JP6287097B2 - 正極用複合粒子用のスラリー組成物および正極用複合粒子の製造方法 - Google Patents

正極用複合粒子用のスラリー組成物および正極用複合粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気化学素子の正極に用いる正極用複合粒子の製造に好適に用いられるスラリー組成物および正極用複合粒子の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどの電気化学素子は、小型で軽量、且つ、エネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。
ここで、電気化学素子に用いられる電極は、一般に、電極活物質を結着剤で結着して形成した電極活物質層(「電極合材層」と称されることもある。)を集電体上に積層して形成される。そして、集電体上に電極活物質層を形成する方法としては、電極活物質と結着剤とを含むスラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子化し、得られた複合粒子を加圧成形して電極活物質層とする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−251776号公報
ところで、電気化学素子用電極の製造においては、電極の電気的特性を確保しつつ効率的に電極を製造することが求められている。そこで、上記複合粒子を用いた電気化学素子用電極の製造においては、複合粒子を効率的に製造すること、即ち、複合粒子の生産性を向上させることが求められている。
ここで、複合粒子の生産性を向上させる手段としては、スラリー組成物の固形分濃度を高めて噴霧乾燥に要する時間を短縮することが考えられる。しかし、スラリー組成物の固形分濃度を高めるとスラリー組成物の粘度が増加し、噴霧乾燥を用いた乾燥造粒が困難になって所望の性能(例えば、電気的特性)を有する複合粒子が製造できなくなる虞がある。
そのため、固形分濃度が高くても噴霧乾燥を用いた乾燥造粒により所望の性能を有する複合粒子を得ることが可能なスラリー組成物、および、生産性の高い複合粒子の製造方法を提供することが求められていた。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、検討の結果、本発明者は、電気化学素子の正極の形成に用いられる正極用複合粒子の製造に使用されるスラリー組成物では、正極活物質の導電性の低さを補完するための導電材を配合するため、スラリー組成物の固形分濃度を高めると、粘度増加の問題以外に、導電材の分散性が悪化し、スラリー組成物から調製した複合粒子を用いて正極を形成した際に所望の電気的特性を有する正極が得られないという問題も生じることを新たに見出した。そこで、本発明者は更に検討を重ね、正極活物質と、導電材と、結着剤としての粒子状結着樹脂と、所定の水溶性樹脂とを所定の手順で配合して所定粘度の水系スラリー組成物を調製することにより、固形分濃度を高くしても、粘度の大幅な増加および導電材の分散性の悪化を抑制して所望の電気的特性を有する正極用複合粒子を製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂と、粒子状結着樹脂とを含有し、水分率が25質量%以下であり、せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下であることを特徴とする。このように、水分率を25質量%以下とすれば、スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を製造する際に要する時間を短縮することができる。また、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂を配合すれば、スラリー組成物の分散性を向上させ、固形分濃度の増加(即ち、水分率の減少)に伴うスラリー組成物の粘度の増加を抑制することができる。そして、せん断速度が10s−1の時の粘度を2000mPa・s以下とすれば、噴霧乾燥を用いた乾燥造粒により電気的特性の良好な複合粒子を効率的に製造することができる。
なお、本発明において、「スラリー組成物の水分率」は、乾燥減量法を用いて求めることができる。具体的には、「スラリー組成物の水分率」とは、スラリー組成物2gを温度105℃の乾燥機中で1時間乾燥させた際の、乾燥前のスラリー組成物(2g)の質量に対する蒸発した水分量(乾燥前後の質量差)の割合を指す。また、本発明において、「せん断速度が10s−1の時のスラリー組成物の粘度」は、二重円筒型回転粘度計を用いて測定した温度25℃での粘度を指す。
ここで、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、前記正極活物質が、LiMnO−LiNiO系固溶体正極活物質であることが好ましい。正極活物質としてLiMnO−LiNiO系固溶体正極活物質を使用すれば、スラリー組成物を用いて得た正極用複合粒子を使用して正極を形成した電気化学素子の容量を十分に高くし、電気化学素子の電気的特性を高めることができる。
また、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、前記酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂が、スルホン酸基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位およびリン酸基含有単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含むことが好ましい。このように、スルホン酸基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位およびリン酸基含有単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含む水溶性樹脂を使用すれば、該スラリー組成物を用いて調製した正極用複合粒子を正極に使用した場合の集電体の腐食を抑制することができる。
更に、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、前記粒子状結着樹脂が、炭素数6〜15の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、α,β−不飽和ニトリル単量体単位およびカルボキシル基含有単量体単位を含むことが好ましい。このように、粒子状結着樹脂が炭素数6〜15の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、α,β−不飽和ニトリル単量体単位およびカルボキシル基含有単量体単位を含めば、該スラリー組成物を用いて調製した正極用複合粒子を正極に使用した場合に、良好なイオン伝導性が得られ、また電池寿命を長くできる。加えて、該粒子状結着樹脂は、保存安定性、機械的強度および結着性に優れる。
また、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、前記粒子状結着樹脂が、二塩基酸単量体単位を含むことが好ましい。このように、粒子状結着樹脂が二塩基酸単量体単位を含めば、該スラリー組成物を用いて調製した正極用複合粒子を正極に使用した場合に、良好なイオン伝導性が得られ、また電池寿命を長くできる。加えて、該粒子状結着樹脂は、保存安定性、機械的強度および結着性に優れる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の正極用複合粒子の製造方法は、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂とを含む混合物を混練して混練物を得る混練工程と、前記混練物に粒子状結着樹脂と水とを添加して、水分率が25質量%以下であり、且つ、せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下であるスラリー組成物を得るスラリー調製工程と、前記スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を得る造粒工程とを含むことを特徴とする。このように、スラリー組成物の水分率を25質量%以下とすれば、スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を製造する際に要する時間を短縮することができる。また、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂を配合すれば、スラリー組成物の分散性を向上させ、固形分濃度の増加(即ち、水分率の減少)に伴うスラリー組成物の粘度の増加を抑制することができる。更に、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂との混練物に対して粒子状結着樹脂と水とを添加し、せん断速度が10s−1の時の粘度を2000mPa・s以下とすれば、噴霧乾燥を用いた乾燥造粒により所望の電気的特性を有する複合粒子を製造することができる。
ここで、本発明の正極用複合粒子の製造方法は、前記混練工程において、50〜200MJ/mのエネルギーをかけて前記混合物を混練することが好ましい。混合物に対して50〜200MJ/mのエネルギーをかけて混練を行えば、導電材を良好に分散させて、複合粒子を用いて形成した正極の電気的特性を十分に高めることができる。
本発明のスラリー組成物によれば、固形分濃度が高くても噴霧乾燥を用いた乾燥造粒により所望の電気的特性を有する正極用複合粒子を得ることができるので、正極用複合粒子の生産性を向上させることができる。
また、本発明の正極用複合粒子の製造方法によれば、正極用複合粒子の生産性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどの電気化学素子の正極を形成する際に用いられる正極用複合粒子の製造に用いられる。そして、本発明の正極用複合粒子の製造方法は、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物を調製し、当該スラリー組成物から正極用複合粒子を製造する際に用いることができる。
なお、本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物を使用し、本発明の正極用複合粒子の製造方法に従って製造された正極用複合粒子は、正極の集電体上に位置する正極活物質層を形成する際に使用される。そして正極用複合粒子を用いた正極活物質層の成形は、特に限定されることなく加圧成形などの既知の成形手法を用いて行うことができる。
(正極用複合粒子用のスラリー組成物)
本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物は、水系のスラリー組成物であり、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂と、粒子状結着樹脂とを含有し、水分率が25質量%以下であり、且つ、せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下であることを特徴とする。
<正極活物質>
