JP2015189101A - 液体消費装置 - Google Patents

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秀利 横山
Hidetoshi Yokoyama
秀利 横山
淳平 吉田
Junpei Yoshida
淳平 吉田
西原 雄一
Yuichi Nishihara
雄一 西原
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Abstract

【課題】液体の残存量低下検出と残存状態判定の精度を向上できる液体消費装置を提供する。【解決手段】印刷装置10は、発光部92と受光部94とを有する検出部90と、プリズム170が配置されたインクカートリッジICを着脱可能に保持するホルダー20と、ホルダー20と検出部90とを相対的に移動させるキャリッジモーター33と、制御部40と、記憶部50とを備え、制御部40は、検出部90とプリズム170とが対向する位置関係となる検出範囲DPR’において、反射光Lr1,Lr2の受光量に応じて受光部94から出力された検出電圧特性SEPに基づいてインクIKの残存状態を判定するインクニアエンド判定と、検出電圧特性SIKに基づいて決定される調整値により検出範囲DPRを調整する位置補正処理とを実行可能に構成され、決定された調整値を記憶部50の所定の領域に書き込むことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、液体消費装置に関する。
液体消費装置の一例であるインクジェット方式の印刷装置には、一般的に、着脱可能な液体収容容器であるインクカートリッジが装着される。インクカートリッジ内にプリズムを設け、発光部で照射された光がプリズムの斜面で反射する際に、斜面がインクと接しているか否かで反射状態が異なることを利用して、受光部で受光する反射光の強度のレベル等に基づいてインクの残存状態の判定(インクの残存量低下の検出)を行う印刷装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
インクの残存状態の判定は、プリズムと検出部とが対向する位置関係となる所定の範囲において行われるが、例えば各部品の寸法公差や部品相互の取り付け公差等があると、検出部の位置に対するプリズムの相対的な位置が想定している位置からずれてしまう場合がある。そのため、特許文献1に記載の印刷装置では、インク残存状態の判定を行う前に、プリズムの入射面で反射され受光部が受光した光の強度のレベル等に基づき、検出部の位置に対するプリズムの相対的な位置の調整が行われ、調整された位置を基準としてインクの残存状態を判定するための所定の範囲が設定される。
特開2014−18992号公報
ところで、例えば、インクカートリッジ内の気泡、発光部の発光量の低下や受光部の感度低下、外乱光等により、プリズムで反射された光の強度のレベル等に基づいて、検出部の位置に対するプリズムの相対的な位置の調整が行えない場合がある。このような場合に、特許文献1に記載の印刷装置では、受光部で受光する反射光の強度のレベルに基づく判定ではなく、インクの消費量から推定されるインクの推定残存量に基づいて、インクの残存状態の判定が行われる。
しかしながら、このような判定方法では、インクの消費量から推定されるインクの推定残存量が実際のインクの残存量と異なる場合があり、インクの残存状態の判定精度が低下するおそれがある。例えば、インクの残存量低下が検出される前にインクカートリッジ内のインクが無くなってしまうと、インクを吐出しない空打ち状態となる。したがって、インクカートリッジ内の気泡、発光部の光量低下、受光部の感度低下、外乱光等がある場合でも、インクの残存量低下をより確実に検出でき、インクの残存状態の判定精度を向上できる液体消費装置が求められている。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る液体消費装置は、発光部と受光部とを有する検出部と、液体を収容し前記発光部から照射された光が入射する入射面を有し前記光を前記液体の残存状態に応じて反射するプリズムが配置された液体収容部を着脱可能に保持するホルダーと、前記ホルダーと前記検出部とを相対的に移動させる移動部と、制御部と、不揮発的に、かつ、書き換え可能に情報を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記液体収容部が前記ホルダーに装着された状態で、前記検出部と前記プリズムとが対向する位置関係となる検出範囲において、前記プリズムで反射された反射光の受光量に応じて前記受光部から出力された検出信号に基づいて、前記液体の残存状態を判定する残存状態判定と、前記ホルダーと前記検出部とを前記移動部により相対的に移動させたときに前記受光部から出力された前記検出信号に基づいて決定される調整値により、前記検出範囲を調整する位置補正処理と、を実行可能に構成され、前記検出信号に基づいて決定された前記調整値を、前記記憶部の所定の領域に書き込むことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、検出部とプリズムとが対向する位置関係となる検出範囲において、プリズムで反射された反射光の受光量に応じて受光部から出力された検出信号に基づいて制御部が実行する残存状態判定により、液体収容部内の液体の残存状態が判定される。そして、ホルダーと検出部とを相対的に移動させたときに、プリズムで反射された反射光の受光量に応じて受光部から出力された検出信号に基づいて、制御部が実行する位置補正処理において、調整値が決定され残存状態判定を行う際の検出範囲が調整される。これにより、検出部の位置に対するプリズムの相対的な位置が想定している位置からずれていた場合でも、その位置のずれを補正して設定される検出範囲において残存状態判定が行われるので、液体の残存状態の判定を精度良く行うことができる。また、位置補正処理において決定された調整値が記憶部の所定の領域に書き込まれるので、調整値が決定できない場合等に、過去に書き込まれた調整値を所定の領域から読み出して位置調整処理を実行することが可能となる。これにより、位置補正処理が行われた状態で残存状態判定が実行される機会を増やすことが可能となるので、液体収容部内の気泡、発光部の光量低下や受光部の感度低下、外乱光等がある場合でも、液体の残存量低下を確実に検出でき、液体の残存状態の判定精度を向上させることができる。
[適用例2]上記適用例に係る液体消費装置であって、前記液体消費装置の使用開始前の状態において、前記記憶部の前記所定の領域には、前記調整値の初期値として所定の範囲外の値が記憶されていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、記憶部の所定の領域に調整値の初期値として所定の範囲外の値が記憶されているので、所定の領域に記憶されている調整値が所定の範囲内の値である場合、すなわち、所定の領域に記憶された調整値が初期値から書き換えられている場合に、位置補正処理が少なくとも一度は行われていると判断できる。
[適用例3]上記適用例に係る液体消費装置であって、前記制御部は、前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲内の値である場合には、読み出した前記調整値により前記位置補正処理を実行して、前記残存状態判定を実行することが好ましい。
本適用例の構成によれば、記憶部の所定の領域から読み出された調整値が所定の範囲内の値である場合には、所定の領域に記憶された調整値が初期値から書き換えられていること、すなわち、少なくとも一度は調整値が決定され位置補正処理が行われていることがわかる。したがって、新たに調整値が決定できなかった場合でも、読み出された調整値により位置補正処理を行って残存状態判定を実行することができる。これにより、位置補正処理が行われた状態で残存状態判定が実行される機会を増やすことができるので、液体の残存量低下を確実に検出でき、液体の残存状態の判定精度を向上させることができる。
[適用例4]上記適用例に係る液体消費装置であって、前記制御部は、前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲外の値である場合には、前記位置補正処理を実行することなく、前記残存状態判定を実行してもよい。
本適用例の構成によれば、記憶部の所定の領域から読み出された調整値が所定の範囲外の値である場合には、一度も調整値が決定されず位置補正処理が行われていないことがわかる。このような場合には、位置補正処理が行われない状態で残存状態判定が実行される。
[適用例5]上記適用例に係る液体消費装置であって、前記制御部は、前記調整値を、前記検出信号に基づいて検出された前記プリズムの中心位置と、前記プリズムの設計上の前記中心位置と、のずれ量に基づいて決定することが好ましい。
本適用例の構成によれば、検出信号に基づいて検出されたプリズムの中心位置と、プリズムの設計上の中心位置と、のずれ量に基づいて調整値が決定されるので、決定された調整値を用いてプリズムの中心位置のずれを補正することができる。
[適用例6]上記適用例に係る液体消費装置であって、前記記憶部には、前記プリズムの前記設計上の中心位置が記憶されており、前記制御部は、前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲外の値である場合には、前記プリズムの前記設計上の中心位置を基準とする前記検出範囲において前記残存状態判定を実行してもよい。
本適用例の構成によれば、一度も調整値が決定されず位置補正処理が行われていない場合には、設計上の中心位置を基準とする検出範囲において残存状態判定が実行される。
[適用例7]上記適用例に係る液体消費装置であって、前記制御部は、前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲外の値である場合には、前記検出信号に基づいて異なる基準で前記調整値を決定して、前記位置補正処理を実行することが好ましい。
本適用例の構成によれば、新たに調整値が決定できず、かつ、過去に一度も調整値が決定されず位置補正処理が行われていない場合でも、異なる基準で調整値を決定して位置補正処理を実行することができる。したがって、位置補正処理が行われた状態で残存状態判定が実行される機会をより多く増やすことが可能となるので、液体収容部内の気泡、発光部の光量低下や受光部の感度低下、外乱光等がある場合でも、液体の残存量低下をより確実に検出でき、液体の残存状態の判定精度をより向上させることができる。
第1の実施形態に係る印刷装置の要部を示す斜視図。 第1の実施形態に係る印刷装置の概略構成図。 第1の実施形態に係る検出部の電気的構成を示す説明図。 第1の実施形態に係るインクカートリッジの斜視図。 第1の実施形態に係るホルダーの構成及びプリズムとの位置関係を説明する図。 第1の実施形態に係るインクニアエンド判定の手法を説明する図。 第1の実施形態に係るインクニアエンド判定の手法を説明する図。 第1の実施形態に係る位置補正処理の手法を説明する図。 第1の実施形態に係る位置補正処理の手法を説明する図。 第1の実施形態に係るインクニアエンド判定処理を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る位置補正処理を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る位置補正処理を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る位置補正処理を示すフローチャート。 インクニアエンドが検出された際に行う位置補正処理方法を説明する図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
