JP6286170B2 - ハブダイナモ - Google Patents

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Description

この発明は、ハブダイナモに関するものである。
自転車の前照灯や尾灯等の照明装置等に電力を供給するため、車輪の回転によって発電する発電機が広く普及している。このような発電機には様々な構造のものが存在するが、車輪軸に取り付けられる、いわゆるハブダイナモが知られている。
ハブダイナモは、車輪軸側に固定されるステータユニット(ステータ)と、車輪軸周りに回転自在となるように構成されたロータとを備えている。
ステータユニットは、車輪軸の外周側に外嵌されコイル室を形成する一対の主鉄心と、一対の主鉄心の間に配置されてコイル室を仕切る複数の副鉄心と、コイル室に巻回されるコイル(巻線)と、により構成されている。コイルの端末部は、シャフトに沿って引き出され、前照灯や尾灯等の照明装置等に電気的に接続されている。
一方、ロータは、車輪軸およびステータの周囲を覆うように筒状に形成され、内周面に永久磁石が設けられている。
このような構成のもと、車輪が回転すると、この車輪と一体となってロータが回転し、永久磁石がステータユニットの周りを回転する。永久磁石が回転することにより、ステータユニットを通過する磁束のN極とS極の向きの切り替わりが繰り返される交番磁束が発生し、コイルに電流が流れて発電が行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−152868号公報
ところで、上述の従来技術のように、ハブダイナモが単相交流発電機として構成されているものの他に、車輪軸側に2つのステータユニットを並列に固定し、それぞれのステータユニットに巻回されているコイルから電流を得る2相交流発電機として構成されるハブダイナモが考えられる。この場合、各ステータユニットに巻回されているコイルの端末部は、デザイン性やハブダイナモの機能確保の観点などから、全て同一方向に引き出して前照灯や尾灯等の照明装置等に電気的に接続することが望ましい。
しかしながら、2つのステータユニットのうち、コイルの引出方向とは反対側に配置された一方のステータユニットから引き出されるコイルは、他方のステータユニットを越えて引き出さなければならず、デザイン性やハブダイナモの機能を損なうという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数のステータユニットを有する場合であっても、デザイン性や機能を損なうことなく、各ステータユニットに巻回されているコイルを全て同一方向に引き出すことができるハブダイナモを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るハブダイナモは、車輪と共に回転し、内周面に磁極が形成されている筒部を有するロータと、前記筒部の内側に配置され、第1のコイルを有する第1のステータユニット、および第2のコイルを有する第2のステータユニットの少なくとも2つのステータユニットと、各コイルの径方向内側を貫通するように設けられ、かつ各ステータユニットが外嵌固定される車輪軸と、を備えたハブダイナモにおいて、前記第1のステータユニットは、前記第2のコイルおよび前記第2のコイルに接続されたリード線の何れか一方が配索される配線部を有し、前記第1のステータユニットは、前記第1のコイルが巻回される筒状の胴体部を有するボビンと、前記車輪軸と前記胴体部との間に配置される筒状のコアと、前記コアと磁気的に接続されるように、かつ前記筒部と径方向で対向するように設けられたランドルユニットと、を有し、前記コアに、前記車輪軸の軸方向に沿ってスリット部を形成すると共に、前記ボビンに、前記スリット部に嵌り前記胴体部の外表面と連通している連通部を形成し、前記連通部と前記スリット部とを協働して前記配線部として機能させて、前記配線部、前記胴体部の内側に、前記第1のステータユニットを連通するようにしたことを特徴とする。
このように構成することで、第1のステータユニットの第2のステータユニット側とは反対側に、配線部を介して第2のコイルを引き出すことができる。このため、ハブダイナモのデザイン性や機能を損なうことなく、各ステータユニットに巻回されているコイルの端末部を全て同一方向に引き出すことができる。
また、胴体部に巻回されるコイルの占積率を低下させることなく、各ステータユニットに巻回されているコイルの端末部を全て同一方向に引き出すことができる。
また、簡素な構造で配線部を設けることができる。また、コイルの配索経路を最短経路とすることができる。また、車輪軸に対してボビンが回ってしまうことを防止できると共に、ボビンの位置決めを容易に行うことができる。また、胴体部に巻回されたコイルを、連通部に容易に引き回すことができる。
本発明に係るハブダイナモにおける前記ランドルユニットは、前記コアの軸方向一端側から組み付けられる第1のランドルと、前記コアの軸方向他端側から組み付けられる第2のランドルと、により構成され、前記第1のランドルは、前記コアの軸方向一端に接触する第1の側板部と、前記第1の側板部の外周縁から前記コアの軸方向他端側に向かって延出し、前記筒部と径方向で対向する複数の第1のティース部と、を有し、前記第2のランドルは、前記コアの軸方向他端に接触する第2の側板部と、前記第2の側板部の外周縁から前記コアの軸方向一端側に向かって延出し、前記筒部と径方向で対向する複数の第2のティース部と、を有し、前記第1のランドルと、前記第2のランドルは、前記第1のティース部と前記第2のティース部とが周方向で交互に配置されるように設けられており、前記第1の側板部に、前記第2のコイルを挿通可能な第1の通路部を形成すると共に、前記第2の側板部に、前記第2のコイルを挿通可能な第2の通路部を形成し、かつ、これら第1の通路部と第2の通路部は、軸方向で重なり合うように配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、各側板部からスムーズにコイルを引き出すことができ、局所的にコイルが折れ曲がったりすることを防止でき、コイルをスムーズに配索することができる。
本発明に係るハブダイナモは、前記第1のティース部と前記第2のティース部の総個数をSAとしたとき、前記第1の通路部は、その周方向の中心が、前記第1のティース部の周方向の中心から360/(SA×2)度ずれた位置に配置されていると共に、前記第2の通路部は、その周方向の中心が、前記第2のティース部の周方向の中心から360/(SA×2)度ずれた位置に配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、第1のランドルと第2のランドルを同一形状としても、これら2つのランドルをランドルユニットとして組み立てた際、第1の通路部と第2の通路部とを軸方向で重ね合わせることができる。このため、部品の共通化が図れ、ハブダイナモの製造コストを低減できると共に、ハブダイナモの組立性を向上できる。