スラリー組成物に配合する正極活物質としては、特に限定されることなく、既知の正極活物質を用いることができる。具体的には、正極活物質としては、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)、Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム複合酸化物およびLiMnO−LiNiO系固溶体などの遷移金属としてNiを含有する化合物;LiCoO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiFeVOおよびこれらの元素を一部置換したリチウム含有複合金属酸化物;TiS、TiS、非晶質MoSなどの遷移金属硫化物;Cu、非晶質VO・P、MoO、V、V13などの遷移金属酸化物;を用いることができる。これらの中でも、スラリー組成物を用いて得た正極用複合粒子を使用して正極を形成した電気化学素子の容量を十分に高くする観点からは、正極活物質としてLiMnO−LiNiO系固溶体を用いることが好ましい。
なお、正極活物質としてLiMnO−LiNiO系固溶体などのNi含有正極活物質を使用する場合、正極活物質は、水系媒体には溶解しないが電気化学素子に通常用いられる電解液(有機電解液)と接触した際には溶解せずに膨潤する被覆樹脂と、導電材とを含む被覆材料により被覆されていてもよい。Ni含有正極活物質中には、活物質の製造時に使用される炭酸リチウムなどの水溶性の腐食物質(アルカリ分)が残存しているが、Ni含有正極活物質を上記被覆材料で被覆して用いれば、導電材により導電性を確保しつつ、被覆樹脂により腐食物質が溶出するのを抑制して、正極を形成した際に集電体が腐食するのを抑制することができる。ここで、上記特性を有する被覆樹脂としては、SP値(溶解度パラーメーター)が、好ましくは9.5(cal/cm1/2以上、より好ましくは10(cal/cm1/2以上であり、好ましくは13(cal/cm1/2以下、より好ましくは12(cal/cm1/2以下である樹脂を用いることができる。また、被覆材料による正極活物質の被覆は、流動造粒法、噴霧造粒法、凝固剤析出法、pH析出法などを用いて行うことができる。
ここで、上記SP値(溶解度パラーメーター)は、E.H.Immergut編“Polymer Handbook”VII Solubility Parament Values,pp519−559(John Wiley&Sons社、第3版、1989年発行)に記載された方法によって求めることができる。但し、この刊行物に記載のないものについてはSmallが提案した「分子引力定数法」に従って求めることができる。この方法は、化合物分子を構成する官能基(原子団)の特性値、すなわち、分子引力定数(G)の統計、分子量(M)、比重(d)とから次式に従ってSP値(δ)を求める方法である。
δ=ΣG/V=dΣG/M(V;比容、M;分子量、d;比重)
<導電材>
導電材としては、特に限定されることなく、既知の導電材を用いることができる。具体的には、導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素材料;各種金属のファイバー、箔などを用いることができる。これらの中でも、正極活物質同士の電気的接触を向上させ、スラリー組成物を用いて得た正極用複合粒子を使用して正極を形成した電気化学素子の電気的特性を向上させる観点からは、導電材として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンブラック、グラファイトを用いることが好ましく、アセチレンブラックを用いることが特に好ましい。
なお、スラリー組成物中の導電材の含有量は、特に限定されないが、正極活物質100質量部当たり、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、特に好ましくは3質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。導電材の含有量を上記の範囲とすることで、スラリー組成物を用いて得た正極用複合粒子を使用して正極を形成した電気化学素子の高容量と高いレート特性とを両立することができる。
なお、被覆材料で被覆した正極活物質を用いる場合、スラリー組成物中に配合される導電材は、通常は一部のみを被覆材料中に配合するが、全量を被覆材料中に配合してもよい。
<酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂>
酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂(以下、「酸性官能基含有水溶性樹脂」と表記する場合がある。)は、例えばpH9の水系媒体中に10質量%以上の濃度で溶解する樹脂であり、好ましくは、pHが5〜9の範囲の水系媒体中に10質量%以上の濃度で溶解する樹脂である。
なお、正極活物質としてNi含有正極活物質を使用した場合には、酸性官能基含有水溶性樹脂は、Ni含有正極活物質から溶出したアルカリ性の腐食物質を中和し、正極を形成した際に集電体が腐食することも抑制する。
ここで、スラリー組成物中の酸性官能基含有水溶性樹脂の含有量は、正極活物質100質量部当たり、好ましくは1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。酸性官能基含有水溶性樹脂の含有量を正極活物質100質量部当たり1質量部以上とすることで、スラリー組成物の分散性を向上させることができる。また、酸性官能基含有水溶性樹脂の含有量を正極活物質100質量部当たり10質量部以下とすることで、スラリー組成物を用いて得た正極用複合粒子を使用して正極を形成した電気化学素子の電気的特性を十分に向上させることができる。
ここで、酸性官能基含有水溶性樹脂は、酸性官能基含有単量体と、必要に応じて他の任意の単量体とを含む単量体組成物を付加重合することによって調製しうる。酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能な酸性官能基含有単量体の例としては、リン酸基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、および、カルボキシル基含有単量体を挙げることができる。リン酸基含有単量体単位、スルホン酸基含有単量体単位、及び、カルボキシル基含有単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含む水溶性樹脂を使用すれば、集電体の腐食を十分に抑制することができる。
なお、本明細書において「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の構造単位が含まれている」ことを意味する。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能なリン酸基含有単量体は、リン酸基および他の単量体と共重合しうる重合性の基を有する単量体である。このリン酸基含有単量体としては、−O−P(=O)(−OR)−OR基を有する単量体(R及びRは、独立して、水素原子、若しくは任意の有機基である。)、またはこの塩を挙げることができる。R及びRとしての有機基の具体例としては、オクチル基等の脂肪族基、フェニル基等の芳香族基等が挙げられる。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能なリン酸基含有単量体としては、例えば、リン酸基およびアリロキシ基を含む化合物、並びにリン酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。リン酸基およびアリロキシ基を含む化合物としては、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸を挙げることができる。リン酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジオクチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノイソプロピル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジイソプロピル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノn−ブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジn−ブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノブトキシエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブトキシエチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、モノ(2−エチルヘキシル)−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)−2−メタクリロイロキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを意味する。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能なスルホン酸基含有単量体は、スルホン酸基および他の単量体と共重合しうる重合性の基を有する単量体である。スルホン酸基含有単量体の例を挙げると、スルホン酸基および重合性の基以外に官能基をもたないスルホン酸基含有単量体またはその塩、スルホン酸基および重合性の基に加えてアミド基を含有する単量体またはその塩、並びに、スルホン酸基および重合性の基に加えて水酸基を含有する単量体またはその塩などが挙げられる。
スルホン酸基および重合性の基以外に官能基をもたないスルホン酸基含有単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホブチルメタクリレートなどが挙げられる。また、その塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。スルホン酸基および重合性の基に加えてアミド基を含有する単量体としては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)などが挙げられる。また、その塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。スルホン酸基および重合性の基に加えて水酸基を含有する単量体としては、例えば、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HAPS)などが挙げられる。また、その塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびその塩が好ましい。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能なカルボキシル基含有単量体は、カルボキシル基および重合可能な基を有する単量体とすることができる。カルボキシル基含有単量体の例としては、具体的には、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を挙げることができる。
