以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがって、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システム400の全体構成を模式的に示す側面図である。顕微鏡システム400は、例えば、顕微鏡1、処理装置40、表示装置50で構成される。同図に示す顕微鏡1は、土台をなす本体部2と、本体部2の上面に取り付けられ、少なくとも標本Sを載置するステージ3(保持手段)と、本体部2の上方に位置し、ステージ3に載置された標本Sに対して透過照明を照射する透過照明部4と、を備える。標本Sは、例えばディッシュ、スライドガラスまたはビーカーなどによって保持されている。また、標本Sは、生物組織切片などの生体試料、生体試料から分離された細胞、セルラインなどの培養細胞、生体試料から分離された細胞の培養物、および培養細胞の培養物などが挙げられる。標本Sは、蛍光色素により蛍光標識されており、励起光が標本Sに照射されることにより、標識された蛍光色素が励起されて蛍光を発する。
本体部2は、ステージ3および透過照明部4を支持する筐体部2aと、筐体部2aの側面のうち、接眼レンズが設けられて顕微鏡1のユーザと対向する側面である前面側(図1の右側面側)に設けられる鏡筒部2bと、を有する。
筐体部2aは、少なくともステージ3上の標本Sからの観察光を取り込む対物レンズ5と、対物レンズ5を交換可能に保持するレボルバ6(対物レンズ保持手段)と、レボルバ6を保持するとともに、光路N1上に配置された対物レンズ5の光軸に沿って上下動可能に設けられるレボルバ保持部7と、レボルバ保持部7を上下動させることによってレボルバ6に取り付けられた対物レンズ5の焦準操作を手動、あるいは電動で行う焦準操作部8と、を有する。
ここで、本実施の形態1では、レボルバ6には、対物レンズ5として、例えば、10倍、20倍、50倍の比較的倍率の高い対物レンズや、2倍、5倍の低倍率である対物レンズなどが取り付けられている。
また、筐体部2aの背面側(図1の左側面側)には、落射照明光を発生する光源9aを有する第1ランプハウス9が取り付けられる。筐体部2aは、光軸が標本Sを通過する対物レンズ5を介して入射してくる標本Sの反射光もしくは透過光または第1ランプハウス9から出射された落射照明光の光路を切り換える蛍光用の落射光学系10(照明光学系)と、落射光学系10を保持するミラーユニット11と、特性が異なる落射光学系10をそれぞれ保持するミラーユニット11を複数収容可能なミラーカセット12と、が設けられている。ミラーカセット12において、各ミラーユニット11は、回転可能に配設され、この回転動作によって所望のミラーユニット11を光路N1上に配置する。
第1ランプハウス9は、光を所定方向に導く投光管9bを介して光源9aからの光をミラーユニット11に入射する。投光管9bには、投光管9bの視野絞り位置(ステージ3の標本載置面と共役な位置)に設けられ、円形の開口を有する絞り孔90aが形成された計測用絞り90(視野絞り)と、計測用絞り90と光源9a側の端部との間に設けられ、光源9aからの光の光量を調節する複数の調光フィルタ91aを有する調光ユニット91と、投光管9bの第1ランプハウス9と異なる側の端部に設けられ、計測用絞り90の絞り孔90aを通過した光を集光するレンズ92と、が設けられている。調光ユニット91は、後述する制御部30の制御のもと、複数の調光フィルタ91aのうち、いずれかの調光フィルタ91aを投光管9b内に配置することによって、調光制御を行う。なお、本実施の形態では、投光管9bに一つのレンズ92のみを配設して光学系をなすものとして説明するが、複数のレンズからなる光学系を形成するものであってもよい。
落射光学系10は、落射照明光(励起光)として所定の波長の光のみを透過する励起フィルタ10aと、励起光に応じた波長の光を反射して標本Sへ照射するとともに、標本Sからの観察光に応じた波長の光を透過するダイクロイックミラー10bと、ダイクロイックミラー10bを透過した観察光のうち所定の蛍光成分のみを透過する吸収フィルタ10cと、を有する。
また、筐体部2aは、ミラーユニット11を透過した標本Sからの観察光(蛍光)を結像する結像レンズ13と、結像レンズ13が結像した光のうち、一部の光を透過するとともに、残りの光を折り曲げて分岐するハーフミラー14と、ハーフミラー14を透過した光を反射するミラー15と、ミラー15が反射した光をリレーするリレーレンズ16と、を有する。結像レンズ13、ハーフミラー14、ミラー15およびリレーレンズ16は、観察像を形成する観察光学系を構成する。
ハーフミラー14は、入射した光の一部を、例えば光路N1と直交する方向に光を折り曲げる。ハーフミラー14によって折り曲げられた光は、筐体部2aに接続され、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサからなる画像取得部(図示せず)に取り込まれる。これにより、対物レンズ5が取り込んだ標本像を画像化し、この画像に応じた画像データとして記憶することができる。
また、筐体部2aには、顕微鏡1全体の動作を統括的に制御する制御部30が設けられている。制御部30は、顕微鏡1の本体部2の内部に設置されていてもよいし、顕微鏡1の本体部2の外部に別途設置され、信号ケーブルなどを介して顕微鏡1の本体部2と電気的に接続されていてもよい。
鏡筒部2bは、リレーレンズ16を通過した光を結像する結像レンズ17と、結像レンズ17を通過した光の光路を変更するプリズム18と、プリズム18によって光路変更された光を集光する接眼レンズ19と、を有する。
ステージ3は、例えば板状をなす第1部材、第2部材および第3部材が順に積層されてなる。ステージ3において、例えば、第3部材を基準(固定)とし、ステージ操作部300によって第1部材および第2部材を第3部材の板面を平面とする面上を移動させる。このとき、標本Sは第1部材に載置され、第1部材および第2部材は、主面に平行な平面上で互いに直交する方向に移動する。また、第1〜第3部材には、筐体部2aに取り付けられた際に、光路N1を含む開口が形成されている。なお、第1および第2部材に形成される開口は、第1および第2部材の移動に関わらず光路N1が含まれるような大きさに形成されている。また、ステージ操作部300は、例えば第1および第2部材の移動量をそれぞれ入力可能なダイヤルなどにより構成される。
透過照明部4は、本体部2に取り付けられて上方へ延びる透過照明支柱20と、透過照明支柱20の上端から透過照明支柱20が延びる方向と直交する方向に延びるアーム21と、透過照明支柱20の上端付近でアーム21が延びる側と反対側に設けられ、透過照明光を出射する光源22aを有する第2ランプハウス22と、第2ランプハウス22から出射された透過照明光を集光して標本Sに結像させるコンデンサレンズ23と、透過照明支柱20の略中央部に取り付けられてコンデンサレンズ23を着脱可能に保持するコンデンサホルダ24と、透過照明支柱20の側面に設けられてコンデンサホルダ24を上下動させることによってコンデンサレンズ23の焦準操作を行うコンデンサ焦準操作部25と、を有する。
アーム21の内部には、第2ランプハウス22から出射された光を反射してコンデンサレンズ23の光軸方向(光路N1方向)へ折り曲げるミラー26が設けられている。
ここで、制御部30は、処理装置40と通信可能に接続されている。処理装置40は、顕微鏡1の動作を統括的に制御する。処理装置40は、CPU等を用いて構成され、処理装置40全体および処理装置40に含まれる各部を制御するとともに、外部からの指示信号に応じて顕微鏡1の制御部30に対し、指示信号に対応する指示情報やデータの転送等を行って顕微鏡1の動作を制御する。
処理装置40は、後述する光強度検出部60から入力される電気信号に応じて励起光強度の計測値を生成する計測部41と、計測部41が生成した計測値に基づいて、光強度検出部60が受光した光の強度を演算する演算部42と、顕微鏡1に実行させる各種プログラム、プログラムの実行中に使用される各種データを記憶する記憶部43と、を有する。
計測部41は、入力される電気信号に応じて励起光強度の計測値を生成し、生成した計測値を演算部42に出力する。
記憶部43は、処理装置40の内部に固定的に設けられるフラッシュメモリおよびRAM等の半導体メモリを用いて実現される。また、記憶部43は、処理中の情報を一時的に記憶する。なお、記憶部43は、外部から装着されるメモリカード等を用いて構成されてもよい。
また、処理装置40は、表示装置50と接続し、顕微鏡1に関する情報や、上述した画像取得部が取得した画像データに応じた画像を表示装置50に表示させる。
上述した構成を有する顕微鏡1では、透過照明観察の場合、光源22aからの照明光を、ミラー26を介して標本Sに照射すると、標本Sを透過して対物レンズ5に取り込まれ、観察光として鏡筒部2bに入射する。このとき、ミラーユニット11は、光路N1から離脱した状態となっている。なお、透過光観察は、明視野観察、位相差観察、微分干渉観察などを行う場合に用いられる。
また、落射照明観察の場合、光源9aからの照明光が励起フィルタ10aで波長が選択され、ダイクロイックミラー10bによって対物レンズ5に向けて照明光が折り曲げられる。ダイクロイックミラー10bによって折り曲げられた照明光が、対物レンズ5を介して標本Sに照射されると、標本Sにおける蛍光標識が励起され蛍光を発する。標本から発せられた蛍光を像として対物レンズ5が取り込み、ダイクロイックミラー10bと吸収フィルタ10cとを透過して、観察光として鏡筒部2bに入射する。
ここで、第1ランプハウス9から出射され、ステージ3上の標本に照射される照明光(励起光)の強度を測定する場合(以下、単に励起光強度測定ともいう)、ステージ3の標本載置面には、励起光の強度を検出する検出手段として、光強度検出部60が配置される。光強度検出部60は、光の強度を受光する受光部60aを有する。受光部60aは、光路N1が通過し、かつステージ3の標本載置面側に光の強度を測定するセンサ等の光検出部が位置するように配置される。受光部60aは、対物レンズ5を介して受光した光を光電変換して、受光した光の強度に応じた電気信号を生成し、この電気信号を処理装置40(計測部41)に出力する。このとき、記憶部43には、受光部60aが測定するためのプログラムや、計測用絞り90の絞り孔90aの開口の面積などが記憶されている。ここで、本実施の形態1において、受光部60aが測定する光の強度は、放射照度(W/m2)をさす。
