JP2016010879A - 液体消費装置 - Google Patents

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秀利 横山
Hidetoshi Yokoyama
秀利 横山
淳平 吉田
Junpei Yoshida
淳平 吉田
西原 雄一
Yuichi Nishihara
雄一 西原
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Abstract

【課題】インクカートリッジからの反射光の取込範囲の調整処理を成功しやすくすることができる液体消費装置等の提供。
【解決手段】液体消費装置200は、発光部82と受光部84を有する光センサー80と、液体収容容器のホルダーと、主走査方向にホルダーを移動させる移動部50と、光センサー80と液体収容容器のプリズムが対向する位置関係となる取込範囲における、受光部84の受光量に対応する検出信号に基づく液体収容容器内の液体の残存状態判定処理と、取込範囲の調整処理を行う制御部120と、取込範囲の調整処理が失敗した場合に、主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、光センサー80とホルダーの距離を表すギャップ距離の変更処理を行うギャップ距離変更部110と、を含む。制御部120は、変更処理後のギャップ距離で、取込範囲の調整処理を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、液体消費装置等に関係する。
液体消費装置の一例であるインクジェット方式の印刷装置には、取り外し可能な液体収容容器であるインクカートリッジが装着される。インクカートリッジには、インクカートリッジ内のインクの量が所定量を下回ったことを正確に検出するための光路部材(プリズム)を備えたものがある。このようなインクカートリッジを装着可能な液体消費装置では、インクカートリッジの底面と対向する位置に設けられた光センサーから、インクカートリッジの光路部材へ向けて光を発し、光路部材からの反射光により、液体の残存状態を判定することができる。
さらに、例えば特許文献1では、主走査方向における反射光の取込範囲の調整を行いつつ、インクカートリッジ底面のプリズムからの反射光に基づいて、液体の残存状態を判定する液体消費装置が開示されている。
また他にも、印刷媒体の種類に応じて、光センサーと、インクカートリッジの底面との間の距離(以下、ギャップ距離又はプラテンギャップと呼ぶ。)を変更可能な液体消費装置も提案されている。
特開2013−248738号公報
反射光の取込範囲の調整処理を行う際には、例えばインクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率を求めて、その比率に基づいて、取込範囲を調整する。また、この場合には、インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率が大きい方が、取込範囲の調整処理を容易に行うことができる。
しかし、液体消費装置が同一の機種であっても、前述した比率(インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率)は、液体消費装置の個体ごとに異なる。この個体差は、光センサーの指向特性のばらつきや、メカ公差に起因するものである。
また、前述した比率(インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率)は、前述したギャップ距離に応じても変化する。そのため、前述したようなギャップ距離を変更可能な液体消費装置では、取込範囲の調整処理が失敗しやすいギャップ距離で、取込範囲の調整処理を行ってしまうことがある。その結果、取込範囲の調整処理が失敗した場合には、液体の残存状態の判定処理も失敗する可能性が高くなってしまう。
本発明の幾つかの態様によれば、インクカートリッジからの反射光の取込範囲の調整処理を成功しやすくすることができる液体消費装置等を提供することができる。
本発明の一態様は、発光部と受光部とを有し、液体収容容器に設けられたプリズムと対向可能な光センサーと、前記液体収容容器を着脱可能に保持するホルダーと、主走査方向に前記ホルダーを移動させる移動部と、前記主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、前記光センサーと前記ホルダーとの距離を表すギャップ距離の変更処理を行うギャップ距離変更部と、前記光センサーと前記プリズムとが対向する位置関係となる取込範囲における、前記受光部の受光量に対応する検出信号に基づく前記液体収容容器内の液体の残存状態判定処理と、前記取込範囲の調整処理と、を行う制御部と、を含み、前記ギャップ距離変更部は、前記取込範囲の前記調整処理が失敗した場合に、前記ギャップ距離の前記変更処理を行い、前記制御部は、前記変更処理後の前記ギャップ距離で、前記取込範囲の前記調整処理を行う液体消費装置に関係する。
本発明の一態様では、取込範囲の調整処理が成功するまで、ギャップ距離を都度変更して、取込範囲の調整処理を繰り返して行う。よって、インクカートリッジからの反射光の取込範囲の調整処理を成功しやすくすることが可能となる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記液体消費装置の電源投入時に、前記ギャップ距離の前記変更処理を行いながら、各ギャップ距離で前記取込範囲の前記調整処理を行ってもよい。
これにより、電源投入後に初めて行う液体の残存状態判定処理を、取込範囲を調整した状態で行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記取込範囲の前記調整処理が成功した際のギャップ距離を記憶する記憶部を含んでいてもよい。
これにより、次に取込範囲の調整処理を行う際に、ギャップ距離を、前回の調整処理が成功した時のギャップ距離にすること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記記憶部は、不揮発性メモリーであり、前記制御部は、前記液体消費装置の電源投入時に、前記取込範囲の前記調整処理を行い、前記調整処理が成功した際の前記ギャップ距離を前記記憶部に記憶させ、次の電源投入時に、記憶された前記ギャップ距離で前記取込範囲の前記調整処理を行ってもよい。
これにより、次回の電源投入時において取込範囲の調整処理を行う際に、ギャップ距離の変更頻度を抑制すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記光センサーに対する前記ホルダーの位置を調整するための調整値を記憶する記憶部を含み、前記制御部は、前記取込範囲の前記調整処理において、前記調整処理の成功時の調整値を求め、前記成功時の調整値を前記記憶部に記憶させてもよい。
これにより、一度、取込範囲の調整処理が成功すれば、後に、成功時の調整値に基づいて取込範囲を調整すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記記憶部は、前記光センサーの中心位置と前記プリズムの中心位置とが一致するときの前記ホルダーの位置を、基準位置として記憶し、前記制御部は、前記調整値として、前記取込範囲の前記調整処理が成功した際の前記ホルダーの位置と前記基準位置とのずれ量を求めてもよい。
これにより、基準位置からのずれ量を、取込範囲を表す情報として記憶することが可能になり、記憶部に記憶させる情報量を削減すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記ずれ量が所与の範囲外であると判定した場合に、前記記憶部に記憶された前記基準位置に基づいて、前記取込範囲を調整してもよい。
これにより、例えば全てのギャップ距離で取込範囲の調整処理が失敗した場合であっても、取込範囲を決定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記取込範囲の前記調整処理において、前記検出信号に基づいて、前記プリズムの底面からの反射のピークが所与の強度範囲内であると判定した場合に、前記調整処理が成功したと判定してもよい。
これにより、取込範囲を、光センサーとインクカートリッジが対向する範囲に調整すること等が可能になる。