上記エチレン性不飽和カルボン酸単量体の例としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸およびその誘導体、エチレン性不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物並びにそれらの誘導体が挙げられる。エチレン性不飽和モノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸が挙げられる。エチレン性不飽和モノカルボン酸の誘導体の例としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α−アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸およびβ−ジアミノアクリル酸が挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の例としては、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物の例としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸およびジメチル無水マレイン酸が挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体の例としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸等のマレイン酸メチルアリル;並びにマレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキル等のマレイン酸エステルが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましい。得られる酸性官能基含有水溶性樹脂の水系溶媒に対する分散性をより高めることができるからである。
これら酸性官能基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。したがって、本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂は、酸性官能基含有単量体単位を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂における酸性官能基含有単量体単位の含有割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。酸性官能基含有単量体単位の含有割合を5質量%以上とすることにより、スラリー組成物中で正極活物質との静電反発力を発揮して良好な分散性を得ることができる。一方、酸性官能基含有単量体単位の含有割合を60質量%以下とすることにより、複合粒子を用いて正極を形成した際に官能基と電解液との過度の接触を避けることができ、耐久性を向上させることができる。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂は、酸性官能基含有単量体単位に加えて、他の単量体単位を含むことができる。かかる他の単量体単位の例としては、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、架橋性単量体単位、反応性界面活性剤単量体単位、フッ素を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が挙げられる。なお、本明細書において、単に「(メタ)アクリル酸エステル単量体単位」という場合は、「フッ素を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体単位」をさすものとする。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能なフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、下記の式(I)で表される単量体が挙げられる。
Figure 0006287097
前記の式(I)において、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
前記の式(I)において、Rは、フッ素原子を含有する炭化水素基を表す。炭化水素基の炭素数は、通常、1以上18以下である。また、Rが含有するフッ素原子の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
式(I)で表されるフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、(メタ)アクリル酸フッ化アルキル、(メタ)アクリル酸フッ化アリールおよび(メタ)アクリル酸フッ化アラルキルが挙げられる。なかでも(メタ)アクリル酸フッ化アルキルが好ましい。このような単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸β−(パーフルオロオクチル)エチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノニル、(メタ)アクリル酸1H,1H,11H−パーフルオロウンデシル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸3[4〔1−トリフルオロメチル−2、2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステルが挙げられ、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂におけるフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合を1質量%以上とすることにより、酸性官能基含有水溶性樹脂に、電解液に対する反発力を与えることができ、電解液に対する膨潤性を適切な範囲内とすることができる。一方、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の比率を20質量%以下とすることにより、酸性官能基含有水溶性樹脂に、電解液に対する濡れ性を与えることができ、低温出力特性を向上させることができる。さらに、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の比率を前記範囲内で適宜調節することにより、所望のガラス転移温度および分子量分布を有する酸性官能基含有水溶性樹脂を得ることができる。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能な架橋性単量体としては、重合した際に架橋構造を形成しうる単量体を用いることができる。架橋性単量体の例としては、1分子あたり2以上の反応性基を有する単量体を挙げることができる。より具体的には、熱架橋性の架橋性基および1分子あたり1つのオレフィン性二重結合を有する単官能性単量体、並びに、1分子あたり2つ以上のオレフィン性二重結合を有する多官能性単量体が挙げられる。
単官能性単量体に含まれる熱架橋性の架橋性基の例としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、オキサゾリン基およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、エポキシ基が、架橋および架橋密度の調節が容易な点でより好ましい。
熱架橋性の架橋性基としてエポキシ基を有し、且つ、オレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;並びにグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてN−メチロールアミド基を有し、且つ、オレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキセタニル基を有し、且つ、オレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタンおよび2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−4−トリフロロメチルオキセタンが挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキサゾリン基を有し、且つ、オレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンおよび2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンが挙げられる。
2つ以上のオレフィン性二重結合を有する多官能性単量体の例としては、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、前記以外の多官能性アルコールのアリルまたはビニルエーテル、トリアリルアミン、メチレンビスアクリルアミドおよびジビニルベンゼンが挙げられる。
これらの中でも、乾燥時に架橋するためスラリー組成物の粘度増加を抑制することができると共に、複合粒子を用いて製造した正極の強度を向上する観点から、架橋性単量体としては、特に、エチレンジメタクリレート、アリルグリシジルエーテルおよびグリシジルメタクリレートを好ましく用いることができる。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂における架橋性単量体単位の含有割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。架橋性単量体単位の含有割合を前記範囲内とすることにより、酸性官能基含有水溶性樹脂の膨潤度を抑制し、正極の耐久性を高めることができる。さらに、架橋性単量体単位の含有割合を前記範囲内で適宜調節することにより、所望のガラス転移温度および分子量分布を有する酸性官能基含有水溶性樹脂を得ることができる。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能な反応性界面活性剤単量体は、他の単量体と共重合しうる重合性の基を有し、且つ、界面活性基(親水性基および疎水性基)を有する単量体である。反応性界面活性剤単量体の重合により得られる反応性界面活性剤単量体単位は、水溶性重合体の分子の一部を構成し、且つ、界面活性作用を奏しうるため、酸性官能基含有水溶性樹脂の製造時の安定性が高くなる。
好適な反応性界面活性剤単量体の例としては、下記の式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006287097
式(II)において、Rは2価の結合基を表す。Rの例としては、−Si−O−基、メチレン基およびフェニレン基が挙げられる。式(II)において、Rは親水性基を表す。Rの例としては、−SONHが挙げられる。式(II)において、nは1以上100以下の整数である。反応性界面活性剤単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
