JP6279828B2 - サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、特許文献1では、アラインメントマークとして、導体層に設けられた貫通孔を用いる方法が開示されている。このようなアラインメントマークでは、ピンを挿入した際に導体層に設けられた貫通孔の内周面にのみ当接させ、貫通孔の開口端を正確に検出可能なものとするため、絶縁層および金属支持基板に上記貫通孔より開口径が大きく上記貫通孔が露出する開口部が形成されている。すなわち、金属支持基板側からみると、金属支持基板および絶縁層の開口部から導体層が露出したものとなる。このため、金属支持基板および絶縁層の開口部から露出した導体層は、それを支持する層がなく、貫通孔が変形し易く、その結果、歩留まりが低下するといった問題があった。また、導体層の露出面積が大きく、露出した導体層の表面を金等の高価な材料からなる保護めっき層にて被覆した場合に高コストになるといった問題があった。
また、絶縁層上にめっき法により導体層材料を積層して導体層を形成する場合、通常、上記絶縁層上にスパッタ層が形成される。そして、上述のように導体層が露出している場合には、露出した導体層の絶縁層側表面には、スパッタ層が残存することになる。しかしながら、スパッタ層は、通常、高抵抗な材料が用いられることから、その表面に保護めっき層を形成することが困難であり、スパッタ層上への保護めっき層のめっき未着や、めっき欠け等のめっき不良が生じたり、上記スパッタ層に対して保護めっき層の形成を容易とするための前処理プロセスの追加が必要となることによる歩留まりの低下を生じるといった問題があった。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された導体層と、を有し、上記導体層は、導体層貫通孔を有し、上記金属支持基板は、上記導体層貫通孔と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔を有し、上記絶縁層は、上記導体層貫通孔から平面視上露出するように形成され、かつ、光透過性を有するものである態様(第1態様)と、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された導体層と、上記導体層上に形成されたカバー層と、を有し、上記導体層は、導体層貫通孔を有し、上記カバー層は、上記導体層貫通孔の外周を覆うように形成され、かつ、光透過性を有するものである態様(第2態様)と、の2つの実施態様に分けることができる。
以下、本発明のサスペンション用基板の第1態様および第2態様について、各態様に分けて説明する。
まず、本発明のサスペンション用基板の第1態様について説明する。本態様のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された導体層と、を有し、上記導体層は、導体層貫通孔を有し、上記金属支持基板は、上記導体層貫通孔と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔を有し、上記絶縁層は、上記導体層貫通孔から平面視上露出するように形成され、かつ、光透過性を有することを特徴とする態様である。
また、本態様のサスペンション用基板10は、金属支持基板1と、上記金属支持基板1上に形成された絶縁層2と、上記絶縁層2上に形成された導体層3と、を有し、上記導体層3が、導体層貫通孔4を有し、上記金属支持基板1は、上記導体層貫通孔4と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔5を有し、上記絶縁層2は、上記導体層貫通孔4から平面視上露出するように形成され、かつ、光透過性を有するものである。
なお、この例では、導体層3の一部を覆い、かつ、上記導体層貫通孔4に開口を有するカバー層6が形成され、さらに導体層貫通孔4の周囲で露出する導体層3の表面に、保護めっき層7が形成されるものである。また、保護めっき層を形成する際に、金属支持基板から給電するためのビア8が形成されるものである。さらに、金属支持基板貫通孔5が上記導体層貫通孔4の全てを露出するように形成されているものである。
また、図1および図2においては、説明の容易のため、保護めっき層およびカバー層の記載を省略するものである。
また、導体層貫通孔の周囲の導体層が絶縁層により支持されるものとすることができる結果、上記導体層貫通孔を変形に強いものとすることができ、歩留まりの高いものとすることができる。また、導体層貫通孔の変形が少ないことにより位置合わせを精度良く行うことが可能となる。
さらに、導体層の絶縁層側に保護めっき層を形成することを不要とすることができ、保護めっき層が金等の高価な材料からなる場合であっても、その保護めっき層の形成面積を少ないものとすることができることから、低コストなものとすることができる。
さらに、金属支持基板貫通孔内面を覆うレジストの形成のために、上記金属支持基板貫通孔の開口径を広くすることを不要とすることができる。このため、導体層貫通孔を形成するために必要となる面積を小さいものとすることができ、設計の自由度の高いものとすることができる。
以下、本態様のサスペンション用基板の各構成について説明する。
本態様における導体層は、上記絶縁層上に形成されるものであり、上記導体層貫通孔を有するものである。
本態様においては、なかでも、図4や図5に例示するような1または2以上のリング状からなるものであることが好ましく、なかでも、同心円状のリング状からなるものあることが好ましい。リング状であることにより、その導体層貫通孔の外周のうち内側の外周または外側の外周のいずれによっても位置合わせを行うことができ、例えば、一方の外周が認識できないような場合であっても、他方の外周により、位置合わせを行うことができるからである。また、本発明のサスペンション用基板に2以上の導体層貫通孔が形成される場合には、各導体層貫通孔の平面視形状は同一形状であっても良いが、異なる形状であっても良い。
