以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1等を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
プリンタ1は、図1に示すように、筐体1a、記録モジュール50a〜50d、搬送部20、収容部3、受容部4、及び制御部100を含む。記録モジュール50a〜50d、搬送部20、収容部3、受容部4、及び制御部100は、筐体1a内に配置されている。
プリンタ1は、さらに、図2に示すように、装着部70及び4つの副タンク61a〜61dを含む。装着部70は、筐体1a内に設けられた、カートリッジ式の主タンク71が着脱可能な部分である。主タンク71は、インクを貯留するための主空間72を有する。4つの副タンク61a〜61dは、筐体1a内において、装着部70の下方に配置されており、主空間72から供給されたインクを貯留するための副空間62a〜62dをそれぞれ有する。
記録モジュール50a〜50dは、互いに同じ構成であり、それぞれヘッド51a〜51dを含む。ヘッド51a〜51dは、それぞれ、管85〜88及びポンプ59a〜59d(図2参照)を介して、副タンク61a〜61dと接続されている。制御部100の制御によってポンプ59a〜59dが駆動されることで、副空間62a〜62dに貯留されたインクが管85〜88を介してヘッド51a〜51dのそれぞれに供給される。
搬送部20は、上流搬送部21及び下流搬送部31を含む。上流搬送部21は、収容部3から記録モジュール50a〜50dの各モジュール内経路Ra〜Rdに向かって用紙Pが搬送される経路R1x〜R4xを形成している。下流搬送部31は、各モジュール内経路Ra〜Rdの下流端部から受容部4に向かって用紙Pが搬送される経路R1y〜R4yを形成している。
経路R1x,R2xは、収容部3から分岐位置A1まで互いに共通の部分を有し、分岐位置A1において分岐して、それぞれ互いに異なるモジュール内経路Ra,Rbに向かう。経路R2x,R3xは、収容部3から分岐位置A2まで互いに共通の部分を有し、分岐位置A2において分岐して、それぞれ互いに異なるモジュール内経路Rb,Rcに向かう。経路R3x,R4xは、収容部3から分岐位置A3まで互いに共通の部分を有し、分岐位置A3において分岐して、それぞれ互いに異なるモジュール内経路Rc,Rdに向かう。経路R1y,R2yは、それぞれ互いに異なるモジュール内経路Ra,Rbの下流端部から延在し、合流位置B1において合流して、合流位置B1から受容部4まで互いに共通の部分を有する。経路R2y,R3yは、それぞれ互いに異なるモジュール内経路Rb,Rcの下流端部から延在し、合流位置B2において合流して、合流位置B2から受容部4まで互いに共通の部分を有する。経路R3y,R4yは、それぞれ互いに異なるモジュール内経路Rc,Rdの下流端部から延在し、合流位置B3において合流して、合流位置B3から受容部4まで互いに共通の部分を有する。
上流搬送部21は、給紙ローラ22、ローラ対26a〜26d、ガイド23,25a〜25d、及び切換部28a〜28cを含む。下流搬送部31は、ローラ対36a〜36e及びガイド33,35a〜35dを含む。
給紙ローラ22は、収容部3内で最も上方にある用紙Pと接触する位置に配置されている。給紙ローラ22は、制御部100の制御によって給紙モータ22M(図4参照)が駆動されることで回転する。これにより、収容部3内で最も上方にある用紙Pが収容部3から送り出される。
各ローラ対26a〜26d,36a〜36eは、互いに接触する2つのローラを含み、用紙Pを当該2つのローラで挟持しつつ搬送するように構成されている。各ローラ対26a〜26dを構成する2つのローラの一方は、駆動ローラであり、制御部100の制御によって上流搬送モータ26M(図4参照)が駆動されることで回転する。各ローラ対36a〜36eを構成する2つのローラの一方は、駆動ローラであり、制御部100の制御によって下流搬送モータ36M(図4参照)が駆動されることで回転する。各ローラ対26a〜26d,36a〜36eを構成する2つのローラの他方は、従動ローラであり、駆動ローラの回転に伴い、駆動ローラと接触しながら駆動ローラと逆の方向に回転する。ローラ対26a〜26dの回転により、給紙ローラ22によって収容部3から送り出された用紙Pがモジュール内経路Ra〜Rdのいずれかに向けて搬送される。ローラ対36a〜36eの回転により、モジュール内経路Ra〜Rdから送り出された用紙Pが受容部4に向けて搬送される。
ガイド23,25a〜25d,33,35a〜35dは、それぞれ、経路R1x〜R4x,R1y〜R4yを画定するように構成されており、互いに間隙を介して離隔配置された一対の板を含む。
切換部28a〜28cは、それぞれ、揺動部材28a1〜28c1及び切換モータ28aM〜28cM(図4参照)を含む。揺動部材28a1〜28c1は、それぞれ、分岐位置A1〜A3に配置されており、筐体1aに形成されたピン1a4を中心として揺動可能であり、制御部100の制御により切換モータ28aM〜28cMが駆動されることで、図1に実線で示す第1位置と、図1に破線で示す第2位置とを取り得る。
揺動部材28a1が第1位置にあるとき、分岐位置A1において、経路R1xは開放され、経路R2xは閉塞される。したがって、収容部3から分岐位置A1まで搬送された用紙Pは、経路R1xに沿ってモジュール内経路Raに向けて搬送される。揺動部材28a1が第2位置にあるとき、分岐位置A1において、経路R1xは閉塞され、経路R2xは開放される。したがって、収容部3から分岐位置A1まで搬送された用紙Pは、経路R2xに沿ってモジュール内経路Rbに向けて搬送される。
揺動部材28b1が第1位置にあるとき、分岐位置A2において、経路R1x,R2xは開放され、経路R3xは閉塞される。したがって、収容部3から分岐位置A2まで搬送された用紙Pは、経路R1x,R2xの共通部分に沿って分岐位置A1に向けて搬送される。揺動部材28b1が第2位置にあるとき、分岐位置A2において、経路R1x,R2xは閉塞され、経路R3xは開放される。したがって、収容部3から分岐位置A2まで搬送された用紙Pは、経路R3xに沿ってモジュール内経路Rcに向けて搬送される。
揺動部材28c1が第1位置にあるとき、分岐位置A3において、経路R1x〜R3xは開放され、経路R4xは閉塞される。したがって、収容部3から分岐位置A3まで搬送された用紙Pは、経路R1x〜R3xの共通部分に沿って分岐位置A2に向けて搬送される。揺動部材28c1が第2位置にあるとき、分岐位置A3において、経路R1x〜R3xは閉塞され、経路R4xは開放される。したがって、収容部3から分岐位置A3まで搬送された用紙Pは、経路R4xに沿ってモジュール内経路Rdに向けて搬送される。
収容部3及び受容部4は、上面が開口したトレイからなり、筐体1aに対して副走査方向に着脱可能である。収容部3及び受容部4は、複数の用紙Pをそれぞれ収容及び受容可能であると共に、複数種類のサイズの用紙Pをそれぞれ収容及び受容である。
