牽引部材8によって後方に牽引される。なお、制御ワイヤ20をスムーズに摺動させるため、牽引板82の後面において貫通孔82c、82cの中間部分は曲面によって構成するのが望ましい。そしてこの曲面部分には摩耗を防止するため高摺動性の被膜を施してもよい。また、ワイヤ中継部82bを滑車で構成してもよい。
このように構成することで、傾斜可能な牽引板82に設けられたワイヤ中継部82bは実質的に動滑車として機能する。従って、動滑車を備える牽引板82を傾斜させたときの制御ワイヤ20による牽引量は、図11(a)の構成と比較して2倍に拡大される。このような拡大変位機構を設けることで、挿入部5の湾曲角度を拡大することが可能となる。なお、図11(b)では、1本の制御ワイヤ20に対して単一の動滑車を備える構成を例示しているが、1本の制御ワイヤ20に対して牽引板82に複数の動滑車を設け、制御ワイヤ20を牽引板82とワイヤガイド9との間を複数回にわたって往復するように延在させてもよい。この場合、ワイヤガイド9(大径部9c)の側にも、図11(c)に示す貫通孔82c,82cが設けられ、ここに制御ワイヤ20が挿通される。これによって、制御ワイヤ20の牽引量を大幅に増加させて、挿入部5の湾曲角度をより大きくすることが可能となる。
図12は、連結部3の第4変形例を示す説明図である。図12は、連結部3を構成する牽引部材8およびワイヤガイド9を前方から見たものである。図10(b)に示す第3変形例では、連結部3に設けられたワイヤガイド9は、一組の第1定滑車9aaと第2定滑車9abとで構成され、各ワイヤガイド9を第2軸Ax2を中心として、周方向に互いに90゜ずつ離間して4組設けたものであった。第4変形例では、上下に配置されたワイヤガイド9は第3変形例で説明した構成と同様であるが、左右に配置されたワイヤガイド9は第2軸Ax2と直交する面において、制御ワイヤ20の引き回し方向を変化させる第3定滑車9acおよび第4定滑車9adを含む。
左右に配置されたワイヤガイド9では、第3制御ワイヤ20c、第4制御ワイヤ20dは、牽引部材8を起点として第1定滑車9aa、第3定滑車9ac、第4定滑車9ad、第2定滑車9abの順に引き回され、最終的に第3制御ワイヤ20cは第2制御ワイヤ20bと近接するように、第4制御ワイヤ20dは第1制御ワイヤ20aと近接するように、2本の制御ワイヤ20がペアにされて前方に延伸される。
図13は、第4変形例における挿入部5の湾曲状態を示す説明図である。第4変形例では、制御ワイヤ20の1つのペアにおいて、挿入部5の内面に固定される終端の位置を異ならせている。即ち、第1制御ワイヤ20aおよび第4制御ワイヤ20dで構成されるペアにおいて、第1制御ワイヤ20aの終端は挿入部5の内面において遊端5bの近傍に設けられた第1固定点5dに固定され、一方、第4制御ワイヤ20dの終端は挿入部5の内面において基端5aと遊端5bとの中間に設けられた中間点(第4固定点5i)に固定される。基端5aから中間点までの長さは、基端5aから遊端5bの長さの約1/2とすればよい。同様に、他方のペアを構成する第2制御ワイヤ20bの終端は遊端5b側の第2固定点5eに固定され、第3制御ワイヤ20cの終端は基端5aと遊端5bとの中間の第3固定点5hに固定される。
ここで、例えば第3制御ワイヤ20cを牽引すると、挿入部5の後半は下方に向けて湾曲する。一方、このとき牽引されていない第1制御ワイヤ20aおよび第2制御ワイヤ20bは、挿入部5の中空部5cにおける総延長が一定に保たれるから、結果的に第3制御ワイヤ20cの牽引と同時に挿入部5の前半は前方に向けて湾曲して図13に示す状態となる。この状態で、更に第1制御ワイヤ20aを牽引すると、挿入部5の前半のみが上方に向けて湾曲する。このように、第4変形例では患部に対して平行に挿入した挿入部5をS字状に湾曲させて、患部を正面から観察することが可能となる。
