JP6282199B2 - 多電極ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
多電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接において、湯溜りの安定性を向上させて溶接の高速化を図るために、例えば、特許文献1には、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを先行電極及び後行電極として使用し、フィラーワイヤを先行電極と後行電極との間の溶融金属中に挿入し、フィラーワイヤに正極性の電流(フィラーワイヤが溶融金属に対して負極性)を流しながら溶接する溶接方法が開示されている。この溶接方法では、湯溜りを安定化させることができるため、低スパッタで良好なビード形状を確保しつつ高速溶接が可能となる。
また、多電極ガスシールドアーク溶接においては、スパッタ発生量を低減でき、なじみ性がよいことが求められる。また、多電極ガスシールドアーク溶接においては、ビード形状およびビード揃いが良好で、ピットおよびアンダカットの発生が抑制されているといった、溶接金属の状態が良好であることが求められる。
また、かかる溶接方法によれば、深溶込みとなるとともに湯溜りが安定し、ビード形状が良好になるとともに耐気孔性が向上する。
なお、本願においてビード形状が良好であるとは、ビード外観が良好であることも意味し、ビード形状が悪いとは、ビード外観が悪いことも意味する。
また、かかる溶接方法によれば、先行電極にソリッドワイヤを用いることで、より良好な深溶込みが得られる。また、後行電極にフラックス入りワイヤを用い、フィラーワイヤにソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤを用いることで、湯溜まりの安定性と深溶込みのバランスが維持され、ビード形状と耐ピット性が向上する。
まず、多電極ガスシールドアーク溶接方法に用いる多電極ガスシールドアーク溶接装置の一例について説明した後、多電極ガスシールドアーク溶接方法について説明する。
図1、2に示すように、多電極ガスシールドアーク溶接装置S(以下、適宜、溶接装置Sという)は、先行電極11と、後行電極21と、を備え、さらに先行電極11と後行電極21との間にフィラーワイヤ(すなわち中間電極)31を備える。また、3つの溶接電源、すなわち、先行電極11に接続された溶接電源Lと、後行電極21に接続された溶接電源Rと、フィラーワイヤ31に接続された溶接電源(すなわちフィラー用電源)Mと、を備える。
なお、溶接装置Sは、図1に示すように、水平すみ肉溶接に好適に適用される。詳細には、溶接装置Sは、被溶接材料1である下板2と立板3の隅部(すなわち溶接箇所)に沿うようにして、先行電極11、後行電極21、およびフィラーワイヤ31の3つの電極が一組として配置され、図1の矢印方向に移動しながら溶接を行う。なお、先行電極11、後行電極21、およびフィラーワイヤ31は、配線により配電盤6に接続されている。
なお、先行電極11、および後行電極21により発生した溶融池8が、凝固することにより溶接金属7となり、当該溶接金属7が下板2と立板3を溶接することとなる。そして、溶接スラグ19は、溶接金属7の表面に形成される。
先行電極11、後行電極21、およびフィラーワイヤ31は、送給速度が一定速度に制御され溶接箇所に供給されることが好ましい。
溶接電源Lは、ここでは、正極に先行電極11が接続され、負極に被溶接材料1(すなわち下板2または立板3)が接続されている。溶接電源Rは、ここでは、正極に後行電極21が接続され、負極に被溶接材料1(すなわち下板2または立板3)が接続されている。そして、溶接電源Mは、負極にフィラーワイヤ31が接続され、正極に被溶接材料1(すなわち下板2または立板3)が接続されている。
次に、本発明に係る多電極ガスシールドアーク溶接方法について説明する。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク溶接方法は、前記した多電極ガスシールドアーク溶接装置S(図2参照)を用いて行うことができる。
すなわち、多電極ガスシールドアーク溶接方法は、ガスシールドアーク溶接用ワイヤを先行電極および後行電極に使用し、フィラーワイヤを前記先行電極と前記後行電極の間の溶融金属中に挿入して溶接する溶接方法である。