<印刷装置の基本構成>
本実施形態に係る液体消費装置としての印刷装置の基本構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る印刷装置の要部を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。
図1には、Y軸方向と、Y軸方向と直交するX軸方向と、X軸方向およびY軸方向と直交するZ軸方向と、を示している。本実施形態において、印刷装置10の使用姿勢では、Z軸方向(+Z方向及び−Z方向)が鉛直方向であり、+X方向が印刷装置10の正面である。また、Y軸方向(+Y方向及び−Y方向)が印刷装置10の主走査方向HDであり、X軸方向(+X方向及び−X方向)が印刷装置10の副走査方向VDである。
図1に示すように、印刷装置10は、液体収容部としての複数のインクカートリッジICと、ホルダー20を備えるキャリッジCRと、紙送りモーター30と、移動部としてのキャリッジモーター33と、ケーブルFFC1と、検出部90と、制御部40と、A/D変換部36(図2参照)と、記憶部50(図2参照)とを備えている。
各インクカートリッジICには、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の液体としてのインクが一色ずつ収容されている。ホルダー20には、各インクカートリッジICが着脱可能に装着され保持される。なお、ホルダー20はキャリッジCRと一体の部材として形成されてもよいし、別体の部材として形成されてキャリッジCRに組み付けられてもよい。
図2に示すように、キャリッジCRは、ホルダー20と印刷ヘッド35とを備えている。キャリッジCRは、ケーブルFFC1(図1参照)により、制御部40に接続されている。キャリッジCRは、キャリッジモーター33に駆動されることにより、印刷媒体PA上を主走査方向HDに沿って往復移動する。印刷媒体PAは、例えば印刷紙である。なお、図1及び図2では、キャリッジCRは、ホームポジションに位置している。
紙送りモーター30は、紙送りローラー34を回転駆動し、印刷媒体PAを副走査方向VDに搬送する。印刷ヘッド35は、キャリッジCRに搭載されて、各インクカートリッジICから供給されたインクを吐出する。印刷ヘッド35の吐出制御は、ケーブルFFC1を介して制御部40により行われる。すなわち、制御部40は、紙送りモーター30、キャリッジモーター33、印刷ヘッド35を制御することにより、印刷媒体PAに対しての印刷を制御する。
検出部90は、インクカートリッジICのインク残存状態を検出するための信号を制御部40に出力する。検出部90は、インクカートリッジIC内のプリズム170(図4参照)へ光を照射する発光部92(発光素子)と、プリズム170からの反射光を受光しその受光量に応じて電気信号に変換する受光部94(受光素子)と、を備えている。
図3は、第1の実施形態に係る検出部90の電気的構成を示す説明図である。検出部90は、例えば、発光部92(発光素子)としてLED(Light Emitting Diode)を備え、受光部94(受光素子)としてフォトトランジスターを備えている。受光部94のエミッター端子は接地電位VSSに接続され、コレクター端子は抵抗素子R1を介して電源電位Vccに接続されている。
発光部92が照射する光の発光量は、トランジスターTR1と抵抗素子R2,R3とキャパシターC1とを介して発光部92に印加されるPWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティー比(オン時間とオフ時間の割合)が制御部40(図2参照)によって調整されることにより設定される。
A/D変換部36には、抵抗素子R1とコレクター端子の間の電位が、検出部90(受光部94)の出力電圧Vcとして入力される。A/D変換された検出部90の出力電圧Vcは、残存判定部43に入力される。すなわち、発光部92から照射された光が、インクカートリッジIC内のプリズム170で反射して反射光が受光部94に受光されると、その受光量に応じた出力電圧Vcが、検出信号として残存判定部43に入力される。本実施形態では、受光部94が受光する反射光の光量が多いほど、検出部90から出力される出力電圧Vcは低くなる。以下では、受光部94の受光量に応じて検出部90から出力される出力電圧Vc(検出信号)を検出電圧ともいう。
図2に示すように、検出部90が備える発光部92及び受光部94は、ホルダー20が移動する主走査方向HD(Y軸方向)に沿って並ぶように配置されている。ホルダー20は、キャリッジモーター33によって、検出部90に対して主走査方向HDに沿って相対的に移動する。発光部92及び受光部94は、ホルダー20が、キャリッジモーター33によって移動させられて検出部90上に位置したときに、ホルダー20の開口部22(図5(b)参照)を介してインクカートリッジIC内のプリズム170(図5(b)参照)と対向するように配置されている。
A/D変換部36は、検出部90からの検出電圧をA/D変換し、そのA/D変換後のデジタル信号を制御部40へ出力する。具体的には、A/D変換部36は、例えばロータリーエンコーダーのカウント値や制御部40を構成するCPUの割り込み周期等に応じた所定の位置間隔で、検出電圧をサンプリングし、複数個のサンプリング電圧を取得する。例えば、1個のインクカートリッジICが検出部90の上を通過するときに、数10個のサンプリング電圧を取得する。
制御部40には、印刷装置10の動作状態等が表示される表示部47が接続されている。制御部40には、インターフェイス(I/F)48を介してコンピューター49が接続されている。制御部40は、インターフェイス48を介してコンピューター49から画像データを受信し、その画像を印刷媒体PAに印刷する制御を行う。また、制御部40には、ケーブルFFC1(図1参照)を介してキャリッジCRが接続され、ケーブルFFC2(図3参照)を介して検出部90が接続されている。
制御部40は、駆動制御部41と、位置補正部42と、残存判定部43と、発光量決定部44と、閾値決定部45と、残存量推定部46とを有している。制御部40は、CPU、ROM、RAM等(図示省略)を備えている。制御部40は、例えば、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開し、そのRAMに展開された制御プログラムをCPUが実行することで制御部40の各部として動作する。
駆動制御部41は、キャリッジモーター33を制御して、キャリッジCRを移動させる制御を行う。これにより、キャリッジCRが備えるホルダー20と印刷ヘッド35とを移動させる駆動が、キャリッジモーター33により行われる。
位置補正部42は、サンプリングされた検出電圧に基づいて、主走査方向HDにおけるプリズム170(キャリッジCR)の位置を補正する。位置を補正する必要があるのは、例えばキャリッジCRの取り付け公差等の公差があるからである。具体的には、位置補正部42は、各インクカートリッジICの検出電圧に対してピーク検出を行い、その検出したピークの位置に基づいて、インク残存状態の判定を行う際の主走査方向HDにおける検出部90に対するプリズム170の中心位置を補正する。
検出部90に対するプリズム170の実際の相対位置と、その設計上の相対位置(想定している位置)とにずれが生じていると、インクカートリッジICのインク残存状態の判定における精度が低下してしまう。そこで、詳細は後述するが、各インクカートリッジICについて検出電圧に対してピーク検出を行い、その検出したピークの位置に基づいて、検出部90に対するプリズム170(キャリッジCR)の相対位置を特定する。
プリズム170(キャリッジCR)の位置は、キャリッジモーター33に搭載されたロータリーエンコーダーの出力に基づいて把握される。すなわち、ロータリーエンコーダーは、例えばキャリッジCRのホームポジションPHを基準位置として、その基準位置からの移動量に応じたカウント値を出力する。各インクカートリッジICのプリズム170の中心の位置には、それぞれロータリーエンコーダーの所定のカウント値が対応している。
位置補正前においては、その各位置に対応するカウント値は、設計値に基づいてメカ的に設定されており、記憶部50に記憶されている。位置補正部42は、この設計値に基づいて設定された各位置に対応するカウント値を、プリズム170の実際の相対位置に対応するカウント値に補正するための調整値を決定し、決定した調整値により検出部90に対するプリズム170の相対位置を補正する。
記憶部50は、不揮発的に、かつ、書き換え可能に情報を記憶する。記憶部50は、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリーで構成される。記憶部50は、位置補正部42が決定した調整値を書き込むための所定の領域を有している。位置補正部42は、決定した調整値を記憶部50の所定の領域に書き込む。なお、制御部40が備えるROMが、記憶部50の機能を兼ねる構成としてもよい。
印刷装置10の使用開始前の状態、すなわち、位置補正部42が決定した調整値を書き込む前の状態においては、記憶部50の所定の領域に、調整値の初期値として所定の範囲外の値が記憶されている。したがって、記憶部50の所定の領域に所定の範囲内の値の調整値が記憶されている場合、過去に少なくとも一度は調整値が決定され初期値から書き換えられていることがわかる。
残存判定部43は、インクカートリッジIC内のインクの残存状態を、プリズム170を用いて判定する。残存判定部43は、プリズム170が検出部90に対して所定の位置(検出位置)にあるときにサンプリングされた検出電圧を、A/D変換部36から取得する。そして、残存判定部43は、取得した検出電圧と所定の閾値とに基づき、インクカートリッジIC内のインクが所定量以下となったか否かを判定する。
インクカートリッジIC内に収容されたインクの残存量や液面レベルが所定値以下となり、インクカートリッジICのインク量が残り少ない状態のことを、以降では「インクニアエンド」ともいう。そして、インクニアエンドを検出するためのインクの残存状態の判定を「インクニアエンド判定」ともいう。
例えば、インクニアエンドが検出された後に印刷を継続し、残存判定部43が推定するインク消費量が所定の量を超えた場合には、印刷ヘッド35がインクを吐出しない空打ち状態となる可能性がある。そこで、制御部40は、インクニアエンドが検出されたインクカートリッジICについて、印刷装置10の表示部47やコンピューター49の表示部にインク交換を知らせるアラームを表示させる指示を出力する。これにより、ユーザーにインクカートリッジICの交換を促し、空打ち状態とならないようにしている。
制御部40は、例えば、インクニアエンドが検出された後に、残存量推定部46により所定量のインクが消費されたと推定される場合に、インクカートリッジICが空(インクが残存しない状態)であると判定する。制御部40は、インクカートリッジICが空であると判定した場合、インクカートリッジICが交換されるまで印刷を実行しない。
なお、インクカートリッジIC内のインクの残存量や液面レベルを判定する所定値の設定により、残存判定部43が、インクカートリッジIC内にインクが残存しない状態(以降では「インクエンド」ともいう)の判定を行うこととしてもよい。インクエンド判定を行う場合には、制御部40は、インクエンドが検出された時点でインクカートリッジICが空(インクが残存しない状態)であると判定し、インクカートリッジICが交換されるまで印刷を実行しない。
発光量決定部44は、サンプリングされた検出電圧及び気泡有無の判断結果に基づいて、発光部92の発光量を決定する処理を行う。制御部40は、決定された発光量に基づいて図3に示すPWM信号を制御し、発光部92の発光量を制御する。この発光量決定処理は、気泡判断処理や閾値決定処理と共にインクニアエンド判定よりも前に行われ、インクニアエンド判定は、調整された発光量により行われる。