本発明に係るハブダイナモは、前記配線部に、リード線ユニットを配置し、前記リード線ユニットは、前記リード線と、このリード線を被覆する絶縁性を有する被覆部と、を有し、前記リード線の一端が、前記第2のコイルに接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、第1のステータユニットに前記第2のコイルを配索する必要がなくなり、ハブダイナモの組立作業性を向上させることができる。
本発明に係るハブダイナモは、前記第2のステータユニットは、前記配線部を有することを特徴とする。
このように構成することで、第1のステータユニットと第2のステータユニットとを同一構造とすることができ、部品点数を削減できると共に、部品管理を容易にすることができる。
また、第2のコイルを、第1のステータユニットとは反対側に引き出すことができる。そして、第1のステータユニットとは反対側に引き出された第2のコイルとリード線とを接続することも可能になり、第2のコイルの引き回しを簡略化でき、ハブダイナモの組立作業性をさらに向上させることができる。
本発明によれば、第1のステータユニットの第2のステータユニット側とは反対側に、配線部を介して第2のコイルを引き出すことができる。このため、ハブダイナモのデザイン性や機能を損なうことなく、各ステータユニットに巻回されているコイルの端末部を全て同一方向に引き出すことができる。
また、胴体部に巻回されるコイルの占積率を低下させることなく、各ステータユニットに巻回されているコイルの端末部を全て同一方向に引き出すことができる。
また、簡素な構造で配線部を設けることができる。また、コイルの配索経路を最短経路とすることができる。また、車輪軸に対してボビンが回ってしまうことを防止できると共に、ボビンの位置決めを容易に行うことができる。また、胴体部に巻回されたコイルを、連通部に容易に引き回すことができる。
本発明の第1実施形態におけるハブダイナモの取付概要図である。 本発明の第1実施形態におけるハブダイナモの側面図である。 本発明の第1実施形態におけるハブダイナモの断面図である。 本発明の第1実施形態におけるステータの斜視図である。 本発明の第1実施形態における第1のステータユニットのボビンおよびステータコアの斜視図である。 図5のA矢視図である。 本発明の第1実施形態における第1のランドルの斜視図である。 本発明の第1実施形態における第1のランドルを軸方向からみた平面図である。 本発明の第1実施形態の変形例におけるボビンの斜視図である。 本発明の第2実施形態におけるハブダイナモの断面図である。 本発明の第2実施形態におけるリード線ユニットの側面図である。
(第1実施形態)
次に、この発明の第1実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1は、ハブダイナモ10の取付概要図である。なお、以下の説明では、本発明に係るハブダイナモ10を自転車1の車輪軸11に取り付け、自転車1の前照灯4に電力を供給する場合について説明する。この前照灯4には、ランプとして、フィラメント式の電球やLEDランプを採用することができる。ランプの駆動回路には、ハブダイナモ10の出力を整流し合成する回路が組み込まれている。
(ハブダイナモの取付態様)
図1に示すように、自転車1の前輪5は、フレームの一部を構成するフロントフォーク3により車輪軸11を介して回転可能に軸支されている。車輪軸11は、両側がフロントフォーク3にナット(不図示)等により回転不能に締結固定されている。車輪軸11の軸方向中央の大部分には、ハブダイナモ10が車輪軸11と同軸に取り付けられている。このハブダイナモ10は、前輪5の側方に配置された前照灯4に電力を供給している。
ハブダイナモ10は、前輪5のスポーク2に接続されて前輪5と共に車輪軸11の周囲を回転するロータ12と、ロータ12の内周側に位置する状態で車輪軸11に回転不能に取り付けられたステータ13と、を備えている。
以下、車輪軸11の中心軸Oの軸方向を単に軸方向といい、軸方向に直交する方向を径方向といい、中心軸O周りに沿った方向を周方向という。なお、車輪軸11のうち、少なくともステータ13が取り付けられた部分よりも軸方向外側に位置する部分には、雄ねじ部11aが形成されている。
(ロータ)
図2は、ハブダイナモ10の側面図、図3は、ハブダイナモ10の断面図である。
図2、図3に示すように、ロータ12は、ハブシェル100を主体に構成されている。ハブシェル100は、円筒状の胴部61と、胴部61の軸方向両端開口を塞ぐ第1のエンドプレート70および第2のエンドプレート80と、からなる。
図3に示すように、胴部61の軸方向一方P側(図3における左側)の開口は、製作時には開放されており、その開口を塞ぐように、胴部61と別体に製作された第2のエンドプレート80が、所定の組立工程後に胴部61の軸方向一方P側の端部に圧入固定されている。
胴部61の軸方向他方Q側(図3における右側)の開口は、胴部61と一体に形成された第1のエンドプレート70により製作時から閉塞されている。円筒状の胴部61と、胴部61の軸方向他方Q側の開口を塞ぐ第1のエンドプレート70とは、一体部品のハブシェル本体60として製作されている。ハブシェル本体60と、それと別体の第2のエンドプレート80は、それぞれに一定厚の磁性金属板(主に鉄板)をプレス成形することで製作されている。
ハブシェル本体60の胴部61の軸方向両端部外周には、径方向外側に向かって張り出す左右一対のフランジ部62が形成されている。各フランジ部62は、プレス成形の際に素材である金属板をU字形に折り返し、軸方向内側のフランジ板62aと軸方向外側のフランジ板62bとを互いに密着状態で重ね合わせることで形成されている。各フランジ部62には、軸方向に貫通する支持孔63が周方向に等間隔で複数形成されている。
支持孔63には、図1に示すように、前輪5のリム5aから内径側に延在する複数のスポーク2の内側端部が係合されている。なお、左右のフランジ部62の支持孔63は、半ピッチ分だけ位相がずれて配置されている。
胴部61の軸方向他方Q側の開口を閉塞する第1のエンドプレート70は、軸方向外側(Q側)に円錐形に膨らんだ環状の側壁71と、この側壁71の内周縁で軸方向内側(P側)に折れ曲がった円筒状のベアリング嵌合壁73と、このベアリング嵌合壁73の軸方向内側(P側)端で径方向内側に折れ曲がったベアリング押え壁74と、前記側壁71の外周縁から径方向外側に向けて連設されたフランジ部75と、を有している。