副走査方向は、水平面に平行で、かつ、経路R1x〜R4xの下流部分、モジュール内経路Ra〜Rd、及び経路R1y〜R4yの上流部分と平行な方向である。主走査方向は、水平面に平行で、かつ、副走査方向と直交する方向である。鉛直方向は、副走査方向及び主走査方向と直交する方向である。
制御部100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、I/F(Interface)、I/O(Input/Output Port)等を含む。ROMは、CPUが実行するプログラム、各種固定データ等を記憶している。RAMは、プログラム実行時に必要なデータを一時的に記憶する。ASICは、画像データの書き換えや並び替え(例えば、信号処理や画像処理)を行う。I/Fは、外部装置(例えば、プリンタ1に接続されたPC)とのデータ送受信を行う。I/Oは、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
次いで、図3を参照し、記録モジュール50a〜50dについてより詳細に説明する。
各記録モジュール50a〜50dは、ヘッド51a〜51d、キャリッジ52、及び、個別搬送部53を含む。
各ヘッド51a〜51dは、シリアル型であり、略直方体形状を有し、キャリッジ52を介して筐体1aに支持されている。各ヘッド51a〜51dの上面は、キャリッジ52に固定されている。各ヘッド51a〜51dの下面は、複数の吐出口51xが開口した吐出面である。なお、図3では、説明のため、点線で描くべき吐出口51xを実線で描いている。
キャリッジ52は、キャリッジ移動部52xによって主走査方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ移動部52xは、ガイド52g1,52g2、プーリ52p1,52p2、ベルト52b、及び、キャリッジモータ52Mを含む。ガイド52g1,52g2は、鉛直方向から見て矩形の形状を有し、副走査方向に互いに離隔している。ガイド52g1,52g2は、対応するヘッド51a〜51dの上部を挟むと共に、キャリッジ52の副走査方向両端を主走査方向にスライド可能に支持している。プーリ52p1,52p2は、ガイド52g2の主走査方向一端及び他端にそれぞれ回転可能に支持されている。プーリ52p1,52p2は、直径が互いに同じであり、副走査方向に関して互いに同じ位置に配置されている。ベルト52bは、プーリ52p1,52p2に架け渡されたエンドレスベルトであり、プーリ52p1,52p2の回転に伴って走行する。キャリッジ52は、ベルト52bに固定されている。キャリッジモータ52Mは、鉛直方向に長尺な円柱形状を有し、ガイド52g2の下面に固定されている。キャリッジモータ52Mの回転軸は、プーリ52p1に取り付けられており、鉛直方向に延在している。プーリ52p1は、駆動プーリであり、制御部100の制御によってキャリッジモータ52Mが駆動されることで正逆回転する。これに伴い、ベルト52bが走行する。プーリ52p2は、従動プーリであり、ベルト52bの走行に伴って回転する。
このようなキャリッジ移動部52xの各部の動作に伴い、キャリッジ52が対応するヘッド51a〜51dを支持しつつ主走査方向に往復移動する。このとき、制御部100がヘッド51a〜51dを制御し、吐出口51xから所望タイミングでインクを吐出させることで、用紙Pに画像が記録される。
個別搬送部53は、用紙Pをモジュール内経路Ra〜Rdに沿って方向Dに間欠的に搬送するように構成されており、ローラ対53a,53b及び個別搬送モータ53M(図4参照)を含む。ローラ対53a,53bは、制御部100の制御によって個別搬送モータ53Mが駆動されることで回転する。これにより、用紙Pが方向Dに搬送される。方向Dは、副走査方向に平行で、かつ、モジュール内経路Ra〜Rdの上流から下流に向かう方向である。ローラ対53a,53bは、主走査方向に延在すると共に、副走査方向に関してヘッド51を挟んでいる。ローラ対53a,53bの間であって、吐出面と対向する位置に、プラテン54が配置されている。プラテン54の上面54aは、用紙Pを下方から支持する。吐出面と上面54aとの間には、記録に適した間隙が形成されている。ローラ対53a,53b及びプラテン54は、一対のフランジ56によって支持されている。一対のフランジ56は、副走査方向に延在すると共に、主走査方向に互いに離隔している。
制御部100は、個別搬送部53によって用紙Pを方向Dに間欠的に搬送させる間欠的搬送動作と、当該間欠的搬送動作の間の用紙Pの搬送停止期間にキャリッジ52を副走査方向に往復移動させつつ吐出口51xからインクを吐出させる走査動作とを行うように、記録モジュール50a〜50dのそれぞれを制御する。
次いで、図2を参照し、装着部70、主タンク71、及び副タンク61a〜61dについてより詳細に説明する。
装着部70に装着された主タンク71、及び、4つの副タンク61a〜61dは、鉛直方向から見て重複している。
装着部70は、主タンク71が配置される空間を画定する壁70aを有する。壁70aの底面、側面、及び上面から、それぞれ、管81,91,95の一端近傍が突出している。管81の一端(上端)の開口が主出口75、管91の一端の開口が主開口76に相当する。管95は、大気連通管であり、その途中部にバルブ96が設けられている。主タンク71が装着部70に装着されるとき、各管81,91,95の一端近傍が主タンク71における主空間72を画定する壁を貫通する。これにより、主出口75及び主開口76が主空間72と連通する。主開口76は、主空間72に貯留されたインクの液面よりも上方であって、主出口75よりも上方に位置する。バルブ96は、制御部100の制御によらず、主空間72の圧力と大気(主空間72の外部空間)の圧力との差が所定値以下の場合に主空間72と大気との連通を遮断する遮断位置を取り、当該差が所定値を超えた場合に主空間72と大気との連通を許可する許可位置を取るように構成されている。
4つの副タンク61a〜61dのうち、副タンク61aが最も上方に位置し、副タンク61bが上から2番目、副タンク61cが上から3番目、副タンク61dが最も下方に位置する。また、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給方向に関して、4つの副タンク61a〜61dのうち、副タンク61aが最も上流側に位置し、副タンク61bが2番目に上流側に位置し、副タンク61cが3番目に上流側に位置し、副タンク61dが最も下流側に位置する。以下、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給方向に関して「上流側」「下流側」を、それぞれ単に「上流側」「下流側」という。
副タンク61a〜61dは、管81〜84,91の配置態様及びセンサ6a〜6dの検知位置を除き、略同じ構成である。
副タンク61a〜61dにおける副空間62a〜62dを画定する上壁には、それぞれ、当該副空間62a〜62dと大気とを連通させるための大気連通口63a〜63dが設けられている。
