JP6279792B1 - ねり胡麻の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】添加剤などを別途添加することなしに、所定期間静置後においても固形分と油分とが分離しにくい難分離性であり、必要に応じて風味の低下も防止したねり胡麻とその製造方法を提供する。【解決手段】胡麻を粉砕してペースト状にしてなるねり胡麻であって、上記ねり胡麻の50%積算径が100μm以上であり、柱状容器内に50℃で6日間静置後における、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度が10%未満である。【選択図】図3

Description

本発明は、ねり胡麻およびその製造方法に関し、特に難分離性のねり胡麻とその製造方法に関する。
胡麻は、食物繊維、カルシウム、鉄分、亜鉛などに加えて、セサミンなどの成分を含み、栄養価が高く、抗酸化性などの機能性にも優れる食品として知られている。また、胡麻は、胡麻油、いり胡麻、すり胡麻、ねり胡麻などの状態で家庭用や業務用として広く利用されている。ねり胡麻は、胡麻種子を水洗、焙煎処理した後に、磨砕機により擂り潰し、練り上げてペースト状としたもの(胡麻ペースト)である。ねり胡麻は、例えば、胡麻豆腐、ドレッシング、たれ類などの食品に配合して広く使用されている。
一方で、ねり胡麻は、長期間にわたり放置すると固形分と油分とが分離してしまうため、硬くなった固形分を混合・均一化する作業が必要になる。この場合、取り扱い性に劣るため、難分離性であり、沈殿した固形分が硬くなりにくいねり胡麻が望まれている。
従来、ねり胡麻の製造方法として、特許文献1が提案されている。この製造方法では、胡麻の種子を磨砕して得られた胡麻ペーストに、乳化水溶液と、必要に応じて糖類や防腐剤を混合することでねり胡麻を製造している。この乳化水溶液は、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤と、液体状油脂と、水とをホモジナイザーにより均一混合して得ている。この製造方法では、 水溶性成分と混合し易く、口当たりのよいねり胡麻が得られ、特に放置後における分散状態の保持性に優れるとされている。
また、ねり胡麻を含む種実微粉砕ペーストの製造方法として、特許文献2が提案されている。この製造方法では、焙煎した種皮付き種実などに食用油を添加して、媒体撹拌ミルにて固形分の50%積算径が4〜15μmとなるか、または固形分の90%積算径が15〜120μmとなるまで撹拌することで、ペーストを得ている。この製造方法では、飲食物への混合が容易にでき、かつ、放置後も固形分と油分とが分離しにくく撹拌しやすいペーストが得られるとされている。
特開2000−14337号公報 特開2004−159606号公報
しかしながら、風味の良さや味を維持するためには、分散剤などの添加剤は極力添加しないことが望ましい。また、分離のしやすさと分離後の硬さは、一般的にはねり胡麻の粒度と相関があると認識されており、上記特許文献2で示すように、微細化してねり胡麻の粒度を小さくすることで、固形分と油分とが分離しにくく撹拌しやすい(柔らかい)ものとなるとされている。この場合には分散剤などの添加は不要とでき得る。しかし、粒度の小さいねり胡麻は、滑らかで甘みが強いが、風味がその分落ち、特に加工品に配合して使用する場合には風味が弱くなるというデメリットがある。
その他、ねり胡麻の原料となる胡麻種子の脱皮方法として、摩擦力を利用して皮を剥く物理剥き、所定の溶剤を利用して皮を除去する薬品剥きなどの手段が広く利用されている。特に、胡麻原料を輸入するような場合には、既に薬品剥きされた胡麻であることが多い。この薬品剥きの場合は、物理剥きの場合と比較して固形分と油分とが分離しにくいが、薬品剥き特有のえぐみや苦味があり風味の面で難がある。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、添加剤などを別途添加することなしに、所定期間静置後においても固形分と油分とが分離しにくい難分離性であり、必要に応じて風味の低下も防止したねり胡麻およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のねり胡麻の製造方法は、胡麻を粉砕してペースト状にしてなるねり胡麻の製造方法であって、原料となる胡麻に対する、水洗および脱水工程と、焙煎工程と、粉砕およびねり工程とを備えてなり、上記焙煎工程は、加熱温度が異なる1次工程と2次工程の2段階の工程からなり、上記1次工程の条件は、加熱温度が120℃未満で、かつ、該1次工程後における胡麻処理物の全重量に対する水分量が4重量%未満であり、上記2次工程の条件は、加熱温度が上記1次工程の加熱温度よりも高く、かつ、200℃未満であることを特徴とする。