このフランジ部75が、胴部61の軸方向他方Q側のフランジ部62の外側のフランジ板62bと一体に連続していることで、胴部61と第1のエンドプレート70とが一体化されている。これにより、一体部品としてのハブシェル本体60が構成される。
また、胴部61の軸方向一方P側の開口を閉塞する第2のエンドプレート80は、環状の側壁81と、この側壁81の内周縁で軸方向内側(Q側)に折れ曲がった円筒状のベアリング嵌合壁83と、このベアリング嵌合壁83の軸方向内側(Q側)端で径方向内方に折れ曲がったベアリング押え壁84と、側壁81の外周縁で軸方向内側(Q側)に折れ曲がった円筒状の圧入嵌合壁85と、を有している。
第2のエンドプレート80は、この円筒状の圧入嵌合壁85を、ハブシェル本体60の胴部61の軸方向一方P側の開口の内周に圧入嵌合させることで、胴部61に固定されている。
第1のエンドプレート70および第2のエンドプレート80のベアリング嵌合壁73,83の径方向内側は、同軸上に位置する貫通孔72,82として開口しており、これら貫通孔72、82を画成するベアリング嵌合壁73,83の内周に、ベアリング(軸受)21、22がそれぞれ嵌合されている。そして、ハブシェル100を主体として構成されるロータ12は、ベアリング21,22を介して車輪軸11に回転可能に支持されることで、前輪5の回転と共に車輪軸11を中心に回転するようになっている。すなわち、ロータ12は、前輪5を回転可能に支持するハブとして機能している。
ハブシェル本体60の胴部61の内周には、例えばフェライト等により形成された永久磁石19が配置されている。永久磁石19の外周面の曲率半径は、胴部61の内周面の半径と同等に設定されており、永久磁石19は、ヨークを介さずに磁性材料製の胴部61の内周に直接密着した状態で配置され、例えば接着剤等により貼付されている。永久磁石19を、胴部61の内周面に沿って円筒状に配置することで、永久磁石19はステータ13の外周面全体を覆っている。なお、永久磁石19は、周方向に複数に分割された状態で胴部61の内周に組み込まれている。
この円筒状に配置された永久磁石19の内周面には、N極およびS極の磁極が周方向に沿って交互に着磁されている。具体的には、N極およびS極がそれぞれ10極ずつ、合計20極の磁極が交互にN極およびS極が並ぶように着磁されている。
(ステータ)
図4は、ステータ13の斜視図である。
図3、図4に示すように、ステータ13は、クローポール型の第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとを車輪軸11の軸方向に組み合わせることで構成されており、第1のステータユニット20AはA相の交番電流・電圧を出力し、第2のステータユニット20BはB相の交番電流・電圧を出力するようになっている。
各ステータユニット20A,20Bは、車輪軸11に外嵌固定されている筒状のステータコア91と、ステータコア91に外嵌固定されているボビン92と、ボビン92に環状に巻回されているコイル93と、各ボビン92の軸方向両端側からこのボビン92の周囲を覆うように形成されたランドルユニット94と、をそれぞれ備えている。なお、第1のステータユニット20Aと、第2のステータユニット20Bは、それぞれほぼ同一に構成されているので、以下の第1実施形態では、第1のステータユニット20Aについて主に説明し、必要に応じて、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの相違点について説明する。
図5は、第1のステータユニット20Aのボビン92およびステータコア91の斜視図、図6は、図5のA矢視図である。
図5、図6に示すように、ステータコア91は、磁性を有する板材を断面略C字状に湾曲させて円筒状にしたものである。これにより、ステータコア91には、軸方向に沿うスリット部91aが形成されている。
ボビン92は、ステータコア91に外嵌固定される筒状の胴体部92aと、胴体部92aの軸方向両端に一体形成されている一対の外フランジ部92b,92cとが一体成形されたものである。そして、胴体部92aの外周面と一対の外フランジ部92b,92cの内側面とにより形成される収納凹部95内に、コイル93が環状に巻回されている。
また、胴体部92aの内周面には、ステータコア91のスリット部91aに対応する箇所に、連通部96が軸方向に沿って一体成形されている。連通部96は、スリット部91aに嵌り込み可能なように四角筒状に形成されており、その内側にコイル93を2本分挿通することができるようになっている。
ここで、ステータコア91のスリット部91aおよびボビン92の連通部96の位置は、ランドルユニット94に形成されている後述の第1スリット部103aに対応している。これにより、連通部96にコイル93を挿通することができる(詳細は後述する)。
なお、第2のステータユニット20Bのボビン92には、連通部96が形成されていない。
さらに、一対の外フランジ部92b,92cには、それぞれ径方向に沿ってスリット部97a,97bが形成されている。スリット部97a,97bは、収納凹部95に巻回されたコイル93をボビン92の軸方向外側に向かって引き出すためのものであって、各外フランジ部92b,92cの外周縁から胴体部92aのやや手前に至る間に形成されている。また、スリット部97a,97bは、連通部96とは周方向でずれた位置に形成されている。
また、一対の外フランジ部92b,92cの外側面には、それぞれ断面略半円形状の位置決め凸部98a,98bが3つずつ形成されている。軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されている3つの位置決め凸部98a、および軸方向他方Q側の外フランジ部92cに形成されている3つの位置決め凸部98bは、それぞれ周方向に等間隔に配置されている。これら位置決め凸部98a,98bは、ランドルユニット94の位置決めを行うためのものである。
ここで、軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aおよび位置決め凸部98aの位置と、軸方向他方Q側の外フランジ部92cに形成されているスリット部97bおよび位置決め凸部98bの位置は、軸方向で重なり合う位置に設定されておらず、周方向にずれて配置されている(詳細は後述する)。これは、ランドルユニット94を構成する2つのランドル94a,94bをそれぞれ別々に位置決めするためである。以下、ランドルユニット94について詳述する。
図7は、ランドルユニット94を構成する第1のランドル94aの斜視図、図8は、第1のランドル94aを軸方向からみた平面図である。
