JP6284812B2 - 止水用組成物及び止水工法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート構造物のひび割れ、目地等からの漏水を止水する止水用組成物及びそれを用いた止水工法に関する。
道路トンネル等に代表されるコンクリート構造物に発生するひび割れや目地等からの漏水を止水するために、止水剤を漏水部に注入し、硬化させる止水工法が知られている。止水剤として、水ガラス系止水剤、アクリルアマイド系止水剤、ポリイソシアネート系止水剤、セメント系止水剤、(メタ)アクリル酸塩及び/又はポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートと、重合触媒とを含む止水剤等の種々の止水剤が提案されている。
(メタ)アクリル酸塩、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及び重合触媒を含む止水剤は、安全性が高く、得られた硬化体(ゲル体)が、適度な強度、弾力及び水膨潤性をもつことが知られている(特許文献1)。
また、(メタ)アクリル酸塩、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及び重合触媒を含む止水剤において、耐凍結融解性、耐乾燥収縮性及び耐久性等を改善するために、多価アルコールないしグリセリンの群から選ばれた少なくとも1種を含む止水剤が提案されている(特許文献2)。
特開昭62−129376号公報 特開2003−193032号公報
コンクリート構造物のひび割れや目地等から発生する漏水を適切に止水するために、ゲル化時間の調整可能な止水剤が求められている。例えばコンクリート構造物のひび割れから水が噴出している漏水部は、短いゲル化時間で硬化する止水剤を使用することが好ましい。また、例えば、ひび割れ等から水が滲出しているような漏水部は、止水剤が比較的広い範囲に拡散浸透するように、比較的長いゲル化時間で硬化する止水剤を使用することが好ましい。
また、止水剤のゲル化時間は、止水剤を含む水溶液の温度によっても異なる。止水剤を含む水溶液の温度が例えば10℃以下と低い場合には、ゲル化時間が比較的長くなる傾向があり、止水剤を含む水溶液の温度が例えば25℃以上と高い場合には、ゲル化時間が短くなる傾向がある。
止水剤のゲル化時間は、止水剤を含む水溶液のpHによっても変化する。pHの変化によりゲル化時間が変化する傾向は、例えば水ガラス系、アクリルアマイド系、セメント系等の止水剤中に含まれるゲル化する成分によって異なる。pHの変化によりゲル化時間を調整する場合は、例えばpH調整剤等を、止水剤を含む水溶液中に添加する方法が挙げられる。
しかしながら、止水剤を漏水部に注入する施工現場においてpH調整剤を用いて適切なpHに調整することは困難であり、予め止水剤にpH調整剤を添加した場合には、pHが変化してしまう場合もある。
本発明は、pH調整剤を使用することなく、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含むことによって、ゲル化時間の調整が可能となる止水用組成物及びそれを用いた止水工法の提供を課題とする。
本発明の課題を解決する手段は、以下のとおりである。
本発明1は、(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、重合触媒(c)とを含み、(メタ)アクリル酸塩(a)は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である、ゲル化時間の調整可能な止水用組成物である。
本発明2は、(メタ)アクリル酸塩(a)が、(メタ)アクリル酸カルシウム及び/又は(メタ)アクリル酸マグネシウムである、本発明1記載の止水用組成物である。
本発明3は、(メタ)アクリル酸塩(a)が、固形分濃度で25質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である(メタ)アクリル酸カルシウム(a1)と、固形分濃度で30質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.0〜6.0である(メタ)アクリル酸マグネシウム(a2)とを含み、(メタ)アクリル酸カルシウムと(メタ)アクリル酸マグネシウムの質量割合が70:30〜98:2である、本発明1又は2記載の止水用組成物である。
本発明4は、(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)との質量割合が95:5〜55:45であり、(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と重合触媒(c)との合計量が、固形分濃度3〜80質量%である、本発明1〜3のいずれかに記載の止水用組成物である。
本発明5は、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)が、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、本発明1〜4のいずれかに記載の止水用組成物である。
本発明6は、重合触媒(c)がレドックス系触媒である、本発明1〜5のいずれかに記載の止水用組成物である。
本発明7は、(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とを含む水溶液であるA液と、レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)を含む水溶液であるB液とを含む、本発明6記載の止水用組成物である。
本発明8は、アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100質量部に対して、レドックス系触媒である重合触媒(c)を固形分で0.05〜30質量部含み、アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100質量部に対して、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)を固形分で0.01〜5質量部含み、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合が1:1〜1:200である、本発明7記載の止水用組成物である。
