JP6280385B2 - 自動車入庫装置とそれを備えた機械式駐車設備 - Google Patents

自動車入庫装置とそれを備えた機械式駐車設備 Download PDF

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Description

本発明は、機械式駐車設備などの入庫部において自動車の姿勢を調整する自動車入庫装置とそれを備えた機械式駐車設備に関する。
従来、機械式駐車設備、自動車整備工場などには、パレットを使用せずに自動車を所定の格納場所に搬送して格納するものがある。例えば、自動車をスタッカクレーンのキャリッジに載せて所定の格納場所まで搬送し、キャリッジに設けられた台車で格納場所に格納する自動車立体整備工場がある(例えば、特許文献1参照)。上記台車は、キャリッジの中央部に設けられた凹んだ通路に沿って走行自在となっており、自動車を通路に沿って真っ直ぐに進入・停止させた後、その自動車のタイヤを旋回アームユニットで挟持して持上げ、その状態で格納場所に格納するようにしている。
一方、自動車のタイヤを挟持して搬送するようにした機械式駐車設備の先行技術として、例えば、左右一組の搬送装置を自動車の位置まで移動させ、その搬送装置で自動車のタイヤを挟持して搬送するようにした車両移動方法がある(例えば、特許文献2参照)。この車両移動方法では、入庫して停止させた自動車の全体を検出して位置・姿勢などを計測し、その自動車の位置まで左右一組の搬送装置を移動させ、その搬送装置によってタイヤの位置を検出して、リフトバーをタイヤの下部に挿入して搬送するようにしている。
なお、入庫した自動車の姿勢を調整する先行技術として、パレットのタイヤ載置面に位置調整機構としてのスラットコンベアを設け、このスラットコンベアでタイヤの位置を左右方向に調整するものがある(例えば、特許文献3参照)。
特開平6−171478号公報 特開2009−287268号公報 特開2013−19124号公報
しかし、上記特許文献1の場合、自動車が通路に沿って真っ直ぐの姿勢で停止しているとは限らない。そして、自動車が斜めに停止している場合には、台車の旋回アームユニットでタイヤを挟持して持上げることができない場合が生じる。しかも、この構成では、タイヤを挟持した状態で搬送する搬送台車を有する機械式駐車設備の場合には、搬送台車を自動車の下方に進入させることができないので適用できない。
そのため、搬送台車を自動車の下方に進入させるような機械式駐車設備の場合には、上記特許文献2のように、入庫した自動車の姿勢に応じて台車を移動させるか、入庫した自動車の姿勢を台車で搬送するために適した状態(台車の進退方向に対して真っ直ぐの状態)に調整する必要がある。
しかし、上記特許文献2の車両移動方法のように搬送装置を移動させる場合、一組の搬送装置を入庫自動車の停車姿勢に対応させ個々に移動させる必要があるため、搬送装置の制御が難しい。
また、上記特許文献3の位置調整機構で自動車の姿勢を調整する場合、タイヤ載置面の全周がスラットコンベアであるため、各スラットが曲げ剛性を有するようにし、しかも、それぞれを平坦に支持する支持部を設けるには、構造が複雑化する。また、全周に掛けられた無端状の駆動チェーンのリンク部において摩耗による伸びが発生しやすく、調整頻度が高くなる。
そこで、本発明は、機械式駐車設備などの入庫部における入出庫が容易で、安定して自動車の姿勢を調整することができる自動車入庫装置とそれを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の自動車入庫装置は、入庫部において自動車の姿勢を調整する自動車入庫装置であって、前記自動車のタイヤ位置を左右方向に調整するタイヤ位置調整装置を備え、前記タイヤ位置調整装置は、前記タイヤを載せる範囲に設けられた平板状の自動車載置デッキと、前記自動車載置デッキの左右端部から下向きに反転する反転部と、前記反転部を前記自動車載置デッキの下方で連結する連結部材と、前記自動車載置デッキを左右方向に移動させて自動車の姿勢を調整する駆動装置と、を有している。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「平板状」は、上面が平坦に形成された板状をいい、一体形成されたもの及び分割形成されたものを含む。
