JP2012091985A - コンクリート構造物の補修方法 - Google Patents

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【課題】
コンクリート構造物に生じたひび割れを有効に補修して、該コンクリート構造物が動的な繰り返し疲労を受けた場合であっても、補修部の追従性が良好で、動的な伸縮抵抗性に優れる、コンクリート構造物の補修方法を提供することである。
【解決手段】
ガラス転移温度が−25℃以下のポリマーを含有し、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%以上50%未満であり、JSCE−K532によるひび割れ追従性の伸びが20℃で0.4mm以上であるポリマーセメントモルタルを、塗布量3200g/m以上で、コンクリート構造体のひび割れ箇所に塗布するとともに、該塗布するポリマーセメントモルタル内部にメッシュシートを介在させることで、コンクリート構造物を補修するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート構造物の補修方法に関し、特に動的な繰り返し疲労を受けるコンクリート構造物の補修方法に関する。
従来においては、コンクリートのひび割れ補修・補強方法として、日本コンクリート工学協会による「コンクリートのひび割れ調査・補修・補強指針」等に従った、多くのコンクリートひび割れ補修工法(ひび割れ被覆工法、注入工法、充てん工法)、断面修復工法、表面被覆工法、はく落防止工法、電気化学的防食工法が提案されている。
コンクリート構造物に発生したひび割れ部から、酸素、水分、塩化物イオン、炭酸ガス等の劣化因子が侵入し、コンクリートの鉄筋の腐食が促進されたり、またコンクリート中にアルカリ骨材反応を起こす骨材コンクリート中に含まれる場合には、コンクリート中でアルカリ骨材反応が進行する等、コンクリート構造物の構造上に問題が生じるため、従来より種々のコンクリート構造物のひび割れ補修方法が提案されている。
例えば、特開2007−204304号公報(特許文献1)には、母材コンクリート外表面に伸び縮み可能な弾性材料で表面被覆材を被覆することによりひび割れ部の内部空間を外部から遮断させることを特徴とするコンクリートの補修工法であって、前記表面被覆材が、弾性ウレタンにフライアッシュを混入して形成されたことを特徴とするコンクリートの補修工法が提案されている。
また特開2000−16886号公報(特許文献2)には、コンクリート構造物の表面に、下記下地調整材塗膜(1)を形成し、その塗膜表面(1)に下記塗膜(2)を形成することを特徴とするコンクリート構造物の保護工法が開示されている。
(1)カチオン系(メタ)アクリル重合体エマルジョン及び無機質水硬性物質を含有する組成物を硬化してなる塗膜。
(2)アルキル基の炭素数が4〜10であるアルキル(メタ)アクリレートを30〜98重量%の共重合割合とする共重合体がカチオン系及び/又はノニオン系界面活性剤により水に乳化分散されたエマルジョン及び無機質水硬性物質を含有する組成物であって、前記エマルジョン100重量部に対して10〜200重量部の無機質水硬性物質を含有する組成物を硬化してなる塗膜であり、20℃における伸び率が50〜2000%であり、遮塩性が10-2〜10-4mg/ cm2 日であり、水蒸気透過性が5g/ m2 日以上であり、膜厚が100〜5000μmである塗膜。
ひび割れ被覆工法は、微細なひび割れ(一般的に0.2mm以下)の上に塗膜を構成させ、防水性、耐久性を向上させる目的で行われる工法であるが、ひび割れの開閉量が大きい場合やひび割れ幅の変動(進行性)が大きい場合には、ひび割れの動きに追従し難いこと等の欠点がある。一方、表面被覆工法は、鉄筋コンクリート構造物の表面全体を保護材で被覆する工法であり、防水性、遮塩性、酸素透過阻止性、水蒸気透過阻止性、中性化抑止性および付着性等の性能以外に、躯体コンクリートにひび割れが生じた場合に備え、ひび割れ追従性も必要とされている。
注入工法、充てん工法、断面修復工法でひび割れ部を補修した後に、JSCE−K532−1999で評価したひび割れ追従性に優れる表面被覆材で覆う表面被覆工法で補修しても、当初から躯体コンクリートに損傷がある部分(打ち継ぎ部等)には、動的な疲労を繰り返し受けた場合には、ひび割れが発生してしまう現象が生じ、例えば鉄道の桁下面や梁下面施工箇所に、列車通過時の構造物の繰り返し振動によるひび割れが発生してしまう問題を有している。
