以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、位置補正処理においては所望の光を検出部で検出する必要があり、当該所望の光以外の光による信号成分は処理を阻害するノイズとなる。具体的には、図17、図18を用いて後述するように反射部24での反射光を処理に用いるため、外乱光や、ホルダー20の底面21(検出部90に対向する面)での反射光がノイズ要因となることが考えられる。
まずホルダー底面21での反射光を抑制するには、当該ホルダー底面21を非反射部材により実現する手法が考えられる。しかし非反射部材を用いたとしても、反射光を0にすることはできず、ノイズが発生する可能性がある。
図1(A)〜図1(C)に、種々のホルダー底面21の形状(ただし、ホルダーのうち反射部とその周囲の部分の形状)を示し、図2(A)〜図2(C)に当該形状のホルダー底面を用いた場合の、受光部での検出信号をシミュレーションした結果を示す。図2(A)は図1(A)のホルダー底面に対応するシミュレーション結果であり、同様に図2(B)が図1(B)に対応し、図2(C)が図1(C)に対応する。図4を用いて後述するように、Y軸がホルダーと検出部の相対的な移動方向に対応する主走査方向HDであり、X軸が副走査方向VDである。また、Z軸はX,Y軸に直交する軸であり、通常の使用状態であれば鉛直上向き方向となる。
なお、ここではホルダー20は凹部26を有し、当該凹部26に反射部24が設けられるものとしている。ホルダー20の底面21とは、上述したように検出部90に対向する面であるため、このような形状のホルダー20においては、底面21が複数存在することになる。例えば、図1(A)の点A1を含む面21aや、点B1を含む面21bは、ホルダー20底面21に含まれる。また、底面21はこれに限定されず、反射部24が設けられる凹部26の底面21cも、ホルダー20の底面21に含まれる。なお、図1(B)以降の図面においては、特に断らない限り、ホルダー20の底面21に含まれる複数の面の全てに対して同一の符号(21)を用いるものとする。
ここでは、発光部が理想的な発光を行うものと仮定し、レーザー光をシミュレーションに用いている。ホルダー底面21に非反射部材を用いたとしても、図1(C)に示したように、当該底面21を、発光部92と受光部94が配置された面と略平行なものとしてしまうと、ホルダー底面21での反射光の影響を抑止しきれない。具体的には、図2(C)の横軸の−1以下の範囲では、位置補正処理においてノイズとなる信号が検出されている。なお、図2(A)〜図2(C)の横軸は主走査方向(Y軸)に対応し、縦軸が信号強度に対応する。また、横軸は発光部と受光部の中間位置と、反射部(反射板)の中央位置が主走査方向において一致する相対位置関係を原点(0)としたものである。
これに対して、ホルダー底面21に傾斜面を設けることで、ホルダー底面21による反射光の影響を抑止できる。例えば、ホルダー20の形状を図1(A)のようにした場合、底面は主走査方向(Y軸方向)に沿った傾斜面(Y軸に沿って、受光部と発光部が配置された面とのZ軸方向距離が単調増加・減少する面)を有する。そのため、発光部92から射出された光L1aは、ホルダー底面21において図1(A)に示した方向に反射されることになり、受光部94において検出されにくくなる。結果として、図2(A)に示したようにホルダー底面21での反射光に起因するノイズの影響を抑止できる。
しかし、図1(A)の点A1と点B1を比較すればわかるように、反射部の+Y方向と−Y方向で、ホルダー20の高さ(反射部に対するZ軸方向での長さ)が異なる。例えば、反射部24の表面を基準点として、当該基準点からのZ軸方向での距離を高さとした場合、図1(A)に示したように点A1の高さはHA1となり、点B1の高さはHB1となる。そして図1(A)の場合、HA1<H1Bである。
そのため、+Y方向においては、発光部92から照射され反射部24で反射されて受光部94に受光する光は、点A1において遮蔽され、主走査方向でYA1となる位置が反射部24からの反射光を受光部94で検出できるかできないかの境界となる。言い換えれば、反射部24で光が反射する位置がYA1よりも+Y方向に移動してしまうと、反射光はホルダー20(特に点A1を含むXZ平面での面)により遮蔽されてしまい受光部94で受光できない。
それに対して、−Y方向では、A1に比べて高いB1において上記光が遮蔽されることになるため、当該光を検出できるか否かの境界は主走査方向でYB1となる位置と考えられる。そして、A1とB1の高さの違いにより、反射部24の中央位置からのYA1までの距離に比べて、反射部24の中央位置からYB1までの距離は小さくなってしまう。
結果として、図1(A)に対応する検出信号は図2(A)に示したように、横軸の原点に対して非対称な形状となってしまう。位置補正は図18を用いて後述するようにピーク位置の探索によって行われるため、図2(A)の信号を用いたのでは反射部24の中央位置を適切に判定することができない。
これに対して、図1(B)に示したように、+Y方向と−Y方向とで、ホルダー20の高さをそろえることで、検出信号の非対称性を解消する手法が考えられる。図1(B)の形状であれば、点A2と点B2は反射部24に対する高さが等しい(HA2=HB2となる)ため、YA2とYB2の反射部24の中央位置からの距離が等しくなる。結果として、図2(B)に示したように左右対称の信号波形が得られるため、反射部24の中央位置を検出可能となる。
しかし、図2(B)のシミュレーションでは外乱光を考慮していない。例えば印刷装置のカバーがオープン状態にある場合には、日光や照明光等の外部からの光が、外乱光として装置内部に進入してしまう。当然、当該外乱光は処理において検出を想定していない光であるため、処理精度を低下させるノイズとなる。図1(B)の形状では、点A2と点B2の高さを合わせるために、−Y方向でのホルダー底面21の高さが図1(A)に比べて低い。そのため、ホルダーの反射部の配置位置によっては、図1(B)のL2aに示した外乱光が受光部に入射する可能性がある。
つまり、図1(B)の形状も外乱光の影響抑止という観点からは、好ましいとは言えない。そこで本出願人は、ホルダー底面21に主走査方向に交差する方向に沿った傾斜面を設ける手法を提案する。具体的には、本実施形態に係る液体消費装置は、図4に示したように、発光部92と受光部94とを有する検出部90と、プリズム(図8のプリズム170)が設けられた液体収容容器(インクカートリッジICに対応)が着脱自在に装着され、液体収容容器が装着されたときのプリズムに対向する位置に設けられる開口部22と、反射部24と、を有するホルダー20と、ホルダー20を検出部90に対して第1の方向に沿って相対的に移動させる移動部(キャリッジモーター33に対応)を含む。そして、ホルダー20を検出部90側からみた平面視において、ホルダー20の反射部24の周囲の第1の部分(例えば図9(A)の斜線で示した部分)は、第1の方向に交差する第2の方向に沿って傾斜する傾斜面を有する。
具体的には、第2の方向は、第1の方向に直交する方向であってもよく、第1の方向を主走査方向HD(Y軸)とすれば、第2の方向は副走査方向VD(X軸)となる。この場合、ホルダー20の反射部24周辺での形状は、図3(A)、図3(B)に示したようになる。図3(A)はXZ平面でのホルダー20の形状であり、図3(B)はYZ平面でのホルダー20の形状である。