この構成により、自動車を載せる部分が平板状の自動車載置デッキであるため、入庫部への入出庫及び入出庫自動車への乗り降りや入庫装置への出入りが容易に行える。しかも、タイヤを載せる部分を平板状の自動車載置デッキとして、構造を簡単にするとともに適切な剛性を持たせることができる。
また、前記駆動装置は、前記自動車載置デッキの下方に備えられ、前記自動車載置デッキは、前記駆動装置の上方部分に取外し可能な点検デッキを有していてもよい。
このように構成すれば、自動車載置デッキの点検デッキを外して平板状の自動車載置デッキ上面から駆動装置の点検を容易に行うことができる。
また、前記駆動装置は、前記自動車載置デッキを直接的に移動させるように構成されていてもよい。
このように構成すれば、駆動装置の駆動力が反転部を介することなく自動車載置デッキを直接的に移動させるので、自動車載置デッキの位置調整と初期状態復帰とを適切に行うことができる。
また、前記反転部は、前記自動車載置デッキの端部に接続され、左右端部で下方に向けて反転するように設けられたスラットコンベアで構成され、前記連結部材は、前記スラットコンベアの端部を連結する追従チェーンで構成されていてもよい。
このように構成すれば、上面の自動車載置デッキと、両端の反転部におけるスラットコンベアと、スラットコンベアの端部を連結する追従チェーンで無端状に連結された構成を、自動車載置デッキの移動に追従して移動するようにでき、自動車載置デッキの移動に追従する構成を簡単な構成にできる。
また、前記入庫自動車のタイヤ位置を検知する検知装置をさらに備え、前記駆動装置は、前記検知装置の検知データに基づいて前記タイヤの位置を調整するように前記自動車載置デッキを左右方向に位置調整するように構成されていてもよい。
このように構成すれば、検知装置によって検知した入庫自動車のタイヤ位置の情報に基づいてタイヤ位置を迅速に調整することができる。
また、前記駆動装置は、駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットで駆動する駆動チェーンと、を備え、前記駆動チェーンと前記自動車載置デッキとの結合部には、前記駆動チェーンに作用する張力を支持する弾性部材を有していてもよい。
このように構成すれば、駆動チェーンに所定の張力を常に作用させて駆動チェーンの弛みを防止できる。
一方、本発明に係る機械式駐車設備は、前記いずれかの自動車入庫装置を備えた機械式駐車設備であって、前記タイヤ位置調整装置は、前タイヤ位置と後タイヤ位置とに備えられ、前記入庫部は、入庫自動車の姿勢を検知する姿勢検知装置を備え、前記姿勢検知装置の情報に基づいて前記タイヤ位置調整装置を別々に駆動して自動車の左右位置を調整する制御装置を有している。
この構成により、機械式駐車設備の入庫部に入庫した自動車の姿勢を姿勢検知装置で検知し、その情報に基づいて、前タイヤ位置と後タイヤ位置とに備えさせたタイヤ位置調整装置によって自動車の姿勢を迅速に調整することができる。
また、前記機械式駐車設備は、前記自動車の前後方向からタイヤ間に進入して搬送する搬送装置を有していてもよい。
このように構成することにより、入庫自動車の前後方向より自動車の下方に進入する搬送装置を有する機械式駐車設備において、搬送装置の進入に適するように、入庫部に入庫した自動車の前タイヤと後タイヤの位置を別々に調整することができる。
本発明によれば、入庫部においてタイヤを平板状の自動車載置デッキに載せるため、自動車の入出庫及び入出庫自動車への乗り降りや装置への出入りを容易に行うことが可能となる。しかも、自動車の姿勢をタイヤ位置調整装置によって適切に調整することが可能となる。
図1は本発明に係る自動車入庫装置の一実施形態を備えた機械式駐車設備の入庫部を示す平面図である。 図2は図1に示すタイヤ位置調整装置を示す平面図である。 図3は図2に示すタイヤ位置調整装置の上板を取外した状態を示す平面図である。 図4は図3に示す駆動装置の図面であり、(a) は正面図、(b) はIV部の拡大図である。 図5は図3に示す追従装置の正面図である。 図6は図3に示す縦力支持部の図面であり、(a) は側面図、(b) は平面図である。 図7は図1に示す端部デッキの図面であり、(a) は回転支持部の断面図、(b) は負荷支持部の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備に備えさせた自動車入庫装置を例に説明する。また、この実施形態の機械式駐車設備は、自動車の前方向から下方に進入させる搬送装置(図示略)を備え、その搬送装置に備えられたアームで自動車のタイヤを挟持して持上げて搬送するような例を説明する。なお、機械式駐車設備の全体的な説明は省略する。また、自動車の進入方向を前後方向、自動車の幅方向を左右方向という。