管81〜84は、鉛直方向に延在し、それぞれインク流路81x〜84xを画定している。管81は主タンク71と副タンク61aとを接続し、管82は副タンク61aと副タンク61bとを接続し、管83は副タンク61bと副タンク61cとを接続し、管84は副タンク61cと副タンク61dとを接続している。管81〜84の下端の開口が入口64a〜64d、管82〜84の上端の開口が出口65a〜65cに相当する。入口64a〜64dはそれぞれ副空間62a〜62dと連通し、出口65a〜65cはそれぞれ副空間62a〜62cと連通している。
インク流路81xは、主出口75から入口64aまで延在し、主空間72から副空間62aにインクが供給されるように構成されている。インク流路82xは、出口65aから入口64bまで延在し、副空間62aから副空間62bにインクが供給されるように構成されている。インク流路83xは、出口65bから入口64cまで延在し、副空間62bから副空間62cにインクが供給されるように構成されている。インク流路84xは、出口65cから入口64dまで延在し、副空間62cから副空間62dにインクが供給されるように構成されている。
インク流路81x〜84xは、下流側のものほど、抵抗が小さくなるように構成されている。即ち、インク流路82xの抵抗は、インク流路81xの抵抗よりも小さい。インク流路83xの抵抗は、インク流路82xの抵抗よりも小さい。インク流路84xの抵抗は、インク流路83xの抵抗よりも小さい。このようなインク流路81x〜84xの抵抗の大小関係は、例えば、流路を画定する管の内径、管を構成する材料等によって実現されてよい。一例として、インク流路82xの径が、インク流路81xの径よりも大きくてよい。インク流路83xの径が、インク流路82xの径よりも大きくてよい。インク流路84xの径が、インク流路83xの径よりも大きくてよい。
インク流路81x〜84xの端部を構成する開口は、以下のような鉛直方向の位置関係を有する。即ち、主出口75は、入口64a〜64d及び出口65a〜65cよりも上方に位置する。出口65aは、入口64a〜64d及び出口65b,65cよりも上方に位置する。入口64aは、入口64b〜64d及び出口65b,65cよりも上方に位置する。出口65bは、入口64b〜64d及び出口65cよりも上方に位置する。入口64bは、入口64c,64d及び出口65cよりも上方に位置する。出口65cは、入口64c,64dよりも上方に位置する。入口64cは、入口64dよりも上方に位置する。
管91は、主タンク71から4つの副タンク61a〜61dに向けて分岐し、副タンク61a〜61dのそれぞれに対応する気体流路91a〜91dを画定している。気体流路91a,91bは、互いに異なる副タンク61a,61bから延在し、合流位置C1において合流して、合流位置C1から主開口76まで互いに共通の部分を有する。気体流路91b,91cは、互いに異なる副タンク61b,61cから延在し、合流位置C2において合流して、合流位置C2から主開口76まで互いに共通の部分を有する。気体流路91c,91dは、互いに異なる副タンク61c,61dから延在し、合流位置C3において合流して、合流位置C3から主開口76まで互いに共通の部分を有する。管91の一端(主開口76が設けられた部分)に対して、管91の他端は4つあり、当該4つの他端の開口66a〜66dはそれぞれ副空間62a〜62dと連通している。
気体流路91aは、開口66aから主開口76まで延在し、副空間62a内のインクの液面が開口66aよりも下方に位置するときに開口66a及び主開口76を介して主空間72と大気とを連通させるように構成されている。また、気体流路91aは、副空間62a内のインクの液面が開口66aに到達し、開口66aがインクにより閉塞されたとき、気体流路91aを介した主空間72と大気との連通を遮断するように構成されている。気体流路91bは、開口66bから主開口76まで延在し、副空間62b内のインクの液面が開口66bよりも下方に位置するときに開口66b及び主開口76を介して主空間72と大気とを連通させるように構成されている。また、気体流路91bは、副空間62b内のインクの液面が開口66bに到達し、開口66bがインクにより閉塞されたとき、気体流路91bを介した主空間72と大気との連通を遮断するように構成されている。気体流路91cは、開口66cから主開口76まで延在し、副空間62c内のインクの液面が開口66cよりも下方に位置するときに開口66c及び主開口76を介して主空間72と大気とを連通させるように構成されている。また、気体流路91cは、副空間62c内のインクの液面が開口66cに到達し、開口66cがインクにより閉塞されたとき、気体流路91cを介した主空間72と大気との連通を遮断するように構成されている。気体流路91dは、開口66dから主開口76まで延在し、副空間62d内のインクの液面が開口66dよりも下方に位置するときに開口66d及び主開口76を介して主空間72と大気とを連通させるように構成されている。また、気体流路91dは、副空間62d内のインクの液面が開口66dに到達し、開口66dがインクにより閉塞されたとき、気体流路91dを介した主空間72と大気との連通を遮断するように構成されている。
気体流路91a〜91dは、下流側の副タンク61a〜61dに対応するものほど、抵抗が小さくなるように構成されている。即ち、気体流路91bの抵抗は、気体流路91aの抵抗よりも小さい。気体流路91cの抵抗は、気体流路91bの抵抗よりも小さい。気体流路91dの抵抗は、気体流路91cの抵抗よりも小さい。このような気体流路91a〜91dの抵抗の大小関係は、例えば、流路を画定する管の内径、管を構成する材料等によって実現されてよい。一例として、気体流路91bの径が、気体流路91aの径よりも大きくてよい。気体流路91cの径が、気体流路91bの径よりも大きくてよい。気体流路91dの径が、気体流路91cの径よりも大きくてよい。
気体流路91a〜91dの端部を構成する開口は、以下のような鉛直方向の位置関係を有する。即ち、主開口76は、開口66a〜66dよりも上方に位置する。開口66aは、開口66b〜66dよりも上方に位置する。開口66bは、開口66c,66dよりも上方に位置する。開口66cは、開口66dよりも上方に位置する。上述のような気体流路91a〜91dの抵抗の大小関係を実現する手段の他の例として、開口66bの直径が、開口66aの直径よりも大きくてよい。開口66cの直径が、開口66bの直径よりも大きくてよい。開口66dの直径が、開口66cの直径よりも大きくてよい。
さらに、各開口66a〜66dは、以下の条件を満たす位置にある。開口66aは、出口65aよりも下方に位置する。開口66bは、出口65bよりも下方に位置する。開口66cは、出口65cよりも下方に位置する。開口66dは、出口65a〜65cよりも下方に位置する。各副空間62a〜62dの底部から各開口66a〜66dまでの鉛直方向の距離Da〜Ddは、Da=Db=Dc<Ddという関係にある。各副空間62b〜62dの底部から各出口65a〜65cまでの鉛直方向の距離Da’〜Dc’は、Da’=Db’=Dc’という関係にあり、距離Ddと等しい。つまり、Da=Db=Dc<Dd=Da’=Db’=Dc’という関係が成立している。
各開口66a〜66d,76には、気体透過膜66ax〜66dx,76xが設けられている。各気体透過膜66ax〜66dx,76xは、対応する開口66a〜66d,76を閉塞すると共に気体を透過させかつ液体を透過させないように構成されている。