また、本発明の他の態様は、発光部と受光部とを有し、液体収容容器に設けられたプリズムと対向可能な光センサーと、前記液体収容容器を着脱可能に保持するホルダーと、主走査方向に前記ホルダーを移動させる移動部と、前記主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、前記光センサーと前記ホルダーとの距離を表すギャップ距離の変更処理を行うギャップ距離変更部と、前記光センサーと前記プリズムとが対向する位置関係となる取込範囲における、前記受光部の受光量に対応する検出信号に基づく前記液体収容容器内の液体の残存状態判定処理と、前記取込範囲の調整処理と、を行う制御部と、を含み、前記制御部は、前記ギャップ距離の前記変更処理を行いながら、各ギャップ距離で前記取込範囲の前記調整処理を行い、前記各ギャップ距離での前記調整処理の結果に基づいて、設定する前記ギャップ距離を決定する液体消費装置に関係する。
本発明の他の態様では、例えば、全ての(又は複数の)ギャップ距離において、取込範囲の調整処理を行った後に、全ての(又は複数の)調整処理の結果の中から、最適なギャップ距離を選択する。よって、液体の残存状態判定処理に最も適したギャップ距離と取込範囲の組み合わせに設定することが可能となる。
また、本発明の他の態様では、前記制御部は、前記各ギャップ距離での前記調整処理の結果に基づいて、前記液体収容容器の前記液体からの反射強度と、前記プリズムの底面からの反射強度の差が最大となる前記ギャップ距離を、設定する前記ギャップ距離として選択してもよい。
これにより、液体の残存状態判定処理において、液体が残存状態か否かを判定しやすいギャップ距離に設定すること等が可能になる。
本実施形態における印刷装置の要部を示す斜視図。 インクカートリッジの要部を示す斜視図。 本実施形態における印刷装置の詳細な構成例。 光センサーの構成例。 図5(A)は、光センサーの発光部の構成例であり、図5(B)は、発光部からの光の指向特性の説明図。 図6(A)、図6(B)は、取込範囲の調整値の説明図。 図7(A)〜図7(C)は、取込範囲の説明図。 取込範囲の調整処理の説明図。 ギャップ距離の設定例の説明図。 図10(A)〜図10(D)は、ギャップ距離変更時のインクカートリッジと光センサーの位置関係の説明図。 本実施形態の処理の流れを説明するフローチャート。 感度補正処理及び残存状態の判定閾値の特定処理の流れを説明するフローチャート。 非残存状態での出力比とギャップ距離の関係の説明図。 各ギャップ距離における検出電圧を示すグラフ。 インクニアエンドの検出手法の説明図。 インクニアエンドの検出手法の他の説明図。 検出電圧の特性例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下で説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
例えば以下では、インクを収容するインクカートリッジ及びインクを吐出する印刷装置を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、種々の液体を収容する液体収容容器及びその液体を吐出(噴射)する液体消費装置に適用可能である。液体は、液体消費装置が吐出可能なものであればよく、例えば溶液、溶媒、ゾル、ゲルや、それらに種々の物質或いは微粒子等を溶解・混合させたものを含む。
1.概要
印刷装置が印刷媒体に対してインクを吹き付ける際には、印刷媒体の種類によって、印刷媒体にインクが定着しやすいギャップ距離が異なる。ギャップ距離とは、インクカートリッジの底面(プリズムが配置される面)と対向して設けられる光センサーと、インクカートリッジの底面との間の距離のことであり、プラテンギャップ(又はPG)とも呼ばれる。ギャップ距離は、例えば後述する図10(A)の例では、プリズムPSの底面と発光部LT間の距離7.5mmである。
そのため、前述したように、印刷媒体の種類に応じて、ギャップ距離を変更可能な印刷装置、所謂、オートPG機能を備えたプリンターが提案されている。オートPG機能とは、印刷装置が印刷媒体に対してインクを吹き付ける際に、印刷媒体にインクが定着しやすいように、印刷媒体の種類に応じて、ギャップ距離を変更する機能である。
また、本実施形態の印刷装置は、インクの残存状態判定処理を行う。インクの残存状態判定処理では、事前に取込範囲を設定しておき、設定された取込範囲でのみ、光センサーが反射光を受光し、インクの残存状態を判定する。そのため、事前に取込範囲の調整処理を行っておく必要がある。なお、インクの残存状態判定処理(インクニアエンドの検出処理)の詳細については、図15〜図17を用いて後述する。
前述したように、インクの残存状態判定処理や、反射光の取込範囲の調整処理を行う際には、インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材(インクカートリッジ内に収容されるインク量により光センサーからの入射光の反射率が変化する被検出部。例えば、プリズム)の底面からの反射の比率が大きくなるように、ギャップ距離を設定することが望ましい。詳細な理由は後述する。
しかし、残存状態判定処理や取込範囲の調整処理に適切なギャップ距離と、インクが定着しやすいギャップ距離は、必ずしも一致しない。そのため、インクが定着しやすいギャップ距離に設定したまま、反射光の取込範囲の調整処理を行うと、適切な取込範囲を決定できないことがある。そして、その状態で、インクの残存状態判定処理を行い、誤った判定をしてしまうことがある。
そこで、本実施形態の印刷装置は、ギャップ距離を調整して、インクカートリッジからの反射光の取込範囲の調整処理を成功しやすくする。
ここで、図14を用いて具体例を説明する。図14のグラフでは、横軸が、インクカートリッジ(キャリッジ)を主走査方向に一定速度で動かした時の時間(s)を表し、縦軸が、そのタイミングで光センサーにより検出される検出電圧(V)を表す。そして、図14のグラフは、その動作を4種類のギャップ距離の設定(PGtyp、PG−、PG+、PG++)で行った時の結果を示している。また、どの場合にもインクカートリッジのインクは、残存状態であるものとする。なお、各ギャップ距離の設定(PGtyp、PG−、PG+、PG++)は、後述する図13の表に示すような設定になっている。
図14に示すように、光センサーにより検出される検出電圧には、2つのピークが存在する。例えば、図14の検出電圧のPG+の波形では、1.2V付近と1.4V付近にそれぞれピークがある。このピークは、光センサーがインクカートリッジの光路部材の底面からの反射光を受光することにより、検出されるものである。具体的に、図14のPG+の1.4V付近のピークは、光センサーとインクカートリッジが、例えば後述する図7(A)のような位置関係にある時に検出されたピークであり、図14のPG+の1.2V付近のピークは、光センサーとインクカートリッジが、例えば後述する図7(C)のような位置関係にある時に検出されたピークである。また、2つのピークの間の検出電圧は、光センサーが、光路部材の底面からの反射光をほとんど受光せず、インクカートリッジ内の液体からの反射光を受光している時に得られるものである。
本実施形態では、この2つのピーク位置に基づいて、光センサーとインクカートリッジの位置関係を判定する。具体的には、2つのピーク位置の中心にインクカートリッジが位置している時に、インクカートリッジが光センサーの直上に位置している、つまり、主走査方向におけるインクカートリッジの光路部材の中心位置と、光センサーの中心位置とが(略)一致していると判定する。そのため、取込範囲は、この2つのピークが少なくとも検出できるような範囲に設定すべきである。よって、2つのピーク位置の検出が容易になれば、取込範囲の設定も容易になる。まとめると、2つのピーク位置の検出が容易になれば、取込範囲の調整処理が成功しやすくなり、2つのピーク位置の検出が困難になれば、取込範囲の調整処理が失敗しやすくなる。
さらに、インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率が、他のギャップ距離に設定した場合と比べて、例えば最も大きくなる時に、2つのピーク位置の特定が最も容易になる。インクカートリッジ内の液体からの反射と、光路部材の底面からの反射との差が大きくなるためである。例えば図14の例では、PG+に設定されている場合に、2つのピークの特定が最も容易になり、これにより取込範囲の調整処理も成功しやすくなる。
一方、インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率が、他のギャップ距離に設定した場合と比べて、例えば最も小さくなる時に、2つのピーク位置の特定が最も困難になる。これは、2つのピークの判別がつき辛いためである。例えば図14の例では、PG++に設定されている場合に、2つのピークの特定が最も困難になり、これにより取込範囲の調整処理も失敗しやすくなる。