ここで、所与の方向に沿って傾斜する傾斜面とは、当該所与の方向での位置が一定に変化した場合に、当該所与の方向に交差する方向での位置が単調増加又は単調減少する面を表す。図3(A)の例であれば、第2の方向(X軸)が増加する方向において、第2の方向に交差する第3の方向(Z軸)での位置が+Z方向から−Z方向に単調変化する面となっている。
このようにすれば、ホルダー20の底面21に傾斜面を持たせつつ、反射部に対する高さ、すなわちZ軸における座標値を、反射部24に対するY軸方向の一方側と他方側で対応させる(狭義には同一にする)ことが可能になる。つまり、反射部周囲のY軸方向の2つのホルダー底面を、X軸方向に沿って同じ方向に傾く傾き面傾きとするので、反射部からホルダー底面までの凹部の高さを同じとすることができる。例えば、図3(A)に示したように検出部90の発光部92及び受光部94に対向する位置でのホルダー底面21でのZ座標値をz1とすれば、図3(B)に示したように発光部92及び受光部94を含むYZ平面において、点A及び点BのZ座標値はともにz1となる。これにより、ホルダー20は傾斜面を有するため、図1(C)の例とは異なり、位置補正処理においてホルダー20による反射光の影響を抑止できる。また、点Aと点Bの高さが等しいため、図1(A)の例とは異なり、検出信号の反射部24のY軸方向中央を中心とする非対称性もない。つまり、本実施形態の液体消費装置では、位置補正処理を精度よく実行することが可能になる。
以下、本実施形態の液体消費装置について詳細に説明する。まず、液体消費装置の基本構成及びインクカートリッジの構成例について説明した後、ホルダーの構成例を説明する。さらに液体の残存状態の判定手法(インクニアエンドの検出手法)、位置補正手法について説明し、最後に変形例について説明する。
2.印刷装置の基本構成、インクカートリッジ
本実施形態に係る液体消費装置としての印刷装置の基本構成について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る印刷装置の要部を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。
図4には、第1の方向としてのY軸方向と、Y軸方向と直交する第2の方向としてのX軸方向と、X軸方向およびY軸方向と直交する第3の方向としてのZ軸方向と、を示している。本実施形態において、印刷装置10の使用姿勢では、Z軸方向(+Z方向及び−Z方向)が鉛直方向であり、+X方向が印刷装置10の正面である。また、Y軸方向(+Y方向及び−Y方向)が印刷装置10の主走査方向HDであり、X軸方向(+X方向及び−X方向)が印刷装置10の副走査方向VDである。
図4に示すように、印刷装置10は、液体収容部としての複数のインクカートリッジICと、ホルダー20を備えるキャリッジCRと、紙送りモーター30と、移動部としてのキャリッジモーター33と、ケーブルFFC1と、検出部90と、制御ユニット40とを備えている。各インクカートリッジICには、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクが一色ずつ収容されている。ホルダー20には、各インクカートリッジICが装着される。なお、ホルダー20はキャリッジCRと一体の部材として形成されてもよいし、別体の部材として形成されてキャリッジCRに組み付けられてもよい。
図5に示すように、キャリッジCRは、ホルダー20と印刷ヘッド35とを備えている。キャリッジCRは、キャリッジモーター33に駆動されることにより印刷媒体PA上を主走査方向HDに沿って往復移動する。紙送りモーター30は、印刷媒体PAを副走査方向VDに搬送する。印刷ヘッド35は、キャリッジCRに搭載されて、各インクカートリッジICから供給されたインクを吐出する。なお、図4及び図5では、キャリッジCRは、ホームポジションに位置している。
検出部90は、インクカートリッジICのインク残存状態を検出するための信号を制御ユニット40に出力する。検出部90は、インクカートリッジIC内のプリズム170(図8参照)へ光を照射する発光部92(発光素子)と、プリズム170からの反射光を受光して電気信号に変換する受光部94(受光素子)と、を備えている。
図6は、検出部の電気的構成を示す説明図である。検出部90は、例えば、発光部92(発光素子)としてLED(Light Emitting Diode)を備え、受光部94(受光素子)としてフォトトランジスターを備えている。受光部94のエミッター端子は接地され、コレクター端子は抵抗器R1を介して電源電位Vccに接続されている。残量判定部42(詳細は後述)には、抵抗器R1とコレクター端子との間の電位が、検出部90の出力電圧Vc(検出電圧)として入力される。
発光部92が照射する光の発光量は、発光部92に印加されるPWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティー比(オン時間とオフ時間の割合)が制御ユニット40によって調整されることにより設定される。発光部92から照射された照射光が、インクカートリッジIC内のプリズム170で反射されて反射光が受光部94に受光されると、その受光量に応じた出力電圧Vcが、出力信号として残量判定部42に入力される。本実施形態では、受光部94が受光する光量が多くなる程、検出部90から出力される出力電圧Vcは低くなる。
ただし、受光部94の構成は図6に限定されるものではなく、受光部94が受光する光量と、検出部90(受光部94)の検出信号との関係も上述のものに限定されない。例えば、受光部94の構成が図7に示したものであれば、受光部94で受光する光量が多く、発生する電流量が多いほど、出力電圧Vcと接地電位VSSとの差が大きくなる。すなわち、受光部94が受光する光量が多いほど、検出部90から出力される出力電圧Vcは高くなる。
検出部90がそもそも入射する光の量を検出するものであり、且つ受光部94が光を電流に変換する素子であることに鑑みれば、検出部90の出力とは本質的には受光部94で発生する電流量で考えるとよい。電流量で考えれば、入射する光が強いほど、出力電流が大きいという関係が成り立つため、構成によらず入射光の光量を判断することができる。以下では、受光部94の構成が図6である例について説明するため、入射する光量が多いほど発生する電流量が多く、出力電圧Vcは低いものとする。ただし、以下の説明における「出力電圧が低い(高い)」とは、本質的には「発生する電流量が多い(少ない)」と考えることが可能であり、当該電流量をどのような形式の出力信号として検出するかは種々の変形実施が可能である。
図4及び図5に示すように、検出部90の備える発光部92及び受光部94は、ホルダー20が移動する主走査方向HD(Y軸方向)に沿って並ぶように配置されている。ホルダー20は、キャリッジモーター33によって、検出部90に対して主走査方向HDに沿って相対的に移動する。発光部92及び受光部94は、ホルダー20が、キャリッジモーター33によって移動させられて検出部90上に位置したときに、ホルダー20の開口部22(図9(B)参照)を介してインクカートリッジIC内のプリズム170と対向するように配置されている。検出部は、発光部92及び受光部94が配置される面が、プリズム底面と略平行となるように配置されている。
制御ユニット40は、残量判定部42及び位置補正部44を有している。制御ユニット40には、印刷装置10の動作状態等が表示される表示部46が接続されている。制御ユニット40には、インターフェイス(I/F)47を介してコンピューター48が接続されている。また、制御ユニット40には、ケーブルFFC1を介してキャリッジCRが接続され、ケーブルFFC2を介して検出部90が接続されている。