処理装置40が受光部60aから電気信号を取得すると、計測部41が、入力される電気信号に応じて励起光強度の計測値を生成し、演算部42が、この計測値に基づいて、光強度検出部60に照射された光の強度を演算する。演算部42は、例えば、絞り孔90aの開口の面積をS1、投光管9b(照明系)の焦点距離をf、対物レンズ5の焦点距離をf’としたときに、受光部60aの受光面上に投影される計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積S2は、下記式(1)によって得られる。このとき、絞り孔90aの径は既知であるため、絞り孔90aの開口の面積を算出することが可能である。
S2=S1×(f’/f)2・・・(1)
また、演算部42は、光強度検出部60に照射された光の強度をP、光強度検出部60(標本S)の光照射面における単位面積あたりの照明光(励起光)の強度Psとしたとき、下記式(2)によって、単位面積あたりの照明光(励起光)の強度Psを取得する。
Ps=P/S2・・・(2)
演算部42は、得られた面積S2の値を記憶部43に出力する。記憶部43は、得られた面積S2を記憶部43に記憶する。また、処理装置40が、得られた面積S2の値を表示装置50に表示させるようにしてもよい。これにより、ユーザは、光源9aの出力などを調整して、ステージ3上において照射される照明光(励起光)の強度を所望の強度とすることができる。なお、式(1)において、f’/fが1となる場合には、式(2)のS2をS1に置き換えて、絞り孔90aの開口の面積と、光強度検出部60が計測した光の強度Pとをもとに単位面積あたりの照明光(励起光)の強度Psを取得してもよい。
上述した本実施の形態1によれば、計測用絞り90の絞り孔90aの面積、投光管9b(照明系)の焦点距離、対物レンズ5の焦点距離および光強度検出部60に照射された光の強度をもとに、処理装置40が光強度検出部60(標本S)の光照射面における単位面積あたりの照明光(励起光)の強度Psを演算するようにしたので、標本に照射される光の強度Psを把握することができる。これにより、強度測定時の条件の再現性をとる場合であっても、各測定時の強度を一定に維持した状態で測定を行うことができる。
また、上述した本実施の形態1によれば、計測用絞り90の絞り孔90aの面積、投光管9b(照明系)の焦点距離、対物レンズ5の焦点距離は、予め設定され、記憶されている数値を用いるため、光強度検出部60に照射された光の強度の入力によって、簡易に強度Psを得ることができる。
なお、上述した実施の形態1では、処理装置40の制御のもとで強度Psを演算するものとして説明したが、筐体部2aに設けられる制御部30のもと、筐体部2aに記憶部および演算部を設けて強度Psを演算するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、計測用絞り90の絞り孔90aの開口が円形をなすものとして説明したが、面積が既知であれば開口が角形をなすものであってもよい。また、計測用絞り90は、挿脱自在に設けられ、観察形態により選択的に配置されるようにしもよい。
また、上述した実施の形態1では、計測用絞り90が一つの絞り孔90aを有する場合で説明したが、絞り孔が複数形成されているものであっても適用可能である。この場合、各絞り孔に応じた開口の径または面積を記憶部43に予め記憶し、演算部42が、投光管9bに配置されている絞り孔に応じた径または面積を用いて演算することによって、強度Psを演算する。ここで、複数の絞り孔を選択的に用いることにより、ステージ3上の標本載置面に投影される絞り孔の像も変化する。このため、例えば、照明光に強度分布がある場合であって、より中心部における正確な放射照度を取得する場合や平均的な放射照度を取得する場合などにおいて、上述したように絞り孔の面積に応じた強度Psを取得すると、一段と正確な観察(測定)を行うことが可能である。
(実施の形態1の変形例)
図2は、本発明の実施の形態1の変形例にかかる顕微鏡システム400aの全体構成を模式的に示す側面図である。図3は、本発明の実施の形態1の変形例にかかる顕微鏡システム400aの要部(ミラーユニット11A)の構成を模式的に示す側面図である。上述した実施の形態1では、ミラーカセット12が、蛍光観察用のミラーユニット11を複数収容しているものとして説明したが、本変形例にかかる顕微鏡1aでは、複数のミラーユニット11のうちの一つを明視野観察用のミラーユニット11Aが配置される。
ミラーユニット11Aは、内部に落射光学系10Aを保持している。落射光学系10Aは、第1ランプハウス9から出射された落射照明光を所定の明るさに減光するNDフィルタ10d(減光フィルタ)と、所定の紫外域の波長帯域の光を遮断するとともに、可視域の波長帯域の光を透過する紫外カットフィルタ10eと、紫外カットフィルタ10eを透過した光のうちの少なくとも一部の光を対物レンズ5の光軸方向に反射するハーフミラー10fと、を有する。
以上の構成により、ミラーユニット11Aが光路N1上に配置されると、第1ランプハウス9から出射された落射照明光は、ミラーユニット11A内のNDフィルタ10dで所定の明るさに減光され、さらに、紫外カットフィルタ10eで紫外域の光が遮断される。紫外カットフィルタ10eを透過した可視域の波長帯域の光は、ハーフミラー10fで対物レンズ5の光軸方向に反射される。ハーフミラー10fで反射され、対物レンズ5を通過した落射照明光は、上述した実施の形態1と同様に作用し、観察像が形成される。
したがって、明視野観察における落射照明光の強度を測定する際は以下のような手順になる。まず、ミラーユニット11Aを光路N1上に配置するとともに、光強度検出部60をステージ3に載置して、落射明視野観察に切り換える。これにより、明視野観察における落射照明光の強度を測定することができる。その後、蛍光観察で使用する所望のミラーユニット11を光路N1上に配置すれば、蛍光観察用の落射照明光(励起光)の強度を測定することができる。
以上のように、実施の形態1の変形例によれば、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態1の変形例では、蛍光観察に適した光源9a、例えば水銀ランプなどの光源を使用した場合でも、ミラーユニット11Aを光路N1上に配置することで、落射明視野観察に最適な明るさ、波長の照明光をステージ3に対して照射することができる。
なお、実施の形態1の変形例では、紫外域のみを遮断する紫外カットフィルタを使用しているが、可視域の中の所定領域のみ通過させるフィルタを使用しても構わない。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システム400bの全体構成を模式的に示す側面図である。なお、図1等で説明した構成と同一の構成要素には、同一の符号が付してある。実施の形態1では、光強度検出部60によって光の強度を測定し、単位面積当たりの強度を取得するものとして説明したが、実施の形態2では、光強度検出部60に代えて、スケール試料70をステージ上に配置して、計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積を取得する。
図4に示す顕微鏡システム400bは、例えば、顕微鏡1b、処理装置40a、表示装置50、入力装置51および撮像部71で構成される。顕微鏡1bは、ハーフミラー14によって折り曲げられた光を取り込んで撮像し、取り込んだ光を光電変換して画像信号として出力する撮像部71を有する。また、制御部30に接続される処理装置40aは、演算部42および記憶部43に代えて演算部42aおよび記憶部43aが設けられ、撮像部71が出力した画像信号に対して、表示装置50で表示するための画像処理を施す画像処理部44をさらに有する。入力装置51は、顕微鏡1bの各部の駆動を指示する駆動指示信号の入力を受け付ける。入力装置51は、キーボード、マウス、タッチパネル等のインタフェースを用いて実現される。
撮像部71は、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサを用いて実現される。撮像部71および画像処理部44により、対物レンズ5が取り込んだ標本像やスケール試料70上の像を画像化し、処理装置40aは、この画像に応じた画像データとして記憶部43aに記憶させるとともに、表示装置50に画像表示を行わせる。
ここで、スケール試料70には、絞り孔90aの像の距離測定用のスケール情報を表示した表示面70a(反射面)が設けられている。ステージ3にスケール試料70を載置する際、この表示面70aが対物レンズ5と対向するように配置される。対物レンズ5は、この表示面70aで反射した光を取り込む。また、表示面70aの配置位置は、絞り孔90aと共役な位置となる。
図5は、本実施の形態2にかかる表示装置が表示する画像の一例を模式的に示す図である。図6,7は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡における像の面積の取得を説明する図である。図5に示す表示画像W1には、撮像部71によって撮像され、画像処理部44によって画像処理が施された画像であって、スケール試料70の表示面70aと、表示面70aに投影された絞り孔90aの像とが表示されている。
ここで、表示面70aには、図5,6に示す表示画像W1,W2のように、目盛りが付与された直線状に延びる第1スケール軸SXと、目盛りが付与され、第1スケール軸SXと直交して直線状に延びる第2スケール軸SYと、がスケール情報として設けられている。なお、本実施の形態2では、図5に示すように、絞り孔90aの像Qが、表示面70aに投影された像であって、円形をなす像Qの中心が、第1スケール軸SXおよび第2スケール軸SYの交点と一致しているものとして説明する。
また、第1スケール軸SXの目盛りは、均等に付与されている。絞り孔90aの像の面積を取得するうえで、まず、この目盛りの間隔をdXとしたとき、図6に示す表示画像W2に基づいて、この間隔dxが撮像部71(例えばCCDイメージセンサ)の何画素分に相当するかを演算部42aが演算する。具体的には、演算部42aは、例えば、画像処理部44によるパターンマッチングをもとに第1スケール軸SXの目盛りの間隔dXを取得する。その後、演算部42aが、目盛りの間隔dxの長さから、この長さが何画素分に相当するかを演算する。例えば、間隔dXの長さがm画素分に相当すると演算された場合、演算部42aは、一画素あたりの長さLXを、LX=dX/mとして演算する。制御部41aは、演算部42aの演算によって取得された一画素あたりの長さLXを記憶部43aに記憶させる。なお、演算部42aは、第2スケール軸SYにおいても同様に、間隔dYの長さをもとに、一画素あたりの長さLYを演算する。ここで、本実施の形態2においては、第1スケール軸SXの間隔dXおよび第2スケール軸SYの間隔dYは、同等であるものとする。