なお、図4〜図5中の符号については、図3と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。また、内側の外周および外側の外周とは、具体的には、それぞれ図4中のAおよびBで示されるものである。
なお、上記最大径とは、上記導体層貫通孔を平面視した際の、上記導体層貫通孔の外周の2点を結ぶ距離のうち最大の距離をいうものである。したがって、既に説明した図2に示すように、上記導体層貫通孔の平面視形状が円形状である場合には、上記最大径は直径(h1)となる。
本発明においては、なかでも、素子実装領域近辺に形成されることが好ましい。上記導体層貫通孔を素子を実装する際のアラインメントマークとして用いる場合、素子の位置合わせ誤差を低減することができるからである。
ここで、素子実装領域近傍近辺としては、具体的には、平面視上素子が配置される領域の外端から3.0mm以内の領域であることが好ましい。
このような配線層としては、ライト用配線層、リード用配線層、熱アシスト用配線層、アクチュエータ素子用配線層、グランド用配線層、ノイズシールド用配線層、クロストーク防止用配線層、電源用配線層、フライトハイトコントロール用配線層、センサー用配線層等を挙げることができる。
本態様における絶縁層は、上記金属支持基板上形成されるものである。また、上記絶縁層が、上記導体層貫通孔から平面視上露出するように形成され、光透過性を有するものである。
また、上記導体層貫通孔は、上記金属支持基板貫通孔から平面視上露出するように形成されるものである。
このため、本態様における絶縁層は、導体層貫通孔内領域、および、上記導体層貫通孔および金属支持基板貫通孔の外周間(導体層露出領域)と平面視上重なる領域の両領域に形成され、さらに、導体層貫通孔内領域に形成された絶縁層が、上記導体層露出領域に形成された絶縁層と接続されるものである。すなわち、上記絶縁層は、上記導体層貫通孔内領域から導体層露出領域まで、上記導体層貫通孔の外周を跨ぐように、つまり、金属支持基板側から平面視すると、上記導体層貫通孔の外周を覆うように形成されるものである。
このような絶縁層の平面視上の形成箇所としては、金属支持基板側から平面視した際に、上記導体層貫通孔の全外周を覆うように形成されることが好ましい。上記金属支持基板側から照射し上記導体層貫通孔を通過した透過光を、上記導体層側で検出し位置合わせを行うことができるとの本態様の効果をより効果的に発揮できるからである。また、上記導体層貫通孔を変形に強いものとすることができるからである。
一方、例えば、ピン差し込みによる位置合わせの容易さの観点からは、導体層貫通孔内に開口部を有するように形成されるものであることが好ましい。
なお、上記絶縁層が上記導体層貫通孔内に開口部を有する場合、上記絶縁層の上記導体層貫通孔と平面視上重なる面積の上記導体層貫通孔の面積に対する割合(上記導体層貫通孔と平面視上重なる絶縁層の面積/上記導体層貫通孔の面積)としては、位置合わせに用いるピンや上記導体層貫通孔のサイズに応じて適宜設定されるものであるが、0.5以上であることが好ましく、なかでも、0.8以上であることが好ましく、特に、0.9以上であることが好ましい。
なお、図6中の符号については、図3と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
ここで、絶縁層が光透過性を有するとは、上記絶縁層を通過した透過光により精度良く位置合わせを行うことができるもの、より具体的には、上記金属支持基板側から照射し上記導体層貫通孔を通過した透過光を上記導体層側で検出することにより、上記導体層貫通孔の外周形状を検出できるものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、絶縁層の470nm〜525nmの範囲内の波長の光の透過率が70%以上であることが好ましく、なかでも85%以上であることが好ましく、特に、95%以上であることが好ましい。位置合わせが容易なものとすることができるからである。
なお、470nm〜525nmの範囲内の波長の光の透過率が25%以上であるとは、470nm〜525nmの範囲内の波長のいずれの波長においても、透過率が25%以上であることをいうものである。また、絶縁層の470nm〜525nmの範囲内の波長の光の透過率は、上記導体層貫通孔と平面視上重なる領域に形成された絶縁層の厚みの絶縁層についての透過率をいうものであり、絶縁層が導体層貫通孔と平面視上重なる領域に開口部を有する場合であっても、開口部での透過率は含まないものである。
また、このような透過率の制御は、例えば、上記絶縁層を構成する絶縁層形成材料や厚みを制御することにより行うことができる。
上記絶縁層を構成する絶縁層形成材料としては、絶縁層を形成した際に上述の光透過性を示すことができる光透過性材料であれば特に限定されるものではない。
ここで、主成分として含むとは、上記ポリイミド樹脂の含有量が、上記透明性ポリイミド樹脂中に50質量%以上であることをいうものであり、なかでも本発明においては、65質量%以上であることが好ましく、特に、70質量%以上であることが好ましく、中でも特に80質量%以上であることが好ましい。上記ポリイミド樹脂の含有量が上述の範囲内であることにより、絶縁性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記透明性ポリイミド樹脂に含まれるポリイミド樹脂の含有量は高ければ高いほど良いため、上限については特に限定されるものではない。
上記透明性ポリイミド樹脂が感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより、上記絶縁層の形成を容易なものとすることができるからである。また、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより、反り等の少ないものとすることができるからである。