残存量推定部46は、ドットカウント(ソフトカウントとも呼ぶ)により各インクカートリッジIC内のインク残存量を推定する。具体的には、残存量推定部46は、印刷ヘッド35から噴射されるインク滴の数を計数し、計数されたインク滴の数とインク滴当たりの質量とを積算することでインクの使用量を算出する。そして、各インクカートリッジIC内のインクの初期充填量から、算出されたインクの使用量を差し引くことでインク残存量を推定する。
残存量推定部46は、こうして推定されたインクの残存量を、各インクカートリッジICに備えられた記憶装置151(図4参照)に適宜記録する。例えば、残存量推定部46は、印刷装置10の起動時に、各インクカートリッジICの記憶装置151からインクの残存量を取得して制御部40のRAMに記憶させ、電源が投入されている間には、印刷の実行や印刷ヘッド35のクリーニングに伴って、このRAM内の値を更新していく。
そして、例えば、印刷装置10の電源がオフされたときや、各インクカートリッジICが交換されたとき、あるいは、所定のインク量が消費される毎に、更新された推定残存量を各インクカートリッジICの記憶装置151に書き戻す。なお、以下ではインク残存量を推定する場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、例えば、インク消費量などの種々のインク量を推定することとしてもよい。
閾値決定部45は、サンプリングされた検出電圧に基づいて、インクが有る場合の検出電圧とインクニアエンドの場合の検出電圧とを区別するための閾値を設定する。位置補正部42により、インクニアエンドを検出するときのプリズム170の中心位置が高精度に補正されるため、より適切な閾値を設定することが可能となり、インクニアエンドの検出精度を向上できる。この点については、詳細に後述する。
<インクカートリッジの構成>
図4は、第1の実施形態に係るインクカートリッジの斜視図である。インクカートリッジICは、インクを内部に収容する略直方体形状のインク収容室130と、回路基板150と、ホルダー20にインクカートリッジICを着脱するためのレバー120とを備えている。回路基板150は、インク収容室130の−X方向側の面の−Z方向側に設けられており、レバー120は、インク収容室130の−X方向側の面の+Z方向側に設けられている。
インク収容室130の底部には、直角二等辺三角柱状のプリズム170が配置されている。プリズム170の検出部90に対向する面である底面170cは、発光部92(図2参照)からの照射光が入射する入射面であり、インクカートリッジICの−Z方向側の面をなす底面101から露出している。プリズム170は、発光部92からの照射光を透過する、例えばポリプロピレン等の部材によって形成されている。
インクカートリッジICの底面101には、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたときに、ホルダー20に設けられたインク受給針(図示省略)が挿入されるインク供給口110が形成されている。インクカートリッジICの使用前の状態では、インク供給口110はフィルムによって封止されている。ホルダー20(図1参照)にインクカートリッジICを上方から装着すると、インク受給針によってフィルムが破れ、インク供給口110を通じてインク収容室130から印刷ヘッド35にインクが供給される。
回路基板150の裏面には、インクカートリッジICに関する情報を記録するための記憶装置151が実装されている。回路基板150の表面には、記憶装置151に電気的に接続された複数の端子152が配置されている。複数の端子152は、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたときに、ホルダー20に設けられた複数の本体側端子(図示省略)と電気的に接触する。
これらの本体側端子は、ケーブルFFC1によって、制御部40に電気的に接続されている。これにより、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたとき、制御部40は、記憶装置151に電気的に接続されて記憶装置151に対してデータの読み書きが可能になる。記憶装置151としては、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリーを用いることができる。
<ホルダーの構成とプリズムとの位置関係>
図5は、第1の実施形態に係るホルダーの構成及びプリズムとの位置関係を説明する図である。図5(a)は、検出部90側から見たホルダー20の底部21の模式図である。図5(b)は、インクカートリッジICが装着されたホルダー20のYZ断面の模式図である。図5(b)は、図5(a)のA−A’線に沿った断面図に相当する。
図5(a),(b)に示すように、ホルダー20の底部21には、主走査方向HDに沿って並ぶように、例えば、4つの開口部22が設けられている。ホルダー20には、各開口部22に対応する位置に4つのインクカートリッジIC1〜IC4が装着される。
インクカートリッジIC1〜IC4の各インク収容室130内に設けられた各プリズム170は、傾斜面170aと傾斜面170bと底面170c(図5(b)参照)とを有している。傾斜面170aと傾斜面170bとで、主走査方向HD(Y軸方向)と交差する副走査方向VD(X軸方向)に沿ったプリズム170の稜線が構成される。プリズム170は、X軸方向からみて、傾斜面170aと傾斜面170bとで頂角を形成した、直角二等辺三角形状である。底面170cは、ホルダー20にインクカートリッジICが装着された場合に−Z方向側を向き検出部90に対向する面である。
図5(b)に示す発光部92から各プリズム170に入射する照射光が反射される状態は、傾斜面170a,170bのそれぞれに接する流体(インク又は空気)の屈折率によって異なる。換言すれば、各プリズム170は、入射する照射光を、インク収容室130内の液体の残存状態に応じて反射する。なお、プリズム170の底面170cには、プリズム170を形成するときに生じる変形を抑制するために、例えば底面170cの中央部に空洞部が設けられていてもよい。
ホルダー20の各開口部22は、ホルダー20の往復移動によってインクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170が検出部90の直上に位置したときに、検出部90の備える発光部92及び受光部94と対向する位置に配置されている。
各開口部22の中央には、開口部22の一部を塞ぐように、発光部92からの照射光を遮光する遮光部23が設けられている。開口部22の中央とは、インクカートリッジICがホルダー20に装着されたときに、プリズム170の稜線(中心)に対応する位置である。隣り合う開口部22同士の中央位置から中央位置までは、b1の距離だけ離れている。したがって、隣り合う遮光部23同士の中央位置から中央位置までは、b1の距離だけ離れている。この距離b1は、設計値に基づいてメカ的に設定されたものである。
遮光部23は、主走査方向HD(Y軸方向)と交差する副走査方向VD(X軸方向)に沿って設けられており、ホルダー20の開口部22を、第1の部分としての開口部22bと、第2の部分としての開口部22aとの2つに分割している。遮光部23は、プリズム170の稜線と対向する位置に配置されている。なお、プリズム170の底面170cに空洞部が設けられている場合は、−Z方向からの平面視で遮光部23と空洞部とが重なるように配置されていることが好ましい。
各開口部22が遮光部23によって2つに分割された開口部22aと開口部22bとは、主走査方向HD(Y軸方向)に沿って並ぶように配置されている。インクニアエンド判定を行う際の検出位置において、各開口部22の一方の開口部22aは発光部92と傾斜面170aとが対向する位置に配置され、他方の開口部22bは受光部94と傾斜面170bとが対向する位置に配置される。
遮光部23は、光を吸収する材質からなり、例えば、黒色で着色したポリスチレンによって形成されている。本実施形態では、遮光部23はホルダー20と同材質で一体的に形成されている。なお、遮光部23の材質は、上記に限定されず、反射光が受光部94に入射するのを抑制可能であれば、任意の材質を適用してもよい。また、遮光部23が、ホルダー20と別体で形成されホルダー20に取り付けられた構成としてもよい。
ホルダー20を備えたキャリッジCRが主走査方向HD(Y軸方向)に沿って移動すると、インクカートリッジIC1〜IC4が、順次、検出部90の上(+Z方向)を通過する。そして、開口部22(開口部22a及び開口部22b)を通して、発光部92からの照射光が各インクカートリッジICのプリズム170で反射され、反射光が受光部94により受光される。
検出部90は、受光部94の受光結果を、キャリッジCR(プリズム170)の位置に対応した検出電圧として出力する。本実施形態では、このキャリッジCRの位置に対応した検出部90の検出電圧がサンプリングされた電圧に基づいて、各インクカートリッジICのインクニアエンド判定と、インクニアエンド判定を行う際の検出位置(検出部90に対するプリズム170の相対位置)の補正とが行われる。
<インクニアエンド判定の手法>
次に、本実施形態に係るインクニアエンド判定の手法について説明する。図6および図7は、第1の実施形態に係るインクニアエンド判定の手法を説明する図である。図6(a)及び(b)には、インクカートリッジICのプリズム170を通過するYZ平面の断面を示す。図6(a)および(b)では、プリズム170と検出部90の位置関係が、インクニアエンド判定のためのインク残存量検出が可能な位置関係(検出位置)となったときの状態を示している。
図6(a)に示すように、プリズム170の傾斜面170a,170bはインク収容室130の内側を向いている。傾斜面170aは例えば傾斜面170bと直交する面であり、傾斜面170aと傾斜面170bとは、XZ平面に平行な平面に対して対称となるように配置されている。インク収容室130にインクIKが満たされている場合には、傾斜面170a,170bはインクIKに接する。この場合、発光部92からプリズム170に入射した照射光Leは、傾斜面170aからインクIK内に入射する。
例えば、インクIKの屈折率を水の屈折率とほぼ同様の1.5と仮定し、プリズム170をポリプロピレンにより構成する場合、傾斜面170a,170bにおける全反射の臨界角は約64度である。照射光Leの入射角は45度なので、プリズム170に入射する照射光Leは、傾斜面170a,170bでは全反射されずインクIK内に入射する。したがって、インクカートリッジICにインクIKが満たされている場合には、傾斜面170a,170bで反射される反射光Lr1は非常に少なくなるため、受光部94が反射光Lr1を受光することによる検出電圧はほとんど出力されない。
図6(b)に示すように、インクカートリッジIC内のインクIKが印刷のために消費され、インクカートリッジICにインクIKが満たされていない場合を考える。プリズム170の傾斜面170a,170bのうち、少なくとも発光部92からの照射光Leが入射する部分が空気に接しているとする。この場合、発光部92からプリズム170に入射した照射光Leは、傾斜面170a,170bで全反射され、その反射光Lr1はプリズム170の外(受光部94側)へ射出される。
例えば、空気の屈折率を1とし、プリズム170をポリプロピレンにより構成する場合、傾斜面170a,170bにおける全反射の臨界角は約43度である。入射角は45度なので、プリズム170に入射する照射光Leは傾斜面170a,170bで全反射される。したがって、インクカートリッジICにインクIKが満たされていない場合には、受光部94が全反射した反射光Lr1を受光するため、大きな検出電圧が出力される。