このように、インクカートリッジに対する光センサーの位置を正確に特定できれば、反射光の適切な取込範囲も特定しやすくなる。
そのため、本実施形態の印刷装置は、例えば取込範囲の調整処理を行い、取込範囲の調整処理が失敗した場合には、ギャップ距離を変更して、再度、取込範囲の調整処理を行う。
具体的には、後述する図3に示すように、本実施形態の印刷装置(液体消費装置)200は、光センサー80と、ホルダー21と、移動部50(55も含む)と、ギャップ距離変更部110と、制御部120と、を含む。
光センサー80は、発光部82と受光部84とを有し、液体収容容器(インクカートリッジIC1〜IC4に対応)に設けられたプリズム320と対向可能である。また、ホルダー21は、液体収容容器を着脱可能に保持する。移動部50は、主走査方向にホルダー21を移動させる。
そして、ギャップ距離変更部110は、主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、光センサー80とホルダー21との距離を表すギャップ距離の変更処理を行う。
制御部120は、光センサー80とプリズム320とが対向する位置関係となる取込範囲における、受光部84の受光量に対応する検出信号に基づく液体収容容器内の液体(インク)の残存状態判定処理と、取込範囲の調整処理を行う。
さらに、ギャップ距離変更部110が、取込範囲の調整処理が失敗した場合に、ギャップ距離の変更処理を行い、制御部120が、変更処理後のギャップ距離で、取込範囲の調整処理を行う。
ここで、取込範囲とは、例えば残存状態判定処理を行う際に用いる検出信号に対応する反射光(プリズムの頂角を構成する面からの反射光)を受信可能な、インクカートリッジの主走査方向における位置の範囲である。例えば、後述する図7(B)の範囲IAである。
これにより、取込範囲の調整処理が成功するまで、ギャップ距離を都度変更して、取込範囲の調整処理を繰り返して行うことができる。つまり、インクが定着しやすいギャップ距離に設定する機能を転用して、取込範囲の調整処理が成功しやすいギャップ距離に設定する処理を行うことができる。
よって、インクカートリッジからの反射光の取込範囲の調整処理を成功しやすくすることが可能となる。なお、本実施形態では、必ずしも、前述した比率(インクカートリッジ内の液体からの反射に対する、光路部材の底面からの反射の比率)を、設定可能なギャップ距離の中で最大にする必要はない。取込範囲の調整処理により、所定の条件を満たす適切な取込範囲さえ特定できればよい。
2.印刷装置の基本構成、インクカートリッジ
図1は、本実施形態における印刷装置(液体消費装置の一例である。)の要部を示す斜視図である。図1には、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向を示す。印刷装置の通常の使用姿勢において、印刷装置の正面方向をX方向とし、鉛直方向をZ方向とする。例えばX方向を例にとると、矢印の向く方向を+X方向(又は単にX方向)と呼び、その反対方向を−X方向と呼ぶ。
図1の印刷装置は、インクカートリッジIC1〜IC4(液体収容容器、液体収容部)と、インクカートリッジIC1〜IC4を着脱可能に収容するホルダー21を備えるキャリッジ20と、ケーブル30と、紙送りモーター40と、キャリッジモーター50と、キャリッジ駆動ベルト55と、ガイドレール57と、ギャップ距離変更機構60と、光センサー80(検出部)を含む。なお、ホルダー21とキャリッジ20は一体の部材として形成されてもよいし、別体の部材として形成されてキャリッジ20にホルダー21が組み付けられてもよい。
インクカートリッジIC1〜IC4には、それぞれ一色ずつのインク(液体、印刷材)が収容される。ホルダー21には、インクカートリッジIC1〜IC4が着脱可能に装着される。キャリッジ20の−Z方向の面には、不図示のヘッドが設けられている。インクカートリッジIC1〜IC4から供給されるインクは、ヘッドから記録媒体に向かって吐出される。記録媒体は、例えば印刷用紙やCD−R等である。キャリッジ20は、ケーブル30により処理部(後述する図3の処理部100)に接続されており、このケーブル30を介して処理部により吐出制御が行われる。紙送りモーター40は、紙送りローラー45(図3に記載)を回転駆動し、図1に示す±X方向に印刷用紙を送る。キャリッジモーター50は、キャリッジ駆動ベルト55を駆動し、キャリッジ20を±Y方向に移動させる。これらの吐出や紙送り、キャリッジ20の移動を処理部が制御することにより印刷動作が行われる。なお以下では、キャリッジ20を移動させる±Y方向を「主走査方向」と呼び、印刷用紙を紙送りする±X方向を「副走査方向」と呼ぶ。
光センサー80は、インクカートリッジIC1〜IC4のインク残存状態を検出するための信号を出力する。具体的には、光センサー80は、インクカートリッジIC1〜IC4に設けられたプリズム(光路部材。後述する図2のプリズム320)へ光を照射する発光部82(発光素子)と、プリズムからの反射光を受光して電気信号に変換する受光部84(受光素子)と、を含む。例えば、発光部82はLED(Light Emission Diode)により構成され、受光部84はフォトトランジスターにより構成される。
また、ギャップ距離変更機構60は、処理部により、キャリッジ20を上下に駆動させて、各インクカートリッジの底面と光センサー80とのギャップ距離を変更する。
次に図2について説明する。図2は、インクカートリッジICの要部を示す斜視図である。図2に示すインクカートリッジICは、図1のインクカートリッジIC1〜IC4の各インクカートリッジに対応する。
インクカートリッジICは、インクを収容する直方体(略直方体を含む)のインク収容部300と、回路基板350(基板)と、インクカートリッジICをホルダー21に着脱するためのレバー340と、ヘッドにインクを供給するインク供給口330と、インクカートリッジICの底面310に設けられたプリズム320と、を含む。回路基板350の裏面には、インクカートリッジICに関する情報を記憶する記憶装置352が実装されている。回路基板350の表面には、記憶装置352に電気的に接続される複数の端子354が配置されている。これらの複数の端子354は、インクカートリッジICがホルダー21に装着された時に、ホルダー21に設けられた複数の本体側端子を介して、本体側の処理部100に電気的に接続される。記憶装置352としては、例えばEEPROM等の不揮発性メモリーを用いることができる。
プリズム320は、発光部82からの光に対して透明な部材で構成され、例えばポリプロピレンにより構成される。プリズム320は、発光部82からの光が入射する入射面が、インクカートリッジICの底面310に露出するように設けられる。底面310は、図1のホルダー21にインクカートリッジICが装着された場合に−Z方向側に向く面である。ホルダー21には、発光部82からの光をプリズム320の入射面に入射させるための開口が設けられている。即ち、ホルダー21を備えたキャリッジ20が図1の主走査方向(±Y方向)に移動すると、インクカートリッジIC1〜IC4が、順次、光センサー80の上(+Z方向)を通過し、各インクカートリッジのプリズム320からの反射光が受光部84により受光される。そして、光センサー80は、受光部84の受光結果を、キャリッジ20の位置に対応したセンサー出力信号(検出信号)として出力する。本実施形態では、このキャリッジ20の位置に対応したセンサー出力信号に基づいて、各インクカートリッジのインクニアエンドを検出する。
ここで、インクニアエンドとは、インク収容部300に収容されたインクの残量や液面レベルが所定値以下となり、インクカートリッジICのインク量が残り少ない状態のことである。例えば、光センサーによりインクニアエンドが検出された後に印刷を続行し、その後に推定されるインク消費量が所定の量を超えた場合に、ヘッドがインクを吐出しなくなる可能性のある状態である。なお、インクニアエンドのことを非残存状態とも言う。あるいは、光センサーがインクニアエンドを検出した時点で、空打ち状態となる可能性がある状態であってもよい。空打ち状態となる可能性がある状態になったときには、印刷装置は印刷を停止する。
3.印刷装置の詳細な構成
図3に、本実施形態における印刷装置の詳細な構成例を示す。図3では、第1の方向D1を主走査方向とし、第1の方向D1に直交する第2の方向D2を副走査方向とする。なお以下では、光センサー80が出力する検出信号が、電圧信号である場合を例に説明する。