なお、上記感光剤の残渣の含有量の測定方法としては、上記感光剤の残渣の含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、感光剤を含まない非感光性ポリイミド樹脂を用いて形成された透明性ポリイミド樹脂の熱重量減少温度を比較することで判断することができる。より具体的には、上記非感光性ポリイミド樹脂を上記感光性ポリイミド樹脂と同条件の熱処理でイミド化してなるものの熱重量減少温度を比較することで、判断することができる。
また、熱処理条件としては、上記絶縁層の形成時の条件と同様とすることができる。
本発明に用いられる感光性ポリイミド樹脂は、上記ポリイミド成分および感光剤を含むものである。
本発明に用いられるポリイミド成分としては、ポリイミドの状態で溶媒に可溶であるものを用いても良いし、加熱処理等のイミド化により上記ポリイミド樹脂となるポリイミド前駆体を用いたものでもよい。保存安定性の観点からは前者が好ましく、線膨張係数との諸特性との両立という観点からは、後者が好ましい。本発明においては、後者の前駆体を用いたものが、各種特性、特に線膨張係数の制御の観点から好ましく用いられる。また上記ポリイミド成分は、上記感光剤を含むことで感光性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、下記式(1)で表される構造を有するポリイミド、および下記式(2)、(3)で表される構造を有するポリイミド前駆体を用いることができる。
本発明においては、上記ポリイミド成分が上記式(2)または(3)の構造のポリイミド前駆体を少なくとも含むものであることが好ましい。溶媒への溶解性に優れるからである。
本発明においては、なかでも、酸無水物由来のカルボキシル基(もしくはそのエステル化物などの誘導体)が全体の50%以上あることが望ましく、75%以上であることがさらに好ましく、全て、下記式(2)で示されるポリアミック酸およびその誘導体であることが好ましい。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるからである。
また、イミド化率は、例えば、赤外線吸収スペクトルを用いて確認することができる。具体的には、上記ポリイミド樹脂に含まれるイミド結合由来のC=O二重結合のピーク面積から定量することにより求めることができる。
また、上記(3)で表される構造を有するポリイミド前駆体または上記(1)で表されるポリイミドの形成方法としては、上記(2)で表されるポリイミド前駆体を加熱によりイミド化する方法が挙げられる。
本発明においては、最終的に得られるポリイミド樹脂に耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
またこのとき、前記化学式(1)〜(3)のR1において、当該R1に結合している4つの基((−CO−)4)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(1)〜(3)のR2において、当該R2に結合している2つの基((−NH−)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
露光波長に対してポリイミド成分の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性ポリイミド樹脂を得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
なお、感光性ポリイミド樹脂の固形分とは溶媒以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
本発明に用いられる感光剤としては、上記ポリイミド成分に感光性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、感光性ポリイミド樹脂に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、電磁波の照射と加熱により、塩基を発生する塩基発生剤等を用いることができる。より具体的には、下記一般式(a)で表されるようなクマル酸アミド系塩基発生剤、カーバメート型塩基発生剤およびニフェジピン等の塩基発生剤、またはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記クマル酸アミド系塩基発生剤を好ましく用いることができる。上記クマル酸アミド系塩基発生剤は、上記ポリイミド成分をイミド化する加熱処理等により、分解または揮発し易いものである。このため、上記透明性ポリイミドを上記感光剤の残渣の少ないものとすることができ、透過率に優れた絶縁層とすることができるからである。したがって、上記絶縁層の厚みが厚い場合であっても、十分な透過率を示すものとすることができ、上記導体層貫通孔を容易に検出可能なものとすることができるからである。
また、アミンの触媒作用によって、上記ポリイミド成分が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、上記ポリイミド成分が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。
上記クマル酸アミド系塩基発生剤は、電磁波が照射されるだけでも塩基を発生するが、適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進される。
1価の有機基としては、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
上記R21及びR22の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
上記ポリイミド成分から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が塩基性が強いため好ましい。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
1価の有機基としては、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
