JP6289202B2 - 乳化型医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、乳化状態の経時的安定性に優れた乳化型医薬組成物に関する。さらに好ましくは、本発明は、乳化安定性に加えて、粘度安定性に優れた乳化型医薬組成物に関する。
従来、通常では互いに交じり合わない水と油(脂)を安定に混合するために乳化技術が汎用され、安定な乳化組成物を得るために、水と油の界面張力を低下させる乳化剤などが使用されている。例えば、水中に油性成分を分散した水中油型乳化組成物は、乳化剤の作用によって水と油性成分を安定的に混合させたもので、高付加価値を有する製剤として医薬品、化粧品など、幅広く展開されている。
例えば、肩こりや筋肉疲労などの痛みや炎症を抑えるために皮膚に塗布して使用される外用剤は、比較的粘度の高い軟膏やゲルなどの形状のものよりも、エマルジョン形態を有する乳化製剤のほうが皮膚に馴染みやすく、また皮膚に対するすべりもよく、塗り込み易いという長所がある。
しかし、外用消炎鎮痛剤の成分として汎用されるサリチル酸エステル(鎮痛成分)やl−メントール等のテルペンは極性の高い成分であるため、これを乳化製剤に配合すると、乳化製剤のエマルジョン形態が破壊され、乳化状態が経時的に不安定になるという問題がある。また同様に外用消炎鎮痛剤の成分として使用されるクロルフェニラミンマレイン酸塩等の塩形態の抗ヒスタミン薬も、増粘剤の架橋構造を破壊する作用が強いため、上記サリチル酸エステルやテルペンと同じく乳化を不安定にするという問題がある。このため、サリチル酸エステル、テルペン、及び塩形態の抗ヒスタミン薬を含む乳化製剤について、乳化状態を長期にわたり安定に維持することは難しく、これを克服するための技術が望まれている。
特許文献1には、サリチル酸エステル等の難溶性薬物を含有するマイクロエマルジョン製剤に関し、当該難溶性薬物に加えて、I.O.Bが0.22〜0.85の油分(極性油)、I.O.Bが0〜0.20の油分(無極性油)、親水性界面活性剤および水を含有するマイクロエマルジョン製剤が、安定性及び経皮吸収性に優れることが記載されている。しかし、当該文献1に記載されている極性油と無極性油の割合では、さらに他成分として塩形態の薬効成分と増粘剤を配合した場合に、所望の乳化安定性を得ることができない(後述する実施例参照)。
また特許文献2には、水、油性成分、親水性界面活性剤及びテルペンを特定の割合で配合することで、熱安定性及び使用感の良好な乳化組成物が調製できること、また当該乳化組成物には、さらにサリチル酸エステルや塩形態を有する薬効成分を配合することができることが記載されている。しかし、該当文献2に記載されている成分では低温安定性が悪く、低温保管時に粘度が大幅に上昇してしまう問題があった。(後述の実施例参照)
特開昭63−10717号公報 特開2012−77027号公報
本発明の目的は、サリチル酸エステル及びテルペンの少なくとも1種、並びに塩形態の抗ヒスタミン薬を含む乳化形態の医薬組成物(乳化製剤)における上記の問題を解決すること、すなわち、乳化状態の経時的安定性に優れた乳化型医薬組成物を提供することである。また本発明の他の目的は、乳化組成物の経時的粘度の上昇を抑制することで良好な粘度安定性を有する乳化型医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、サリチル酸エステル及びテルペンの少なくとも1種、並びに塩形態の抗ヒスタミン薬を含有する乳化製剤の調製に際して、これらの成分に、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びHLB10〜13の界面活性剤を組み合わせることで、上記成分の配合にも関わらず、乳化状態が安定に維持できることを見出した。また、本発明者らは、上記検討の過程で、サリチル酸エステル及びテルペンの少なくとも1種、塩形態の抗ヒスタミン薬、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びHLB10〜13の界面活性剤を配合した乳化製剤は、特に低温条件下で経時的に増粘し、粘度が一定しないという問題があることを知見し、これを解消するための方法を検討していたところ、さらにこれに増粘剤を配合することで、上記経時的粘度上昇が抑制でき、サリチル酸エステル及びテルペンの少なくとも1種、並びに塩形態の抗ヒスタミン薬を含む乳化製剤の経時的安定性を一層高めることができることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有する。
(I)乳化型医薬組成物
(I-1)下記成分を含むことを特徴とする乳化型医薬組成物:
(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種
(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、
(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
(e)ソルビタン脂肪酸エステル、
(f)HLB10〜13の界面活性剤。
(g)増粘剤、
(I-2)上記(d)がHLB17以上のポリエチレングリコール脂肪酸エステルであるか、及び/又は、上記(e)がHLB3〜5のソルビタン脂肪酸エステルである、(I-1)記載の乳化型医薬組成物。
(I-3)上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくとも1種である、(I-1)又は(I-2)記載の乳化型医薬組成物。
(I-4)上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である(I-1)又は(I-2)記載の乳化型医薬組成物。
(I-5)消炎鎮痛外用組成物である(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する乳化型医薬組成物。
(II)乳化安定化方法