特開2007−204304号公報 特開2000−16886号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決し、コンクリート構造物に生じたひび割れを有効に補修して、該コンクリート構造物が動的な繰り返し疲労を受けた場合であっても、補修部の追従性が良好で、動的な伸縮抵抗性に優れる、コンクリート構造物の補修方法を提供することである。
本発明は、特定の組成・物性を有するポリマーセメントモルタルを用いてコンクリート構造物を補修することにより、繰り返しの動的な疲労が加わっても、追従性が良好で、ひび割れ抑制作用に優れることを見出し、達成したものである。
本発明のコンクリート構造物の補修方法は、ガラス転移温度が−25℃以下のポリマーを含有し、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%以上50%未満であり、JSCE−K532によるひび割れ追従性の伸びが20℃で0.4mm以上であるポリマーセメントモルタルを、塗布量3200g/m以上で、コンクリート構造体のひび割れ箇所に塗布するとともに、該塗布するポリマーセメントモルタル内部にメッシュシートを介在させることを特徴とする、コンクリート構造物の補修方法である。
好適には、上記本発明のコンクリート構造物の補修方法において、該ポリマーセメントモルタルは、該ひび割れを中心に少なくとも左右10cm以上の範囲に塗布されることを特徴とする。
さらに好適には、上記本発明のコンクリート構造物の補修方法において、ガラス転移温度が−40℃以下のポリマーを使用することを特徴とする。
また更に好適には、上記本発明のコンクリート構造物の補修方法において、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%〜35%であることを特徴とする。
より好適には、上記本発明のコンクリート構造物の補修方法において、メッシュシートは、2軸メッシュシート又は3軸メッシュシートであることを特徴とする。
本発明のコンクリート構造物の補修方法は、コンクリート構造物に生じたひび割れを有効に補修して、該コンクリート構造物が動的な繰り返し疲労を受けた場合であっても、補修部の塗膜の追従性が良好であり、動的な伸縮疲労に優れた抵抗性を有し、該コンクリート構造物の損傷を抑制することができる。
従って、コンクリート構造物に動的な繰り返し疲労がかかっても、コンクリート中への水分等の劣化要因の侵入を遮断して塩害及び中性化を防止し、コンクリート構造物内部でのアルカリ骨材反応を防止し、コンクリート構造物のひび割れに対しても優れた追従性を有し、これら性能を長期に亘り保持することができることが可能となる。
本発明を次の例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のコンクリートの補修方法は、ガラス転移温度が−25℃以下のポリマーを含有し、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%以上50%未満であり、JSCE−K532によるひび割れ追従性の伸びが20℃で0.4mm以上であるポリマーセメントモルタルを、塗布量3200g/m以上で、コンクリート構造体のひび割れ箇所に塗布するとともに、該塗布するポリマーセメントモルタル内部にメッシュシートを介在させる、補修方法である。
このような構成とすることにより、動的繰り返し疲労を受けるコンクリート構造体に対しても、追従性が良好な補修を可能にし、ひび割れ抑制作用に優れることが可能となる。
本発明に用いるポリマーセメントモルタルの無機系粉体には、セメントが含まれる。
該セメントとしては、現場の施工条件等を考慮して選定することができ、特に限定されず、例えば普通、早強、中庸熱及び超早強等の各種ポルトランドセメント、これらの各種ポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグなどを混合した高炉セメント等の各種混合セメント、速硬セメント等を、単独または2種以上で用いることができる。
また、該セメントには、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、シリカヒューム、石灰石粉末、石英粉末、二水石膏、半水石膏、無水石膏、生石灰などの公知の混和材を、単独または併用して、適量配合することもできる。
