JP5614258B2 - サスペンション用基板、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ - Google Patents
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ここで、このような一対の配線間(第1導体層および第2導体層)には、差動伝送路の特性インピーダンスが存在する。そして、このような特性インピーダンスについては、それぞれ、リード配線およびライト配線が接続される読み取り用(再生用)および書き込み用(記録用)のヘッドのインピーダンスにマッチングするように調整される。
また、インピーダンス・マッチングをとるために要求される特性インピーダンスの精度は、目的のインピーダンス値の±数%であり、特性インピーダンスが低くなると、それに伴い要求される精度の絶対値が小さくなる。
このため、スタック構造の場合には、上記導体層どうしの平面視上の重なりの程度、すなわち、上記第1導体層および第2導体層の位置精度をより高精度でコントロールする必要が生じている。
しかしながら、スタック構造の導体層が位置精度良く形成されているかを精度良く検出するには、最終的に製造されたサスペンション用基板を切断し、その断面を測定する等の方法しかなく、全数検査が困難であるといった問題や、時間や手間がかかり非効率的であるといった問題があった。
また、その結果、上記サスペンション用基板をHDDに組み込んだ後に特性インピーダンスの調整が不十分である等の不具合が発見され、歩留まりが低下し、コスト上昇の要因となるといった問題があった。
また、上記第1導体層および第2導体層が少なくとも銅を含むものであることにより、上記波長470nmから525nmの範囲内の光を用いたズレ検出の容易なものとすることができる。
また、上記感光剤の残渣の含有量が上記範囲内であることにより、上記波長の光の透過率の高いものとすることができるからである。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション用基板の検査方法、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、上記ベース絶縁層上に形成された第1導体層と、上記第1導体層上に形成された透明性ポリイミド樹脂からなる中間絶縁層と、上記中間絶縁層上に、上記第1導体層と平面視上少なくとも一部が重複するように形成された第2導体層と、上記第2導体層上に形成された透明性ポリイミド樹脂からなるカバー絶縁層と、を有するサスペンション用基板であって、上記第1導体層および第2導体層が少なくとも銅を含む導体部を有するものであり、上記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みの上記透明性ポリイミド樹脂の470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上であることを特徴とするものである。
また、上記入射光に対する反射光の強度が25%以上であることにより、上記カバー絶縁層側からみてより深い位置に形成される第1導体層を、上記中間絶縁層やカバー絶縁層と十分に区別して判別することができる。
このように上記絶縁層が上記波長の光を十分に透過できることにより、各構成に劣化を生じることなく、上記銅を含む導体層のズレ幅を高精度で検出することができる。
したがって、上記第1導体層および第2導体層がスタック構造を有するものである場合であっても、上記カバー絶縁層表面から470nmから525nmの範囲内の波長の光により、上記第1導体層および第2導体層の平面視上のズレ検出の容易なものとすることができる。
また、上記第1導体層および第2導体層が少なくとも銅を含むものであることにより、上記波長470nmから525nmの範囲内の光を用いたズレ検出の容易なものとすることができる。
以下、本発明のサスペンション用基板の各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられる中間絶縁層およびカバー絶縁層は透明性ポリイミド樹脂からなるものである。
本発明に用いられる透明性ポリイミド樹脂は、その厚みを上記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みとした場合の470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上のものである。
また、本発明において、入射光に対する反射光の強度とは、図2に示すように、対象物の表面側から照射した入射光の強度(入射光強度)に対する、対象物の裏面で反射した光を表面側で検出した反射光の強度(反射光強度)の割合、すなわち、対象物の厚みをHとすると、2Hの厚みの対象物を透過した場合の透過率を示すものである。
したがって、上記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みとした場合の入射光に対する反射光の強度とは、上記合計の厚みの2倍の厚みとした場合の透過率をいうものである。
また、470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上であるとは、470nmから525nmの範囲内の波長のいずれの波長においても上記入射光強度に対する反射光強度の割合が25%以上となることをいうものである。
本発明においては、上記透明性ポリイミド樹脂の上記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みとした場合の、470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度、すなわち、上記中間絶縁層およびカバー絶縁層全体の上記波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上であるが、上記強度については高ければ高い程検出が容易になるので、上限については特に限定されるものではない。