(II-1)(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、並びに(c)塩形態の抗ヒスタミン薬を含有する乳化型医薬組成物の乳化安定化方法であって、上記(a)〜(c)成分に、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、(f)HLB10〜13の界面活性剤、及び(g)増粘剤を併用することを特徴とする乳化安定化方法。
(II-2)上記(d)がHLB17以上のポリエチレングリコール脂肪酸エステルであるか、及び/又は、上記(e)がHLB3〜5のソルビタン脂肪酸エステルである、(II-1)記載の乳化安定化方法。
(II-3)上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくとも1種である、(II-1)又は(II-2)記載の乳化安定化方法。
(II-4)上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である(II-1)又は(II-2)記載の乳化安定化方法。
(III)粘度上昇抑制方法
(III-1)(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、及び(f)HLB10〜13の界面活性剤を含有する乳化組成物の粘度上昇抑制方法であって、上記(a)〜(f)成分に、さらに(g)増粘剤を併用することを特徴とする方法。
(III-2)上記(d)がHLB17以上のポリエチレングリコール脂肪酸エステルであるか、及び/又は、上記(e)がHLB3〜5のソルビタン脂肪酸エステルである、(III-1)記載の粘度上昇抑制方法。
(III-3)上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくとも1種である、(III-1)又は(III-2)記載の粘度上昇抑制方法。
(III-4)上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である(III-1)又は(III-2)記載の粘度上昇抑制方法。
本発明の乳化型医薬組成物は、(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、及び(f)HLB10〜13の界面活性剤を含有することを特徴とし、当該組成を備えることにより、成分(a)及び(b)の少なくとも1種、並びに成分(c)を含みながらも、その乳化状態を経時的に安定して維持することができる。また、本発明の乳化型医薬組成物は、成分(a)〜(f)とともに、(g)増粘剤を含有することを特徴とし、当該組成を備えることにより、増粘剤を配合しない場合に生じる経時的増粘化(低温度条件下での粘度上昇)を有意に抑制することができ、粘度安定性が良好な乳化組成物を提供することができる。
(I)乳化型医薬組成物
本発明の乳化型医薬組成物は、乳化形態を有し、少なくとも(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、(f)HLB10〜13の界面活性剤及び(g)増粘剤を含有する。以下、各成分について説明する。
(a)サリチル酸エステル
サリチル酸エステルとは、サリチル酸とアルコールとが脱水縮合してなるエステルである。かかるサリチル酸エステルとしては、制限されないものの、例えば、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリシン、サリチル酸−n−プロピル、サリチル酸イソプロピル、サリチル酸−n−ブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸−tert−オクチル、サリチル酸ノニル、サリチル酸ドデシル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸−α−メチルベンジル、サリチル酸フェニル等を挙げることができる。これらのうち、好ましくはサリチル酸グリコール、及びサリチル酸メチルであり、より好ましくはサリチル酸グリコールである。なお、これらのサリチル酸エステルは、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明の乳化型医薬組成物における当該サリチル酸エステルの配合割合は、通常0.5〜15重量%の範囲から適宜設定することができる。制限はされないものの、好ましくは1〜12重量%であり、より好ましくは1〜5重量%である。
(b)テルペン
テルペンには、モノテルペン、ヘミテルペン、セスキテルペンなどが含まれる。具体的には、テルペン系炭化水素、テルペン系アルコール、テルペン系アルデヒド、テルペン系ケトンなどを挙げることができる。テルペン系炭化水素としては、リモネン、ピネン、カンフルなどのモノテルペン系炭化水素;及びリシチンなどのセスキテルペン系炭化水素が挙げられる。テルペン系アルコールとしては、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、メントール、テルピネオール、及びボルネオールなどのモノテルペン系アルコール;ファルネソールなどのセスキテルペン系アルコール;及びジテルペン系アルコールなどが挙げられる。テルペン系アルデヒドとしては、シトロネラール、シトラール、及びサフラナールなどのモノテルペン系アルデヒド;及びレチナールなどのジテルペン系アルデヒドなどが挙げられる。テルペン系ケトンとしては、メントン、カルボメントン、及びヨノンなどのモノテルペン系ケトンなどが挙げられる。これらのテルペンは、d−,l−,dl−体のいずれであってもよい。本発明において用いられるテルペンとして好ましくはモノテルペンであり、より好ましくはモノテルペン系炭化水素、及びモノテルペン系アルコールである。さらに好ましくは環式モノテルペンであり、かかる環式モノテルペンとして、具体的にはl−メントール及びdl−カンフルを挙げることができる。なお、これらのテルペンは、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明の乳化型医薬組成物における当該テルペンの配合割合は、前述するサリチル酸エステルの配合量を考慮しながら適宜設定されるが、サリチル酸エステルとの総量が20重量%以内、好ましくは18重量%以内、より好ましくは15重量%以内になるような範囲で、通常1〜20重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは1〜18重量%であり、より好ましくは1〜15重量%である。