ここで、ランドルユニット94は、ボビン92の軸方向一方P側(図3参照)から取り付けられる第1のランドル94aと、ボビン92の軸方向他方Q側(図3参照)から取り付けられる第2のランドル94bと、により構成されている。なお、2つのランドル94a,94bは、それぞれ同一形状であるので、以下の説明では、第1のランドル94aについてのみ説明し、第2のランドル94bについては、必要に応じて説明する。
図7、図8に示すように、第1のランドル94aは、ボビン92の軸方向一方P側(図5参照)の外フランジ部92bおよびステータコア91の軸方向一方P側に当接する略円板状の側板部101と、側板部101の外周縁から軸方向に沿って屈曲延出する複数のティース部102(102−1)とが一体成形されたものである。ティース部102(102−1)の軸方向の長さは、ボビン92の軸方向の長さとほぼ同一になるように設定されている。
ここで、ティース部102の数Aは、ロータ12の永久磁石19の磁極数をPとしたとき、
A=P/2・・・(1)
を満たすように設定されている。本第1実施形態では、磁極数Pは20極に設定されているので、ティース部102の数Aは、
A=P/2=20/2=10個
に設定されている。
また、複数のティース部102(102−1)は、周方向に等間隔に配置されており、ロータ12の永久磁石19と径方向で空隙を介して対応するようになっている。また、ティース部102(102−1)は、周方向に隣接する2つのティース部102(102−1)間に、第2ランドル94bのティース部102(102−2)が介装可能な大きさに形成されている。
側板部101の外周縁には、周方向で隣接するティース部102間に、U字溝101aが形成されている。これにより、側板部101とティース部102との接続部に、局所的な応力がかかることが防止できると共に、第1のランドル94aの側板部101に、第2のランドル94bのティース部102(102−2)が接触してしまうことを防止できる。
また、側板部101の径方向中央には、車輪軸11を挿通可能な挿通孔101bが形成されている。さらに、側板部101には、挿通孔101bの周囲に、複数(本第1実施形態では、5個)のスリット103が周方向に等間隔で形成されている。
図8に詳示するように、スリット103は、第1のランドル94aに流れる渦電流を抑制する役割を有すると共に、ボビン92から軸方向外側に向かって引き出されたコイル93が挿通されるコイル93の通路部としての役割を有する。スリット103は、U字溝101aと、挿通孔101bとの間に配置されており、径方向に沿って延びる第1スリット部103aと、第1スリット部103aの径方向外側端から周方向に沿って屈曲延出する第2スリット部103bとが連通形成されたものである。
第2スリット部103bの形成位置は、側板部101のU字溝101aの径方向内側に設定されている。
第1スリット部103aの形成位置について、より詳しく説明する。
すなわち、第1のランドル94aのティース部102(102−1)と、第2のランドル94bのティース部102(102−2)の総個数(以下、ティース部102の総個数という)をSAとしたとき、第1スリット部103aの周方向の中心P1と、ティース部102の周方向の中心P2とのずれ角度△Dは、
△D=360/(SA×2)・・・(2)
を満たすように設定されている。
本第1実施形態では、ティース部102の総個数SAは20個であるので、第1スリット部103aの周方向の中心P1とティース部102の周方向の中心P2とのずれ角度△Dは、
△D=360/(SA×2)=360/(20×2)=9度
に設定される。
ここで、各ランドル94a,94bのティース部102の個数は、それぞれ10個であるので、周方向に隣接する2つのティース部102の周方向の中心間の角度は、360/10=36度であり、周方向に隣接する2つのティース部102の間の中心P3と、ティース部102の周方向の中心P2との間の角度は、36/2=18度となる。
すなわち、第1スリット部103aの周方向の中心P1は、周方向に隣接する2つのティース部102の間の中心P3と、ティース部102の周方向の中心P2との間の中心ということになる。
このような構成のもと、図1、図4に示すように、第1のランドル94aは、ボビン92の軸方向一方P側から取り付けられ、第2のランドル94bは、ボビン92の軸方向他方Q側から取り付けられる。そして、ボビン92の軸方向一方P側(図5参照)の外フランジ部92bおよびステータコア91の軸方向一方P側に、第1のランドル94aの側板部101が当接すると共に、ボビン92の軸方向一方Q側(図5参照)の外フランジ部92cおよびステータコア91の軸方向一方Q側に、第2のランドル94bの側板部101が当接する。
また、第1のランドル94aの周方向に隣接するティース部102(102−1)の間に、それぞれ第2のランドル94bの各ティース部102(102−2)が介装した状態になる。すなわち、ランドルユニット94は、第1のランドル94aのティース部102(102−1)と、第2のランドル94bのティース部102(102−2)とが周方向に交互に配置される。
なお、各ランドル94a,94bは、それぞれボビン92の各外フランジ部92b,92cに形成されている位置決め凸部98a,98bに嵌り込むことにより、位置が決定すると共に、周方向のずれが防止される。
ここで、第1のランドル94aと第2のランドル94bとの周方向のずれ(位相ずれ)は、周方向に隣接する2つのティース部102の間の中心P3と、ティース部102の周方向の中心P2との間の角度と同様に、36/2=18度となる。
すなわち、図6に示すように、軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aおよび位置決め凸部98aの位置と、軸方向他方Q側の外フランジ部92cに形成されているスリット部97bおよび位置決め凸部98bの位置とのずれ角度△θは、18度に設定されている。
また、図8に詳示するように、各ランドル94a,94bに形成されているスリット103の第1スリット部103aの周方向の中心P1と、ティース部102の周方向の中心P2とのずれ角度△Dは、式(2)を満たすように設定されている。このため、第1のランドル94aに形成されている第1スリット部103aと、第2のランドル94bに形成されている第1スリット部103aとが、軸方向で重なり合う。
ここで、ボビン92に形成されている連通部96の形成位置は、各ランドル94a,94bの第1スリット部103aに対応している。このため、連通部96と、各ランドル94a,94bの第1スリット部103aとが、連通した状態になっている。