ここで、主成分として含むとは、上記ポリイミド樹脂の含有量が、上記透明性ポリイミド樹脂中に50質量%以上であることをいうものであり、なかでも本発明においては、65質量%以上であることが好ましく、特に、70質量%以上であることが好ましく、中でも特に80質量%以上であることが好ましい。上記ポリイミド樹脂の含有量が上述の範囲内であることにより、絶縁性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記透明性ポリイミド樹脂に含まれるポリイミド樹脂の含有量は高ければ高いほど良いため、上限については特に限定されるものではない。
上記透明性ポリイミド樹脂が感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより、上記絶縁層の形成を容易なものとすることができるからである。また、上記非感光性ポリイミド樹脂からなるものであることにより、反り等の少ないものとすることができるからである。
なお、上記感光剤の残渣の含有量の測定方法としては、上記感光剤の残渣の含有量を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、感光剤を含まない非感光性ポリイミド樹脂を用いて形成された透明性ポリイミド樹脂の熱重量減少温度を比較することで判断することができる。より具体的には、上記非感光性ポリイミド樹脂を上記感光性ポリイミド樹脂と同条件の熱処理でイミド化してなるものの熱重量減少温度を比較することで、判断することができる。
また、熱処理条件としては、上記中間絶縁層およびカバー層の形成時の条件と同様とすることができる。
本発明に用いられる感光性ポリイミド樹脂は、上記ポリイミド成分および感光剤を含むものである。
本発明に用いられるポリイミド成分としては、ポリイミドの状態で溶媒に可溶であるものを用いても良いし、加熱処理等のイミド化により上記ポリイミド樹脂となるポリイミド前駆体を用いたものでもよい。保存安定性の観点からは前者が好ましく、線膨張係数との諸特性との両立という観点からは、後者が好ましい。本発明においては、後者の前駆体を用いたものが、各種特性、特に線膨張係数の制御の観点から好ましく用いられる。また上記ポリイミド成分は、上記感光剤を含むことで感光性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、下記式(1)で表される構造を有するポリイミド、および下記式(2)、(3)で表される構造を有するポリイミド前駆体を用いることができる。
本発明においては、上記ポリイミド成分が上記式(2)または(3)の構造のポリイミド前駆体を少なくとも含むものであることが好ましい。溶媒への溶解性に優れるからである。
本発明においては、なかでも、酸無水物由来のカルボキシル基(もしくはそのエステル化物などの誘導体)が全体の50%以上あることが望ましく、75%以上であることがさらに好ましく、全て、下記式(2)で示されるポリアミック酸およびその誘導体であることが好ましい。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるからである。
また、イミド化率は、例えば、赤外線吸収スペクトルを用いて確認することができる。具体的には、上記ポリイミド樹脂に含まれるイミド結合由来のC=O二重結合のピーク面積から定量することにより求めることができる。
また、上記(3)で表される構造を有するポリイミド前駆体または上記(1)で表されるポリイミドの形成方法としては、上記(2)で表されるポリイミド前駆体を加熱によりイミド化する方法が挙げられる。
本発明においては、最終的に得られるポリイミド樹脂に耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
またこのとき、前記化学式(1)〜(3)のR1において、当該R1に結合している4つの基((−CO−)4)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(1)〜(3)のR2において、当該R2に結合している2つの基((−NH−)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
露光波長に対してポリイミド成分の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性ポリイミド樹脂を得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
なお、感光性ポリイミド樹脂の固形分とは溶媒以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
本発明に用いられる感光剤としては、上記ポリイミド成分に感光性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、感光性ポリイミド樹脂に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、電磁波の照射と加熱により、塩基を発生する塩基発生剤等を用いることができる。より具体的には、下記一般式(a)で表されるようなクマル酸アミド系塩基発生剤、カーバメート型塩基発生剤およびニフェジピン等の塩基発生剤、またはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記クマル酸アミド系塩基発生剤を好ましく用いることができる。上記クマル酸アミド系塩基発生剤は、上記ポリイミド成分をイミド化する加熱処理等により、分解または揮発し易いものである。このため、上記透明性ポリイミドを上記感光剤の残渣の少ないものとすることができ、透過率に優れた絶縁層とすることができるからである。したがって、上記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みが厚い場合であっても、十分な透過率を示すものとすることができ、上記導体層のズレ幅を容易に検出可能なものとすることができるからである。