図3の印刷装置200は、インクカートリッジIC1〜IC4と、インクカートリッジIC1〜IC4を着脱可能に保持する(不図示の)ホルダー21を備えるキャリッジ20と、紙送りモーター40と、紙送りローラー45と、キャリッジモーター50と、キャリッジ駆動ベルト55と、ガイドレール57と、ギャップ距離変更機構60と、A/D変換部70と、光センサー80と、処理部100と、記憶部150と、表示部210と、インターフェース部(I/F部)220と、を含む。なお、図1で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。また、印刷装置200は、図3の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。
A/D変換部70は、光センサー80からの検出信号をA/D変換し、そのA/D変換後のデジタル信号を処理部100へ出力する。具体的には、A/D変換部70は、例えばロータリーエンコーダーのカウント値や処理部100を構成するCPUの割り込み周期等に応じた所定の位置間隔で、検出信号をサンプリングし、複数個のサンプリング電圧を取得する。例えば、1個のカートリッジが光センサー80の上を通過するときに、数10個のサンプリング電圧を取得する。
処理部100は、ギャップ距離変更部110と、制御部120と、を含む。処理部100は、CPU等のプロセッサーや、プロセッサー上で動作するプログラムにより実現される。例えばROMに記憶されたプログラムが、記憶部150に展開され、このプログラムをプロセッサーが実行することで、処理部100の各部の処理が実行される。なお処理部100を専用のASICにより実現することも可能である。
ギャップ距離変更部110は、ギャップ距離変更機構60を駆動させて、主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、光センサー80とホルダー21との距離を表すギャップ距離の変更処理を行う。
そして、制御部120は、駆動制御部121と、検出制御部122と、位置特定部123と、残存状態判定部124と、を含む。
駆動制御部121は、印刷装置200の駆動部の制御を行う。具体的には、駆動部であるキャリッジモーター50の制御を行う。キャリッジモーター50を制御して、キャリッジ20を移動させる制御を行う。これにより、キャリッジ20に備えられるホルダー21とヘッド22を移動させる駆動が、キャリッジモーター50により行われるようになる。
検出制御部122は、光センサー80の各種の制御を行う。例えば光センサー80の発光部82の制御を行う。例えば検出制御部122は、光センサー80からの検出信号等に基づいて発光部82の発光量を決定する処理を行う。そして決定された発光量に基づいてPWM信号を生成し、発光部82の発光量を制御する。或いは検出制御部122は、受光部84の受光結果に基づき行われるインクニアエンドの判定閾値の特定処理なども行う。
位置特定部123は、主走査方向D1におけるキャリッジ20(ホルダー21)の位置を特定する処理を行う。そして、前述したように、光センサー80上をキャリッジ20が走査し、プリズム320又はインクからの反射光により生じる電圧に基づいて、主走査方向D1における各インクカートリッジICのプリズム320が光センサー80の直上となる位置(光センサーと対向する位置ともいう。)も特定される。より具体的には、キャリッジモーター50にはロータリーエンコーダーが設けられており、位置特定部123は、ロータリーエンコーダーのカウント値に基づいてキャリッジ20の移動量を特定し、印刷の各パス中におけるキャリッジ20の位置を特定する。なお、ロータリーエンコーダーのカウント値は、各インクカートリッジICのプリズム320が光センサーと対向する位置と、対応づけられている。
残存状態判定部124は、インクカートリッジのインクの残存状態判定処理を行う。例えば残存状態判定部124は、光センサー80と各インクカートリッジICが対向する位置にあるときの光センサー80からの検出信号(検出電圧)に基づいて、各インクカートリッジにインクが残存しているか否かの判定処理(インクニアエンドの判定処理)を行う。具体的には、光センサー80からの検出信号である検出電圧は、A/D変換部70によりA/D変換され、デジタル信号として処理部100に入力される。そして処理部100の残存状態判定部124は、このデジタル信号に変換された検出電圧に基づいて、検出電圧と判定閾値との比較処理を行って、インクの残存状態判定処理を行う。そして、インクが非残存状態であると判定されたインクカートリッジ(インクニアエンドであると判定されたインクカートリッジ)については、表示部210に対して、或いはI/F部220を介して接続されるPC(パーソナルコンピューター)250の表示部に対して、インク交換を知らせるアラームを表示させ、ユーザーにインクカートリッジの交換を促す。
また、記憶部150は、光センサー80に対するホルダー21の位置を調整するための調整値(取込範囲の調整値)を記憶する。その他にも、記憶部150は、処理部100のワーク領域となるものであり、その機能はRAMやEEPROMなどのメモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。
表示部210は、例えばインク交換指示画像などを表示する。表示部210は、例えば液晶である。その他にも表示部210は、有機ELパネルや、電子ペーパーなどであってもよい。
次に、図4に光センサー80の具体的な構成例を示す。なお光センサー80の構成は図4に限定されず、種々の変形実施が可能である。
光センサー80は、発光部82と受光部84を有する。発光部82は光を照射し、受光部84は光を受光する。光センサー80は、反射型のフォトインタラプタによって構成されている。光センサー80は、PWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティ比(オン時間とオフ時間の割合、Duty値)を調整してLEDを発光させる。LEDから発光された光は、インクカートリッジIC内のプリズム320で反射してフォトトランジスターに入射した後、電流値に変換される。この電流値は抵抗R1により電圧Vcに変換され、この電圧VcがA/D変換部70によりA/D変換され、A/D変換後のデジタル信号が処理部100の残存状態判定部124に入力される。
このように本実施形態では光センサー80は発光部82と受光部84とを有し、インクカートリッジは、光センサー80の発光部82から照射された光をインクの残存状態に応じて反射するプリズム320を有する。そして処理部100は、プリズム320からの反射光を光センサー80の受光部84が受光することで得られた検出信号(A/D変換後の検出電圧)に基づいて、インクカートリッジのインクの残存状態判定処理を行う。
また、光センサー80の発光部82は、図5(A)に示すように、発光素子LTと、カップCPと、透明部材CCを有している。発光素子LTから照射された光は、カップCPにより反射される。そのため、発光部82から照射された光は、図5(A)に示すように、発光素子LTに垂直な方向(図5(A)の上方向)に放射されるだけでなく、発光素子LTに垂直な方向からθ度傾いた方向にも集束される。これにより、発光部82から照射される光は、図5(B)のDRTで示すような指向特性を有する。したがって、光センサーとインクカートリッジが、後述する図7(A)や図7(C)のような位置関係にある時に、プリズム底面からの反射光が受光され、後述する図8に示すような2つのピーク(P1、P2)が検出される。
4.処理の詳細
次に、本実施形態の処理の詳細について説明する。本実施形態では、前述したように、インクカートリッジからの反射光を、光センサー80の受光部84が受光可能なように、反射光の取込範囲の調整処理を行う。この反射光は、光センサー80の発光部82によりインクカートリッジの底面に向けて照射された光が、インクカートリッジのプリズム320又はインクにより反射されたものである。そして、反射光の取込範囲の調整処理では、光センサー80に対するホルダー21の位置を調整するための調整値を求める。