一方、ボビン92に形成されている各スリット部97a,97bの形成位置は、それぞれ対応するランドル94a,94bのU字溝101aに対応している。このため、第2スリット部103bは、ボビン92に形成されているスリット部97a,97bと軸方向で重なり合う。これにより、第2スリット部103bと、各スリット部97a,97bとが、連通した状態になる。
このような構成のもと、車輪軸11に、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとが並んで取り付けられる。第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの間には、スペーサ104が設けられている。スペーサ104は、車輪軸11に外嵌固定されるリング状のものであって、ボビン92の連通部96および各ランドル94a,94bの第1スリット部103aに対応する箇所に、スリット104aが形成されている。スリット104aを形成することにより、ボビン92の連通部96および各ランドル94a,94bの第1スリット部103aが、スペーサ104によって閉塞されてしまうことを防止できる。
また、スペーサ104を設けることにより、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの間に、これらステータユニット20A,20Bを軸方向に離間させる所定寸法の間隙K1が確保される。この間隙K1は、コイル93を配索するスペースとして利用される。
さらに、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bは、各ステータユニット20A、20Bのティース部102の位置を所定角度だけ周方向に相互にずらして、つまり、位相をずらして組み合わせられている。これにより、各ステータユニット20A、20Bの各コイル93から、位相のずれたA相とB相の2相の交番電流・電圧が出力されるようになっている。
なお、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの位相をずらして配置するために、第2のステータユニット20Bのボビン92には、上述したように連通部96が形成されていない。連通部96が形成されていないので、ステータコア91のスリット部91aに連通部96が嵌り込むこともない。このため、第2のステータユニット20Bは、周方向に回転自在となっており、第1のステータユニット20Aに対して所定角度だけ周方向に回転させて固定できる。これら第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bの固定方法については後述する。
(コイルの引出し方法)
ここで、図3〜図5、図7に基づいて、第1のステータユニット20Aに巻回されているコイル93および第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93の引出し方法について説明する。
まず、第1のステータユニット20Aに巻回されているコイル93(93a)の引出し方法について説明する。
このコイル93(93a)は、始端側をボビン92の軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aを介して軸方向一方P側に引き出し、この状態でボビン92の収納凹部95に巻回する。そして、コイル93(93a)の終端も、スリット部97aを介して軸方向一方P側に引き出す。さらに、スリット部97aから引き出されたコイル93(93a)の端末部は、スリット部97aと連通している第1のランドル94aの第2スリット部103bを介し、軸方向一方P側に引き出す。
続いて、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93(93b)の引出し方法について説明する。
このコイル93(93b)も、始端側をボビン92の軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aを介して軸方向一方P側に引き出し、この状態でボビン92の収納凹部95に巻回する。そして、コイル93(93b)の終端も、スリット部97aを介して軸方向一方P側に引き出す。さらに、スリット部97aから引き出されたコイル93(93b)の端末部は、スリット部97aと連通している第1のランドル94aの第2スリット部103bを介し、軸方向一方P側に引き出す。
第1のランドル94aから軸方向一方P側に引き出されたコイル93(93b)の端末部は、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの間に形成されている間隙K1およびスペーサ104のスリット104aを介し、第1のステータユニット20Aの連通部96、および各ランドル94a,94bの第1スリット部103aに挿通される。そして、コイル93(93b)の端末部は、第1のステータユニット20Aの軸方向一方P側に引き出される。
これにより、第1のステータユニット20Aにおけるコイル93(93a)の端末部と、第2のステータユニット20Bにおけるコイル93(93b)の端末部とが、まとめてステータ13の軸方向一方P側に引き出される。
(規制部)
図3に示すように、車輪軸11のうち、ステータ13の軸方向両側に位置する部分には、ステータ13の軸方向の移動および周方向の回転を規制する規制部105が設けられている。規制部105は、車輪軸11のうち、ステータ13の軸方向一方P側に設けられたスペシャルナット30と、軸方向他方Q側に設けられたステータ固定部材37と、を備えている。
ステータ13を構成する第1のステータユニット20Aおよび第2のステータユニット20Bは、スペシャルナット30およびステータ固定部材37と、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの間に設けられたスペーサ104とにより、軸方向の定位置に挟持固定されている。そして、挟持されることにより生じる摩擦抵抗により、第1のステータユニット20Aおよび第2のステータユニット20Bの周方向の回転も規制される。
スペシャルナット30は、軸方向一方P側に形成されたスリーブ部30aと、軸方向一方P側に形成されてスリーブ部30aに対して外径が拡大されたフランジ部30bとを備えている。そして、内周に形成されている雌ねじ部30dを車輪軸11の雄ねじ部11aに螺着することで、車輪軸11の外周に固定されている。
