JP5308270B2 - 電気抵抗の小さい左官用モルタル、それを用いた硬化体、及びそれを用いたコンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法 - Google Patents

電気抵抗の小さい左官用モルタル、それを用いた硬化体、及びそれを用いたコンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法 Download PDF

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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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Description

本発明は、塩害等により鋼材腐食を受けたコンクリート構造物の電気防食に用いる左官用モルタル、それを用いた硬化体、及びそれを用いたコンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法に関する。
コンクリート構造物内部にある鉄筋等の鋼材は、ある塩分濃度以上の状態に晒されると、腐食電池が発生し、陽極となる鋼材に電気腐食が発生する。
このような、腐食電池の発生により誘発される鋼材の腐食を防止する手段として、コンクリート構造物に陽極を設置し、該陽極からコンクリート中の鋼材に直流電流を流し続けることにより、コンクリート中の鋼材の電位を制御し、鋼材の腐食反応を電気化学的に抑制する電気防食工法が推奨されており、コンクリート構造物の補修工法の一つとして利用されている。
例えば、表面近傍のコンクリート中に陽極を設置し、この陽極からコンクリート中の鋼材(陰極)に向かって継続的に電流を流す防食工法がある。そして、この電流が適切に流れている限り、鋼材の腐食による劣化の進行が抑制できるものである。
しかしながら、この方法では、時間の経過とともに、防食に必要な防食電流が減少し、長期にわたり陽極と鋼材との間に有効な電位差を維持することが困難であった。
この防食工法に用いられる陽極材としては、チタン系やカーボン系のロッドやリボンなどが多く用いられているが、この陽極の抵抗率を低減するためや不活性化を防止するために、当該陽極の性能を保護するための保護材料で陽極周辺を充填・被覆する必要があり、しかも、既設コンクリートと一体化する必要がある。
この保護材料としてモルタルが用いられる。
そして、鋼材の防食効果を上げるには、陽極の周囲に充填されたモルタルの硬化体の電気抵抗を小さくし、電流を流れやすくする必要がある。
また、このモルタル硬化体にひび割れが生じると電流が流れにくくなるため、ひび割れの要因である収縮を小さくする必要がある。
モルタル硬化体の電気抵抗を小さくするには、水結合材比や単位水量を大きくして、モルタル硬化体中の自由水の量を多くすることが好ましい。
しかしながら、水結合材比や単位水量を大きくすると、モルタルの流動性が大きくなってダレが生じるため、そのままでは使用できない場合がある。また、水結合材比や単位水量を大きくすると、乾燥収縮が大きくなるので、電気抵抗を小さくすることと、収縮を小さくすることとを両立させるのは難しいことであった。
モルタル硬化体の電気抵抗を小さくする方法としては、亜硝酸リチウムや粘土鉱物を含むモルタルを使用する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、乾燥によりモルタル硬化体の表面から水分が逸散し、長期的には電気抵抗が大きくなるという課題があった。
一方、モルタル硬化体の収縮を低減する方法としては、膨張材、収縮低減剤、及び繊維等を併用し、さらに、使用する膨張材として、組成や粒度の異なる二種類の膨張材を組み合わせて使用することが提案されている(特許文献3、特許文献4参照)。
また、有機−無機複合型塗膜養生剤をモルタルやコンクリートの硬化体の表面に塗布することにより、乾燥による水分の逸散を低減して乾燥収縮を抑制することに加え、中性化や外部からの塩分の浸透を抑制することが提案されている(特許文献5参照)。
しかしながら、有機−無機複合型塗膜養生剤をモルタルやコンクリートの硬化体の表面に塗布することが電気抵抗に関して、どのような効果が発揮されるかについては知られていなかった。
また、電気防食では、陽極から酸素が発生し、陽極の電位が塩素発生電位まで上昇すると、電気泳動で陽極側に移動した塩化物イオンが、次亜塩素酸や塩素ガスとなり、陽極近傍のモルタルを劣化させることがあるため、モルタル硬化体中でこれら次亜塩素酸や塩素ガスを透過しやすいようにすることも必要である。
一方で、トンネル工事において、覆工コンクリート背面の空洞部やトンネル構築時のセグメントの裏込め材として、セメントとベントナイトの主材に、吸水性樹脂を添加して粘性を大きくさせる方法が提案されている。(特許文献6)