制御ユニット40は、CPU、ROM、RAM等(図示省略)を備えている。CPUは、ROMに予め記憶された制御プログラムをRAM上に展開して実行することで、残量判定部42及び位置補正部44として機能する。また、制御ユニット40は、紙送りモーター30やキャリッジモーター33、印刷ヘッド35を制御することにより、印刷媒体PAに対しての印刷を制御する。
残量判定部42は、インクカートリッジIC内のインクの残存状態を、検出部90とプリズム170を用いて判定する。残量判定部42は、プリズム170が検出部90に対して所定の位置(検出位置)にあるときの出力電圧Vc(検出電圧)を、検出部90からケーブルFFC2を介して取得する。そして、残量判定部42は、取得した出力電圧Vcと所定の閾値とに基づき、インクカートリッジIC内のインクが所定量以下となったか否かを判定する。インクの残量が所定量以下になったことを、以降では「インクニアエンド」ともいう。
インクニアエンドであると判定されたインクカートリッジICについては、制御ユニット40は、印刷装置10の表示部46やコンピューター48の表示部にインク交換を知らせるアラームを表示させる指示を出力し、ユーザーにインクカートリッジICの交換を促す。制御ユニット40は、インクニアエンド判定がなされた後に所定量のインクが消費された場合に、インクカートリッジICが空であると判定する。制御ユニット40は、インクニアエンドと判定された場合に、インクカートリッジICが空であると判定してもよい。制御ユニット40は、インクカートリッジICが空であると判定した場合、インクカートリッジICが交換されるまで印刷を実行しない。
位置補正部44は、検出部90からの検出電圧(出力電圧Vc)に基づいて、主走査方向HDにおける検出部90に対するプリズム170の位置情報を補正する。検出部90に対するプリズム170の実際の相対位置と、その設計上の相対位置にずれが生じていると、インクカートリッジICのインクニアエンドの判定における精度が低下してしまう。そこで、詳細は後述するが、反射部24からの反射光に基づいて、インクニアエンド判定を行う際の、検出部90に対するホルダー20(プリズム170)の相対位置を補正する。また、各インクカートリッジICについて検出部90からの検出電圧に対してピーク検出を行い、その検出したピーク位置も用いて相対位置の補正を行ってもよい。
キャリッジCR(ホルダー20)の位置は、キャリッジモーター33に搭載されたロータリーエンコーダーの出力に基づいて把握される。即ち、ロータリーエンコーダーは、例えばキャリッジCRのホームポジションを基準位置として、その基準位置からの移動量に応じたカウント値を出力する。各インクカートリッジICのプリズム170の中心位置には、それぞれロータリーエンコーダーの所定のカウント値が対応している。位置補正前においては、その各位置に対応するカウント値は、設計値に基づいてメカ的に設定されており、例えば制御ユニット40のEEPROM(不揮発性メモリー)に記憶されている。位置補正部44は、この各位置に対応するカウント値を、位置補正処理により補正し、その補正されたカウント値を制御ユニット40のRAM、EEPROMに書き込み、これをもとに残量状態判定部がインクカートリッジのインクの残存状態を判定する。
図8は、インクカートリッジの斜視図である。インクカートリッジICは、インクを内部に収容する略直方体形状のインク収容室130と、回路基板150と、ホルダー20にインクカートリッジICを着脱するためのレバー120とを備えている。
インク収容室130の底部(−Z方向の面)には、直角二等辺三角柱状のプリズム170が配置されている。プリズム170の検出部90に対向する面である底面170cは、発光部92(図5参照)からの照射光が入射する入射面であり、インクカートリッジICの−Z方向側の面をなす底面101から露出している。
インクカートリッジICの底面101には、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたときに、ホルダー20に設けられたインク受給針(図示省略)が挿入されるインク供給口110が形成されている。インクカートリッジICの使用前の状態では、インク供給口110はフィルムによって封止されている。ホルダー20(図4参照)にインクカートリッジICを上方から装着すると、インク受給針によってフィルムが破れ、インク供給口110を通じてインク収容室130から印刷ヘッド35にインクが供給される。
回路基板150の裏面には、インクカートリッジICに関する情報を記録するための記憶装置151が実装されている。回路基板150の表面には、記憶装置151に電気的に接続された複数の端子152が配置されている。複数の端子152は、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたときに、ホルダー20に設けられた複数の本体側端子(図示省略)と電気的に接触する。
これらの本体側端子は、ケーブルFFC1によって、制御ユニット40に電気的に接続されている。これにより、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたとき、制御ユニット40は、記憶装置151に電気的に接続されて記憶装置151に対してデータの読み書きが可能になる。記憶装置151としては、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリーを用いることができる。
3.ホルダーの構成
図9(A)、図9(B)は、本実施形態に係るホルダーの構成を説明する図である。図9(A)は、検出部90側から見たホルダー20の底面21(底部)の模式図である。図9(B)は、インクカートリッジICが装着されたホルダー20のYZ断面の模式図である。図9(B)は、図9(A)のA−A’線に沿った断面図に相当する。図9(A)、図9(B)に示すように、ホルダー20の底面21のうち、プリズムに対応する部分で、検出部90に対向する部分には、主走査方向HD(Y軸方向)に沿って傾斜する傾斜面21dが設けられている。
また、ホルダー20の底面21には、主走査方向HDに沿って並ぶように、例えば、4つの開口部22が設けられている。各開口部22は、主走査方向HDにおいて傾斜面21dの間に挟まれるように配置されている。換言すれば、主走査方向HDにおいて隣り合う開口部22同士の間と、4つの開口部22の主走査方向HDにおける両外側とに傾斜面21dが配置されている。ホルダー20には、各開口部22に対応する位置に4つのインクカートリッジIC1〜IC4が装着される。
各開口部22の中央には、開口部22の一部を塞ぐように、発光部92からの照射光を遮光する遮光部23が設けられている。開口部22の中央とは、プリンターとインクカートリッジの設計のときに、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたときに、プリズム170の稜線(中心)に対応する位置である。隣り合う開口部22同士の中央位置から中央位置までは、b1の距離だけ離れている。したがって、隣り合う遮光部23同士の中央位置から中央位置までは、b1の距離だけ離れている。この距離b1は、設計値に基づいてメカ的に設定されたものである。