そして、多電極ガスシールドアーク溶接方法は、先行電極と後行電極との間の極間距離と、先行電極の溶接電圧VL(V)および先行電極の溶接電流IL(A)と、溶接電圧VL(V)および溶接電流IL(A)の関係と、先行電極のワイヤ直径RL(mm)および先行電極のワイヤ突出し長さEL(mm)の関係と、を規定し、フィラーワイヤに、正極性の電流を流して溶接するものである。
以下、各条件について説明する。
本発明においては、先行電極と後行電極の極間距離が15〜50mmであることが必須である。ここで、極間距離とは、図5に示すように、先行電極11のワイヤ11bの先端と、後行電極21のワイヤ21bの先端との水平な距離Wである。DC電源を用いて溶接を行う場合、磁気吹きおよび1つの溶融池を形成する点から先行電極および後行電極の極間距離が問題となる。この極間距離が15mm未満では、先行電極、後行電極が共にアークが安定せず、ビード形状が悪くなり、またアーク干渉によりスパッタ発生量が多くなる。一方、極間距離が50mmを超えると、2電極で1つの溶融池を形成することが不可能となり、耐ピット性が悪くなる。したがって、先行電極と後行電極との極間距離は15〜50mmとする。極間距離は、ビード形状をより良好とし、スパッタ発生量をより低減させる観点から、好ましくは20mm以上である。また、耐ピット性をより向上させる観点から、好ましくは45mm以下である。
先行電極の溶接電圧VLが26V未満では、湯溜りが安定しなくなり、ビード形状も悪くなる。また、溶接始端部のなじみ性も悪くなる。一方、先行電極の溶接電圧VLが38Vを超えると、スプレー移行の維持ができなくなってグロビュール移行となり、多量のスパッタが発生する。また、アンダカットも発生しやすくなる。したがって、先行電極の溶接電圧VLは26〜38Vとする。先行電極の溶接電圧VLは、ビード形状をより良好とし、溶接始端部のなじみ性をより良好にする観点から、好ましくは28V以上である。また、スパッタ発生量をより低減させ、アンダカットの発生をより抑制する観点から、好ましくは36V以下である。
先行電極の溶接電流ILが250A未満では、先行電極のアーク力が弱くなり、溶込みも浅くなる。一方、先行電極の溶接電流ILが550Aを超えると、アークの吹付が課題となり、スパッタ発生量が多くなるとともに、アンダカットが発生しやすくなる。また湯溜りも不安定となりビード形状も悪くなる。したがって、先行電極の溶接電流ILは250〜550Aとする。先行電極の溶接電流ILは、溶込みをより深くする観点から、好ましくは270A以上である。また、スパッタ発生量をより低減させ、アンダカットの発生をより抑制し、ビード形状をより良好にする観点から、好ましくは500A以下である。
なお、これらの式は、実験によって導き出されたものである。
本発明では、溶接電圧VL(V)と溶接電流IL(A)との比が、式(1)に示す範囲内になると、深溶込みを確保しながら、低スパッタ溶接が可能となり、湯溜りも安定し、大電流で溶接してもアンダカットが発生しないことを見出した。すなわち、式(1)を満たすことにより、溶滴の下ではなく、溶滴の周りを包むようにアークを形成させることが可能となり、100%炭酸ガス溶接でもスプレー移行となり、極低スパッタ溶接が実現できる。
式(1)の各パラメータと溶接の特性とには、次のような関係がある。
(a1)溶接電圧VLが高過ぎる場合は、スプレー移行の維持ができなくなってグロビュール移行となり、多量のスパッタが発生する。また、アンダカットも発生しやすくなる。
(a2)溶接電流ILが低過ぎる場合は、先行電極のアーク力が弱くなり、溶込みも浅くなる。
そこで、「VL・103/IL」の値を「100」以下にすることで、スプレー移行を維持してスパッタを低減するとともにアンダカットの発生を抑制し、湯溜りを安定させて良好なビード形状を維持しつつ、深溶込みを可能とする。
(b1)溶接電圧VLが低過ぎる場合は、湯溜りが安定しなくなり、ビード形状も悪くなる。
(b2)溶接電流ILが高過ぎる場合は、先行電極のアーク力が強過ぎとなり、湯溜りが安定しなくなる。
そこで、式(1)に示した「VL・103/IL」の値を「56」以上とすることで、湯溜りを安定させて良好なビード形状を維持しつつ、深溶込みを可能とする。
本発明においては、ワイヤ直径RL(mm)およびワイヤ突出し長さEL(mm)は湯溜りを安定化させ、より深溶込みにするため、式(2)の条件を満足するようにした。