好適な反応性界面活性剤単量体の別の例としては、エチレンオキシドに基づく重合単位およびブチレンオキシドに基づく重合単位を有し、さらに末端に、末端二重結合を有するアルケニル基および−SONHを有する化合物(例えば、商品名「ラテムルPD−104」および「ラテムルPD−105」、花王株式会社製)を挙げることができる。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂における反応性界面活性剤単量体単位の含有割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。反応性界面活性剤単量体単位の比率を0.1質量%以上とすることにより、複合粒子の製造の際、スラリー組成物中で酸性官能基含有水溶性樹脂の分散性を向上させることができる。一方、反応性界面活性剤単量体単位の比率を5質量%以下とすることにより、正極の耐久性を向上させることができる。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂の製造に使用可能なフッ素を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;並びにメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらのフッ素を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でも、ブチルアクリレートおよびエチルアクリレートが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合を30質量%以上とすることにより、複合粒子の集電体への密着性を高くすることができ、90質量%以下とすることにより、他の単量体の含有割合とのバランスをとりつつ、酸性官能基含有水溶性樹脂の水溶性が低下するのを抑制することができる。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂が含みうる上記以外の単量体単位としては、下記の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。即ち、スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体;アクリルアミド等のアミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル化合物単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン類単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類単量体;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類単量体;並びにN−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物単量体の1以上を重合した際に得られる単量体単位が挙げられる。酸性官能基含有水溶性樹脂におけるこれらの単位の含有割合は、好ましくは0質量%〜10質量%、より好ましくは0質量%〜5質量%である。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂は、任意の製造方法で製造することができる。例えば、酸性官能基含有単量体を含み且つ必要に応じて他の任意の単位を与える単量体を含む単量体組成物を、水系溶媒中で付加重合して製造することができる。重合反応に用いる水系溶媒としては、既知の水系溶媒、例えば、特開2011−204573号公報に記載のものを用いることができるが、これらの中でも水が好ましい。
上記のような水系溶媒中での付加重合反応により、水系溶媒に酸性官能基含有水溶性樹脂が溶解した水溶液が得られる。こうして得られた水溶液から酸性官能基含有水溶性樹脂を取り出してもよいが、水系溶媒に溶解した状態の酸性官能基含有水溶性樹脂を用いてスラリー組成物を製造してもよい。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、特に好ましくは70℃以下である。ガラス転移温度を30℃以上とすることにより、複合粒子を用いて得られる正極の耐久性を向上させることができる。ガラス転移温度を80℃以下とすることにより、複合粒子と集電体との密着性を向上させることができる。
本発明に用いる酸性官能基含有水溶性樹脂の数平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、特に好ましくは2000以上であり、好ましくは100000以下、より好ましくは80000以下、特に好ましくは60000以下である。数平均分子量をこの範囲とすることにより、酸性官能基含有水溶性樹脂の水溶性を高くすることができると共に、複合粒子を用いて製造した正極の耐久性を向上することができるからである。
酸性官能基含有水溶性樹脂の数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用し、ジメチルホルムアミドの10体積%水溶液に0.85g/mlの硝酸ナトリウムを溶解させた溶液を展開溶媒としたポリスチレン換算の値として求めればよい。
なお、酸性官能基含有水溶性樹脂のガラス転移温度、数平均分子量は様々な単量体を組み合わせることや、公知の分子量調整剤を用いることで、調整することができる。
<粒子状結着樹脂>
粒子状結着樹脂は、本発明のスラリー組成物を用いて得た複合粒子を用いて集電体上に形成される正極活物質層において、当該正極活物質層に含まれる成分が正極活物質層から脱離しないように保持しうる成分である。一般的に、正極活物質層における粒子状結着樹脂は、電解液に浸漬された際に、電解液を吸収して膨潤しながらも粒状の形状を維持し、正極活物質同士を結着させ、正極活物質が集電体から脱落するのを防ぐ。複合粒子中に粒子状結着樹脂を含むことにより、該複合粒子を用いて形成した正極は、電解液内において、空孔を有しながら正極活物質が均一に粒子状結着樹脂で結着された構造を得ることができる。従って、該正極を用いた電気化学素子は、諸性能を良好に保つことができる。
本発明では、粒子状結着樹脂として、水系媒体に分散しうる粒子状結着樹脂を用いることが好ましい。なお、粒子状結着樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着樹脂の好ましい例としては、ジエン重合体、アクリル重合体、フッ素重合体、シリコン重合体などが挙げられる。中でも、耐酸化性に優れることから、アクリル重合体が好ましい。
粒子状結着樹脂として用いられるアクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体である。その中でも、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、そして酸性官能基含有単量体単位およびα,β−不飽和ニトリル単量体単位の少なくとも何れか一方を含む重合体が好ましく、炭素数6〜15の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、α,β−不飽和ニトリル単量体単位およびカルボキシル基含有単量体単位を含む重合体がより好ましい。
上記アクリル重合体の製造に使用可能な(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、酸性官能基含有水溶性樹脂の項において例示したのと同様のものが挙げられる。その中でも、複合粒子を用いて正極とした際に電解液中に溶出せずに電解液に対して適度に膨潤することにより、良好なイオン伝導性を示し、また電池寿命を長くできることから、炭素数が、6以上のものが好ましく、7以上のものがより好ましく、また、15以下のものが好ましく、13以下のものがより好ましい。中でも、2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着樹脂として用いられるアクリル重合体における、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の単量体単位の含有割合を50質量%以上にすることにより、粒子状結着樹脂の柔軟性を高くし、複合粒子を用いて得た正極を割れ難くできる。また、95質量%以下にすることにより、粒子状結着樹脂としての機械強度と結着性とを向上させることができる。
上記アクリル重合体の製造に使用可能な酸性官能基含有単量体としては、例えば、酸性官能基含有水溶性樹脂の項において例示したカルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、リン酸基含有単量体が挙げられる。その中でも、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、リン酸エチレンメタクリレートが好ましい。さらには、アクリル重合体の保存安定性を高くできるという観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、イタコン酸が特に好ましい。
また、アクリル重合体の製造に用いる酸性官能基含有単量体としては、二塩基酸単量体を使用することが好ましい。すなわち、アクリル重合体は、二塩基酸単量体単位を含むことが好ましい。アクリル重合体が二塩基酸単量体単位を含むことで重合体の保存安定性が更に高まり、また、イオン伝導性が向上すると共に電池寿命が長くなる。二塩基酸単量体としては、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられ、中でもイタコン酸が好ましい。
なお、二塩基酸単量体単位は、アクリル重合体以外の重合体よりなる粒子状結着樹脂においても、上述した良好なイオン伝導性を与え、また電池寿命を長くできる。加えて、該粒子状結着樹脂は、保存安定性、機械的強度および結着性に優れるという効果を発揮する。すなわち、粒子状結着樹脂は、二塩基酸単量体単位を含むことが好ましい。
ここで、これら酸性官能基含有単量体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着樹脂として用いられるアクリル重合体中における、酸性官能基含有単量体単位の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。酸性官能基含有単量体単位の含有割合を1質量%以上にすることにより、粒子状結着樹脂としての結着性を高めて電気化学素子のレート特性を改善できる。また、5質量%以下にすることにより、アクリル重合体の製造安定性および保存安定性を良好にできる。
α,β−不飽和ニトリル単量体としては、機械的強度および結着性向上のため、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着樹脂として用いられるアクリル重合体における、α,β−不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。α,β−不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を3質量%以上とすることにより、粒子状結着樹脂としての機械強度を向上させて、正極活物質と集電体または正極活物質同士の密着性を高めることができる。また、40質量%以下とすることにより、粒子状結着樹脂の柔軟性を高くし、複合粒子を用いて得た正極を割れ難くできる。