本発明9は、本発明1〜6のいずれかに記載の止水用組成物を漏水部に注入する工程を含む、止水工法である。
本発明10は、本発明7又は8記載の止水用組成物のA液とB液とを混合する工程と、A液とB液とを混合した止水用組成物を漏水部に注入する工程を含む、止水工法である。
本発明は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含むことにより、pH調整剤を使用することなく、ゲル化時間の調整可能な止水用組成物及びそれを用いた止水工法を提供することができる。
本発明は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を止水用組成物に含むことによって、止水用組成物のゲル化時間を3秒以上60秒以下に調整することができる。
固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpH4.4、pH5.1、pH5.6、pH6.8、pH7.2の各pHのアクリル酸カルシウムを含む止水用組成物について、pHとゲル化時間との関係を示すグラフである。 レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合(c1:c2)を変化させた止水用組成物について、止水用組成物の水溶液の温度とゲル化時間の関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
〔止水用組成物〕
本発明は、(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、重合触媒(c)とを含み、(メタ)アクリル酸塩(a)は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液のpHが4.0〜8.0である、止水用組成物である。本発明の止水用組成物は、pH調整剤を使用することなく、ゲル化時間を3秒以上60秒以下の間に調整することが可能である。
(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸と、塩とを混合することによって製造することができる。塩は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の周期律表の4属〜13属の金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。塩の中でも、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が好ましい。塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を意味し、「・・・(メタ)アクリル・・・」は「・・・メタクリル・・・」及び/又は「・・・アクリル・・・」を意味する。
(メタ)アクリル酸塩は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である。(メタ)アクリル酸塩は、アクリル酸の量を変化させることによって、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHを、4.0〜8.0の範囲で変化させることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸塩は、水道水に適量の塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩を混合し、次いで適量の(メタ)アクリル酸を混合することによって、(メタ)アクリル酸と塩とを反応させ、所望の(メタ)アクリル酸塩を製造することができる。
例えば、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0未満である(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸の遊離分が多く、皮膚刺激が大きくなり、安全性が低下する場合がある。
例えば、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが8.0を超える(メタ)アクリル酸塩は、経時変化による加水分解により、止水用組成物に濁りが生じる場合があり、安定性が低下する場合がある。
(メタ)アクリル酸塩が、(メタ)アクリル酸カルシウムである場合には、水溶液中に含まれる(メタ)アクリル酸分及び/又はカルシウム分の量を変化させることにより、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが、例えば、4.4〜7.2である、(メタ)アクリル酸カルシウムを得ることができる。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpH4.4〜7.2である(メタ)アクリル酸カルシウムは、水溶液中に含まれる(メタ)アクリル酸分が18〜21質量%であり、カルシウム分は5〜6質量%である。
(メタ)アクリル酸カルシウムは、(メタ)アクリル酸分を変化させることによって、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃において、例えばpH4.4、pH5.1、pH5.6、pH6.8、pH7.2である(メタ)アクリル酸カルシウムを得ることができる。
また、(メタ)アクリル酸塩が、(メタ)アクリル酸マグネシウムである場合には、水溶液中に含まれる(メタ)アクリル酸分及び/又はマグネシウム分の量を変化させることによって、固形分濃度30質量%の水溶液の20℃におけるpHが、例えば、5.0〜6.0である、(メタ)アクリル酸マグネシウムを得ることができる。
例えば、固形分濃度30質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.3〜5.8である(メタ)アクリル酸マグネシウムは、水溶液中に含まれる(メタ)アクリル酸分が25〜27質量%であり、マグネシウム分は4〜5質量%である。
(メタ)アクリル酸マグネシウムは、(メタ)アクリル酸分を変化させることによって、固形分濃度30質量%の水溶液の20℃におけるpHが、例えば5.4である(メタ)アクリル酸マグネシウムを得ることができる。