スリーブ部30bの外周面は、第2のエンドプレート80のベアリング嵌合壁83に外輪を嵌合させたベアリング22の内輪の内周に、圧入等により固定されている。フランジ部30bは外径がベアリング22の内径よりも大径に形成され、軸方向一方P側に位置する端面がベアリング22の内輪に軸方向で当接している。これにより、ベアリング22は、外輪側が車輪軸11周りに回転自在となるように装着されている。
一方、フランジ部30bにおける軸方向他方Q側に位置する端面は、第1のステータユニット20Aを構成する第1のランドル94aの側板部101に軸方向で当接している。
ここで、図4に示すように、スペシャルナット30の外周面には、第1のランドル94aに形成されているスリット103に対応する位置に、ステータ13の軸方向一方P側に引き出されたコイル93の端末部を、ハブダイナモ10の外部に引き出すための溝30cが形成されている。
図3に示すように、第2のエンドプレート80の外側にはコネクタ40が配設され、このコネクタ40にコイル93の端末部が導入されている。このコイル93の端末部は、スペシャルナット30の溝30c(図4参照)内を経由してコネクタ40の導線引出部43に導かれ、導線引出部43を通ってハブダイナモ10の外部に引き出されている。コネクタ40の内周部には、スペシャルナット30のスリーブ部30aが挿通され、コネクタ40はワッシャ45を介して、ナット46により車輪軸11に固定されている。
車輪軸11におけるステータ固定部材37よりも軸方向他方Q側には、スリーブ50が設けられている。このスリーブ50は、内周面に雌ねじ部50cが形成された筒状の部材であり、軸方向他方Q側から車輪軸11の雄ねじ部11aに煉着されている。具体的に、スリーブ50は、軸方向一方P側に形成されたスリーブ本体50aと、軸方向他方Q側に形成されてスリーブ本体50aに対して外径が拡大されたフランジ部50bとを備えている。
このフランジ部50bは、多角筒状に形成されており、軸方向一方P側の端面が、第1のエンドプレート70側のベアリング21の内輪に軸方向で当接している。スリーブ本体50aは、円筒状に形成されており、第1のエンドプレート70側のベアリング21の内輪の内周に内嵌されている。具体的に、スリーブ本体50aは、外径がベアリング21の内径と同等か若干大径に設定されており、ベアリング21の内輪の内周に圧入等により固定されている。
第1のエンドプレート70の外側には、ベアリング21およびスリーブ50を覆うようにカバー54が装着されている。カバー54は、椀形状に形成された部材であり、外部からロータ12の内部に水や塵浜等が浸入するのを防止している。カバー54の内周部には、スリーブ50を緩み止めするために車輪軸11に螺着されたナット52が配置されている。
(発電の仕組み)
このように構成されたハブダイナモ10の発電は、以下の要領で行われる。
すなわち、前輪5が回転すると、スポーク2により前輪5に接続されたロータ12が前輪5と共に車輪軸11周りに回転し、永久磁石19がステータ13周りを回転する。
回転する永久磁石19の磁束により、各ステータユニット20A,20Bの軸方向一方P側に設けられた第1のランドル94aのティース部102(102−1)がS極、軸方向他方Q側に設けられた第2のランドル94bのティース部102(102−2)がN極となる状態と、第1のランドル94aのティース部102(102−1)がN極、軸方向他方Q側に設けられた第2のランドル94bのティース部102(102−2)がS極となる状態と、が交互に繰り返される。
これにより、A相の第1のステータユニット20Aのステータコア91とB相の第2のステータユニット20Bのステータコア91に交番磁束が発生し、この交番磁束により、第1および第2のステータユニット20A、20Bの各コイル93(93a,93b)に電流が流れて発電が行われる。
この際、第1のステータユニット20Aのコイル93(93a)から出力される交番電流・電圧と、第2のステータユニット20Bのコイル93(93b)から出力される交番電流・電圧とは、位相がずれており、同時に交番電圧が0Vに落ちる点がない。
(効果)
上述の第1実施形態では、第1のステータユニット20Aのボビン92に連通部96を設け、この連通部96を介し、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93を第1のステータユニット20Aの軸方向一方P側に引き出している。このため、例えば、ハブダイナモ10の外周部にコイル93を引き回す必要がない。よって、ハブダイナモ10のデザイン性や機能を損なうことなく、2つのステータユニット20A,20Bに巻回されているコイル93の端末部を、軸方向一方P側からまとめて引き出すことができる。
また、連通部96は、ボビン92の胴体部92aの内周面側に一体形成されていると共に、ステータコア91に、連通部96を嵌め込むスリット部91aを形成している。このため、第1のステータユニット20Aのボビン92上に、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93が配索されることもない。よって、簡素な構造で、2つのステータユニット20A,20Bに巻回されているコイル93の端末部を、軸方向一方P側からまとめて引き出すことができると共に、第1のステータユニット20Aのボビン92に巻回されるコイル93の占積率が低下してしまうことを防止できる。
さらに、スリット部91aに連通部96が嵌り込むことにより、車輪軸11に対してボビン92が回ってしまうことも防止できると共に、ボビン92の位置決めを容易に行うことができる。
そして、ステータコア91のスリット部91aや連通部96が車輪軸11の軸方向に沿って形成されているので、コイル93の配索経路を最短経路とすることができる。
また、ランドルユニット94を構成する各ランドル94a,94bの側板部101に、スリット103を形成することにより、各側板部101からスムーズにコイル93を引き出すことができる。このため、局所的にコイル93が折れ曲がったりすることを防止でき、コイルをスムーズに配索することができる。
さらに、スリット103を、第1スリット部103aと第2スリット部103bとにより構成し、第1スリット部103aの周方向の中心P1と、ティース部102の周方向の中心P2とのずれ角度△Dを、式(2)を満たすように設定している。このため、第1のランドル94aと第2のランドル94bを同一形状としても、これら2つのランドル94a,94bを組み立てた際、これらランドル94a,94bの第1スリット部103aを軸方向で重ね合わせることができる。よって、部品の共通化が図れ、ハブダイナモ10の製造コストを低減できると共に、ハブダイナモ10の組立性を向上できる。
また、スリット103を形成することにより、ハブダイナモ10で発電が行われる際、各ランドル94a,94bの側板部101に渦電流が生じてしまうことを抑制できる。