また、粒子状結着樹脂として用いられるアクリル重合体は、架橋性単量体単位を含んでいてもよい。架橋性単量体としては、例えば、酸性官能基含有水溶性樹脂の項において例示したのと同様のものが挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着樹脂として用いられるアクリル重合体における、架橋性単量体単位の含有割合は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。架橋性単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、アクリル重合体は電解液に対して適度な膨潤性を示し、複合粒子を用いて得た正極を使用した電気化学素子のレート特性およびサイクル特性をより向上させることができる。
更に、アクリル重合体は、上述したもの以外の単量体由来の単量体単位を含んでいてもよい。このような単量体の例を挙げると、酸性官能基含有水溶性樹脂の項において例示したのと同様のものが挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状結着樹脂の製造方法は特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法を用いてもよい。また、重合方法としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができる。また、重合開始剤としては、既知の重合開始剤、例えば、特開2012−184201号公報に記載のものを用いることができる。
粒子状結着樹脂は、通常、水系媒体中に粒子状で分散した分散液の状態で製造され、電気化学素子の正極用複合粒子を製造するためのスラリー組成物においても同様に水系媒体中に粒子状で分散した状態で含まれる。水系媒体中に粒子状で分散している場合、粒子状結着樹脂の粒子の50%体積平均粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、さらに好ましくは70nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは185nm以下、さらに好ましくは160nm以下である。粒子状結着樹脂の粒子の体積平均粒径を50nm以上にすることにより、スラリー組成物の安定性を高めることができる。また、200nm以下とすることにより、粒子状結着樹脂の結着性を高めることができる。
粒子状結着樹脂は、通常、上記分散液のままで保存および運搬される。このような分散液の固形分濃度は、通常15質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。分散液の固形分濃度がこの範囲であると、スラリー組成物を製造する際における作業性が良好である。
また、粒子状結着樹脂を含む上記分散液のpHは、好ましくは5以上、より好ましくは7以上であり、好ましくは13以下、より好ましくは11以下である。分散液のpHを上記範囲に収めることにより、粒子状結着樹脂の安定性が向上する。
粒子状結着樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−50℃以上、より好ましくは−45℃以上、特に好ましくは−40℃以上であり、好ましくは25℃以下、より好ましくは15℃以下、特に好ましくは5℃以下である。粒子状結着樹脂のガラス転移温度を前記の範囲に収めることにより、複合粒子を用いて製造した正極の強度および柔軟性を向上させて、高い低温出力特性を実現できる。なお、粒子状結着樹脂のガラス転移温度は、例えば、各単量体単位を構成するための単量体の組み合わせなどを変化させることにより、調整可能である。
本発明のスラリー組成物中、粒子状結着樹脂の含有量は、正極活物質100質量部当たり、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。粒子状結着樹脂の含有量を正極活物質100質量部当たり0.1質量部以上とすることにより、正極活物質同士や、複合粒子と集電体との結着性を高め、レート特性を高くすることができる。また、5質量部以下とすることにより、複合粒子を用いて得た正極を電気化学素子に適用した際に、粒子状結着樹脂によりイオンの移動が阻害されることを防止でき、電池の内部抵抗を小さくできる。
<その他の成分>
本発明のスラリー組成物は、上記成分の他に、例えば、補強材、分散剤、酸化防止剤、増粘剤、電解液の分解を抑制する機能を有する電解液添加剤などの成分を含有していてもよい。これらの他の成分は、公知のものを使用することができ、例えば、特開2012−204303号公報に記載のものを使用することができる。
これらその他の成分の中でも、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを使用し、スラリー組成物の粘度を調整することが好ましい。本発明のスラリー組成物において、カルボキシメチルセルロースの含有量は、正極活物質100質量部当たり、好ましくは1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。カルボキシメチルセルロースの含有量を上記の範囲とすることで、スラリー組成物の粘度を十分に安定化させることができる。
なお、カルボキシメチルセルロースは、水溶性の樹脂ではあるが、β−グルコースが縮合重合してなるセルロースの誘導体であるので、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂には該当しない。
<水分率>
本発明のスラリー組成物は、水分率が25質量%以下である必要がある。なお、本発明のスラリー組成物の水分率は、20質量%以上であることが好ましく、23質量%以上であることがさらに好ましい。水分率を25質量%以下とすれば、スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を製造する際に要する時間を短縮し、複合粒子の生産性を高めることができる。また、水分率を20質量%以上とすれば、スラリー組成物の粘度が増加し過ぎて複合粒子の製造時に噴霧乾燥を用いた乾燥造粒が困難になるのを抑制することができる。
<せん断速度が10s−1の時の粘度>
本発明のスラリー組成物は、せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下である必要がある。なお、本発明のスラリー組成物の粘度は、せん断速度が10s−1の時に、1500mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることが更に好ましい。せん断速度が10s−1の時の粘度を2000mPa・s以下とすれば、噴霧乾燥を用いた乾燥造粒により電気的特性の良好な複合粒子を効率的に製造することができる。
ここで、本発明のスラリー組成物において「せん断速度が10s−1の時の粘度」に着目したのは、スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を製造する際にスラリー組成物に通常かかるせん断力の大きさを考慮すると、せん断速度が10s−1の時の粘度が十分に小さければ噴霧乾燥により電気的特性の良好な複合粒子を効率的に得ることができるからである。
なお、スラリー組成物のせん断速度が10s−1の時の粘度は、例えば、スラリー組成物の水分率を増加させること、および、スラリー組成物中の各成分の分散性を向上させること(例えば、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂の配合量を増加させること等)により、低下させることができる。また、スラリー組成物のせん断速度が10s−1の時の粘度は、スラリー組成物中に配合する各成分を混合する順序などを調整することによっても制御することができる。
(正極用複合粒子の製造方法)
本発明の正極用複合粒子の製造方法では、上述した本発明の正極用複合粒子用のスラリー組成物を以下のようにして調製し、得られたスラリー組成物を噴霧乾燥して正極用複合粒子を製造する。
<スラリー組成物の調製>
本発明の正極用複合粒子の製造方法では、まず、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂とを含む混合物を混練して混練物を得た後(混練工程)、混練物に粒子状結着樹脂と水とを添加して上記スラリー組成物を調製する(スラリー調製工程)。
−混練工程−
混練工程では、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂とを含む混合物を、混練装置を用いて混練し、混練物を得る。混練時に使用する混練装置としては、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、サンドミル、ロールミル、2軸ロール、バンバリーミキサー、異方性2軸混練機および遊星式混練機などの分散混練装置が挙げられる。これらの中でも、せん断と練りとを効率的におこなうことができ、処理物のロス分が少なく、製造後の洗浄作業を容易におこなえることから、プラネタリーミキサーを使用することが好ましい。なお、上述したその他の成分をスラリー組成物中に配合する場合には、当該その他の成分も、混練工程において正極活物質、導電材および酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂と共に混練する。
なお、混練は、通常、室温〜80℃の範囲で、通常、20〜120分間、好ましくは30〜60分間行う。
ここで、混合物中に配合する酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂は、アンモニアおよび分子量が1000以下のアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種(以下、適宜、「低分子化合物X」と称する。)でアンモニウム塩とされていることが好ましい。このように、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂の酸性基の一部または全部がアンモニウム塩を形成していれば、後述するスラリー調製工程においてアルカリ性条件下でスラリー組成物を調製しても、水に対する水溶性樹脂の溶解度が高まり、水溶性樹脂のスラリー組成物中での均一な分散が可能となる。
なお、酸性官能基と結合したこれらの低分子化合物Xは、スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を形成する際に脱離するため、得られる複合粒子中においては、酸性官能基は、アンモニウム塩形成前の状態に戻る。
ここで、上記アミン化合物の分子量は1000以下であるが、乾燥造粒の際に気化を容易とするため、200以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。上記分子量が1000以下のアミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロノネン等の3級アミン;などが挙げられる。
低分子化合物Xとしては、上記アンモニアおよび分子量が1000以下のアミン化合物の中でも、アンモニアが特に好ましい。アンモニアは、乾燥造粒の際の気化が容易であると共に、アミンの塩などを使用した場合と異なり、気化した際に金属元素などの不純物が複合粒子中に残留しないからである。
