JP5918018B2 - 内視鏡及び内視鏡装置並びに内視鏡システム - Google Patents

内視鏡及び内視鏡装置並びに内視鏡システム Download PDF

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Description

本発明は、外径に制限のある極細型の内視鏡及び内視鏡装置並びに内視鏡システムに関する。
近年、3次元画像を用いた診断が広く行われるようになっている。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置等により患者の断層像を撮像し、体内の3次元画像データを得て、この3次元画像データを用いて目標部位の診断等が行われる。
CT装置では、患者を体軸方向に連続送りしながら、X線照射と、この照射されたX線が体内を通過し、一部が体内で吸収されて減衰したX線の検出とを行い、体内の3次元領域について螺旋状に連続スキャン(ヘリカルスキャン:helical scan)する。そして、連続した多数の断層2次元画像から、3次元画像を作成している。
診断に用いられる3次元画像の1つに、肺の気管支の3次元画像がある。気管支の3次元画像は、例えば肺癌等が疑われる異常部の位置を3次元的に把握するのに利用される。そして、異常部を生検によって確認するために、例えば、カテーテルを挿入して組織のサンプルを採取している。この場合には、X線透視下で、先端にX線不透過の金属マーカを有するカテーテルを挿入し、半ば手探り状態で患部に到達する。しかし、透視の白黒二次元画像で正しい場所に到達させることは困難であり、場合によっては、異なった場所の組織を採取してしまい、再度カテーテルを挿入しなければならないなど、被検者にも術者にも負担が大きいものとなっている。
また、気管支のような多段階の分岐を有する体内の管路では、異常部の所在が気管支の末端に近いとき、内視鏡の先端を短時間で正しく目的部位に到達させることが難しい。このために、例えば特許文献1に開示されているように、体内の3次元領域の画像データに基づいて管路の3次元画像を作成し、3次元画像上で管路に沿って目的点までの経路を求め、経路に沿った管路の仮想内視鏡画像を画像データに基づいて作成し、仮想内視鏡画像を表示することで、気管支内視鏡を目的部位にナビゲーションする挿入支援装置が提案されている。
特許文献2には、光ファイバとこれを被覆する屈曲可撓性に富む被覆とからなる光ファイバセンサの先端部を予め所望の曲げ半径で屈曲しておき、この屈曲型光ファイバセンサを直状管内に挿入して、光ファイバセンサを直状管内で進退させることにより、直状管から出た光ファイバセンサの屈曲角度を任意に設定可能にする構成が提案されている。このような構成により、複数の関節環をピン結合により揺動自在に連結し、ワイヤ操作により先端部を湾曲させる先端部構造にした内視鏡に比べて、関節環の連結構造が不要になり、細径化を図ることができる。
特開2009−279251号公報 特開昭61−273517号公報
しかしながら、特許文献2に開示されているような極細の光ファイバセンサを用いた内視鏡と、特許文献1に開示されている内視鏡の挿入支援装置を用いて、挿入のナビゲーションを行い、分岐部で目的とする管路に向けて進路変更しようとしても、所望の屈曲角度や回転角度が得られないという問題がある。特に、直径に制限のある極細内視鏡では、挿入部先端を回転させようと手元側で挿入部を回転させても、そのトルクが挿入部先端に伝達されることがなく、先端を思う方向に回転させることができない。このため、内視鏡を引き込んだ後に再度進めて戻したりして、進路変更を行う必要から、迅速に目的部位に内視鏡先端を到達させることができないという問題がある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、所望の方向に容易に進路変更が可能な極細型の内視鏡及び内視鏡装置並びに内視鏡システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明では、先端に配される先端硬性部、先端硬性部と一体に設けられた観察ユニット、先端硬性部の基端側に連結された可撓チューブ、先端硬性部の基端、且つ可撓チューブの内側に回転可能に設けられた回転筒、回転筒と一体に設けられ、可撓チューブの内周面と当接する突起部、及び回転筒を可撓チューブの筒芯回りに回転させる回転機構を有する挿入部と、挿入部の基端に取り付けられる手元操作部とを備えることを特徴とする。
回転機構は、回転筒と連結され、回転筒を周方向に牽引する牽引ワイヤと、牽引ワイヤを牽引する方向を回転筒の周方向から筒芯方向に変換する方向変換手段とを備えることが好ましい。また、先端硬性部の基端に設けられ、回転筒を回転可能に支持し、且つ回転筒とともに屈曲する支持部材を備え、方向変換手段は、支持部材に形成され、牽引ワイヤをガイドするガイド溝であることが好ましい。これにより、複数の関節環などを設ける必要がなく、構成が簡単になり、内視鏡の極細化に寄与することができる。
回転機構は、回転筒の基端側周縁に沿って一体に設けられたラックギヤと、ラックギヤと噛合する伝達ギヤと、伝達ギヤと連結され、伝達ギヤ及びラックギヤを介して回転筒を回転させる牽引ワイヤとを備えることが好ましい。また、先端硬性部の基端に設けられ、回転筒を回転可能に支持し、且つ回転筒とともに屈曲する支持部材を備え、支持部材は、ラックギヤと噛合する位置に伝達ギヤを回転自在に支持するギヤ取り付け部を有することが好ましい。これにより、複数の関節環などを設ける必要がなく、構成が簡単になり、内視鏡の極細化に寄与することができる。
手元操作部は、操作部材によって回転されるプーリが設けられ、牽引ワイヤは、プーリに巻き掛けられた無端ワイヤであり、プーリの回転により駆動されることが好ましい。これにより、牽引ワイヤをエンドレスで駆動することができるため、屈曲操作がより簡単になる。
回転機構は、回転筒の基端部に形成され、回転筒の筒芯に対し斜めに形成される傾斜溝と、この傾斜溝に係合する係合部を有する係合部材と、係合部材が設けられたワイヤと、係合部材を傾斜溝の先端側に付勢するコイルバネとを有することが好ましい。また、回転筒を回転自在に支持し、且つ回転筒とともに屈曲する支持部材を備え、支持部材は、ワイヤを筒芯方向にガイドするガイド部と、係合部材とともにコイルバネを挟み込んで保持する保持部とを有することが好ましい。これにより、複数の関節環などを設ける必要がなく、構成が簡単になり、内視鏡の極細化に寄与することができる。
