JP5580064B2 - ハブダイナモ - Google Patents
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一方、ハブダイナモのなかには、ステータとして軸芯方向に複数のコイル室を並設する構成としたものがあり、この場合では、ステータが軸芯方向に長くなり、これに対応してケーシングとのあいだのエアギャップも軸芯方向に長いものとなる。このように軸芯方向に長いエアギャップを備えたハブダイナモでは、ケーシングを軸芯精度よく支持する必要があり、ケーシング底部を支持するスリーブに対し高い芯出し精度が要求される。しかるに、ステータ固定用のナットにスリーブを一体形成したものは、鍛造により形成されるのが一般であり、このような手法で形成されたものではスリーブの外周面を精度よく芯出しすることが難しい。このため、軸芯方向に長いハブダイナモに前記従来の構成のスリーブを用いる場合では、スリーブの外周面に切削加工等の芯出し工程を別途実施しなければならないという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
請求項2の発明において、スリーブは、内周面に螺子溝が刻設されてハブ軸に螺合するものとし、螺合位置を調整した後に一体化手段を介してハブ軸に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のハブダイナモである。
請求項3の発明において、一体化手段は、スリーブのステータ対向側の端部に当接する固定用ナットであることを特徴とする請求項2に記載のハブダイナモである。
請求項4の発明において、固定用ナットは、スリーブの外径よりも大径に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のハブダイナモである。
請求項5の発明において、固定用ナットは、軸受け部材との間に所定間隙が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のハブダイナモである。
請求項6の発明において、スリーブは、ステータ対向側の端部に外径側に延出するフランジ部が一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハブダイナモである。
請求項7の発明において、フランジ部は、軸受け部材との間に所定間隙が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のハブダイナモである。
請求項2の発明とすることにより、スリーブをハブ軸の所望の位置に位置決めする作業を容易に行なえる。
請求項3の発明とすることにより、スリーブのハブ軸への固定が簡単、かつ、容易になる。
請求項4、6の発明とすることにより、ハブダイナモの耐久性が高められるうえ、スリーブと軸受け部材との間に充填されるシール剤を長期にわたり保持できる。
請求項5、7の発明とすることにより、シール剤のステータS側への浸入経路をラビリンス化してシール剤のステータS側への浸入を一層防止できる。
図1において、1は自転車の前輪(前車輪)Hの回転中心を構成するハブ軸(車軸)であって、該ハブ軸1の左右両端部は、車体を構成する左右一対のフロントフォーク2に支持されており、これら左右フロントフォーク2のあいだを一体的に連結するのハブ軸1に、本発明が実施されたハブダイナモ3が設けられている。
尚、4はハブダイナモ3からの電力の供給を受けて点灯するよう接続された前照灯である。
また、ケーシング筒部6dの軸芯方向両端部には、外径側に突出する鍔部6eがそれぞれ一体形成されている。これら鍔部6eには、周回り方向に複数の連結孔6fが開設されており、これら連結孔6fに、前輪Hを構成するスポーク11の内径側端部が一体的に連結されている。これによって、前輪Hとロータ5とが連結され、自転車の走行に伴う前輪Hの回転によりロータ5であるケーシング6とエンドブラケット7とが一体となってハブ軸1に対して回転するように構成されている。