図1に示すように、この実施形態の機械式駐車設備1は、入庫部2に備えられた自動車入庫装置10に、自動車Vの前タイヤTFの位置と後タイヤTRの位置とを左右方向に調整するタイヤ位置調整装置11が備えられている。この実施形態では、前タイヤTFの位置におけるタイヤ位置調整装置11の前後方向寸法に対し、後タイヤTRの位置におけるタイヤ位置調整装置11の前後方向寸法が大きくなっている。これは、前タイヤTFはほぼ同じ位置に停止させるのに対し、後タイヤTRの位置は自動車Vのホイールベースによって異なるので、種々の長さのホイールベースに対応するためである。なお、前タイヤTFをほぼ同じ位置に停止させる方法としては、入庫する自動車Vの位置を検知して案内表示する方法など、公知の各種方法を用いることができる。
前後のタイヤ位置調整装置11は、平板状の自動車載置デッキ12を別々に独立して駆動制御できるようになっており、前タイヤTF及び後タイヤTRを別々に左右方向に位置調整(補正)して入庫自動車Vの姿勢を調整することができる。タイヤ位置調整装置11の詳細は、後述する。
また、この実施形態では、入庫部2の側面に、検知装置である側距センサ3,4が設けられている。側距センサ3,4は、各タイヤが位置する部分に設けられている。これらの側距センサ3,4によって、入庫した自動車Vの前タイヤTFまでの距離と後タイヤTRまでの距離とが検知され、その検知結果から前タイヤTF及び後タイヤTRの位置が求められる。検知装置としては、入庫した自動車Vのタイヤの位置を検知する検知装置の他、自動車Vの姿勢を検知する検知装置などでもよく、この実施形態以外の構成でもよい。
そして、この実施形態の機械式駐車設備1によれば、実線で示す自動車Vのように、僅かに傾いて入庫したとしても、上記側距センサ3,4の検知結果に基づいて、制御装置9によって前後のタイヤ位置調整装置11の自動車載置デッキ12が独立して左右方向に移動させられ、前タイヤTFの位置と後タイヤTRの位置とが左右方向に調整される。これにより、二点鎖線で示す自動車Vのように、中心位置が自動車入庫装置10の中心位置となるように位置調整される。なお、このように自動車Vの位置を調整し、その自動車Vを自動車入庫装置10から搬出した後は、前後位置の自動車載置デッキ12は、それぞれ初期位置(自動車載置デッキ12の幅方向中心が自動車入庫装置10の幅方向中心となる位置)に戻される。
また、自動車Vを乗入れる自動車載置デッキ12は上面が平坦であるため、比較的大きく斜めに入庫した場合でも、位置調整はしやすい。しかも、溝などがないため、乗入れしやすく、ゴミが入ったり、引っ掛かったりすることもない。
さらに、この実施形態では、タイヤ位置調整装置11の左右端部位置で下向きに反転する反転部30の上方を覆う端部デッキ70が設けられている(図7)。この端部デッキ70を設けることにより、入庫部2におけるデッキ部7と、タイヤ位置調整装置11の平坦な自動車載置デッキ12とを含め、入庫部2におけるデッキ(床面)の全面をほぼ平坦な板状にしている。端部デッキ70の詳細は、後述する。
また、上記したように入庫部2で自動車Vの姿勢を適切な状態に調整(真っ直ぐの状態)することができるため、自動車Vの前方向から下方に搬送装置(図示略)を進入させ、その搬送装置に備えられたアームで自動車のタイヤを挟持して持上げて搬送するような機械式駐車設備1の場合には、搬送装置を自動車Vの下方へ進入させて搬送することが安定して可能となる。
なお、入庫部2の前面には鏡5と案内表示器6とが設けられており、自動車Vの姿勢検知情報に基づいて、運転者に対して「少し右」、「真っ直ぐに」等のメッセージが表示される。この構成は公知の構成であり、詳細な説明は省略する。
次に、図2〜図7に基づいて、自動車入庫装置10のタイヤ位置調整装置11について詳細に説明する。タイヤ位置調整装置11は前後方向の寸法が異なるのみで同一の構成であるため、一方のタイヤ位置調整装置11について説明する。
図2は、タイヤ位置調整装置11の平面図である。タイヤ位置調整装置11には、自動車のタイヤを載せる平板状の自動車載置デッキ12が中央部分に設けられている。自動車載置デッキ12は、裏面に複数の強度部材13が設けられ、左右方向に移動するデッキフレーム14に固定されている。デッキフレーム14には、前後方向に突出するように複数の車輪20が設けられている。これらの車輪20は、デッキフレーム14に設けられた支持軸21に回動自在に設けられている。これらの車輪20は、自動車入庫装置10の構造材22に設けられた左右方向に延びるレール部27に沿って転動可能となっている(図3)。これにより、デッキフレーム14は自動車載置デッキ12と一体となって、左右方向に所定の範囲で移動可能となっている。