図7(a)には、インクカートリッジICのプリズム170を通過するYZ平面の断面を示す。図7(a)では、プリズム170と検出部90との位置関係が、インクニアエンド判定のためのインク残存量検出が可能な位置関係でないときの状態を示している。また、図7(b)には、1個のインクカートリッジICが検出部90の上を通過した場合の検出電圧の特性例を示している。
図7(a)に示すように、発光部92からプリズム170の底面(入射面)170cに入射した照射光Leは、その一部が底面170cで反射され反射光Lr2として受光部94に受光される。この反射光Lr2の底面170cでの反射角は、照射光Leの底面170cへの入射角と等しい。受光部94が底面170cで反射される反射光Lr2を受光して出力される検出電圧は、傾斜面170a,170bで全反射される反射光Lr1を受光して出力される検出電圧よりも小さくなる。
図7(b)において、横軸は、プリズム170と検出部90との相対的な位置を表し、縦軸は、横軸の各位置において検出部90から出力される検出電圧を表す。検出部90から出力される検出電圧は、検出部90とプリズム170との相対位置に応じて変化する。プリズム170の中心と検出部90の中心とが一致したときの位置(例えば図6(a)に示すインクカートリッジICと検出部90との位置関係)を、横軸の“0”としている。検出部90の中心とは、主走査方向HDにおける発光部92と受光部94との中央である。
また、図7(a)に示すインクカートリッジICと検出部90との位置関係のように、位置“0”から、プリズム170の中心と検出部90の中心との相対位置が主走査方向HDにずれた位置であって、ホルダー20の開口部22bに対応する位置を位置PK1とする。同様に、位置“0”から、プリズム170の中心と検出部90の中心との相対位置が主走査方向HDに沿ってずれた位置であって、ホルダー20の開口部22aに対応する位置を位置PK2とする。位置PK1は、主走査方向HDにおける開口部22bの中央と検出部90の中央とが一致する位置であり、位置PK2は、主走査方向HDにおける開口部22aの中央と検出部90の中央とが一致する位置である。
図7(b)に示すように、受光部94の受光量がゼロに近いほど検出電圧が上限電圧Vmaxに近くなり、受光部94の受光量が大きいほど検出電圧が下限電圧Vminに近くなる。受光量が所定値を越えると、検出電圧が飽和して下限電圧Vminとなる。上限電圧Vmaxと下限電圧Vminは、例えば、図3において受光部94がコレクター端子に出力する電圧範囲の上限電圧と下限電圧に対応する。
図7(b)に示すSIKは、インクカートリッジICがインクIKで満たされている場合の検出電圧特性である。この場合、図6(a)に示すように、受光部94は傾斜面170a,170bで反射される反射光Lr1をほとんど受光しない。そのため、インクカートリッジICと検出部90との相対的な位置関係に関わらず、受光部94が反射光Lr1を受光することによる検出電圧はほとんど出力されない。
インクカートリッジICがインクIKで満たされている場合には、図7(a)に示すように、受光部94は底面170cで反射される反射光Lr2を受光する。そのため、受光部94が反射光Lr2を受光することによる検出電圧が出力される。したがって、図7(b)に示す検出電圧特性SIKは、底面170cで反射される反射光Lr2に基づくものである。
ここで、ホルダー20の開口部22の中央(開口部22aと開口部22bとの間)に発光部92からの光を遮光する遮光部23が設けられているため、位置“0”では底面170cからの反射光Lr2は検出されない。したがって、図7(b)に示す検出電圧特性SIKのように、位置“0”において、受光部94の受光量が小さくなるので、検出電圧はVmaxに近くなる。
これに対して、位置“0”から、プリズム170の中心と検出部90の中心との相対位置が主走査方向HDにずれた位置PK1では、遮光部23が存在しないため、開口部22bから入射してプリズム170の底面170cで反射された反射光Lr2の受光量に基づいて、第1のピークとしてのピークSpk1が検出される。同様に、位置“0”から主走査方向HDにずれた位置PK2では、開口部22aから入射してプリズム170の底面170cで反射された反射光Lr2の受光量に基づいて、第2のピークとしてのピークSpk2が検出される。
一方、図7(b)に破線で示すSEPは、インクカートリッジICがインクIKで満たされていない場合の検出電圧特性である。この場合、図6(b)に示すように、検出部90から、プリズム170の傾斜面170a,170bで全反射された反射光Lr1を受光することによる検出信号が出力される。また、受光部94の反射光Lr1の受光量が大きいため、位置“0”において検出電圧はVminに達する(あるいは、Vminに近くなる)。
なお、受光部94は、全反射された反射光Lr1を受光するとともに、底面170cからの反射光Lr2も受光する。しかしながら、プリズム170の傾斜面170a,170bで全反射された反射光Lr1の受光量は、底面170cで反射された反射光Lr2の受光量と比べて格段に大きい。そのため、図7(b)に示すように、反射光Lr2による検出電圧は反射光Lr1による検出電圧に埋もれてしまうので、検出電圧特性SEPにピークSpk1,Spk2は生じない。
このように、インクカートリッジICがインクIKで満たされているか否か、すなわち、プリズム170の傾斜面170a,170bがインクIKと接しているか否かによって、検出部90の検出電圧の特性は大きく異なったものとなる。本実施形態では、このプリズム170の傾斜面170a,170bがインクIKと接しているか否かによる検出電圧の特性の違いを検出することにより、インクカートリッジICのインクニアエンド判定を行う。
具体的には、検出電圧特性SIKのピーク値Vpk1に基づいて、ピーク値Vpk1と下限電圧Vminとの間に所定の閾値Vthを設定する。また、インクカートリッジICが検出部90の上を通り、検出部90とプリズム170とが対向する位置関係となる範囲を検出範囲DPRとする。
検出範囲DPRは、各部品の寸法公差や部品相互の取り付け公差等が最大の場合であっても、ピークSpk1の位置とピークSpk2の位置とを含み、ピークSpk1の位置とピークSpk2の位置との間隔よりも広い範囲となるように設定される。この検出範囲DPRにおいて、検出部90の検出電圧が閾値Vthよりも小さい場合には、インクニアエンドであると判定し、検出電圧が閾値Vth以上である場合には、インクが残存していると判定する。
なお、インクエンドの判定も、上述のインクニアエンドの判定と同様の手法で行うことができる。インクエンドの判定を行う場合は、検出範囲及び閾値を上述の検出範囲DPR及び閾値Vthと異なる設定としてもよい。
<位置補正処理の手法>
さて、インクカートリッジIC(プリズム170)の位置は、種々の公差によって位置ずれを生じる。公差としては、例えば、各部品の寸法公差や、キャリッジCRの傾きや取り付けのずれ、ロータリーエンコーダーの誤差、電子回路(例えば検出部90)の応答速度、例えばキャリッジ駆動等のメカ的な位置ずれ等が想定される。制御部40は、ロータリーエンコーダーのカウント値に基づいてインクカートリッジICの位置を把握しているが、これらの公差により、このカウント値に基づいて把握している設計上の位置と実際のインクカートリッジICの位置とが相対的にずれてしまうことがある。
この位置ずれを補正しない場合には、想定される全ての公差を含めた(最悪の条件を組み合わせた場合の)位置ずれ範囲を考慮し、その範囲内で正しくインクニアエンドが検出できるように、図7(b)に示す検出範囲DPRを設定する必要がある。そのため、検出範囲DPRは、ピークSpk1の位置とピークSpk2の位置とを含み、ピークSpk1の位置とピークSpk2の位置との間隔よりも広い範囲となる。検出範囲DPRでは、閾値VthをピークSpk1,Spk2のピーク電圧Vpk1に近づけることができなくなる。
ここで、図7(b)に2点鎖線で示す検出電圧特性SEP’のように、インクが無くなった場合のピークが、プリズム170の底面170cで反射された反射光Lr2によるピークSpk1,Spk2(Vpk1)よりもわずかに大きくなる(検出電圧が低くなる)場合を考える。このような場合には、位置“0”において、検出電圧特性SEP’は閾値Vthよりも大きいため、閾値Vthにより正しくインクニアエンドを検出できないことになる。そうすると、インクニアエンドの検出タイミングが通常よりも遅くなり、印刷ヘッド35(図2参照)がインクを吐出しない空打ち状態となる可能性が大きくなってしまう。
このような状態は、例えば、発光部92の発光量や受光部94の受光量が低下し、ピークSpk1,Spk2を含めたノイズと、プリズム170の傾斜面170a,170bで全反射された反射光Lr1の検出電圧との比(いわゆるS/N比)が小さくなった場合等に生じ得る。発光部92の発光量や受光部94の受光量が低下する原因としては、例えば、検出部90へのインクミストの付着や、発光部92(発光素子)及び受光部94(受光素子)の特性劣化等が考えられる。
そこで本実施形態では、ロータリーエンコーダーのカウント値に基づいて把握されるインクカートリッジIC(プリズム170)の位置を、プリズム170の底面170cからの反射光Lr2(以下では、入射面反射ともいう)による2つのピークSpk1,Spk2の間隔に基づいて補正する。この位置の補正(以下では、位置補正処理という)により、公差による位置ずれが補正されるため、インクカートリッジICの位置とロータリーエンコーダーのカウント値とを高精度に対応付けることができる。
位置補正処理を行うことにより、インクニアエンドの検出範囲を、位置補正しない場合の検出範囲DPRよりも狭く設定できる。この、位置補正処理を行うことにより狭く設定した検出範囲を検出範囲DPR’とする。図7(b)に示すように、検出範囲DPR’は、検出部90とプリズム170とが対向する位置関係となる範囲であって、ピークSpk1の位置とピークSpk2の位置との間隔よりも狭い範囲となる。
これにより、ピークSpk1,Spk2のピーク電圧Vpk1付近に、閾値Vthよりも大きい閾値Vth’を設定することが可能となるので、発光部92の発光量や受光部94の受光量が低下した場合でも、正しく確実にインクニアエンドを検出することができる。また、ピークSpk1の位置とピークSpk2の位置との間隔よりも狭い範囲に検出範囲DPR’を設定することで、例えば外乱光等によるノイズの影響を受けにくくなるので、インクニアエンドの判定を精度良く行うことができる。
次に、本実施形態における位置補正処理の手法について詳細に説明する。図8及び図9は、第1の実施形態に係る位置補正処理の手法を説明する図である。図8には、キャリッジCR(ホルダー20)が、ホームポジションPHから主走査方向HDに沿って移動したときの検出部90とインクカートリッジIC(プリズム170)との位置関係を示している。なお、以降の説明では、制御部40の各部について、個別の呼称ではなく制御部40と記載する。
インクカートリッジIC1〜IC4には、例えば、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクIKが充填されている。インクニアエンド判定は、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれについて行われる。図8に示す位置P1〜P4は、インクカートリッジIC1〜IC4の各々におけるプリズム170の設計上の中心位置に相当する。
これらの位置P1〜P4はロータリーエンコーダーのカウント値に対応しており、キャリッジCRの設計値に基づくカウント値が記憶部50(図2参照)に記憶されている。インクニアエンド判定の際には、制御部40は、記憶部50から読み出したカウント値に基づいて位置P1〜P4を特定する。