中でも、R23〜R26の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R23〜R26は、それらの2つ以上が結合して、R23〜R26が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
また、R23〜R26としては、それらの2つ以上が結合して、R23〜R26が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
また、上記クマル酸アミド系塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましい。
各置換基を導入した桂皮酸の合成は、対応する置換基を有するヒドロキシベンズアルデヒドにwittig反応または、Knoevenagel反応、又はPerkin反応を行うことで合成できる。中でも、wittig反応はトランス体が選択的に得られやすい点から好ましい。尚、例えば、上記対応する置換基を有するアルデヒドの合成は、対応する置換基を有するフェノール等にDuff反応やVilsmeier−Haack反応を行うことで合成できる。
一般的にポリイミド樹脂は高耐熱性の樹脂として知られており、高い耐熱性を有することから、ポリイミド成分よりも、感光剤の方が耐熱性が低い傾向にあるので、ポリイミド成分に対する感光剤の割合を減らした方が、低アウトガス性となる。
このようなことから上記感光剤の含有量は少ない方が好ましく、本発明においては、上記感光剤が、上記ポリイミド成分100重量部に対して、0.1重量部以上30重量部未満の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.5重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5重量部〜15重量部の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明における感光剤が、上記クマル酸アミド系塩基発生剤である場合には、
その含有量としては、上述の範囲より多いものとすることができる。上記クマル酸アミド系塩基発生剤は加熱等により分解または揮発により残存しにくいため、含有量が多い場合であっても、上記透明性ポリイミド樹脂中への残存量が少ないものとすることができるからである。具体的には、上記ポリイミド成分100重量部に対して、0.5重量部〜30重量部の範囲内であることが好ましく、なかでも、1重量部〜25重量部の範囲内であることが好ましく、特に、3重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましい。十分な感光性を付与することができ、かつ、その場合であっても上記透明性ポリイミド樹脂への残存が少ないからである。したがって、露光・現像によるパターニングが容易で、かつ、透明性に優れた絶縁層を形成することができるからである。
本発明における感光性ポリイミド樹脂としては、必要に応じて溶媒を含むものであっても良い。
このような溶媒としては、上記ポリイミド成分を均一に分散または溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
本発明においては、上記光塩基発生剤の吸収波長がポリイミド成分の吸収波長と重なる部分があり、十分な感度が得られない場合において、感度向上の手段として、増感剤の添加が効果を発揮する場合がある。また、ポリイミド成分を透過する電磁波の波長帯に上記光塩基発生剤が吸収波長を有する場合においても、感度向上の手段として、増感剤を添加することができる。ただし、増感剤の添加によるポリイミド成分の含有率の減少に伴う、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の低下に関して考慮に入れる必要がある。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3−(2’−ベンゾイミダゾール)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
本発明ではこれらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。
本発明における感光性ポリイミド樹脂は、少なくとも上記ポリイミド成分、感光剤、および溶媒を含むものであるが、必要に応じて他の成分を含むものであっても良い。
このような他の成分としては、熱硬化性成分、ポリイミド前駆体以外のバインダー樹脂、その他の添加剤を配合して、感光性ポリイミド樹脂を調製してもよい。
本発明に用いられる非感光性ポリイミド樹脂としては、実質的に感光性を有さないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリイミド成分を含み、上記感光剤を実質的に含まないものを挙げることができる。
なお、実質的に含まないとは、一般的な感光性ポリイミド樹脂での露光・現像条件でパターニングできない程度の含有量以下の含有量であることをいうものであり、通常、全く含まれないものである。
本態様における絶縁層の断面視形状としては、厚さが均一なものであっても良いが、図7に例示するように、上記導体層貫通孔から平面視上露出する領域に形成され、金属支持基板側に厚みの薄い凹部13を有することが好ましい。上記導体層貫通孔から平面視上露出する絶縁層の厚みを薄いものとすることができ、絶縁層としての絶縁性を低下させることなく、上記導体層貫通孔から平面視上露出する領域での絶縁層を光透過性に優れたものとすることが容易だからである。
なお、図7中の符号については、図3と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、本態様においては、上記凹部の全てが、上記金属支持基板貫通孔から平面視上露出するように形成されることが好ましい。上記凹部の形成が容易だからである。