その配合割合は、特に限定されず、適宜設計することができる。
本発明のポリマーセメントモルタル材料に使用する無機系粉体に含まれる細骨材としては、川砂、海砂、山砂、砕砂、3〜8号珪砂、石灰石、及びスラグ細骨材等を使用することができ、微細な粉や粗い骨材を含まない粒度調整した珪砂や石灰石等の細骨材を用いることが好ましい。
その配合割合は、上記セメント100質量部に対して、50〜300質量部、好ましくは100〜230質量部とすることが望ましい。
これは、かかる配合比で細骨材を混合することで、より作業性が良好となり、更にひび割れ追従性および付着性がより良好な補修材料となるからである。
また、本発明のポリマーセメントモルタルに使用できるセメント混和用ポリマーとしては、液状の高分子エマルジョンや、再乳化形粉末樹脂が例示でき、例えばJIS A 6203に規定されたものを使用することができる。具体的には、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル/アクリル酸エステル等の樹脂が挙げられ、これらの中から適宜、選択して単独、または混合してエマルジョンとして使用することができる。
特に、耐水性等の耐久性が要求される部材に用いる場合には、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂の使用が好ましい。
再乳化形粉末樹脂は、JIS A 6203に規定するポリマーエマルジョンを噴霧乾燥した粉末樹脂で、水を添加すると再度乳化するものをいい、ポリマーエマルジョンとは、上記ポリマーの微粒子が水中に分散し、浮遊している状態のものである。
ポリマーを安定化する方法としては、例えば、アクリル酸を共重合するカルボキシル方式(アニオン化方式)、水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール等の水溶液中で重合する保護コロイド方式、重合反応性界面活性剤等を共重合する方式、非重合反応性界面活性剤による安定化方式がある。
かかる再乳化形粉末樹脂の製造方法は特に限定されることなく、これらのポリマーエマルジョンを粉末化方法やブロッキング防止法等の公知かつ任意の方法を用いて調製することができる。
かかるセメント混和用ポリマーは、ガラス転移温度が−25℃以下のポリマーである。
ガラス転移温度が−25℃以下、好ましくは−40℃以下とすることで、低温条件下でもひび割れ追従性に優れる材料となるからである。
なお、本発明において、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に従って求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)の値を示すものである。
かかるセメント混和用ポリマーの配合量としては、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%以上でかつ50%未満である。好ましくは30〜35%である。
ポリマー固形分/無機機系粉体質量比が30%未満であると、伸び能力が不十分でひび割れの変動に対応できず、一方50%以上となると、伸び能力は十分得られるが動的な挙動に追従できなくなってしまうからである。
本発明に用いるポリマーセメントモルタルにおいては、上記材料のほかに、凝結遅延剤、硬化促進剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤、防錆剤、防凍剤、着色剤、保水剤等の添加剤を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することができる。
上記ポリマーセメントモルタルは、それぞれの材料を施工時に混合しても、予め一部を混合してもかまわない。
混合は例えば高速ハンドミキサーで、無機系粉体にポリマーエマルジョンを投入する等により製造が可能である。
更に、施工性に悪影響を及ぼさない範囲で、ポリマーセメントモルタルの練り混ぜに適宜水を添加してもよい。
該水は、セメント等の硬化に悪影響を及ぼす成分を含有していなければ、水道水や地下水、河川水等の水を用いることができ、例えば、「JIS A 5308 付属書9 レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水」に適合するものが好ましい。