上述のように、この位置P1〜P4が、種々の公差によって実際のインクカートリッジIC1〜IC4の位置とずれている場合がある。本実施形態では、このような位置ずれがある場合に、制御部40が、位置P1〜P4を実際のインクカートリッジIC1〜IC4の位置に対応するように補正するための調整値を決定し、決定した調整値により位置を補正する。
位置補正処理において、制御部40は、キャリッジCRをホームポジションPHから主走査方向HDに走査して、検出部90に対するインクカートリッジIC(プリズム170)の相対的な位置を移動させる。そして、制御部40は、補正前の位置P1〜P4において、発光部92から照射されインクカートリッジIC1〜IC4のプリズム170で反射された反射光Lr1,Lr2を受光部94で受光させる。
続いて、制御部40は、位置P1〜P4において、インクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170からの反射光Lr1,Lr2の受光量に応じて検出部90から出力される検出電圧を読み取る。図9には、キャリッジCRが、ホームポジションPHから主走査方向HDに移動したときの位置P1〜P4における検出電圧の特性例を示している。なお、インクカートリッジIC3については、プリズム170に後述する気泡BABが付着していない場合の検出電圧を実線で示し、気泡BABが付着している場合の検出電圧を破線で示している。
続いて、制御部40は、補正前の位置に基づいてインクカートリッジIC1〜IC4の検出電圧を取得するための位置範囲AD1を設定し、その位置範囲AD1をキャリッジCRが通過したときに、検出部90からの検出電圧をA/D変換部36がA/D変換する。制御部40は、各インクカートリッジICの検出電圧に対してピーク検出処理を行い、ピーク電圧が最も小さいピークと、その次にピーク電圧が小さいピークとを検出する。
インクカートリッジIC1を例にとると、制御部40は、ピーク電圧が最も小さい位置P1aのピーク(ピークSpk2)と、その次にピーク電圧が小さい位置P1bのピーク(ピークSpk1)とを検出する。そして、制御部40は、これら2つのピークの間隔を求めて、2つのピークの間隔が所定の範囲内の値であるか否かを判断する。
ここでいう所定の範囲とは、2つのピークが正常なピークである場合のピーク間隔の値の範囲であり、例えば、下限側の規定値D1と上限側の規定値D2とによりD1≦(P1a−P1b)<D2のように規定される。すなわち、2つのピークの間隔(P1a−P1b)がD1未満である場合、及び、2つのピークの間隔(P1a−P1b)がD2以上である場合は、2つのピークのうち少なくとも一方が正常なピークではなくノイズ等に起因するものであると判断される。
制御部40は、2つのピークの間隔(P1a−P1b)が所定の範囲内の値であると判断した場合、2つのピークの中心位置P1c(P1aとP1bとの平均値)を求める。インクカートリッジIC1の中心位置(P1c)とキャリッジCRの設計値に基づくカウント値で特定される位置(P1)との差分(P1−P1c)が、インクカートリッジIC1の実際の位置とカウント値で特定される位置とのずれ量である。
制御部40は、インクカートリッジIC2,IC3,IC4についても同様に、それぞれピーク電圧が最も小さいピークP2a,P3a,P4a(ピークSpk1もしくはピークSpk2に対応する。図9の例では、ピークApk2に対応する。)と、その次にピーク電圧が小さいピークP2b,P3b,P4b(ピークSpk2もしくはピークSpk1に対応する。図9の例では、ピークApk1に対応する。)とを検出し、それぞれの2つのピークの間隔が所定の範囲内にあれば2つのピークの中心位置P2c,P3c,P4cを求める。そして、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの中心位置とキャリッジCRの設計値に基づくカウント値で特定されるそれぞれの位置との差分(P1−P1c,P2−P2c,P3−P3c,P4−P4c)の平均値である調整値を求める。
続いて、制御部40は、インクカートリッジIC1〜IC4について算出した差分の平均値、すなわち調整値が所定の範囲内の値であるか否かを判定する。この調整値の所定の範囲は、2つのピークが正常なピークである場合の差分の平均値の範囲であり、平均値をAVとすると、例えば、E1≦AV≦E2のように規定される。ここで、例えば、E1は負の値であり、E2は正の値である。E1の絶対値は、E2と等しい値であってもよい。
制御部40は、算出した調整値が所定の範囲内の値であると判定した場合、この調整値を位置P1〜P4に加算する。これにより、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの位置が修正され、インクカートリッジIC1〜IC4の設計上の位置と実際の位置とのずれが補正される。この結果、位置P1’〜P4’がインクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれにおけるプリズム170の補正後の中心位置となる。
位置補正処理の結果、調整値により補正された位置P1’〜P4’をそれぞれのプリズム170の中心位置として、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれについて検出範囲DPR’が設定される。位置補正処理を行った後は、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれについて、検出範囲DPR’において閾値Vth’によりインクニアエンドを検出するインクニアエンド判定が行われる。
なお、算出した調整値が所定の範囲外の値である場合は、インクカートリッジIC1〜IC4について検出したそれぞれの2つのピークの間隔のばらつきが大きい場合であり、それぞれの2つのピークのうちのいずれかがノイズによるピークが誤検出されたものである可能性が考えられる。したがって、算出した調整値が所定の範囲外の値である場合は、この調整値を用いての位置補正処理は行わない。
ここで、図8に示すインクカートリッジIC3のように、プリズム170に気泡BABが付着する場合がある。例えば、ユーザーがインクカートリッジICを床に落としてしまった場合等にプリズム170に気泡BABが付着し、インクカートリッジICがそのままの状態でホルダー20に装着されると、気泡BABが付着した状態で検出電圧がサンプリングされる。気泡BABが付着すると、インクIKが満たされている場合であってもプリズム170と空気(気泡BAB)が接するため、入射する照射光Leの一部が全反射されてしまう。
インクカートリッジIC3においてプリズム170に気泡BABが付着した場合、図9に破線で示すように、インクカートリッジIC3の検出電圧に気泡BABによるピークSpbabが発生する。このピークSpbabの大きさは、気泡BABの付着量や付着位置によって変化し、入射面反射によるピークSpk1,Spk2よりも大きくなる(検出電圧が低くなる)場合がある。このような場合には、入射面反射によるピークSpk1,Spk2の中心位置を算出することができない。
具体的には、ピーク検出において、ピーク電圧が最も小さいピークとして位置P3dのピークSpbabが検出され、その次にピーク電圧が小さいピークとして入射面反射による位置P3aのピークSpk2が検出される。これらの2つのピークの間隔(P3a−P3d)が、上述の所定の範囲外(下限側の規定値D1未満)である場合には、P3a,P3dの少なくともいずれかの位置のピーク(図9の例ではP3dのSpbab)が、入射面反射によるピークではなく、気泡BABの付着によって生じたピークであると判断する。
また、例えばキャリッジCRが存在する印刷部の上にスキャナー部が設けられるタイプの印刷装置において、受光部94が反射光Lr1,Lr2を受光する際にスキャナー部を持ち上げて印刷部が露出した場合等に、入射した外乱光を受光部94が受光してしまうことがある。特に、インクカートリッジIC1〜IC4のうち、ホルダー20の端に装着されるインクカートリッジIC1、IC4のいずれかに外乱光が入射することが想定される。また、受光部94が赤外光を検出する場合、太陽光などの自然光が外乱光となりやすく、蛍光灯などの赤外光をあまり含まない光では外乱光とならないことが想定される。
図示を省略するが、受光部94に外乱光が入射した場合は、図7(b)に示す検出範囲DPRの端に向かって検出電圧値が下降するような波形となる。そのため、外乱光によるピークが、2つのピークSpk1,Spk2の一方として誤検出された場合、外乱光によるピークを含む2つのピークの間隔は、正常な2つのピークSpk1,Spk2の間隔よりも大きくなる。したがって、検出された2つのピークの間隔が上述の所定の範囲外(上限側の規定値D2以上)である場合には、少なくとも一方のピークが外乱光によって生じたピークであると判断する。
4つのインクカートリッジIC1〜IC4のうち、いずれか一つのインクカートリッジICについて、気泡BABの付着や外乱光により、入射面反射によるピークの中心位置を算出することができない場合、そのインクカートリッジIC(例えば、上述のインクカートリッジIC3)については、上述した調整値の算出対象から除外する。
このような場合、調整値の算出対象から除外したインクカートリッジIC3を除くインクカートリッジIC1,IC2,IC4を対象として中心位置P1c,P2c,P4cを求め、差分P1−P1c,P2−P2c,P4−P4cを求め、それらの差分の平均値である調整値を求める。
そして、制御部40は、インクカートリッジIC1,IC2,IC4を対象として算出した調整値が所定の範囲内の値であると判定した場合、この調整値を位置P1〜P4に加算する。すなわち、この調整値を用いて、インクカートリッジIC1〜IC4のすべてに対して、位置P1〜P4に対する位置補正が行われる。
一方、4つのインクカートリッジIC1〜IC4のうち、例えば、2つ以上のインクカートリッジICについて、気泡BABの付着や外乱光等により、入射面反射によるピークの中心位置を求めることができない場合は、差分の平均値を算出しない。このような場合、調整値が決定できなかったと判断し、インクカートリッジIC1〜IC4のすべてに対して、位置P1〜P4に対する位置補正を行わない。
<インクニアエンド判定処理、及び位置補正処理の実行方法>
次に、第1の実施形態に係る印刷装置10のインクニアエンド判定処理、及び位置補正処理の手順を説明する。図10は、第1の実施形態に係るインクニアエンド判定処理を示すフローチャートである。図11は、第1の実施形態に係る位置補正処理を示すフローチャートである。
インクニアエンド判定処理及び位置補正処理は、例えば、印刷装置10の起動時やインクカートリッジICの交換時等のタイミングで実行される。インクニアエンド判定処理及び位置補正処理は、印刷ジョブの間や印刷中の所定タイミング等においても実行されることとしてもよい。
図10に示すように、インクニアエンド判定処理において、まず、制御部40は、インクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170について、主走査方向HDにおける位置補正処理を行う(ステップS01)。
各プリズム170の位置補正処理の詳細について図11を参照して説明する。位置補正処理において、制御部40は、検出部90に対するインクカートリッジIC(プリズム170)の相対的な位置を移動させて、インクカートリッジIC1〜IC4のプリズム170で反射された反射光Lr1,Lr2を受光部94で受光させる。そして、受光部94の受光量に応じて検出部90(受光部94)から出力される検出電圧を読み取り、読み取った検出電圧波形においてインクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの2つのピークを検出する(ステップS11)。