つぎに、演算部42aは、絞り孔90aの像の面積を演算する。具体的には、例えば、図7に示すように、表示装置50に表示された画像W3の像Qに対し、入力装置51を介して像Qにおける外縁上の三つの点R1〜R3を指定する。演算部42aは、指定された点R1〜R3に基づき、画像W3における像Qの直径を算出して像Qの面積を求める。算出した像Qの画素に応じた直径をD、絞り孔90aの像Qの画素に応じた面積をGpとすると、絞り孔90aの像Qが円形をなしているため、面積Gpは下記式(3)により求められる。
Gp=π(D/2)2 ・・・(3)
また、一画素あたりの長さLXを用いると、直径Dがn画素に相当するものとして、実際の絞り孔90aの像の面積Gを下記式(4)により求めることができる。
G=π(D/2)2
=π(nLX/2)2=π(ndX/2m)2 ・・・(4)
上述した演算処理により、計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積を取得することができる。ユーザは、取得された面積を確認することによって、照射範囲の調整などを行うことにより、光をステージ上の標本に対し、所望の範囲で照射することができる。なお、絞り孔90aが円形以外であっても、間隔dXおよび間隔dYをもとに演算することが可能である。
上述した本実施の形態2によれば、第1スケール軸SXおよび第2スケール軸SYと、計測用絞り90の絞り孔90aの像とをもとに、計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積を演算するようにしたので、標本に照射される光の面積(照射範囲)を精密に測定することが可能になり、標本に照射する光の強度Psをより正確に把握することができる。
なお、上述した本実施の形態2では、図5において、円形をなす像Qの中心が、第1スケール軸SXおよび第2スケール軸SYの交点と一致しているものとして説明したが、第1スケール軸SXおよび第2スケール軸SYに対する像の範囲を指定でき、間隔dXおよび間隔dYをもとに演算することが可能であれば、必ずしも一致している必要はない。
また、上述した本実施の形態2では、画像W3において像Qの円周上で三つの点R1〜R3を指定するものとして説明したが、画像における像Qの直径を算出することができれば、二点を指定するものであってもよいし、四点以上を指定するものであってもよい。
また、上述した本実施の形態2では、スケール情報を表示した表示面70a(反射面)が設けられ、表示面70aから反射した光を対物レンズ5が取り込むものとして説明したが、光源9aからの照射光によって励起され、蛍光を発することによってスケール情報を発生させる表示面(反射面)が設けられるものであってもよい。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。なお、上述した顕微鏡システムと同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態3では、ステージ3が標本Sを収容する収容容器100または光強度検出部80を載置するものとして説明する。なお、強度Psの演算については、上述した実施の形態1,2と同様である。
図8は、本実施の形態3にかかるステージ3の構成を模式的に示す部分断面図である。本実施の形態3にかかるステージ3は、図8に示すように、板状をなす第1部材310、第2部材320および第3部材330が順に積層されてなる。ステージ3において、例えば、第3部材330を基準(固定)とし、ステージ操作部300によって第1部材310および第2部材320を第3部材330の板面を平面とする面上を移動させる。このとき、標本Sは第1部材310に載置され、第1部材310および第2部材320は、主面に平行な平面上で互いに直交する方向に移動する。また、第1〜第3部材310,320,330には、筐体部2aに取り付けられた際に、光路N1を含む開口部311,321,331がそれぞれ形成されている。なお、第1部材310および第2部材320に形成される開口部311,321は、第1部材310および第2部材320の移動に関わらず光路N1が含まれるような大きさに形成されている。
また、ステージ操作部300は、第1部材310および第2部材320の移動量をそれぞれ入力可能な入力部301,302と、入力部301,302を支持し、入力部301,302によって入力された移動量を第1部材310および第2部材320にそれぞれ伝達する支持部材303と、を有する。本実施の形態3において、入力部301,302は、例えばラックアンドピニオンによって実現され、自身の回転量に応じた第1部材310および第2部材320の移動量をそれぞれ入力する。
ここで、ステージ3において、第1部材310の開口部311(位置決め手段)は、第1部材310の上面(第2部材320の積層側と異なる側の面)側に設けられ、円柱状をなす中空空間を形成する第1開口部312と、第1開口部312に連なり、第1部材310の下面(第2部材320の積層側の面)を貫通し、円柱状をなす中空空間を形成する第2開口部313と、を有する。第1開口部312の開口の径は、収容容器100の外周の径と同等である。また、第2開口部313の開口の径は、第1開口部312の開口の径より小さい。第1開口部312および第2開口部313は、円柱状の中心軸が一致しており、この中心軸と直交する平面を切断面とする断面が、段付き形状をなしている。
ステージ3において、標本Sを載置する場合、例えば、第1部材310の第1開口部312には、標本Sを収容した収容容器100が収容される(図8参照)。また、収容容器100の底面は、第1開口部312と第2開口部313とがなす段部St1に当接している。
ここで、収容容器100の底面の厚さ(段部St1から標本Sの対物レンズ5側の端部(標本Sにおける光照射面)までの距離)をd11、レボルバ6の対物レンズ5を支持する支持面から段部St1までの距離をd21とする。距離d21は標本Sに対して合焦した状態における距離である。
図9は、本実施の形態3にかかるステージ3の要部の構成を模式的に示す部分断面図である。第1ランプハウス9から出射され、ステージ3上の標本Sに照射される照明光(励起光)の強度を測定する場合、第1部材310には、収容容器100に代えて、光強度検出部80が配置される。
光強度検出部80は、円板状をなす基部810a、および円筒形状をなして基部810aの主面から延出する円筒部810bを有する本体部81と、円筒部810bの内部であって、基部810aの主面に配置され、対物レンズ5を介して受光する受光面82aを有する受光部82と、円筒部810bの先端側に設けられ、対物レンズ5からの光を絞る絞り孔83aが形成された平板状をなす絞り部材83と、受光部82が受光した光が入力され、該入力された光を光電変換して、受光した光の強度に応じた電気信号を生成する信号変換部84と、受光部82と信号変換部84とを接続するケーブル85と、信号変換部84と処理装置40とを接続するケーブル86と、を有する。
光強度検出部80は、信号変換部84で生成された電気信号を、ケーブル86を介して処理装置40に出力する。また、信号変換部84は、ビス87によって本体部81に固定されている。
本体部81は、基部810aの主面および円筒部810bの中空空間によって形成される凹部811を有する。また、円筒部810bの外周がなす円の径は、基部810aの外縁がなす円の径より小さい。そして、本体部81は、基部810aの主面に直交する平面を切断面とする断面の外縁が、凸状をなしている。また、円筒部810bの先端面(円筒形状の中心軸と直交する方向の面)は、円筒形状の中心軸に直交する方向の平面が通過する。すなわち、円筒部810bの先端面は、平面状をなしている。
受光部82は、例えばSiフォトダイオードなどの受光素子を用いることによって実現される。また、絞り孔83aの開口中心は、受光面82aの中心を通過し、かつ受光面82aと直交する軸を通過していることが好ましい。
絞り部材83は、受光部82側と異なる側の端面が、円筒部810bの先端から距離d11だけ基部810a側に移動した位置に配置されている。したがって、収容容器100に収容された標本Sにおける収容容器100の最下部からの高さ(収容容器100の底面部の厚み)と、円筒部810bの先端から絞り部材83の受光部82側と異なる側の端面までの距離とは距離d11であり、同一の距離である。
また、絞り部材83は、対物レンズ5から出射される照明光(励起光)により蛍光を発する。具体的には、絞り部材83は、所定の励起波長の光によって蛍光を発するような塗料やインクの表面塗布、所定の励起波長の光によって蛍光を発するような表面処理を施した金属材料、または所定の励起波長の光によって蛍光を発する金属素材によって実現される。
光強度検出部80は、円筒部810bの先端が段部St1に当接するとともに、円筒部810bの外周の径が、第1開口部312の側面がなす開口の径と略一致している。これにより、受光部82と絞り部材83とが、ステージ3に対して位置決めされた状態で配置される。このとき、絞り部材83の受光部82側と異なる側の端面から段部St1までの距離が、上述した距離d11と一致している。すなわち、絞り部材83の端面が、標本Sの照明光照射面と一致している。
また、受光面82aから段部St1までの距離をd12とすると、使用する対物レンズ5の位置を絞り部材83にピントが合う状態(距離d21)に調整し、ステージ3を移動させて絞り部材83を視野外接に調整して受光面82aの中心を対物レンズ5の光軸付近に配置した際に、この距離d12は、対物レンズ5から出射された照明光が、絞り部材83を介して所定の照射範囲、および所定の入射光特性で受光面82aに照射される位置となるように設定されている。つまり、受光部82の受光面82aは、光強度検出部80の開口部311への配置により、段部St1からの距離が上述した距離d12となるように位置決めされた状態となっている。
ここで、受光部82に配設される受光素子のサイズや入射特性を考慮して適切な位置に受光面82aを配置することは、受光効率に影響し、適切な位置に配置することによって受光効率を高めることができる。受光面82aの位置が対物レンズ5に対して適切に配置されると、光強度検出部80によって測定された照明光の強度の値が最も大きくなる。したがって、絞り部材83を利用して受光面82aの位置を調整した後、照明光の強度の値が最も大きくなるように受光面82aの位置を微調整することで、一段と精密な照明光の強度を取得することができる。