また、この実施形態の自動車載置デッキ12は、取外し可能な点検デッキが複数設けられている。この実施形態では、自動車載置デッキ12の下方に設けられた駆動機器などを上方から保守・点検できるように、幅方向の中央部分が全て点検デッキとなっており、全てを開放することができる。自動車載置デッキ12の幅方向中央位置であり、前後方向中央位置には、6個の小さく分割された小点検デッキ15が設けられている。各小点検デッキ15は、四隅がボルト19で強度部材13に固定されている。また、小点検デッキ15の前後方向位置には、6個に分割された大点検デッキ17が設けられている。各大点検デッキ17も、四隅がボルト19で強度部材13に固定されている。小点検デッキ15の裏面には、補強材16が設けられ、大点検デッキ17の裏面には、補強材18が設けられている。補強材16,18としては、形鋼材等が用いられる。各点検デッキ15,17を細かく分割することで、保守・点検を行う部分のみを開放して上方から点検ができるようにしている。これにより、駆動機器などのメンテナンス性を非常に良くしている。なお、点検デッキ15,17の分割形態は一例であり、より少ない数で分割したり、必要な部分のみに点検デッキを設けるようにしてもよい。
さらに、点検デッキ15,17を固定した状態の自動車載置デッキ12の上面は、平坦な1枚板状となる。自動車載置デッキ12を1枚の板状に構成することにより、自動車載置デッキ12をデッキフレーム14で支持する構成(強度部材13)の自由度が増え、設計の自由度が増える。すなわち、自動車載置デッキ12を適切な部品数で必要強度にすることができ、部品数を減らして重量軽減を図ることができる。
また、タイヤ位置調整装置11の左右端部位置には、下向きに反転する反転部30が設けられている。この実施形態の反転部30は、スラットコンベア31で構成されている。スラットコンベア31は、上記自動車載置デッキ12の左右端部に連結されている。
そして、このようなタイヤ位置調整装置11の平面視において、上記自動車載置デッキ12を左右方向に移動させる駆動装置50が前後方向中央側に設けられ、自動車載置デッキ12の移動に追従して上記スラットコンベア31を反転移動させる追従装置60が前後方向外側に設けられている。この図では、駆動装置50と追従装置60の一部分のみを図示している。
次に、図3に基づいて、上記タイヤ位置調整装置11における自動車載置デッキ12の下方に設けられた構成について説明する。自動車入庫装置10の構造材22には、前後方向に延びる梁23(下方に設けられており、二点鎖線で示す)が設けられ、この梁23の上部に固定フレーム24が設けられている。固定フレーム24は、平面視において前後位置で左右方向に延びる左右フレーム25と、この左右フレーム25を前後方向に連結する前後フレーム26とで枠状に形成されている。この固定フレーム24は、自動車入庫装置10の構造材22と一体となっている。
平面視において、固定フレーム24の中央部分には、駆動装置50が設けられている。駆動装置50は、前後フレーム26から中央に向けて延びるフレームによって幅方向中央部分に駆動機51が設けられている。この駆動機51により、前後方向に設けられた駆動軸52が回転駆動されている。駆動軸52には駆動スプロケット53が設けられ、この駆動スプロケット53で駆動チェーン54が駆動されている。駆動軸52は、前後位置の左右フレーム25を貫通して設けられており、この左右フレーム25に設けられた軸受56で支持されている。駆動スプロケット53と駆動チェーン54は、上記左右フレーム25の前後方向中央側の2箇所に設けられている。駆動チェーン54は、左右フレーム25に沿って左右方向に延びるように設けられている。
さらに、上記左右フレーム25の前後方向外側には、追従装置60が設けられている。追従装置60は、追従スプロケット61と、この追従スプロケット61に掛けられた追従チェーン62とを有している。追従スプロケット61に掛けられた追従チェーン62は、左右フレーム25の左右端部にそれぞれ設けられた端部スプロケット65に掛けられている。この追従チェーン62は、反転部30のスラットコンベア31を連結する連結部材であり、上記した自動車載置デッキ12の左右端部で強度部材13と連結されている。