そして、ハブ軸1の両端部であって、図2において第一、第二主鉄心(12−1)、(12−2)のそれぞれ左右方向外方側の端部外周面には螺子溝1aが刻設されており、右側(一端側)の第二主鉄心(12−2)の右側部位には位置決め用のストッパ部材14が螺着されている。前記ストッパ部材14は内周面に螺子溝が刻設された筒状部材となっており、外周面が円滑面に形成され、右側軸受け部材8を外嵌支持するための右側スリーブ14aが軸芯方向一端側に形成され、該右側スリーブ14aの他端側端部に外径方向に突出するフランジ部14bが形成され、該フランジ部14bを第二主鉄心(12−2)に当接させることでステータSの一端側の位置決めをするように構成されている。また、左側(他端側)の第一主鉄心(12−1)の左側部位には位置決め用ナット15が螺着されており、該位置決め用ナット15を第一主鉄心(12−1)に向けて緊締することにより、ステータSはストッパ部材14と位置決め用ナット15とに挟持され、ハブ軸1に軸芯方向および周回り方向に一体化された状態で固定支持されるように構成されている。
そして、各コイル室CR1、CR2、CR3において、軸芯方向に隣接する第一主、副鉄心(12−1)、(13−1)同士、第一、第二副鉄心(13−1)、(13−2)同士、または、第二副、主鉄心(13−2)、(12−1)同士と、これらのあいだにそれぞれ設けられる筒体16とに磁路が形成されることにより、第一、第二、第三コイルC1、C2、C3がそれぞれ発電するように構成されている。
尚、本実施の形態の磁束収集片19は、各主、副鉄心(12−1)、(12−2)、(13−1)、(13−2)との連結部(カシメ部)側の板幅が広くなるよう傾斜状部19aが形成されている。これによって、磁束収集片19は、第一、第二主、副鉄心(12−1)、(12−2)、(13−1)、(13−2)との連結部近傍における断面積が大きくなって、第一、第二主、副鉄心(12−1)、(12−2)、(13−1)、(13−2)からの磁束量を無駄なく、かつ、効率良く収集して、発電効率を一層向上させて安定した電力供給を実現できるように配慮されている。
そして、自転車が走行して前輪Hとともにロータ5が回転することにより、第一、第二、第三コイル室CR1、CR2、CR3にそれぞれ異なる方向の磁束が交互に繰り返し通過し、これによって、各第一、第二、第三コイル室CR1、CR2、CR3毎に電力がそれぞれ発生(発電)し、もって巻線18からは高い電圧を有した電力が取出されるように構成されている。尚、本実施の形態におけるハブダイナモ3の発電構成については、国際公開番号WO2005/011092号公報に記載されるものと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略するが、ステータSをこのように構成することにより、軽量コンパクト化が図れたものでありながら高い発電効率のハブダイナモとなっている。
前記ハブ軸側部材を組込む手順は、ハブ軸1に対し、第一主鉄心(12−1)、筒体16、コイルボビン17、第一副鉄心(13−1)、筒体16、コイルボビン17、第二副鉄心(13−2)、筒体16、コイルボビン17、第二主鉄心(12−2)の順でそれぞれ貫通支持せしめ、ハブ軸1の一端側からストッパ部材14を螺着する一方、ハブ軸1の他端側から位置決め用ナット15を螺着、緊締して、ハブ軸1にステータSが軸芯方向および周回り方向に一体化された状態で位置決め状に固定する。そして、巻線18を各コイルボビン17に巻装して第一〜第三コイルC1、C2、C3を形成し、エンドブラケット7に予め組込まれた右側軸受け部材8にストッパ部材14の右側スリーブ14aを挿入してハブ軸1外周にエンドブラケット7を外嵌支持せしめ、前記巻線18の両端部をストッパ部材14の引出し溝14cを経由してエンドブラケット7の外部に引出したものとする。さらに、ハブ軸側部材には、ステータSの他端側となる適宜位置に、本発明が実施された左側スリーブ20がハブ軸1に外嵌され、後述するように位置調整した状態で固定されている。
ここで、前記固定用ナット21は、ステータSの他端側から緊締される位置決め用ナット15の外径よりも小径に形成されている。これによって、ハブ軸1にステータS、位置決め用ナット15、固定用ナット21、スリーブ20等を組込んだ後に、締め付け治具のビットを用いてハブ軸1の他端側から位置決め用ナット15の緊締状態を調整する場合に、固定用ナット21が邪魔になることなく位置決め用ナット15の調整ができるという利点がある。
尚、22はハブ軸側部材の右側軸受け部材8を覆蓋するカバー部材、22aは、カバー部材22をストッパ部材14に一体化するナットである。
尚、23、23aはケーシング6の他端側から螺合されて、ケーシング6の位置決めをする第一、第二ナット、23bは左側軸受け部材9を覆うカバー部材である。