遮光部23は、主走査方向HD(Y軸方向)に交差する副走査方向VD(X軸方向)に沿って設けられており、ホルダー20の開口部22を開口部22aと開口部22bとの2つに分割している(後述する図13(A)及び図13(B)参照)。遮光部23は、プリズム170の稜線と対向する位置に配置されている。インクニアエンド判定を行う際の検出位置において、遮光部23によって2つに分割された各開口部22の一方の開口部22aは発光部92と傾斜面170Rとが対向する位置に配置され、他方の開口部22bは受光部94と傾斜面170Lとが対向する位置に配置される。
遮光部23の検出部90側には、主走査方向HD(Y軸方向)に沿って傾斜する傾斜面が設けられている。遮光部23は、光を吸収する材質からなり、例えば、黒色で着色したポリスチレンによって形成されている。本実施形態では、遮光部23はホルダー20と同材質で一体的に形成されている。この場合、遮光部23のうち、検出部90に対向する面はホルダー20の底面21に含まれることになる。ただし、遮光部23の材質は、上記に限定されず、反射光が受光部94に入射するのを抑制可能であれば、任意の材質を適用してもよい。また、遮光部23が、ホルダー20と別体で形成されホルダー20に取り付けられた構成としてもよく、この場合、遮光部23の面がホルダー20の底面21を構成しないことになる。
また、ホルダー20の底面のY方向側の端部近くには凹部26が形成されており、凹部26の底面には反射領域としての反射部24(反射板、位置補正板、故障検出板)が設けられている。反射部24は、ホルダー20の往復移動によって反射部24が検出部90の直上に位置したときに、発光部92及び受光部94と対向する場所に設けられている。また、反射部24は、入射光を全反射可能なミラーで形成されている。反射部24が検出部90の直上に位置するとき、発光部92から照射された光が反射部24に入射すると、反射部24で全反射された反射光が受光部94に入射する。なお、反射部24をホルダー20と分離可能な別体として設けるのではなく、ホルダー20の凹部26の底面に反射材をコーティングすることによって反射部24としても良い。
また、凹部26の主走査方向HD(Y軸方向)の両端、即ち反射部24を検出部90側から見た場合における反射部24の主走査方向HDの両端には、反射部に比べて反射率が低く非反射領域としての、非反射部材が設けられている。非反射部材は、光を吸収する材質からなり、検出部90側から見たそれぞれの底面(ホルダーの底面)は副走査方向VD(X軸方向)に対して傾斜している。本実施形態では、非反射部材は、例えば、黒色で着色したポリスチレンによって形成され、それぞれの底面は副走査方向VDに対して所与の角度θで傾斜している。また、非反射部材は、ホルダーと同材質で一体的に形成されている。なお上述したように、本実施形態においては、非反射部材は、反射部24の周辺であり、副走査方向に沿って傾斜する傾斜面を有する部分を第1の部分としている。ここでは、当該傾斜面に対応する領域に非反射部材が設けられているため、非反射部材が設けられる部分と、第1の部分とが一致することになるが、第1の部分以外に非反射部材を設ける等の変形実施が可能である。
また、図9(A)、図9(B)に示すように、主走査方向HDにおいて、反射部24の中央位置から隣接する開口部22の中央位置まではb0の距離だけ離れている。また、当該開口部22の中央位置から、反射部24とは反対側で隣接する開口部22の中央位置まではb1の距離だけ離れており、それ以降の互いに隣接する2つの開口部についても同様に、中央位置から中央位置まではb1の距離だけ離れている。
インクカートリッジIC1〜IC4の各インク収容室130内に設けられた各プリズム170は、傾斜面170Rと傾斜面170Lとを有している。傾斜面170Rと傾斜面170Lとで、主走査方向HD(Y軸方向)と交差する副走査方向VD(X軸方向)に沿ったプリズム170の稜線が構成される。プリズム170は、X軸方向からみて、傾斜面170Rと傾斜面170Lとで頂角を形成した、直角二等辺三角形状である。
プリズム170は、発光部92からの照射光を透過する、例えばポリプロピレン等の部材によって形成されている。発光部92から各プリズム170に入射する照射光が反射される状態は、傾斜面170R,170Lのそれぞれに接する流体(インク又は空気)の屈折率によって異なる。各開口部22は、ホルダー20の往復移動によってインクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170が検出部90の直上に位置したときに、検出部90の備える発光部92及び受光部94と対向する位置に配置されている。
ホルダー20を備えたキャリッジCRが主走査方向HD(Y軸方向)に沿って移動すると、インクカートリッジIC1〜IC4が、順次、検出部90の上を通過する。そして、開口部22を通して、発光部92からの照射光が各インクカートリッジICのプリズム170で反射され、反射光が受光部94により受光される。検出部90は、受光部94の受光結果を、キャリッジCR(プリズム170)の位置に対応した出力信号として出力する。本実施形態では、このキャリッジCRの位置に対応した検出部90の出力信号に基づいて、各インクカートリッジICのインクニアエンドの判定と、インクニアエンド判定を行う際の検出位置の補正とが行われる。
図10は、発光部92から光が照射されたときの反射光の状態を説明するための図である。図10に示すホルダー20は、前記したキャリッジモーター33によって駆動されることで、印刷装置10に固定された検出部90上を主走査方向HDに往復移動する。そして、ホルダー20が検出部90上を移動したときに、ホルダー20と検出部90との位置関係が、図10に示す位置Pr、位置P1、位置P2の例のように相対的に変化する。
位置Prでは、検出部90は、凹部26の底面に設けられた反射部24と対向している。ここでは、反射部24は検出部90の直上に位置し、主走査方向HDにおいて、発光部92と受光部94との間の中央位置と、反射部24の中央位置とが略一致している。反射部24が検出部90の直上に位置するとき、反射部24はミラーで形成されていることから、発光部92から反射部24に向けて照射された光R25は反射部24で全反射し、その反射光が受光部94に受光される。
なお本実施形態に係るホルダー20の構成は上記のものに限定されない。例えば、ホルダー20の第1の部分(反射部24の周辺のホルダー底面21)は、第2の方向に沿って傾斜する複数段の傾斜面を有してもよい。図11は、複数段の傾斜面を有するホルダー20を説明する図である。図11は、ホルダー20における図9(A)の斜線で示した底面(第1の部分)のうちの一方を拡大したXZ断面の模式図である。
図11に示すように、ホルダー20の第1の部分にはX軸方向に沿って、例えば3つの傾斜面27a〜27cがのこぎり刃状に並ぶように設けられている。各傾斜面27a〜27cのX軸方向における長さ及び傾斜角度は略同一である。
図1(B)を用いて上述したように、検出部90からホルダー20の底面21までの距離が長くなる(上述した反射面24を基準とした高さで表現すれば、ホルダー20の高さが低くなる)と、それだけ位置補正処理において外乱光の影響を受けやすくなる。そのため、検出部90からホルダー20までの距離は、他の要件との関係も考慮しつつ、できるだけ小さくするとよい。