特開2005−281037号公報 特開2006−248792号公報 特開2007−238745号公報 特開2007−320832号公報 特開2007−308354号公報 特許第3447529号公報
本発明は、水結合材比を高くしてもダレが生じず、電気抵抗が小さく、収縮が小さい左官用モルタルを提供する。また、収縮をさらに低減し、長期的に電気抵抗を小さく保ち、塩素ガスなどの透過を妨げないモルタル硬化体を用いた、コンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法を提供する。
本発明は、セメントを含有する結合材、細骨材、減水剤、及び水を配合したモルタル組成物を使用してなり、水結合材比が32〜55%、単位水量が250〜400kg/m3のモルタル配合を用いて調製した、0打モルタルフロー値が180〜320mmのモルタルに、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加して練混ぜて得られ、その硬化体の電気抵抗率が100kΩ・cm以下で、収縮量が長さ変化率で-800×10-6以下である左官用モルタルであり、吸水性樹脂の平均粒径が5μm以上30μm以下であり、結合材100部に対して、吸水性樹脂を0.2〜2部、水溶性アクリル系高分子を0.01〜1部、アルミン酸ナトリウムを0.01〜2部添加する該左官用モルタルであり、該左官用モルタルを硬化してなる左官用モルタル硬化体であり、該左官用モルタル硬化体の表面に、有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布してなるモルタル硬化体であり、有機−無機複合型塗膜剤が、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、及び膨潤性粘土鉱物を含有してなる該モルタル硬化体であり、有機−無機複合型塗膜剤の膨潤性粘土鉱物が、合成フッ素雲母である該モルタル硬化体であり、有機−無機複合型塗膜剤の使用量が、100〜500g/m2である該モルタル硬化体であり、該左官用モルタル硬化体を用いた、コンクリート構造物に陽極を設置し、該陽極からコンクリート中の鋼材に直流電流を流し続けることにより、コンクリート中の鋼材の電位を制御し、鋼材の腐食反応を電気化学的に抑制する、コンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法であり、該モルタル硬化体を用いた、コンクリート構造物に陽極を設置し、該陽極からコンクリート中の鋼材に直流電流を流し続けることにより、コンクリート中の鋼材の電位を制御し、鋼材の腐食反応を電気化学的に抑制する、コンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法である。
本発明は、水結合材比を高くしてもダレがなく、電気抵抗が小さく、収縮が小さい左官用モルタルを提供する。また、収縮をさらに低減し、長期的に電気抵抗を小さく保ち、塩素ガスなどの透過を妨げない、左官用モルタルの防食方法を提供する。
これらを電気防食に用いることにより、コンクリート構造物中の鋼材の防食において、高い防食効果が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り、質量基準で示す。
本発明では、セメントを含有する結合材、細骨材、減水剤、及び水を配合したモルタル組成物を使用してなり、水結合材比が32〜55%、単位水量が250〜400kg/m3のモルタル配合を用いて調製した、0打モルタルフロー値が180〜320mmのモルタルに、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加して練混ぜて得られ、その硬化体の電気抵抗率が100kΩ・cm以下で、収縮量が-800×10-6以下である左官用モルタルを調製する。
本発明では、セメントを含有する結合材を使用する。
結合材とは、セメント、又はセメントと、必要に応じ併用するシリカフューム、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、膨張材、急硬材、及び高強度混和材などの各種混和材との配合物をいう。
本発明で使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱などの各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末を混合したフィラーセメント、並びに、各種の産業廃棄物を主原料として製造された環境調和型セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
本発明で使用する細骨材は特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、ケイ砂、石灰砂、高炉水砕スラグ細骨材、再生細骨材、及び重量細骨材などが挙げられる。