なお、上記凹部が形成される場合における凹部以外の絶縁層の厚みとしては、サスペンション用基板に一般的に用いられる絶縁層の厚みとすることができる。例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記絶縁層が凹部を有するものである場合には、エッチング時のエッチング液やエッチング時間等のエッチング条件を調整して、絶縁層を部分的にエッチングして凹部を形成するハーフエッチングを用いることができる。なお、ハーフエッチングのエッチング条件については、絶縁層形成用層、すなわち、絶縁層を構成する材料の種類や、厚み等に応じて適宜設定されるものである。
また、塗布方法としては、均一な厚みの絶縁層形成用層を形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な塗布方法を用いることができる。
具体的には、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法等を挙げることができる。また、必要に応じて、上記絶縁層形成用塗工液を塗布後に、乾燥処理を施しても良い。
本態様における金属支持基板は、上記導体層貫通孔と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔を有するものである。
なお、上記最大径としては、具体的には、既に説明した図3中のh3で示される距離をいうものである。
なお、上記導体層露出領域の幅とは、上記金属支持基板貫通孔の外周上の任意の点と平面視上最短距離で結ぶ上記導体層貫通孔の外周の点とを結ぶ距離をいうものである。したがって、上記距離が、所定の範囲内であるとは、上記金属支持基板貫通孔の外周上のいずれの点と平面視上最短距離で結ぶ上記導体層貫通孔の外周の点とを結ぶ距離が、上記所定の範囲内であることをいうものである。
また、上記導体層露出領域の幅としては、具体的には、既に説明した図3中のh2で示される距離をいうものである。
本態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板、絶縁層および導体層を少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものであっても良い。
このような他の構成としては、上記導体層の露出する表面を覆うように形成される保護めっき層やカバー層等を挙げることができる。また、上記導体層がめっき法により形成される場合には、上記絶縁層上に形成されるスパッタ層を有することが好ましい。
本態様における保護めっき層は、表面が露出する導体層表面に形成されるものである。特に、上記導体層貫通孔の側面や、上記導体層貫通孔の周囲等の表面が露出する導体層表面に形成されることが好ましい。このような保護めっき層により被覆されることにより、表面が露出する導体層の劣化(腐食等)を防止できることから、上記導体層貫通孔の形状の変化のないものとすることができるからである。なお、導体層の絶縁層側表面に形成されたスパッタ層等が露出する場合も、上記表面が露出する導体層に含まれるものである。
保護めっき層の一例としては、金めっき層を挙げることができる。また、金めっき層の下地としてニッケルめっき層が形成されていても良い。めっき層の厚さは、例えば0.1μm〜4.0μmの範囲内とすることができる。
本発明において、上記保護めっき層を形成する方法としては、例えば、電解めっき法を挙げることができる。
本態様におけるカバー層は、上記導体層上に形成されるものである。カバー層を有することにより、導体層の劣化(腐食等)を防止できるからである。
なお、上記カバー層としては、形成箇所により、図8に例示するような上記導体層貫通孔を覆うように形成される態様(A態様)と、既に説明した図3に示すような上記導体層貫通孔の全てを覆う開口部を有するように形成される態様(B態様)と、を挙げることができる。
なお、図8中の符号については、図3と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記カバー層のA態様は、上記導体層貫通孔を覆うように形成されるものであり、上記絶縁層およびカバー層の両者共に光透過性を有するものである。
ここで、上記両者が光透過性を有するとは、両者が上記金属支持基板側から照射した光を透過することができ、上記導体層貫通孔を通過した後、上記導体層側から検出できることをいうものである。具体的には、両者合計での470nm〜525nmの範囲内の波長の光の透過率が、上記「2.絶縁層」の項に記載したものと同様の透過率を示すものであることが好ましい。
上記カバー層の導体層上の厚さとしては、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
また、上記導体層貫通孔を覆う領域の厚みとしては、上記導体層貫通孔の検出が可能なものであれば特に限定されるものではなく、カバー層が上記絶縁層と同一材料により形成される場合には、カバー層および絶縁層の合計の厚みが、上記「2.絶縁層」の項に記載した上記絶縁層の上記導体層貫通孔と平面視上重なる領域の厚みと同様の厚みとなることが好ましい。
また、上記カバー層の形成方法としては、サスペンション用基板に一般的に用いられる方法を使用することができ、上記絶縁層と同様の形成方法を用いることができる。
上記カバー層のB態様は、上記カバー層が上記導体層貫通孔の全てを覆う開口部を有するように形成される態様である。
本態様のカバー層としては、光透過性を有するものであっても、光透過性を有しないものであっても良い。
このようなカバー層を構成するカバー層形成材料としては、サスペンション用基板のカバー層に一般的に用いられるものを使用することができ、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を挙げることができる。上記樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。絶縁性、耐熱性および耐薬品性に優れているからである。また、絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。
また、上記カバー層の導体層上の厚さ、形成方法等については、上記「(a)A態様」に記載の内容と同様とすることができる。