副タンク61a〜61dにおける副空間62a〜62dを画定する下壁には、それぞれ、管85〜88の一端の開口である供給口67a〜67dが設けられている。管85〜88の他端の開口は、ヘッド51a〜51dにそれぞれ設けられている。管85〜88の途中部に、ポンプ59a〜59dがそれぞれ設けられている。管85〜88を介して、副空間62a〜62dと対応するヘッド51a〜51dの吐出口51xとが連通している。
供給口67aは、出口65aよりも下方に位置する。供給口67bは、出口65bよりも下方に位置する。供給口67cは、出口65cよりも下方に位置する。供給口67dは、開口66dよりも下方に位置する。出口65a〜65c及び開口66a〜66dは、それぞれ対応するヘッドとの水頭差が所定範囲内となる位置に配置されている。当該所定範囲は、ヘッドの吐出性能が適正に保たれる範囲である。
各副タンク61a〜61dに対して、センサ6a〜6dが設けられている。センサ6a〜6dは、それぞれ、副空間62a〜62d内のインクの液面高さを示す信号を出力するように構成されている。センサ6a〜6dの検知位置の高さは、それぞれ、開口66a〜66dの高さと同じである。センサ6a〜6dは、それぞれ、副空間62a〜62d内のインクの液面高さが、開口66a〜66dの高さよりも下方のときにOFF信号、開口66a〜66dの高さ以上のときにON信号を出力する。
次いで、図5及び図6を参照し、初期導入時の状況、及び、プリンタ使用中における主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給状況について、説明する。初期導入とは、空の状態にある副タンク61a〜61dに対する主タンク71からのインク供給をいう。
図5及び図6では、管85〜88、ポンプ59a〜59d、ヘッド51a〜51dの図示を省略している。また、インクの移動を太矢印で示し、気体の移動を白抜きの矢印で示している。
本実施形態では、副タンク61a〜61dが空の状態にあるときに主タンク71が装着部70に装着されると、初期導入が開始される(図5参照)。初期導入の開始時は、図5(a)に示すように、副空間62a〜62d内のインクの液面がそれぞれ開口66a〜66dよりも下方に位置している。つまり、副空間62a〜62d内のインクの量は「0」である。このとき、気体流路91a〜91dを介して、主空間72が大気と連通しており、主空間72に気体が供給可能である。このため、主空間72内のインクは、自重によって主出口75から流出し、インク流路81xを介して副空間62aに流入する。
副空間62a内のインクの液面が開口66aの高さに達すると、開口66aがインクで閉塞され、気体流路91aを介した副空間62aから主空間72への気体の供給が停止される。ただし、このとき、気体流路91b〜91dを介した主空間72への気体の供給は維持されているため、主空間72内のインクは、引き続き、自重によって主出口75から流出する。そして、図5(b)に示すように、副空間62a内のインクの液面が出口65aの高さに達した後、さらに副空間62aにインクが流入すると、副空間62a内のインクは、出口65aから流出し、インク流路82xを介して副空間62bに流入する。
副空間62b内のインクの液面が開口66bの高さに達すると、開口66bがインクで閉塞され、気体流路91bを介した副空間62bから主空間72への気体の供給が停止される。ただし、このとき、気体流路91c,91dを介した主空間72への気体の供給は維持されているため、主空間72内のインクは、引き続き、自重によって主出口75から流出する。そして、図5(c)に示すように、副空間62b内のインクの液面が出口65bの高さに達した後、さらに副空間62bにインクが流入すると、副空間62b内のインクは、出口65bから流出し、インク流路83xを介して副空間62cに流入する。
副空間62c内のインクの液面が開口66cの高さに達すると、開口66cがインクで閉塞され、気体流路91cを介した副空間62cから主空間72への気体の供給が停止される。ただし、このとき、気体流路91dを介した主空間72への気体の供給は維持されているため、主空間72内のインクは、引き続き、自重によって主出口75から流出する。そして、図5(d)に示すように、副空間62c内のインクの液面が出口65cの高さに達した後、さらに副空間62cにインクが流入すると、副空間62c内のインクは、出口65cから流出し、インク流路84xを介して副空間62dに流入する。
副空間62d内のインクの液面が開口66dの高さに達すると、図2に示すように、開口66dがインクで閉塞され、気体流路91dを介した副空間62dから主空間72への気体の供給が停止される。このとき、気体流路91a〜91dを介した主空間72への気体の供給が停止され、主空間72と大気との連通が遮断される。これにより、主空間72内のインクが主出口75から流出しなくなる。即ち、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給が停止される。これにより、初期導入が完了する。
初期導入の完了時は、図2に示すように、副タンク61a〜61dが最大水位にある。副タンク61a〜61cの最大水位はそれぞれ出口65a〜65cの高さと同じであり、副タンク61dの最大水位は開口66dの高さと同じである。
初期導入の後、プリンタ1が使用され、用紙Pへの記録に伴って副空間62a〜62d内のインクが消費されると、副空間62a〜62d内のインクの液面高さがそれぞれ開口66a〜66dの高さ未満になる場合がある。
副空間62a内のインクの液面高さが開口66aの高さ未満になった場合、図6に示すように、開口66aがインクで閉塞されなくなったことで、気体流路91aを介した副空間62aから主空間72への気体の供給が行われる。これにより、主空間72内のインクが、自重によって主出口75から流出し、インク流路81xを介して副空間62aに流入する。そして、副空間62a内のインクの液面が開口66aの高さに達すると、開口66aが再びインクで閉塞されることで、気体流路91aを介した副空間62aから主空間72への気体の供給が停止される。これにより、主空間72と大気との連通が遮断され、主空間72内のインクが主出口75から流出しなくなる。即ち、主タンク71から副タンク61aへのインク供給が停止される。
副空間62b〜62d内のインクの液面高さがそれぞれ開口66b〜66dの高さ未満になった場合も、上記と同様である。即ち、開口66b〜66dを介した主空間72への気体の供給に伴って、主空間72から当該副空間62b〜62dにインクが流入し、その後当該開口66b〜66dが再びインクで閉塞されることで、主タンク71から当該副タンク61b〜61dへのインク供給が停止される。
次いで、図7を参照し、制御部100が実行する制御内容について説明する。制御部100は、プリンタ1の電源がONの間、図7に示すルーチンを繰り返し実行する。