止水用組成物は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である(メタ)アクリル酸塩(a)を含むことによって、pHの変化によって止水用組成物のゲル化時間の調整が可能となるばかりではなく、安全性及び安定性を確保することができる。
本明細書において、ゲル化時間とは、止水用組成物の性状が流動性を有する液状から流動性を失うゲル状に変化するまでの時間とする。ゲル化時間の測定方法は、(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、重合触媒(c)との混合直後から、流動性を失ってゲル化するまでの時間を測定する。重合触媒(c)がレドックス系触媒である止水用組成物は、(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、レドックス系の還元剤成分(c1)とを含む水溶液であるA液と、レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)を含む水溶液であるB液とを含む。重合触媒(c)がレドックス系触媒である止水用組成物のゲル化時間の測定は、次のように行う。A液とB液とを別の容器に収容しておき、A液とB液の混合直後から、流動性を失ってゲル化するまでの時間を測定する。
止水用組成物は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩(a)を含むことによって、例えば、以下に記載するように、ゲル化時間の調整が可能となる。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.4である(メタ)アクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、20℃において、ゲル化時間を7〜8秒と、10秒以下の短時間とすることができる。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.1である(メタ)アクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、20℃において、ゲル化時間を8〜9秒と、10秒以下の短時間とすることができる。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.6である(メタ)アクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、20℃において、ゲル化時間を13〜14秒とすることができる。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが6.8である(メタ)アクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、20℃において、ゲル化時間を44〜45秒とすることができる。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが7.2である(メタ)アクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、20℃において、ゲル化時間を50〜51秒とすることができる。
このように、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、止水用組成物を含む水溶液の温度0℃〜45℃において、ゲル化時間を3秒以上60秒以下に調整することが可能である。
本発明は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩(a)を含むことによって、pH調整剤を使用することなく、ゲル化時間の調整が可能である。例えば水が噴出しているような漏水部には、ゲル化時間が、10秒以下と短いゲル化時間に調整した止水用組成物を使用することができる。
また、水が滲出しているような漏水部には、比較的広範囲まで止水用組成物が拡散浸透するように、ゲル化時間が40〜45秒となるような比較的長いゲル化時間に調整した止水用組成物を使用することができる。
また、本発明によれば、ゲル化時間が長くなる傾向にある冬やゲル化時間が比較的短くなる夏等の季節等の温度変化や施工場所が変化しても、最適なゲル化時間に調整された止水用組成物を選択して使用することができる。
(メタ)アクリル酸塩(a)は、2種以上の(メタ)アクリル酸塩を併用してもよい。
2種以上の(メタ)アクリル酸塩(a)を併用する場合には、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である(メタ)アクリル酸塩を2種以上混合して使用することが好ましい。2種以上の(メタ)アクリル酸塩を使用する場合には、(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸カルシウム(a1)と、(メタ)アクリル酸マグネシウム(a2)とを併用することが好ましい。
止水用組成物は、(メタ)アクリル酸塩(a)が、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である(メタ)アクリル酸カルシウム(a1)と、固形分濃度30質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.0〜6.0である(メタ)アクリル酸マグネシウム(a2)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、重合触媒(c)とを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸カルシウム(a1)と(メタ)アクリル酸マグネシウム(a2)の質量割合(a1:a2)は、好ましくは70:30〜98:2、より好ましくは75:25〜95:5、さらに好ましくは80:20〜93:7である。(メタ)アクリル酸カルシウム(a1)と(メタ)アクリル酸マグネシウム(a2)の質量割合が上記範囲であると、止水用組成物のゲル化時間を適切に調整できる。