このようにして得られたポリマーセメントモルタルは、JSCE−K532(1999)によるひび割れ追従性の伸び(ゼロスパンの伸び)が20℃で0.4mm以上で、好ましくは0.6mm以上である。
JSCE−K532によるひび割れ追従性試験は、下記実施例に詳細に記載した測定手順により実施する。
かかるひび割れ追従性の伸びが、20℃で0.4mm以上、好ましくは0.6mm以上であることにより、動的な繰り返し疲労に対する抵抗性、特に後述するJASS 8T−501で試験したひび割れ追従性に有効である。
上記ポリマーセメントモルタルを、コンクリート構造物のひび割れ部、特に動的な繰り返し疲労を受けるコンクリート構造物のひび割れ部や劣化部の補修に適用する。
該ポリマーセメントモルタルのコンクリート構造物への施工方法は、コンクリート構造物のひび割れ部や劣化部に該ポリマーセメントモルタルを塗布するものである。
該塗布は、ポリマーセメントモルタルをひび割れ部等の適用部にそのまま塗布することも、もしくは必要に応じてはつり取る等、清掃や前塗膜の剥がし等を行った後に、該ポリマーセメントモルタルを充填塗布することも可能であり、これにより、コンクリート構造物のひび割れ部や劣化部を補修又は修復する。
また更に必要に応じて、ポリマーセメントモルタルを適用する前に、プライマー処理をすることも可能である。プライマーとしては任意の市販されているプライマーを用いることが可能である。
本発明においては、コンクリート構造物のひび割れ部等に適用する該ポリマーセメントモルタルは、塗布量として3200g/m以上、好ましくは4800g/m以上とする。
かかる塗布量で塗布することにより、再度動的な繰り返し伸縮をコンクリート構造物が受けた場合であっても、ポリマーセメントモルタルの塗膜に損傷が生じることを抑制することが可能となる。
該ポリマーセメントモルタルは、補修部分、例えばひび割れ部を中心に少なくとも左右10cm以上、好ましくは15cm以上となるように塗布する。即ち、ひび割れ部を中心にして、合計で20cm以上、好ましくは30cm以上となるように塗布する。
このような範囲で塗布することで、応力を分散することができ、ひび割れの発生する恐れのある箇所に効果的に材料を使用することができる。
さらに必要に応じて、仕上げにトップコートを塗布することができる。
また上記ポリマーセメントモルタルを、コンクリート構造物に塗布するにあたり、繊維シートを介在させるように施工する。介在させる繊維シートの位置は、補修する部分、例えばひび割れ部が繊維シートの中心となるように設置する。
該繊維シートは、塗布するポリマーセメントモルタル中に設置されればよく、好ましくは該ポリマーセメントモルタルを半分量塗布した後、該シートを設置して、更に残りのポリマーセメントモルタルを塗布することができる。
該繊維シートをポリマーセメントモルタル中に介在させないと、JASS 8T−501の「メンブレン防水層の性能評価試験方法」に準じて、動的な伸縮繰り返し疲労に対する抵抗性を評価すると、初期に導入したひび割れに沿って損傷が生じてしまうからである。
従って、かかる繊維シートを介在させることで、動的な繰り返し疲労に対する抵抗性をより向上させることができることとなる。
該繊維シートとしては、特に限定されず、市販の任意の繊維シートを用いることができるが、好ましくは2軸メッシュシートや3軸メッシュシートを用いることが、強度保持、剥落防止効果の点から、より好ましい。
該繊維シートは、全面的な剥落防止を必要としない場合、全面的にシートを介在使用して補修する必要はなく、例えばひび割れ発生部の該当箇所に相当する箇所を覆う部分にのみ該シートを介在させることもできる。
このようにして、上記ポリマーセメントモルタルを用いたコンクリートの補修方法は、建築・土木分野での施工に有用であり、特に、動的な繰り返し疲労が課されるコンクリート構造物の補修、例えばひび割れ部の補修に有効に適用することができる。さらに、ひび割れ等に限らず、コンクリート構造物の動的な応力が加わる部分においても、事前に上記ポリマーセメントモルタルで予め補強することに適用することができる。
本発明を次の実施例及び比較例により詳細に説明する。
(実施例1〜7、比較例1〜7)
使用材料
実施例及び比較例において、以下の材料を用いて、下記表1に示す配合割合で各セメントモルタル用無機系粉体を調製した。
・普通セメント:普通ポルトランドセメント、住友大阪セメント株式会社製