観察ユニットは、端硬性部と、先端硬性部に取り付けられる観察光学系及びイメージガイドとを有し、可撓チューブの外径が2.0mm以下であることが好ましい。観察光学系とイメージガイドを用いることにより、現状では小型化に限界のある撮像ユニットを用いたものに比べて、内視鏡の極細化に寄与することができる。また、可撓チューブの外径を2.0mm以下とすることにより、ガイドシースを含めた全体の外径が2.4mm以下とすることができ、気管支内視鏡として抹消に近い部分まで挿入部先端を到達させることができる。
本発明の内視鏡装置は、上記の内視鏡と、挿入部が先端から出没自在に挿通されるガイドシースとを備え、ガイドシースは、このガイドシースの先端から、回転筒が突出する長さに形成されていることが好ましい。この場合には、ガイドシースの内部に挿入部を収納した状態ではガイドシースとともに直管状になり、ガイドシースの先端から屈曲部を出した状態では先端部が所定方向に向いた状態とすることができる。また、ガイドシースには、X線不透過の金属製マーカが埋め込まれることにより、X線透視下で金属マーカの位置を検出しながら、ガイドシース及び挿入部先端を目標部位に到達させることもできる。さらにまた、ガイドシースに挿通され、ガイドシースの先端から出没自在にされる処置具を備えたことが好ましい。
本発明の内視鏡は、上記の内視鏡装置と、観察対象の3次元の画像データに基づき観察対象の管腔の仮想内視鏡画像を生成する仮想画像生成手段と、観察対象の管腔が分岐する分岐部における複数の仮想内視鏡画像を表示させる画像表示手段とを有する挿入支援装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、挿入部を構成する可撓チューブの内周面と当接する突起部と一体に設けられた回転筒を回転機構によって筒芯回りに回転させているので、挿入部を屈曲状態とし、さらに挿入部の先端部を所望の向きに容易に変更することができる。また、ガイドシース内に収納された状態では、ガイドシースによって挿入部が直管状態で収納される。この屈曲状態と直管状態との状態変更と、回転機構による回転とにより、任意の方向に挿入部先端を進行させることができる。しかも、複数の関節環を連結させる構成が不要になり、挿入部の外径を小さくすることができる。
内視鏡システムを示す概略図である。 内視鏡システムの使用形態を示す説明図である。 内視鏡システムの別の使用形態を示す説明図である。 挿入部の構成を示す分解斜視図である。 挿入部及びガイドシースの要部断面図である。 先端硬性部を基端側から視た斜視図である。 屈曲部の構成を示す斜視図である。 回転機構の構成を示す説明図である。 挿入部が屈曲している状態の要部断面図である。 挿入支援装置の挿入経路設定画面を示す説明図である。 挿入支援装置の挿入支援画面を示す説明図である。 内視鏡の観察像の変化の一例を示す説明図であり、挿入部を屈曲させる前の状態(A)と、挿入部を屈曲及び回転させて観察像の位置を合わせた状態(B)とを示す説明である。 第1実施形態の変形例における屈曲部及び回転機構の構成を示す斜視図である。 第1実施形態の変形例におけるワイヤ固定凸部周辺の構成を示す斜視図である。 第2実施形態の挿入部の構成を示す分解斜視図である。 第2実施形態の屈曲部及び回転機構の構成を示す斜視図である。 第2実施形態の挿入部が屈曲している状態の要部断面図である。 第3実施形態の挿入部の構成を示す分解斜視図である。 第3実施形態の屈曲部及び回転機構の構成を示す斜視図である。 第3実施形態のカム溝が形成された回転筒を展開した展開図である。 第3実施形態の挿入部が屈曲している状態の要部断面図である。
図1に示すように、本発明の内視鏡システム2は、内視鏡本体3、ガイドシース4を有する内視鏡装置5と、挿入支援装置6とを備える。内視鏡本体3は、挿入部7及び手元操作部8を有する。図2に示すように、内視鏡本体3は、ガイドシース4の内部に挿入部7が収納された状態で、例えば観察対象である患者9の体内の管腔である気管支10に挿入され、気管支10内が観察可能になっている。また、内視鏡装置5は、処置具11を備えており、気管支10内の目的部位10A近傍まで挿入部7及びガイドシース4を挿入した後は、ガイドシース4から挿入部7を引き抜いて、処置具11をガイドシース4の内部に挿入させる。処置具11は、例えば先端部に生体組織を採取可能なカップ11Aを有する生検鉗子であり、ガイドシース4に挿通され、ガイドシース4の先端から出没自在にされる。
図3に示すように、内視鏡システム2は、内視鏡装置5とは別の内視鏡装置12と組み合わせて使用することもある。内視鏡装置12は、CCDなどの撮像手段を内蔵する先端部13A、及び関節環を連結させた構造の湾曲部13Bを設けた挿入部13と、挿入部13の基端に連設された手元操作部14と、挿入部13及び手元操作部14の内部に設けられた処置具挿通チャンネル(図示せず)とを備える従来の内視鏡であり、手元操作部14には、処置具入口14Aを有し、先端部13Aには、処置具導出口13Cを有している。内視鏡装置12の挿入部13は、気管支10の細い管路に挿入できず、気管支10の末端に近い目的部位10Aに到達できないことがある。この場合、処置具入口14Aから本発明の内視鏡装置5を内視鏡装置12の処置具挿通チャンネルへ挿通させ、処置具導出口13Cからガイドシース4及び挿入部7を突出させる。ガイドシース4及び挿入部7は、内視鏡装置12の挿入部13よりも外径が細く、挿入部13よりも細い管路まで挿入させることができる。
図4及び図5に示すように、挿入部7は、先端硬性部19、屈曲部20、可撓チューブ21に区分けされている。この挿入部7は、ガイドシース4に挿通され、ガイドシース4の先端から出没自在にされる。挿入部7の先端に位置する先端硬性部19は硬性の合成樹脂製または金属製の円筒体から形成されており、先端外周面が先細りのテーパになっている。先端硬性部19内には、観察光学系22、ライトガイド23、イメージガイド24が収納される。このため、先端硬性部19の内周面は、先端から順に内径が異なる第1内周面19a、第2内周面19b、第3内周面19cが形成されている。
観察光学系22は、先端から順に第1レンズ25、絞り26、第2レンズ27、第3レンズ28が配されて構成されている。このうち、絞り26、第2レンズ27、第3レンズ28がレンズ鏡筒29に収納される。