ここで、本発明における「原料となる胡麻」は、胡麻の種子を意味する。また、「加熱温度」は、焙煎を行なう加熱装置における加熱装置内雰囲気温度である。
上記水洗および脱水工程の前、または、上記水洗および脱水工程の後に、原料となる胡麻に対する脱皮工程を有し、該脱皮工程は、摩擦力で胡麻の皮を剥く工程であることを特徴とする。
本発明のねり胡麻は、胡麻を粉砕してペースト状にしてなるねり胡麻であって、上記ねり胡麻の50%積算径が100μm以上であり、柱状容器内に50℃で6日間静置後における、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度が10%未満であることを特徴とする。特に、上記本発明の製造方法で製造されたことを特徴とする。
上記ねり胡麻は、柱状容器内に50℃で30日間静置後における、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度が20%未満であることを特徴とする。
上記ねり胡麻は、柱状容器内に50℃で6ヵ月間静置後における沈殿物層において、レオメータで直径16mmの円柱プランジャーを用い、速度1mm/secの条件で該沈殿物層の表面から80%の深さ位置まで測定したときの最大硬さが、0.5N未満であることを特徴とする。
本発明のねり胡麻の製造方法は、原料となる胡麻に対する、水洗および脱水工程と、焙煎工程と、粉砕およびねり工程とを備えてなり、特に焙煎工程を加熱温度が異なる1次工程と2次工程の2段階の工程から構成し、(1)1次工程の条件を、加熱温度が120℃未満で、かつ、1次工程後における胡麻処理物の全重量に対する水分量が4重量%未満とし、(2)2次工程の条件を、加熱温度が1次工程の加熱温度よりも高く、かつ、200℃未満とすることで、予め1次工程において原料中のある程度の水分を除去した後に、2次工程において仕上げ焙煎を行なうこととなる。これにより、所定期間静置後においても固形分と油分とが分離しにくい難分離性のねり胡麻となる。また、ねり胡麻の粒度が粗い場合にも、難分離性を維持でき、粒度が細かい場合と比較して、風味が良く、コク増し効果にも優れるねり胡麻となる。さらに、所定期間静置後においても固形分が硬くなりにくく、かき混ぜやすく、取り扱い性に優れるねり胡麻となる。
また、原料となる胡麻に対する脱皮工程を有し、この脱皮工程が摩擦力で胡麻の皮を剥く工程(物理剥き)であるので、薬品剥き特有のえぐみや苦味を防止でき、風味の良いねり胡麻となる。また、通常、物理剥きでは固形分と油分とが分離しやすくなるものの、本発明では、上記製造工程によりこれを難分離性とでき、難分離性と風味の良さを両立したねり胡麻を製造できる。
本発明のねり胡麻は、胡麻を粉砕してペースト状にしてなるねり胡麻であり、ねり胡麻の50%積算径が100μm以上であり、柱状容器内に50℃で6日間静置後における、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度が10%未満であるので、粒度が粗くて風味が良く、かつ、所定期間静置後においても固形分と油分とが分離しにくい。
また、上記ねり胡麻は、柱状容器内に50℃で30日間静置後における、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度が20%未満であるので、より難分離性となる。
また、上記ねり胡麻は、柱状容器内に50℃で6ヵ月間静置後における沈殿物層において、レオメータで直径16mmの円柱プランジャーを用い、速度1mm/secの条件で該沈殿物層の表面から80%の深さ位置まで測定したときの最大硬さが、0.5N未満であるので、放置後も固形分の沈殿物層の深い位置まで柔らかく、かき混ぜやすく、硬くなった固形分を混合して均一化する作業が容易となる。
本発明のねり胡麻の製造方法の工程図である。 ねり胡麻静置後の経過日数と油分離度との関係を示す図である。 ねり胡麻静置後(2か月)の分離具合を示す写真である。 実施例1のねり胡麻の粒度分布図である。 実施例6のねり胡麻の粒度分布図である。 比較例2のねり胡麻の粒度分布図である。 レオメータ測定によるねり胡麻の硬さを示す図である。