本態様におけるスパッタ層は、上記導体層がめっき法により形成される場合に、上記絶縁層上に形成されるものであり、上記スパッタ層上に上記導体層が形成されるものである。
このようなスパッタ層を構成する材料としては、上記導体層をめっき法により安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではないが、Fe、Ni、Cr、Cu、Ag、Ti、Co、Ta、W等を挙げることができる。
上記スパッタ層の厚みとしては、上記導体層をめっき法により安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではないが、5.0nm〜100.0nmの範囲内とすることができる。
次に、本発明のサスペンション用基板の第2態様について説明する。本態様のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された導体層と、上記導体層上に形成されたカバー層と、を有し、上記導体層は、導体層貫通孔を有し、上記カバー層は、上記導体層貫通孔の外周を覆うように形成され、かつ、光透過性を有することを特徴とする態様である。
なお、この例においては、上記金属支持基板1および絶縁層2が上記導体層貫通孔の全てと平面視上重なるように形成されるものである。また、図9においては、説明の容易のためカバー層の記載を省略するものである。
また、上記導体層貫通孔の外周をカバー層により覆われているものとすることができ、さらに上記金属支持基板および絶縁層を上記導体層貫通孔周辺に開口部を有しないものとすることができるため、上記導体層貫通孔周囲の導体層を変形に強いものとすることができ、歩留まりの高いものとすることができる。また、保護めっき層を形成することを不要とすることができ、低コストなものとすることができる。さらに、スパッタ層を有する場合であってもスパッタ層の露出のないものとすることができ、歩留まりの高いものとすることができる。さらに、導体層貫通孔を形成するための面積を小さいものとすることができ、設計の自由度の高いものとすることができる。
以下、本態様のサスペンション用基板の各構成について説明する。
なお、上記導体層については、上記「I.第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様におけるカバー層は、上記導体層貫通孔の外周を覆うように形成され、かつ、光透過性を有するものである。
このようなカバー層の平面視上の形成箇所としては、上記導体層貫通孔の全外周を覆うように形成されることが好ましい。本態様の効果をより効果的に発揮できるからである。
本態様においては、なかでも、上記カバー層の上記導体層貫通孔を覆う面積の上記導体層貫通孔の面積に対する割合(上記導体層貫通孔を覆うカバー層の面積/上記導体層貫通孔の面積)が、0.8以上であることが好ましく、なかでも、0.9以上であることが好ましく、特に、1.0であること、すなわち、上記導体層貫通孔の全てを覆うように上記カバー層が形成されていることが好ましい。
なお、導体層貫通孔の外周から10μm以内の領域とは、上記導体層貫通孔の外周上の点から、その外周に対して垂直方向に10μmの距離までの領域をいうものである。より具体的には、導体層貫通孔が直径50μmの円形状の場合には、導体層貫通孔の外周と、導体層貫通孔と同一の中心から直径70μmの円の外周とで囲まれる領域をいうものである。
ここで、上記カバー層が光透過性を有するとは、上記カバー層が、上記カバー層側から照射し上記導体層貫通孔の周囲を囲む導体層で反射された反射光を、上記カバー層側で検出することにより、上記導体層貫通孔の外周形状を検出し、位置合わせを行うことができるものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、カバー層の470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度の割合(反射光強度/入射光強度×100(単位%))が、5%以上であることが好ましく、なかでも15%以上であることが好ましく、特に、25%以上であることが好ましい。位置合わせが容易なものとすることができるからである。
なお、470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上であるとは、470nmから525nmの範囲内の波長のいずれの波長においても上記入射光強度に対する反射光強度の割合が25%以上となることをいうものである。
また、本発明において、入射光に対する反射光の強度とは、図11に示すように、カバー層の表面側から照射した入射光の強度(入射光強度)に対する、カバー層の裏面、すなわち、導体層表面で反射した光をカバー層の表面側で検出した反射光の強度(反射光強度)の割合、すなわち、カバー層の厚みをHとすると、2Hの厚みのカバー層を透過した場合の透過率を示すものである。したがって、上記カバー層の入射光に対する反射光の強度とは、上記カバー層の厚みの2倍の厚みとした場合のカバー層の透過率をいうものである。
また、このような透過率の制御は、例えば、上記カバー層を構成するカバー層形成材料や厚みを制御することにより行うことができる。
なお、図11中の符号については、図3と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記導体層貫通孔を覆うように形成されたカバー層の厚み、すなわち、上記導体層貫通孔の周囲を囲むように形成された導体層上のカバー層の厚みとしては、上記導体層貫通孔の検出が可能なものであれば特に限定されるものではないが、上記「I.第1態様」における絶縁層と同一の光透過性材料を用いて形成されている場合には、上記「I.第1態様」の「2.絶縁層」の項に記載した導体層貫通孔と平面視上重なる領域における好ましい厚みの2分の1の厚みであることが好ましい。
本発明における絶縁層は、上記金属支持基板上に形成されるものである。