先端硬性部19の第1内周面19aは、第1レンズ保持部として機能し、外周面近くまで形成されている。この第1内周面19aには観察光学系22の第1レンズ25が固着される。第2内周面19bは、第1内周面19aの内径よりも小さい内径を有し、レンズ鏡筒29の脱落防止用の係止段部として機能する。第3内周面19cは、第1内周面19aの内径よりも小さく、且つ第2内周面19bの内径よりも大きい内径を有する。
図6に示すように、第2内周面19b及び第3内周面19cは、一部分が切り欠かれ、その切り欠き部分がライトガイド導入溝30として機能する。ライトガイド導入溝30は、円周方向に90°ピッチで4個形成されている。このライトガイド導入溝30には、ライトガイド23が挿入される。ライトガイド23は、光ファイバを束ねた光ファイババンドルから構成されており、先端部23aが4分割されて各ライトガイド導入溝30内に挿入される。ライトガイド23の基端には、光源31(図1参照)が設けられている。光源31からの照明光は、ライトガイド23の先端から射出され、患者の体内を照明する。なお、光源31としては、例えば、コネクタを介して内視鏡本体3と接続される外部の光源装置に設けられた光源が好ましく、あるいは内視鏡本体3に内蔵された光源でもよい。
先端硬性部19の第3内周面19cで、各ライトガイド導入溝30の間には、レンズ鏡筒保持部32が内側に突出して形成されている。このレンズ鏡筒保持部32によって、観察光学系22のレンズ鏡筒29が保持される。なお、符号33はイメージガイド24の先端部カバー、符号34はイメージガイド24の保護チューブ、符号35はライトガイド23の保護チューブである。なお、図4においては、図面の煩雑化を防ぐため、保護チューブ34及び保護チューブ35の図示を省略している。
先端部カバー33は、例えば硬性の合成樹脂製または金属製の円筒体から形成され、イメージガイド24の先端部に固着され、レンズ鏡筒29の内部に挿入されている。先端部カバー33とともにレンズ鏡筒29の内部に挿入されたイメージガイド24は、中心軸が観察光学系22の光軸と同一軸上、且つ先端面が第3レンズ28に近接する位置に固定されている。これにより、先端硬性部19、観察光学系22及びイメージガイド24が観察ユニットとして一体化される。
先端硬性部19の外周面は、先端からテーパ面19d、外周面19eに区分けされている。また、先端硬性部19の基端からは、レンズ鏡筒保持部32が筒芯方向に突出している。この基端から延びているレンズ鏡筒保持部32にはライトガイド23の保護チューブ35が固着される。さらに、保護チューブ35の上から、屈曲部20の支持部材38が固着される。
図7に示すように、屈曲部20は、回転筒36と、回転筒36と一体に設けられた突起部37と、支持部材38とを備える。回転筒36は、第1外周面36aと、第2外周面36bとを有する。突起部37は、第1外周面36aから突出して配されており、先端側と基端側には、第1外周面36aと連続するテーパー面が形成されている。第2外周面36bは、第1外周面36aより外径が小さく形成され、後述する無端ワイヤ40が巻き付けられる。
また、回転筒36は、中心に対して突起部37と反対側の位置に周囲の第1外周面36aよりも一段凹となる凹部36cが形成されている。回転筒36は、この凹部36cが形成されている箇所の肉厚が薄く形成されており、凹部36cを有することにより、回転筒36は、可撓チューブから外力を受けたとき、突起部37が外側且つ凹部36cを内側にする方向に弾性を有し、屈曲しやすくなっている。
図8に示すように、挿入部7は、突起部37とともに回転筒36を筒芯回りに回転させる回転機構39を備える。回転機構39は、支持部材38と、無端ワイヤ40と、プーリ41とを有する。無端ワイヤ40は、回転筒36の第2外周面36bに周方向に沿って複数回、例えば2〜3回巻き付けられている。無端ワイヤ40は、さらに可撓チューブ21内を通り、手元操作部8に案内される。手元操作部8の内部では、プーリ41に巻き掛けられている。無端ワイヤ40と第2外周面36bとの間には所定値以上の摩擦力を有しており、プーリ41の回転により無端ワイヤ40が牽引されると、無端ワイヤ40との摩擦力により第2外周面36bが周方向に引っ張られる。これにより回転筒36が筒芯回りに回転する。
支持部材38は、弾性筒部42と、嵌合部43と、一対のガイド溝44とを有する。弾性筒部42は、円筒の一部を切欠いて螺旋状に形成されているため、弾性を有する。この弾性筒部42の先端部は、ライトガイド23の保護チューブ35に外嵌されて固着される。これにより、支持部材38は先端硬性部19の基端に取り付けられる。嵌合部43は、弾性筒部42及び回転筒36の第2外周面36bよりも外径が大きく形成されている。嵌合部43の先端側には、弾性筒部42の外周面に沿って嵌合溝43aが形成されている。回転筒36は、内周面が弾性筒部42の外周面に嵌合し、且つ第2外周面36bの基端部が嵌合溝43aと嵌合することにより、支持部材38に対して回転自在に支持される。さらに弾性筒部42及び回転筒36の弾性により、回転筒36が外力を受けたとき、回転筒36が屈曲する。
一対のガイド溝44は、嵌合部43の一部を先端から基端まで切り欠いて嵌合溝43aと連続し、且つ弾性筒部42及び嵌合部43の筒芯方向に沿って延びるように形成されている。ガイド溝44に無端ワイヤ40が挿通されることにより、第2外周面36bの周方向に巻き付けられた無端ワイヤ40の方向を90°変換し、無端ワイヤ40を第2外周面36bから可撓チューブ21内に導く、あるいは可撓チューブ21内から第2外周面36bへ導く。
回転筒36は、エラストマ製のゴム状弾性力を有する可撓チューブ21で被覆される。可撓チューブ21は、先端硬性部19の外周面と同一外径に形成されており、先端が先端硬性部19の基端と当接する位置まで被覆されている。この可撓チューブ21の内周面には、突起部37及び回転筒36の第1外周面36aが当接する。
ガイドシース4は、直管状に形成され、内視鏡本体3の挿入部7が挿通される挿通管48と、挿通管48の先端部分に直列に接続された先端筒部49と、挿通管48及び先端筒部49に埋め込まれる金属マーカ50と、挿通管48の基端部分に直列に接続された把持部51(図1参照)とを備える。挿通管48は、例えばポリウレタン樹脂等の可撓性を有し、且つ挿入部7よりも高い剛性を有する材料から形成されている。先端筒部49は、挿通管48と同様の樹脂等から形成され、且つ挿通管48と同じ内径及び外径にされている。