(c)塩形態の抗ヒスタミン薬
本発明が対象とする塩形態の抗ヒスタミン薬は、抗ヒスタミン作用を有する塩形態の化合物である。ここで塩の形態としては、塩酸、硫酸及び硝酸などの無機酸との塩;ならびにギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、マレイン酸、パモ酸、フマル酸、ベジル酸、タンニン酸、及びラウリル硫酸などの有機酸との塩の形態を挙げることができる。
塩の形態を有する抗ヒスタミン薬としては、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸プロメタジン、メチレンジサリチル酸プロメタジン、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸アゼラスチン、パモ酸オキサトミド、フマル酸ケトチフェン、フマル酸エメダスチン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸エピナスチン、塩酸オロパタジン、塩酸セチリジン、ベシル酸ベポタスチン、及び塩酸レボセチリジンなどが知られている。好ましくは、外用組成物に配合して使用される抗ヒスタミン薬であり、具体的には、塩酸ジフェンヒドラミン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン、及びタンニン酸ジフェンヒドラミン等のジフェンヒドラミンの無機酸塩又は有機酸塩;ならびにマレイン酸クロルフェニラミン等のクロルフェニラミンの無機酸塩又は有機酸塩を挙げることができる。なお、これらの塩の形態を有する抗ヒスタミン薬は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明の乳化型医薬組成物における当該塩形態の抗ヒスタミン薬の配合割合は、通常0.1〜5重量%の範囲から適宜設定することができる。制限はされないものの、好ましくは0.1〜3重量%であり、より好ましくは0.1〜2重量%である。
(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、脂肪酸とポリエチレングリコールをエステル化したものである。言い換えれば脂肪酸に由来する親油基にポリエチレングリコールに由来する酸化エチレン(親水基)が複数モル付加してなるものである。
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(以下、単に「PEG脂肪酸エステル」とも称する)を構成する脂肪酸としては、制限はされないものの、好ましくは炭素数12〜18の飽和または不飽和脂肪酸を挙げることができる。炭素数12〜18の飽和脂肪酸としては、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、マルガリン酸(17:0)、及びステアリン酸(18:0)が挙げられる。また炭素数12〜18の不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1(9))、及びバクセン酸(18:1(11))等の二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸;リノール酸(18:2(9,12))等の二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸;並びに(9,12,15)−リノレン酸(18:3)、(6,9,12)−リノレン酸(18:3)、及びエレオステアリン酸(18:3(9,11,13))等の二重結合を3つ有する不飽和脂肪酸が挙げられる。好ましくは飽和脂肪酸であり、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸を挙げることができる。より好ましくはパルミチン酸及びステアリン酸等の炭素数16〜18の飽和脂肪酸である。なお、PEG脂肪酸エステルは、1分子あたり1分子の脂肪酸を有するモノ脂肪酸エステルであってもよいし、また1分子あたり2分子の脂肪酸を有するジ脂肪酸エステルであってもよい。好ましくはモノ脂肪酸エステルである。
なお、上記のPEG脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いるPEG脂肪酸エステルはHLBが17以上であることが好ましい。HLB17以上であれば、その上限を特に制限するものではないが、その上限として20を挙げることができる。なお、HLBとは親水親油バランス(hydrophile-lipophile balance)の略称であり、界面活性剤が果たす効果を表す指標の一つであり、HLB値が大きいほど親水性が高いことを示す。本発明においてHLBは、Daviesの式であるHLB=7+Σ(親水基の基数)−Σ(親油基の基数)によって算出した値をいう(以下、同じ。)。また、2種以上の界面活性剤を含有する場合は加重平均値をいう。
またPEG脂肪酸エステルにおける酸化エチレン(PEG)の付加モル数は、上記限りにおいて特に制限されないものの、通常5〜250モルの範囲から選択することができる。好ましくは10〜200モルであり、より好ましくは10〜150モルである。
本発明で用いる好適なPEG脂肪酸エステルとしては、HLBが17以上であって、酸化エチレン(PEG)の付加モル数が40〜100であるPEGモノステアリン酸である。