制御部100は、先ず、主タンク71が装着部70に存在するか否かを判断する(S1)。S1の判断は、例えば、装着部70における主タンク71の有無を示す信号を出力するセンサからの信号に基づいて、行われてよい。或いは、S1の判断は、その他の任意の方法で(例えば、壁70aに設けられた電極と主タンク71の外面に設けられた電極とが接触することによる電気的導通に基づいて)行われてよい。
主タンク71が装着部70に存在しない場合(S1:NO)、制御部100は、S1の処理を繰り返す。主タンク71が装着部70に存在する場合(S1:YES)、制御部100は、初期導入が行われるか否かを判断する(S2)。例えば、制御部100は、S1で当該主タンク71が存在すると判断した後の最初のS2では、初期導入が行われる(S2:YES)と判断し、S1で当該主タンク71が存在すると判断した後の2回目以降のS2では、初期導入が行われない(S2:NO)と判断する。或いは、制御部100は、その他の手段(例えば、主タンク71に設けられたメモリの記憶内容等)に基づいて、S2の判断を行ってもよい。
初期導入が行われる場合(S2:YES)、制御部100は、センサ6dからON信号が出力された(即ち、初期導入における主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給が完了した)か否かを判断する(S3)。
センサ6dからON信号が出力された場合(S3:YES)、制御部100は、ポンプ59a〜59dを制御して、パージを行う(S4)。パージは、ポンプ59a〜59dの駆動により、4つのヘッド51a〜51dに対してインクを強制的に圧送し、4つのヘッド51a〜51dの全ての吐出口51xから強制的にインクを排出させる動作をいう。S4の後、制御部100は、当該ルーチンを終了する。
センサ6dからON信号が出力されていない場合(S3:NO)、制御部100は、S3の判断を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する(S5)。当該所定時間は、初期導入の開始からセンサ6dがONになるまでに必要な時間に基づいて定められている。所定時間が経過していない場合(S5:NO)、制御部100は、処理をS3に戻す。所定時間が経過した場合(S5:YES)、制御部100は、プリンタ1の出力手段(ディスプレイ、スピーカ等)により、エラー報知を行う(S6)。これは、所定時間が経過しても初期導入が完了しない場合、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給システムに不具合があると考えられるからである。S6の後、制御部100は、当該ルーチンを終了する。
初期導入が行われない場合(S2:NO)、制御部100は、センサ6a〜6dのいずれかからOFF信号が出力された(即ち、いずれかの副空間62a〜62d内のインクの液面高さが開口66a〜66dの高さよりも下方である)か否かを判断する(S7)。
センサ6a〜6dのいずれからもOFF信号が出力されていない場合(S7:NO)、即ち、副空間62a〜62d内のインクの液面高さがそれぞれ開口66a〜66dの高さ以上の場合、制御部100は、当該ルーチンを終了する。
センサ6a〜6dのいずれかからOFF信号が出力された場合(S7:YES)、制御部100は、S7の判断を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する(S8)。所定時間が経過していない場合(S8:NO)、制御部100は、処理をS7に戻す。所定時間が経過した場合(S8:YES)、制御部100は、プリンタ1の出力手段(ディスプレイ、スピーカ等)により、エラー報知を行う(S6)。これは、所定時間が経過しても副空間62a〜62dへのインク供給が完了しない場合、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給システムに不具合があると考えられるからである。S6の後、制御部100は、当該ルーチンを終了する。
なお、本実施形態の構成要素と本発明で定義されている構成要素との対応関係は、以下のとおりである。即ち、ヘッド51aが本発明の第1ヘッドに相当し、ヘッド51dが本発明の第2ヘッドに相当し、ヘッド51b,51cが本発明の第3ヘッドに相当する。副タンク61aが本発明の上流副タンクに相当し、副タンク61dが本発明の下流副タンクに相当し、副タンク61b,61cが本発明の中間副タンクに相当する。副空間62aが本発明の上流副空間に相当し、副空間62dが本発明の下流副空間に相当し、副空間62b,62cが本発明の中間副空間に相当する。大気連通口63aが本発明の上流大気連通口に相当し、大気連通口63b,63cが本発明の中間大気連通口に相当し、大気連通口63dが本発明の下流大気連通口に相当する。インク流路81xが本発明の第1液体流路に相当し、インク流路82x〜84xが本発明の第2液体流路に相当する。入口64aが本発明の上流入口に相当し、入口64dが本発明の下流入口に相当し、入口64b,64cが本発明の中間入口に相当する。出口65aが本発明の上流出口に相当し、出口65b,65cが本発明の中間出口に相当する。気体流路91dが本発明の第1気体流路に相当し、気体流路91aが本発明の第2気体流路に相当し、気体流路91b,91cが本発明の第3気体流路に相当する。開口66aが本発明の上流開口に相当し、開口66dが本発明の下流開口に相当し、開口66b,66cが本発明の中間開口に相当する。気体透過膜76xが本発明の主気体透過膜に相当し、気体透過膜66dxが本発明の第1気体透過膜に相当し、気体透過膜66axが本発明の第2気体透過膜に相当し、気体透過膜66bx,66cxが本発明の第3気体透過膜に相当する。供給口67aが本発明の上流供給口に相当し、供給口67dが本発明の下流供給口に相当する。センサ6aが本発明の上流センサに相当し、センサ6dが本発明の下流センサに相当する。ポンプ59a〜59dが本発明の強制排出部に相当する。
以上に述べたように、本実施形態によると、副空間62d内のインクの液面が開口66dよりも下方に位置するとき、気体流路91dを介して、主空間72が大気と連通しており、主空間72に気体が供給されている。このため、主空間72に貯留されたインクは、自重によって主出口75から流出する。主出口75から流出したインクは、インク流路81xを介して副空間62aに流入する。その後、副空間62a内のインクの液面が、出口65aの高さに達する。その後さらに副空間62aにインクが流入すると、副空間62a内のインクは、出口65aから流出し、インク流路82x〜84xを介して副空間62dに流入する。そして、副空間62d内のインクの液面が開口66dの高さに達すると、開口66dがインクで閉塞される。開口66dがインクで閉塞されると、主空間72と大気との気体流路91dを介した連通が遮断される。これにより、気体流路91dを介して主空間72に気体が供給されなくなり、主空間72内のインクが主出口75から流出しなくなる。即ち、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給が停止される。このように、本実施形態によれば、駆動源の駆動なしで、主タンク71から副タンク61a〜61dにインクが供給される。つまり、本実施形態によれば、主タンク71から副タンク61a〜61dにインクを供給するための駆動源が不要であり、プリンタ1の小型化を実現可能である。