先端筒部49の基端部、及び挿通管48の先端部には、金属マーカ50の厚み分凹となる段差部が形成されている。金属マーカ50は、X線不透視の金属を円筒状に形成してなり、挿通管48及び先端筒部49と同一外径とし、先端筒部49の基端部、挿通管48の先端部の段差部分に外嵌される。これにより、金属マーカ50は、挿通管48、先端筒部49に対して外周面が連続するように埋め込まれる。把持部51は、金属やABS樹脂等の硬質な材料によって筒状に形成されており、その内径は、挿通管48の外径と略等しい。把持部51は、挿通管48の基端部分に外嵌されている。
ガイドシース4は、この先端筒部49の先端から、挿入部7の回転筒36が突出する長さであり、挿入部7の全長から先端硬性部19と回転筒36の長さを引いた寸法に形成されている。これにより挿入部7をガイドシース4に押し込む操作をしたとき、ガイドシース4の先端から回転筒36を出すことができる。
図5及び図9に示すように、可撓チューブ21の内周面のうち、突起部37と当接している部分は、突起部37からの押圧を受けるため、可撓チューブ21は、突起部37と当接している部分が外側に押し出される。したがって、可撓チューブ21の外周面に外力を受けない状態では、突起部37に押し出された部分が外側になるように屈曲しようとしする。上述したように、回転筒36は外力を受けたとき屈曲しやすくなっているため、可撓チューブ21とともに回転筒36が屈曲した状態となる。また、ガイドシース4内に挿入部7が挿入された状態で、先端硬性部19がガイドシース4の先端部近くに収納された状態では、剛性のある直管状のガイドシース4の先端筒部49及び挿通管48の内周面に沿った形で挿入部7が収納されるため、ガイドシース4とともに挿入部7は直管状になっている(図5に示す状態)。
図5に示す状態から手元操作部8をガイドシース4の先端側へ押し込むようにして、ガイドシース4の先端筒部49から挿入部7の回転筒36を出すと、可撓チューブ21の弾性による復元力で、突起部37と当接している部分が外側に押し出される(図9に示す状態)。したがって、ガイドシース4の筒芯に対して先端硬性部19の筒芯が傾斜した屈曲状態が得られる。この屈曲状態のとき、ガイドシース4の筒芯に対する先端硬性部19の筒芯の傾斜角度としては、5°〜30°としすることが好ましい。また、ガイドシース4の先端から挿入部7の回転筒36を出すとき、先端筒部49から少なくとも突起部37の位置まで突出したとき、屈曲状態になる。
本実施形態の挿入部7の外径、すなわち、先端硬性部19と、可撓チューブ21の外径は、2.0mm以下であることが好ましい。ガイドシースは、内径が挿入部7の外径と同一または若干の隙間を持ち、外径が2.4mm以下とすることが好ましい。
手元操作部8は、屈曲動作のために操作されるアングルノブ45と、接眼部46とを有する。アングルノブ45には無端ワイヤ40が巻き掛けられたプーリ41が連結されている。アングルノブ45を操作してプーリ41を回転させると、無端ワイヤ40が牽引されて回転筒36が回転する。これにより、突起部37が回転して回転筒36が屈曲する向きが可変する。
接眼部46には、イメージガイド24の基端部が固定されているとともに、接眼光学系(図示せず)が収納されている。接眼光学系は、光軸がイメージガイド24の中心軸と同一軸上に配設されている。観察光学系22によって取り込まれた管腔内の像がイメージガイド24の基端から出射され、その像は接眼光学系を通して拡大される。また、挿入部7には、手元操作部8側の端部にゴム部材などの軟性部材から形成される折れ止め部材47が外嵌されている。
挿入支援装置6は、CT画像データ格納部61と、仮想内視鏡画像( Virtual Bronchus Scope 画像:以下、「VBS画像」ともいう。)を生成するVBS画像生成部62と、VBS画像格納部63と、挿入経路設定部64と、画像処理部65と、画像表示部66とを備える。CT画像データ格納部61は、観察対象である患者9のX線断層像を撮像する図示しない公知のCT装置で生成された、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)形式の3次元のCT画像データを格納する。VBS画像生成部62は、3次元のCT画像データから、VBS画像を生成する。挿入経路設定部64は、3次元のCT画像データから挿入部7を気管支10の目標部位へ挿入するための挿入経路を設定する。画像処理部65は、挿入経路を設定するための挿入経路設定画面と、VBS画像、及び複数のサムネイルVBS画像などを含む後述する挿入支援画面とを生成する。画像表示部66は、画像処理部65で生成された画面をモニタ67に表示させる。
図10〜図12を用いて、挿入ナビゲーション機能を有する内視鏡システム2について簡単に説明する。図10は挿入経路設定画面の一例を示す図であり、図11は挿入支援画面の一例を示す図である。なお、本発明の内視鏡システムは、必ずしも挿入ナビゲーション機能を有している必要はない。また、挿入経路設定画面を表示させて挿入経路の設定を行ったり、画面または画像を切り換えたりする場合は、例えば図示しない入力装置の入力操作によって行われる。
図10に示すように、挿入ナビゲーションを行うときには、まず、モニタ67には、例えば、患者9に関する情報68Aと、内視鏡装置5の挿入経路Rを表示する画像68Bと、および詳細は図示しないVBS画像68C等とを含む挿入経路設定画面68が表示される。画像68Bには、3次元のCT画像データから生成された患者9の気管支画像70に重畳して、挿入経路設定部64が設定した、目的部位70Aまでの内視鏡装置5の挿入経路Rが表示されている。
そして、内視鏡の挿入操作が開始されるときは、入力装置により挿入支援画面69に切り換えられる。図11に示すように、挿入支援画面69は、VBS画像を表示するVBS画像表示エリア69Aと、目標部位までの挿入経路の全ての分岐部におけるVBS画像を縮小して分岐サムネイルVBS画像として表示する分岐サムネイルVBS画像エリア69B等とを含む。
図11では、4箇所の分岐部を経て目的部位に到達する場合の挿入支援画面69を示している。すなわち、VBS画像表示エリア69Aには挿入経路の最初の分岐部のVBS画像71が表示され、分岐サムネイルVBS画像としては、挿入経路上の4箇所の分岐部におけるそれぞれの分岐サムネイルVBS画像72A〜72Dが表示される。そして、VBS画像71には挿入経路1に沿って進むための経路穴に目印73が重畳して表示されている。