また、アミンの触媒作用によって、上記ポリイミド成分が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、上記ポリイミド成分が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。
上記クマル酸アミド系塩基発生剤は、電磁波が照射されるだけでも塩基を発生するが、適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進される。
1価の有機基としては、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
上記R21及びR22の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
上記ポリイミド成分から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が塩基性が強いため好ましい。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
1価の有機基としては、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
中でも、R23〜R26の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R23〜R26は、それらの2つ以上が結合して、R23〜R26が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
また、R23〜R26としては、それらの2つ以上が結合して、R23〜R26が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
また、上記クマル酸アミド系塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましい。
各置換基を導入した桂皮酸の合成は、対応する置換基を有するヒドロキシベンズアルデヒドにwittig反応または、Knoevenagel反応、又はPerkin反応を行うことで合成できる。中でも、wittig反応はトランス体が選択的に得られやすい点から好ましい。尚、例えば、上記対応する置換基を有するアルデヒドの合成は、対応する置換基を有するフェノール等にDuff反応やVilsmeier−Haack反応を行うことで合成できる。
一般的にポリイミド樹脂は高耐熱性の樹脂として知られており、高い耐熱性を有することから、ポリイミド成分よりも、感光剤の方が耐熱性が低い傾向にあるので、ポリイミド成分に対する感光剤の割合を減らした方が、低アウトガス性となる。
このようなことから上記感光剤の含有量は少ない方が好ましく、本発明においては、上記感光剤が、上記ポリイミド成分100重量部に対して、0.1重量部以上30重量部未満の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.5重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.5重量部〜15重量部の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明における感光剤が、上記クマル酸アミド系塩基発生剤である場合には、
その含有量としては、上述の範囲より多いものとすることができる。上記クマル酸アミド系塩基発生剤は加熱等により分解または揮発により残存しにくいため、含有量が多い場合であっても、上記透明性ポリイミド樹脂中への残存量が少ないものとすることができるからである。具体的には、上記ポリイミド成分100重量部に対して、0.5重量部〜30重量部の範囲内であることが好ましく、なかでも、1重量部〜25重量部の範囲内であることが好ましく、特に、3重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましい。十分な感光性を付与することができ、かつ、その場合であっても上記透明性ポリイミド樹脂への残存が少ないからである。したがって、露光・現像によるパターニングが容易で、かつ、透明性に優れた絶縁層を形成することができるからである。
本発明における感光性ポリイミド樹脂としては、必要に応じて溶媒を含むものであっても良い。
このような溶媒としては、上記ポリイミド成分を均一に分散または溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−アセチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の極性溶媒が好適なものとして挙げられる。
本発明においては、上記光塩基発生剤の吸収波長がポリイミド成分の吸収波長と重なる部分があり、十分な感度が得られない場合において、感度向上の手段として、増感剤の添加が効果を発揮する場合がある。また、ポリイミド成分を透過する電磁波の波長帯に上記光塩基発生剤が吸収波長を有する場合においても、感度向上の手段として、増感剤を添加することができる。ただし、増感剤の添加によるポリイミド成分の含有率の減少に伴う、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の低下に関して考慮に入れる必要がある。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3−(2’−ベンゾイミダゾール)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
本発明ではこれらの増感剤を1種または2種以上使用することができる。
本発明における感光性ポリイミド樹脂は、少なくとも上記ポリイミド成分、感光剤、および溶媒を含むものであるが、必要に応じて他の成分を含むものであっても良い。