本実施形態によれば、駆動源が不要であるという効果に加え、主タンク71から副タンク61a〜61dにインクを供給するための制御も不要である。
プリンタ1は、気体流路91dに加え、気体流路91aを有する。当該構成によれば、インク吐出動作等によって副空間62a内のインクの量が減少した場合に、副空間62aにインクを補給することができる。具体的には、副空間62a内のインクの液面が開口66aよりも下方に位置すると、気体流路91aを介して、主空間72が大気と連通し、主空間72に気体が供給される。これに伴い、主空間72からインク流路81xを介して副空間62aにインクが供給される。
気体流路91a,91dは、共通の部分を有する。当該構成によれば、気体流路91a,91dの共通化により、プリンタ1のさらなる小型化を実現可能である。
各開口66a,66dに、気体透過膜66ax,66dxが設けられている。気体透過膜66ax,66dxがない場合、プリンタ1が傾いた時等に、気体流路91a,91dにインクが浸入し得る。また、気体透過膜66ax,66dxが共通の部分を有する場合、副空間62a内に供給されたインクが、開口66aから気体流路91a、さらに気体流路91dに侵入し得る。この場合、気体流路91dを介した主空間72への気体供給及び気体流路91aを介した主空間72への気体供給のいずれもが遮断され、主タンク71からのインク供給に不具合が生じ得る。これに対し、上記構成によれば、気体透過膜66ax,66dxを設けたことで、気体流路91a,91dへのインクの浸入を防止し、インク供給の不具合の発生を防止することができる。
気体流路91dの抵抗は、気体流路91aの抵抗よりも小さい。気体流路91a,91dの抵抗が互いに同じ場合、副タンク61dへのインク供給の損失が大きく、副タンク61dへのインク供給速度が低下し得る。これに対し、上記構成によれば、副タンク61dへのインク供給速度の低下を抑制することができる。
プリンタ1は、ヘッド51b,51c及び副タンク61b,61cを有する。第2液体流路(副空間62aから副空間62dにインクが供給されるように構成された流路)は、上流流路及び下流流路(入口64bを中間入口と想定した場合は、インク流路82xが上流流路に相当し、インク流路83x,84xが下流流路に相当する。入口64cを中間入口と想定した場合は、インク流路82x,83xが上流流路に相当し、インク流路84xが下流流路に相当する。)を含む。当該構成によれば、3以上のヘッドを有する場合にも、駆動源の駆動なしで、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給を実現することができる。
下流流路の抵抗は、上流流路の抵抗よりも小さい。具体的には、入口64bを中間入口と想定した場合、下流流路(インク流路83x,84x)の抵抗は、上流流路(インク流路82x)の抵抗よりも小さい。入口64cを中間入口と想定した場合、下流流路(インク流路84x)の抵抗は、上流流路(インク流路82x,83x)の抵抗よりも小さい。当該構成によれば、下流側のインク流路ほど抵抗が小さくなるように構成したことで、下流側の副タンクへのインク供給速度の低下を抑制し、副タンク61a〜61dに対するインク供給速度を揃えることができる。
プリンタ1は、気体流路91a,91dに加え、気体流路91b,91cを有する。当該構成によれば、インク吐出動作等によって副空間62b,62c内のインクの量が減少した場合に、副空間62b,62cにインクを補給することができる。具体的には、副空間62b内のインクの液面が開口66bよりも下方に位置すると、気体流路91bを介して、主空間72が大気と連通し、主空間72に気体が供給される。これに伴い、主空間72からインク流路82xを介して副空間62bにインクが供給される。同様に、副空間62c内のインクの液面が開口66cよりも下方に位置すると、気体流路91cを介して、主空間72が大気と連通し、主空間72に気体が供給される。これに伴い、主空間72からインク流路82x,83xを介して副空間62cにインクが供給される。
気体流路91a〜91dは、共通の部分を有する。当該構成によれば、気体流路91a〜91dの共通化により、プリンタ1のさらなる小型化を実現可能である。
各開口66a〜66dに、気体透過膜66ax〜66dxが設けられている。気体透過膜66ax〜66dxがない場合、プリンタ1が傾いた時等に、気体流路91a〜91dにインクが浸入し得る。また、気体流路91a〜91dが共通の部分を有する場合、副空間62a内に供給されたインクが、開口66aから気体流路91a、さらに気体流路91dに侵入したり、副空間62b,62c内に供給されたインクが、開口66b,66cから気体流路91b,91c、さらに気体流路91dに侵入したりし得る。この場合、気体流路91a〜91dを介した主空間72への気体供給のいずれもが遮断され、主タンク71からのインク供給に不具合が生じ得る。これに対し、上記構成によれば、気体透過膜66ax〜66dxを設けたことで、気体流路91a〜91dへのインクの浸入を防止し、インク供給の不具合の発生を防止することができる。
気体流路91b,91cの抵抗は気体流路91aの抵抗よりも小さく、かつ、気体流路91dの抵抗は気体流路91b,91cの抵抗よりも小さい。当該構成によれば、下流側の副タンクに対応する気体流路ほど抵抗が小さくなるように構成したことで、下流側の副タンクへのインク供給速度の低下を抑制し、副タンク61a〜61dに対するインク供給速度を揃えることができる。
副空間62dの底部から開口66dまでの鉛直方向の距離Ddは、副空間62aの底部から開口66aまでの鉛直方向の距離Daよりも大きい。副タンク61dの最大水位は開口66dの高さと同じである。上記構成によれば、距離Ddが距離Da以下の場合に比べ、多くの量のインクを副空間62dに貯留することができる。つまり、副空間62dの容積を効率よく使用することができる。
副空間62dの底部から開口66dまでの鉛直方向の距離Ddは、副空間62aの底部から出口65aまでの鉛直方向の距離Da’と等しい。副タンク61dの最大水位は開口66dの高さと同じであり、副タンク61aの最大水位は出口65aの高さと同じである。上記構成によれば、副タンク61a,61dのそれぞれにおいて副空間62a,62dの底部に対する最大水位の高さが等しいことから、副タンク61aに対するヘッド51aの鉛直方向の位置及び副タンク61dに対するヘッド51dの鉛直方向の位置を同じに設定することができる。つまり、上記構成によれば、各副タンク61a,61dと対応するヘッド51a,51dとの位置関係の設定が容易である。
制御部100は、センサ6dから出力された信号に基づいて、副空間62d内のインクの液面高さが所定水位に達したと判断した場合に(S3:YES)、パージを行う(S4)。当該構成によれば、初期導入時において、主タンク71から副タンク61a〜61dへのインク供給が完了してからパージが行われるまでの時間を短縮し、時間のロスを低減することができる。