術者は、内視鏡装置5の接眼部46を覗いて実際の分岐部の観察像を確認する。図12は、内視鏡装置5による観察像の一例を示す。なお、図12では、実線の円で囲まれた範囲が観察像74を示し、点線部分は観察像74の周辺部分を示している。図12(A)は、挿入部7を患者9の気管支10に挿入し、最初の分岐部に到達したときの観察像74を示す。そして、VBS画像71と実際の観察像74とを比較した後、VBS画像71内の目印73が指示する経路穴に対応する実際の経路穴75に観察像を合わせるように挿入部7の先端硬性部19の向きを変更する。上述したように、ガイドシース4の先端から挿入部7の回転筒36を出すことによって回転筒36を屈曲させるとともに、アングルノブ45を操作して回転筒36を回転させることによって屈曲する方向を可変させることができるので、先端硬性部19を所望の向きに簡単に変更することができる。図12(B)に示すように、目印73が指示する経路穴に対応する経路穴75に観察像74を合わせた状態でガイドシース4と一緒に挿入部7を挿入することで、挿入経路に沿った経路穴75に挿入部7及びガイドシース4の先端部を送り込むことができる。
術者が、最初の分岐部において目印73が指示する挿入経路に沿った経路穴75に挿入部7及びガイドシース4を挿入した後、挿入支援画面69のVBS画像71は、2番目の分岐部のVBS画像に切り換えられる。そして最初の分岐部のときと同様に目印73が指示する経路穴に対応する実際の経路穴に観察像を合わせるように内視鏡装置5を操作する。このようにして、術者は、それぞれの分岐部において挿入部7及びガイドシース4を挿入すべき経路穴を誤ることなく、目的部位70Aの近傍の分岐部まで挿入部7及びガイドシース4を挿入することができる。
上述したように、挿入部7及びガイドシース4の外径が小さい極細の内視鏡装置5を用いているため、従来よりも気管支10の内径の小さい分岐部、すなわち気管支10の抹消に近い部分まで挿入部7及びガイドシース4を挿入可能であり、目的部位70Aのさらに近傍まで挿入部7及びガイドシース4を到達させることができる。そして、目的部位70Aの近傍まで挿入部7及びガイドシース4を挿入した後は、上述したように、ガイドシース4から挿入部7を引き抜いて、代わりに処置具11をガイドシース4の内部に挿入させる。これにより、目的部位70Aの近傍まで処置具11を到達させ、組織のサンプルを採取するなどの処置を行うことができる。
また、ガイドシース4には、X線不透過の金属マーカ50が先端部に埋め込まれているため、挿入ナビゲーション機能を用いて気管支10の目的部位70Aの近傍までガイドシース4を挿入させているとき、X線透視下で金属マーカ50の位置を確認することにより、ガイドシース4及び挿入部7先端を目的部位に到達させることもできる。挿入ナビゲーション機能を用いて気管支10の目的部位70Aの近傍までガイドシース4を挿入させた後、X線透視下で処置を行うことで、金属マーカと金属製の処置具11の位置を確認しながら処置具11を挿入させることができるため、さらに確実に処置を行うこともできる。
さらにまた、回転筒36を回転させる回転機構39は、回転筒36に巻き付けた無端ワイヤ40をプーリ41の回転で牽引することによりエンドレスで駆動させることができる。これにより、回転筒36の屈曲する向きを可変させて経路穴75に観察像の位置を合わせるとき、アングルノブ45の操作量が多過ぎて、経路穴75の位置から観察像がずれてしまった場合でも、もう一度同じ方向に約1回転させることで観察像の位置を合わせることができるので、先端硬性部19の向きの変更をさらに簡単にすることができる。
上記第1実施形態では、回転筒に巻き付けた無端ワイヤを牽引することによりエンドレス駆動する回転機構39を備えているが本発明はこれに限らず、図13及び図14に示す変形例の回転機構80のように、無端ワイヤではない1本のワイヤ81と、支持部材82と、プーリ41とを有する構成でもよい。この場合、上記第1実施形態の屈曲部20に代えて、回転筒85と、回転筒85と一体に設けられた突起部37と、支持部材82とを備える屈曲部84を有する。ワイヤ81の両端部が固定される回転筒85は、第2外周面36bから突出するワイヤ固定凸部85a,85bを設けている以外は、上記第1実施形態の回転筒36と同様の形状である。ワイヤ81の両端には止め具86a,86bがそれぞれ固着されている。止め具86a,86bは筒状に形成され、ワイヤ固定凸部85a,85bに嵌合する。これにより、ワイヤ81の両端部は回転筒85の第2外周面36bに固定される。
支持部材82は、一対のガイド溝44に代えて、ワイヤ81が2本分通るガイド溝87を有する以外は、上記第1実施形態の支持部材38と同様の形状で、上記第1実施形態の支持部材38と同様に先端硬性部19の。ガイド溝87は嵌合部43の一部を先端から基端まで切り欠いて嵌合溝43aと連続し、且つ弾性筒部42及び嵌合部43の筒芯方向に沿って延びるように形成されている。ガイド溝87には、ワイヤ固定凸部85a,85bに固定されたワイヤ81の両端付近が挿通される。ガイド溝87は、ワイヤ81の方向を90°変換し、ワイヤ81を第2外周面36bから可撓チューブ21内に導く、あるいは可撓チューブ21内から第2外周面36bへ導く。
ワイヤ81の両端部は、ワイヤ固定凸部85a,85bからガイド溝87まで第2外周面36bに沿って、合わせて約1周分巻き付けられている。ワイヤ81が回転筒85に組み付けられた初期状態では、支持部材82及び回転筒85の中心軸に対してガイド溝87の反対側にワイヤ固定凸部85a,85bが位置するように配されており、ワイヤ81の両端部がそれぞれ約半周分だけ第2外周面36bに巻き付けられている。ワイヤ81の両端部の巻き付け量は、支持部材82に対する回転筒85の筒芯回りの位置に応じて相対的に変化し、一方側の巻き付け量が増加すると、他方側の巻き付け量が減少し、一方側の巻き付け量が減少すると、他方側の巻き付け量が増加する。したがって、回転筒85は、一方のワイヤ固定凸部85aがガイド溝87と対面する位置から他方のワイヤ固定凸部85bがガイド溝87と対面する位置まで回転することができるため、約1周分の回転角度、すなわち360°からワイヤ固定凸部85a,85bの間隔分の角度を引いた分の回転角度だけ回転させることができる。
回転筒85は、上記第1実施形態の回転筒36と同様に突起部37、凹部36cが形成され、弾性筒部42及び回転筒85の弾性によって支持部材82とともに屈曲するため、ガイドシース4の先端筒部49から回転筒85を出すと、ガイドシース4の筒芯に対して先端硬性部19の筒芯が傾斜した屈曲状態が得られる。そして、上記第1実施形態と同様に、術者がアングルノブ45を操作してプーリ41を回転させると、ワイヤ81が牽引されて回転筒85が回転する。上述したように回転筒85は、支持部材82に対して約1回転分回転させることができるため、上記第1実施形態と同様に、先端硬性部19を所望の向きに簡単に変更することができる。