ここで、取込範囲の調整処理により得られる調整値について、図6(A)及び図6(B)を用いて、具体的に説明する。本例ではインクカートリッジ毎に調整処理を行い、インクカートリッジ毎に調整値を求める場合について、インクカートリッジIC2を例にあげて説明する。ただし、本実施形態では、取込範囲の調整処理をホルダー単位でまとめて行い、取込範囲の調整値もホルダー単位でまとめて求めるなどの変形実施も可能である。なお、図6(A)及び図6(B)のY座標軸は、図1及び図2のY座標軸と同じ座標軸であり、インクカートリッジ(IC1〜IC4)とホルダー21の構成も、図1及び図2と同様である。またPS1は、インクカートリッジIC1内に設けられたプリズムである。PS2〜PS4についても同様である。
まず、取込範囲の調整処理の前段階として、本例の記憶部150は、光センサーの中心位置とプリズムの中心位置とが一致すると想定されるホルダー位置を、基準位置として記憶しておく。基準位置は、印刷装置の設計時(製造時)にあらかじめ決められた位置であり、図6(A)の例では、ホルダーHDの+Y方向側の一端の位置ydefを基準位置としている。ただし、本実施形態はそれに限定されず、ホルダーHDの他の部分の位置(例えばホルダーHDの中心位置等)を、基準位置として用いても良い。
しかし、実際には、図6(A)に示すように、ホルダー位置を基準位置ydefに合わせても、光センサーLSの中心位置yLSとプリズムPS2の中心位置yPS2が、メカ公差により一致しないことがある。
そのため、図6(B)に示すように、主走査方向におけるインクカートリッジIC2の中心位置yPS2’と光センサーLSの中心位置yLSが一致するように、制御部120は、(基準位置の)調整値として、取込範囲の調整処理が成功した際のホルダー位置yrelと基準位置ydefとのずれ量Δadjを求める。調整処理では、例えば後述する図8に示すような、プリズム底面からの反射の2つのピーク(P1、P2)を受光できるように、取込範囲を調整し、基準位置からの調整値を求める。調整処理の処理内容の詳細については、後述する。
本例では、そのような調整処理を行った結果、取込範囲が図7(A)〜図7(C)に示すような範囲IAに設定されたものとする。図7(A)〜図7(C)では、インクカートリッジIC2が光センサーLSの上を、主走査方向MDに向かって、移動している様子を示す。なお、図7(A)〜図7(C)では、図示の都合上、インクカートリッジIC2以外のインクカートリッジ(IC1、IC3、IC4)を省略して図示している。
図7(A)〜図7(C)に示すように、取込範囲IAは、Y=(yPS2’+Δ)からY=(yPS2’−Δ)までの範囲となる。図7(A)〜図7(C)に示す取込範囲IAは、インクカートリッジIC2のプリズムPS2の中心位置の移動範囲を表すものである。
図7(A)に示すように、位置(yPS2’−Δ)は、インクカートリッジIC2が取込範囲IAの一端に位置する時のプリズムPS2の中心位置であり、位置(yPS2’+Δ)は、図7(C)に示すように、インクカートリッジIC2が取込範囲IAの他端に位置する時のプリズムPS2の中心位置である。本例では、前述したように、インクカートリッジIC2と光センサーLSが、図7(A)及び図7(C)に示す位置関係である場合に、それぞれピークが検出されるものとする。ただし、Δは、あらかじめ印刷装置200の設計時(製造時)に決められた値であってもよいし、調整処理において求められる値であってもよい。したがって、取込範囲IAのように、両端の位置でピークが検出されるような取込範囲を設定してもよいし、取込範囲IA’のように、ピークが検出される位置から所与のマージンΔ’を設けた取込範囲を設定してもよい。
このように、yPS2’は、既知であるyPS2と、図6(B)の処理で求めたずれ量(Δadj)から算出することができ、yPS2’を用いて、取込範囲を位置(yPS2’+Δ)から位置(yPS2’−Δ)までの範囲と定義することができる。従って、基準位置(ydef)からのずれ量(Δadj)を、取込範囲を表す情報として記憶すること等が可能になる。特に、取込範囲の幅(図7(A)〜図7(C)のΔ及びΔ’等)があらかじめ決められている場合には、取込範囲の両端の座標を記憶しておく必要がないため、記憶部150に記憶させる情報量を削減すること等が可能になる。
そして、このような取込範囲IAを求めた場合には、インクカートリッジIC2が光センサーLSの上を通り過ぎる期間において、プリズムPS2の中心位置が、(yPS2’−Δ)の位置であるタイミングから、(yPS2’+Δ)の位置であるタイミングまでに、光センサーLSの受光部が受光した信号に基づいて、後述する液体の残存状態判定処理等を行うことになる。
次に、取込範囲の調整処理の詳細について説明する。制御部120は、取込範囲の調整処理において、検出信号に基づいて、プリズムの底面からの反射のピークが所与の強度範囲内であると判定した場合に、調整処理が成功したと判定する。
ここで、図8を用いて具体例を説明する。図8のグラフでは、横軸が図1と同じY座標軸を表す。また、縦軸は、対応するY軸座標位置を、インクカートリッジが通過した時に光センサーにより検出される電圧(V)を表す。この電圧が小さくなる程、光センサーの受光部が強い反射光を受光したことを表す。
そして、本例では、インクカートリッジを図8の+Y方向へ移動させた時に、曲線RVで表される電圧が光センサーから得られるものとする。また、本例では、電圧vth1から電圧vth2までの範囲を、前述した所与の強度範囲と規定する。
そもそも、図8に示すように、主走査方向の全走査領域において、光センサーにより検出される検出信号(図8のグラフの縦軸の電圧値)を、記憶部150に全て記憶できればよいが、実際には、記憶容量の都合上、走査領域の一部分における検出信号しか記憶しておけないことが多い。また、全走査領域において検出信号を記憶する場合には、無駄なデータを大量に記憶することにもなり、処理効率も悪い。そのため、反射光の取込範囲を限定する必要があり、取込範囲の調整処理が必要となる。
図8の例では、右から左へと取込範囲を徐々にずらしつつ、設定した取込範囲が適切か否かの判定処理を行う。
この時、取込範囲を、例えば座標yから座標yまでの範囲IA1に設定した場合には、所与の強度範囲(vth1〜vth2)内で、反射光のピークが検出されない。つまり、図8のグラフの領域R1内で、反射光のピークが検出されない。よって、この取込範囲IA1は、適切な取込範囲ではないと判定できる。
次に、取込範囲を徐々に左へとずらし、取込範囲を、座標yから座標yまでの範囲IA2に設定した場合には、所与の強度範囲(vth1〜vth2)内で、反射光のピークが2つ(P1及びP2)検出される。つまり、図8のグラフの領域R2内で、2つの反射光のピーク(P1及びP2)が検出される。2つのピークが検出される場合には、光センサーとインクカートリッジが対向する範囲に取込範囲が設定されており、かつ、図15を用いて後述するように、インクが残存状態であるとも判定できる。よって、取込範囲IA2は、適切な取込範囲であり、このような取込範囲IA2を発見できた場合には、調整処理は成功したことになる。
これにより、取込範囲を、光センサーとインクカートリッジが対向する範囲に調整すること等が可能になる。
そして、この場合には、前述したように、取込範囲IA2の中心にインクカートリッジIC2が位置する時のホルダー位置と、基準位置とのずれ量(調整値)を算出して、記憶部150に記憶させる。言い換えれば、制御部120は、取込範囲の調整処理において、調整処理の成功時の調整値(ずれ量)を求め、成功時の調整値を記憶部150に記憶させる。
これにより、一度、取込範囲の調整処理が成功すれば、後に、成功時の調整値に基づいて取込範囲を調整すること等が可能になる。
一方で、例えばIA2のような取込範囲が見つからず、取込範囲を、主走査領域の最後の領域である、座標yから座標yまでの範囲IA3に設定した場合にも、所与の強度範囲(vth1〜vth2)内で、反射光のピークが検出されなかった場合には、調整処理は失敗したことになる。
これにより、適切な取込範囲を見つけることができなかった場合には、現在のギャップ距離では、インクの残存状態判定処理を正確に行うことが困難であると判定すること等も可能になる。
そして、本実施形態では、前述したように、ギャップ距離を都度変更して、上記の取込範囲の調整処理を行う。本例では、例えば図9の表に示す4種類のギャップ距離(7.5mm、8.0mm、8.6mm、6.3mm)を設定可能であるものとする。また、これらの設定をした場合における光センサーとインクカートリッジの底面の位置関係は、図10(A)〜図10(D)に示すようになる。