また、高炉徐冷スラグ細骨材、電気炉酸化期スラグ系細骨材、並びに、フェロニッケルスラグ、フェロクロムスラグ、銅スラグ、亜鉛スラグ、及び鉛スラグなどを総称する非鉄精錬スラグ細骨材等が、橄欖岩(かんらん岩)系細骨材、いわゆるオリビンサンド、及びエメリー鉱等が挙げられる。本発明では、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
細骨材の使用量は特に限定されるものではなく、用途や要求される作業性に応じて適宜調整される。
本発明で使用する減水剤は特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、ナフタレン系減水剤としては、エヌエムビー社製、商品名「レオビルドSP-9」シリーズ、花王社製、商品名「マイティ2000」シリーズ、及び日本製紙社製、商品名「サンフローHS-100」などが挙げられる。また、メラミン系減水剤としては、日本シーカ社製、商品名「シーカメント1000」シリーズや日本製紙社製、商品名「サンフローHS-40」などが挙げられる。さらに、アミノスルホン酸系減水剤としては、フローリック社製、商品名「FP-200」シリーズなどが挙げられる。ポリカルボン酸系減水剤としては、エヌエムビー社製、商品名「レオビルドSP-8」シリーズ、グレースケミカルズ社製、商品名「ダーレックススーパー100PHX」、及び竹本油脂社製、商品名「チューポールHP-8」シリーズや「チューポールHP-11」シリーズなどが挙げられる。本発明ではこれら減水剤のうちの一種又は二種以上が使用可能である。
減水剤の使用量は特に限定されるものではなく、用途や要求される作業性に応じて適宜調整される。
本発明では、セメント、骨材、及び減水剤などとともに、石灰石微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、下水汚泥焼却灰やその溶融スラグ、都市ゴミ焼却灰やその溶融スラグ、パルプスラッジ焼却灰などの混和材料、凝結調整剤、消泡剤、防錆剤、防凍剤、スチール繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、炭素繊維、及びワラストナイト繊維等の繊維物質、ポリマー、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明では、結合材、細骨材、水、及び減水剤を含有するモルタル組成物を用いてモルタルを調製する。
モルタルを調製する際の水結合材比は、32〜55%であり、35〜50%が好ましい。水結合材比が32%未満では、モルタル硬化体中の自由水の量が少なくなるため、電気抵抗が大きくなり、充分な防食効果が得られなくなる場合があり、55%を超えると、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加してもダレが生じ、左官用モルタルとしての作業性を損ねる場合がある。
ここで、左官用モルタルとは、コテ塗りで使うモルタルであり、ダレがなく、粘性が小さいことが求められる。ダレが生じると、壁や天井部分等の施工でモルタルがうまく充填できず、流れてしまい、粘性が大きいと、コテ離れが悪く、作業性が悪くなる。ダレの目安として、JIS R 5201によるモルタルフロー値(15打モルタルフロー値)で140〜200mm程度が好ましい。140mm未満では流動性が小さすぎて、コテでモルタルを塗り付けるときにモルタルが伸びず、作業性が悪くなる場合があり、200mmを超えるとダレが生じるようになる場合がある。
また、モルタルを調製する際の単位水量は、250〜400kg/m3であり、290〜360kg/m3が好ましい。250kg/m3未満では、左官モルタル硬化体又はモルタル硬化体(以下、本硬化体という)中の自由水の量が少なくなるため、電気抵抗が大きくなり、充分な防食効果が得られなくなる場合があり、400kg/m3を超えると、水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加してもダレが生じ、左官用モルタルとしての作業性を損ねる場合がある。
0打モルタルフロー値とは、JIS R 5201においてフローテーブルをタッピングしない、静置状態でのモルタルフロー値を指すもので、本発明では、180〜320mmであり、200〜275mmが好ましい。200mm未満では、電気抵抗が大きくなり、充分な防食効果が得られなくなる場合があり、320mmを超えると、材料分離が生じやすくなる場合がある。
本発明では、セメント、細骨材、水、及び減水剤を含有するモルタル組成物を用い、水結合材比が32〜55%、単位水量が250〜400kg/m3で、0打モルタルフロー値が180〜320mmの流動性の高いモルタルに、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加して練混ぜることにより、水結合材比が高くてもダレがなく、作業性の良い左官用モルタルを調製する。