なお、上述の第1実施形態では、ボビン92において、軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aおよび位置決め凸部98aの位置と、軸方向他方Q側の外フランジ部92cに形成されているスリット部97bおよび位置決め凸部98bの位置は、軸方向で重なり合う位置に設定されておらず、周方向にずれて配置されている場合について説明した。また、各スリット部97a,97bは、連通部96とは周方向でずれた位置に形成されている場合について説明した。
しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、図9に示す本第1実施形態の変形例におけるボビン92の斜視図のように、軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aと、軸方向他方Q側の外フランジ部92cに形成されているスリット部97bとを軸方向で重なるように形成し、さらに、各スリット部97a,97bと連通部96とが連通するように形成してもよい。
なお、この場合であっても、軸方向一方P側の外フランジ部92bに形成されている位置決め凸部98aと、軸方向他方Q側の外フランジ部92cに形成されている位置決め凸部98bの位置は、対応するランドル94a,94bの位相に応じて設定する必要がある。
(第2実施形態)
(ハブダイナモ)
次に、この発明の第2実施形態を図10、図11に基づいて説明する。なお、前述の第1実施形態と同一態様については、同一符号を付して説明を省略する。
図10は、この第2実施形態におけるハブダイナモ210の断面図である。
同図に示すように、前述の第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態における第1のステータユニット20Aのボビン92には、連通部96が形成されているが、第2実施形態における第1のステータユニット220Aのボビン292には、連通部96が形成されていない点にある。そして、第1のステータユニット20Aのステータコア91のスリット部91a、および第2のステータユニット20Bのステータコア91のスリット部91aには、これら2つのスリット部91aに挿通するリード線ユニット206が配索されている。
(リード線ユニット)
図11は、リード線ユニット206の側面図である。
同図に示すように、リード線ユニット206は、2つのリード線207と、これらリード線207を被覆するように樹脂モールド成形された樹脂モールド部208と、により構成されている。
樹脂モールド部208の断面積は、各ステータユニット20A,20Bにおけるステータコア91のスリット部91aに配索可能な大きさに設定されている。また、樹脂モールド部208の長さは、各ステータユニット20A,20Bを車輪軸11に取り付けた状態で、その両端が各ステータユニット20A,20Bから僅かに突出する長さに設定されている。
2つのリード線207の端末部は、それぞれ樹脂モールド部208の両端から突出した状態になっている。
このような構成のもと、図10に示すように、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93(93b)の始端および終端は、それぞれボビン92の軸方向他方Q側(図10における右側)の外フランジ部92bに形成されているスリット部97aを介して軸方向他方Q側に引き出されている。そして、コイル93(93b)の始端および終端は、それぞれリード線ユニット206の2つのリード線207の一端に半田により接続されている。
一方、リード線ユニット206の2つのリード線207の他端は、第1のステータユニット20Aに巻回されているコイル93(93a)と共に、軸方向一方P側(図10における左側)に引き出されている。
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態のように、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93(93b)を、第1のステータユニット20Aの連通部96、および各ランドル94a,94bの第1スリット部103aに挿通させる必要がなくなる。このため、ハブダイナモ210の組立作業性を向上させることができる。
また、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとを同一構造とすることができ、部品点数を削減できると共に、部品管理を容易にすることができる。
さらに、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93(93b)の始端および終端を、第1のステータユニット20Aとは反対側の軸方向他方Q側に引き出すことができる。そして、この引き出したコイル93(93b)の始端および終端を、リード線ユニット206の2つのリード線207の一端に接続するだけで、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93(93b)の始端および終端を、軸方向一方P側に引き出したのと同じにすることができる。このため、第2のステータユニット20Bに巻回されているコイル93(93b)の始端および終端の引き回しを簡略化でき、ハブダイナモの組立作業性をさらに向上させることができる。
なお、上述の第2実施形態では、コイル93(93b)の始端および終端を、それぞれリード線ユニット206の2つのリード線207の一端に半田により接続した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コイル93(93b)とリード線207とが接続されていればよい。例えば、圧着端子等を用いて接続することも可能である。
また、上述の第2実施形態では、リード線ユニット206は、2つのリード線207と、これらリード線207を被覆するように樹脂モールド成形された樹脂モールド部208と、により構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、リード線ユニット206は、2つのリード線207が絶縁性を有する部材で被覆されたものであればよい。例えば、樹脂モールド部208に代わって、樹脂製のチューブで2つのリード線207を被覆してもよい。