続いて、制御部40は、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれについて、検出した2つのピークから調整値が算出できるか否かを判定する(ステップS12)。より具体的には、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの2つのピークの間隔が所定の範囲内の値であるか否かを判断する。例えば、図9に示すインクカートリッジIC1についてD1≦(P1a−P1b)<D2であれば、2つのピークの間隔が所定の範囲内の値であると判断する。
ステップS12では、4つのインクカートリッジIC1〜IC4のうち、一つのインクカートリッジICについて検出された2つのピークの間隔が所定の範囲内であると判断されたインクカートリッジICが3つ以上ある場合は、調整値が算出できると判定される(ステップS12:YES)。調整値が算出できると判定された場合(ステップS12:YES)、制御部40は、処理をステップS13に進める。
一方、4つのインクカートリッジIC1〜IC4のうち、検出された2つのピークの間隔が所定の範囲内の値であると判断されたインクカートリッジICが2つ以下である場合、すなわち、2つのピークの間隔が所定の範囲外であると判断されたインクカートリッジICが2つ以上ある場合は、調整値が算出できないと判定される(ステップS12:NO)。調整値が算出できないと判定された場合(ステップS12:NO)、制御部40は、処理をステップS17に移行する。
ステップS13では、ステップS12で2つのピークの間隔が所定の範囲内の値であると判断されたインクカートリッジICを対象として、2つのピークの中心位置(平均値)を求め、求めた中心位置と設計上の中心位置との差分(ずれ量)を求める。そして、各インクカートリッジICについて求めた差分の平均値である調整値を算出する。このとき、ステップS12で2つのピークの間隔が所定の範囲外であると判断されたインクカートリッジICについては、調整値の算出対象から除外する。
続いて、制御部40は、ステップS13で算出した調整値が所定の範囲内の値であるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14では、例えば、調整値(平均値)AVがE1≦AV≦E2であれば、調整値が所定の範囲内の値であると判定される(ステップS14:YES)。調整値AVがE1未満かE2を超える場合は、調整値が所定の範囲外の値であると判定される(ステップS14:NO)。
算出した調整値が所定の範囲内の値であると判定された場合(ステップS14:YES)、制御部40は、ステップS13で算出した調整値によりインクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの位置を補正する(ステップS15)。その結果、インクカートリッジIC1〜IC4の位置のずれが補正され、位置P1’〜P4’がインクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれにおけるプリズム170の補正後の中心位置となる。
これにより、ロータリーエンコーダーのカウント値に基づいて把握されるインクカートリッジIC1〜IC4の位置が、実際のインクカートリッジIC1〜IC4の位置に対応するように補正されているので、後で行われるインクニアエンドの検出精度を向上できる。続いて、制御部40は、ステップS13で算出した調整値を記憶部50に記憶して(ステップS16)、位置補正処理を終了し、処理を図10のステップS02に移行する。
ここで、上述したように、記憶部50の所定の領域には、初期値として所定の範囲外(E1未満の値かE2を超える値)の調整値が記憶されている。ステップS16では、記憶部50の所定の領域に記憶された調整値の初期値が、ステップS13で算出した調整値に書き換えられる。
したがって、記憶部50の所定の領域に調整値の初期値として所定の範囲外の特定の値を予め記憶させておけば、記憶部50の所定の領域に記憶されている調整値が所定の範囲内の値である場合に、より具体的には初期値とした特定の値と異なる場合に、既に少なくとも一度は位置補正処理が行われたことがあると判断することができる。なお、ステップS16では、既に位置補正が行われ算出された調整値が記憶部50の所定の領域に書き込まれている場合にも、新たに算出された調整値が書き込まれる。
一方、ステップS13で算出した調整値が所定の範囲外の値であると判定された場合(ステップS14:NO)、制御部40は、ステップS13で算出した調整値を破棄して処理をステップS17に移行する。ステップS17では、制御部40は、記憶部50の所定の領域に記憶されている調整値を読み出す。
続いて、制御部40は、記憶部50の所定の領域から読み出した調整値が、所定の範囲内の値であるか否かを判定する(ステップS18)。過去に一度でも位置補正処理が行われたことがある場合は、その位置補正処理において算出された調整値が書き込まれているため、調整値が所定の範囲内の値である(ステップS18:YES)と判定される。過去に一度も位置補正処理が行われたことがなく調整値が初期値のまま記憶されている場合は、調整値が所定の範囲外の値である(ステップS18:NO)と判定される。
ステップS18で調整値が所定の範囲内の値であると判定された場合(ステップS18:YES)、制御部40は、ステップS17で記憶部50の所定の領域から読み出した調整値により、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの位置を補正して(ステップS19)、位置補正処理を終了し、処理を図10のステップS02に移行する。これにより、読み取った検出電圧波形に基づいて調整値が決定できなかった場合でも、記憶部50の所定の領域から読み出した調整値により位置補正処理を行うことができる。
一方、ステップS18で調整値が所定の範囲外の値であると判定された場合(ステップS18:NO)は、制御部40は、処理をステップS20に移行する。ステップS20では、制御部40は、位置を補正することなく位置補正処理を終了し、処理を図10のステップS02に移行する。
なお、上述した位置補正処理は、往路と復路とのそれぞれにおいて行うようにしてもよい。ここで往路は、キャリッジがホームポジションから離れる移動のことである。復路はキャリッジがホームポジションに向かう移動のことである。往路をロータリーエンコーダーのカウント値が+方向にカウントされる移動とすれば、復路を−方向にカウントされる移動ということもできる。往路と復路とでは、受光部94の回路的な(例えばフォトトランジスター等の)応答速度が異なるが、往路と復路とにおいてそれぞれ位置補正処理を行うことで、その応答速度の違いを考慮して位置ずれを補正することができる。
図10に戻って、制御部40は、ステップS01の位置補正処理ができたか否かを判定する(ステップS02)。位置補正処理がステップS16で終了した場合、及び、位置補正処理がステップS19で終了した場合は、位置補正処理ができた(ステップS02:YES)と判定される。また、位置補正処理がステップS20で終了した場合は、位置補正処理ができなかった(ステップS02:NO)と判定される。
位置補正処理ができたと判定された場合(ステップS02:YES)、制御部40は、インクニアエンドを検出する検出範囲を、検出範囲DPRよりも狭い検出範囲DPR’とし、閾値を閾値Vthよりも大きい閾値Vth’とする(ステップS03)。この場合、検出範囲DPR’は、ステップS01で位置補正された補正後の位置P1’〜P4’をプリズム170の中心位置として設定される。
一方、位置補正処理ができなかったと判定された場合(ステップS02:NO)、制御部40は、検出範囲を検出範囲DPRとし、閾値を閾値Vthとする。この場合、検出範囲DPRは、設計上の位置P1〜P4をプリズム170の中心位置として設定される。
次に、ステップS03では、制御部40は、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれのプリズム170が検出部90上を通過するようにキャリッジCRを主走査方向HDに移動させる。そして、発光部92から照射されインクカートリッジIC1〜IC4のプリズム170で反射された反射光Lr1,Lr2を受光部94で受光させる(ステップS04)。
続いて、制御部40は、検出範囲においてインクカートリッジIC1〜IC4の各プリズム170からの反射光Lr1,Lr2の光量に応じて検出部90(受光部94)から出力される検出電圧を読み取る(ステップS05)。
ここでは、位置補正処理ができたと判定されている場合(ステップS02:YES)、ステップS01で位置補正された補正後のプリズムの中心位置P1’〜P4’(図9参照)を含む検出範囲DPR’において検出電圧が読み取られる。位置補正処理ができなかったと判定されている場合(ステップS02:NO)は、設計上のプリズムの中心位置P1〜P4(図9参照)を含む検出範囲DPRにおいて検出電圧が読み取られる。
次に、制御部40は、ステップS05で読み取ったインクカートリッジIC1〜IC4の検出電圧において、判定対象となるインクカートリッジICの検出電圧とインクニアエンド判定用の検出電圧の閾値とを比較する(ステップS06)。ステップS06では、位置補正処理ができたと判定されている場合(ステップS02:YES)は、検出電圧が閾値Vth’と比較される。位置補正処理ができなかったと判定されている場合(ステップS02:NO)は、検出電圧が閾値Vthと比較される。
判定対象のインクカートリッジICの検出電圧が閾値Vth’または閾値Vthよりも小さい場合(ステップS06:YES)は、制御部40は、その判定対象のインクカートリッジICを「インクニアエンド」であると判定する(ステップS07)。一方、判定対象のインクカートリッジICの検出電圧が閾値Vth’以上または閾値Vth以上である場合(ステップS06:NO)は、制御部40は、その判定対象のインクカートリッジICを「インク有り」であると判定する(ステップS08)。
このように、ステップS01で位置補正処理ができた場合は、インクニアエンドを検出する検出範囲を検出範囲DPRよりも狭い検出範囲DPR’とし、閾値を閾値Vthよりも大きい閾値Vth’としてインクニアエンド判定を行うので、インクニアエンドの判定精度を向上させることができる。
ところで、特許文献1に記載の印刷装置では、位置補正処理において位置補正ができなかった場合、インクIKの消費量から推定される推定残存量に基づいてインクニアエンド判定が行われる。しかしながら、ドットカウントによる推定残存量と実際の残存量との誤差が大きい場合に、インクIKの残存量が低下したと判定される前にインクIKが無くなり、インクを吐出しない空打ち状態となるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、ステップS01で位置補正ができなかった場合でも、検出範囲DPRにおいて閾値Vthによりインクニアエンド判定を行うので、特許文献1に記載の印刷装置と比べて、印刷ヘッド35(図2参照)がインクを吐出しない空打ち状態を確実に抑えることができる。また、位置補正処理ができた場合は、閾値Vth’がピークSpk1,Spk2のピーク電圧Vpk1付近に設定されているため、閾値Vthにより判定する場合と比べて、インクニアエンドをより早く検出できるので、インクを吐出しない空打ち状態をより確実に抑止することができる。
次に、制御部40は、インクカートリッジIC1〜IC4の全てについてインクニアエンドの判定が終了したか否かを判定する(ステップS09)。全てのインクカートリッジICについてインクニアエンドの判定が終了した場合(ステップS09:YES)は、制御部40は、印刷装置10に備えられた表示部47や印刷装置10に接続されたコンピューター49に、各インクカートリッジIC1〜IC4の残存状態(インクニアエンドか否か)を表示する(ステップS10)。