なお、上記低分子化合物Xの配合量は、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂100質量部当たり、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは、0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。低分子化合物Xの量が酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂100質量部当たり0.01質量部以上であることによって、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂の水への溶解度を十分なものにすることができ、50質量部以下であることによって、乾燥造粒の際に、低分子化合物Xを安定的に気化させることができる。
また、上記混合物中には、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂を水溶液の状態で配合した場合には当該水溶液由来の水分が含まれる。また、混合物には、混練を容易にする観点から任意に水などの水系媒体が添加される。ここで、混合物を十分に混練する観点からは、混合物の水分率は10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以下であることが好ましく、17質量%以下であることが更に好ましい。混合物の水分率が上記範囲未満であると、混練時にせん断力が十分にかからない場合がある。また、水分率が上記範囲超であると、固形分同士が再凝集を起こす場合がある。
なお、混合物を十分に混練して導電材を良好に分散させることにより本発明の正極用複合粒子の製造方法に従って製造した複合粒子を用いて形成した正極の電気的特性を十分に高める観点からは、混合物は、50〜200MJ/mのエネルギーをかけて混練することが好ましい。なお、混合物にかけるエネルギーは、70MJ/m以上であることが更に好ましく、100MJ/m以上であることが特に好ましく、180MJ/m以下であることが更に好ましい。上記範囲内のエネルギーをかけて混合物を混練することにより、後述のスラリー調整工程において正極活物質および導電材の分散性が良好になるとともに、スラリーの粘度が低下する。
ここで、混合物にかけるエネルギーは、混合物の水分率や混練装置の攪拌翼の周速度によって制御されうる。混練装置の攪拌翼の周速度は、攪拌翼の形状や大きさなどによって異なるため一概にいえないが、例えばプラネタリーミキサーを用いた場合、攪拌翼の周速度は好ましくは0.1〜2m/s、より好ましくは0.7〜1m/sである。
−スラリー調製工程−
次に、スラリー調製工程では、混練工程で得た混練物に対して粒子状結着樹脂と水とを添加し、混合することにより、水分率が25質量%以下であり、且つ、せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下であるスラリー組成物を得る。ここで、粒子状結着樹脂を分散液の状態で配合する場合には、スラリー調製工程で添加する水には、分散液中の水も含まれる。
なお、混練物と、粒子状結着樹脂と、水との混合は、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどの混合機を用いて行うことができる。これらの中でも、スラリー調整と混練とを1台で効率的におこなうことができ、処理物のロス分が少なく、製造後の洗浄作業を容易におこなえることから、プラネタリーミキサーを用いることが好ましい。そして、混合は、通常、室温〜50℃の範囲で、10分〜数時間行う。
ここで、スラリー調製工程では、混練工程で得た混練物に対して粒子状結着樹脂と水とを添加しているので、スラリー組成物に配合する全ての成分を同時に混合してスラリー組成物を調製した場合よりも、スラリー組成物の粘度が低下する。また、導電材の分散性も良好になる。なお、スラリー調製工程では、添加する水の量を増やして水分率を高める、或いは、スラリー組成物中の各成分の分散性を向上させること(例えば、混練物中に含まれている酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂の量を増やすこと等)によっても、スラリー組成物の粘度を低下させることができる。
<複合粒子の製造>
そして、本発明の正極用複合粒子の製造方法では、スラリー調製工程で得られたスラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を製造する(造粒工程)。なお、スラリー組成物の水分率は25質量%以下なので、造粒工程ではスラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を製造する際に要する時間を短縮することができる。また、正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂との混練物に対して粒子状結着樹脂と水とを添加し、スラリー組成物の、せん断速度が10s−1の時の粘度を2000mPa・s以下としているので、電気的特性の良好な複合粒子を効率的に製造することができる。
ここで、得られる正極用複合粒子の平均粒子径は、好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。正極用複合粒子の平均粒子径を30μm以上とすることにより、複合粒子の比表面積が大きくなりすぎることによる電解液の分解を防ぎ、200μm以下とすることにより、正極の製造に用いた際に単位容積あたりの複合粒子の充填率が向上し、十分な電池容量を得ることができる。なお、複合粒子の平均粒子径としては、50%体積平均粒径を用いる。
そして、本発明の正極用複合粒子は、一つの粒子内に、正極活物質および導電材が粒子状結着樹脂を介して結合され、且つ、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂が、正極活物質、導電材および粒子状結着樹脂の間または周囲に存在する構造を有する。また、正極活物質が被覆材料で被覆されている場合には、被覆された正極活物質同士、或いは、被覆された正極活物質と被覆された正極活物質の被覆材料層に含まれない導電材とが粒子状結着樹脂を介して結合され、且つ、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂が、被覆された正極活物質、導電材および粒子状結着樹脂の間または周囲に存在する構造を有する。
そのため、正極用複合粒子では、導電材が連続構造を形成し、それに伴う導電パスを形成することにより抵抗を引き下げることができる。また、正極活物質としてNi含有正極活物質を使用した場合であっても、正極活物質から溶出したアルカリ性の腐食物質を、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂の酸性官能基由来のプロトン(H)により中和することができる。更に、被覆した正極活物質を用いている場合には、被覆材料層によりNi含有正極活物質からの腐食物質の溶出自体を抑制することもできる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。また、以下に説明する操作は、特に断らない限り、常温常圧の環境下において行った。
以下では、各特性を下記の方法に従って評価した。評価結果を表1に示す。
[スラリー組成物の粘度]
製造したスラリーの粘度を、温度25℃、せん断速度10s−1の条件下、二重円筒型回転粘度計で測定した。
[正極用複合粒子の生産性]
正極用複合粒子を製造した際の生産性を下記の基準で評価した。具体的には、正極用複合粒子の製造に要した時間と、得られた正極用複合粒子を用いて製造したラミネート型セルの電気的特性(下記の[レート特性])との双方を用いて、生産性を下記の基準で評価した。
A:製造に要する時間が短く、且つ、レート特性の評価結果がA
B:製造に要する時間が短く、且つ、レート特性の評価結果がB
C:製造に要する時間が中程度であり、且つ、レート特性の評価結果がAまたはB
D:製造に要する時間が長い、および/または、レート特性の評価結果がC若しくはD
[レート特性]
製造したラミネート型セルを用いて、25℃で0.1Cの定電流で4.2Vまで充電し、0.1Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電サイクルと、25℃で0.1Cの定電流で4.2Vまで充電し、2.0Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電サイクルとを、それぞれ行った。0.1Cにおける電池容量に対する2.0Cにおける放電容量の割合を百分率で算出して充放電レート特性とした。
なお、0.1Cにおける電池容量は、0.1Cの定電流で3.0Vまで放電したときの放電容量のことをいい、2.0Cにおける放電容量は、2.0Cの定電流で3.0Vまで放電したときの放電容量のことをいう。
充放電レート特性を、下記の基準で評価した。充放電レート特性の値が大きいほど、内部抵抗が小さく、高速充放電が可能であることを示す。
A:充放電レート特性が75%以上
B:充放電レート特性が70%以上75%未満
C:充放電レート特性が65%以上70%未満
D:充放電レート特性が65%未満
[低温出力特性]
作製したラミネート型セルを用い、25℃で0.1Cの定電流で充電深度(SOC)50%まで充電し、電圧V0を測定した。その後、−10℃で1.0Cの定電流で10秒間放電し、電圧V1を測定した。これらの測定結果から、電圧降下ΔV=V0−V1を算出した。
算出された電圧降下ΔVを、下記の基準で評価した。電圧降下ΔVの値が小さいほど、低温出力特性に優れることを示す。
A:電圧降下ΔVが120mV以上140mV未満
B:電圧降下ΔVが140mV以上160mV未満
C:電圧降下ΔVが160mV以上180mV未満
D:電圧降下ΔVが180mV以上
酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂1〜3および粒子状結着樹脂1,2を、以下のようにして製造した。
[酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂1の製造]
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えた容量1LのSUS製セパラブルフラスコに、酸性官能基含有単量体としてメタクリル酸を32.5部、架橋性単量体としてエチレンジメタクリレートを0.8部、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体として2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートを7.5部、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてブチルアクリレートを58.0部、反応性界面活性剤単量体としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(花王社製「ラテムルPD−104」)を固形分相当で1.2部、t−ドデシルメルカプタンを0.6部、イオン交換水を150部、および重合開始剤として過硫酸カリウムを0.5部加え、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止し、酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む混合物を得た。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む混合物に、10%アンモニア水を添加(アンモニアの量が、酸性官能基含有水溶性樹脂1の100部当たり1.5部)して、pH8に調整し、酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を得た。
[酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂2の製造]
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えた容量1LのSUS製セパラブルフラスコに、酸性官能基含有単量体としてジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェートを20部、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体として2,2,2−トリフルオロメチルメタクリレートを2.5部、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてブチルアクリレートを77.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0部、イオン交換水を150部、および重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を加え、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止し、酸性官能基含有水溶性樹脂2を含む混合物を得た
上記酸性官能基含有水溶性樹脂2を含む混合物に、10%アンモニア水を添加(アンモニアの量が、酸性官能基含有水溶性樹脂2の100部当たり1.5部)してpH8に調整し、酸性官能基含有水溶性樹脂2を含む水溶液を得た。
[酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂3の製造]
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えた容量1LのSUS製セパラブルフラスコに、脱塩水を予め仕込み十分攪拌した後、70℃とし、過硫酸カリウム水溶液0.2部を添加した。
また別の攪拌機付き5MPa耐圧容器に、酸性官能基含有単量体としてメタクリル酸を30部および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を2.5部と、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてエチルアクリレート35部およびブチルアクリレート32.5部と、乳化剤として濃度30%のドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムを固形分相当0.115部と、イオン交換水50部と、炭酸水素ナトリウム0.4部とからなる混合物とを仕込み、十分攪拌してエマルジョン水溶液を調製した。
得られたエマルジョン水溶液を、前記のセパラブルフラスコに4時間に亘って連続的に滴下した。重合転化率が90%に達したところで反応温度を80℃とし、更に2時間反応を実施した後、重合転化率が99%になった時点で冷却して反応を停止し、酸性官能基含有水溶性樹脂3を含む混合物を得た。
上記酸性官能基含有水溶性樹脂3を含む混合物に、10%アンモニア水を添加(アンモニアの量が、酸性官能基含有水溶性樹脂3の100部当たり1.5部)してpH8に調整し、酸性官能基含有水溶性樹脂3を含む水溶液を得た。
[粒子状結着樹脂1の製造]
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えた容量1LのSUS製セパラブルフラスコに、イオン交換水を130部加え、更に重合開始剤として過硫酸アンモニウムを0.8部、イオン交換水を10部加え、80℃に加温した。
また別の攪拌機付き容器に、(メタ)アクリル酸エステル単量体として2−エチルヘキシルアクリレートを76部、α,β−不飽和ニトリル単量体としてアクリロニトリルを20部、酸性官能基含有単量体としてイタコン酸を4.0部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2.0部、イオン交換水を377部加え、十分に攪拌してエマルションを調製した。
上記で得られたエマルションを、前記セパラブルフラスコに3時間かけて連続的に添加した。更に2時間反応した後、冷却して反応を停止した。ここに10%アンモニア水を添加してpH7.5に調整し、粒子状結着樹脂1の水分散液を得た。重合転化率は98%であった。なお、得られた粒子状結着樹脂1のガラス転移温度は−30℃、体積平均粒径は150nmであった。
[粒子状結着樹脂2の製造]
2−エチルヘキシルアクリレートを78部とし、イタコン酸4.0部をメタクリル酸2.0部に代えた以外は、粒子状結着樹脂1と同様に粒子状結着樹脂2の水分散液を得た。重合転化率は98%であった。なお、得られた粒子状結着樹脂2のガラス転移温度は−40℃、体積平均粒径は200nmであった。
[実施例1]
以下の手順で、実施例1のスラリー組成物、複合粒子および二次電池を製造した。
(a)スラリー組成物の製造
上記で得られた粒子状結着樹脂1の水分散液の濃度を調整し、40%水分散液とした。
ディスパー付プラネタリーミキサーに、LiMnO−LiNiO系固溶体正極活物質を100部、アセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を4.0部、前記酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を固形分相当で2.0部、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬社製「BSH−6」)を固形分相当で2.0部加え、イオン交換水で全固形分濃度が85%(水分率15%)となるように調製して混合物を得た。得られた混合物を、プラネタリーミキサーを用いて、周速0.8m/sの攪拌速度、温度25℃で60分間混練した。このとき、混合物にかけたエネルギーは120MJ/mであった。そこに、前記粒子状結着樹脂1の40%水分散液を固形分相当で2.0部加え、イオン交換水で全固形分濃度が75%(水分率25%)となるように調製して混合し、スラリー組成物を得た。得られたスラリー組成物の粘度を上記の方法で測定したところ、880mPa・sであった(表1中、このスラリー組成物の製法をαと表記する)。
(b)正極用複合粒子の製造
上記で得たスラリー組成物を、スプレー乾燥機(大川原化工機社製「OC−16」)に供給し、回転円盤方式のアトマイザー(直径65mm)を用いて回転数25000rpm、熱風温度150℃、粒子回収出口温度90℃の条件で噴霧乾燥し、正極用複合粒子1を得た。体積平均粒径は67μmであった。
(c)正極の製造
上記で得られた正極用複合粒子1を、定量フィーダ(ニッカ社製「ニッカスプレーK−V」)を用いてロールプレス機(ヒラノ技研工業社製「押し切り粗面熱ロール」)のプレス用ロール(ロール温度100℃、プレス線圧500kN/m)に供給した。プレス用ロール間に、厚さ20μmのアルミニウム箔を挿入し、定量フィーダから供給された上記正極用複合粒子1をアルミニウム箔(集電体)上に付着させ、成形速度1.5m/分で加圧成形し、正極活物質層を有する正極を得た。
(d)負極用のスラリー組成物の製造
ディスパー付きプラネタリーミキサーに、負極活物質として比表面積4m/gの人造黒鉛(平均粒子径:24.5μm)を100部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬社製「BSH−12」)を固形分相当で1部加え、イオン交換水で全固形分濃度が52%になるよう調整して攪拌混合し、混合液を得た。
上記混合液に、スチレン−ブタジエン共重合体(ガラス転移点温度が−15℃)を含む40%水分散液を固形分相当量で1.0部加え、イオン交換水で全固形分濃度が50%となるように調整して混合した。これを減圧下で脱泡処理し、負極用のスラリー組成物を得た。
(e)負極の製造
上記で得られた負極用のスラリー組成物を、コンマコーターを用いて厚さ20μmの銅箔の上に乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理し、負極原反を得た。この負極原反をロールプレスで圧延し、負極活物質層を有する負極を得た。
(f)セパレーターの用意
単層のポリプロピレン製セパレーター(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm、乾式法により製造、気孔率55%)を、5cm×5cmの正方形に切り抜いた。
(g)リチウムイオン二次電池の製造
電池の外装として、アルミニウム包材外装を用意した。上記で得られた正極を、4cm×4cmの正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミニウム包材外装に接するように配置した。正極活物質層の面上に、上記で得られた正方形のセパレーターを配置した。さらに、上記で得られた負極を、4.2cm×4.2cmの正方形に切り出し、これをセパレーター上に、負極活物質層側の表面がセパレーターに向かい合うよう配置した。更に、ビニレンカーボネートを2.0%含有する、濃度1.0MのLiPF溶液を充填した。このLiPF溶液の溶媒はエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/EMC=3/7(体積比))である。さらに、アルミニウム包材の開口を密封するために、150℃でヒートシールをしてアルミニウム外装を閉口し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池(ラミネート型セル)を製造した。
このラミネート型セルを用いてレート特性、低温出力特性を評価した。
[実施例2]
LiMnO−LiNiO系固溶体正極活物質に代えてLiCoOを使用した以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度940mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径65μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例3]
酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液に代えて、酸性官能基含有水溶性樹脂2を含む水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度1050mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径72μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例4]
酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液に代えて、酸性官能基含有水溶性樹脂3を含む水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度1200mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径63μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例5]
酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を固形分相当で5.0部とし、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度650mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径65μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例6]
酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を固形分相当で3.0部とし、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液を固形分相当で1.0部とした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度720mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径68μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例7]
酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を固形分相当で1.0部とし、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液を固形分相当で3.0部とした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度1150mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径71μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例8]
粒子状結着樹脂1の40%水分散液を粒子状結着樹脂2の40%水分散液とした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度930mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径63μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例9]
スラリー組成物を調製する際にイオン交換水で全固形分濃度が77%(水分率23%)となるようにした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度1500mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径65μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例10]
スラリー組成物を調製する際にイオン交換水で全固形分濃度が79%(水分率21%)となるようにした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度1900mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径63μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例11]
混合物を混練する際の攪拌速度を周速0.6m/sとし、混合物にかけたエネルギーを90MJ/mとした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度1200mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径65μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[比較例1]
酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を使用せず、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液を固形分相当で3.0部とした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度2400mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径78μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[比較例2]
スラリー組成物を調整する際にイオン交換水で全固形分濃度が60%(水分率40%)となるようにした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度520mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径61μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[比較例3]
混合物を調整する際にイオン交換水で全固形分濃度が75%(水分率25%)となるようにし、スラリー組成物を調整する際にイオン交換水で全固形分濃度が73%(水分率27%)となるようにし、更に、混合物を混練する際のエネルギーを15MJ/mとした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度3550mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径75μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
[比較例4]
ディスパー付プラネタリーミキサーに、LiMnO−LiNiO系固溶体正極活物質を100部、アセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を4.0部、前記酸性官能基含有水溶性樹脂1を含む水溶液を固形分相当で2.0部、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬社製「BSH−6」)を固形分相当で2.0部、粒子状結着樹脂1の40%水分散液を固形分相当で2.0部を加え、イオン交換水で全固形分濃度が75%(水分率25%)となるように調製し、混合してスラリー組成物を得た以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度3700mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径69μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した(表1中、このスラリー組成物の製法をβと表記する)。
[比較例5]
スラリー組成物を調製する際にイオン交換水で全固形分濃度が82%(水分率18%)となるようにした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物(粘度6100mPa・s)および正極用複合粒子(体積平均粒径61μm)を製造し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。
Figure 0006287097
表1より、実施例1〜11では、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂を含有しないスラリー組成物を用いた比較例1、水分率が40質量%のスラリー組成物を用いた比較例2、水分率が27質量%のスラリー組成物を使用した比較例3、製法βに従い複合粒子を製造した比較例4およびせん断速度が10s−1の時の粘度が6100mPa・sのスラリー組成物を使用した比較例5と比較し、高い生産性で複合粒子を製造し得ることが分かる。
特に、実施例1、3、6、7の複合粒子を用いて正極を形成したリチウムイオン二次電池は、レート特性および低温出力特性にも優れていた。
本発明によれば、固形分濃度が高くても噴霧乾燥を用いた乾燥造粒により電気的特性の良好な正極用複合粒子を得ることが可能なスラリー組成物、および、生産性の高い正極用複合粒子の製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂と、粒子状結着樹脂とを含有し、
    水分率が25質量%以下であり、
    せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下である、
    水系のスラリー組成物であって、
    前記酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂が、スルホン酸基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位およびリン酸基含有単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含み、
    前記粒子状結着樹脂が、水系媒体に分散しうる粒子状結着樹脂である、
    正極用複合粒子用のスラリー組成物。
  2. 前記正極活物質が、LiMnO−LiNiO系固溶体正極活物質である、請求項1に記載の正極用複合粒子用のスラリー組成物。
  3. 前記粒子状結着樹脂が、炭素数6〜15の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、α,β−不飽和ニトリル単量体単位およびカルボキシル基含有単量体単位を含む、請求項1または2に記載の正極用複合粒子用のスラリー組成物。
  4. 前記粒子状結着樹脂が、二塩基酸単量体単位を含む、請求項1〜のいずれかに記載の正極用複合粒子用のスラリー組成物。
  5. 正極活物質と、導電材と、酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂とを含む混合物を混練して混練物を得る混練工程と、
    前記混練物に粒子状結着樹脂と水とを添加して、水分率が25質量%以下であり、且つ、せん断速度が10s−1の時の粘度が2000mPa・s以下であるスラリー組成物を得るスラリー調製工程と、
    前記スラリー組成物を噴霧乾燥して複合粒子を得る造粒工程と、
    を含み、
    前記酸性官能基含有単量体単位を含む水溶性樹脂が、スルホン酸基含有単量体単位、カルボキシル基含有単量体単位およびリン酸基含有単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含み、
    前記粒子状結着樹脂が、水系媒体に分散しうる粒子状結着樹脂である、
    正極用複合粒子の製造方法。
  6. 前記混練工程において、50〜200MJ/mのエネルギーをかけて前記混合物を混練することを特徴とする、請求項に記載の正極用複合粒子の製造方法。
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