また、光強度検出部80は、図示しない表示部を備えており、光強度検出部80によって検出された、所望の波長の励起光強度の測定値が表示部の表示画面上に表示される。
上述した本実施の形態3によれば、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができ、さらに、標本S(収容容器100)または光強度検出部80をステージ3上の開口部311に嵌め込み、嵌め込みが完了した状態において、標本Sの観察位置および受光部82の受光面82aの位置が、設定されている配置に位置決めされるようにしたので、標本Sに照射される照明光の強度を正確に測定するとともに、標本Sの観察と、照明光の強度測定とを容易に切り替えることができる。
また、上述した本実施の形態3によれば、嵌め込みが完了した状態において、受光面82aが受光する照明光の照射範囲および入射光特性は、所望の照射範囲および入射光特性に設定される。これにより、標本S(収容容器100)と光強度検出部80とを交換した際に、交換した対象に対する焦準動作を再度行う必要がなく、操作性を向上することができる。
また、上述した本実施の形態3によれば、円筒部810bの先端を平坦な形状とすることによって、段部St1と当接した際の位置再現性を一段と正確に維持することができる。さらに、開口部311を有しないステージであっても載置することができ、汎用性に優れている。
また、上述した本実施の形態3によれば、光強度検出部80において、受光面82aの中心と絞り孔83aの開口中心とが同一の軸上に配設され、ステージ3に配置された場合に、絞り部材83の端面が、標本Sの照明光照射面の位置と一致するため、ステージ操作部300によってステージ3(第1部材310および/または第2部材320)を移動した場合であっても、ステージ3を再度移動させて、視野外接に対して絞り孔83aの位置を調整すれば、照明光の照射位置に受光面82aを容易かつ適切に配置することができる。
また、上述した本実施の形態3によれば、絞り部材83が、対物レンズ5から出射される照明光(励起光)により蛍光を発するようにしたので、蛍光観察の状態において絞り部材83(絞り孔83a)の像を確認することができる。このため、蛍光観察の状態のままで絞り部材83を利用した受光面82aの位置合わせを容易に行うことができる。
なお、実施の形態3において、上述した実施の形態1の変形例にかかるミラーユニット11Aを用いてもよい。ミラーユニット11Aを光路N1上に配置すると、第1ランプハウス9から出射された落射照明光は、ミラーユニット11A内のNDフィルタ10dで所定の明るさに減光され、さらに、紫外カットフィルタ10eで紫外域の光が遮断される。紫外カットフィルタ10eを透過した可視域の波長帯域の光は、ハーフミラー10fで対物レンズ5の光軸方向に反射される。ハーフミラー10fで反射され、対物レンズ5を通過した落射照明光は、絞り部材83で反射される。絞り部材83は、ステンレスのような金属素材で形成されている。光強度検出部80が光路N1上の所定位置に配置されると、絞り部材83で反射した観察光は、対物レンズ5、ハーフミラー10fを通過し、上述した実施の形態3と同様に作用して、絞り部材83の観察像が形成される。
このため、ミラーユニット11Aを用いれば、落射明視野観察により、明るい絞り像が容易に得られるため、絞り部材83に蛍光を発するような表面処理を施さなくとも、絞り部材83を容易に認識することができる。
(実施の形態3の変形例1)
図10,11は、本実施の形態3の変形例1にかかるステージ3aの構成を模式的に示す部分断面図である。上述した実施の形態3では、収容容器100の外周の径と、本体部81の凸の先端の径が同一であるものとして説明したが、実施の形態3の変形例1では、本体部81aの凸の先端の径が、収容容器100の外周の径と比して大きい光強度検出部80aであるものとして説明する。この場合、ステージ3aには、第1部材310に代えて第1部材310aが設けられる。第1部材310aには、収容容器100および本体部81aの凸の先端を着脱自在に保持する開口部311aが形成されている。
開口部311aには、第1部材310aの上面(第2部材320の積層側と異なる側の面)側に設けられ、円柱状をなす中空空間を形成する第1開口部312aと、第1部材310aの下面(第2部材320の積層側の面)を貫通し、円柱状をなす中空空間を形成する第2開口部313aと、第1開口部312aおよび第2開口部313aの間に設けられ、円柱状をなす中空空間を形成する第3開口部314と、を有する。第1開口部312a、第2開口部313aおよび第3開口部314は、円柱状の中心軸が一致しており、この中心軸と直交する平面を切断面とする断面が、段付き形状をなしている。ここで、第3開口部314の開口の径は、収容容器100の外周がなす円の径と同等である。第1開口部312aの開口の径は、第3開口部314の開口の径より大きい。また、第2開口部313aの開口の径は、第3開口部314の開口の径より小さい。第3開口部314の円筒の中心軸方向の長さは、上述した距離d11と同等である。
光強度検出部80aは、円板状をなす基部810c、および基部810cに連なり、円筒形状をなす円筒部810dを有する本体部81aと、円筒部810dの内部であって、基部810cの主面に配置され、対物レンズ5を介して受光する受光面82bを有する受光部821と、円筒部810dの先端に設けられ、対物レンズ5からの光を絞る絞り孔83bが形成された平板状をなす絞り部材831と、受光部821が受光した光が入力され、該入力された光を光電変換して、受光した光の強度に応じた電気信号を生成する信号変換部84と、受光部821と信号変換部84とを接続するケーブル85aと、信号変換部84と処理装置40とを接続するケーブル86と、を有する。本体部81aは、基部810cの主面および円筒部810dの中空空間によって形成される凹部811aを有する。
ここで、円筒部810dの外径は、第1開口部312aの開口の径と略一致している。
開口部311aに標本S(収容容器100)を載置する場合、収容容器100は、第2開口部313aおよび第3開口部314がなす段部St2に載置され、第3開口部314に収容された状態となる。このとき、標本Sの対物レンズ5側の端面は、段部St2から距離d11だけ離れて位置している(図10参照)。
一方、開口部311aに光強度検出部80aを載置する場合、円筒部810dが、第1開口部312aおよび第3開口部314がなす段部St3に載置され、第1開口部312aに収容された状態となる。このとき、絞り部材831の受光部821側と異なる側の端面は、段部St2から距離d11だけ離れて位置している(図11参照)。
これにより、受光部821と絞り部材831とが、ステージ3aに対して位置決めされた状態で配置される。このとき、絞り部材831の受光部821側と異なる側の端面から段部St2までの距離が、上述した距離d11と一致している。すなわち、絞り部材831の端面が、標本Sの照明光照射面と一致する。
上述した構成を有する本実施の形態3の変形例1では、上述した実施の形態3と同様、ステージ3a上に標本S(収容容器100)または光強度検出部80aを適宜載置することによって、標本Sの観察と、ステージ3a上に照射される照明光の強度の測定とを、選択的に実施することができる。また、収容容器100および本体部81aを開口部311aに取り付けるのみで、標本Sおよび受光面82bを適切な位置にそれぞれ配置することができる。
(実施の形態3の変形例2)
図12,13は、本実施の形態3の変形例2にかかるステージ3の構成を模式的に示す部分断面図である。上述した実施の形態3では、光強度検出部80において信号処理部84が本体部81に固定されているものとして説明したが、信号処理部84を本体部81から離脱させた状態で用いるものであってもよい。
変形例2にかかる光強度検出部80bは、円板状をなす基部810e、および円筒形状をなして基部810eの主面から延出し、その外径が基部810eの外径と一致する円筒部810fを有する本体部81bと、円筒部810fの内部であって、基部810eの主面に配置され、対物レンズ5を介して受光する受光面82aを有する受光部82と、円筒部810fの先端側に設けられ、対物レンズ5からの光を絞る絞り孔83aが形成された略平板状をなす絞り部材83と、受光部82が受光した光が入力され、該入力された光を光電変換して、受光した光の強度に応じた電気信号を生成する信号変換部84と、受光部82と信号変換部84とを接続するケーブル85と、信号変換部84と処理装置40とを接続するケーブル86と、を有する。本体部81bは、基部810eの主面および円筒部810fの中空空間によって形成される凹部811bを有する。
ここで、円筒部810fの外径は、第1開口部312の開口の径と略一致している。
絞り部材83は、凹部811bに設けられ、受光部82側と異なる側の端面が、円筒部810fの先端から距離d11だけ基部810e側に移動した位置に配置されている。
図12に示されるように、変形例2では、光強度検出部80bをステージ3に載置して照明光の強度を測定する際、対物レンズ5から出射された照明光の強度を測定する場合、受光面82aが対物レンズ5と対向するように、円筒部810fの先端を段部St1に当接させて、円筒部810fを第1開口部312に収容する。このとき、段部St1から絞り部材83の端面までの距離は、上述した距離d11と一致する。これにより、受光部82によって、対物レンズ5から出射された照明光の強度を同様に測定することができる。
一方、正立顕微鏡として用いる場合(図13参照)、対物レンズ5aと対向するように、基部810eの円筒部810fに連なる側と異なる側の主面を段部St1に当接させて、基部810eおよび円筒部810fの一部を第1開口部312に収容する。これにより、受光部82によって、対物レンズ5aから出射された照明光の強度を測定することができる。
このように、本実施の形態3の変形例2では、第1部材310は、受光面82aが光路N1(照明光学系の光軸方向)に対して直交し、かつ受光面82aの向きが光路N1に対して上向き、または下向きのいずれかの状態で保持可能である。
このとき、信号処理部84は、第1部材310上の本体部81bとは異なる位置に載置されている。また、信号処理部84は、ビス87によって第1部材310に固定されていてもよいし、ビス87を設けずに、ステージ3上に載置されるのみであってもよい。