具体的には、PG−の設定では、図10(A)に示すように、光センサーの発光部LTと、インクカートリッジICのプリズムPSの間のギャップ距離が7.5mmとなる。そして、PGtypの設定では、図10(B)に示すように、PG−の状態から、インクカートリッジICが光センサーから離れる+Z方向に移動させられ、ギャップ距離が8.0mmとなる。同様に、PG+の設定では、図10(C)に示すように、PGtypの状態から、インクカートリッジICが+Z方向にさらに移動させられ、ギャップ距離が8.6mmとなる。そして、PG++の設定では、図10(D)に示すように、PG+の状態から、インクカートリッジICが+Z方向にさらに移動させられるが、同時に光センサーも+Z方向に移動するため、ギャップ距離が6.3mmとなる。なお、PG++は、元々CD−R等のディスクラベルに印刷を行う時の設定であるため、ディスクトレイが+Z方向に移動するのに伴い、光センサーも+Z方向に移動する。
以下では、このようにギャップ距離を設定可能な場合の本実施形態の処理の流れを、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、図11のフローチャートで説明する例では、前述した図9の表に示すように、ギャップ距離の各設定にインデックス(1〜5)を割り当てている。具体的には、PG−が設定されることをPG=4と表し、PGtypが設定されることをPG=3、PG+が設定されることをPG=2、PG++が設定されることをPG=1と表す。そして、PG=5を初期値とし、どのギャップ距離も設定されていない状態を表すものとする。
また、図11のフローチャートに示す処理は、印刷装置200の電源投入時(直後)に行うものとする。すなわち、制御部120は、印刷装置(液体消費装置)200の電源投入時に、ギャップ距離の変更処理を行いながら、各ギャップ距離で取込範囲の調整処理を行う。
これにより、電源投入後に初めて行う液体の残存状態判定処理を、取込範囲を調整した状態で行うこと等が可能になる。
さて、図11のフローチャートでは、まず制御部120が、現在のギャップ距離の設定が、PG=5(初期値)であるか否かを判定する(S1)。そして、PG=5であると判定された場合には、制御部120は、前述した基準位置からのずれ量X_def_Fに初期値を設定する(S2)。例えば、X_def_F=123と設定する。
次に、制御部120は、ギャップ距離の各設定を表すインデックスの変数iを、i=4に設定する(S3)。なお、本例ではステップS3において、i=4と設定するが、本実施形態はそれに限定されず、iを1〜3のいずれかの値に設定してもよい。その際には、後述するステップS8の処理も適宜変更する必要がある。
そして、制御部120が、PG=iに設定し、ギャップ距離変更部110が、ホルダー21を移動させてギャップ距離を変更する(S4)。
次に制御部120は、図8を用いて前述した取込範囲の調整処理を行う(S5)。このとき、取込範囲の調整が成功した場合には、ずれ量を記憶部に記憶させる。そして、制御部120は、取込範囲の調整処理が成功したか否かを判定し(S6)、取込範囲の調整処理が成功したと判定した場合には、PG=iを記憶部150に記憶させ(S7)、処理を終了する。なお、取込範囲の調整処理が成功した場合には、ステップS5において、ずれ量X_def_Fに初期値(=123)以外の値が設定されている。そのため、ずれ量が初期値のままか否かを判定することにより、取込範囲の調整処理が成功したか否かを判定することが可能である。
一方、制御部120は、取込範囲の調整処理が失敗したと判定した場合には、iを1だけディクリメントし(i=(i−1))(S8)、ディクリメント後のインデックスiが、i=0か否かを判定する(S9)。
ステップS9において、制御部120が、i≠0であると判定した場合には、ステップS4に戻り、ギャップ距離の設定をPG=iに設定し(S4)、ギャップ距離を変更した状態で、再度、取込範囲の調整処理を行う(S5)。
一方で、ステップS9において、制御部120が、i=0であると判定した場合には、どのギャップ距離においても取込範囲の調整処理が失敗してしまっているため、ギャップ距離の設定をデフォルトに設定する(S10)。本例では、例えば、PG=4(デフォルト値)に設定し、取込範囲の調整エラーとして、処理を終了する。
また、ステップS7で述べたように、記憶部150は、取込範囲の調整処理が成功した際のギャップ距離を記憶する。
これにより、次に取込範囲の調整処理を行う際に、ギャップ距離を、前回の調整処理が成功した時のギャップ距離にすること等が可能になる。
具体的に、図11のフローチャートの2回目以降の処理では、ステップS1において、制御部120は、PG=5(初期値)ではないと必ず判定する(S1)。これは、前回、取込範囲の調整処理が成功した場合には、成功時のギャップ距離が設定されており、調整処理が失敗した場合には、デフォルトのギャップ距離が設定されているためである。
そして、制御部120は、前回設定したギャップ距離を再度設定し(S11)、設定したギャップ距離で取込範囲の調整処理を行う(S12)。次に、制御部120は、取込範囲の調整処理が成功したか否かを判定し(S13)、成功した場合には、正常に処理を終了し、失敗した場合には、取込範囲の調整エラーとして、処理を終了する。この場合には、どちらもギャップ距離の設定を変更しない。
また、記憶部150が、不揮発性メモリーである場合には、次回の電源投入時にもこのような処理(S1、S11〜S13)を行うことが可能である。
つまり、制御部120は、印刷装置(液体消費装置)200の電源投入時に、取込範囲の調整処理を行い(S5)、調整処理が成功した際のギャップ距離を記憶部150に記憶させ(S7)、次の電源投入時に、記憶されたギャップ距離で取込範囲の調整処理を行ってもよい(S11、S12)。
これにより、次回の電源投入時において取込範囲の調整処理を行う際に、ギャップ距離の変更頻度を抑制すること等が可能になる。その結果、電源投入時の初期処理にかかる時間を少なくすること等が可能になる。
また、前述したように、図11のフローチャートにおいて、どのギャップ距離でも取込範囲の調整処理が成功しなかった場合には、ずれ量X_def_Fに初期値(=123)が設定されている。
この時、例えば初期値が範囲外となる所与の範囲(−122〜+122)を、あらかじめ決めておき、制御部120が、ずれ量が所与の範囲外であると判定した場合に、記憶部150に記憶された基準位置に基づいて、取込範囲を調整してもよい。
これにより、例えば全てのギャップ距離で取込範囲の調整処理が失敗した場合であっても、取込範囲を決定すること等が可能になる。
次に、図11のフローチャートの処理が終了した後に行う光センサー80の感度補正処理と、残存状態判定処理における判定閾値の設定処理の流れについて、図12のフローチャートを用いて説明する。ここで、残存状態判定処理における判定閾値とは、インクカートリッジ内のインクの残存状態を判定するために用いる値である。判定閾値については、後にインクニアエンドの検出手法の説明を行う際に、具体的に説明する。
まず、制御部120は、現在のギャップ距離の設定PGがPGtyp(標準値)であるか否かを判定する(S20)。設定されているギャップ距離(PG)が標準値(PGtyp)であると判定した場合には、制御部120は、通常の感度補正処理を行う(S21)。この通常の感度補正処理では、各インクカートリッジに対して光センサー80から検出される最小電圧V_F_minが、例えば1.4〜1.8Vの範囲内に含まれるように、発光部82のデューティ比を調整する。ステップS21の処理が終わった場合には、全体の処理を終了する。
次に、ステップS20において、制御部120が、設定されているギャップ距離(PG)が標準値(PGtyp)ではないと判定した場合には、現在設定されている光センサー80の発光側のデューティ比(P_Duty)を読み込み、読み込んだデューティ比で光センサー80の発光部82を発光させる(S22)。なお、電源投入後に初めて行うステップS22の処理では、前回の電源投入時の最終動作時のデューティ比が読み込まれる。
そして、制御部120は、キャリッジ20を往路移動させて、その時に光センサー80により検出される電圧を取得する(S23)。さらに、制御部120は、取得した電圧の中で、最小となる電圧(V_F_min)を、インクカートリッジ毎に取得する(S24)。