ワイヤ突出し長さELとは、図5に示すように、ワイヤ11bに電流を供給するための溶接チップ(すなわちコンタクトチップ)11aにおける、ワイヤ11bが最終的に突出する部分であるチップ先端部からワイヤ11bの先端までの長さである。
例えば、溶接電流ILが同じ場合、ワイヤ直径RLが太いほど、また突き出し長さELが短いほど、ワイヤ溶融速度が小さくなり、深溶込みに有利である。しかし、ワイヤ直径RLが太過ぎたり、突き出し長さELが短過ぎたりすると、溶接電流ILが過大となり、湯溜りが不安定となり、ビード形状も悪くなる。そこで、突き出し長さELとワイヤ直径RLとの関係が式(2)に示した条件を満足することが、深溶込み化と安定した湯溜りの形成とが両立する必要条件であることを見出した。
湯溜りの安定化には、フィラーワイヤを湯溜りに挿入して、その極性が正極性(すなわちワイヤマイナス)の電流をフィラーワイヤに供給することが必須である。逆極性にすると各種の外乱要因(すなわち、(a)すみ肉溶接部の過大ギャップ、(b)ショッププライマの過大塗布膜厚、(c)工場内での電流電圧変動等)の影響を解消することはできない。そして極間距離が15mm未満の場合の問題点と同様に、先行電極、後行電極が共にアークが安定せず、形状が悪くなる、また、スパッタ発生量が多くなる等の問題が生じる。スパッタの多発はシールドノズルへのスパッタの付着によりシールド不良になり気孔発生の原因にもなる。一方、フィラーワイヤに正極性の電流を流すと、各種外乱にも影響されない安定した湯溜りが形成される。このメカニズムは必ずしも明らかではないが、例えば、特開2008−55509号公報に記載のように考察することができる。
先行電極の溶着速度WL(g/min)、後行電極の溶着速度WT(g/min)、および、フィラーワイヤの溶着速度WF(g/min)が、式(3)および式(4)の条件を満足することが好ましい。
なお、これらの式は、実験によって導き出されたものである。
先行電極と後行電極の溶着速度の比率を適切な範囲とすることで、深溶込みとビード形状をより良好とすることができる。本発明においては、式(3)の条件を満足することが好ましい。
本発明においては、湯溜りの安定性を向上させるため、式(4)の条件を満足することが好ましい。
溶着速度は、単位溶接時間当たりの溶接金属付着量(すなわち溶着量)のことである。溶着量は以下のようにして求めることができる。
溶接前の試験板質量を測定し、ワイヤ突出し長さ25mm、適正な溶接電流およびアーク電圧で1分間のビードオンプレート溶接を行い、スラグ、スパッタを除去した後の試験板質量を測定する。この溶接前後の測定した試験板質量の差が1分間あたりの溶着量、すなわち溶着速度である。
溶着量はワイヤ溶融質量とほぼイコールであり、単位長さ当たりのワイヤ質量をN=5で測定した平均値と、単位時間当たりのワイヤ送給長さをN=5で測定した平均値とを掛け合わせたものである。
なお、この式は、実験によって導き出されたものである。
深溶込みを得つつ、湯溜りを安定化させビード形状と耐気孔性を確保するには、発生するスラグ量比を適切にコントロールすることが好ましい。本発明においては、式(5)の条件を満足することが好ましい。
各スラグ量比は、「(単位時間当たりの各項目(ワイヤ溶融質量−溶着量−ヒューム発生量−スパッタ発生量)/単位時間当たりのワイヤ溶融質量)」である。
ただし、各スラグ量比を直接測定することは難しいことから、式(5)におけるスラグ量比は、溶接後の溶接物から、スラグを除去した溶接物の質量を差し引いたものを、比で表した値とした。具体的には、以下の式(A)により得られた測定値を正とした。なお、ヒューム量は無視することが可能であるため、下記式には含めていない。
なお、以下の式(A)において、「(試験板質量+溶着量+スパッタ発生量+スラグ量)=全質量」とする。
ヒューム発生量:JIS Z3940に準じて測定された単位時間当たりのヒューム発生量である。溶接条件は溶着量測定条件と同じである。
スパッタ発生量:全量捕集法により測定された単位時間当たりのスパッタ発生量である。溶接条件は溶着量測定条件と同じである。
全量捕集法は、アーク点から飛散したスパッタを捕集箱で集める方法である。すなわち、下向ビードオンプレート溶接を行い、その際に発生するスパッタを周囲に設置された銅製の捕集箱で集めて質量を計測し、単位時間当たり又は消費溶接材料量当たりのスパッタ発生量を求めるものである。