上記第1実施形態においては、回転筒に巻き付けたワイヤを牽引することにより駆動する回転機構39,80を備えているが本発明はこれに限らず、以下で説明する第2実施形態では、回転筒の基端側周縁に沿って一体に設けられたラックギヤと、ラックギヤと噛合する伝達ギヤと、伝達ギヤと連結された無端ワイヤを備える回転機構を備えている。

図15に示すように、第2実施形態の挿入部90は、回転筒91と、回転筒91と一体に設けられた突起部37と、支持部材92とを備えるを屈曲部93を有する。回転筒91は、第2外周面36bが無く、基端側周縁に沿って一体に設けられたラックギヤ91aを有する以外は、上記第1実施形態の回転筒36と同様の形状である。なお、図15においては、図面の煩雑化を防ぐため、保護チューブ34及び保護チューブ35の図示を省略している。
図16に示すように、挿入部90は、回転筒91を筒芯回りに回転させる回転機構94を備える。回転機構94は、ラックギヤ91aと、支持部材92と、ラックギヤ91aと噛合する伝達ギヤ95と、伝達ギヤ95と一体に設けられたプーリ96と、伝達ギヤ95と連結された無端ワイヤ97と、プーリ41とを備える。なお、屈曲部93及び回転機構94の他の構成は上記第1実施形態の内視鏡本体3と同様であり、組み合わせるガイドシース4も同様である。
支持部材92は、弾性筒部98と、抜け止め部99と、ギヤ取り付け部100とを備える。弾性筒部98は、上記第1実施形態の弾性筒部42と同様に、円筒の一部を切欠いて螺旋状に形成されているため、弾性を有する。抜け止め部99は、弾性筒部98の基端側に位置し、弾性筒部98の外径及び回転筒91の内径よりも外径が大きく形成されている。これにより、回転筒91が基端側に離脱することを規制する。ギヤ取り付け部100は、抜け止め部99の一部を切り欠いて形成せれ、その切り欠き部分に伝達ギヤ95が収納される。ギヤ取り付け部100には、伝達ギヤ95の取付軸101(図17参照)に合わせた貫通孔100aが形成されている。
伝達ギヤ95は、プーリ96、取付軸101とともにゴムまたは軟質樹脂などの弾性を有する材料から形成され、伝達ギヤ95、取付軸101、プーリ96の順で同軸上に配されている。伝達ギヤ95を支持部材92に取り付けるときは、プーリ96を弾性変形させながら貫通孔100aを通過させて取付軸101を貫通孔100aに嵌合させる。これにより、伝達ギヤ95は、ラックギヤ91aと噛合する位置に回転自在に支持される。
無端ワイヤ97は、プーリ96に巻き掛けられる。これにより無端ワイヤ97は伝達ギヤ95と連結される。さらに無端ワイヤ97は、可撓チューブ21の内部を通って手元操作部8内のプーリ41に巻き掛けられている。無端ワイヤ97とプーリ96との間には所定値以上の摩擦力を有しており、プーリ41の回転により無端ワイヤ97が牽引されると、無端ワイヤ97との摩擦力によりプーリ96が周方向に引っ張られる。これにより伝達ギヤ95が回転し、伝達ギヤ95と噛合するラックギヤ91aを介して回転筒91が回転する。
回転筒91は、上記第1実施形態の回転筒36と同様に突起部37、凹部36cが形成され、弾性筒部98及び回転筒91の弾性によって支持部材92とともに屈曲するため、図17に示すように、ガイドシース4の先端筒部49から回転筒91を出すと、ガイドシース4の筒芯に対して先端硬性部19の筒芯が傾斜した屈曲状態が得られる。そして、上記第1実施形態と同様にアングルノブ45を操作してプーリ41を回転させると、無端ワイヤ97が牽引されて回転筒91が回転する。無端ワイヤ97はプーリ41によってエンドレスで駆動することができるため、上記第1実施形態と同様に、挿入部90の先端硬性部19を所望の向きに簡単に変更することができる。
上記第1及び第2実施形態においては、回転筒に巻き付けたワイヤを牽引することにより駆動する回転機構39,80、または回転筒と一体に設けられたラックギヤ及び伝達ギヤを介してワイヤを牽引することにより駆動する回転機構94を備えているが本発明はこれに限らず、以下で説明する第3実施形態では、回転筒の基端部に形成され、回転筒の筒芯に対し斜めに形成される傾斜溝と、この傾斜溝に係合する係合部を有するワイヤと、係合部を傾斜溝の先端側に付勢するコイルバネとを有する回転機構を備えている。
図18に示すように、第3実施形態の挿入部110は、回転筒111と、回転筒111と一体に設けられた突起部37と、支持部材112とを備える屈曲部113を有する。回転筒111は、第2外周面36bが無く、代わりに第1外周面36aの基端部にカム溝111aが形成されている。カム溝111aが形成されている分、回転筒111は、上記第1実施形態の回転筒36よりも軸長が長く形成されている。
図19に示すように、挿入部110は、回転筒111を筒芯回りに回転させる回転機構114を備える。回転機構114は、カム溝111aとと、支持部材112と、カム溝111aと係合する係合部材115と、係合部材115が設けられたワイヤ116と、係合部材115を付勢するコイルバネ117とを備える。
支持部材112は、弾性筒部118と、ワイヤ移動部119と、抜け止め部120と、バネ保持部121と、ガイド孔122とを備える。弾性筒部118は、上記第1実施形態の弾性筒部42と同様に、円筒の一部を切欠いて螺旋状に形成されているため、弾性を有する。ワイヤ移動部119は、弾性筒部118の基端に連設され、ワイヤ116の先端部が内部を移動する。ワイヤ移動部119は、一部が切り欠かれ、この切り欠き部119aを通して係合部材115がカム溝111aと係合する。抜け止め部120は、ワイヤ移動部119の基端側に位置し、ワイヤ移動部119の外径及び回転筒111の内径よりも外径が大きく形成されている。これにより、回転筒111が基端側に離脱することを規制する。
バネ保持部121は、抜け止め部120の内周面から突出して設けられ、抜け止め部120には、ガイド孔122が形成されている。ガイド孔122は、回転筒111及び支持部材112の筒芯方向に沿って配され、ワイヤ116の外径に合わせた内径の貫通孔である。ワイヤ116は、コイルバネ117及びガイド孔122を挿通して回転筒111及び支持部材112の筒芯方向にガイドされる。バネ保持部121は、先端面がコイルバネ117の外径よりも大きい略円筒状に形成され、係合部材115とともに、コイルバネ117を挟み込んで保持する。係合部材115は、コイルバネ117よりも外径が大きい円筒部115aと、円筒部115aの外周面から径方向に突出する円柱状の係合ピン115bとを有する。円筒部115aは、内径がワイヤ116の外径と同一に形成され、ワイヤ116の先端部に固着されている。