センサ6dに加え、センサ6aが設けられている。当該構成によれば、副タンク61a及び副タンク61dの構成が共通化されるため、製造が容易である。また、センサ6a及び/又はセンサ6dから出力された信号に基づいて、副空間62a及び/又は副空間62d内のインクの液面高さが所定水位に達していない時間が所定時間を超えた場合に、当該副タンクに対応するヘッドからのインク吐出動作を制限したり、エラー報知を行ったりすることで、空打ち等の不具合を回避することができる(S3:NO→S5:YES→S6の処理、及び、S7:YES→S8:YES→S6の処理参照)。また、主タンク71内のインクの液面高さを示す信号を出力するセンサを設けなくとも、センサa及び/又はセンサ6dから出力された信号に基づいて、主タンク71のエンプティを推測することができる。したがって、主タンク71又は装着部70に、主タンク71内のインクの液面高さを示す信号を出力するセンサを設ける必要がなく、主タンク71又は装着部70の構成の簡素化を実現可能である。
装着部70に、バルブ96が設けられている。バルブ96がない場合に、大気の圧力が低下し、主空間72と大気との圧力差が大きくなると、主空間72からのインク供給量が過剰になるという問題が生じ得る。これに対し、上記構成によれば、圧力差が所定値を超えた場合に、バルブ96が遮断位置から許可位置に切り換わり、主空間72と大気との連通が遮断された状態から許可された状態に切り換わる。これにより、主空間72内の圧力を大気に逃がすことができるため、主空間72と大気との圧力差が低減され、上記問題を軽減することができる。
インク流路82x〜84xの抵抗は、インク流路81xの抵抗よりも小さい。インク流路81xの抵抗及びインク流路82x〜84xの抵抗が互いに同じ場合、副タンク61dへのインク供給の損失が大きく、副タンク61dへのインク供給速度が低下し得る。これに対し、上記構成によれば、副タンク61dへのインク供給速度の低下を抑制することができる。
主開口76に、気体透過膜76xが設けられている。当該構成によれば、主開口76を介した主空間72へのインクの浸入を防止することができる。
供給口67aは出口65aよりも下方に位置し、供給口67dは開口66dよりも下方に位置している。当該構成によれば、副タンク61a又は副タンク61dが最小水位になった場合でも、副タンク61a又は副タンク61dと当該副タンクに対応するヘッド51a,51dとの水頭差が所定範囲内に維持され、ヘッド51a,51dからのインク漏れを防止することができる。
続いて、図8を参照し、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。
第2実施形態に係るプリンタは、装着部及び副タンク等の構成を除き、第1実施形態に係るプリンタ1と同様の構成を有する。図8では、第1実施形態と同じ構成要素に同一の符号を付している。
第2実施形態では、装着部70に装着された主タンク71と4つの副タンク61a〜61dとが、鉛直方向に関して重複する位置にあり、水平方向に並んで配置されている。副タンク61a〜61dは、互いに分離しておらず、一体に形成されている。各管81〜84は、鉛直方向ではなく水平方向に延在している。管81〜84は、鉛直方向に関して互いに異なる位置にあり、下流にあるものほど下方に位置している。鉛直方向に関して、主出口75及び入口64aが互いに同じ位置にあり、出口65a及び入口64bが互いに同じ位置にあり、出口65b及び入口64cが互いに同じ位置にあり、出口65c及び入口64dが互いに同じ位置にある。管91は、主タンク71から、4つの副タンク61a〜61dに向けて分岐せずに、副タンク61dのみに向かって延在している。つまり、本実施形態では、気体流路91a〜91cが省略されている。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の構成により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
続いて、図9及び図10を参照し、本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタ301について説明する。
第3実施形態に係るプリンタ301は、記録モジュールの数、経路の構成、及び副タンクの数を除き、第1実施形態に係るプリンタ1と同様の構成を有する。図9及び図10では、第1実施形態と同じ構成要素に同一の符号を付している。
プリンタ301は、2つの記録モジュール50a,50dを含む。これに伴い、本実施形態では、筐体1a内に、4つの副タンク61a〜61dではなく、2つの副タンク61a,61dが設けられている。つまり、本実施形態では、第1実施形態の4つの記録モジュール50a〜50dのうち鉛直方向の中央に位置する2つの記録モジュール50b,50cが省略され、第1実施形態の4つの副タンク61a〜61dのうち鉛直方向の中央に位置する2つの副タンク61b,61c(中間副タンク)が省略されている。上流搬送部21は、収容部3から記録モジュール50a,50dの各モジュール内経路Ra,Rdに向かって用紙Pが搬送される、2つの経路R1x,R4xを形成している。下流搬送部31は、各モジュール内経路Ra,Rdの下流端部から受容部4に向かって用紙Pが搬送される、2つの経路R1y,R4yを形成している。また、副タンク61b,61cが省略されたことに伴い、管82,83が省略され、かつ、管84の代わりに管384が設けられている。管384は、第2液体流路に相当するインク流路384xを画定している。管91は、主タンク71から、2つの副タンク61a,61dに向けて分岐している。つまり、本実施形態では、気体流路91b,91c(第3気体流路)が省略されている。気体流路91a,91dは、副タンク61a,61dから延在し、合流位置C1において合流して、合流位置C1から主開口76まで互いに共通の部分を有する。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の構成により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
続いて、図11を参照し、本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。
第4実施形態に係るプリンタは、装着部及び副タンク等の構成を除き、第3実施形態に係るプリンタ301と同様の構成を有する。図11では、第3実施形態と同じ構成要素に同一の符号を付している。
第4実施形態では、装着部70に装着された主タンク71と2つの副タンク61a,61dとが、鉛直方向に関して重複する位置にあり、水平方向に並んで配置されている。副タンク61a,61dは、互いに分離しておらず、一体に形成されている。各管81,384は、鉛直方向ではなく水平方向に延在している。管81,384は、鉛直方向に関して互いに同じ位置にある。鉛直方向に関して、主出口75、入口64a、出口65a、及び入口64dが、互いに同じ位置にある。管91は、主タンク71から、2つの副タンク61a,61dに向けて分岐せずに、副タンク61dのみに向かって延在している。つまり、本実施形態では、気体流路91aが省略されている。