本発明で使用する吸水性樹脂とは、親水性ポリマーの架橋構造体であり、自重の約10から1000倍の水を吸収(吸水倍率:約10〜1000g/g)し膨潤する性質を持つものである。通常は、架橋剤の存在下に水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるものと、水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合し水溶性ポリマーとしたものを架橋処理して得られるものとがあり、何れも使用可能である。
吸水性樹脂は、流動性の高いモルタルと混合することによって、コテの滑りが良く、作業性の良い左官用モルタルが得られ、多量の空気を連行せず、強度発現性を阻害しない。
前記吸水性樹脂の例としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリアルキレン鎖を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(およびその塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)の反応物、架橋ポリイソブチレン−マレイン酸塩共重合体、ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合物等の吸水性ポリマー等を挙げることができる。
また、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩と、例えばアクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、又はそれらのアルカリ金属塩等の耐塩性の吸液性ポリマーを与えるモノマー(耐塩性モノマー)とを共重合させた変性アクリル系架橋重合体の吸水性樹脂は、電解質を多く含んだ、例えば、セメント組成物などの高pH条件下においても、吸液膨潤性があるため好ましい。
吸水性樹脂の平均粒径は5μm以上30μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。30μmを越えると、吸水速度が遅くなり、流動性の高いモルタルと混合しても、作業性のよい左官モルタルが得られるまで多くの時間を要す場合がある。5μm未満の場合は、計量時等、大気に触れる時には湿気を吸湿し、取り扱いが困難となる場合がある。
吸水性樹脂の使用量は、結合材100部に対して、0.2〜2部が好ましく、0.3〜1部がより好ましい。0.2部未満ではダレが生じるおそれがあり、2部を超えて使用すると、吸水性樹脂によってモルタル中の水が吸水され過ぎ、モルタルフロー値が小さくなり、左官用モルタルの作業性が悪くなる場合がある。
本発明では水溶性アクリル系高分子を使用する。水溶性アクリル系高分子を上記の流動性の高いモルタルと混合することによって、粘性が小さく、コテ離れが良いにも関わらず、コンクリート面への厚付け性が良好となる。例えば、増粘剤として多く用いられているメチルセルロース系の化合物を使用した場合には、モルタルの粘性が大きくなり、コテ離れが悪く、作業性が悪くなる。また、多量の空気を連行し、強度発現性を阻害する。
水溶性アクリル系高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、及びポリアクリルアミド部分加水分解物等がある。
本発明の水溶性アクリル系高分子を用いると、粘性が小さく、コテ離れが良い左官用モルタルが得られるため、狭い間隙への充填性が良い。
水溶性アクリル系高分子の使用量は、結合材100部に対して、0.01〜1部が好ましく、0.03〜0.5部がより好ましい。0.01部未満ではコテ塗り時の厚付け性が確保されない場合があり、1部を超えて使用すると、モルタルのコテ離れが悪くなり、作業性が低下する場合がある。
本発明で使用するアルミン酸ナトリウムは、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子に併用して流動性の高いモルタルを増粘させて可塑性を付与するとともに、モルタルの凝結を促進して左官用モルタルとしての作業性を確保する。特に、水結合材比が高い場合には、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子だけではダレてしまう場合があるが、アルミン酸ナトリウムを併用することにより、ダレが生じにくくなり、作業性の良い左官用モルタルが得られる。
アルミン酸ナトリウムは結晶水を含むものと無水物のものがあり、いずれも使用できるが、強い可塑性を付与してモルタルをダレにくくする点で、無水物の使用が好ましい。
本発明で使用するアルミン酸ナトリウムの添加量は、結合材100部に対して、0.01〜2部が好ましく、0.1〜1部がより好ましい。0.01部未満ではダレが生じ、2部を超えて添加すると、凝結が大幅に促進されてモルタルフロー値が小さくなり、左官用モルタルの作業性が悪くなる場合がある。
本発明において、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムの添加方法は特に限定されるものではないが、所定の水結合材比と単位水量のモルタルを練混ぜた後に添加して練混ぜることにより、ダレがなく、作業性の良好な左官用モルタルが得られやすいことから好ましい。