上述した構成を有する本実施の形態3の変形例2では、上述した実施の形態3と同様、ステージ3上に標本S(収容容器100)または光強度検出部80bを適宜載置することによって、標本Sの観察と、ステージ3上に照射される照明光の強度の測定とを、選択的に実施することができるとともに、ステージ3に対する対物レンズの配置によらず、ステージ3上に照射される照明光の強度を測定することができる。これにより、倒立型の顕微鏡であっても、正立型の顕微鏡であっても、光強度検出部80bを用いて照明光の強度を測定することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。なお、上述した顕微鏡システムと同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図14,15は、本発明の実施の形態4にかかるステージ3bの構成を模式的に示す部分断面図である。なお、上述した構成と同一の構成要素には、同一の符号が付してある。上述した実施の形態3では、ステージ3の第1部材310に一つの開口部311を設けて、収容容器100および光強度検出部80を選択的に保持するものとして説明したが、実施の形態4にかかるステージ3bでは、第1部材310bが、収容容器100および光強度検出部80をそれぞれ保持する二つの開口部311,311bを有する。なお、開口部311は、上述したように、収容容器100および光強度検出部80のいずれかを挿脱自在に保持する。本実施の形態4では、開口部311に収容容器100が取り付けられ、開口部311bに光強度検出部80が取り付けられているものとして説明する。
開口部311bは、上述した開口部311と同様の形状をなし、第1部材310bの上面(第2部材320の積層側と異なる側の面)側に設けられ、円柱状をなす中空空間を形成する第1開口部315と、第1開口部315に連なり、第1部材310bの下面(第2部材320の積層側の面)を貫通する円柱状をなす中空空間を形成する第2開口部316と、を有する。第1開口部315の開口の径は、収容容器100および円筒部810bのそれぞれの外周がなす円の径と同等である。また、第2開口部316の開口の径は、第1開口部315の開口の径より小さい。第1開口部315および第2開口部316は、円柱状の中心軸が一致しており、この中心軸と直交する平面を切断面とする断面が、段付き形状をなしている。
また、開口部311の中心軸N10および開口部311bの中心軸N11の間の距離をd31とすると、例えば、第1部材310bが、開口部311の中心軸N10と開口部311bの中心軸N11とを結ぶ直線と平行な方向に移動可能である場合、距離d31は、第1部材310bの最大移動量より小さい値となる。
ステージ3bにおいて、開口部311には、標本Sを収容した収容容器100が収容される。このとき、収容容器100の底面は、第1開口部312と第2開口部313とがなす段部St1に当接している。
また、ステージ3bにおいて、開口部311bには、光強度検出部80が収容される。このとき、光強度検出部80の円筒部810bは、第1開口部315と第2開口部316とがなす段部St4に当接している。
標本Sの観察を行う場合は、ステージ操作部300(入力部301)の操作によって、開口部311の中心軸N10が光路N1(照明光学系の光軸)と略一致する位置に第1部材310bを移動させる。これにより、標本Sの観察を行うことができる(図14参照)。
一方、光強度検出部80によって、照明光の強度を測定する場合は、ステージ操作部300(入力部301)の操作によって、絞り部材83の中心、すなわち開口部311bの中心軸N11が光路N1と一致する位置に第1部材310bを移動させる。これにより、照明光の強度を測定することができる(図15参照)。
上述した本実施の形態4によれば、標本S(収容容器100)または光強度検出部80をステージ3b上の開口部311,311bに嵌め込み、嵌め込みが完了した状態において、標本Sの観察位置および受光面の位置が、適切な高さに位置決めされ、ステージ3bの第1部材310bまたは第2部材320を移動させることで、標本Sの観察または光強度検出部80による照明光の強度の測定を行えるようにしたので、標本Sに照射される照明光の強度を正確に測定するとともに、標本Sの観察と、照明光の強度測定とを容易に切り替えることができる。
なお、上述した実施の形態4では、開口部311に収容容器100が取り付けられ、開口部311bに光強度検出部80が取り付けられているものとして説明したが、開口部311に光強度検出部80が取り付けられ、開口部311bに収容容器100が取り付けられているものであってもよい。また、開口部311,311bに標本Sを収容した二つの収容容器100をそれぞれ取り付けてもよいし、受光部82などの特性が異なる二つの光強度検出部80を取り付けてもよい。
(実施の形態4の変形例)
図16は、本実施の形態4の変形例にかかるステージ3bの構成を模式的に示す部分断面図である。上述した実施の形態4では、ステージ操作部300の入力部301,302によって第1部材310bおよび第2部材320を操作するものとして説明したが、ステージ操作部300に代えて、第1部材310bおよび第2部材320を駆動するモータM1,M2を有するものであってもよい。モータM1,M2は、例えばパルスモータを用いて実現され、モータの回転力によって第1部材310bおよび第2部材320をそれぞれ駆動する。なお、実施の形態4の変形例1では、モータM1,M2の回転力を伝達する伝達機構(図示せず)や、モータM1,M2への電源供給部(図示せず)なども構成要素に含まれる。
モータM1,M2は、制御部30aの制御のもとで駆動し、第1部材310bおよび第2部材320をそれぞれ所定の方向(互いに直交する方向)に移動させる。制御部30aは、ユーザから入力された指示信号に応じてモータM1,M2を駆動する。指示信号の入力は、処理装置40(図1参照)に設けられた入力部への入力によるものであってもよいし、筐体部2aに設けられたボタンやタッチパネルなどへの入力によるものであってもよい。また、筐体部2aに電気的または無線通信によって接続される入力装置によって指示信号を入力するものであってもよい。
本実施の形態4の変形例によれば、第1部材310bおよび第2部材320を電動で所望の位置に移動させるようにしたので、標本S(中心軸N10)および光強度検出部80(中心軸N11)をそれぞれ対物レンズ5の観察光軸位置(光路N1)へ容易かつ確実に合わせることができる。このため、操作性や位置再現性に優れる。
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5について説明する。なお、上述した顕微鏡システム(ステージ)と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図17は、本発明の実施の形態5にかかるステージ3cの構成を模式的に示す部分断面図である。図18は、本実施の形態5にかかるステージ3cの構成を模式的に示す斜視図である。なお、上述した構成と同一の構成要素には、同一の符号が付してある。上述した実施の形態4では、第1部材310bが、収容容器100および光強度検出部80をそれぞれ保持する二つの開口部311,311bを有するものとして説明したが、実施の形態5では、二つの開口部202,203を有するアダプタ200(取付け部材)を着脱自在なステージ3cを備える。なお、開口部202,203は、上述した収容容器100および光強度検出部80のいずれかを挿脱自在に保持する。本実施の形態5では、開口部202に収容容器100が取り付けられ、開口部203に光強度検出部80が取り付けられているものとして説明する。
ステージ3cは、上述した第2部材320および第3部材330と、板状をなす第1部材310cとが積層されてなる。第1部材310cには、アダプタ200を着脱自在に保持する開口部311cが形成されている。開口部311cは、第1部材310cの上面(第2部材320の積層側と異なる側の面)側に設けられ、角柱状をなす中空空間を形成する第1開口部312bと、第1開口部312bに連なり、第1部材310cの下面(第2部材320の積層側の面)を貫通し、角柱状をなす中空空間を形成する第2開口部313bと、を有する。
アダプタ200は、板状をなす基部201a、および基部201aに連なり、基部201aの一方の主面から板状をなして突出する突出部201bを有する本体部201からなる。本体部201には、基部201aおよび突出部201bの主面を貫通する開口部202,203が形成されている。ここで、基部201aの外縁形状は第1開口部312bの外縁と同等であり、突出部201bの外縁形状は第2開口部313bの外縁と略同等である。すなわち、本体部201において、基部201aの主面に直交する平面を切断面とする断面形状は、突出部201b側で凸となる凸形状をなす。
開口部202は、上述した開口部311と同様の形状をなし、基部201a側に設けられ、円柱状をなす中空空間を形成する第1開口部202aと、第1開口部202aに連なり、突出部201bを貫通し、円柱状をなす中空空間を形成する第2開口部202bと、を有する。第1開口部202aの開口の径は、収容容器100の外周の径と同等である。また、第2開口部202bの開口の径は、第1開口部202aの開口の径より小さい。第1開口部202aおよび第2開口部202bは、円柱状の中心軸が一致しており、この中心軸と直交する平面を切断面とする断面が、段付き形状をなしている。
開口部203は、上述した開口部311と同様の形状をなし、基部201a側に設けられ、円柱状をなす中空空間を形成する第1開口部203aと、第1開口部203aに連なり、突出部201bを貫通し、円柱状をなす中空空間を形成する第2開口部203bと、を有する。第1開口部203aの開口の径は、収容容器100および円筒部810bのそれぞれの外周がなす円の径と同等である。また、第2開口部203bの開口の径は、第1開口部203aの開口の径より小さい。第1開口部203aおよび第2開口部203bは、円柱状の中心軸が一致しており、この中心軸と直交する平面を切断面とする断面が、段付き形状をなしている。
また、開口部202,203は、開口部202の中心軸N20および開口部203の中心軸N21の間の距離が、上述した距離d31となるように形成されている。
ステージ3cにおいて、アダプタ200の開口部202には、例えば、標本Sを収容した収容容器100が収容される。このとき、収容容器100の底面は、第1開口部202aと第2開口部202bとがなす段部St5に当接している。
また、ステージ3cにおいて、アダプタ200の開口部203には、例えば、光強度検出部80が収容される。このとき、光強度検出部80の円筒部810bは、第1開口部203aと第2開口部203bとがなす段部St6に当接している。