第4実施形態においても、第3実施形態と同様の構成により、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
続いて、図12を参照し、本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。
第5実施形態に係るプリンタは、装着部及び副タンク等の構成を除き、第4実施形態に係るプリンタと同様の構成を有する。図12では、第4実施形態と同じ構成要素に同一の符号を付している。
第5実施形態では、装着部70に装着された主タンク71と2つの副タンク61a,61dとが、鉛直方向に関して部分的に重複する位置にあり、水平方向に並んで配置されている。管81,384は、鉛直方向に関して互いに異なる位置にあり、管81よりも管384の方が下方に位置している。鉛直方向に関して、主出口75及び入口64aが互いに同じ位置にあり、出口65a及び入口64dが互いに同じ位置にある。
第5実施形態においても、第4実施形態と同様の構成により、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
続いて、図13を参照し、本発明の第6実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。
第6実施形態に係るプリンタは、主タンク71が、装着部70に対して着脱可能ではなく(即ち、カートリッジ式ではなく)、副タンク61a〜61dと同様に、筐体1a内に備え付けられている点を除き、第1実施形態に係るプリンタと同様の構成を有する。図13では、第1実施形態と同じ構成要素に同一の符号を付している。
第1実施形態では、副タンク61a〜61dが空の状態にあるときに、主タンク71が装着部70に装着されると、初期導入が開始される。一方、第6実施形態では、副タンク61a〜61dが空の状態にあるときに、空の主タンク71に対してインクが補充されると、初期導入が開始される。主タンク71に対するインクの補充は、主タンク71に設けられたインク補充孔からユーザがインクを注入すること、筐体1aに対して着脱可能に装着されたインクカートリッジから制御部100の制御によって主タンク71にインクを供給すること、等によって実現されてよい。
第6実施形態においても、第1実施形態と同様の構成により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
・本発明の第1観点に係る液体吐出装置は、装着部に主タンクが装着されていない状態であってもよい。また、本発明の第1観点及び第2観点に係る液体吐出装置は、主空間及び/又は副空間に液体が存在しない状態であってもよい。
・液体は、インクに限定されず、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等、任意の液体であってよい。
・本発明は、シリアル方式に限定されず、ライン方式にも適用可能である。
・本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
・ヘッドの数は、複数である限り、任意である。
・副タンクの数は、複数である限り、任意である。
・複数の副タンクは、互いに分離していることに限定されず、一体に形成されてもよい。
・複数の副タンクは、鉛直方向から見て完全に重複する位置に配置されることに限定されず、鉛直方向から見て、部分的に重複する位置、互いに隣接する位置、互いに離隔した位置、等に配置されてもよい。
・主タンク及び複数の副タンクの鉛直方向の位置関係は、各開口が液体の自重による供給形態が実現される位置関係にある限り、任意である。例えば、主タンクと複数の副タンクのうちのいずれか又は全てとが鉛直方向に関して重複してもよいし、複数の副タンクが鉛直方向に関して重複してもよい。
・主開口は、主開口よりも下方の主空間の体積が主空間の全体積の70%以上となる位置に配置されることが好ましいが、これに限定されない。
・主出口は、主開口よりも下方の任意の位置に設けられてよいが、主空間に貯留された液体を使い切る観点においては、第1〜第5実施形態では装着部における主タンクが配置される空間を画定する壁の底面に設けられることが好ましく、第6実施形態では主タンクの底面に設けられることが好ましい。
・主出口、上流入口、及び上流出口が、同じ高さに位置してもよい。
・上流入口は、主出口と同じ高さに位置してもよい。
・下流入口は、上流出口と同じ高さに位置してもよい。
・中間入口は、上流出口と同じ高さに位置してもよい。
・上流出口は、主出口と同じ高さに位置してもよい。
・中間出口は、上流出口と同じ高さに位置してもよい。
・上流開口は、上流出口と同じ高さに位置してもよい。
・中間開口は、中間出口と同じ高さに位置してもよい。
・距離Da〜Dd,Da’〜Dc’の大小関係を適宜変更してもよい。
・上流供給口及び下流供給口は、当該供給口よりも下方の対応する副空間の体積が当該副空間の全体積の30%以下となる位置に配置されることが好ましいが、これに限定されない。
・各液体流路の抵抗の大小関係、及び、各気体流路の抵抗の大小関係は、共に任意である。
・第1〜第3気体流路は、共通の部分を有してもよいし、共通の部分を有さなくてもよい。
・第1気体流路以外の気体流路を省略してもよい。この場合でも、駆動源の駆動なしで初期導入を実現可能である。
・各気体透過膜を省略してもよい。
・管81,91,95の一端近傍は、壁70aから突出した突出位置に固定されていてもよいし、壁70a内に退避した退避位置に固定されていてもよい。管81,91,95の一端近傍が退避位置に固定されている場合には、主タンク71における各管81,91,95と連結される連結部分が、主タンク71の外壁から突出していてもよい。或いは、管81,91,95の一端近傍は、突出位置と壁70a内に退避した退避位置とを取り得るように構成されており、主タンク71が装着部70に装着されたことを制御部100が検知した後に、制御部100の制御により退避位置から突出位置に移動してもよい。管81,91,95の一端近傍の全てが、壁70aの底面、側面、及び上面のうちのいずれか1つの面に取り付けられていてもよい。
・制御部は、下流センサから出力された信号に基づく強制排出の処理を行わなくてもよい。
・下流センサは、上述の実施形態では、液面高さが最大水位(下流開口の高さ)に達したことを検知するように構成されているが、これに限定されず、例えば、液面高さが下流開口よりも下方の水位に達したことを検知するように構成されてもよい。この場合、制御部は、当該検知の後直ぐに、又は、当該検知の後所定時間が経過したとき(液面高さが最大水位に達したと推測されるとき)に、強制排出を行ってよい。即ち、所定水位は、最大水位に限定されず、最大水位よりも下方の水位であってもよい。
・上流センサは、上述の実施形態では、液面高さが上流開口の高さに達したことを検知するように構成されているが、これに限定されず、例えば、液面高さが上流開口よりも下方の水位に達したことを検知するように構成されてもよい。
・上流センサ及び下流センサを省略してもよい。
・装着部又は主タンクに設けられたバルブを省略してもよい。バルブ96の省略に伴い、管95も省略してよい。