図4(a) は、上記駆動装置50を示す正面図である。駆動装置50は、タイヤ位置調整装置11の幅方向の中央部分に駆動機51が設けられ、この駆動機51で駆動する駆動軸52に設けられた駆動スプロケット53に駆動チェーン54が掛けられている。駆動チェーン54は、駆動スプロケット53の両側部に設けられたガイドスプロケット55によって、上記自動車載置デッキ12の下方で水平方向に延びるように設けられている。ガイドスプロケット55は、左右フレーム25に設けられた軸受に支持されている。駆動チェーン54の両端部は、自動車載置デッキ12の強度部材13に設けられた結合部材57に連結されている。駆動機51で駆動スプロケット53を回転させることにより、この駆動スプロケット53に掛けられた駆動チェーン54が左右方向に移動させられ、この駆動チェーン54によって自動車載置デッキ12の強度部材13に設けられた結合部材57が直接的に左右方向に移動させられる。すなわち、駆動装置50の駆動力が反転部30のスラットコンベア31を介することなく自動車載置デッキ12に直接作用させられ、この駆動力で自動車載置デッキ12が駆動されている。この実施形態では、自動車載置デッキ12を駆動装置50で直接駆動することにより、タイヤの位置を迅速に調整することができる。さらに、駆動チェーン54の長さを短くでき、磨耗や延びを抑えることもできる。
また、この実施形態では、図4(b) に示すように、駆動チェーン54と自動車載置デッキ12とを連結する結合部材57の連結位置に、駆動チェーン54に作用する張力を支持する弾性部材40が設けられている。駆動チェーン54の端部に設けられた軸部材58を止めるナット59と結合部材57との間に弾性部材40が設けられている。弾性部材40としては、圧縮バネなどが用いられる。この弾性部材40の外周には、カラー41が設けられている。このように弾性部材40を設けることにより、駆動チェーン54に張力を作用させる方ではカラー41を介して張力を受け、他方では所定の張力を常に作用させて駆動チェーン54の弛みを防止している。
図5は、上記追従装置60を示す正面図である。追従装置60は、上記駆動機51で駆動される駆動軸52を支持する左右フレーム25の前後方向の外側に追従チェーン62が位置している。上記左右フレーム25の下部には、下方に延びる支持ブラケット63が設けられており、この支持ブラケット63に設けられた支持軸64に追従スプロケット61が設けられている。この追従スプロケット61に掛けられた追従チェーン62は、追従スプロケット61の両側部に設けられたガイドスプロケット67によって、上記自動車載置デッキ12の下方で水平方向に延びるように設けられている。この追従チェーン62の両端部は、左右フレーム25の左右端部にそれぞれ設けられた端部スプロケット65に掛けられた後、上記自動車載置デッキ12の強度部材13に連結されている。追従チェーン62は、スプロケット61,67に係合する範囲以外は大きなリンクになっており、このリンクの一部に角材が取り付けられてスラットコンベア31が形成されている。
また、上記追従スプロケット61の支持軸64は、上記支持ブラケット63に対して鉛直方向に位置調整可能な調整機構66を介して設けられている。この調整機構66で追従スプロケット61を上下方向に位置調整することで、追従チェーン62の張力を調整することができる。この調整は、上記した点検デッキ17(図2)を外すことで容易に行える。
この追従装置60によれば、上記したように駆動軸52が駆動されて駆動チェーン54が自動車載置デッキ12を左右方向に移動させると、両端のスラットコンベア31が追従して旋回させられて、無端状に連結された追従チェーン62も旋回させられる。この時、追従チェーン62及びスラットコンベア31には大きな力は作用しない。
さらに、自動車載置デッキ12の下方は、スラットコンベア31の端部を追従チェーン62のみで連結しているため開放されており、各機器の確認や、メンテナンスを下方からでも容易に行うことができる。
なお、この実施形態では、左右端部の反転部であるスラットコンベア31の間を、自動車載置デッキ12の下方に位置する追従チェーン(連結部材)62で無端状に連結しているが、この連結する部材としては、ロッド部材や板状部材でもよい。