このような他の成分としては、熱硬化性成分、ポリイミド前駆体以外のバインダー樹脂、その他の添加剤を配合して、感光性ポリイミド樹脂を調製してもよい。
本発明に用いられる非感光性ポリイミド樹脂としては、実質的に感光性を有さないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリイミド成分を含み、上記感光剤を実質的に含まないものを挙げることができる。
なお、実質的に含まないとは、一般的な感光性ポリイミド樹脂での露光・現像条件でパターニングできない程度の含有量以下の含有量であることをいうものであり、通常、全く含まれないものである。
本発明に用いられる中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚み、すなわち、上記第1導体層が形成される上記ベース絶縁層表面から上記カバー絶縁層表面までの距離としては、上記導体層や絶縁層を安定的に形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、20μm〜35μmの範囲内とすることができる。
本発明において、上記絶縁層を高い透過率を有するものとする観点からは、上記絶縁層の厚みはできるだけ薄い方が好ましいが、上記透明性ポリイミド樹脂が、上記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みとした場合に、470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上となる範囲内で厚みが厚い方が好ましい。具体的には、25μm〜35μmの範囲内であることが好ましく、特に、30μm〜35μmの範囲内であることが好ましい。上記導体層や絶縁層の厚み等について設計の自由度の高いものもとすることができるからである。また、入射光に対する反射光の強度が25%以上であることにより、十分にズレ幅を検出することができるからである。
本発明に用いられる第1導体層および第2導体層は、それぞれ、上記ベース絶縁層および中間絶縁層上に形成され、上記第1導体層および第2導体層が平面視上少なくとも一部が重複するように形成されるものである。
また、上記第1導体層および第2導体層が少なくとも銅を含む導体部を有するものである。
ここで、上記第1導体層および第2導体層の平面視上の重複の程度については、上記各導体層の幅や要求される特性インピーダンス等に応じて適宜設定されるものである。
本発明において、上記めっき層を形成する方法としては、例えば、電解めっき法を挙げることができる。
本発明に用いられる金属支持基板は、上記ベース絶縁層、導体層(第1導体層および第2導体層)、および絶縁層(中間絶縁層およびカバー絶縁層)を支持するものである。
このような金属支持基板の材料としては、特に限定されるものではないが、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的には、SUS等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる金属支持基板の厚さとしては、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内とすることができる。
本発明に用いられるベース絶縁層は、上記金属支持基板上に形成されるものである。
このような感光性材料および非感光性材料としては、具体的には、上記「1.中間絶縁層およびカバー絶縁層」の項に記載の感光性ポリイミド樹脂および非感光性ポリイミド樹脂を用いることができる。
本発明のサスペンション用基板の製造方法としては、上記各構成が精度良く形成される方法であれば良い。
このようなサスペンション用基板の各構成の形成方法としては、上記「1.中間絶縁層およびカバー絶縁層」、「2.第1導体層および第2導体層」、「3.金属支持基板」および「4.ベース絶縁層」の項に記載方法を用いることができる。
また、上記金属支持基板、ベース絶縁層および第1導体層については、上記金属支持基板上に、上記ベース絶縁層および第1導体層をこの順で形成するものであっても良く、上記金属支持基板を構成する材料からなる金属基板形成用層と、上記金属基板形成用層上に形成され、上記ベース絶縁層を形成可能な材料からなるベース絶縁層形成用層と、上記ベース絶縁層形成用層上に形成され、上記第1導体層を形成可能な材料からなる第1導体層形成用層とを有する積層体を形成した後に、上記第1導体層および金属支持基板、ベース絶縁層の順で形成するものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記積層体を用いる方法であることが好ましい。上記各構成を精度良く形成することができるからである。
その後、図4(b)に示すように、上記金属支持基板形成用層1xおよび上記導体層形成用層5x上に、ドライフィルムレジスト(DFR)を用いてレジストを形成し、ウェットエッチングすることにより、上記金属支持基板形成用層1xから金属支持基板1を、上記第1導体層形成用層5xから銅の導体部3からなる第1導体層5を形成し、その後、感光性ポリイミド樹脂を含む塗工液を塗布・乾燥した後、露光・現像し、さらに、加熱処理を行いイミド化することにより中間絶縁層6を形成する(図4(b))。
その後、図4(c)に示すように、パターン状のレジストを配置した状態で、電解めっきすることにより銅の導体部3からなる第2導体層7を形成する。さらに図4(d)に示すように上記第2導体層7を覆うようにカバー絶縁層の材料を含む塗工液を塗布し、乾燥した後、露光・現像し、さらに、加熱処理によりイミド化することによりカバー絶縁層8を形成する方法を挙げることができる。
次に、サスペンション用基板の検査方法について説明する。
本発明のサスペンション用基板の検査方法は、上述のサスペンション用基板の検査方法であって、上記サスペンション用基板のカバー絶縁層側から少なくとも波長470nmから525nmの範囲内の入射光を照射し、反射光を検出することにより、上記第1導体層および第2導体層の平面視上の重なりのズレ幅を検出することを特徴とするものである。