その後に、制御部120は、各ギャップ距離での非残存状態における標準値との出力比ap2を取得する。非残存状態での出力比ap2は、ギャップ距離の設定PGがPGtypである場合に非残存状態になった時の反射強度に対する、現在のギャップ距離の設定PGで仮に非残存状態になった時の反射強度の比率である。そして制御部120は、ap2<1であるか否かを判定する(S25)。本例では、各ギャップ距離と上記の出力比ap2との関係が、図13に示す表のようになっている。つまり、本例では、ギャップ距離の設定PGが、PG+である場合には、ap2<1となるため、ステップS26の処理へと進み、PG++又はPG−である場合には、ap2>1となるため、ステップS29の処理へと進む。なお、ギャップ距離がPGtypの場合には、前述したステップS20において、必ずステップS21へ進むため、ステップS25では考慮する必要がない。
そして、ステップS26へと進む場合、つまり、現在のギャップ距離で仮に非残存状態になった時の反射強度が、PGtypにおける非残存状態での反射強度よりも小さくなる場合には、非残存状態時の検出電圧が、PGtypに比べて判定閾値Vth以下になりづらくなるため、残存状態判定処理において誤った判定をする可能性がPGtypより高くなる。
そのため、制御部120は、ギャップ距離の設定PGがPG+である場合には、光センサー80の発光部82のデューティ比の調整処理を行い、残存状態での最小電圧V_F_minを、適切な電圧に調整する。これにより、非残存状態の検出電圧が判定閾値Vth以下になりやすくなるため、残存状態判定処理において誤った判定をする可能性が低くなる。
そして、ステップS26においてデューティ比の調整処理を行った後には、制御部120は、ステップS23、S24と同様に、キャリッジ20を往路移動させて、その時に光センサー80により検出される電圧を取得し(S27)、取得した電圧の中で、最小となる電圧(V_F_min)を、インクカートリッジ毎に取得する(S28)。
そして、最後に制御部120は、V_F_minから残存状態判定処理における判定閾値Vthを算出して、算出した判定閾値Vthを設定して(S30)、処理を終了する。
また、前述したステップS25において、制御部120がap2>1であると判定した場合、つまり、現在のギャップ距離における非残存状態での反射強度が、PGtypにおける非残存状態での反射強度よりも大きくなる場合には、PGtypより判定閾値Vth以下になりやすくなるため、基本的には問題なく、残存状態判定処理を行うことができると考えられる。
ここで、P_Duty_ICは、インクカートリッジの記憶部に記憶される、PGtypで行われた感度補正が成功した時のデューティ比P_Dutyであり、感度補正が成功する毎に更新される。感度補正成功時には、P_Dutyが、装着されている全てのインクカートリッジのP_Duty_ICに書き込まれるため、全て同じ値になる。しかし、新しいインクカートリッジ、または、別のメカ(液体消費装置)で使用されていたインクカートリッジを使用しようとした場合の、最初の感度補正では、P_DutyとP_Duty_ICが異なる場合がある。
この場合には、デューティ調整(S26)を行う必要がある。そのため、制御部120は、P_Dutyと標準値(P_Duty_IC)との差が所与の閾値以上であるか否かを判定する(S29)。
そして、制御部120が、P_Dutyと標準値(P_Duty_IC)との差が所与の閾値以上であると判定した場合には、ステップS26に進み、前述したデューティ調整等の処理を行う。
一方で、制御部120が、P_Dutyと標準値(P_Duty_IC)との差が所与の閾値よりも小さいと判定した場合には、問題がないと判定して、ステップS30に進み、前述した処理を行い、処理を終了する。
5.変形例
前述した例では、取込範囲の調整処理が失敗した場合に、ギャップ距離を変更し、ギャップ距離の変更後に調整処理を行って、一度、調整処理が成功した場合には、処理を終了していた。つまり、残存状態判定処理に、より適したギャップ距離と取込範囲の組み合わせが存在する可能性が他にあったとしても、少なくとも所定の条件を満たすギャップ距離と取込範囲の組み合わせが見つかった場合には、その組み合わせに設定することにして、処理を終了していた。
これに対し、本変形例では、全ての(又は複数の)ギャップ距離において、取込範囲の調整処理を行った後に、全ての(又は複数の)調整処理の結果の中から、最適なギャップ距離と取込範囲の組み合わせを選択して、設定する。
つまり、制御部120は、ギャップ距離の変更処理を行いながら、各ギャップ距離で取込範囲の調整処理を行い、各ギャップ距離での調整処理の結果に基づいて、設定するギャップ距離を決定する。
具体的には、制御部120は、各ギャップ距離での調整処理の結果に基づいて、液体収容容器の液体からの反射強度と、プリズムの底面からの反射強度の差が最大となるギャップ距離を、設定するギャップ距離として選択する。
これにより、液体の残存状態判定処理において、液体が残存状態か否かを判定しやすいギャップ距離に設定すること等が可能になる。そして、そのギャップ距離で取込範囲の調整処理を行い、最適な取込範囲を特定すること等が可能になる。
以上のようにして、液体の残存状態判定処理に最も適したギャップ距離と取込範囲の組み合わせに設定することが可能となる。
6.インクニアエンドの検出手法
次に、インクニアエンドの検出手法について説明する。図15及び図16には、インクカートリッジICのプリズム320を通過するYZ平面の断面図を示す。また、図15、図16では、プリズム320と光センサー80の位置関係が、インクニアエンドを検出可能な位置関係(インクカートリッジのプリズムが光センサーと対向する位置関係)となったときの状態を示している。
図15に示すように、プリズム320の入射面EFには、プリズム320を形成するときに生じる変形を抑制するために、空洞部BPが設けられている。ホルダー21には開口が設けられており、インクカートリッジICがホルダー21に装着されたときに開口を通して入射面EFと光センサー80が対向するように構成されている。具体的にホルダー21の開口OP1は、インクカートリッジICのプリズム320が、光センサー80と対向する位置関係にある場合に、発光部82から照射される光EMLが、開口OP1を通って、プリズム320の斜面SF1に入射可能な位置に設けられている。一方、ホルダー21の開口OP2は、プリズム320の斜面SF2に反射された反射光RTLが、開口OP2を通って、受光部84に入射可能な位置に設けられている。つまり、ホルダー21において開口(OP1及びOP2)は、光センサー80における発光部82と受光部84の間隔と、同じ間隔で設けられている。また、プリズム320の斜面SF1、SF2は、図2に示すインク収容部300の内側を向いており、インク収容部300にインクIKが満たされている場合には斜面SF1、SF2はインクIKに接する。斜面SF1は例えば斜面SF2に直交する面であり、斜面SF1と斜面SF2は、図1のXZ平面に平行な平面に対して対称となるように配置される。
インクカートリッジICにインクIKが満たされている場合、発光部82からプリズム320に入射した光EMLは、ホルダー21の開口OP1を通り、斜面SF1からインクIK内に入射する(光FCL)。この場合、斜面SF1、SF2で反射される光RTLは非常に少なくなるため、受光部84はほとんど光を受光しない。例えば、インクの屈折率を水の屈折率とほぼ同様の1.5と仮定し、プリズム320をポリプロピレンにより構成する場合、斜面SF1、SF2における全反射の臨界角は約64度である。入射角は45度なので、斜面SF1、SF2では全反射されず、入射光EMLはインクIK内に入射する。
次に、図16に示すように、インクカートリッジIC内のインクIKが印刷のために消費され、インクカートリッジICにインクIKが満たされていない場合を考える。プリズム320の斜面SF1、SF2のうち、少なくとも発光部82からの光が照射される部分が、空気に接しているとする。この場合、発光部82からプリズム320に入射した光EMLは、斜面SF1、SF2で全反射され、入射面EFからプリズム320の外へ再び出射する(光RTL)。受光部84は、全反射した光RTLを受光するため、インクで満たされている場合の検出電圧とは異なる(基準電圧との差が大きい)検出電圧が得られる。例えば、空気の屈折率を1とし、プリズム320をポリプロピレンにより構成する場合、斜面SF1、SF2における全反射の臨界角は約43度である。入射角は45度なので、入射光EMLは斜面SF1、SF2で全反射される。
次に、図17に、1個のインクカートリッジICが光センサー80の上を通過した場合の検出電圧の特性例を示す。図17の横軸は、プリズム320と光センサー80の相対的な位置を表し、プリズム320の中心と光センサー80の中心が一致したときの位置(例えば図15に示すインクカートリッジICと光センサー80との位置関係)を“0”としている。なお、光センサー80の中心とは、主走査方向における発光部82の中心と受光部84の中心を結ぶ線分の中点である。また、図17の縦軸は、横軸の各位置において光センサー80から出力される検出電圧を表す。