図20は、カム溝111aが形成された回転筒111を展開した展開図であり、カム溝111aの周辺を回転筒111の外側から視ている。カム溝111aは、先端側直進溝123、基端側傾斜溝124、基端側直進溝125、先端側傾斜溝126を順に繰り返して構成される形状となっている。先端側直進溝123、基端側傾斜溝124、基端側直進溝125、先端側傾斜溝126は、係合部材115の係合ピン115bに合わせた幅に形成されている。
カム溝111aの一端側に位置する最初の先端側直進溝123は、回転筒111の筒芯と平行に配され、その基端に基端側傾斜溝124が連続している。基端側傾斜溝124は、回転筒111の筒芯に対し斜めに形成され、回転筒111を先端側から視て時計回りに、且つ回転筒111の先端側から基端側に向かって延びる方向に形成されている。基端側傾斜溝124の基端には、基端側直進溝125が形成されている。
基端側直進溝125は、回転筒111の筒芯と平行、且つ先端側直進溝123よりも回転筒111の基端側に配されている。さらに基端側直進溝125は、基端部125aが基端側傾斜溝124よりも基端側に位置する。この基端部125aに係合ピン115bが係合したとき、係合ピン115bが回転筒111の周方向に移動することを規制する。基端側直進溝125の先端には、先端側傾斜溝126が連続している。先端側傾斜溝126は、回転筒111の筒芯に対し斜めに形成され、回転筒111を先端側から視て時計回りに、且つ回転筒111の基端側から先端側に向かって延びる方向に形成されている。
先端側傾斜溝126の先端には、次の先端側直進溝123が連続している。この先端側直進溝123は、基端側傾斜溝124及び先端側傾斜溝126が傾斜している分、最初の先端側直進溝123に対して所定ピッチを置いて配されている。この先端側直進溝123が配される所定ピッチとしては、90°間隔で配されることが好ましい。
さらに先端側傾斜溝126に連続する先端側直進溝123は、先端部123aが先端側傾斜溝126よりも先端側に位置する。この先端部123aに係合ピン115bが係合したとき、係合ピン115bが回転筒111の周方向に移動することを規制する。この先端側直進溝123の次は、先程と同じ順番、すなわち基端側傾斜溝124、基端側直進溝125、先端側傾斜溝126の順に繰り返し形成されている。そして、カム溝111aは、基端側傾斜溝124及び先端側傾斜溝126が傾斜している分、周方向に亘って形成されている。よって、回転筒111は、カム溝111a内を係合ピン115bが移動可能な約1周分の回転角度、すなわち360°からカム溝111aの一端部と他端部とを隔てる肉厚分を引いた回転角度だけ回転させることができる。
ワイヤ116は、可撓チューブ21の内部を通って通り、手元操作部8に案内される。なお、この第3実施形態では、手元操作部8に設けられる操作部材としては、上記第1及び第2実施形態で用いられるアングルノブ45では無く、例えば、図19に示すレバー部材127である。レバー部材127は、棒状に形成された一方の端部に回転軸127aを有し、手元操作部8に対して回転軸127aを中心に回転可能に取り付けられている。ワイヤ116の基端部は、レバー部材127の中央付近に連結されている。レバー部材127を基端側に引っ張ると、ワイヤ116が基端側に牽引され、レバー部材127を外力から解放すると、コイルバネ117の付勢により、ワイヤ116が先端側に復帰する。
なお、本実施形態では、屈曲部113、回転機構114及びレバー部材127の他の構成は上記第1実施形態の内視鏡本体3と同様であり、組み合わせるガイドシース4も同様である。
回転筒111は、上記第1実施形態の回転筒36と同様に突起部37、凹部36cが形成され、弾性筒部118及び回転筒111の弾性によって支持部材112とともに屈曲するため、図21に示すように、ガイドシース4の先端筒部49から回転筒111を出すと、ガイドシース4の筒芯に対して先端硬性部19の筒芯が傾斜した屈曲状態が得られる。
本実施形態の内視鏡装置では、係合ピン115が、カム溝111aの最初の先端側直進溝123の先端部に位置している。さらに係合ピン115は、コイルバネ117の付勢により先端側直進溝123の先端側に付勢されている。そして、術者がレバー部材127を基端側に引っ張り操作すると、ワイヤ116が回転筒111の筒芯方向に沿って牽引されて係合ピン115bが先端側から基端側に移動する。このとき、係合ピン115bは、カム溝111aの先端側直進溝123、基端側傾斜溝124を通過する。係合ピン115bは回転筒111の筒芯方向に沿って移動するため、基端側傾斜溝124を通過するとき回転筒111を押圧する。基端側傾斜溝124に沿って押圧された回転筒111は、先端側から視て反時計回りに回転する。係合ピン115bが基端側傾斜溝124を通過すると、基端側直進溝125に進入する。
基端側直進溝125の基端部125aまで進入すると係合ピン125bが基端側に移動できなくなる。係合ピン125bが基端部125aに当接したことがワイヤ116及びレバー部材127を介して伝わるため、術者はレバー部材127から手を離す。これにより、レバー部材127が外力から解放されるため、コイルバネ117の付勢により、係合ピン115が先端側に移動する。このとき、係合ピン115bは、カム溝111aの基端側直進溝125、先端側傾斜溝126を通過する。係合ピン115bは回転筒111の筒芯方向に沿って移動するため、先端側傾斜溝126を通過するとき回転筒111を押圧する。先端側傾斜溝126に沿って押圧された回転筒111は、先端側から視て反時計回りに回転する。係合ピン115bが先端側傾斜溝126を通過すると、次の先端側直進溝123に進入する。