本発明においては、上記470nmから525nmの範囲内に含まれるいずれかの波長の光を用いるものであれば良いが、なかでも、470nm、505nmおよび525nmの波長の光を含むことが好ましく、特に、470nmから525nmの範囲内の全ての波長の光を用いて検出することが好ましい。より精度良く、上記第1導体層および第2導体層の平面視上の重なりのズレ幅を検出することができるからである。
また、本発明においては、上記入射光が、長波長域の光を含み、上記ズレ幅の検出と同時に異物の検出を行うことが好ましい。歩留まりを向上させることができるからである。
本発明における長波長域の光としては、525nm以上の波長の光であれば特に限定されるものではなく、検出する異物等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、525nm〜850nmの範囲内の光であることが好ましく、なかでも、660nm〜850nmの範囲内の光であることが好ましい。上記光が上述の波長の光を含むことにより、異物等をより精度良く検出することができるからである。
次に、サスペンション用基板の製造方法について説明する。
本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上述のサスペンション用基板を形成するサスペンション用基板形成工程と、上記サスペンション用基板を上述のサスペンション用基板の検査方法により検査する検査工程と、を有することを特徴とするものである。
なお、図6(a)がサスペンション用基板形成工程であり、図6(b)が検査工程である。また、図6中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
以下、このような本発明のサスペンション用基板の製造方法の各工程について詳細に説明する。
本発明におけるサスペンション用基板形成工程は、上記サスペンション用基板を形成する工程である。
このようなサスペンション用基板の形成方法としては、上記各構成を精度良く形成できる方法であれば良く、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様とすることができる。
本発明における検査工程は、上記サスペンション用基板を上述のサスペンション用基板の検査方法により検査する工程である。
ここで、上記サスペンション用基板の検査方法については上記「B.サスペンション用基板の検査方法」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本工程においては、上記許容ズレ幅としては、上記導体層や絶縁層のサイズ等により異なるものであり、許容範囲内の特性インピーダンスを達成できるものであれば特に限定されるものではないが、得られた第1導体層および第2導体層が有する特性インピーダンスを、目標の特性インピーダンスの±7%以内とすることができるものであることが好ましく、なかでも、±5%以内とすることができるものであることが好ましい。具体的には、上記許容ズレ幅が、±20μm以内であることが好ましく、なかでも、±10μm以内であることが好ましい。上記ズレ幅が上述の範囲であることにより、ノイズ等の少ないものとすることができるからである。
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子(例えば、スライダ)と、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
(ポリイミド前駆体溶液の調製)
ODA(4,4−ジアミノジフェニルエテル)2.0g(20mmol)と、パラフェニレンジアミン(PPD)8.66g(80mmol)とを500mlのセパラブルフラスコに投入し、181gの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、窒素気流下、オイルバスによって液温が50℃になるように熱電対でモニターし加熱しながら攪拌した。完全に溶解したことを確認した後、少しずつ30分かけてBPDA(3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸無水物29.1g(99mmol)を添加し、添加終了後、50℃で5時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、ポリイミド前駆体溶液を得た。
100mlフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mlに加えた。50mlフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2mmol)をメタノール10mlに溶解し、よく攪拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下下。
3時間攪拌した後、TLCにより反応の終了を確認した上でろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50ml加え、1時間攪拌した。
反応終了後、ろ過により、トリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し、反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで、2−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸を1.00g得た。
続いて、100ml三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシ桂皮酸500mg(3.0mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mlに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.586g(3.0mmol)を加えた。