・石灰石粉末 :比表面積1200cm/g
・珪砂6号
Figure 2012091985
また、実施例及び比較例において使用したセメント混和用ポリマーは、以下の表2に示すものである。ただし、セメント混和用ポリマーは、表2に示すポリマーエマルジョンとして用いた。固形分濃度は、該ポリマーエマルジョン中に含まれるポリマーの固形分濃度であり、粘度は該ポリマーエマルジョンの粘度を、JIS K 5600−2−2(塗料一般試験方法−第2部:塗料の正常・安定性−第2節:粘度)に準じて測定した値である。
また、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に従って求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)の値を示す。
Figure 2012091985
上記表1に示す無機系粉体と表2に示す混和用ポリマーエマルジョンとを、下記表4に示す配合割合で配合して混練することにより、各表面被覆材を調製した。
(試験例)
(1)動的ひび割れ追従性試験
実施例1〜7及び比較例1〜7の各表面被覆材を、JASS 8 T−501 3.3疲労試験の基板であるA形のフレキシブル板(8×150×380mm、基板底面の中央にV溝を有する)の表面中央部であって、該基板底面の該V溝を挟んでそれぞれ150mmの幅となるように、100×300mmで、20℃、80%RHの恒温室内で、下記表4に示す各塗布量で塗布した。
ただし、実施例1〜7、比較例1、4〜7においては、表面被覆材を塗布するにあたり、表4に示す塗布量の半分量を基板に塗布した後に、表4に示す各シートを、該塗布面の中央部に設置し、次いでその上に残りの半分の塗布量で表面被覆材を塗布した。
塗布後、28日間、20℃、80%RHで養生して、各試験体を製造した。
なお、シートは以下のものを使用した。
・2軸メッシュシート:ビニロン系メッシュシート(製品名:VF3250、クラレ株式会社製)、目開き:3mm
・3軸メッシュシート:ビニロン系メッシュシート(製品名:トリネオTSS−1820Y、ユニチカ株式会社製)、目開き:20mm
上記各試験体について、動的ひび割れ追従性試験を、JASS 8 T−501 3.3疲労試験に準じて行った。
上記各試験体を、装置(島津恒温試験装置チャンバーTCR2−300形、株式会社島津製作所製)を用いて、動的ひび割れ追従試験に課した。
動的ひび割れ追従試験は、以下の表3に示すように、まず工程Iを行い、次いで連続して工程IIを行って実施した。
・工程I
上記各試験体に、該基板の該V溝に沿って該基板の中心を挟んで、ひび割れが幅0.75mm、長さ150mmの初期ひび割れを形成した。
具体的には、表3に示すように、硬化した被覆養生材を上面に有する、上記初期ひび割れを導入した各基板の両端(該ひび割れを挟んだ両端)を、それぞれ反対方向に0.25mm引っ張って動かし、即ち合計で0.5mm引っ張って動かし、次いでそれぞれ各両端を均等に反対方向に引っ張って合計1.0mmとなるように動かし、その後再び合計で0.5mmとなる位置に戻して開閉ムーブメントを、20℃(STEP1)、60℃(STEP2)、−10℃(STEP3)の温度条件の順番で、各温度毎に500回行った。なお、合計0.5mmの引っ張り位置→合計1.0mmmの引っ張り位置→合計0.5mmの引っ張り位置とする開閉ムーブメントを1周期とし、1周期を10分かけて、各温度で500周期行った(工程I)。
・工程II
前記工程I終了後に引き続いて、工程IIを実施した。
具体的には、表3に示すように、工程Iの終了後、該工程1における初期ひび割れのひび割れを、該基板の中心を挟んで、幅1.5mm、長さ150mmとなるようにしてひび割れを形成した。
前記工程I終了後に上記1.5mm幅のひび割れを導入した各基板の両端(該ひび割れを挟んだ両端)を、それぞれ反対方向に0.5mm引っ張って動かし、即ち合計で1.0mm引っ張って動かし、次いでそれぞれ各両端を均等に反対方向に引っ張って合計2.0mmとなるように動かし、その後再び合計で1.0mmとなる位置に戻して第2次開閉ムーブメントを、20℃(STEP1)、60℃(STEP2)、−10℃(STEP3)の温度条件の順番で、各温度毎に500回行った。なお、合計1.0mmの引っ張り位置→合計2.0mmmの引っ張り位置→合計1.0mmの引っ張り位置とする開閉ムーブメントを1周期とし、1周期を10分かけて、各温度で500周期行った(工程II)。