そして、図17に示すように、受光部84の受光量がゼロに近いほど検出電圧が上限電圧Vmax(基準電圧)に近くなり、受光部84の受光量が多いほど検出電圧が下限電圧Vminに近くなる(基準電圧との差が大きくなる)。受光量が所定値を越えると、検出電圧が飽和して下限電圧Vminとなる。上限電圧Vmaxと下限電圧Vminは、例えば、図15に示した受光部84がコレクタ端子に出力する電圧範囲の上限電圧と下限電圧に対応する。
図17に示すように、検出電圧は、光センサー80とプリズム320との相対位置に応じて変化する。まず、SIKは、図15で説明したインクカートリッジICがインクIKで満たされている場合の検出電圧特性である。この場合、受光部84の受光量は小さいため、位置“0”において検出電圧はVmaxに近くなる。プリズム320の中心と光センサー80の中心との相対位置が、位置“0”から主走査方向(±Y方向)にずれた位置pk1、pk2では、プリズム入射面EFからの反射光によってピークSpk1、Spk2が生じる。
一方、SEPは、図16で説明したインクカートリッジICがインクIKで満たされていない場合の検出電圧特性である。この場合、受光部84の受光量は多いため、位置“0”において検出電圧はVminに達する(あるいは、近くなる)。このように、インクカートリッジICがインクIKで満たされているか否かによって検出電圧の特性が大きく異なっており、本実施形態では、この検出電圧の特性の違いを検出することにより、インクカートリッジのインクニアエンドを検出する。
具体的には、検出電圧特性SIKのピーク値Vpk1に基づいて、ピーク値Vpk1と下限電圧Vminとの間に判定閾値Vthを設定する。そして、インクカートリッジICが光センサー80の上を通る検出範囲となったときに、光センサー80の検出電圧が判定閾値Vthよりも小さい場合には、インクニアエンド(インクが非残存状態)であると判定し、検出電圧が判定閾値Vth以上である場合には、インクが残存状態であると判定する。
以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、液体消費装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
20 キャリッジ、21 ホルダー、22 ヘッド、30 ケーブル、40 モーター、
45 ローラー、50 移動部(キャリッジモーター)、55 キャリッジ駆動ベルト、
57 ガイドレール、60 ギャップ距離変更機構、70 変換部、80 光センサー、82 発光部、84 受光部、100 処理部、110 ギャップ距離変更部、
120 制御部、121 駆動制御部、122 検出制御部、123 位置特定部、
124 残存状態判定部、150 液体残量推定部、150 記憶部、
200 印刷装置(液体消費装置)、210 表示部、
220 I/F部(インターフェース部)、300 インク収容部、310 底面、
320 プリズム、330 インク供給口、340 レバー、350 回路基板、
352 記憶装置、354 端子

Claims (10)

  1. 発光部と受光部とを有し、液体収容容器に設けられたプリズムと対向可能な光センサーと、
    前記液体収容容器を着脱可能に保持するホルダーと、
    主走査方向に前記ホルダーを移動させる移動部と、
    前記主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、前記光センサーと前記ホルダーとの距離を表すギャップ距離の変更処理を行うギャップ距離変更部と、
    前記光センサーと前記プリズムとが対向する位置関係となる取込範囲における、前記受光部の受光量に対応する検出信号に基づく前記液体収容容器内の液体の残存状態判定処理と、前記取込範囲の調整処理と、を行う制御部と、
    を含み、
    前記ギャップ距離変更部は、
    前記取込範囲の前記調整処理が失敗した場合に、前記ギャップ距離の前記変更処理を行い、
    前記制御部は、
    前記変更処理後の前記ギャップ距離で、前記取込範囲の前記調整処理を行うことを特徴とする液体消費装置。
  2. 請求項1において、
    前記制御部は、
    前記液体消費装置の電源投入時に、前記ギャップ距離の前記変更処理を行いながら、各ギャップ距離で前記取込範囲の前記調整処理を行うことを特徴とする液体消費装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記取込範囲の前記調整処理が成功した際のギャップ距離を記憶する記憶部を含む液体消費装置。
  4. 請求項3において、
    前記記憶部は、
    不揮発性メモリーであり、
    前記制御部は、
    前記液体消費装置の電源投入時に、前記取込範囲の前記調整処理を行い、前記調整処理が成功した際の前記ギャップ距離を前記記憶部に記憶させ、
    次の電源投入時に、記憶された前記ギャップ距離で前記取込範囲の前記調整処理を行うことを特徴とする液体消費装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記光センサーに対する前記ホルダーの位置を調整するための調整値を記憶する記憶部を含み、
    前記制御部は、
    前記取込範囲の前記調整処理において、前記調整処理の成功時の調整値を求め、前記成功時の調整値を前記記憶部に記憶させることを特徴とする液体消費装置。
  6. 請求項5において、
    前記記憶部は、
    前記光センサーの中心位置と前記プリズムの中心位置とが一致するときの前記ホルダーの位置を、基準位置として記憶し、
    前記制御部は、
    前記調整値として、前記取込範囲の前記調整処理が成功した際の前記ホルダーの位置と前記基準位置とのずれ量を求めることを特徴とする液体消費装置。
  7. 請求項6において、
    前記制御部は、
    前記ずれ量が所与の範囲外であると判定した場合に、前記記憶部に記憶された前記基準位置に基づいて、前記取込範囲を調整することを特徴とする液体消費装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記制御部は、
    前記取込範囲の前記調整処理において、前記検出信号に基づいて、前記プリズムの底面からの反射のピークが所与の強度範囲内であると判定した場合に、前記調整処理が成功したと判定することを特徴とする液体消費装置。
  9. 発光部と受光部とを有し、液体収容容器に設けられたプリズムと対向可能な光センサーと、
    前記液体収容容器を着脱可能に保持するホルダーと、
    主走査方向に前記ホルダーを移動させる移動部と、
    前記主走査方向及び副走査方向と垂直な方向における、前記光センサーと前記ホルダーとの距離を表すギャップ距離の変更処理を行うギャップ距離変更部と、
    前記光センサーと前記プリズムとが対向する位置関係となる取込範囲における、前記受光部の受光量に対応する検出信号に基づく前記液体収容容器内の液体の残存状態判定処理と、前記取込範囲の調整処理と、を行う制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記ギャップ距離の前記変更処理を行いながら、各ギャップ距離で前記取込範囲の前記調整処理を行い、前記各ギャップ距離での前記調整処理の結果に基づいて、設定する前記ギャップ距離を決定することを特徴とする液体消費装置。
  10. 請求項9において、
    前記制御部は、
    前記各ギャップ距離での前記調整処理の結果に基づいて、前記液体収容容器の前記液体からの反射強度と、前記プリズムの底面からの反射強度の差が最大となる前記ギャップ距離を、設定する前記ギャップ距離として選択することを特徴とする液体消費装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2021030487A (ja) * 2019-08-20 2021-03-01 セイコーエプソン株式会社 印刷装置
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CN115122759A (zh) * 2021-03-25 2022-09-30 理想科学工业株式会社 图像形成装置、耗材以及位置调整方法
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