JP6287908B2 - 多条ねじ継手、該多条ねじ継手を有する継手付き鋼管 - Google Patents
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Description
このような場合、短尺の鋼管杭を施工現場において杭の打設途中で接合することが必要となり、この接合には接合対象となる鋼管杭のそれぞれの端部に取り付けられる多条ねじ継手が用いられることが多い。
この鋼管杭の接合継手は、「鋼管杭端にそれぞれ設けられ、雄ねじを有する雄ねじ継手部と雌ねじを有する雌ねじ継手部とからなり、ねじは平行ねじの3条以上の多条ねじとし、雄ねじ継手部の先端に前記雌ねじ内径に遊嵌する外径を有する円筒部を設けたことを特徴とする」ものである(特許文献1の請求項1参照)。
そして、上記多条ねじ継手においては、多条ねじを用いていることから、ねじの噛み合い始めが多数位置で起こり、上記の円筒部の位置決め作用と相俟って上下杭の軸芯を容易に一致させることができるとしている(特許文献1の段落[0010]参照)。
つまり、現場での管理の容易性のため、事前に嵌合させた際に嵌合位置の合いマークを施し、現場ではその合いマークが一致するか、あるいはその合いマーク以上に回転させることにより、嵌合完了を確認することが一般的に行われている。
雄ねじ継手部又はこれに螺合する雌ねじ継手部のいずれか一方に、他方との嵌合完了の位置と挿入時の位置の両方の位置合わせに用いる共通合いマークを付し、該共通合いマークを付したものと嵌合する他方の継手部に前記共通合いマークと嵌合完了時に位置が一致する嵌合確認用合いマークと、挿入位置合わせに用いる挿入位置確認用合いマークを付したことを特徴とするものである。
各継手付き鋼管が請求項3に記載の継手付き鋼管であり、かつ、
前記雌ねじ継手部に共通合いマークを付して前記雄ねじ継手部に嵌合確認用合いマーク及び挿入位置確認用合いマークを付した場合及び、前記雌ねじ継手部に嵌合確認用合いマーク及び挿入位置確認用合いマークを付して前記雄ねじ継手部に共通合いマークを付した場合のいずれの場合においても、各継手付き鋼管における前記共通合いマークと前記嵌合確認用合いマークとの鋼管周方向におけるずれ角度をθ1、θ2・・・θnとしたときに、θ1〜θnの総和が45度以下になるように設定したことを特徴とするものである。
また、共通合いマークを採用したことにより、マーキングの手間を最小限にすることができると共に、どの合いマークとどの合いマークとを合わせるかという点についての混乱を少なくでき、この点でも施工性に優れる。
本実施の形態においては、地中に打設する構造体として、鋼管杭を例に挙げて説明する。
鋼管杭を構成する鋼管の多条ねじ継手(以下、単に「多条ねじ継手」という)は、図1に示すように、下側に配置される下側鋼管1及び上側に配置される上側鋼管2の端部に取り付けられて下側鋼管1及び上側鋼管2を接合する多条ねじ継手3であって、平行ねじで3条以上の多条ねじからなる雄ねじを有する雄ねじ継手部5と、平行ねじで3条以上の多条ねじからなる雌ねじを有する雌ねじ継手部7とからなる。
なお、図1に示すものは4条ねじであり、正面から見た状態ではねじの始端部9が3箇所見えている。
そして、雄ねじ継手部5の先端には、雌ねじ内径に遊嵌する外径を有する円筒部11が設けられている。
本実施の形態においては、固定側となる雌ねじ継手部7に、嵌合完了の位置と挿入時の位置の両方の位置合わせに用いる共通合いマーク17を設けている。共通合いマーク17は、図1に示すように、上端が尖った三角形状にするのが好ましい。
挿入位置確認用合いマーク21を設ける理由は以下の通りである。
多条ねじでは、複数の位置から挿入可能であり、挿入位置が違えば嵌合完了位置が違う。そのため、嵌合完了を確認した位置と違う位置で挿入を開始すると施工管理を誤ることになる。そこで、これを防止する目的で嵌合完了を確認した位置に対応する位置に挿入位置確認用合いマーク21を設けるのである。