Figure 2012091985
上記工程I及び工程IIを終了した後の各試験体の表面被覆材の塗膜状況を目視で観察し、導入したひび割れに沿った、各塗膜のひび割れ等の損傷の発生の有無についての結果を表4に示す。ひび割れ等の損傷の発生していないものを〇として、また損傷が発生しているものを×として評価した。
(2)静的ひび割れ追従性試験
上記各試験体について、静的ひび割れ追従性試験を、JSCE−K532−1999に準じて行った。
上記各試験体を、万能試験機(島津オートグラフAG−100kN IS形、株式会社島津製作所製)を用いて、静的ひび割れ追従試験に課した。
具合的には、上記動的ひび割れ追従試験で用いたものと同様の基板を用いたが、該基板の中央に設けられているV溝に沿って予め該基板を割って2分割し、該2分割されたものの分割面を突きあわせて、これを静的ひび割れ追従性試験用の基板とした。
表4に示す実施例1〜7、比較例1〜7の各表面被覆材を、該基板の表面中央部であって、該基板の中央(2分割された基板が接触している箇所)を挟んでそれぞれ150mmの幅となるように、100×300mmで、20℃、80%RHの恒温室内で、下記表4に示す各塗布量で塗布した。
ただし、実施例1〜7、比較例1、4〜7においては、表面被覆材を塗布するにあたり、表4に示す塗布量の半分量を基板に塗布した後に、表4に示す各シートを、該塗布面の中央部に設置し、次いでその上に残りの半分の塗布量で表面被覆剤を塗布した。
塗布後、28日間、20℃、80%RHで養生して、各試験体を製造した。
なお、シートは以下のものを使用した。
・2軸メッシュシート:ビニロン系メッシュシート(製品名:VF3250、クラレ株式会社製)、目開き:3mm
・3軸メッシュシート:ビニロン系メッシュシート(製品名:トリネオTSS−1820Y、ユニチカ株式会社製)、目開き:20mm
各試験体を20℃の恒温装置内に設置して、JSCE−K532−1999に準じ、前記万能試験機(島津オートグラフAG−100kN IS形、株式会社島津製作所製)を用いて、該試験体の両端を反対方向に引っ張って静的ひび割れ追従試験に課し、硬化した各試験体上の表面被覆材塗膜に損傷が生じたゼロスパン試験の結果を下記表4に示す。
Figure 2012091985
上記表4の結果より、本発明のコンクリート構造物の補修方法は、動的ひび割れ追従性に優れていることがわかる。
本発明のコンクリート構造物の補修方法は、動的な伸縮繰り返し疲労に対する抵抗性に優れるため、例えば鉄道構造物の桁下面や梁下面等の動的な繰り返し疲労にさらされるコンクリート構造物の補修に適用することができる。さらに、コンクリート構造物の動的な応力が加わる部分においても、事前に上記ポリマーセメントモルタルで予め補強することに適用することも可能である。

Claims (5)

  1. ガラス転移温度が−25℃以下のポリマーを含有し、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%以上50%未満であり、JSCE−K532によるひび割れ追従性の伸びが20℃で0.4mm以上であるポリマーセメントモルタルを、塗布量3200g/m以上で、コンクリート構造体のひび割れ箇所に塗布するとともに、該塗布するポリマーセメントモルタル内部にメッシュシートを介在させることを特徴とする、コンクリート構造物の補修方法。
  2. 請求項1記載のコンクリート構造物の補修方法において、該ポリマーセメントモルタルは、該ひび割れを中心に少なくとも左右10cm以上の範囲に塗布されることを特徴とする、コンクリート構造物の補修方法。
  3. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の補修方法において、ガラス転移温度が−40℃以下のポリマーを使用することを特徴とする、コンクリート構造物の補修方法。
  4. 請求項1〜3いずれかの項記載のコンクリート構造物の補修方法において、ポリマー固形分/無機系粉体質量比が30%〜35%であることを特徴とする、コンクリート構造物の補修方法。
  5. 請求項1〜4いずれかの項記載のコンクリート構造物の補修方法において、メッシュシートは、2軸メッシュシート又は3軸メッシュシートであることを特徴とする、コンクリート構造物の補修方法。
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