以下の用語の定義は、本開示の記載および請求項に用いられる記述用語を明確化することを助け、その理解の補助を担う。
本明細書に用いられるように、
部品の「対向端」は、図1Aに示すように、円柱状またはその他の軸対称形状の対向する面を参照する。
部品の「外面」は、図1Aおよび1Bに図示するように、円柱またはその他の軸対称形状の側面の外面を参照する。
部品の「内面」は、図1Bに図示するように、中空円柱状またはその他の軸対称形状の内側の内面を参照する。
部品の「外半径/直径」は、図1Aおよび図1Bに図示するように、円柱状またはその他の軸対称形状の外面の半径/直径を参照する。部品の外面がその半径/直径が一定でない形状、例えば円錐状またはその他の軸対称形状である場合、半径/直径は、外面に対応する限りは任意のそのような半径/直径を参照してもよい。
部品の「内半径/直径」は、図1Bに図示するように、円柱状またはその他の軸対称形状の内面における半径/直径を参照する。部品の内面が一定でない半径/直径を有する形状、例えば円錐状またはその他の軸対称形状である場合、内半径/直径は、内面に対応するものである限りは、任意のそのような半径/直径を参照してもよい。
「同軸で組立てられた」部品とは、図1Cに図示するように、同対称軸を有するように部品を組み立てることを意味する。
「マスクシリンダー(mask cylinder)」または「マスキングシリンダー(masking cylinder)」は、可撓性層が形成される外面上用の、円柱状マスク用円柱状基板を参照する。
「鋳造シリンダー(cast cylinder)」または「鋳造シリンダー(casting cylinder)は、円柱状の型を参照する。
I.同軸部品を用いた鋳造
このセクションIに開示される態様は、回転式マスクを製造する方法および装置を含む。このセクションには、様々な他の方法および装置も含まれている。鋳造/成形プロセスおよび同軸鋳造部品を用いて回転式マスクの可撓性層を鋳造してもよく、これにより、回転式マスクにおける継ぎ目の存在を最小化または排除することを含む利益を提供することができる。このセクションの実施例には、他の様々な利点も含まれ得る。
さらにこのセクションIは、回転式マスクを製造するための同軸鋳造部品および組立体の使用を伴う任意のこのようなセクションを含むがこれに限定されない、本明細書の残りのセクションII〜VIの様々な態様にも適用可能であり、容易に実施可能である。例示目的として、限定する目的なく、このセクションIに開示される様々な態様は、回転式マスクの製造のために犠牲鋳造部品および同軸組立部品を使用することを伴う、本明細書のセクションIIの実施例に容易に適用可能である。
円柱状マスクを製造するには、ポリマー材料を円柱状マスクの可撓性外側層として用いることができる。本発明の実施形態では、鋳造プロセスを用いて、マスクシリンダーの外面にポリマーを鋳着することで可撓性外側層を形成して、シームレス外側層を生成してもよい。本発明の実施形態における鋳造プロセスは、鋳造シリンダーおよびマスクシリンダーを同軸に組立てること、および、マスクシリンダーを囲む鋳造物における空間に液体ポリマーを挿入することを伴ってもよい。次にポリマーを硬化し、鋳造シリンダーを外すことで、多種多様なデバイスの製造に用いることができるシームレス円柱状マスクを生成することができる。円柱状マスクのポリマー層は、例えば、ロールツーロールリソグラフィ、ロールツープレートリソグラフィなどによってパターニングし、基板に繰り返し転写可能なマスクパターンを形成してもよい。
本発明の実施形態では、円柱状マスクを製造する方法は、鋳造シリンダーおよびマスクシリンダーを同軸に組立てることと、鋳造およびマスクシリンダー間の空間に液体ポリマーを挿入することと、ポリマーを硬化することと、鋳造シリンダーを外すことを含んでいてもよい。この方法はさらにポリマーをパターニングすることを含んでいてもよく、これは鋳造シリンダーを外した後の追加工程であってもよく、あるいはその表面にパターンを有するシリンダーを用いて、シリンダーの表面と接触したときにポリマーにパターンが転写されるように、製造プロセスに組み込んでもよい。