ここで、光透過性が低いとは、上記導体層貫通孔の検出感度を所望の範囲内とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、絶縁層の470nmから525nmの範囲内の波長の光の透過率が30%以下の範囲内であることが好ましく、なかでも、15%以下の範囲内であることが好ましく、特に5%以下の範囲内であることが好ましい。上記透過率が上述の範囲内であることにより、上記導体層貫通孔の検出感度に優れたものとすることができるからである。
なお、全光線反射率としては、光学測定器にてJIS K7105に従って測定したものをいう。光学測定器は市販品を用いることができ、例えば、村上色彩技術研究所製HR−100が用いることができる。
また、絶縁層を上述の光透過性の低いものおよび全光線反射率を満たすものとするため、必要に応じて、顔料等を含むものであっても良い。
本発明における金属支持基板は、上記絶縁層、導体層およびカバー層を支持するものである。
このような金属支持基板の材料や厚さ、および形成方法としては、上記「I.第1態様」の「3.金属支持基板」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、上記金属支持基板の形成箇所としては、上記反射光により導体層貫通孔を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、上記「2.絶縁層」と同様とすることができる。
本態様のサスペンション用基板は、上記金属支持基板、絶縁層、導体層およびカバー層を少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものとすることができる。
このような他の構成としては、上記「I.第1態様」の「4.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様とすることができる。
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された導体層と、を有し、上記導体層は、導体層貫通孔を有し、上記金属支持基板は、上記導体層貫通孔と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔を有し、上記絶縁層が、上記導体層貫通孔から平面視上露出するように形成され、かつ、光透過性を有し、さらに、上記導体層貫通孔から平面視上露出する領域の上記金属支持基板側に凹部を有するサスペンション用基板の製造方法であって、絶縁層形成用層の上記導体層貫通孔から平面視上露出する領域をハーフエッチングし、上記凹部を有する上記絶縁層を形成する絶縁層形成工程を有することを特徴とするものである。
図12に例示するように、まず、金属支持基板形成用層1X、絶縁層形成用層2Xおよび導体層形成用層3Xがこの順に積層した積層部材を準備し、積層部材の両面にドライフィルムレジスト(DFR)15を配置し、露光現像を行うことにより、所定のレジストパターンを形成する(図12(a))。次に、レジストパターンから露出する部分をウェットエッチングし、金属支持基板貫通孔5を有する金属支持基板1および導体層貫通孔4を有する導体層3を形成し、次いで、金属支持基板1および導体層3を接続するビアを形成する領域や絶縁層が形成されない領域に開口を有するレジストパターン15を形成する(図12(b))。次に、レジストパターン15から露出する部分をウェットエッチングし、絶縁層形成用層2Xにビア用の貫通孔等を形成する(図12(c))。その後、絶縁層形成用層2Xの上記導体層貫通孔4から露出する領域をハーフエッチングし、上記導体層貫通孔4から露出する領域の上記金属支持基板側1に凹部13を有する上記絶縁層2を形成する(図12(d))。次いで、電解ニッケルめっきにより金属支持基板1および導体層3を接続するビア8を形成し(図12(e))、その後、導体層3の一部を覆い、導体層貫通孔4が露出するような開口部を有するカバー層6を形成する(図12(f))。カバー層4の材料が感光性材料である場合は、露光現像により所定のパターンを形成することができる。一方、カバー層4の材料が非感光性材料である場合は、DFRを用いて所定のレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する部分をウェットエッチングすることにより、所定のパターンを形成することができる。
その後、図12(g)に例示するように、導体層貫通孔を形成する導体層3のうち表面が露出する表面上に、保護めっき層7を形成することにより、サスペンション用基板を得ることができる。
なお、図12中の(a)が積層体準備工程、(a)〜(b)が導体層および金属支持基板形成工程、(b)〜(d)が絶縁層形成工程、(f)がカバー層形成工程であり、(g)が保護めっき層形成工程である。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法の各工程について詳細に説明する。
なお、本発明により製造されるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明における絶縁層形成工程は、絶縁層形成用層の上記導体層貫通孔から平面視上露出する領域をハーフエッチングし、上記凹部を有する上記絶縁層を形成する工程である。
ここで、ハーフエッチングする方法としては、上記導体層貫通孔から平面視上露出する領域の上記金属支持基板側に凹部を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「A.サスペンション用基板」の「I.第1態様」の「2.絶縁層」の項に記載の方法を用いることができる。
また、上記絶縁層形成用層や、本工程により形成される絶縁層については、上記「A.サスペンション用基板」の「I.第1態様」の「2.絶縁層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、絶縁層形成工程を少なくとも有するものであるが、通常、金属支持基板をパターニングにより形成する金属支持基板形成工程や、導体層を形成する導体層形成工程を含むものである。また、必要に応じてカバー層形成工程や、保護めっき層形成工程等を有するものであっても良い。