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、ハンドミキサ、グラウトミキサ、ダマカットミキサ、二軸ミキサ、オムニミキサ、パン型ミキサ、遊星型ミキサ、及び傾胴ミキサなどが使用可能である。
本硬化体の電気抵抗率は、100kΩ・cm以下であり、収縮量は、長さ変化率で、-800×10-6以下である。
本硬化体の電気抵抗率は、100kΩ・cm以下であり、50kΩ・cm以下が好ましい。電気抵抗率が100kΩ・cmを超えると、電流が流れにくくなり、充分な防食効果が得られなくなる場合がある。
また、本硬化体の収縮量は、長さ変化率で、-800×10-6以下であり、-600×10-6以下が好ましい。収縮量が-800×10-6を超えるとひび割れが発生しやすくなり、電流が流れにくくなって、充分な防食効果が得られなくなる場合がある。
本発明では、本硬化体の収縮量を低減するため、即ち、収縮量を長さ変化率で、-800×10-6以下とするために、膨張材、収縮低減剤、及び繊維を併用することは好ましい。
ここで、膨張材は特に限定されるものではなく、いかなるものでも使用可能である。その種類としては、遊離石灰や遊離マグネシアを含むものが挙げられるが、長期安定性の観点から、遊離石灰を含む膨張材が好ましい。
遊離石灰を含む膨張材としては、例えば、遊離石灰−無水セッコウ系膨張材、遊離石灰−水硬性化合物系膨張材、並びに、遊離石灰−水硬性化合物−無水セッコウ系膨張材等が挙げられる。
本発明では、膨張性能が良好なことから、遊離石灰−水硬性化合物−無水セッコウ系膨張材を用いることが好ましい。
ここで、水硬性化合物としては、例えば、アウイン、カルシウムフェライト、カルシウムアルミノフェライト、カルシウムシリケート、及びカルシウムアルミネートなどの一種又は二種以上が挙げられる。
遊離石灰−水硬性化合物−無水セッコウ系膨張材において、水硬性化合物が、アウイン、カルシウムフェライト、及びカルシウムアルミノフェライトなどの一種又は二種以上から構成される膨張材は、遊離石灰から消石灰を生成するとともに、水硬性化合物と無水セッコウからエトリンガイトも生成する。このため、エトリンガイトに因んで、カルシウムサルホアルミネート系膨張材と称されるものや、エトリンガイト−石灰複合系膨張材と称されるものがある。
このような膨張材としては、各社より市販されている膨張材や静的破砕材が利用可能である。膨張材や静的破砕材は、多数市販されており、その代表例としては、電気化学工業社製、商品名「デンカCSA」や「デンカパワーCSA」、住友大阪セメント社製、商品名「サクス」、太平洋マテリアル社製、商品名「エクスパン」、「N-EX」、「ブライスター」、及び「太平洋ジプカル」などが挙げられる。
膨張材の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で2,500〜10,000cm2/gが好ましくい。
膨張材の使用量は、セメント100部に対して、2〜20部が好ましい。
収縮低減剤としては、収縮低減成分が一般式RO(AO)nH(Rは炭素数4〜6のアルキル基、Aは炭素数2〜3の一種又は二種のアルキレン基、nは1〜10の整数)で示される低級アルコールのアルキレンオキサイド付加物を主体としたものや、一般式X{O(AO)nR}m(ただし、Xは2〜8個の水酸基を有する化合物の残基、AOは炭素数2〜18のオキシアルキレン基、Rは水素原子、炭素数1〜18の炭化水素基、又は炭素数2〜18のアシル基、nは30〜1,000、mは2〜8)で示され、そのオキシアルキレン基の60mol%以上はオキシエチレン基であるポリオキシアルキレン誘導体等が使用可能である。
収縮低減剤の使用量は、セメント100部に対して、1〜6部が好ましい。
繊維は特に限定されるものではなく、一般に市販されているものが使用でき、具体的には、高強度のビニロン繊維やポリエチレン繊維、ナイロン繊維などが挙げられる。
繊維の使用量は、結合材、細骨材、及び減水剤を含有してなるモルタル組成物100容量部中、0.01〜1.0容量部が好ましい。
本発明では、本硬化体の表面に、有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布することは、収縮量をさらに低減し、ひび割れを抑制できるばかりでなく、長期的に本硬化体の電気抵抗を小さく保つことができることから好ましい。
防食工法では、エポキシ樹脂等による塗装もあるが、エポキシ樹脂等を塗装すると、陽極で発生した塩素ガスなどが透過しないため、陽極近傍のモルタルが劣化し、塗膜の変色や剥がれが起こる。一方、本発明の有機−無機複合型塗膜養生剤では、水分の逸散を抑制するが、塩素ガスなどは緩やかに透過するため、モルタルや塗膜が劣化しない。
本発明の有機−無機複合型塗膜養生剤とは、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、及び膨潤性粘土鉱物を、また、さらに、これらと架橋剤とを主成分とするものである。