図14は、連結部3の第5変形例を示す説明図である。図14は、連結部3を構成する牽引部材8およびワイヤガイド9を前方から見たものである。第5変形例では、ワイヤガイド9は第1ワイヤガイド群9gと第2ワイヤガイド群9hとから構成されている。第1ワイヤガイド群9gは、図10(b)に示す4つのワイヤガイド9と同等の構成を備える。第2ワイヤガイド群9hは、第1ワイヤガイド群9gに対して第2軸Ax2を中心として周方向に45゜回転した状態で設けられる。
図15は、第5変形例における内視鏡1の概略構成および挿入部5の湾曲状態を示す説明図である。第5変形例では、内視鏡1は上述した牽引部材8に加えて第2牽引部材90を備えている。牽引部材8は第3変形例として説明した構成と同様に第3軸Ax3および第8軸Ax8を軸として傾斜可能に構成されている。一方、第2牽引部材90も球体軸受2cと同軸上(第2軸Ax2上)に設けられた第2の球体軸受(図示せず)に支持され、第9軸Ax9および第10軸Ax10を軸として傾斜可能に構成されている。なお、図15では、図面が複雑になるのを避けるため、第1ワイヤガイド群9g、第2ワイヤガイド群9hの一部、制御ワイヤ20の一部のみを描いている。
牽引部材8に始端を固定された制御ワイヤ20は第1ワイヤガイド群9gによって直線部4の中空部4aに導かれて挿入部5まで延伸され、その後、挿入部5の基端5aと遊端5bとの中間位置において挿入部5の内面に固定される。なお、図15においては、制御ワイヤ20の終端が固定される位置として、第3固定点5hおよび第4固定点5iの2カ所のみを記載しているが、実際は中間位置において周方向にそれぞれ90゜離れた4カ所に固定されている。また、第2牽引部材90に始端を固定された制御ワイヤ20は第2ワイヤガイド群9hによって同様に挿入部5まで延伸され、その後、挿入部5の遊端5bにおいて挿入部5の内面に固定される。なお、図15においては、制御ワイヤ20の終端が固定される位置として、第1固定点5dのみを記載しているが、実際は4カ所に固定される。
このように構成することで、牽引部材8について第3軸Ax3および第8軸Ax8を回動中心として傾斜方向と傾斜角度とを調整することで、挿入部5の後半部分を湾曲させることができ、他方、第2牽引部材90について第9軸Ax9および第10軸Ax10を回動中心として傾斜方向と傾斜角度を調整することで、挿入部5の前半部分を湾曲させることができる。これによって、例えば挿入部5の後半を下方に向けて湾曲させ、前半を左方に向けて湾曲させるような、複雑な動作を実現することが可能となる。
更に、第5変形例においても、牽引部材8および第2牽引部材90は回転操作部7(図4参照)とともに回動可能とされており、図4を用いて説明したように、施術者等が回転操作部7を回動させることで、直線部4および挿入部5が回動して撮像ユニット6aはパンおよびロール動作を行う。
更に、球体軸受2cには軸受開口部2dが、牽引部材8には牽引部材開口部8eが設けられ、これらを経由してスプリングジョイント21が前方に延伸され、硬性部6に連結されている。図7、図9を用いて詳細に説明したように、施術者等が第2操作部2b(図1参照)を操作することで、硬性部6に設けられた撮像ユニット6a(図7等参照)がチルト動作を行う。このように、第5変形例では挿入部5の湾曲方向の自由度を拡大するとともに、硬性部6においてパン、ロールおよびチルト動作を可能としたことから、内視鏡1が適用される範囲が更に拡大される。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、実施形態において機能部材として撮像ユニット6aを例示して説明したが、挿入部5の遊端5b側に接続される機能部材としては、レーザメス、超音波メス、鉗子、ポリープ切除等に用いるスネアー等の医療用器具であってもよい。
なお、上記実施形態に示した本発明に係る内視鏡1の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。