このような金属支持基板形成工程や、導体層形成工程、カバー層形成工程および保護めっき層形成工程における各部材の形成方法としては、サスペンション用基板に一般的に用いられる方法を用いることができ、具体的には、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、上記金属支持基板、絶縁層および導体層については、上記金属支持基板上に、上記絶縁層および導体層をこの順で形成するものであっても良く、上記金属支持基板を構成する材料からなる金属基板形成用層と、上記金属基板形成用層上に形成された絶縁層形成用層と、上記絶縁層形成用層上に形成された導体層形成用層とを有する積層体を形成した後に、上記導体層および金属支持基板、絶縁層の順で形成するものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記積層体を用いる方法であること、すなわち、上記積層体を形成する積層体形成工程を行い、その後、金属支持基板形成工程および導体層形成工程、次いで、絶縁層形成工程の順で行われることが好ましい。上記各構成を精度良く形成することができるからである。
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
厚さ20μmのSUS304である金属支持部材の上に、非感光性ポリイミド系の絶縁層形成材料を用い、厚さ10μmの絶縁部材を塗工法にて形成した。さらに、その絶縁部材上にシード層となるNi−Cr−Cuをスパッタリング法で約10nmコーティングし、それを導通媒体としCuめっきにて厚さ9μmのCuめっき層である導体部材を形成し、積層部材を得た。
実施例1で得られたサスペンション用基板は貫通孔部における耐変形性の向上とシード層へのめっき層形成を回避できたことから歩留まり向上に寄与した。さらにスパッタ層へめっきをするときに不可欠であった前処理工程を排除することができた。
また、ロードビームおよびスライダとの位置合わせ評価を行った。画像認識装置で位置決め用アライメントマークをCCDカメラで撮像し、得られた画像にグレイスケール処理を行い、実施例で形成した貫通孔がアライメントマークとして利用できたか否かを確認した。その結果、導体層貫通孔の外周形状を十分に認識することができ、精度良くロードビームおよびスライダとの位置合わせをすることが可能であった。
2…絶縁層
3…導体層
4…導体層貫通孔
5…金属支持基板貫通孔
6…カバー層
7…保護めっき層
8…ビア
10…サスペンション用基板
11…素子実装領域
12…外部回路基板接続領域
15…レジスト
30…サスペンション
40…素子付サスペンション
50…ハードディスクドライブ
Claims (9)
- 金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された導体層と、を有し、
前記導体層は、導体層貫通孔を有し、
前記金属支持基板は、前記導体層貫通孔と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔を有し、
前記絶縁層は、前記導体層貫通孔から平面視上露出するように形成され、かつ、光透過性を有し、
前記絶縁層の470nmから525nmの範囲内の波長の光の透過率が70%以上であることを特徴とするサスペンション用基板。 - 前記絶縁層が、前記導体層貫通孔から平面視上露出する領域の前記金属支持基板側に凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
- 前記絶縁層が、前記導体層貫通孔から平面視上露出する領域内に開口部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
- 金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された導体層と、
前記導体層上に形成されたカバー層と、を有し、
前記導体層は、導体層貫通孔を有し、
前記カバー層は、前記導体層貫通孔の外周を覆うように形成され、かつ、光透過性を有し、
前記カバー層の厚みを2倍にした場合の、470nmから525nmの範囲内の波長の光の透過率が5%以上であることを特徴とするサスペンション用基板。 - 前記導体層上に形成されたカバー層と、
前記絶縁層および前記導体層を貫通し、前記金属支持基板および前記導体層を接続するビアと、を有し、
前記ビアの全体が前記カバー層により覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。 - 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
- 請求項6に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
- 請求項7に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
- 金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された導体層と、を有し、
前記導体層は、導体層貫通孔を有し、
前記金属支持基板は、前記導体層貫通孔と平面視上重なる位置に形成された金属支持基板貫通孔を有し、
前記絶縁層が、前記導体層貫通孔から平面視上露出するように形成され、かつ、光透過性を有し、470nmから525nmの範囲内の波長の光の透過率が70%以上であり、さらに、前記導体層貫通孔から平面視上露出する領域の前記金属支持基板側に凹部を有するサスペンション用基板の製造方法であって、
絶縁層形成用層の前記導体層貫通孔から平面視上露出する領域をハーフエッチングし、前記凹部を有する前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
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