ここで、アダプタ200は、第1部材310cの開口部311cに保持される。このとき、アダプタ200の基部201aが第1開口部312bと第2開口部313bとがなす段部St7に当接するとともに、突出部201bの先端は第2部材320の主面に対して隙間が設けられ、非接触状態となっている。また、基部201aは、縁端側において挿通孔が形成され、開口部311cへの収容後、ビス204によって第1部材310cに固定される。
標本Sの観察を行う場合は、ステージ操作部300(入力部301)の操作によって、開口部202の中心軸N20が光路N1(図1など参照)と略一致する位置に第1部材310cを移動させる。これにより、標本Sの観察を行うことができる。
一方、光強度検出部80によって照明光の強度を測定する場合は、ステージ操作部300(入力部301)の操作によって、絞り部材83の中心、すなわち、開口部203の中心軸N21が光路N1と略一致する位置に第1部材310cを移動させる。これにより、照明光の強度を測定することができる(図17参照)。
なお、上述した実施の形態4の変形例のように、制御部30の制御のもと、モータM1,M2によって第1部材310cおよび第2部材320を移動させる構成であってもよい。
上述した本実施の形態5によれば、標本S(収容容器100)または光強度検出部80を保持するアダプタ200を、ステージ3c上の開口部311cに嵌め込み、嵌め込みが完了した状態において、標本Sの観察位置および受光面82aの位置が、適切な高さに位置決めされ、ステージ3cの第1部材310cまたは第2部材320を移動させることで、標本Sの観察または光強度検出部80による照明光の強度の測定を行えるようにしたので、標本Sに照射される照明光の強度を正確に測定するとともに、標本Sの観察と、照明光の強度測定とを容易に切り替えることができる。
なお、上述した実施の形態5では、開口部202に収容容器100が取り付けられ、開口部203に光強度検出部80が取り付けられているものとして説明したが、開口部202に光強度検出部80が取り付けられ、開口部203に収容容器100が取り付けられているものであってもよい。また、開口部202,203に標本Sを収容した二つの収容容器100をそれぞれ取り付けてもよいし、受光部82などの特性が異なる二つの光強度検出部80を取り付けてもよい。
(実施の形態5の変形例)
図19,20は、本実施の形態5の変形例にかかるステージ3cの要部の構成を模式的に示す斜視図である。図19に示すアダプタ200aは、板状をなす基部201a、および基部201aに連なり、基部201aの一方の主面から板状をなして突出する突出部201bと、例えば開口部202または203の中心軸の位置を表示する表示部201cと、を有する本体部205からなる。本体部205には、上述した開口部202,203が形成されている。
ここで、ステージ3cには、図20に示すように、第3部材330に対する第1部材310cおよび第2部材320の相対位置(位置情報)をそれぞれ示す位置情報表示部340が設けられている。位置情報表示部340は、第1部材310cに取り付けられ、縁端に位置情報である目盛りが表記された第1指標部341aを有する第1表示部材341と、第3部材330に取り付けられ、縁端に位置情報である目盛りが表記された第2指標部342aを有する第2表示部材342と、第2部材320に取り付けられ、第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛りのいずれかをそれぞれ指示する指示部343と、を有する。
第1指標部341aは、第1部材310cの移動方向に沿って目盛りおよび目盛りに応じた数値が付与されている。また、第2指標部342aは、第2部材320の移動方向に応じて目盛りおよび目盛りに応じた数値が付与されている。第1部材310cの移動方向と第2部材320の移動方向とは直交するため、第1指標部341aの目盛りと第2指標部342aの目盛りとは、互いに直交する方向に延びる。
指示部343は、第1指標部341aの目盛りのいずれかを指示する第1指示部343aと、第2指標部342aの目盛りのいずれかを指示する第2指示部343bと、を有する。第1指示部343aおよび第2指示部343bは、第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛りに応じて目盛りがそれぞれ設けられ、いずれかの目盛りで第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛りを指示するバーニヤとして機能する。なお、第1指示部343aおよび第2指示部343bは、目盛りに代えて矢印などを設けて、第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛りのうちの一点を指示するものであってもよい。
図19に示す表示部201cには、第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛り情報が表記されている。第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛りを直交するX軸、Y軸に応じたX方向およびY方向とみたとき、第1指標部341aの目盛りを示すY指標の値(Y:△△)と、第2指標部342aの目盛りを示すX指標の値(X:○○)と、が目盛り情報として表記される。例えば、X指標、Y指標として、光路N1と中心軸N20とが一致する位置情報が、目盛り情報として表記される。
ユーザは、第1指標部341aおよび第2指標部342aの目盛りを確認しながら第1部材310cおよび第2部材320を移動させることによって、光路N1と中心軸N21とを一致させることができる。
ここで、表示部201cは、光路N1と中心軸N21とが一致する位置情報のほか、光路N1と中心軸N20とが一致する位置情報も併せて表記したものであってもよい。
(実施の形態6)
つぎに、本発明の実施の形態6について説明する。なお、上述した顕微鏡システムと同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図21は、本発明の実施の形態6にかかる顕微鏡システム400cの全体構成を模式的に示す側面図である。図22は、本発明の実施の形態6にかかる顕微鏡システム400cの機能を示す機能ブロック図である。顕微鏡システム400cは、例えば、顕微鏡1、処理装置40b、表示装置50、入力装置51および撮像部71で構成される。
本実施の形態6では、制御部30は、処理装置40bと通信可能に接続されている。処理装置40bは、顕微鏡1の動作を統括的に制御する。処理装置40bは、表示装置50と接続し、顕微鏡1に関する情報や、上述した撮像部71が取得した画像データに応じた画像を表示装置50に表示させる。
処理装置40bは、CPU等を用いて構成され、測定条件取得部(取得部)401、計測部(算出部)402、演算部403、記憶部404、画像処理部405、選択・取得部(選択部、抽出部)406、設定部407、および調整部408を含む。処理装置40bは、処理装置40b全体および処理装置40bに含まれる各部を制御するとともに、接続される顕微鏡1の制御部30に対して各種の制御指示を行う。また、処理装置40bには、入力装置51が接続されており、これを用いて各種パラメータや後述する各種測定条件、測定結果の情報等が入力される。
記憶部404は、処理装置40bの内部に固定的に設けられるフラッシュメモリおよびRAM等の半導体メモリを用いて実現される。また、記憶部404は、処理中の情報を一時的に記憶する。なお、記憶部404は、外部から装着されるメモリカード等を用いて構成されてもよい。後述する測定結果や、測定履歴、測定条件等はこの記憶部404に記憶される。
測定条件取得部401は、測定条件を取得する。測定条件は、対応するパラメータを顕微鏡1から自動的に取得することもできるし、入力装置51を介して手動で入力することもできる。取得した測定条件は、演算部403に送られる。
ここで自動的にまたは手動で取得される測定条件は、例えば、顕微鏡の種類(正立顕微鏡または倒立顕微鏡のいずれか)、測定する対物レンズ5の倍率、観察法(Wide−fieldまたはLSM)、波長、照射面の面積等である。測定条件の取得を手動で行う場合には、測定条件の各項目について、所望のパラメータをリストから選択することができる。また、手入力でも入力する事が可能である。
観察法は、例えば、レーザー光源を使用したレーザー走査型顕微鏡(LSM)もしくは広視野観察の顕微鏡を使用したWide−fieldのいずれかであり、これを自動的にまたは手動入力により取得する。広視野観察の顕微鏡を使用したWide−fieldの場合、後述するように励起光を測定する照射面の面積を演算部403にて自動で算出して、表示装置50に表示する。ここで表示される照射面の面積の値は手動にて変更することが可能であり、より精度の高い結果を算出する事が可能である。
共焦点レーザー走査型顕微鏡の場合、対物レンズ5の倍率と、顕微鏡システム400cにて実施するスキャンモードとを取得する。スキャンモードは、例えば、Normal、Clip、Line、TornadoおよびPointがある。スキャンモードとしてNormalが設定されている場合、スキャンエリアのXY座標を取得する。また、スキャンモードとしてClip、TornadoまたはLineが設定されている場合は、ピクセルサイズと総ピクセル数が取得される。なお、Lineが設定されている場合には、さらにNA値も取得される。スキャンモードとしてPointが設定されている場合には、取得されるべき数値はない。
ここで取得される波長は、それぞれの観察法で使用する波長である。例えば、広視野観察の顕微鏡を使用したWide−fieldの場合は、顕微鏡1に搭載されたミラーユニット11の中間波長を取得する。LSMの場合は、レーザー光源から照射されるレーザー光の波長が取得される。
なお、上記の各測定条件を手動入力により取得する場合は、波長およびNAの入力値をリスト内から選択できるように、以前に入力した入力値のリストを記憶させておくことが好ましい。また、測定に成功した測定条件については、次回測定時にデフォルト値として、測定条件入力画面等に表示するようにしてもよい。
励起光強度測定の開始が指示されると、光強度検出部60は、受光部60aが対物レンズ5を介して受光した光を光電変換して電気信号を生成し、この電気信号を計測部402に出力する。計測部402は、入力される電気信号に応じて、励起光強度の計測値を生成し、生成した計測値を演算部403に出力する。
演算部403は、測定条件取得部401により取得される波長に基づき、顕微鏡1の光学特性を予め用意される参照テーブル等から取得する。光学特性を取得するための参照テーブルは、例えば、計測用絞り90の絞り孔90aの開口の面積などが記憶されている。