ここでホルダー20に設けられる傾斜面が1段と複数段の場合の比較を図12(A)、図12(B)に示す。複数段の傾斜面を有するホルダー20が、図11と同様にのこぎり刃状に並ぶ形状である場合、図12(A)に示したようにホルダー底面のZ軸における位置はRz1の範囲に収まることになる。検出部90とホルダー20との距離は、それらの副走査方向での相対位置にずれが生じれば変動することになるが、図12(A)の場合であれば最大でもE1やE3といった点までの距離を考えればよい。
それに対して、傾斜面が1段の場合、ホルダー底面21の形状は図12(B)に示したものとなる。仮に、ホルダー20に対する検出部90の副走査方向における位置ずれが+1〜−1に示した範囲内であるとすれば、図12(B)に示したようにホルダー底面のZ軸における位置はRz2の範囲で変動する。そのため、検出部90とホルダー20との距離は、図12(B)の場合であれば最大E5までの距離を考慮しなくてはならない。
図12(A)、図12(B)からも明らかなように、傾斜面を複数段にすることで、検出部90とホルダー20の距離を短くすることが期待でき、結果として外乱光の影響を抑止し、精度の高い位置補正処理を行うことが可能になる。
なお、複数の傾斜面(第1から第Nの傾斜面とする)を設けて検出部90とホルダー20の距離を短くする場合、ホルダー20の第1の部分は、第2の方向に沿って配置される第1〜第N(Nは2以上の整数)の傾斜面を有し、第i(iは1≦i<Nを満たす整数)の傾斜面のうち、第i+1の傾斜面側の端点における検出部90とホルダー20との距離は、第i+1の傾斜面のうち、第iの傾斜面側の端点における検出部90とホルダーとの距離よりも大きいものとするとよい。
ここで、図12(A)の例であれば、N=3であり、第1の傾斜面が27a、第2の傾斜面が27b、第3の傾斜面が27cに対応する。また、第iの傾斜面のうち、第i+1の傾斜面側の端点とは、i=1であれば27aの−X方向での端点E1に対応し、i=2であれば27bの−X方向での端点E3に対応する。同様に、第i+1の傾斜面のうち、第iの傾斜面側の端点とはi=1であれば27bのX方向での端点E2に対応し、i=2であれば27cのX方向での端点E4に対応する。なお、ここでの各傾斜面は、第iの傾斜面から第i+1の傾斜面へ向かう方向(−X方向)において、検出部90が配置された平面からのZ軸方向での距離が単調増加する(Z軸の座標値が単調増加する)面である。
第iの傾斜面から第i+1の傾斜面へと向かう方向を考えた場合、第iの傾斜面内では、当該傾斜面が終わる位置、すなわち第i+1の傾斜面側の端点(E1)において、検出部90からの距離が最も大きくなる。そして、第iの傾斜面が終了し、第i+1の傾斜面が開始する際(E2)には、上述の条件により、検出部90までの距離が一旦短くなる(検出部90〜E2の距離<検出部90〜E1の距離)。一例としては、図12(A)に示したように、第i+1の傾斜面の開始点での距離を、第iの傾斜面の開始点での距離と等しくすればよい。
このようにすれば、複数の傾斜面のうちの2つの傾斜面の継ぎ目において、必ず検出部90までの距離が一旦減少することになるため、図12(B)のように距離の減少点が無い1段の傾斜面を有するホルダー20に比べて、検出部90が配置された平面までのZ軸方向での距離の期待値を小さくすることが可能になる。例えば、傾斜面が開始する点と検出部90が配置された平面間のZ軸方向距離を同じとした場合、端点と検出部90が配置された平面間とのZ軸方向軸方向の距離を小さくできる。
以上に示したように、本実施形態に係るホルダー20は、複数の液体収容容器を着脱及び保持可能であり、複数の液体収容容器が装着されたときの複数のプリズム170の各プリズムに対向する位置に設けられる複数の開口部22を有する。本実施形態では、ホルダー20の反射部24の周辺の第1の部分に、副走査方向に沿って傾斜する傾斜面を有するものとしたが、当該第1の部分は上記反射部24及び複数の開口部22の位置に基づいて規定される部分であってもよい。例えば、第1の部分は、反射部24と、複数の開口部22のうちの第1の開口部の間の部分であってもよい。
図9(A)であれば、本実施形態に係る副走査方向に沿った傾斜面が設けられる第1の領域は、斜線で表した2箇所から構成される。そして、第1の領域は、反射部24と開口部22の間の領域、すなわち図9(A)の2つの斜線領域のうち、−Y方向側の領域を含むことになる。なお、ここでの第1の開口部とは、例えば複数の開口部22のうち、最も反射部24に近い位置に設けられるものであればよく、図9(A)の例であればインクカートリッジIC1に対応する開口部22となる。
ただし、反射部24の周辺であって副走査方向に沿って傾斜する傾斜面を有する第1の部分は、反射部24と第1の開口部の間に限定されるものではない。例えば第1の部分は、反射部24を基準として、複数の開口部22のうちの第1の開口部の反対側の部分であってもよい。
つまり、第1の領域は、反射部24を基準として開口部22とは反対の領域、すなわち図9(A)の2つの斜線領域のうち、+Y方向側の領域を含むことになる。なお、ここでの「反対側」とは主走査方向HDを基準として考えればよい。例えば、反射部24を中心として、主走査方向HDに直交する平面(XZ平面)で空間を2分割することで、第1の開口部が含まれる側の空間と、含まれない側の空間が観念できることになる。この場合、第1の開口部の反対側の部分とは、上記2つの空間のうち、第1の開口部が含まれない側の空間に位置する部分ということになる。
本実施形態では、副走査方向に沿って傾斜する傾斜面は、図9(A)の斜線で示した2箇所に設けられるものとした。つまり上記第1の部分とは、狭義には、反射部24と、複数の開口部22のうちの第1の開口部の間の部分と、反射部24を基準として、複数の開口部22のうちの第1の開口部の反対側の部分との両方を表す部分である。
また、複数の開口部の間の部分は、図9(B)に示したように、第1の方向に沿って傾斜する傾斜面を有する。
後述するように、インクニアエンドの判定においても、ホルダー20の底面による反射は判定精度を低下させるノイズ要因となる。そのため、プリズム170の周囲の部分についても傾斜面を設けるとよい。インクニアエンド判定では、本来検出したい光がプリズム170からの反射光であるため、反射部24での反射光に比べると弱い光となる。そのため、位置補正処理に比べてノイズ低減を十分行う必要があり、ホルダー20の底面での反射を抑止することも重要となる。
ただし、インクニアエンド判定では、図14(B)を用いて後述するように所与の閾値と信号レベルとの比較を行う。その際、検出部90とホルダー20の間の距離は信号レベルに直結するため、変動することが好ましくない。ここでの変動とは、図12(B)に示したように、ホルダー20と検出部90の副走査方向での相対位置がずれることによる変動である。
図12(A)、図12(B)に示したように、複数段の場合と1段の場合とで変動範囲に差があるものの、傾斜面を副走査方向に沿った方向にした場合、ホルダー20と検出部90との副走査方向での相対的な位置ずれにより、その間の距離まで変動してしまう。そのため、位置ずれに応じて信号レベルが変化してしまい、事前に設定した閾値では適切なインクニアエンド判定を行えないおそれがある。
よって、本実施形態のホルダー20では、プリズム170の周囲の部分については、傾斜面を主走査方向HDに沿った方向としている。ただし、ホルダー20と検出部90との副走査方向での相対的な位置ずれを十分に抑止できる、或いは、位置ずれが生じたとしてもインクニアエンド判定に影響を与えるほどの信号レベルの変動が生じないものとできるのであれば、プリズム170の周辺の部分についても、傾斜面を副走査方向VDとすることは妨げられない。