本発明の乳化型医薬組成物における当該PEG脂肪酸エステルの配合割合は、通常0.1〜10重量%の範囲から適宜設定することができる。制限はされないものの、好ましくは0.3〜7.5重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。
(e)ソルビタン脂肪酸エステル
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンの4つの水酸基の少なくとも1つに脂肪酸がエステル結合したものである。
ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、制限はされないものの、好ましくは炭素数16〜18の飽和または不飽和脂肪酸を挙げることができる。炭素数16〜18の飽和脂肪酸としては、パルミチン酸(16:0)、マルガリン酸(17:0)、及びステアリン酸(18:0)が挙げられる。また炭素数16〜18の不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1(9))、及びバクセン酸(18:1(11))等の二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸;リノール酸(18:2(9,12))等の二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸;並びに(9,12,15)−リノレン酸(18:3)、(6,9,12)−リノレン酸(18:3)、及びエレオステアリン酸(18:3(9,11,13))等の二重結合を3つ有する不飽和脂肪酸が挙げられる。好ましくは飽和脂肪酸であり、具体的にはパルミチン酸、及びステアリン酸を挙げることができる。
なお、ソルビタン脂肪酸エステルは、1分子あたり1分子の脂肪酸を有するモノ脂肪酸エステルであっても、また1分子あたり2〜4分子の脂肪酸を有するジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、及びテトラ脂肪酸エステルであってもよい。好ましくはモノ脂肪酸エステルである。本発明においてソルビタン脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いるソルビタン脂肪酸エステルはHLBが3〜5であることが好ましい。より好ましくはHLB4〜5である。
本発明で用いる好適なソルビタン脂肪酸エステルとしては、HLBが3〜5であるソルビタンモノステアリン酸エステル(=モノステアリン酸ソルビタン)である。
本発明の乳化型医薬組成物における当該ソルビタン脂肪酸エステルの配合割合は、通常0.1〜10重量%の範囲から適宜設定することができる。制限はされないものの、好ましくは0.3〜7.5重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。
(f)HLB10〜13の界面活性剤
本発明の乳化型医薬組成物において、界面活性剤としてHLB10〜13の親水性の界面活性剤を好適に使用することができる。
親水性界面活性剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などで通常使用されるものであれば特に限定されないが、熱安定性及び流動性の観点から、ノニオン性の親水性界面活性剤が好ましい。ノニオン性の親水性界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルやポリオキシエチレン(以下、POE)付加タイプの界面活性剤が挙げられ、なかでもPOE付加タイプの界面活性剤が好適であり、例えば、POE(10〜50モル)フィトステロールエーテル、POE(10〜50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10〜50モル)2−オクチルドデシルエーテル、POE(10〜50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)オレイルエーテル、POE(10〜50モル)セチルエーテル、POE(10〜50モル)ラウリルエーテル、POE(10〜50モル)ステアリルエーテル、POE(10〜50モル)ベヘニルエーテル、POE(10〜50モル)アルキル(12〜14)エーテル、POE(5〜30モル)ポリオキシプロピレン(5〜30モル)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)ポリオキシプロピレン(2〜30モル)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど);POE(20〜100)硬化ヒマシ油;POE(20〜60モル)ソルビタンモノオレート、POE(10〜60モル)ソルビタンモノイソステアレート、POE(10〜80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20〜100)POE・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーンなどが挙げられる。これらの親水性界面活性剤は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、より好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
本発明においてHLB10〜13の親水性界面活性剤は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明の乳化組成物におけるHLB10〜13の親水性界面活性剤の配合割合は、通常0.1〜10重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.3〜7.5重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。
(g)増粘剤