(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)との質量割合(a:b)は、好ましくは95:5〜55:45である。(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の質量割合(a:b)は、より好ましくは90:10〜60:40であり、さらに好ましくは80:20〜65:35であり、特に好ましくは75:25〜65:35である。(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の質量割合(a:b)が95:5〜55:45であると、水膨潤性及び弾力性のよい硬化体(ゲル体)を形成することができる。(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100に対して、(メタ)アクリル酸塩(a)の質量割合が95を上回るか55を下回ると、ゲル化時間を調整できない場合がある。(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100に対して、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の質量割合が5を下回ると、硬化体(ゲル体)の所望の水膨潤性及び弾力性が得られない場合があり、45を上回ると、硬化体(ゲル体)の所望の水膨潤性及び弾力性は得られるものの、所望のゲル化時間に調整できない場合がある。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、下記式(I)で表される。ポリアルキレングリコール部分の重合度、すなわち、下記式(I)のnは、好ましくは2〜50であり、より好ましくは3〜20であり、さらに好ましくは5〜18であり、特に好ましくは6〜15である。
CH=C(R)CO−O−(CH(R)CHO)−COC(R)=CH (I)
(式中、R、R、Rは、水素原子又はメチル基であり、nは2〜50の整数である。)
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、下記式(i)で表されるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
CH=C(R)CO−O−(CHCHO)−COC(R)=CH (i)
(式中、R、Rは、水素原子又はメチル基であり、nは2〜50の整数である。)
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合度は、すなわち、上記式(i)のnは、好ましくは2〜50であり、より好ましくは3〜20であり、さらに好ましくは5〜18であり、特に好ましくは6〜15である。中でも、上記式(i)のnが9である、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートNo.400、又は、上記式(i)のnが14である、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートNo.600が好ましい。ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が、好ましくは350〜800、より好ましくは380〜750のものを用いることができる。ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートNo.400の重量平均分子量は380〜510程度であり、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートNo.600の重量平均分子量は570〜710程度である。ここで重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
なお、ポリスチレン換算の重量平均分子量が300以下は添加したポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが分離してしまい望ましくない。
重合触媒(c)は、レドックス系触媒、熱開始系触媒、光開始系触媒等が例示できる。中でも、一般に常温で使用可能なレドックス系触媒を使用することが好ましい。レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)としては、特に限定されるものではないが、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。また、レドックス系触媒の酸化剤成分としては、水溶性酸化化合物、例えば、過酸化水素、ペルオキシ酸塩、ペルオキソ二硫酸及びその塩、ペルオキシエステル酸塩等が挙げられる。ペルオキソ二硫酸塩としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸バリウム等が挙げられる。
レドックス系触媒の還元剤成分(c1)としては、特に限定されるものではないが、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガリット)、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸塩、亜リン酸塩、ピロ亜硫酸塩、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルヒドロキシエトキシエチルアミン、N−メチルジプロパノールアミン、ニトリロトリスプロピオンアミド、(イソ)アスコルビン酸及びそのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、硫酸第一鉄等が挙げられる。
止水用組成物は、(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100質量部に対して、レドックス系触媒である重合触媒(c)を好ましくは固形分で0.05〜30質量部含み、より好ましくは固形分で0.1〜20質量部含み、さらに好ましくは固形分で0.2〜15質量部含む。止水用組成物は、レッドクス系触媒である重合触媒(c)の含有量が上記範囲であると、水膨潤性、弾性力及び強度が十分である硬化体(ゲル体)を形成することができる。止水用組成物は、レドックス系触媒である重合触媒(c)の含有量が0.05質量部を下回ると、得られる硬化体(ゲル体)の強度が十分ではない。止水用組成物は、レドックス系触媒である重合触媒(c)の含有量が30質量部を超えると、アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の重合反応が進行せず、添加量に見合う硬化体(ゲル体)の強度が得られないので、経済的ではなく、硬化体の内部に析出物が発生して、弾性力及び強度が十分である硬化体(ゲル体)を形成することができない。