また、上記図3及び図6(a),(b) に示すように、自動車載置デッキ12には、下面の左右方向(入庫方向と直交する方向)に延びるように規制部材80が設けられている。この規制部材80は、固定フレーム24に設けられたローラ部材81により、前後方向の移動は規制され、左右方向の移動は許容されている。
図6(a) に示すように、上記自動車載置デッキ12の強度部材13から下方に設けられた規制部材80は、自動車載置デッキ12に対して鉛直の下向きに設けられている。この規制部材80は、所定の厚みを有する板材である。一方、図6(a),(b) に示すように、上記固定フレーム24には、上記規制部材80を前後方向から挟むようにローラ部材81が設けられている。ローラ部材81は、鉛直方向に設けられた支持軸82により回動自在となっている。このローラ部材81を設けた保持板83が、固定フレーム24にボルト84で取付けられている。
このように、規制部材80を自動車入庫装置10側のローラ部材81に係合させることにより、自動車載置デッキ12に自動車Vが乗入れたときに前後方向の力が作用したとしても、自動車載置デッキ12と一体となった規制部材80の前後方向の移動はローラ部材81で規制される。この状態でも、自動車載置デッキ12の左右方向移動は許容された状態を保つことができる。
図7は、図1に示す端部デッキの図面であり、(a) は回転支持部の断面図、(b) は負荷支持部の断面図である。この実施形態では、上記したように、タイヤ位置調整装置11の左右両端部における反転部30に、スラットコンベア31の反転する部分を覆う端部デッキ70が設けられている。
この端部デッキ70は、駐車設備1の構造体8に設けられた支持アーム28の支持軸29に支持されている。端部デッキ70の下面にはブラケット71が設けられ、このブラケット71が水平方向に設けられた支持軸29に回動自在に支持されている。
また、端部デッキ70の構造体8側の下面には、保持板72が下方に向けて設けられ、この保持板72の構造体8側に、構造体8に当接する当接部材73が複数箇所に設けられている。当接部材73は、負荷を支持する部分であり、ゴム、樹脂などの弾性体で形成されている。この当接部材73が構造体8に当接した状態で、端部デッキ70とスラットコンベア31との間に所定の隙間S(図では誇張して記載)を保つようになっている。これにより、通常、端部デッキ70はスラットコンベア31に当接することなく少し浮いた状態となっている。また、端部デッキ70に人や自動車Vが乗った場合には、当接部材73が撓んで端部デッキ70がスラットコンベア31の上面に支持された状態となって支持される。
このような端部デッキ70を設けることにより、タイヤ位置調整装置11の左右端部において下向きに反転するスラットコンベア31の上方も平坦な板材に見えるようにできる。これにより、タイヤ位置調整装置11の平坦な自動車載置デッキ12と入庫部2におけるデッキ部7との間も平坦なデッキとして、入庫部2(図1)におけるデッキの全面をほぼ平坦な板状にすることができる。
従って、入庫自動車の運転者はほぼ平坦なデッキを安心して入庫することができ、また、入庫後に退場する場合も、平坦なデッキを歩いて退場することができ、安心して歩くことができる。
以上のように、上記自動車入庫装置10によれば、入庫部2においてタイヤ位置調整装置11で自動車Vの姿勢を調整することが適切にできる。しかも、タイヤを平板状の自動車載置デッキ12に載せるため、自動車Vの入出庫及び入出庫自動車への乗り降りや装置への出入りを容易に行うことが可能となる。
また、平板状の自動車載置デッキ12の上面から点検デッキ15,17を外して駆動装置50等の保守点検も容易に行うことができ、保守点検作業などの労力軽減と効率化を図ることが可能となる。
さらに、自動車入庫装置10のタイヤ位置調整装置11を簡易な構成とすることができ、自動車Vの姿勢を調整できる自動車入庫装置10としてのコスト低減を図ることができる。
また、上記自動車入庫装置10を備えさせる機械式駐車設備1が、自動車Vの前後方向から自動車Vの下部に進入する搬送装置(図示略)を備えている場合でも、入庫部2に入庫した自動車Vの姿勢を、搬送装置による搬送に適した姿勢に適切に調整することが可能となる。
また、自動車入庫装置10そのものを、自動車Vを載置したまま垂直方向または任意方向に移動させた後、自動車Vを搬送装置に受け渡すような構成の機械式駐車設備でも、入庫部2で自動車Vの姿勢を搬送に適した姿勢に調整しているため、適切な自動車Vの受渡しができる。