ねり胡麻は、通常、放置すると上澄み液(油分)と沈殿物(固形分)を生じる。この沈殿物は高粘度であり、取り扱い性を劣化させる。この沈殿物に対する対処として、微細化して粒度を小さくすることが考えられている。しかし、粒度の小さいねり胡麻は、滑らかで甘みが強いものの、風味には劣る。ねり胡麻は、主に加工品に配合して使用するため、特に風味の劣化を抑えることが望まれる。これに対して本発明では、特に製造工程の面の改良により、粒度が粗い場合であっても難分離性であるねり胡麻を得ることができた。
本発明のねり胡麻の製造方法を図1に基づいて説明する。図1は、本発明のねり胡麻の製造工程の概略図である。図1に示すように、この製造工程は、必須工程として、水洗および脱水工程(S1)と、焙煎工程(S2)と、粉砕およびねり工程(S3)とを備えてなる。脱皮工程は、必要に応じて備えることができる。また、本発明の製造方法は、これらの工程に加えて、ねり胡麻製造において公知の選別工程などを適宜備えることができる。
[脱皮工程]
この工程は、胡麻の皮を剥く工程である。この工程は任意の工程であり、皮付き(黒胡麻など)のねり胡麻とする場合にはこの工程は不要である。また、この工程の実施は、水洗および脱水工程の前、水洗および脱水工程の後(かつ焙煎工程の前)のいずれであってもよい。原料となる胡麻としては、特に限定されず、白胡麻、黒胡麻、金胡麻、茶胡麻など、いずれの胡麻(種子)も使用できる。摩擦力を利用して皮を剥く物理剥き、所定の溶剤を利用して皮を除去する薬品剥きのいずれも採用できる。本発明では、薬品剥き特有のえぐみや苦味を防止でき、風味の良いねり胡麻となることから、摩擦力で胡麻の皮を剥く物理剥きを採用することが好ましい。本発明では、後述の実施例にあるように、物理剥きを採用しながらも、難分離性のねり胡麻とできる。
[水洗および脱水工程(S1)]
この工程は、脱皮工程後の胡麻処理物を洗浄し、付着した洗浄水を脱水する工程である。ねり胡麻製造における通常工程であり、公知の手順と装置を採用できる。例えば、皮を剥いた種子を水洗いして付着している皮などを取り除いた後、余分な水分を常温で遠心分離により脱水する。熱を意図的には加えない点で、次工程とは異なる。
[焙煎工程(S2)]
この工程は、上記工程を経た胡麻処理物を焙煎する工程である。この工程は、加熱温度が異なる1次工程(S21)と2次工程(S22)の2段階の工程からなる。1次工程(S21)は、仕上げ焙煎工程となる2次工程(S22)の前に、胡麻処理物中におけるある程度の水分を除去する工程である。すなわち、仕上げ焙煎前の乾燥工程ともいえる。
1次工程の条件は、加熱温度が120℃未満で、かつ、該1次工程後における胡麻処理物の全重量に対する水分量が4重量%未満である。この加熱は、加熱装置を用いて行ない、加熱温度は、装置内の雰囲気温度を上記範囲に設定して行なう。加熱装置は、胡麻の分野に使用される公知の装置を利用できる。また、1次工程の処理時間は、上記水分量(4重量%未満)を実現できる範囲であれば特に限定されない。
2次工程の条件は、加熱温度が1次工程の加熱温度よりも高く、かつ、200℃未満とする。1次工程よりも高温で処理することで、風味が向上し、また、200℃未満とすることで難分離性を維持しやすくなる。加熱温度は、180℃未満が、より好ましい。また、2次工程の処理時間は、特に限定されない。
従来のねり胡麻は、脱水後に湿った状態や水分が多く含まれる状態で高温に曝されるため、内部で水蒸気爆発が起きやすいと推測される。この水蒸気によりタンパク質が変性・凝集することで、分離しやすくなるものと考えられる。これに対して本発明では、上記2段階の焙煎工程とすることで、後述の実施例に示すとおり、難分離性を実現している。
[粉砕およびねり工程(S3)]
この工程は、上記各工程を経た胡麻処理物を磨砕機によりペースト状になるまで擂り潰してねり胡麻とする工程である。磨砕機としては、胡麻の分野で使用される公知の装置を利用できる。例えば、上下円盤間で胡麻を擂り潰す石臼タイプの連続式磨砕機などを利用できる。装置の条件(クリアランスなど)や粉砕工程を複数回行なうことで、粒度の異なるねり胡麻を製造できる。
本発明のねり胡麻は、胡麻を粉砕してペースト状にしてなる、難分離性のねり胡麻であり、特に本発明の上記製造方法で製造されたものである。難分離性は、柱状容器内に50℃で6日間静置後における、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度により規定し、この油分離度が10%未満である。さらに時間経過後においても難分離性を維持できていることが好ましく、例えば、柱状容器内に50℃で30日間静置後における上記油分離度が20%未満であることが好ましい。