本発明の実施形態では、鋳造シリンダーをマスクシリンダーの周りに組立てることは、マスクおよび鋳造シリンダーを円柱状マスクの製造中に決まった場所に保持する組立体装置の使用を伴ってもよい。組立体装置は鋳造プロセス中にシリンダーの同軸整列を維持するように設計されてもよく、円柱状マスクの外側可撓性層に対応するマスクシリンダーの周りに均一の厚さを有する円柱状の空間を生成してもよい。この取付具は、シリンダーが取付具と組立てられている間に液体ポリマー材料をこの空間に挿入することを可能とするように設計してもよい。
本発明の実施形態では、製造プロセスにおいてシリンダーの同軸整列を維持するために用いられる組立体装置は、プレートセットを備えてもよく、プレートはシリンダーの対向端でピンによって1つにまとめられている。プレートは、シリンダーの配置を決まった位置に保持するべく、シリンダーの側面に沿った溝、あるいはその他の手段を含んでいてもよい。プレートの1つには、液体ポリマーを通して円柱状マスクの外側可撓性層に対応する空間に注入することを可能とする穴、または他の手段を有していてもよい。
鋳造取付具は解体することで外してもよい。例えば、シリンダー間のポリマーが硬化した後、鋳造シリンダーをその外面から筒状に硬化されたポリマーまで、ポリマーを著しく損傷したり少量の鋳造シリンダー材料を残したりせずに下に長手方向に切ることで、2つ以上の部分に分離することができる。この切り込みは、のこぎり、化学エッチング、またはレーザによって行うことができる。鋳造シリンダーのこの部分は次に硬化ポリマーおよびそれぞれから分離することができる。
本発明の実施形態は、均一およびシームレスの外層を有するパターン形成された円柱状マスクを、様々なデバイスの製造のために、基板にマスクのパターンの繰り返しの転写を行うのに好ましい厚さおよび平滑性を有して生成することができる。
図2を参照すると、本発明の実施形態に係る、鋳造シリンダー204で囲まれるマスクシリンダー202の組立体200が図示されている。シリンダー202および204はそれぞれの軸206が合うように同軸に組立てられており、これによって、円柱状マスクの外側ポリマー層の形状を定めることができる、マスクシリンダーの周りの均一な厚さを有する円柱状領域208が形成される。シリンダー202および204は、それぞれの軸を合わせる組立体装置(図示せず)によって決められた位置に保持することができ、液体ポリマーを、例えば装置の開口または穴に流し込むなどの方法で組立体の円柱状領域208に挿入することを可能とする。ポリマー前駆体はシリンダー202および204の間の空間208に挿入してもよい。ポリマー前駆体はモノマー、ポリマー、部分架橋ポリマー、またはその他の液状または半液状のこれらの任意の混合物であってもよい。ポリマー前駆体を硬化して、円柱状マスクの外側ポリマー層を形成してもよい。ポリマーは、多種多様な方法によってマスクパターンでパターニングすることができる。例えば、鋳造シリンダー204の内面は、ポリマー材料の外面が鋳造シリンダー204の内面にあるパターンと一致するマスクパターンを有していてもよい。別の例として、マスクシリンダー202の外面は、マスクシリンダーに形成された後にポリマーの内面にそのパターンが転写されるマスクパターンを含んでいてもよい。別の例として、ポリマー材料は、その後の製造工程および鋳造シリンダー204の取り外し後に、様々なリソグラフィ法を用いてポリマーの外面をパターニングすることによってパターニングされてもよい。別の例として、パターンは上記のいくつかの組み合わせによってパターニングされてもよい。
図3を参照すると、本発明の実施形態に係る、シームレス円柱状マスクを製造するフローチャートが図示されている。円柱状マスク300の製造には、302で示すようにシリンダーを同軸で組立てることを含んでいてもよく、それは鋳造シリンダーおよびマスクシリンダーの両方の軸が同一になるように鋳造シリンダーおよびマスクシリンダーを組立てることを伴ってもよい。鋳造シリンダーは、シリンダーの間に空間が残るように、マスクシリンダーの外径よりも大きい内径を有する中空の円柱であってもよい。この直径の差は、Dcastが鋳造シリンダーの内径を示し、Dmaskがマスクシリンダーの外径を示すとき、円柱状マスクの可撓性層の厚さTは