先端側直進溝123の先端部123aまで進入すると係合ピン115bが先端側に移動できなくなる。係合ピン115bが先端部123aに位置すると、係合ピン115bは移動が規制されるとともにコイルバネ117の付勢により先端部123aの内部で停止する。これにより、回転筒111は、先端側直進溝123の所定ピッチ分移動したことになる。以降はレバー部材127の引っ張り操作を繰り返すことで、先端側直進溝123の所定ピッチずつ回転筒111を移動させることができる。なお、図20に示すカム溝111aでは、カム溝111aの他端部が先端側傾斜溝126の途中で終わっているため、カム溝111aの他端部まで移動した係合ピン115bは、この先端側傾斜溝126の先端部で停止する。上述したように回転筒111は、支持部材112に対して約1回転分回転させることができるため、上記第1及び第2実施形態と同様に、先端硬性部19を所望の向きに簡単に変更することができる。
なお、上記第3実施形態では、複数の傾斜溝と傾斜溝の間を繋ぐ直進溝から構成されるカム溝を回転筒111に形成しているが、本発明はこれに限らず、上記第3実施形態の傾斜溝124,126よりも周方向に長い1つの傾斜溝を回転筒111に形成し、上記第3実施形態と同様に、この傾斜溝に係合する係合部材と、係合部材が一体に設けられたワイヤと、係合部を傾斜溝の先端側に付勢するコイルバネとを有する回転機構を備える構成にしてもよい。
上記各実施形態では、ガイドシース4に挿通され、ガイドシース4の先端から出没される処置具11としてカップ型の生検鉗子を例に上げているが、これに限らず、クリップ型の鉗子、高周波ナイフ、スネアワイヤ、注射器など他の処置具でもよい。また、上記各実施形態では、気管に挿入する内視鏡を例に挙げて説明を行ったが、例えば大腸に挿入される大腸内視鏡等の各種医療用内視鏡や、工業用途などの他の用途に使用される内視鏡などにも本発明を適用することができる。
2 内視鏡システム
3 内視鏡本体
4 ガイドシース
5 内視鏡装置
6 挿入支援装置
7,90,110 挿入部
11 処置具
19 先端硬性部
20,84,93,113 屈曲部
21 可撓チューブ
22 観察光学系
36,85,91,111 回転筒
37 突起部
38,82,92,112 支持部材
39,80,94,114 回転機構
40,97 無端ワイヤ
81,116 ワイヤ
91a ラックギヤ
95 伝達ギヤ
111a カム溝
115 係合部材

Claims (13)

  1. 先端に配される先端硬性部、前記先端硬性部と一体に設けられた観察ユニット、前記先端硬性部の基端側に連結された可撓チューブ、前記先端硬性部の基端、且つ前記可撓チューブの内側に回転可能に設けられた回転筒、前記回転筒と一体に設けられ、前記可撓チューブの内周面と当接する突起部、及び前記回転筒を前記可撓チューブの筒芯回りに回転させる回転機構を有する挿入部と、
    前記挿入部の基端に取り付けられる手元操作部とを備えることを特徴とする内視鏡。
  2. 前記回転機構は、前記回転筒と連結され、前記回転筒を周方向に牽引する牽引ワイヤと、前記牽引ワイヤを牽引する方向を前記回転筒の周方向から筒芯方向に変換する方向変換手段とを備えること特徴とする請求項1記載の内視鏡。
  3. 前記先端硬性部の基端に設けられ、前記回転筒を回転可能に支持し、且つ回転筒とともに屈曲する支持部材を備え、
    前記方向変換手段は、前記支持部材に形成され、前記牽引ワイヤをガイドするガイド溝であることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
  4. 前記回転機構は、前記回転筒の基端側周縁に沿って一体に設けられたラックギヤと、前記ラックギヤと噛合する伝達ギヤと、前記伝達ギヤと連結され、前記伝達ギヤ及び前記ラックギヤを介して前記回転筒を回転させる牽引ワイヤとを備えることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
  5. 前記先端硬性部の基端に設けられ、前記回転筒を回転可能に支持し、且つ回転筒とともに屈曲する支持部材を備え、
    前記支持部材は、前記ラックギヤと噛合する位置に前記伝達ギヤを回転自在に支持するギヤ取り付け部を有することを特徴とする請求項4記載の内視鏡。
  6. 前記手元操作部は、操作部材によって回転されるプーリが設けられ、
    前記牽引ワイヤは、前記プーリに巻き掛けられた無端ワイヤであり、前記プーリの回転により駆動されることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項記載の内視鏡。
  7. 前記回転機構は、前記回転筒の基端部に形成され、前記回転筒の筒芯に対し斜めに形成される傾斜溝と、この傾斜溝に係合する係合部を有する係合部材と、係合部材が設けられたワイヤと、前記係合部材を前記傾斜溝の先端側に付勢するコイルバネとを有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
  8. 前記回転筒を回転自在に支持し、且つ回転筒とともに屈曲する支持部材を備え、
    前記支持部材は、前記ワイヤを筒芯方向にガイドするガイド部と、前記係合部材とともに前記コイルバネを挟み込んで保持する保持部とを有することを特徴とする請求項7記載の内視鏡。
  9. 前記観察ユニットは、前記端硬性部と、前記先端硬性部に取り付けられる観察光学系及びイメージガイドとを有し、前記可撓チューブの外径が2.0mm以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1記載の内視鏡。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項記載の内視鏡と、前記挿入部が先端から出没自在に挿通されるガイドシースとを備え、
    前記ガイドシースは、このガイドシースの先端から、前記回転筒が突出する長さに形成されていることを特徴とする内視鏡装置。
  11. 前記ガイドシースは、先端部にX線不透過の金属製マーカが埋め込まれることを特徴とする請求項10記載の内視鏡装置。
  12. 前記ガイドシースに挿通され、前記ガイドシースの先端から出没自在にされる処置具を備えたことを特徴とする請求項10または11記載の内視鏡装置。
  13. 請求項10ないし12のいずれか1項記載の内視鏡装置と、
    観察対象の3次元の画像データに基づき前記観察対象の管腔の仮想内視鏡画像を生成する仮想画像生成手段と、前記観察対象の管腔が分岐する分岐部における複数の仮想内視鏡画像を表示させる画像表示手段とを有する挿入支援装置とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
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