また、本発明のねり胡麻は、ある程度粒度が粗いことも特徴とする。具体的には50%積算径が100μm以上である。ある程度大きい粒子を含ませることで、胡麻の風味の強さや味の強さを向上できる。なお、本発明で使用する「X%積算径」は、公知の粒度分布測定装置(例えば、レーザー回析式粒度分布測定装置)を用いて、この粉砕物の粒子径の分布(粒度分布)を測定した際に、粒子径の頻度(%)を粒子径が小さい側から累積し、累積値がX%である場合の粒子径である。
また、本発明のねり胡麻は、柱状容器内に50℃で6ヵ月間静置後における沈殿物層において、レオメータで直径16mmの円柱プランジャーを用い、速度1mm/secの条件で該沈殿物層の表面から80%の深さ位置まで測定したときの最大硬さを0.5N未満とできる。このような物性を備えることで、放置後も固形分の沈殿物層の深い位置まで柔らかく、かき混ぜやすく、硬くなった固形分を混合・均一化する作業が容易となる。
本発明のねり胡麻は、所望の効果(難分離性や取り扱い性)を阻害しない範囲で、他の配合剤を配合した加工品としてもよい。他の配合剤としては、例えば、防腐剤、香科、着色剤、酸化防止剤、栄養補助剤などが挙げられる。
本発明のねり胡麻は、粒度が粗くて風味が良く、かつ、所定期間静置後においても固形分と油分とが分離しにくく、取り扱い性に優れるので、種々の用途に利用できる。例えば、胡麻豆腐、ドレッシング、たれ類などの各種食品に混ぜる・練り込むなどして使用できる。
[実施例1〜実施例5、比較例3]
原料として白胡麻の種子を用いた。まず、脱皮装置を用いた脱皮工程として、この種子を摩擦力で皮を剥いた(物理剥き)。次に、水洗および脱水工程として、皮を剥いた種子を水洗いして付着している皮などを取り除いた後、余分な水分を常温で遠心分離により脱水した。これらの処理後に焙煎工程として、下記表1に示す各条件で2段階焙煎を行なった。各段階は加熱装置を用いて、表中の加熱装置内雰囲気温度(加熱温度)で同表中の時間加熱して行なった。また、表中の品温は、各段階における焙煎対象となる胡麻処理物の最終到達温度(達温)である。また、表中の水分量は、1次工程後における胡麻処理物の全重量に対する水分量(重量%)である。
焙煎工程の後に所定の選別工程を経て、粉砕およびねり工程として、胡麻処理物を磨砕機によりペースト状になるまで擂り潰してねり胡麻を得た。磨砕機としては、上下円盤間で胡麻を擂り潰す石臼タイプの連続式磨砕機を用いた。1次粉砕のみで終了した。得られたねり胡麻は、胡麻粒子が粗めのタイプである。
得られたねり胡麻について、固形分と油分との分離性の評価を行なった。結果を表1に併記する。なお、分離性の評価は、得られたねり胡麻それぞれについて、同量ずつ円柱状容器内に50℃で6日間静置した後の状態を観察し、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度が8%未満である場合を難分離性「◎」とし、10%未満である場合を難分離性「○」とし、10%以上を難分離性「×」とした。
表1に示すように、各実施例は、所定の条件で2段階焙煎の工程を経て製造することで、固形分と油分とが分離しにくい難分離性のねり胡麻となった。また、実施例5と他の実施例との比較から、特に2段階焙煎における2段階目の加熱を急激にやり過ぎないことが好ましいことが分かる。一方、比較例3のねり胡麻では、1次工程の加熱温度が120℃であったため、分離しやすいねり胡麻となった。
[実施例6]
実施例1と同一条件で焙煎工程までを処理し、粉砕およびねり工程において、1次粉砕の後、2次粉砕してねり胡麻を得た。得られたねり胡麻は、胡麻粒子が極細のタイプである。
[実施例7]
原料として黒胡麻の種子を用い、かつ、脱皮工程を省略した以外は、実施例1と同一条件でねり胡麻を得た。得られたねり胡麻は、胡麻粒子が粗めのタイプである。
[比較例1、比較例2]
比較例として従来のねり胡麻を製造した。具体的には以下の手順で製造した。実施例1と同一条件で水洗および脱水工程までを処理した。次に焙煎工程(1段階のみ)として、加熱装置内雰囲気温度(加熱温度)を適宜設定し品温が約130℃となるように約10分間加熱した。焙煎工程の後に所定の選別工程を経て、粉砕およびねり工程として、胡麻処理物を磨砕機によりペースト状になるまで擂り潰してねり胡麻を得た。比較例1と比較例2は、磨砕機による粉砕条件のみが異なり、比較例1は、実施例1と同条件で磨砕をしたもの(粗めタイプ)であり、比較例2は、実施例6と同じ条件で磨砕をしたもの(極細タイプ)である。