一方、インクニアエンドの判定が終了していないインクカートリッジICが残っている場合(ステップS09:NO)は、ステップS06に戻り、残りのインクカートリッジICについてインクニアエンドの判定を行う。このようにして、各インクカートリッジIC1〜IC4について、インクニアエンドか否かの判定が順次行われる。
インクニアエンド判定でインクニアエンドであると判定され、その後、残存量推定部46のドットカウントによりインクカートリッジICが空になったと判定されると、印刷が実行されなくなる。また、ステップS07でインクニアエンドではなくインクエンド(インクIKが残存しない状態)を判定する場合は、インクエンドであると判定された時点で印刷が実行されなくなる。印刷が実行されなくなった場合には、インクカートリッジICの交換が必要となり、ユーザーがインクカートリッジICを交換するとステップS01の位置補正処理が実行される。
なお、ユーザーがインクカートリッジICを落下させてしまったためにプリズム170に気泡BABが付着した場合、時間の経過に伴って気泡BABが減少すると考えられる。また、スキャナー部が設けられるタイプの印刷装置において、スキャナー部を持ち上げて印刷部が露出したために外乱光が入射した場合、印刷部が露出しない状態とすることで外乱光の入射を抑えることができる。したがって、気泡BABや外乱光により位置補正処理が決定できなかった場合でも、次に印刷装置10の電源を投入した際に実行されるステップS01の位置補正処理で調整値を決定できる場合がある。
以上説明したように、第1の実施形態に係る印刷装置10の構成によれば、調整値が算出できなかった場合や、算出した調整値が所定の範囲外の値であった場合でも、過去に少なくとも一度位置補正処理が行われていれば、その際に決定された調整値を記憶部50から読み出して位置補正処理を行うことができる。これにより、過去に決定された調整値が記憶されていない場合と比べて、位置補正処理が行われた状態でインクニアエンド判定が実行される機会を増やすことができる。これにより、インクカートリッジ内の気泡、発光部や受光部の光量低下、外乱光等がある場合でも、インクの残存量低下を確実に検出でき、インクの残存状態の判定精度を向上させることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る印刷装置は、位置補正処理の実行方法が異なる点以外は、第1の実施形態とほぼ同様の構成を有している。ここでは、位置補正処理の実行方法における第1の実施形態との相違点を説明する。図12及び図13は、第2の実施形態に係る位置補正処理を示すフローチャートである。第1の実施形態と共通する構成要素及びステップについては、同一の符号を付しその説明を省略する。
<位置補正処理の実行方法>
第2の実施形態に係る位置補正処理は、図10に示すステップS01の位置補正処理として実行され、図12に示すステップS31の第1の位置補正処理と、図13に示すステップS32の第2の位置補正処理とを含む。
図12に示すように、ステップS31の第1の位置補正処理は、ステップS11〜ステップS19までのステップを含む。ステップS11〜ステップS19までの各ステップにおける処理は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。第1の実施形態では、ステップS19までに位置補正が行えなかった場合は位置補正処理を終了する構成であったが、第2の実施形態では、ステップS19までに位置補正が行えなかった場合には、ステップS32の第2の位置補正処理を実行する。
図13に示すように、ステップS32の第2の位置補正処理は、ステップS21〜ステップS26までのステップを含む。図12に示すステップS18で記憶部50の所定の領域から読み出した調整値が所定の範囲外の値であると判定された場合(ステップS18:NO)に、制御部40は、処理をステップS21に移行する。
ステップS21では、ステップS11と同様に、検出部90から出力される検出電圧を読み取り、読み取った検出電圧波形においてインクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれについて2つのピークを検出する。なお、ステップS11で読み取った検出電圧波形から検出されたピークをそのまま用いることとし、ステップS21を行うことなく、処理を次のステップS22に進めるようにしてもよい。
続いて、制御部40は、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれについて、検出した2つのピークから調整値が算出できるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22では、インクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの2つのピークの間隔がステップS12と同様の所定の範囲内であるか否かを判断するが、インクカートリッジICの数の判断基準がステップS12よりも緩和されている。
より具体的には、ステップS22では、4つのインクカートリッジIC1〜IC4のうち、一つのインクカートリッジICについて検出された2つのピークの間隔が所定の範囲内であると判断されたインクカートリッジICが2つ以上あれば、調整値が算出できる(ステップS22:YES)と判定される。ステップS22において2つのピークの間隔を判断する所定の範囲は、ステップS12と同様の範囲であることとする。調整値が算出できると判定された場合(ステップS22:YES)、制御部40は、処理をステップS23に進める。
一方、4つのインクカートリッジIC1〜IC4のうち、2つのピークの間隔が所定の範囲外であると判断されたインクカートリッジICが3つ以上ある場合は、調整値が算出できないと判定される(ステップS22:NO)。調整値が算出できないと判定された場合(ステップS22:NO)、制御部40は、処理をステップS27に移行する。
ステップS23では、ステップS13と同様に、ステップS22で2つのピークの間隔が所定の範囲内であると判断されたインクカートリッジICを対象として、2つのピークの中心位置(平均値)を求め、求めた中心位置と設計上の中心位置との差分(ずれ量)を求める。そして、各インクカートリッジICについて求めた差分の平均値である調整値を算出する。このとき、ステップS22で2つのピークの間隔が所定の範囲外であると判断されたインクカートリッジICについては、調整値の算出対象から除外する。
続いて、制御部40は、ステップS23で算出した調整値が所定の範囲内の値であるか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24において調整値の値を判断する所定の範囲は、ステップS14と同様の範囲であることとする。
算出した調整値が所定の範囲内の値であると判定された場合(ステップS24:YES)は、制御部40は、ステップS23で算出した調整値によりインクカートリッジIC1〜IC4のそれぞれの位置を補正する(ステップS25)。そして、制御部40は、ステップS23で算出した調整値を記憶部50に記憶して(ステップS26)、位置補正処理を終了し、処理を図10のステップS02に移行する。
一方、算出した調整値が所定の範囲外の値であると判定された場合(ステップS24:NO)は、制御部40は、処理をステップS27に移行する。ステップS27では、制御部40は、位置を補正することなく位置補正処理を終了し、処理を図10のステップS02に移行する。ステップS02以降の処理は、第1の実施形態と同様に行われる。
以上説明したように、第2の実施形態では、第1の実施形態で位置補正処理ができなかった場合に、制御部40は、判断基準を緩和して調整値が算出できるか否かの判定を行い、緩和した判断基準に基づいて、調整値が算出でき、かつ算出した調整値が所定の範囲内の値であると判定された場合に、位置補正処理を行う。したがって、第2の実施形態では、位置補正のための調整値が決定できず、かつ過去に一度も位置補正処理が行われていない場合でも、位置補正処理を行うことが可能となるので、位置補正処理が行われた状態でインクニアエンド判定が実行される機会をより多く増やすことができる。これにより、インクカートリッジ内の気泡、発光部や受光部の光量低下、外乱光等がある場合でも、インクの残存量低下をより確実に検出でき、インクの残存状態の判定精度をより向上させることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
第1の実施形態では、位置補正のための調整値が決定できず、かつ過去に一度も位置補正処理が行われていない場合に位置補正処理を行わないこととし、第2の実施形態では、さらに判断基準を緩和しても調整値が決定できない場合に位置補正処理を行わないこととしたが、本発明はこのような形態に限定されない。第1の実施形態(ステップS20)または第2の実施形態(ステップS27)において、位置補正処理を行わない状態で印刷装置10を使用することによりインクIKが消費され、いずれかのインクカートリッジICに対してインクニアエンドが検出された際に、位置補正処理を行うこととしてもよい。変形例1におけるインクニアエンドが検出された際に行う位置補正処理の実行方法を、図14を参照して説明する。図14は、インクニアエンドが検出された際に行う位置補正処理方法を説明する図である。
図14(a)に示すSBAは、図8に示すインクカートリッジIC3のように、プリズム170に気泡BABが付着していることによりピークSpbabが発生したため、検出した2つのピークの間隔が所定の範囲外(下限側の規定値未満)となり、調整値を算出することができなかったインクカートリッジICの検出電圧特性の一例である。なお、図14(a)に示す検出電圧特性SBAでは、図9に破線で示すインクカートリッジIC3の検出電圧と比べて、ピークSpbabの大きさが小さく(検出電圧が高く)なっている。
図14(b)には、図14(a)に示す状態から印刷装置10の印刷を繰り返すこと等により、インクカートリッジIC内のインクIKの残存量が低下した状態におけるインクカートリッジICの検出電圧特性SBAを示している。図14(b)に示す検出電圧特性SBAでは、気泡BABの付着に加えてインクIKの残存量の低下により、プリズム170で全反射された反射光Lr1の受光量が増加することで、図14(a)に示す状態よりもピークSpbabの大きさが大きく(検出電圧が低く)なっている。
図14(b)に示す検出電圧特性SBAのピークSpbabの部分における検出電圧は閾値Vthよりも小さいので、この状態においてインクニアエンド判定を実行すると、インクニアエンドであると判定される。インクニアエンド判定においては、ピークSpk1,Spk2のピーク電圧Vpk1に対して閾値Vth’よりも低い閾値Vthにより判定される。そのため、位置補正処理を行った後に閾値Vth’で判定されるインクニアエンド判定と比べてインクニアエンドが検出されるタイミングは遅くなるが、確実にインクニアエンドが検出される。
このようにインクニアエンドであると判定された場合に、制御部40が実行する位置補正処理は、インクニアエンドであると判定されたインクカートリッジICに対して、インクニアエンドと判定された際の検出電圧特性SBAに基づいて実行される。より具体的には、制御部40は、図14(b)に示す検出電圧特性SBAが閾値Vthを横切る第1のポイントの位置Pnaと第2のポイントの位置Pnbとの中心位置Pnc(PnaとPnbとの平均値)を求める。
そして、その平均値とキャリッジCRの設計値に基づくカウント値との差分を調整値として決定する。決定された調整値は、記憶部50に書き込まれる。また、インクニアエンドと判定されたインクカートリッジICを対象として設定された調整値により、すべてのインクカートリッジIC1〜IC4の位置が補正される。位置補正処理が行われた後は、インクニアエンド判定における検出範囲が検出範囲DPRよりも狭い検出範囲DPR’に設定され、閾値が閾値Vthよりも大きい閾値Vth’に設定される。