なお、上記実施形態では、機械式駐車設備1における自動車入庫装置10を例に説明したが、自動車整備工場などにおいても適用でき、自動車入庫装置10を備えさせる設備は機械式駐車設備1に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、自動車Vの前タイヤTFと後タイヤTRとを独立して左右に調整可能としているが、例えば、一方のタイヤのみを左右に調整可能として、入庫自動車の傾きを真っ直ぐにするような構成であっても利用できる場合もあり、タイヤ位置調整装置11の配置構成などは上記実施形態に限定されるものではない。
さらに、上記実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
本発明に係る自動車入庫装置は、機械式駐車設備の他、自動車整備工場、自動車試験装置の入庫部などにおいて利用できる。
1 機械式駐車設備
2 入庫部
3,4 側距センサ
7 デッキ部
9 制御装置
10 自動車入庫装置
11 タイヤ位置調整装置
12 自動車載置デッキ
14 デッキフレーム
15 小点検デッキ(点検デッキ)
17 大点検デッキ(点検デッキ)
20 車輪
22 構造材
23 梁
24 固定フレーム
25 左右フレーム
27 レール部
30 反転部
31 スラットコンベア
40 弾性部材
50 駆動装置
51 駆動機
52 駆動軸
53 駆動スプロケット
54 駆動チェーン
57 結合部材(結合部)
60 追従装置
61 追従スプロケット
62 追従チェーン(連結部材)
63 支持ブラケット
64 支持軸
70 端部デッキ
73 当接部材
80 規制部材
81 ローラ部材
V 自動車
TF 前タイヤ
TR 後タイヤ
S 隙間

Claims (7)

  1. 入庫部において自動車の姿勢を調整する自動車入庫装置であって、
    前記自動車のタイヤ位置を左右方向に調整するタイヤ位置調整装置を備え、
    前記タイヤ位置調整装置は、前記タイヤを載せる範囲に設けられた平板状の自動車載置デッキと、前記自動車載置デッキの左右端部から下向きに反転する反転部と、前記反転部を前記自動車載置デッキの下方で連結する連結部材と、前記自動車載置デッキを左右方向に移動させて自動車の姿勢を調整する駆動装置と、を有し
    前記駆動装置は、前記自動車載置デッキの下方に備えられ、
    前記自動車載置デッキは、前記駆動装置の上方部分に取外し可能な点検デッキを有していることを特徴とする自動車入庫装置。
  2. 前記駆動装置は、前記自動車載置デッキを直接的に移動させるように構成されている請求項1に記載の自動車入庫装置。
  3. 前記反転部は、前記自動車載置デッキの端部に接続され、左右端部で下方に向けて反転するように設けられたスラットコンベアで構成され、
    前記連結部材は、前記スラットコンベアの端部を連結する追従チェーンで構成されている請求項1又は2に記載の自動車入庫装置。
  4. 前記入庫自動車のタイヤ位置を検知する検知装置をさらに備え、
    前記駆動装置は、前記検知装置の検知データに基づいて前記タイヤの位置を調整するように前記自動車載置デッキを左右方向に位置調整するように構成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の自動車入庫装置。
  5. 前記駆動装置は、駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットで駆動する駆動チェーンと、を備え、
    前記駆動チェーンと前記自動車載置デッキとの結合部には、前記駆動チェーンに作用する張力を支持する弾性部材を有している請求項1〜のいずれか1項に記載の自動車入庫装置。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の自動車入庫装置を備えた機械式駐車設備であって、
    前記タイヤ位置調整装置は、前タイヤ位置と後タイヤ位置とに備えられ、
    前記入庫部は、入庫自動車の姿勢を検知する姿勢検知装置を備え、
    前記姿勢検知装置の情報に基づいて前記タイヤ位置調整装置を別々に駆動して自動車の左右位置を調整する制御装置を有していることを特徴とする機械式駐車設備。
  7. 前記機械式駐車設備は、前記自動車の前後方向からタイヤ間に進入して搬送する搬送装置を有している請求項に記載の機械式駐車設備。
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