ここで、合成樹脂水性分散体とは、一般的には合成樹脂エマルジョンであり、芳香族ビニル単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和脂肪酸単量体、及びその他の共重合可能な単量体の内から一種又は二種以上を乳化重合して得られるものである。例えば、スチレンを主体としたスチレン・ブタジエン系ラテックス、スチレン・アクリル系エマルジョンやスチレンと共重合したメチルメタクリレート・ブタジエン系ラテックス、エチレン・アクリルエマルジョンである。合成樹脂エマルジョンには、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものがより望ましい。
ここで、乳化重合は、重合すべき単量体を混合し、これに乳化剤や重合開始剤等を加え水系で行なう一般的な乳化重合方法である。
膨潤性粘土鉱物との配合安定性を得るには、アンモニア、アミン類、及びカセイソーダなどの塩基性物質を使用し、pH5以上に調整したものが好ましい。
合成樹脂水性分散体の粒子径は、一般的に100〜300nmであるが、60〜100nm程度の小さい粒子径のものが好ましい。
水溶性樹脂としては、加工澱粉又はその誘導体、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニルの鹸化物又はその誘導体、スルホン酸基を有する重合体又はその塩、アクリル酸の重合体や共重合体又はこれらの塩、アクリルアミドの重合体や共重合体、ポリエチレングリコール、及びオキサゾリン基含有重合体等が挙げられ、そのうちの一種又は二種以上の使用が可能である。
水溶性樹脂としては、純水への溶解度が常温で1%以上であるものであれば良く、樹脂単位重量当たりの水素結合性基又はイオン性基が10〜60%であることが好ましい。
また、平均分子量は2,000〜1,000,000が好ましい。
水溶性樹脂の使用量は、合成樹脂水性分散体の固形分100部に対して、固形分換算で0.05〜200部が好ましい。
膨潤性粘土鉱物としては、スクメタイト属に属する層状ケイ酸塩鉱物が挙げられる。例えば、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、マイカ、及びベントナイトなどである。これらは天然品、合成品、及び加工処理品のいずれであっても使用可能である。
そのうち、日本ベントナイト工業会、標準試験方法 JBAS-104-77に準じた方法で測定した膨潤力が20ml/2g以上の粘土鉱物、特に、ベントナイトが好ましい。
また、イオン交換当量が100g当たり、10ミリ当量以上ものが好ましい。
さらに、そのアスペクト比が50〜5,000のものが好ましい。アスペクト比とは、電子顕微鏡写真により求めた層状に分散した粘土鉱物の長さ/厚みの比である。
膨潤性粘土鉱物の使用量は、合成樹脂水性分散体の固形分100部に対して、1〜50部が好ましい。
架橋剤とは、水溶性樹脂や合成樹脂水性分散体が有するカルボキシル基、アミド基、及び水酸基等の親水性官能基と反応して、架橋、高分子化(三次元網目構造)、又は疎水化するものであり、カルボキシル基と付加反応を起こすオキサゾリン基を有するものが水溶性樹脂をも兼ねるので好ましい。
架橋剤の使用量は、合成樹脂水性分散体と水溶性樹脂の合計の固形分100部に対して、固形分換算で0.01〜30部が好ましい。
本発明では、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、及び膨潤性粘土鉱物を混合して、また、さらに、これらと架橋剤とを反応させて、有機−無機複合型塗膜養生剤を調製する。
有機−無機複合型塗膜養生剤の合成方法は、水溶性樹脂と膨潤性粘土鉱物をあらかじめ水中で混合した後に、合成樹脂水性分散体と架橋剤を混合する方法が好ましい。
有機−無機複合型塗膜養生剤の被覆方法は、均一に養生被覆膜が形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、撒布したり、塗布したり、吹付けしたりすることが可能である。
有機−無機複合型塗膜養生剤は、左官用モルタルの凝結が終結した後、表面に塗布することが好ましい。時間が経つと、モルタルの表面が乾燥し、ひび割れが発生しやすくなる。
このような有機−無機複合型塗膜養生剤としては、電気化学工業社の「RISフルコート」や「クラッコフ」、東亞合成社の「CA2」シリーズを用いることができる。
本発明の左官用モルタル硬化体に、本発明の塗膜養生剤を塗布することにより、長さ変化率をさらに低減してひび割れを抑制するばかりでなく、長期的にモルタル硬化体の電気抵抗を小さく保ち、防食効果を高めることができる。
有機−無機複合型塗膜養生剤の使用量は特に限定されるものではないが、1m2当たり、100〜500gが好ましく、150〜400gがより好ましい。100g未満では、長期的に電気抵抗を小さく保つ効果が充分でなくなるおそれがあり、500gを超えると、塩素ガスなどが透過しにくくなる場合がある。