インクニアエンドが検出された際に行う位置補正処理では、インクIKの残存量が低下してからプリズム170で全反射された反射光Lr1に基づいて調整値を決定する。そのため、インクIKが十分に残留している状態でプリズム170の底面170cからの反射光Lr2に基づいて実行する第1の位置補正処理と比べて、より高精度に調整値を決定して位置ずれを補正することが可能である。これにより、位置補正のための調整値が決定できず、かつ過去にも位置補正処理が行われておらず、さらに判断基準を緩和しても調整値が決定できない場合においても位置補正処理を行うことが可能となるので、位置補正処理が行われた状態でインクニアエンド判定が実行される機会をより一層増やすことができる。
(変形例2)
上記の実施形態では、位置補正処理において、ピークの間隔が所定の範囲外となった要因(気泡BAB、発光部や受光部の光量低下、外乱光等)に関わらず、ピークの間隔が所定の範囲外であると判断されたインクカートリッジICが1つ以下(第2の実施形態の第2の位置補正処理では2つ以下)であれば、調整値が算出できると判定する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、外乱光の影響を受けたと判断できる場合は、調整値を算出するか否かを別途判定することとしてもよい。
外乱光は、上述したように、スキャナー部を持ち上げて印刷部が露出した場合等に、特にホルダー20の端に装着されるインクカートリッジICに入射することが想定されるが、それ以外のインクカートリッジICも影響を受ける場合がある。このような場合を考慮して、位置補正処理に外乱光の影響があるか否かの判定を行うステップを追加し、外乱光の影響を受けたと判定されたインクカートリッジICが1つでもある場合は、調整値を算出しない(決定しない)こととしてもよい。
(変形例3)
上記の実施形態では、図10に示すステップS02で位置補正処理ができた場合に、ステップS03で検出範囲をより狭い検出範囲DPR’とし、閾値をより大きい閾値Vth’としてインクニアエンド判定を実行するが、本発明はこのような形態に限定されない。ステップS02で位置補正処理ができた場合でも、検出範囲を狭くせず、調整値により補正された中心値を中心とてして、検出範囲DPRと同じ幅の範囲でインクニアエンド判定を実行してもよい。
(変形例4)
上記の実施形態では、ホルダー20に4つのインクカートリッジICが装着される構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。ホルダー20に装着されるインクカートリッジICの数は、4つ以外であってもよい。なお、ホルダー20に装着されるインクカートリッジICの数が4つ以外である場合、そのうちの何個のインクカートリッジICについて2つのピークの間隔が所定の範囲内であると判断された場合に調整値を決定して位置補正処理を行うかは、適宜定めることができる。
(変形例5)
ホルダー20において、開口部22から主走査方向HDに所定の距離離れた位置に、入射光を全反射可能なミラー等で形成された反射部が設けられた構成としてもよい。このような反射部を設けることで、ホルダー20の往復移動によって反射部が検出部90の直上に位置するとき、発光部92からの照射光が反射部に入射すると、反射部で全反射された反射光が受光部94に入射する。反射部の位置をロータリーエンコーダーの所定のカウント値に対応させておくことで、検出部90から出力される検出電圧から反射部で全反射された反射光によるピークを検出し、その検出したピーク位置(反射部の中心位置)を基準として、キャリッジCRの位置ずれを補正することができる。そして、さらに上記実施形態の各インクカートリッジICの検出電圧に基づいてプリズム170の中心位置を補正することで、位置補正の精度をより向上させることが可能となる。
(変形例6)
上記の実施形態では、ホルダー20において開口部22が底部21に設けられた構成を有していたが、本発明はこのような形態に限定されない。開口部22は、プリズム170と検出部90とが対向する位置に設けられていればよく、例えば、ホルダー20の側部に設けられていてもよい。
(変形例7)
上記の実施形態では、検出部90の備える発光部92及び受光部94は、キャリッジCRが移動する主走査方向HD(Y軸方向)に沿って並ぶように配置された構成を有していたが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、発光部92及び受光部94が主走査方向HDと直交する方向(X軸方向)に沿って並ぶように配置された構成を有していてもよい。
(変形例8)
上記の実施形態では、インクカートリッジIC1〜IC4を着脱可能なホルダー20を搭載したキャリッジCRが移動し、検出部90が印刷装置本体に固定される場合を例に説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、検出部90を搭載したキャリッジCRが移動し、インクカートリッジIC1〜IC4を着脱可能なホルダー20が印刷装置本体に固定されてもよく、インクカートリッジIC1〜IC4と検出部90とが相対的に移動する構成であればよい。また、ホルダー20が固定されており、印刷ヘッド35を備えるキャリッジCRに検出部90が配置された構成であってもよい。
(変形例9)
上記の実施形態では、本発明を印刷装置とインクカートリッジとに適用した例を説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。本発明は、例えば、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体消費装置に用いてもよく、また、そのような液体を収容した液体容器にも適用可能である。また、本発明の液体容器は、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。「液滴」とは、上記液体消費装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体消費装置が噴射させることができるような材料であれよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子等の固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたもの等を含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや、液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体消費装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体消費装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体消費装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体消費装置であってもよい。更に、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体消費装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)等を形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体消費装置、基板等をエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体消費装置を採用してもよい。
10…印刷装置(液体消費装置)、20…ホルダー、22…開口部、22a…開口部(第2の部分)、22b…開口部(第1の部分)、23…遮光部、33…キャリッジモーター(移動部)、40…制御部、50…記憶部、90…検出部、92…発光部、94…受光部、170…プリズム、170c…底面(入射面)、DPR…検出範囲、DPR’…検出範囲、IC,IC1〜IC4…インクカートリッジ(液体収容部)、IK…インク(液体)、Lr1,Lr2…反射光、SBA,SEP,SIK…検出電圧特性(検出信号)。

Claims (7)

  1. 発光部と受光部とを有する検出部と、
    液体を収容し前記発光部から照射された光が入射する入射面を有し前記光を前記液体の残存状態に応じて反射するプリズムが配置された液体収容部を着脱可能に保持するホルダーと、
    前記ホルダーと前記検出部とを相対的に移動させる移動部と、
    制御部と、
    不揮発的に、かつ、書き換え可能に情報を記憶する記憶部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記液体収容部が前記ホルダーに装着された状態で、
    前記検出部と前記プリズムとが対向する位置関係となる検出範囲において、前記プリズムで反射された反射光の受光量に応じて前記受光部から出力された検出信号に基づいて、前記液体の残存状態を判定する残存状態判定と、
    前記ホルダーと前記検出部とを前記移動部により相対的に移動させたときに前記受光部から出力された前記検出信号に基づいて決定される調整値により、前記検出範囲を調整する位置補正処理と、を実行可能に構成され、
    前記検出信号に基づいて決定された前記調整値を、前記記憶部の所定の領域に書き込むことを特徴とする液体消費装置。
  2. 請求項1に記載の液体消費装置であって、
    前記液体消費装置の使用開始前の状態において、
    前記記憶部の前記所定の領域には、前記調整値の初期値として所定の範囲外の値が記憶されていることを特徴とする液体消費装置。
  3. 請求項2に記載の液体消費装置であって、
    前記制御部は、
    前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲内の値である場合には、読み出した前記調整値により前記位置補正処理を実行して、前記残存状態判定を実行することを特徴とする液体消費装置。
  4. 請求項2または3に記載の液体消費装置であって、
    前記制御部は、
    前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲外の値である場合には、前記位置補正処理を実行することなく、前記残存状態判定を実行することを特徴とする液体消費装置。
  5. 請求項4に記載の液体消費装置であって、
    前記制御部は、
    前記調整値を、前記検出信号に基づいて検出された前記プリズムの中心位置と、前記プリズムの設計上の前記中心位置と、のずれ量に基づいて決定することを特徴とする液体消費装置。
  6. 請求項5に記載の液体消費装置であって、
    前記記憶部には、前記プリズムの前記設計上の中心位置が記憶されており、
    前記制御部は、
    前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲外の値である場合には、前記プリズムの前記設計上の中心位置を基準とする前記検出範囲において前記残存状態判定を実行することを特徴とする液体消費装置。
  7. 請求項2または3に記載の液体消費装置であって、
    前記制御部は、
    前記検出信号に基づいて前記調整値を決定できなかった場合に、前記記憶部の前記所定の領域に記憶されている前記調整値を読み出し、読み出した前記調整値が前記所定の範囲外の値である場合には、前記検出信号に基づいて異なる基準で前記調整値を決定して、前記位置補正処理を実行することを特徴とする液体消費装置。
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