本発明において増粘剤としては、カラギーナンガム、グアーガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、カラヤガム、タマリンドガム、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド、デンプン(コメ、コムギ、トウモロコシ)、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン;カルボキシメチルデンプンやメチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、及び無水ケイ酸等を挙げることができる。
これらの増粘剤は天然由来であっても、合成由来であってもよく、特にその起源を制限するものではない。また1種単独であっても、また2種以上を任意に組み合わせた混合物であってもよい。好ましくは、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、アルギン酸、及びこれらの塩である。なお、ここで塩としては、特に制限されないものの、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属塩を挙げることができる。好ましくはナトリウム等のアルカリ金属塩である。
本発明の効果(乳化安定性、及び粘度安定性)、特に粘度安定性をより効果的に奏するためには増粘剤は2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。制限されないものの、かかる組み合わせには、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、アルギン酸、及びこれらの塩からなる群から選択される増粘剤の少なくとも1つを用いることが好ましい。より好ましくは、これらの群に属する増粘剤を2種以上組み合わせてなる態様である。具体的には、キサンタンガムとそれ以外の1又は2以上の増粘剤(カルボキシビニルポリマー、CMC、アルギン酸、及びこれらの塩)との組み合わせを挙げることができる。
本発明の乳化型医薬組成物における当該増粘剤の配合割合(2種以上を併用する場合は総量)は、通常0.1〜10重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.1〜3重量%である。
(h)乳化型医薬組成物に配合するその他の成分
本発明の乳化型医薬組成物は、上記成分に加えて、さらに乳化に必要な成分を含む。かかる成分として、水を挙げることができる。
水は特に制限されない。例えば、精製水、蒸留水、イオン水、滅菌水、生理食塩水、及び海洋深層水などを、制限なく使用することができる。好ましくは精製水である。本発明の乳化型医薬組成物における当該水の配合割合は、通常20〜90重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは30〜80重量%であり、より好ましくは40〜80重量%である。
(i)任意成分
本発明の乳化型医薬組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その形態等に応じて、他の成分を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して配合できる。例えば、医薬製剤の調製に一般的に使用される安定化剤、防腐剤、緩衝剤、pH調整剤等の各種添加剤を挙げることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
(i-1)油性成分としては、高級アルコールが挙げられる。高級アルコールとしては、炭素数6以上、より好ましくは炭素数6〜30の脂肪族アルコールが挙げられる。当該油性成分は、常温(25℃)で固形のものが好ましい。具体的には、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。
(i-2)pH調整剤の一例として、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の無機酸;乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸等の有機酸;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン等の有機塩等を挙げることができる。
(i-3)防腐剤の一例として、ブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、フェノール及びベンジルアルコール等を挙げることができる。
(i-4)安定化剤の一例として、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及び乾燥亜硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
(i-5)緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩等を挙げることができる。
(i-6)その他の成分として、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、乳糖、ハードファット、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン等を挙げることができる。
(i-7)さらに、本発明の乳化型医薬組成物には、本発明の作用効果、好ましくは消炎鎮痛という効果を損なわない範囲で、下記の薬効成分を配合することもできる。例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸モノアンモニウム、アラントイン、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等、ビタミンE)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)などが挙げられる。
(j)乳化組成物の調製方法及び使用方法