以下に実験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
実験例1
セメントと、セメント100部に対し、膨張材A5部、膨張材B5部、及び収縮低減剤3部の混和材からなる結合材、細骨材、減水剤、及び繊維を配合してモルタル組成物を調製し、モルタル組成物100容量部中、繊維を0.15容量部として、表1に示す、水結合材比と結合材量と単位水量のモルタル配合を用い、表1に示すモルタルフロー値の左官用モルタルを調製した。
その後、結合材100部に対して、吸水性樹脂0.5部と水溶性アクリル系高分子0.05部とアルミン酸ナトリウム0.1部を添加して、左官用モルタルを練混ぜた。水溶性アクリル系高分子およびアルミン酸ナトリウムを添加する前後でモルタルフロー値を測定し、添加後のダレの有無と作業性を評価した。4×4×16cmの供試体を作製し、材齢28日で電気抵抗率と長さ変化率を測定した。既設コンクリート板の上に、縦30cm、横30cm、厚さ3cmとなるように左官モルタルを打設し、材齢28日でひび割れの発生状況を観察した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、密度3.15g/cm3、ブレーン値3,100cm2/g
膨張材A :エトリンガイト−石灰複合系膨張材、ブレーン値3,000cm2/g
膨張材B :カルシウムサルホアルミネート系膨張材、ブレーン値6,000cm2/g
収縮低減剤:粉末収縮低減剤、市販品
繊維 :ナイロン繊維、密度1.14g/cm3、市販品
減水剤 :β−ナフタレンスルホン酸系減水剤、市販品
細骨材 :石灰石砕砂、密度2.62g/cm3
吸水性樹脂:変性アクリル系架橋重合体、平均粒径16μm、吸水倍率193g/g、市販品
水溶性アクリル系高分子:ポリアクリルアミド部分加水分解物、市販品
アルミン酸ナトリウム:無水塩、市販品
<測定方法>
モルタルフロー値:調製したモルタルをJIS R 5201に準拠して測定。但し、水溶性アクリル系高分子およびアルミン酸ナトリウムの添加前は0打モルタルフロー値、添加後は15打モルタルフロー値(それぞれフローテーブルをタッピングしない静置状態での値と、15回タッピング後の値)。
電気抵抗率:供試体を作製した翌日に脱型し、20℃、60%RHで養生した後、四電極法にて測定(印加電圧10V、測定周波数73.3Hz)。
長さ変化率:東日本、中日本、西日本高速道路株式会社試験方法(JHS416-2004)「断面修復材料品質規格試験方法」に準拠。収縮量の評価
ダレの有無:調製した左官モルタルをコテで塗り付け、ダレが生じた場合を不可(×)、ダレがない場合を可(○)とした。
作業性 :粘性が強い、モルタルが軟らかすぎるなど、コテで扱いにくい場合を不可(×)、粘性が小さく、扱いやすい場合を可(○)とした。
ひび割れ :ひび割れ抵抗性で、ひび割れが発生した場合を不可(×)、ひび割れの発生がない場合を可(○)とした。
Figure 0005308270
表1より、水結合材比が高く、単位水量が多く、流動性の高いモルタルに吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加することにより、モルタルフロー値を低減し、ダレがなく、粘性が小さく、作業性が良好で、電気抵抗率が小さい左官用モルタルを調製できる。また、膨張材、収縮低減剤、及び繊維の併用により、収縮を低減できる。
実験例2
水結合材比を45%、単位水量を351kg/m3、単位結合材量780kg/m3とし、表2に示す吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを使用し、圧縮強度を測定したこと以外は実験例1と同様に行った。
なお、比較のために、メチルセルロース系増粘剤を添加した場合についても同様に行った。結果を表2に併記する。
<使用材料>
増粘剤:メチルセルロース、分子量15,000、市販品
<測定方法>
圧縮強度 :JIS R 5201に準拠し、材齢28日で測定。
Figure 0005308270
表2より、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加することにより、作業性が良好で、電気抵抗率が小さく、強度発現性を阻害しない左官用モルタルを調製できる。粘性が小さく、コテ離れが良いため、充填性も良い。一方、増粘剤を添加した場合には、ダレが大きく、コテ塗りの作業性が悪い。
実験例3
実験No.1−7で使用した左官用モルタルを使用し、表3に示す塗布量で有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布したこと以外は実験例1と同様に行った。
なお、比較のために、従来の塗膜養生剤を使用した場合についても同様に行った。結果を表3に併記する。
<使用材料>
有機−無機複合型塗膜養生剤:アクリル樹脂-フッ素雲母の複合型塗膜養生剤
従来の塗膜養生剤:EVA系塗膜養生剤、市販品