30分後、ピペリジン0.3ml(3.0mmol)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1)により精製することにより、クマル酸アミド系光塩基発生剤を64mg得た。
ポリイミド前駆体溶液に、得られた光塩基発生剤を添加し、光塩基発生剤がポリアミック酸固形分に対して15wt%含まれる透明性ポリイミド樹脂用組成物を調整した。また、固形分濃度が20wt%となるようにNMPを添加した。
光塩基発生剤のポリアミック酸に対する濃度を10wt%とした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤のポリアミック酸に対する濃度を20wt%とした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤のポリアミック酸に対する濃度を25wt%とした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤のポリアミック酸に対する濃度を30wt%とした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤を含まない以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤を含まない以外は実施例2と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤を含まない以外は実施例3と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤を含まない以外は実施例4と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤を含まない以外は実施例5と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をニフェジピンとした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をニフェジピンとした以外は実施例2と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をニフェジピンとした以外は実施例3と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をニフェジピンとした以外は実施例4と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をニフェジピンとした以外は実施例5と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をカーバメート型光塩基発生剤DNCDP({[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)とした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をカーバメート型光塩基発生剤DNCDP({[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)とした以外は実施例2と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をカーバメート型光塩基発生剤DNCDP({[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)とした以外は実施例3と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をカーバメート型光塩基発生剤DNCDP({[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)とした以外は実施例4と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をカーバメート型光塩基発生剤DNCDP({[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)とした以外は実施例5と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
光塩基発生剤をカーバメート型光塩基発生剤DNCDP({[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン)とした以外は実施例1と同様にして透明性ポリイミド樹脂用組成物を得た。
実施例および比較例で得られた透明性ポリイミド樹脂用組成物を用いて、スピンコート法を用いてガラス上に塗布し、100℃に設定されたホットプレート上で10分間加熱し、塗膜を形成し、その後、1000mJ/cm2にて露光し、170℃で10分間ポストベークを行った。次いで、窒素雰囲気下のオーブンで350℃で1時間キュア(イミド化処理)を行い、透明性ポリイミド樹脂の塗膜を形成した。この塗膜を用いて(1)厚みによる透過性評価および(2)添加量による透過性評価を行った。
なお、実施例1、実施例6、比較例1および比較例6で調製した透明性ポリイミド樹脂用組成物を用いて、2.3μm〜2.7μmの膜厚の塗膜を形成した際の条件および経緯を表1に示す。
実施例1、実施例6、比較例1および比較例6について上記方法により得られたそれぞれの厚みの塗膜について、入射光に対する反射光の強度の割合を、分光測定装置(SHIMADZU製UV−2550(PC)S GLP)にて測定した。測定された結果を図10に示す。
また、得られた結果に基づいて、Lambert−Beerの法則により厚みを1μm、4μm、13μm、24μm、および32μmとした場合の470nmおよび525nmの入射光に対する反射光の強度の割合を計算した。結果を下記表2に示す。
また、300nm〜800nmの波長でスキャンした場合の1μmおよび27μmとした場合の結果を計算により求めた。結果を図11および図12に示す。