スラグ量は、ワイヤ中の酸化物量、脱酸元素等、ガスシールドなどの条件により調整することができる。
多電極ガスシールドアーク溶接方法は、先行電極がソリッドワイヤであり、後行電極がフラックス入りワイヤであり、フィラーワイヤがソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤであることが好ましい。先行電極にソリッドワイヤを用いることで、より良好な深溶込みを得ることができる。また、後行電極にフラックス入りワイヤを用い、フィラーワイヤにソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤを用いることで、湯溜まりの安定性と深溶込みのバランスを維持することができ、ビード形状と耐ピット性を向上させることができる。
フラックス入りワイヤの組成は制限されるものではないが、特に好ましいワイヤ組成は、チタニヤ系フラックス入りワイヤの場合にはワイヤ全質量あたり酸化物(TiO2、SiO2、MgO、Al2O3、FeO、Fe2O3、ZrO2等)が1.5〜5.5質量%である。酸化物が1.5質量%以上であれば、ビード表面を被うスラグがまだらにならず、ビード形状がより良好となる。一方、酸化物が5.5質量%以下であれば、スラグ量が過剰とならず、スラグの流動性が小さくなるために、ビード止端部の揃いがより良好となる。従って、酸化物は1.5〜5.5質量%とすることが好ましい。なお、酸化物の原料にはルチール、イルミナイト、ジルコンサンド、アルミナ、マグネシア、珪砂等が挙げられる。
ソリッドワイヤは、上記成分とすることで、深溶け込みにさらに適したものとなる。
下記表1に示す成分組成のワイヤを使用し、以下の条件、および、表2に示す条件で溶接試験を行った。なお、フラックス入りワイヤについては、下記表1に示す成分組成のフラックスを軟鋼製ケーシング内に表1に示すフラックス率となるように充填して製造した。なお、表1において、フラックスを含有しないものは「−」で示し、表2において、本発明の範囲を満たさないものは数値に下線を引いて示す。
(1)供試鋼板および継手形状:12mm×100mm×1000mm鋼板を用いてT型すみ肉継手を形成した。なお、プライマ膜厚は40μmである。
(2)溶接姿勢:2電極水平すみ肉溶接
(3)シールドガス:100%CO2、流量25リットル/分
(4)電源特性:DCワイヤ(+)
(5)後行電極:300〜500A×30〜40V、フィラーワイヤ:50〜120A
(6)前進角β・後退角α:先行電極;後退角α 10°、後行電極;前進角β 10°、フィラーワイヤ;前進角β 0°、後退角α 0°
前進角β・後退角αとは、図5に示すように、下板2の表面に対して垂直な線と、ワイヤ11b、21b、31bが最終的に溶接チップ11a、21a、31aから突出する部分であるチップ先端部での軸線とがなす角度である。
(7)トーチ角度θ:先行電極;50°、後行電極;50°、フィラーワイヤ;50°
トーチ角度θとは、図6に示すように、先行電極11の場合、水平に配置された下板2の表面と先行電極11とがなす角度である。後行電極、フィラーワイヤについても同様である。
(8)狙い位置:先行電極;0mm、後行電極;2mm(下板側)、フィラーワイヤ;5mm(上板側)
(9)溶接速度:2.0m/分
(10)フィラーワイヤ径:1.2mm
(11)すみ肉ルート部のギャップ:2.0mm
なお、溶着速度およびスラグ量比の測定方法は前述のとおりである。スラグ量比は、前述した式(A)により求めた。
この溶接試験において、以下の評価を行った。
図3、4でaに示した水平方向の溶込み深さによって評価した。
評価基準は以下のとおりである。
4点:3.0mm以上
3点:2.5mm以上3.0mm未満
2点:2.0mm以上2.5mm未満
1点:2.0mm未満
上記溶接条件で行ったビードを観察し、官能によって評価した。
評価基準は、以下のとおりである。
4点:非常に優れている
3点:優れている
2点:良好である
1点:不良である
発生したスパッタ量を前述した全量捕集法により測定した。
評価基準は以下のとおりである。
4点:0.7(g/分)以下
3点:0.7(g/分)超1.3(g/分)以下
2点:1.3(g/分)超2.0(g/分)以下
1点:2.0(g/分)超
上記溶接条件で行ったビードを観察し、官能によって評価した。
評価基準は、以下のとおりである。
4点:非常に優れている