本発明の乳化型医薬組成物は、上記(a)〜(h)成分、さらに必要に応じて、(i)に記載するいずれか少なくとも1種の成分を混合し、75〜85℃程度の温度になるように加熱した後、ホモジナイザーやホモミキサーや攪拌機などの混合機を用いて所定条件で乳化するなど、周知の方法で乳化することで調製することができる。
ここで、本発明の乳化型医薬組成物は、その粘度を特に制限するものではないが、通常1000〜150000cp、好ましくは1500〜130000cp、より好ましくは2000〜100000cpとなるように調整される。なお、粘度は、粘度計「型式:LVDV−II+(BROOK FIELD社製、スピンドルE型)」を使用して下記方法による測定値である。
(方法)
試料(乳化組成物)35gをマルエムスクリュー管(No.7もしくはNo.8)のサンプル容器に入れ、室温下(25℃付近)において3rpmで測定し、最大値と最小値の中間値を測定値として採用する。
本発明の乳化型医薬組成物は、液状〜半固形状の水中油型乳化組成物であって、皮膚外用剤として用時に好適に使用することができる。当該皮膚外用剤の形態として、具体的には液状〜半固形状の乳液、及びクリームを例示することができる。このように、本発明の乳化型医薬組成物は液状〜半固形状態を有するため、使用時に手にとりやすく、展延性が良好であり、ベタツキが少なく、肌になじみやすく、使用感も優れている。
本発明の乳化型医薬組成物は、サリチル酸エステル(例えば、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニル、またはサリシン)を有効成分として含むので、特に鎮痛剤として好適に使用できる。具体的には、消炎鎮痛剤、具体的には消炎鎮痛外用組成物として、神経痛、関節痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、骨折痛、打撲痛、ねんざ痛、外傷痛、頭痛、又は手術後の疼痛等に対して適用することで、これを改善することが可能となる。好ましくは加齢、不良姿勢、長時間労働等によって生じる神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、関節痛であり、より好ましくは腰痛、筋肉痛、肩こり痛、関節痛である。また、鎮痛に加えて、並行して抗炎症(消炎)及び/又は疲労感、疲労の改善を目的として使用することもできる。かかる消炎鎮痛外用組成物は、通常、1日1回〜複数回、適時、患部及びその周辺の皮膚に塗布して使用される。なおこの場合、消炎鎮痛外用組成物の一回塗布量中に含まれるサリチル酸エステルの量としては、制限されないものの、15〜200mg/ml程度を例示することができる。
(II)乳化安定化方法
本発明は、(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、及び(c)塩形態の抗ヒスタミン薬を含有する乳化型医薬組成物の乳化安定化方法を提供する。当該方法は、当該乳化型医薬組成物の調製に際して、上記成分に加えて、さらに(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、(f)HLB10〜13の界面活性剤、及び(g)増粘剤を配合することで実施することができる。
本発明の方法で使用する(a)サリチル酸エステル、(b)テルペン、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、(f)HLB10〜13の界面活性剤、及び(g)増粘剤の種類、並びにその配合割合は、上記(I)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)の記載を援用することができる。
本発明の乳化型医薬組成物の乳化安定化方法において、対象とする乳化型医薬組成物の調製方法も上記(I)の(j)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(j)の記載を援用することができる。また、乳化型医薬組成物の調製に際しては、上記(a)〜(g)成分、及び乳化に必要な(i)水が使用される。水の種類及びその使用量についても上記(I)の(i)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(i)の記載を援用することができる。
乳化安定化させる対象の乳化型組成物には、本発明の効果を妨げない限り、上記(a)〜(g)及び(i)の他、任意成分として、医薬製剤の調製に一般的に使用される緩衝剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤等の各種添加剤を配合してもよい。かかる各成分の具体例については、上記(I)の(h)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(h)の記載を援用することができる。
本発明の乳化安定化方法によれば、後述する実験例に示すように、乳化組成物の乳化状態(エマルジョン)を長期にわたって安定に維持することが可能になる。
(III)粘度上昇抑制方法
本発明は、(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、及び(f)HLB10〜13の界面活性剤を含有する乳化組成物の粘度上昇抑制方法を提供する。当該方法は、当該乳化組成物の調製に際して、上記成分に加えて、さらに増粘剤を配合することで実施することができる。
本発明の方法で使用する(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、及び(f)HLB10〜13の界面活性剤、及び(g)増粘剤の種類、並びにその配合割合は、上記(I)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(a)〜(g)の記載を援用することができる。