各実施例と比較例2のねり胡麻について、レーザー回析式粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した。結果を図4〜図6に示す。これらの図における粒度分布は、縦軸が存在比率(頻度(%))であり、横軸が粒子径(μm)である。各図に示すとおり、各ねり胡麻における50%積算径は、図4の実施例1が107.5μmであり、図5の実施例6が13.66μmであり、図6の比較例2が11.76μmである。なお、実施例2〜5については、磨砕機における粉砕およびねり工程の条件が実施例1と同一であり、図4と同様の粒度分布図が得られた。
実施例1、実施例6、実施例7、比較例1、および比較例2について、固形分と油分との分離性の対比評価を行なった。結果を図2に示す。分離性の評価は、得られたねり胡麻それぞれについて、同量ずつ円柱状容器内に50℃で所定日数静置し、経過日数と、100×(油分層の厚み)/(沈殿物層と油分層との合計厚み)で定義される油分離度との関係をグラフ化した。なお、図2(a)は試験最終までの全データのグラフであり、図2(b)は図2(a)のデータを経過日数約50日まで取り出したデータのグラフである。実施例1、比較例1、および比較例2について、常温(25℃)において2か月静置後の分離具合を図3に示す。
図2と図3に示すように、実施例のねり胡麻は、比較例のねり胡麻と比較して、時間経過後も固形分と油分とが分離しにくく、難分離性であることが分かる。特に、通常のねり胡麻では、比較例1と比較例2に示すように粒度が大きいほど、分離速度が早く、油分離度も大きくなるが、実施例のねり胡麻は、粒度が粗いものであっても分離速度が遅く、油分離度も小さい結果となった。また、実施例7に示すように、脱皮していない黒胡麻を用いる場合も他の実施例と同様に、時間経過後も固形分と油分とが分離しにくく、難分離性であることが分かる。
また、味覚センサー(インテリジェントセンサーテクノロジー社TS−5000Z)を用いて、だし汁に対して実施例1のねり胡麻を添加した場合のコク増し効果を、比較例1のねり胡麻を添加した場合と、比較して検証した。このセンサーでは、先味苦味、先味渋み、先味旨み、後味旨み・コク、後味渋み、後味苦味、塩味、をそれぞれ数値化して評価できる。この結果、実施例1のねり胡麻は、比較例1のねり胡麻よりも、後味旨み・コクを増加できることが確認できた。
実施例1、実施例6、および比較例2について、柱状容器内に50℃で6ヵ月間静置後における沈殿物層の硬さを測定した。結果を図7に示す。この図において、縦軸が測定された硬さ(N)であり、横軸が沈殿物層におけるその全体厚みに対する沈殿層表面からの深さ(%)である。なお、深さ0%は、沈殿物層の表面である。測定には、直径16mmの円柱プランジャーを有するレオメータを用い、このプランジャーを速度1mm/secの条件で該沈殿物層の表面から80%の深さ位置まで進行させ、各深さにおける硬さを測定した。
図7に示すように、比較例2のねり胡麻は、相当に硬く、深さ20%の位置までしか測定できなかった。これに対して、各実施例のねり胡麻は、深さ80%の位置まで柔らかく、最大硬さとしても0.5N未満であった。
本発明のねり胡麻は、所定期間静置後においても固形分と油分とが分離しにくい難分離性であり取り扱い性に優れ、風味にも優れるので、各種食品に混ぜる・練り込むなどして使用できる。
S1 水洗および脱水工程
S2 焙煎工程
S21 1次工程
S22 2次工程
S3 粉砕およびねり工程

Claims (2)

  1. 胡麻を粉砕してペースト状にしてなるねり胡麻の製造方法であって、
    原料となる胡麻に対する、水洗および脱水工程と、焙煎工程と、粉砕およびねり工程とを備えてなり、
    前記焙煎工程は、加熱温度が異なる1次工程と2次工程の2段階の工程からなり、
    前記1次工程の条件は、加熱温度が120℃未満で、かつ、該1次工程後における胡麻処理物の全重量に対する水分量が4重量%未満であり、
    前記2次工程の条件は、加熱温度が前記1次工程の加熱温度よりも高く、かつ、200℃未満であることを特徴とするねり胡麻の製造方法。
  2. 前記水洗および脱水工程の前、または、前記水洗および脱水工程の後に、原料となる胡麻に対する脱皮工程を有し、
    該脱皮工程は、摩擦力で胡麻の皮を剥く工程であることを特徴とする請求項1記載のねり胡麻の製造方法。
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