なお、下記表3は、スタック構造でないサスペンション用基板(ケースNO.1〜4)およびスタック構造のサスペンション用基板(ケースNO.5〜10)の各構成の厚みを示すものである。なお、この表においては中間絶縁層およびカバー絶縁層はそれぞれ第1導体層および第2導体層表面からの厚みを示すものである。表3に示すように、13μmの厚みは、スタック構造ではないサスペンション用基板を想定したものであり、24μmの厚みは、スタック構造のなかで比較的膜厚が薄い場合を想定したものであり、32μmの膜厚は、スタック構造の中で比較的膜厚が厚い場合を想定したものである。
実施例2〜5、比較例2〜5および比較例7〜10についても実施例1、比較例1および比較例6と同様に、それぞれ塗膜を形成し、上記分光測定装置にて測定を行った。この測定結果およびLambert−Beerの法則にお基づいて、厚みを1μmとした場合の、470nmおよび525nmの波長の入射光に対する反射光の強度の割合を上記分光測定装置にて測定した。結果を表4に示す。
表2に示すように、実施例ではスタック構造とした場合であっても入射光に対する反射率を安定的に25%以上とすることができることが確認できた。
また、表3に示すように、クマル酸アミド系光塩基発生剤は、透明性ポリイミド樹脂用組成物への添加量にかかわらず、入射光に対する反射光の強度を大きいものとできることが確認できた。これは、上記クマル酸アミド系光塩基発生剤が、キュア時に分解・揮発することにより除去され、上記透明性ポリイミド樹脂を感光剤の残存量の少ないものとすることができたためと考えられる。
2 … ベース絶縁層
3 … 導体部
4 … めっき層
5 … 第1導体層
6 … 中間絶縁層
7 … 第2導体層
8 … カバー絶縁層
10 … サスペンション用基板
20 … スライダ実装領域
30 … サスペンション
31 … ロードビーム
40 … 素子付サスペンション
41 … 素子(スライダ)
50 … ハードディスクドライブ
51 … ディスク
52 … スピンドルモータ
53 … アーム
54 … ボイスコイルモータ
55 … ケース
Claims (10)
- 金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層上に形成された第1導体層と、
前記第1導体層上に形成された透明性ポリイミド樹脂からなる中間絶縁層と、
前記中間絶縁層上に、前記第1導体層と平面視上少なくとも一部が重複するように形成された第2導体層と、
前記第2導体層上に形成された透明性ポリイミド樹脂からなるカバー絶縁層と、を有するサスペンション用基板であって、
前記第1導体層および第2導体層が少なくとも銅を含む導体部を有するものであり、
前記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚みの前記透明性ポリイミド樹脂の470nmから525nmの範囲内の波長の入射光に対する反射光の強度が25%以上であることを特徴とするサスペンション用基板。 - 前記透明性ポリイミド樹脂が、ポリイミド成分および感光剤を含む感光性ポリイミド樹脂を用いてなるものであり、
前記透明性ポリイミド樹脂に含まれる感光剤の残渣の含有量が、15質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。 - 前記感光剤がクマル酸アミド系光塩基発生剤であることを特徴とする請求項2に記載のサスペンション用基板。
- 前記中間絶縁層およびカバー絶縁層の合計の厚さが、24μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板の検査方法であって、
前記サスペンション用基板のカバー絶縁層側から少なくとも波長470nmから525nmの範囲内の入射光を照射し、反射光を検出することにより、前記第1導体層および第2導体層の平面視上の重なりのズレ幅を検出することを特徴とするサスペンション用基板の検査方法。 - 前記入射光が、長波長域の光を含み、前記ズレ幅の検出と同時に異物の検出を行うことを特徴とする請求項5に記載のサスペンション用基板の検査方法。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を製造するサスペンション用基板の製造方法であって、
前記金属支持基板を形成可能な金属支持基板形成用層、前記金属支持基板形成用層の表面上に形成され、前記ベース絶縁層を形成可能なベース絶縁層形成用層、および前記ベース絶縁層形成用層上に形成され、前記第1導体層を形成可能な第1導体層形成用層が積層された積層体を準備し、これをエッチングすることにより、前記金属支持基板形成用層から、前記金属支持基板を、前記ベース絶縁層形成用層から、ベース絶縁層を、前記第1導体層形成用層から前記第1導体層を形成する工程と、
前記第1導体層上に前記中間絶縁層を形成する工程と、
前記中間絶縁層上に前記第2導体層を形成する工程と、
前記第2導体層上にカバー絶縁層を形成する工程と、
を有するサスペンション用基板形成工程を行い、
前記サスペンジョン用基板形成工程で得た前記サスペンション用基板に対し、請求項5または請求項6に記載のサスペンション用基板の検査方法により検査する検査工程を行うことを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。 - 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
- 請求項8に記載のサスペンションと、前記サスペンションのスライダ実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
- 請求項9に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
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