また、挿入位置確認用合いマーク21は、図1に示すように、横長の矩形状にするのが好ましい。挿入位置確認用合いマーク21を横長の矩形状にすることで、雌ねじ継手部7に設けた共通合いマーク17が、横長の矩形状の範囲にあれば挿入可能であることが分かり、施工管理が容易になる。この点を詳細に説明する。
なお、挿入位置確認用合いマーク21の円周方向の長さは、多条ねじ継手を取り付けた鋼管をクレーンによって操作する際の操作精度と、挿入後ねじの噛み合い始めまでの余分な回転を出来るだけ少なくするという点を考慮して30mm〜100mmの範囲に設定するのが望ましい。
雄ねじ継手部5を雌ねじ継手部7に挿入して、雄ねじ継手部5を回転してねじ込み、所定のトルクが発生する位置で嵌合完了として、雌ねじ継手部7には共通合いマーク17を付け、雄ねじ継手部5には嵌合確認用合いマーク19を付ける。
その後、雄ねじ継手部5を逆回転させて雌ねじ継手部7から抜ける状態になった位置で、雄ねじ継手部5における雌ねじ継手部7の共通合いマーク17と対応する位置に挿入位置確認用合いマーク21を付ける。
特に、杭の施工現場は、その周辺に種々の機械等が配置されており周囲空間が狭隘なため作業者が自由に動けないことが多く、このような場合にも本実施の形態によれば杭の外周に沿って移動をする必要がないことから、施工性に優れる。
本実施の形態に係る継手付き鋼管23を図5に基づいて説明する。なお、図5において、図1と同一部分には同一の符号を付してある。
継手付き鋼管23は、図5に示すように、実施の形態1に係る多条ねじ継手3の雄ねじ継手部5を鋼管22の一端に固定し、鋼管22の他端に実施の形態1に係る多条ねじ継手3の雌ねじ継手部7を固定した継手付き鋼管23である。
このように設定することで、n本の継手付き鋼管23を繋ぎ合わせたときに、共通合いマーク17を同じ位置から視認することができ、換言すれば各継手付き鋼管23の共通合いマーク17が同一の視野に入るので施工管理が容易になるという効果が得られる。
2 上側鋼管
3 多条ねじ継手
5 雄ねじ継手部
7 雌ねじ継手部
9 始端部
11 円筒部
17 共通合いマーク
19 嵌合確認用合いマーク
21 挿入位置確認用合いマーク
22 鋼管
23 継手付き鋼管
Claims (4)
- 鋼管の端部に取り付けて、該鋼管を連結する多条ねじ継手であって、
雄ねじ継手部又はこれに螺合する雌ねじ継手部のいずれか一方に、他方との嵌合完了の位置と挿入時の位置の両方の位置合わせに用いる共通合いマークを付し、
該共通合いマークを付したものと嵌合する他方の継手部に前記共通合いマークと嵌合完了時に位置が一致する嵌合確認用合いマークと、挿入位置合わせに用いる挿入位置確認用合いマークを付したことを特徴とする多条ねじ継手。 - 前記挿入位置確認用合いマークは、横長の矩形状であることを特徴とする請求項1記載の多条ねじ継手。
- 請求項1又は2に記載の多条ねじ継手の雄ねじ継手部を鋼管の一端に固定し、該鋼管の他端に請求項1又は2に記載の多条ねじ継手の雌ねじ継手部を固定したことを特徴とする継手付き鋼管。
- 構造体を形成するためのn本からなる一組みの継手付き鋼管であって、
各継手付き鋼管が請求項3に記載の継手付き鋼管であり、かつ、
前記雌ねじ継手部に共通合いマークを付して前記雄ねじ継手部に嵌合確認用合いマーク及び挿入位置確認用合いマークを付した場合及び、前記雌ねじ継手部に嵌合確認用合いマーク及び挿入位置確認用合いマークを付して前記雄ねじ継手部に共通合いマークを付した場合のいずれの場合においても、各継手付き鋼管における前記共通合いマークと前記嵌合確認用合いマークとの鋼管周方向におけるずれ角度をθ1、θ2・・・θnとしたときに、θ1〜θnの総和が45度以下になるように設定したことを特徴とする継手付き鋼管。
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