さらに、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ステータ13を構成する第1のステータユニット20Aおよび第2のステータユニット20Bは、スペシャルナット30およびステータ固定部材37と、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとの間に設けられたスペーサ104とにより、軸方向の定位置に挟持固定されている場合について説明した。そして、挟持されることにより生じる摩擦抵抗により、第1のステータユニット20Aおよび第2のステータユニット20Bの周方向の回転も規制される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1のステータユニット20Aと第2のステータユニット20Bとを、周方向の位相が所定角度ずれた関係で組み合わるように、別途、周方向位置決め手段を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、第2のステータユニット20Bのボビン92には、連通部96が一体成形されていない場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第2のステータユニット20Bのボビン92に連通部96を設けてもよい。この場合、第2のステータユニット20Bのボビン92に形成される連通部96の位置は、第1のステータユニット20Aに対する第2のステータユニット20Bの周方向の位相が所定角度ずれるように設定することが望ましい。
さらに、上述の実施形態では、ステータ13が、2つのステータユニット20A,20Bで構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、3つ以上のステータユニットによりステータ13を構成してもよい。この場合、各ステータユニットに巻回されているコイル93を引き出す方向に基づいて、所望のステータユニットのボビン92に、連通部96を形成すればよい。
そして、上述の実施形態では、各ランドル94a,94bの側板部101には、挿通孔101bの周囲に、5個のスリット103が周方向に等間隔で形成されている場合について説明した。しかしながら、スリット103の個数は5個に限定されるものではない。
5 前輪(車輪)
10 ハブダイナモ
11 車輪軸
12 ロータ
19 永久磁石(磁極)
20A 第1のステータユニット
20B 第2のステータユニット
61 胴部(筒部)
91 ステータコア(コア)
91a スリット部(配線部)
92 ボビン
92a 胴体部
93 コイル
93a コイル(第1のコイル)
93b コイル(第2のコイル)
94 ランドルユニット
94a 第1のランドル
94b 第2のランドル
96 連通部(配線部)
101 側板部(第1の側板部、第2の側板部)
102 ティース部
102−1 第1のティース部
102−2 第2のティース部
103 スリット
103a 第1スリット部(第1の通路部)
103b 第2スリット部(第2の通路部)
206 リード線ユニット
207 リード線
208 樹脂モールド部(被覆部部)

Claims (5)

  1. 車輪と共に回転し、内周面に磁極が形成されている筒部を有するロータと、
    前記筒部の内側に配置され、第1のコイルを有する第1のステータユニット、および第2のコイルを有する第2のステータユニットの少なくとも2つのステータユニットと、
    各コイルの径方向内側を貫通するように設けられ、かつ各ステータユニットが外嵌固定される車輪軸と、を備えたハブダイナモにおいて、
    前記第1のステータユニットは、前記第2のコイルおよび前記第2のコイルに接続されたリード線の何れか一方が配索される配線部を有し、
    前記第1のステータユニットは、
    前記第1のコイルが巻回される筒状の胴体部を有するボビンと、
    前記車輪軸と前記胴体部との間に配置される筒状のコアと、
    前記コアと磁気的に接続されるように、かつ前記筒部と径方向で対向するように設けられたランドルユニットと、を有し、
    前記コアに、前記車輪軸の軸方向に沿ってスリット部を形成すると共に、前記ボビンに、前記スリット部に嵌り前記胴体部の外表面と連通している連通部を形成し、前記連通部と前記スリット部とを協働して前記配線部として機能させて、前記配線部、前記胴体部の内側に、前記第1のステータユニットを連通するようにしたことを特徴とするハブダイナモ。
  2. 前記ランドルユニットは、
    前記コアの軸方向一端側から組み付けられる第1のランドルと、
    前記コアの軸方向他端側から組み付けられる第2のランドルと、により構成され、
    前記第1のランドルは、
    前記コアの軸方向一端に接触する第1の側板部と、
    前記第1の側板部の外周縁から前記コアの軸方向他端側に向かって延出し、前記筒部と径方向で対向する複数の第1のティース部と、を有し、
    前記第2のランドルは、
    前記コアの軸方向他端に接触する第2の側板部と、
    前記第2の側板部の外周縁から前記コアの軸方向一端側に向かって延出し、前記筒部と径方向で対向する複数の第2のティース部と、を有し、
    前記第1のランドルと、前記第2のランドルは、前記第1のティース部と前記第2のティース部とが周方向で交互に配置されるように設けられており、
    前記第1の側板部に、前記第2のコイルを挿通可能な第1の通路部を形成すると共に、前記第2の側板部に、前記第2のコイルを挿通可能な第2の通路部を形成し、
    かつ、これら第1の通路部と第2の通路部は、軸方向で重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項1記載のハブダイナモ。
  3. 前記第1のティース部と前記第2のティース部の総個数をSAとしたとき、
    前記第1の通路部は、その周方向の中心が、前記第1のティース部の周方向の中心から
    360/(SA×2)度ずれた位置に配置されていると共に、
    前記第2の通路部は、その周方向の中心が、前記第2のティース部の周方向の中心から
    360/(SA×2)度ずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載のハブダイナモ。
  4. 前記配線部に、リード線ユニットを配置し、
    前記リード線ユニットは、前記リード線と、前記リード線を被覆する絶縁性を有する被覆部と、を有し、
    前記リード線の一端が、前記第2のコイルに接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のハブダイナモ。
  5. 前記第2のステータユニットは、前記配線部を有することを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のハブダイナモ。
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