4.インクニアエンド判定手法
次に、本実施形態に係るインクニアエンドの判定方法について説明する。図13(A)〜図14(B)は、インクニアエンドの判定方法を説明する図である。図13(A)及び図13(B)には、インクカートリッジICのプリズム170を通過するYZ平面の断面を示す。図13(A)および図13(B)では、プリズム170と検出部90の位置関係が、インクニアエンド判定のためのインク残量検出が可能な位置関係(検出位置)となったときの状態を示している。
図14(A)には、インクカートリッジICのプリズム170を通過するYZ平面の断面を示す。図14(A)では、プリズム170と検出部90との位置関係が、インクニアエンド判定のためのインク残量検出が可能な位置関係でないときの状態を示している。また、図14(B)には、1個のインクカートリッジICが検出部90の上を通過した場合の検出電圧の特性例を示している。
図13(A)に示すように、プリズム170の傾斜面170R,170Lはインク収容室130の内側を向いている。傾斜面170Rは例えば傾斜面170Lと直交する面であり、傾斜面170Rと傾斜面170Lとは、X−Z平面に平行な平面に対して対称となるように配置されている。インク収容室130にインクIKが満たされている場合には傾斜面170R,170LはインクIKに接する。
インクカートリッジICにインクIKが満たされている場合、発光部92からプリズム170に入射した照射光Leは、傾斜面170RからインクIK内に入射する。この場合、傾斜面170R,170Lで反射される反射光Lrは非常に少なくなるため、受光部94はほとんど光を受光しない。例えば、インクの屈折率を水の屈折率とほぼ同様の1.5と仮定し、プリズム170をポリプロピレンにより構成する場合、傾斜面170R,170Lにおける全反射の臨界角は約64度である。入射角は45度なので、傾斜面170R,170Lでは全反射されず、照射光LeはインクIK内に入射する。
図13(B)に示すように、インクカートリッジIC内のインクIKが印刷のために消費され、インクカートリッジICにインクIKが満たされていない場合を考える。プリズム170の傾斜面170R,170Lのうち、少なくとも発光部92からの照射光Leが入射する部分が空気に接しているとする。この場合、発光部92からプリズム170に入射した照射光Leは、傾斜面170R,170Lで全反射され、反射光Lrとしてプリズム170の外へ射出される。
したがって、インクカートリッジICにインクIKが満たされていない場合、受光部94が全反射した反射光Lrを受光するため、強い検出電圧が得られる。例えば、空気の屈折率を1とし、プリズム170をポリプロピレンにより構成する場合、傾斜面170R,170Lにおける全反射の臨界角は約43度である。入射角は45度なので、プリズム170に入射する照射光Leは傾斜面170R,170Lで全反射される。
図14(B)において、横軸は、プリズム170と検出部90との相対的な位置を表し、縦軸は、横軸の各位置において検出部90から出力される検出電圧を表す。プリズム170の中心と検出部90の中心とが一致したときの位置(例えば図13(A)に示すインクカートリッジICと検出部90との位置関係)を、横軸の“0”としている。検出部90の中心とは、主走査方向HDにおける発光部92と受光部94との中央である。
また、図14(A)に示すインクカートリッジICと検出部90との位置関係のように、位置“0”から、プリズム170の中心と検出部90の中心との相対位置が主走査方向HDにずれた位置であって、ホルダー20の開口部22bに対応する位置を位置PK1とする。同様に、位置“0”から、プリズム170の中心と検出部90の中心との相対位置が主走査方向HDに沿ってずれた位置であって、ホルダー20の開口部22aに対応する位置を位置PK2とする。
図14(B)に示すように、受光部94の受光量がゼロに近いほど検出電圧が上限電圧Vmaxに近くなり、受光部94の受光量が大きいほど検出電圧が下限電圧Vminに近くなる。受光量が所定値を越えると、検出電圧が飽和して下限電圧Vminとなる。上限電圧Vmaxと下限電圧Vminは、例えば、図6において受光部94がコレクター端子に出力する電圧範囲の上限電圧と下限電圧に対応する。
検出部90から出力される検出電圧は、検出部90とプリズム170との相対位置に応じて変化する。SIKは、図13(A)で説明したインクカートリッジICがインクIKで満たされている場合の検出電圧特性である。この場合、受光部94の受光量は小さいため、位置“0”において検出電圧はVmaxに近くなる。位置“0”から、プリズム170の中心と検出部90の中心との相対位置が主走査方向HDにずれた位置PK1,PK2には、プリズム170の底面170cからの反射光LrによってピークSpk1,Spk2が生じる。このピークSpk1,Spk2については後述する。
SEPは、図13(B)で説明したインクカートリッジICがインクIKで満たされていない場合の検出電圧特性である。この場合、受光部94の受光量が大きいため、位置“0”において検出電圧はVminに達する(あるいは、Vminに近くなる)。このように、インクカートリッジICがインクIKで満たされているか否かによって検出電圧の特性が大きく異なっており、本実施形態では、この検出電圧の特性の違いを検出することにより、インクカートリッジICのインクニアエンドの判定を行う。
具体的には、検出電圧特性SIKのピーク値Vpk1に基づいて、ピーク値Vpk1と下限電圧Vminとの間に閾値Vthを設定する。そして、インクカートリッジICが検出部90の上を通る検出範囲DPRとなったときに、検出部90の検出電圧が閾値Vthよりも小さい場合には、インクニアエンドであると判定し、検出電圧が閾値Vth以上である場合には、インクが残存していると判定する。
図14(A)に示すように、ホルダー20の開口部22の中央には、発光部92からの光を遮光する遮光部23が設けられている。発光部92からプリズム170の底面170cに入射した照射光Leは、その一部が底面170cで反射され反射光Lrとして受光部94に受光される。この反射光Lrの底面170cでの反射角は、照射光Leの底面170cへの入射角と等しい。図14(B)の検出電圧特性SIKに示すように、位置“0”では遮光部23が存在するため底面170cからの反射光Lrは検出されず、位置PK1,PK2では、遮光部23が存在しないためピークSpk1,Spk2が検出される。
ここで、位置PK1は、主走査方向HDにおける開口部22bの中央と検出部90の中央とが一致する位置であり、位置PK2は、主走査方向HDにおける開口部22aの中央と検出部90の中央とが一致する位置である。なお、プリズム170から全反射光が返ってくる場合にも底面170cからの反射光Lrは検出されているが、検出電圧特性SEPに示すように全反射光の信号に埋もれるため、ピークSpk1,Spk2は生じない。
図15は、インクニアエンド判定処理を示すフローチャートである。インクニアエンド判定処理は、例えば、印刷装置10の起動時やインクカートリッジICの交換時等のタイミングで実行される。
図15に示すように、インクニアエンド判定処理において、まず、制御ユニット40(位置補正部44)は、インクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170について、主走査方向HDにおける位置補正処理を行う(ステップS10)。位置補正処理の詳細については後述する。