また、演算部403は、測定条件取得部401により取得される観察法および対物レンズ5の倍率に基づき励起光の照射面の面積を演算する。なお、照射面の面積が手動で入力された場合には、当該照射面の面積を用いて以降の演算を行う。
以下に、照射面の面積の演算方法の一例を説明する。上述したように、例えば、絞り孔90aの開口の面積をS1、投光管9b(照明系)の焦点距離をf、対物レンズ5の焦点距離をf’とすると、受光部60aの受光面上に投影される計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積S2は、上記式(1)によって得られる。
その後、取得した光学特性に基づき、計測部402から入力される励起光強度の計測値を補正し、補正した計測値を演算した照射面の面積で割ることにより、単位面積当たりの照明光(励起光)の放射照度(W/m2)を算出して、測定値として、表示装置50および記憶部404に出力する。また、必要に応じて測定値を調整部408にも出力する。なお、測定値は放射照度ではなく放射束(W)でも表示することが可能である。例えば、観察法がLSMでスキャンモードがPointである場合は、放射束(W)を単位として測定値が出力される。
このようにして算出された測定値は記憶部404に測定結果として記憶される。算出された測定結果は、測定条件とともに測定履歴として保存することが可能である。なお、別途、測定日時やコメントを入力して、これらを測定結果の測定履歴に含めることも可能である。また、測定履歴内の測定結果を複数個選択し、対応する測定条件とともにファイルに保存することもできる。この保存したファイルは、他のアプリケーションから読み出すことも可能である。
画像処理部405は、撮像部71からの画像データに所定の画像処理を行い表示装置50に画像表示を行わせるとともに、この画像データを記憶部404に保存する。画像処理部405は、この画像データを記憶部404に保存する際に、撮像部71が撮像した際の顕微鏡1の設定(たとえば対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径など)を含む測定結果を記憶部404から読み出して、当該画像データに付加する。これにより、測定結果と画像データの関連付けが行われる。
本実施例では、以上のように測定結果と画像データを関連付けて記憶できるとともに、測定結果が付加された画像データを選択するか、もしくは測定履歴から所望の測定結果を選択することにより、当該測定結果に含まれる測定条件を顕微鏡1の設定に反映させることができる。
選択・取得部406において、測定結果が付加された画像データが選択されると、当該画像データが記憶部404から読み出されて、付加された測定結果が抽出されて設定部407に出力される。測定履歴から所望の測定結果が選択された場合には、当該選択された測定結果が記憶部404から読み出されて設定部407に出力される。
設定部407では、選択・取得部406から入力される測定結果に含まれる測定条件(たとえば対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径など)を顕微鏡1の設定に反映させる。このようにして、画像データもしくは測定履歴の項目を選択することにより、当該画像データを撮像したときの測定条件や当該測定履歴が作成された時点の測定条件を簡単に復元することができる。
なお、選択・取得部406は、測定結果を設定部407に出力する代わりに、当該測定結果を単に表示装置50に表示させるようにしてもよい。また、当該測定結果をファイルとして記録媒体に保存したり、印刷したりするようにしてもよい。
また、本実施例の顕微鏡システム400cは、上述したように過去の測定結果を読み出して測定条件を顕微鏡1に設定した場合において、当該測定結果に含まれる測定値と設定した測定条件による測定値との差分が所定範囲内となるように、測定値を監視することが可能である。
この場合、設定部407によって設定された測定条件によって新たに測定された測定値が演算部403から調整部408に入力される。調整部408は新たに測定された測定値と、読み出された、設定された過去の測定結果に含まれる測定値との差分値(絶対値)が所定値を超える場合に、差分値が所定値以内となるように測定条件やその他の顕微鏡1の設定(たとえば対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径など)を変更するように設定部407を制御する。調整部408は、例えば、光源9aなどの照度が低下している場合、顕微鏡1内にて調光フィルタ91aを自動補正し照度を保つような制御を行う。
設定部407は調整部408の制御により、顕微鏡1へ測定条件取得部401で得た撮像条件(たとえば対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径など)を設定する。なお、設定部407の機能として、励起光を当てながら測定している時間を計測し、ある一定時間経過した場合、光を当てすぎないよう警告メッセージを表示装置50に表示することや、自動的に光路のシャッターを閉じるような制御を行うようにしてもよい。
図23は、本発明の実施の形態6にかかる処理装置40bが実行する測定処理を表すフローチャートである。この測定処理を行うにあたっては、事前準備として計測用絞り90を顕微鏡1に取り付けるか、または視野絞りの径を所定の大きさに絞っておく。また、ステージ3の標本載置面(標本における光照射面)に、光強度検出部60を配置しておく。
ステップS101では、処理装置40bが、励起光強度測定時における顕微鏡1の操作上の注意事項等を、表示装置50に表示させる。例えば、計測用絞り90が設置されていることを確認するための表示を行う。
ステップS102では、測定条件取得部401が測定条件を取得する。測定条件の取得は図22を参照して説明したように、手動もしくは自動で行われる。
ステップS103では、処理装置40bが、励起光強度の測定開始指示の有無を判断する。測定開始の指示は、入力装置51を介して入力される。処理装置40bが、測定開始の指示があったと判断した場合(ステップS103:Yes)は、ステップS104に進む。処理装置40bが、測定開始の指示がないと判断した場合(ステップS103:No)は、ステップS102に戻る。なお、処理装置40bが、測定開始の指示がないと判断した場合(ステップS103:No)に、ステップS102に戻らずに、単にステップS103を繰り返して開始指示の入力を待機するようにしてもよい。
ステップS104では、処理装置40bが、顕微鏡1の制御部30に対して、光強度検出部60による励起光の計測を行うように指示する。この指示を受けて、顕微鏡1では、第1ランプハウス9から出射され、ステージ3上の標本Sに照射される照明光(励起光)の強度を光強度検出部60により測定し、測定した励起光強度に対応する電気信号を計測部402に出力する。計測部402は、上述したように、入力される電気信号に応じて、励起光強度の計測値を生成し、生成した計測値を演算部403に出力する。
ステップS105では、演算部403が、ステップS102で取得した測定条件に基づき、ステップS104で取得した計測値に対して所定の演算を行い測定値として出力する。ここでの処理は、上述した演算部403で行う処理であり、測定値としては、放射照度(W/m2)および放射束(W)の双方またはいずれか一方である。
ステップS106では、処理装置40bが、ステップS105で算出した測定値を表示装置50に表示させる。
ステップS107では、処理装置40bが、ステップS102で取得した測定条件に変更が加えられたか否かを判断する。この判断は、例えば、測定条件が自動で取得される場合は、顕微鏡1の設定状態を再度測定条件取得部401から対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径などを取得し、その取得した設定状態に基づく測定条件とステップS102で取得した測定条件とを比較することにより行われる。また、例えば、測定条件が手動で入力される場合は、入力装置51からの測定条件の入力を検出することにより行われる。処理装置40bが、測定条件に変更があったと判断した場合(ステップS107:Yes)は、ステップS112に進む。処理装置40bが、測定条件に変更が無かったと判断した場合(ステップS107:No)は、ステップS108に進む。
ステップS108では、処理装置40bが、励起光強度の測定終了指示の有無を判断する。測定終了の指示は、入力装置51を介して入力される。処理装置40bが、測定終了の指示があったと判断した場合(ステップS108:Yes)は、測定を終了して、ステップS109に進む。処理装置40bが、測定終了の指示がないと判断した場合(ステップS108:No)は、ステップS104に戻り、同じ測定条件で再度励起光の計測を開始する。
ステップS109では、処理装置40bが、ステップS105で算出した測定値を、ステップS102または後述するステップS112で取得した測定条件に関連付けて、測定結果として記憶部404に保存する。なお、測定履歴を記録したファイルがある場合には、当該測定履歴ファイルにも測定結果を追記する。なお、別途、測定日時やコメントを入力させて、測定結果に付加して保存したり、測定履歴に付加して記録したりするようにしてもよい。ここで入力するコメントとしては、標本Sを特定するための情報や、標本Sの種類(例えば、神経細胞等)が考えられる。
ステップS110では、処理装置40bが、撮像部71および画像処理部405に、対物レンズ5が取り込んだ標本像や光強度検出部60上の像を画像化させ、この画像に応じた画像データを生成させることにより、標本画像を取得する。処理装置40bは、取得した標本画像を表示装置50に表示させるようにしてもよい。
ステップS111では、処理装置40bが、ステップS110で取得した標本画像に、ステップS109で保存した測定結果を付加して、記憶部404に記憶させる。このように、標本画像に測定結果を付加することにより、標本画像を撮像したときの励起光強度を再現するための撮像条件、たとえば対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径などを顕微鏡1の設定に関する情報として提供することができる。
ステップS112では、測定条件取得部401が測定条件を取得する。測定条件の取得は図22を参照して説明したように、手動もしくは自動で行われる。その後、ステップS104に進む。