3点:優れている
2点:良好である
1点:不良である
ピット発生数(個/1000mm)をカウントした。
評価基準は以下のとおりである。
4点:0個
3点:1〜2個
2点:3〜5個
1点:6個以上
試験板の長手方向の200mm、600mm、800mm地点を横手方向に垂直にカットし、この断面を観察してアンダカットを確認した。
評価基準は以下のとおりである。なお、下記評価基準は、少なくとも1か所についてのものである。
4点:なし
3点:0.2mm以下
2点:0.2mm超0.5mm以下
1点:0.5mm超
上記溶接条件で行ったビードを観察し、官能によって評価した。
評価基準は、以下のとおりである。
4点:非常に優れている
3点:優れている
2点:良好である
1点:不良である
一方、本発明の範囲を満足しないNo.30〜38は、以下の結果となった。
No.31は、極間距離が上限値を超えるため、耐ピット性の評価が不良であった。
No.32は、フィラーワイヤの極性が逆極性のため、スパッタ発生量、ビード形状の評価が不良であった。
No.33は、先行電極の電流が下限値未満であり、式(1)の値が上限値を超えるため、深溶込み、スパッタ発生量、アンダカットの評価が不良であった。
No.34は、先行電極の電流が上限値を超え、式(1)の値が下限値未満のため、スパッタ発生量、ビード形状、アンダカットの評価が不良であった。
No.36は、先行電極の電圧が上限値を超えるため、スパッタ発生量、アンダカットの評価が不良であった。
No.37は、式(2)の値が上限値を超えるため、深溶込み、ビード揃いの評価が不良であった。
No.38は、式(2)の値が下限値未満のため、ビード形状の評価が不良であった。
2 下板(被溶接材料)
3 立板(被溶接材料)
5 湯溜り
6 配電盤
7 溶接金属
8 溶融池(溶融金属)
11 先行電極
11a、21a、31a 溶接チップ
11b、21b、31b ワイヤ
19 溶接スラグ
21 後行電極
31 フィラーワイヤ
Claims (6)
- ガスシールドアーク溶接用ワイヤを先行電極および後行電極に使用し、フィラーワイヤを前記先行電極と前記後行電極の間の溶融金属中に挿入して溶接する多電極ガスシールドアーク溶接方法であって、
前記先行電極と前記後行電極との間の極間距離が15〜50mmであり、
前記先行電極の溶接電圧VL(V)が26〜38Vであり、前記先行電極の溶接電流IL(A)が250〜550Aであり、
前記溶接電圧VL(V)および前記溶接電流IL(A)が、式(1)の条件を満足し、
前記先行電極について、ワイヤ直径RL(mm)およびワイヤ突出し長さEL(mm)が、式(2)の条件を満足し、
前記先行電極のスラグ量比S L 、前記後行電極のスラグ量比S T 、および、前記フィラーワイヤのスラグ量比S F が、式(5)の条件を満足し、
前記フィラーワイヤに、正極性の電流を流して溶接することを特徴とする多電極ガスシールドアーク溶接方法。
- ガスシールドアーク溶接用ワイヤを先行電極および後行電極に使用し、フィラーワイヤを前記先行電極と前記後行電極の間の溶融金属中に挿入して溶接する多電極ガスシールドアーク溶接方法であって、
前記先行電極がソリッドワイヤであり、前記後行電極がフラックス入りワイヤであり、前記フィラーワイヤがソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤであり、
前記先行電極と前記後行電極との間の極間距離が15〜50mmであり、
前記先行電極の溶接電圧V L (V)が26〜38Vであり、前記先行電極の溶接電流I L (A)が250〜550Aであり、
前記溶接電圧V L (V)および前記溶接電流I L (A)が、式(1)の条件を満足し、
前記先行電極について、ワイヤ直径R L (mm)およびワイヤ突出し長さE L (mm)が、式(2)の条件を満足し、
前記フィラーワイヤに、正極性の電流を流して溶接することを特徴とする多電極ガスシールドアーク溶接方法。
- 前記先行電極がソリッドワイヤであり、前記後行電極がフラックス入りワイヤであり、前記フィラーワイヤがソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤであることを特徴とする請求項1に記載の多電極ガスシールドアーク溶接方法。
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