Figure 0005308270
表3より、有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布することにより、モルタルの収縮がさらに低減されるばかりでなく、電気抵抗がさらに低減される。一方、従来の塗膜養生剤を塗布した場合には、そのような効果は見られない。
実験例4
単位セメント量が330kg/m3、水セメント比が60%、s/aが52%、NaClの添加量が12kg/m3のコンクリートで15×15×53cmの供試体を作製した。
このとき、供試体の軸方向の中央にφ13mmのみがき鋼棒を設置した。コンクリートの表面近傍を切削し、陽極のチタンリボンを埋設した後、実験No.1−7の左官用モルタルを充填した。その後その表面に有機−無機複合型塗膜養生剤を200g/m2となるように塗布した。電流密度0.03A/m2で電気防食を行い、実験開始直後、1ヵ月後、6ヵ月後、及び1年後のモルタル硬化体の電気抵抗率を測定した。
また、1年後にみがき鋼棒の発錆の有無と左官用モルタルと塗膜の劣化の有無を観察した。
なお、有機−無機複合型塗膜養生剤を用いない場合と、比較として、有機系塗料を塗布した場合についても同様に行った。結果を表4に併記する。
<使用材料>
有機系塗料:エポキシ系、市販品
Figure 0005308270
表4より、本発明の左官モルタルを使用し、その表面に有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布することにより、長期的にモルタル硬化体の電気抵抗を小さく保つことができ、モルタルと塗膜の劣化がなく、高い防食効果が得られる。
一方、有機系塗料を使用した場合には、みがき鋼棒の発錆を抑制するが、塩素ガスなどが透過せず、モルタル硬化体と塗膜が劣化するため、長期的にモルタル硬化体の電気抵抗が増加する。
本発明によれば、水結合材比を高くしてもダレがなく、電気抵抗と収縮の両方が小さい左官用モルタルが得られ、また、収縮をさらに低減し、長期的にモルタル硬化体の電気抵抗を小さく保ち、塩素ガスなどの透過を妨げないものであり、塩害等により鋼材腐食を受けたコンクリート構造物の電気防食に用いた場合、コンクリート構造物内部にある鋼材の防食効果を高めることができる。

Claims (10)

  1. セメントを含有する結合材、細骨材、減水剤、及び水を配合したモルタル組成物を使用してなり、水結合材比が32〜55質量%、単位水量が250〜400kg/m3のモルタル配合を用いて調製した、0打モルタルフロー値が180〜320mmのモルタルに、吸水性樹脂と水溶性アクリル系高分子とアルミン酸ナトリウムを添加して練混ぜて得られ、その硬化体の電気抵抗率が100kΩ・cm以下で、長さ変化率で収縮量が-800×10-6以下である左官用モルタル。
  2. 吸水性樹脂の平均粒径が5μm以上30μm以下である請求項1記載の左官用モルタル。
  3. 結合材100質量部に対して、吸水性樹脂を0.2〜2質量部、水溶性アクリル系高分子を0.01〜1質量部、アルミン酸ナトリウムを0.01〜2質量部添加して練混ぜて得られる、請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の左官用モルタル。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の左官用モルタルが硬化してなる左官用モルタル硬化体。
  5. 請求項4に記載の左官用モルタル硬化体の表面に、有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布してなるモルタル硬化体。
  6. 有機−無機複合型塗膜剤が、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、及び膨潤性粘土鉱物を含有してなる請求項5に記載のモルタル硬化体。
  7. 有機−無機複合型塗膜剤の膨潤性粘土鉱物が、合成フッ素雲母である請求項6に記載のモルタル硬化体。
  8. 有機−無機複合型塗膜剤の使用量が、100〜500g/m2である請求項5〜7のうちのいずれか1項に記載のモルタル硬化体。
  9. 請求項4に記載の左官用モルタル硬化体を用いた、コンクリート構造物に陽極を設置し、該陽極からコンクリート中の鋼材に直流電流を流し続けることにより、コンクリート中の鋼材の電位を制御し、鋼材の腐食反応を電気化学的に抑制する、コンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法。
  10. 請求項5〜請求項8のうちのいずれか1項に記載のモルタル硬化体を用いた、コンクリート構造物に陽極を設置し、該陽極からコンクリート中の鋼材に直流電流を流し続けることにより、コンクリート中の鋼材の電位を制御し、鋼材の腐食反応を電気化学的に抑制する、コンクリート構造物内部にある鋼材の防食方法。
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