次にステップS20では、制御ユニット40は、インクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170が検出部90上を通過するようにホルダー20を主走査方向HDに移動させる。ここでは、ステップS10の補正処理後の位置P1’〜P4’において、発光部92から照射されインクカートリッジIC1〜IC4のプリズム170で反射された反射光を受光部94で受光させる。
続いて、制御ユニット40は、補正後の位置P1’〜P4’を含む検出範囲においてインクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170からの反射光の光量に対応する検出部90(受光部94)の検出電圧(出力電圧Vc)を読み取る(ステップS30)。
次に、制御ユニット40(残量判定部42)は、ステップS30における検出電圧の測定結果に基づいて、判定対象となるインクカートリッジICの検出電圧とインクニアエンド判定用の検出電圧の閾値とを比較する(ステップS40)。
判定対象のインクカートリッジICの検出電圧が当該閾値よりも小さい場合(ステップS40:YES)は、制御ユニット40は、その判定対象のインクカートリッジICを「インクニアエンド」であると判定する(ステップS50)。一方、判定対象のインクカートリッジICの検出電圧が当該閾値よりも小さくない場合(ステップS40:NO)は、制御ユニット40は、その判定対象のインクカートリッジICを「インク有り」であると判定する(ステップS60)。
次に、制御ユニット40は、インクカートリッジIC1〜IC4の全てについてインクニアエンドの判定が終了したか否かを判定する(ステップS70)。全てのインクカートリッジICについてインクニアエンドの判定が終了した場合(ステップS70:YES)は、制御ユニット40は、印刷装置10に備えられた表示部46や印刷装置10に接続されたコンピューター48に、各インクカートリッジIC1〜IC4の残存状態(インクニアエンドか否か)を表示する(ステップS80)。
一方、インクニアエンドの判定が終了していないインクカートリッジICが残っている場合(ステップS70:NO)は、ステップS40に戻り、残りのインクカートリッジICについてインクニアエンドの判定を行う。このようにして、各インクカートリッジIC1〜IC4について、インクニアエンドか否かの判定が順次行われる。
5.位置補正手法
インクカートリッジICの位置は、種々の公差によって位置ずれを生じる。公差としては、例えば、キャリッジCRの傾きや取り付けのずれ、ロータリーエンコーダーの誤差、電子回路(例えば検出部90)の応答速度のばらつき、例えばキャリッジ駆動等のメカ的な位置ずれ等が想定される。制御ユニット40は、ロータリーエンコーダーのカウント値に基づいてインクカートリッジの位置を把握しているが、この制御ユニット40が把握する位置が、公差により実際のインクカートリッジICの位置からずれてしまうことがある。
この位置ずれを補正しない場合には、想定される全ての公差を含めた位置ずれ範囲を考慮し、その範囲内で正しくインクニアエンド検出が行えるように図14(B)の検出範囲DPRを決める必要がある。そうすると、検出範囲DPRが2つのピークSpk1,Spk2の間隔よりも広くなり、閾値VthをピークSpk1,Spk2のピーク電圧Vpk1に近づけることができなくなる。
そうすると、SEPで示すインクが無くなった場合のピークが、プリズム入射面からの反射光によるピークSpk1,Spk2とほぼ同じ大きさ(Vpk1)となる場合には、閾値Vthにより正しくインクニアエンドを検出できないことになる。このような状況は、例えば検出部90にインクミストが付着して発光量や受光量が低下し、ピークSpk1,Spk2を含めたノイズと全反射による検出電圧との比(いわゆるS/N比)が小さくなった場合等に生じうる。
そこで本実施形態では、ロータリーエンコーダーのカウント値に基づいて把握されるインクカートリッジICの位置を、反射部24からの反射光に基づいて補正する。この補正により、公差による位置ずれが補正されるため、インクカートリッジICの位置とロータリーエンコーダーのカウント値とを高精度に対応付けることができる。
次に、本実施形態における位置補正処理の方法について図16のフローチャートを用いて詳細に説明する。先ず、制御ユニット40は、発光部92を発光させた後、ホルダー20に備えた反射部24が検出部90上を通過するようにホルダー20を主走査方向HDに移動させる。そして、反射部24が検出部90上を通過した際の反射部24からの反射光に基づいて、反射部24の主走査方向HDにおける中央位置を求める(ステップS110)。図17、図18の例の場合、制御ユニット40は、図18に示す「非反射期間1」→「反射期間(反射部からの反射を受光する期間)」→「非反射期間2」における出力電圧の変位に基づいて反射部24の中央位置を求める。具体的には、先ず、制御ユニット40は、反射部24用の出力電圧の閾値を設定し、「反射期間(反射部)」において、当該閾値と漸次減少する出力電圧との交点を反射部24についての一方の光学的端部Pr´1とみなし、当該閾値と漸次増加する出力電圧との交点を反射部24についての他方の光学的端部Pr´2とみなす。そして、制御ユニット40は、光学的端部Pr´1と光学的端部Pr´2との間の中央位置を反射部24の中央位置Pr´とする。つまり、図17に示す反射部24の中央位置Prに対応する光学的位置を、検出部90からの出力電圧に基づいて、図18における反射部24の中央位置Pr´として求める。
次に、制御ユニット40は、ステップS110において求めた反射部24の中央位置に基づいて、反射部24に隣接するインクカートリッジIC1のプリズム170の主走査方向HDにおける位置を補正する(ステップS120)。図17及び図18の例の場合、制御ユニット40は、求めた反射部24の中央位置Pr´に基づいて、インクカートリッジIC1のプリズム170の中央位置P1´を求め、検出部90が測定する際の基準となる中央位置P1に対して位置ずれがある場合には補正する。具体的には、先ず、制御ユニット40は、求めた反射部24の中央位置Pr´に基づいて、インクカートリッジIC1のプリズム170の中央位置P1´を求める。本実施形態では、図17に示す反射部24の中央位置PrからインクカートリッジIC1のプリズム170の中央位置P1までの距離b0を5mmとしている。従って、図18に示す反射部24の中央位置Pr´から5mmだけ離れた位置P1´がプリズム170の中央位置P1´として求められる。そして、求めたプリズム170の中央位置P1´と、図17に示す基準となるプリズム170の中央位置P1とが異なる場合には、検出部90が測定する際に用いるプリズム170の中央位置を中央位置P1´の内容に補正する。
次に、制御ユニット40は、図9(A)に示すように隣接する開口部22の相互の間隔が距離b1であることに基づいて、インクカートリッジIC1のプリズム170と同様に、他のインクカートリッジIC2〜IC4のプリズム170の主走査方向HDにおける位置を補正する(ステップS130)。