止水用組成物は、アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100質量部に対して、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)を、好ましくは固形分で0.01〜5質量部含み、より好ましくは固形分で0.02〜4質量部含み、さらに好ましくは固形分で0.05〜3質量部含む。止水用組成物は、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)の含有量が0.01〜5質量部であると、水膨潤性、弾性力及び強度が十分である硬化体(ゲル体)を形成することができる。
レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合(c1:c2)は、好ましくは1:1〜1:200であり、より好ましくは1:2〜1:175であり、さらに好ましくは1:3〜1:150であり、特に好ましくは1:10〜1:120である。
止水組成物は、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合(c1:c2)を変化させることにより、pH調整剤を使用することなく、ゲル化時間の調整が可能である。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.6であるアクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合(c1:c2)が1:15であると、15℃において、ゲル化時間が30秒である。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.6であるアクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合(c1:c2)が1:60であると、15℃において、ゲル化時間が15秒である。
例えば、固形分濃度25質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.6であるアクリル酸カルシウムを含む止水用組成物は、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合(c1:c2)が1:120であると、15℃において、ゲル化時間が9秒である。
このように、本発明の止水用組成物は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含むとともに、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)との質量割合を変化させることによって、0℃〜45℃において、ゲル化時間を3秒以上60秒以下に調整することが可能である。
ただし、レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合が多くなると硬化体の内部に析出物が発生して、弾性力及び強度が十分である硬化体(ゲル体)を形成することができない。
止水用組成物は、(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と重合触媒(c)の合計量が、固形分濃度で、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは8〜45質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。ここで、止水用組成物全量とは、(メタ)アクリル酸塩(a)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)、重合触媒(c)及び水の合計量をいう。止水用組成物全量に対する(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と重合触媒(c)の合計量が、固形分濃度3〜80質量%であると、水膨潤性、弾性力及び強度が十分である硬化体(ゲル体)を形成することができる。成分(a)と、成分(b)と、成分(c)との合計量が、止水用組成物全体量に対して固形分濃度3質量%未満であると、得られる硬化体(ゲル体)の強度が十分ではない。成分(a)と、成分(b)と、成分(c)との合計量が、止水用組成物全体量に対して固形分濃度80質量%を超えると、各成分の水溶性が低下し、止水用組成物の調製が困難となる。
本発明の止水用組成物は、成分(a)〜(c)の他に、腐食抑制剤等のその他の成分を含んでいてもよい。腐食抑制剤としては、例えば、カルボン酸及びその塩、リン酸及びその塩、リン酸エステル、亜硝酸及びその塩、並びにアミン及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することができる。腐食抑制剤を添加した場合には、止水用組成物又はその硬化体(ゲル体)がコンクリート構造物等に使用されている鋳鉄や鉄鋼等の鉄系材料に接触する場合に、腐食抑制作用を発揮する。腐食抑制剤の添加量は、止水用組成物全量に対して、好ましくは固形分濃度0.01〜10質量%、より好ましくは固形分濃度0.1〜5質量%である。腐食抑制剤の添加量が、上記範囲であると、腐食抑制効果を発揮することができる。
止水用組成物には、必要に応じて、各種ポルトランドセメント類、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、ジェットセメント、アルミナセメント、スラグセメント等のセメント類や、フライアッシュ、シリカヒューム、高炉スラグ、石膏、下水処理汚泥、ベントナイト、けい石粉等の焼却灰等1種以上を添加することができる。
本発明の止水用組成物は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とを含む水溶液であるA液と、レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)を含む水溶液であるB液とを含むことが好ましい。
A液とB液は、それぞれ別の容器に収容し、施工前にA液とB液とを混合して使用することが保存安定性の観点から好ましい。