本発明の乳化組成物の粘度上昇抑制方法において、対象とする乳化組成物の調製方法も上記(I)の(j)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(j)の記載を援用することができる。また、乳化組成物の調製に際しては、上記(a)〜(g)成分に加えて、さらに乳化に必要な水が使用される。水の種類及びその使用量についても上記(I)の(i)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(i)の記載を援用することができる。
粘度安定化させる対象の乳化組成物には、本発明の効果を妨げない限り、上記(a)〜(g)及び(i)の他、任意成分として、医薬製剤の調製に一般的に使用される安定化剤、防腐剤、緩衝剤、pH調整剤等の各種添加剤を配合してもよい。かかる各成分の具体例については、上記(I)の(h)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(h)の記載を援用することができる。
本発明の粘度上昇抑制方法によれば、後述する実験例に示すように、乳化組成物の粘度の経時的な不安定性(特に低温条件下での粘度上昇)を抑制し、粘度を安定させることが可能になる。
以下、実験例及び実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実験例 乳化安定性評価、及び粘度変化評価
(1)乳化型医薬組成物(実施例1〜11及び比較例1〜7)の調製
表1に記載する処方に従って、水中油型乳化組成物を調製した。具体的には、表1に記載する各配合成分のうち、油性成分(表1中、a、b、d、e、f成分等)、及び水性成分(表1中、c、g、i成分等)をそれぞれ秤量し、約80℃にて加熱溶解し、油相及び水相を調製した。同温度にて、撹拌しながら、上記で調製した油相に水相を徐々に加え、その後、40℃以下に冷却して、水中油型の乳化型医薬組成物を調製した。なお表中の%は重量%を示す。
(2)乳化型医薬組成物の乳化安定性評価
上記で調製した乳化型医薬組成物を25℃条件で1日以上静置した後、50℃の恒温槽内で保存し、外観観察により、乳化型医薬組成物の性状が変化(水相と油相との分離[断層]の発生)するまでの日数を測定し、下記の基準に従って評価した。
[評価基準]
◎:8日間以上、分離が認められない。
○:7日間までは分離が認められないか、又はわずかに離水しているが全体に乳化状態が安定している。
×:7日より前に分離が発生(上部又は下部に油相若しくは水相が発現し、断層が生じている)。
(3)乳化組成物の粘度変化評価
上記で調製した乳化型医薬組成物を25℃条件で1日以上静置した後、室温(25℃)条件下で粘度を測定した後(初期粘度)、サイクル式恒温槽内で5℃〜−20℃/12時間のサイクルで保存した。10サイクル経過後、再度、室温(25℃)条件下で粘度を測定し、下記の基準で、乳化型医薬組成物の粘度変化を評価した。
[評価基準]
◎:粘度変化がないかまたはあっても小さい(初期値〜2倍未満)
○:粘度変化がややある(初期値の2倍〜3倍未満)
×:粘度変化が大きい(初期値の3倍以上)。
なお、粘度は下記の条件で測定した。
[粘度測定条件]
粘度計『型式:LVDV−II+(BROOK FIELD社製、スピンドルT型)を用いて、試料80gをマルエムスクリュー管(No.8)のサンプル容器にいれ、室温(25℃)にて3rpmで測定し、最大値と最小値の中間値を測定値とする。
(4)評価結果
結果を表1及び2に併せて示す。なお、表中の空欄は成分を添加していない(0%)ことを示す。
Figure 0006289202
Figure 0006289202
表1に示す実施例と表2に示す比較例との対比からわかるように、(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、(f)HLB10〜13の界面活性剤、及び(g)増粘剤を組み合わせて配合することで、乳化安定性が長期にわたり維持できることが判明した。また、成分(f)としてPOE硬化ヒマシ油を用いることで、より一層乳化安定性が向上することが判明した(実施例1〜9)。
また、(a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種、(c)塩形態の抗ヒスタミン薬、(d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(e)ソルビタン脂肪酸エステル、及び(f)HLB10〜13の界面活性剤を含有する乳化組成物は、経時的に粘度が上昇する傾向が認められるのに対して(比較例2及び4〜7)、これに増粘剤を併用することで当該粘度の上昇が抑制できることが判明した(実施例1〜11)。また当該粘度上昇抑制効果は、増粘剤を、1種類よりも2種以上併用することで、より一層高い効果が得られることが判明した(実施例1〜6)。

Claims (5)

  1. 下記成分を含むことを特徴とする乳化型医薬組成物:
    (a)サリチル酸エステル及び(b)テルペンからなる群から選択される少なくとも1種
    (c)塩形態の抗ヒスタミン薬、
    (d)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
    (e)ソルビタン脂肪酸エステル、及び
    (f)HLB10〜13の界面活性剤、
    (g)増粘剤。
  2. 上記(d)がHLB17以上のポリエチレングリコール脂肪酸エステルであるか、及び/又は、上記(e)がHLB3〜5のソルビタン脂肪酸エステルである、請求項1記載の乳化型医薬組成物。
  3. 上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくとも1種である、請求項1又は2記載の乳化型医薬組成物。
  4. 上記の成分(f)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である請求項1又は2記載の乳化型医薬組成物。
  5. 消炎鎮痛外用組成物である請求項1乃至4のいずれかに記載する乳化型医薬組成物。
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