ただし、位置補正手法は上述の手法に限定されるものではなく、反射部24に対応する検出信号と、各インクカートリッジに対応する検出信号を合わせて用いてもよい。具体的には、反射部24の中心位置を基準としてプリズム170の中心位置を補正する一次補正処理を行う。そして、一次補正した位置において、さらに各インクカートリッジICの検出電圧に対してピーク検出を行い、その検出したピーク位置に基づいてプリズム170の中心位置を補正する二次補正処理を行うことで、位置補正処理の精度をより向上させるといった変形例が可能である。例えば、二次処理としては、以下のような処理をすればよい。インクが存在するカートリッジについて、検出される2つのピーク間の中心位置と反射部中央位置間の距離を求める。この距離と設計上の距離との差を求める。各カートリッジの差の平均を求める。設計上の差に平均された差を加味して、カートリッジの中心位置を補正する。
6.変形例
上述してきたように、本実施形態の液体消費装置は、反射部24における反射光の受光結果を表す検出部90からの検出信号に基づいて、液体の残存状態の判定を行う際のホルダー20と検出部90との位置関係の補正処理を行う制御部(制御ユニット40)を含む。ただし、制御ユニット40で行われる処理はこれに限定されず、他の処理を行うことも可能である。例えば、制御部は位置補正処理における発光部92からの発光量を調整することができる。さらに、反射部24からの反射光が検出されない場合に検出部90が故障していると判定するといったように、検出部90の故障検出を行うことができる。
また、ホルダー20は、第1の液体収容容器と、第1の液体収容容器に比べて容量の小さい第2の液体収容容器を着脱及び保持可能であり、ホルダー20の反射部24は、ホルダー20のうちの第2の液体収容容器側に設けられてもよい。
例えば、印刷装置によっては、ブラックの容量が、シアン等の他のインクカートリッジの容量に比べて2倍程度となる製品も存在する。この場合のホルダー20の構成を図19(A)、図19(B)に示す。図19(A)、図19(B)のようなホルダー20の構成とすれば、開口部22の位置を変更せずに、インクカートリッジIC4(例えばブラック)に対応する開口部から当該開口部側のホルダー20の端点までの距離を長くできる。
図1(B)では、反射部24の周辺での外乱光の影響を説明したが、外乱光がノイズとなりうる点は、プリズム170を用いたインクニアエンドの判定においても同様である。図19(B)からわかるように、反射部24やその周辺の構造は、開口部22(特にIC1に対応する開口部22)を用いたインクニアエンド判定において、外乱光の入射を抑止する遮蔽部として機能しうる。具体的には、ホルダー20の主走査方向における端点から開口部22までの距離を長くできるため、外乱光の影響を抑止できる。
また、容量の大きいインクカートリッジでは、プリズム170を一方に偏らせて配置することで、同様にホルダー20の主走査方向での端点から開口部22までの距離を長くし、外乱光の影響を抑止できる。つまり、他のインクカートリッジに比べて容量の大きいインクカートリッジが含まれる場合、当該インクカートリッジをホルダー20の端部に設けることで、遮蔽部としての機能を持たせることができる。
以上より、反射部24周辺と、大容量インクカートリッジがそれぞれ遮蔽部としての機能を有するのであれば、反射部24と、大容量インクカートリッジの間に開口部を設けることで、効率よく外乱光の影響を抑止することが可能になる。
また、上記実施形態に係るホルダー20では、開口部22が底面21に設けられた構成を有していたが、本発明はこのような形態に限定されない。開口部22は、プリズム170と検出部90とが対向する位置に設けられていればよく、例えば、ホルダー20の側部に設けられていてもよい。
また、上記実施形態に係るホルダー20は、4つのインクカートリッジICが装着され、それぞれのプリズム170に対応する数の開口部22を有する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。装着されるインクカートリッジICの数とそれに対応する開口部22の数とは、4つ以外であってもよい。
また、上記の実施形態では、検出部90の備える発光部92及び受光部94は、キャリッジCRが移動する主走査方向HD(Y軸方向)に沿って並ぶように配置された構成を有していたが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、発光部92及び受光部94が主走査方向HDと直交する方向(X軸方向)に沿って並ぶように配置された構成を有していてもよい。
また、上記の実施形態では、インクカートリッジIC1〜IC4を着脱可能なホルダー20を搭載したキャリッジCRが移動し、検出部90が印刷装置本体に固定される場合を例に説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、検出部90を搭載したキャリッジCRが移動し、インクカートリッジIC1〜IC4を着脱可能なホルダー20が印刷装置本体に固定されてもよく、インクカートリッジIC1〜IC4と検出部90とが相対的に移動する構成であればよい。また、ホルダー20が固定されており、印刷ヘッド35を備えるキャリッジCRに検出部90が配置された構成であってもよい。
また、上記の実施形態では、本発明を印刷装置とインクカートリッジとに適用した例を説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。本発明は、例えば、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体消費装置に用いてもよく、また、そのような液体を収容した液体容器にも適用可能である。また、本発明の液体容器は、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。「液滴」とは、上記液体消費装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体消費装置が噴射させることができるような材料であれよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子等の固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたもの等を含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや、液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体消費装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体消費装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体消費装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体消費装置であってもよい。更に、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体消費装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)等を形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体消費装置、基板等をエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体消費装置を採用してもよい。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また液体消費装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。