A液は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0である(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とを、水と混合して、水溶液A液として保存しておくことが好ましい。(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とを、予め水に混合して水溶液としておくことで、安定性がよく、また、計量誤差等の影響をなくすことができる。長期保存の場合は、(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と水とを混合して、A’液とし、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)は、固体状態で保存することが好ましい。
B液は、レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)を固体状態で保存し、使用前に、レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)と水とを混合してB液とすることが好ましい。レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)は、固体状態で保存することにより安定性が保持できる。また、B液は混合する成分が少ないため、使用前に水と混合した場合であっても計量誤差の影響が少ない。
〔止水工法〕
本発明の止水用組成物を用いた止水工法は、止水用組成物を漏水部に注入し、硬化させて、漏水部を止水することができる。止水用組成物を漏水部に注入後、止水後の漏水部の注入口には、ポリマーセメントモルタルを充填して硬化することが好ましい。
コンクリート壁面のひび割れ等、高圧で止水用組成物を漏水部に注入した方がよい場合には、電動式二連ピストンを用いた高圧ポンプを使用して、漏水部に止水用組成物を注入することが好ましい。また、ケーブル管路等の漏水部に止水用組成物を注入する場合には、低圧で注入すれば足りることから、エアーコンプレッサーや圧縮ガスボンベ等を使用して、容器に入れた液を圧送し、漏水部に止水用組成物を注入すればよい。
〔A液とB液とを混合する工程〕
また、本発明の止水用組成物を用いた止水工法は、止水用組成物のA液とB液とを混合する工程を含む。A液とB液とを混合する方法としては、Y字管や二重管を使用して、A液とB液を別々に液送し、漏水部に注入する前にY字管の合流部や二重管の先端部でA液とB液とを混合する方法が挙げられる。その後、本発明の止水工法は、A液とB液とを混合した止水用組成物を漏水部に注入する工程を含む。止水用組成物を注入する工程において、止水用組成物を、漏水部に注入する工程は、上記と同様の方法を適用することができる。
本発明の止水用組成物は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩(a)を含むことによって、0℃〜45℃において、ゲル化時間を3秒以上60秒以下に調整することができる。本発明の止水用組成物を用いた止水工法によれば、ゲル化時間が長くなる傾向にある冬やゲル化時間が比較的短くなる夏等の温度変化や施工場所に応じて、最適なゲル化時間に調整された止水用組成物を選択して使用することができる。
以下の実施例により、本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
下記の原料を用いて、表1に示す配合で実施例1〜5の止水用組成物のA液とB液を調製した。
〔A液〕
[アクリル酸カルシウム(a1)]
固形分濃度25質量%のアクリル酸カルシウムを含み、20℃で、pH4.4、pH5.1、pH5.6、pH6.8、pH7.2である水溶液
[アクリル酸マグネシウム(a2)]
固形分濃度30質量%のアクリル酸マグネシウムを含み、20℃で、pHが5.4である水溶液
[ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)]
ポリエチレングリコールジアクリレートNo.600(ポリスチレン換算の重量平均分子量600、商品名:ブレンマーPDE−600(日油株式会社製))
[レドックス系触媒の還元剤成分(c1)]
イソアスコルビン酸ナトリウム(1%溶液)(関東化学株式会社製)
〔B液〕
[レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)]
ペルオキソ二硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
[水]
水道水
実施例1〜5の止水用組成物を用いて、下記の方法でゲル化時間を測定した。結果を表1に示す。また、図1は、pHとゲル化時間の関係を示す。
[ゲル化時間の測定方法]
ゲル化時間の測定方法は、A液とB液を別の容器に収容しておき、A液とB液を1つの容器内で混合した直後から、混合物が流動性を失いゲル化するまでの時間を測定することとする。
[吸水膨張率]
A液とB液を混合し、7日間経過後の2cm×2cm×2cm(厚み)の硬化体を20℃の水中に10日間浸漬し、水中に浸漬前の硬化体の質量(吸水前硬化体質量)と、水中から取り出した後の硬化体の質量(吸水後硬化体質量)から以下の式(1)に基づき、吸水膨張率を測定した。実施例1〜5の吸水膨張率はいずれも50〜55%であった。
吸水膨張率(%)=(吸水後硬化体質量−吸水前硬化体質量)/吸水前硬化体質量×100(1)
[一軸圧縮強度]
7日間経過後の直径5cm×高さ10cmの円柱状の硬化体の一軸圧縮強度を、(JIS A 1216:2009)に準拠して、測定した。実施例1〜5の一軸圧縮強度はいずれも31〜35kN/mであった。
[環境基準に定められる物質の溶出試験]
環境庁告示46号法(平成3年8月23日)に準拠して検液を作製した。その検液の重金属濃度をJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。7日間経過後の硬化体からのフッ素の溶出量は0.2mg/L(基準値0.8mg/L以下)であり、ホウ素は0.81mg/L(基準値1.0mg/L以下)であった。硬化体からのフッ素の溶出量及びホウ素の溶出量は、両者ともに基準値以下であった。その他の環境庁告示46号法の別表の項目に挙げられる物質の硬化体からの溶出量は、定量下限値以下又は不検出であった。