なお、図23に示す測定処理では、ステップS103での励起光測定開始後、手動で測定終了を指示して、測定結果を保存するようにしたが、所定の時間間隔を設定して、該設定した時間ごとに測定結果を自動的に保存するようにしてもよい。
また、長時間測定によるレーザー光の標本Sへの当て過ぎを防ぐため、ステップS103での励起光測定開始後、所定時間経過した後に自動的に処理装置40bが測定を終了させるようにしてもよい。
図24は、本発明の実施の形態6にかかる処理装置40bが実行する設定処理を表すフローチャートである。この設定処理は、図23に示す測定処理において記憶部404に保存された測定結果や、測定履歴、測定結果が付加された標本画像等を読み出して、これらに対応する測定条件に対応する顕微鏡1の設定を自動的に行う処理である。
ステップS201では、処理装置40bが、記憶部404に記憶されている測定結果、または測定結果が付加された標本画像または測定履歴の選択を受け付ける。これらの選択は、処理装置40bが選択候補となる記憶部404に記憶されている測定結果、測定結果が付加された標本画像または測定履歴を表示装置50に表示させ、ユーザがそれを参照して入力装置51を操作して行う。
ステップS202では、処理装置40bが、ステップS201で選択された測定結果、測定結果が付加された標本画像または測定履歴を記憶部404から読み出す。測定結果が付加された標本画像または測定履歴を読み出した場合は、付加されている測定結果を抽出して取得する。取得した測定結果は設定部407に出力される。
ステップS203では、設定部407が、ステップS202で取得した測定結果に含まれる測定条件に基づき、撮像条件(たとえば対物レンズの倍率、励起光の波長、面積で求めた視野絞りの径など)を顕微鏡1に対して設定を行う。顕微鏡1の設定を測定結果に含まれる測定条件に基づき行うことにより、当該測定結果の測定時の設定を復元することが可能となる。
図25は、本発明の実施の形態6にかかる処理装置40bが実行する自動調整処理を表すフローチャートである。この自動調整処理では、図24に示す設定処理のように自動的に測定条件を設定した場合において、当該復元に用いた測定結果に含まれる測定値を復元するための処理である。すなわち、図24に示す設定処理では、測定条件を復元したが、この自動調整処理では測定値を復元する。
ステップS301では、処理装置40bが測定結果を取得する。ここでの処理は図24のステップS201およびS202の処理である。ステップS302では、図24のステップS203と同様に、処理装置40bが、ステップS301で取得した取得結果に含まれる測定条件に基づき、顕微鏡1の設定を行う。
ステップS303では、処理装置40bが、励起光強度の測定開始指示の有無を判断する。処理装置40bが、測定開始の指示があったと判断した場合(ステップS303:Yes)は、ステップS304に進む。処理装置40bが、測定開始の指示がないと判断した場合(ステップS303:No)は、ステップS303を繰り返して開始指示の入力を待機する。
ステップS304およびステップS305は、図23のステップS104およびステップS105と同様の処理であり、処理装置40bが顕微鏡1に励起光強度測定を行わせて、単位面積当たりの照明光(励起光)の放射照度(W/m2)および放射束(W)の双方またはいずれか一方を測定値として取得する。
ステップS306では、処理装置40bが、ステップS305で取得した測定値と、ステップS301で取得した測定結果に含まれる測定値とを比較し、両者が実質的に等しい(両者の差分値が所定範囲内の)場合(ステップS306:Yes)は、ステップS307に進む。両者が実質的に異なる(両者の差分値が所定範囲を超える)場合(ステップS306:No)は、ステップS310に進む。
ステップS307からステップS309の処理は、図23のステップS109からS111までの処理と同様である。
ステップS310では、調整部408が測定条件を調整する。調整部408は新たに測定された測定値と、設定された過去の測定結果に含まれる測定値との差分値(絶対値)が所定値以内となるように測定条件やその他の撮像条件(たとえば対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積などで求めた視野絞りの径など)を顕微鏡1の設定へ変更するように設定部407を制御する。設定部407は調整部408の制御により、顕微鏡1の対物レンズ5の倍率、励起光の波長、面積などで求めた視野絞りの径などを設定する。その後、ステップS304に進む。
上述した本実施の形態6によれば、照明光(励起光)の強度を測定するに当たり、測定条件を取得し、該取得した測定条件を用いて照明光(励起光)の強度を計測して、得られた計測値を測定条件に基づき補正することができる。さらに、測定条件に基づき照射面の面積を演算して、光照射面における単位面積あたりの照明光(励起光)の強度を測定値として出力することができる。これにより、顕微鏡の光学特性や照射面の面積を考慮した励起光の強度の測定値を得ることができる。
また、得られた測定値と測定条件を合わせて測定結果として保存することができ、当該測定値を得るための測定条件を簡単に参照することができる。また、当該測定条件による標本観察時の標本画像に測定結果を付加して保存することができるので、標本画像を撮像したときの測定条件を簡単に参照することができる。
また、複数の測定結果を測定履歴として保存することができる。この場合、それぞれの測定結果の測定日時や、標本Sの識別情報や種類等をあわせて記録することにより、後日測定結果を検索することが容易となる。また、同じような標本Sを観察する場合に以前と同じ測定条件を簡単に検索することができる。
また、上述した本実施の形態6によれば、測定結果が付加された標本画像や測定履歴の中から所望の測定結果を選択することにより、対応する測定結果を読み出すことができる。また、読み出した測定結果に含まれる測定条件を自動的に顕微鏡に設定することができる。このようにすることで、例えば、測定結果が付加された標本画像を他のユーザに渡すことにより、当該他のユーザはその標本画像を撮像したときの測定条件を知ることができるとともに、簡単にそれを顕微鏡に設定することができる。
また、上述した本実施の形態6によれば、読み出した測定結果に含まれる測定値を再現するように、顕微鏡の設定を自動的に調整することができる。このようにすることで、測定値を保存した顕微鏡とは異なる顕微鏡で測定結果を読み出した場合にも、当該測定結果を作成したときと同じ励起光強度を簡単に再現することができる。
(実施の形態6の変形例)
本発明の実施の形態6の変形例では、演算部403による照射面の面積の演算を実施の形態とは異なる手法で行う。実施の形態6では、光強度検出部60によって光の強度を測定し、単位面積当たりの強度を取得するものとして説明したが、実施の形態6の変形例では、上述した実施の形態2のように、光強度検出部60に代えて、スケール試料70をステージ上に配置して、計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積を取得する。
絞り孔90aの像の面積を取得するうえで、まず、図5に示す間隔dxが撮像部71(例えばCCDイメージセンサ)の何画素分に相当するかを演算部403が演算する。具体的には、例えば、画像処理部405によってパターンマッチングを行って第1スケール軸SXの目盛りの間隔dXを取得する。その後、演算部403が、間隔dxの長さから、この長さが何画素分に相当するかを演算する。例えば、間隔dXの長さが画素m個分に相当すると演算された場合、演算部403は、一画素あたりの長さLXを、LX=dX/mとして演算する。処理装置40bは、演算部403の演算によって取得された1画素あたりの長さLXを記憶部404に記憶させる。なお、演算部403は、第2スケール軸SYにおいても同様にして、間隔dYの長さをもとに、一画素あたりの長さLYを演算する。ここで、本実施の形態6の変形例においては、第1スケール軸SXの間隔dXおよび第2スケール軸SYの間隔dYは、同等であるものとする。
つぎに、演算部403は、絞り孔90aの像の面積を演算する。具体的には、例えば、表示装置50に表示された画像W1に対して、入力装置51によって、第1スケール軸SX上の像Qの両端を指定する。指定された両端の間の距離をD、絞り孔90aの像の面積をGとすると、絞り孔90aの像が円形をなしているため、下記式(5)により求められる。
G=π(D/2)2 ・・・(5)
また、1画素あたりの長さLXを用いると、距離Dが画素n個分に相当するものとして、下記式(6)により求められる。
G=π(D/2)2
=π(nLX/2)2=π(ndX/2m)2 ・・・(6)
上述した演算処理により、計測用絞り90の絞り孔90aの像の面積を取得することができる。ユーザは、取得された面積を確認することによって、照射範囲の調整などを行うことにより、光をステージ上の標本Sに対し、所望の範囲で照射することができる。なお、絞り孔90aが円形以外であっても、間隔dXおよび間隔dYをもとに演算することが可能である。
また、実施の形態6の全てあるいは一部がソフトウェアで処理が実行される場合には、処理装置40bが記憶部404に格納された測定プログラムを読み出して実行されることで、かかるソフトウェア処理が実現される。また、記録媒体にこのような測定プログラムを記録してもよい。なお、プログラムを格納する記録媒体としては、フラッシュメモリに限定されるものではなく、CD−ROM、DVD−ROM等の光学記録媒体、MD等の磁気記録媒体、テープ媒体、ICカードなどの半導体メモリであってもよい。さらに、測定プログラムとしては、ネットワークを介して外部の記録媒体から入手されるもの、例えば、ホームページからダウンロードされるものも当然含まれる。
なお、上述した実施の形態1〜6では、ステージ3、第1ランプハウス9、光強度検出部(光強度検出部60,80およびスケール試料70のいずれか)、計測用絞り90および演算部(演算部42,42a,403のいずれか)を少なくとも備える構成が測定装置に相当する。
また、上述した実施の形態1〜6では、倒立型の顕微鏡の構成を例に説明したが、正立型の顕微鏡や、例えば、標本を拡大する対物レンズ、対物レンズを介して標本の像を撮像する撮像機能および画像を表示する表示機能を備えた撮像装置、例えば、ビデオマイクロスコープ等であっても、本発明を適用することができる。また、上述した顕微鏡において透過照明部4を有しない構成であってもよい。換言すれば、落射照明観察のみを行う顕微鏡であっても適用することができる。
以上のように、本発明にかかる測定装置は、標本に照射する光の強度Ps(放射照度)を正確に把握可能であるため、設定通りの強度(放射照度)に調整することに有用である。