さらに、本実施の形態のハブダイナモ3は、第一、第二、第三コイル室CR1、CR2、CR3が設けられるが故に軸芯方向に長いものに形成されている。このため、エアギャップを所定の大きさで確実に保持するためにはハブ軸1に対するケーシング6の高い軸芯精度が求められるが、前記左側スリーブ20は円筒状体に形成されていて外周面の芯出し精度を高めることが容易であり、もって、従来のナット付きのスリーブを用いる場合のように、芯出し工程を別途実施することなく、発電の高効率化を図るためエアギャップを小さくするような設計変更にも容易に対応できて、コスト低下に寄与できる。
前記第二の実施の形態のハブダイナモは、第一の実施の形態の左側スリーブに換えてスリーブ24が用いられていること以外は全て前記第一の実施の形態と同様であり、スリーブ24以外の部材構成については第一の実施の形態と同様の符号を付すことで説明を省略する。
第二の実施の形態のスリーブ24は、左側軸受け部材9が外嵌固定される筒状体の本体部24aと、該本体部24aのステータS側端部(一端側)から外径側に突出するフランジ部24bとを備えた段差部を有した筒状体に構成されており、内周面には螺子溝24cが刻設されている。そして、スリーブ24は、ハブ軸1の他端側から螺合され、螺合量を調整してスリーブ本体部24aの位置がケーシング底部6bの配設位置に対応する位置となるように調整した後、ハブ軸1とスリーブ24との間に接着剤を充填することでハブ軸1に固定されるように構成されていて、ケーシング側部材にハブ軸側部材を組込んだとき、左側軸受け部材9とスリーブ本体部24aとの嵌合代が損なわれることによる不具合がない。そして、このものでも、本体部24aの軸芯方向の長さが左側軸受け部材9の軸芯方向長さよりも長く形成されていて、フランジ部24bと左側軸受け部材9とのあいだに隙間L1が形成されている。これによって、スリーブ24は、本体部24aが第一の実施の形態の左側スリーブと同様に機能し、フランジ部24bが第一の実施の形態の固定用ナット21と同様に機能して、前記と同様に優れた性能を長期にわたり発揮するハブダイナモを提供できるという効果を奏することができる。
3 ハブダイナモ
5 ロータ
6 ケーシング
7 エンドブラケット
8 右側軸受け部材
9 左側軸受け部材
10 ヨーク
12 主鉄心
13 副鉄心
17 コイルボビン
18 巻線
19 磁束収集片
20 左側スリーブ
20a 螺子溝
21 固定用ナット
Claims (7)
- 自転車のハブ軸側に固定されるステータと、内周面に磁石が固定され車輪側に連結される筒状のロータとを備えてなるハブダイナモにおいて、前記ロータを、軸受け部材を介してハブ軸外周に回転自在に外嵌支持するにあたり、前記軸受け部材とハブ軸とのあいだに設けられる筒状のスリーブは、ハブ軸に対して軸芯方向位置調整自在に外嵌され、一体化手段を介してハブ軸に固定されていると共に、該一体化手段は前記ロータ内に配されていることを特徴とするハブダイナモ。
- スリーブは、内周面に螺子溝が刻設されてハブ軸に螺合するものとし、螺合位置を調整した後に一体化手段を介してハブ軸に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のハブダイナモ。
- 一体化手段は、スリーブのステータ対向側の端部に当接する固定用ナットであることを特徴とする請求項2に記載のハブダイナモ。
- 固定用ナットは、スリーブの外径よりも大径に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のハブダイナモ。
- 固定用ナットは、軸受け部材との間に所定間隙が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のハブダイナモ。
- スリーブは、ステータ対向側の端部に外径側に延出するフランジ部が一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハブダイナモ。
- フランジ部は、軸受け部材との間に所定間隙が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のハブダイナモ。
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