表1及び図1に示すとおり、実施例1〜5の止水用組成物によれば、止水用組成物中に、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含むことによって、pH調整剤を使用することなく、ゲル化時間を調整できることが確認できた。実施例1〜5に示すように、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含む止水用組成物は、止水用組成物の水溶液20℃において、ゲル化時間を3秒以上60秒以下に調整することができる。
下記の原料を用いて、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化成分(c2)との質量割合(c1:c2)を変化させ、止水用組成物の水溶液の温度が5℃、15℃、25℃、35℃の場合の、各止水用組成物のゲル化時間を測定した。ゲル化時間は、実施例1〜5の止水用組成物の測定と同様にして測定した。結果を表2及び図2示す。
〔A液〕
[アクリル酸カルシウム(a1)]
固形分濃度25質量%のアクリル酸カルシウムを含み、20℃でpH5.6である水溶液
[アクリル酸マグネシウム(a2)]
固形分濃度30質量%のアクリル酸マグネシウムを含み、20℃で、pH5.4である水溶液
[ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)]
ポリエチレングリコールジアクリレートNo.600(ポリスチレン換算の重量分子量600、商品名:ブレンマーPDE−600(日油株式会社製))
[レドックス系触媒の還元剤成分(c1)]
イソアスコルビン酸ナトリウム(5%溶液)(関東化学株式会社製)
〔B液〕
[レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)]
ペルオキソ二硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
[水]
水道水
表2及び図2に示すとおり、実施例6〜8の止水用組成物は、止水用組成物中に含まれるレドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)との質量割合(c1:c2)を変化させることによって、pH調整剤を使用することなく、ゲル化時間を調整できることが確認できた。実施例6〜8に示すように、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含むとともに、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)との質量割合(c1:c2)を変化させることによって、止水用組成物の水溶液0℃〜45℃において、ゲル化時間を3秒以上60秒以下に調整することが可能である。
本発明の止水用組成物は、固形分濃度20〜40質量%の水溶液の20℃におけるpHが4.0〜8.0の範囲で異なる(メタ)アクリル酸塩を含むことによって、ゲル化時間の調整が可能であり、例えば水が噴出しているような漏水部や、水が滲出しているような漏水部等の施工場所の状況や温度変化等によって、最適なゲル化時間に調整された止水用組成物を選択して使用できる。本発明によれば、施工場所や状況によって、最適なゲル時間に調整された止水用組成物を選択して使用できるので、効率良く漏水を止水することができ、産業上有用である。

Claims (10)

  1. (メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、重合触媒(c)とを含む止水用組成物のゲル化時間の調整方法であって、
    pH調整剤を使用することなく、(メタ)アクリル酸カルシウム(a1)を用い、その固形分濃度2質量%の水溶液の20℃におけるpH4.0〜8.0に調整することにより止水用組成物のゲル化時間を調整する方法
  2. (メタ)アクリル酸塩(a)が、さらに固形分濃度30質量%の水溶液の20℃におけるpHが5.0〜6.0である(メタ)アクリル酸マグネシウム(a2)を含み、(メタ)アクリル酸カルシウムと(メタ)アクリル酸マグネシウムの質量割合が70:30〜98:2である、請求項1記載の方法
  3. (メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)との質量割合が95:5〜55:45であり、(メタ)アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と重合触媒(c)との合計量が、固形分濃度3〜80質量%である、請求項1又は2記載の方法
  4. ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、請求項1〜のいずれか1項記載の方法
  5. 重合触媒(c)がレドックス系触媒である、請求項1〜のいずれか1項記載の方法
  6. 止水用組成物が、(メタ)アクリル酸塩(a)と、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)と、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とを含む水溶液であるA液と、
    レドックス系触媒の酸化剤成分(c2)を含む水溶液であるB液とを含む、請求項記載の方法
  7. アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100質量部に対して、レドックス系触媒である重合触媒(c)を固形分で0.05〜30質量部含み、アクリル酸塩(a)とポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(b)の固形分合計量100質量部に対して、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)を固形分で0.01〜5質量部含み、レドックス系触媒の還元剤成分(c1)とレドックス系触媒の酸化剤成分(c2)の質量割合が1:1〜1:200である、請求項記載の方法
  8. 請求項1〜のいずれか1項記載の方法により調製した止水用組成物を漏水部に注入する工程を含む、止水工法。
  9. 請求項又は記載の方法により調製した止水用組成物のA液とB液とを混合する工程と、A液とB液とを混合した止水用組成物を漏水部に注入する工程を含む、止水工法。
  10. 漏水部が、水が噴出している漏水部又は水が滲出している漏水部である、請求項8又は9記載の止水工法。
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