または直径の差の半分であるように、マスクの外側可撓性層の厚さを定めることができる。厚さTは、上記等式に対応する必要な直径を有するシリンダーを用いることで、様々な用途特有な条件に併せて選択することができる。製造方法300はまた、304に示すように、ポリマー前駆体を、マスクシリンダーの外面を囲む鋳造シリンダー内の空間に挿入することを含んでもよい。ポリマー前駆体の挿入は、例えば、組立シリンダーの上部を介してそれらの間の空間に液状または半液状ポリマー前駆体を流し込むことで行うことができる。ポリマー前駆体の挿入は、シリンダー間の空間にポリマー前駆体材料が導入されるのであれば、他の方法でも行うことができる。好ましくは、実質的にこの空間をポリマーで充填すべきである。円柱状マスク300を製造する方法はまた、306で示すように、ポリマー前駆体を硬化してポリマー層を形成することを含んでいてもよい。ポリマー前駆体を硬化することは、組立体に紫外線照射、加熱、およびその他の硬化処理を行うことでポリマーを硬化することを伴ってもよい。ポリマーが硬化した後、方法300はさらに、308に示すように、鋳造シリンダーを外すことを含んでもよく、これによって硬化ポリマーに対応する可撓性外側層を有する円柱状マスクが残る。方法300はさらにポリマーをパターニングすることを含んでいてもよく、これは、例えば、鋳物を外した後に可撓性層の外面をパターニングする、または、ポリマーのパターニングが他の製造工程に組み込まれるように、製造プロセスでパターン形成されたシリンダーを用いることで得ることができる。
なお、鋳造シリンダーがマスクシリンダーの外側且つ周りに組立てられているように示されているが、逆の構成も可能である。このような実施例の場合、鋳造シリンダーの外面がパターニングされてもよく、鋳造シリンダーを外すときに鋳造シリンダーの外面のパターンのネガがマスクシリンダーの内面上のポリマー材料に転写される。
なお、鋳造シリンダーの取り外しは多種多様な方法で行うことができる。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーは、のこぎり、レーザ、湿式または乾式エッチング、もしくはその他の手段で切断することができる。鋳造シリンダーを切断するとき、下にあるポリマー層を傷つけないように気をつける必要がある。鋳造シリンダーを切断するのにレーザを用いる場合、鋳造シリンダーの内面に特別な層を被着させてエッチング停止層(etch stop layer)として作用させることができ、この層は鋳造シリンダー材を切断するのに用いる光を反射するものであるべきである。切断は、後でポリマー表面から鋳造シリンダーを剥離するのを容易にするために、1つ以上の切断線を用いて行ってもよい。鋳造シリンダーが切断された後、機械的にポリマー表面から剥がすことができる。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーはポリマーまたはその中にあるマスクシリンダーをエッチングしないエッチング薬品を用いて化学的にエッチングすることで除去してもよい。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーは組立ての前に、硬化後に鋳造シリンダーをポリマー表面から滑り外すことができるように、低摩擦コーティングまたはその他の剥離コーティングで処理しておいてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーの熱膨張率がポリマーのものより大きい場合、鋳造シリンダーを膨張させるために鋳造シリンダーを加熱して滑り取ってもよい(ポリマーがこのような温度に耐えられる場合)。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーを均一のコーティングで処理してもよく、ポリマー硬化後にそれを溶解して鋳造シリンダーをポリマー表面から滑り取ってもよい。鋳造シリンダーは他の手段によっても外すことができ、そのようなその他の除去手段は本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は請求項に明記されない限り、任意の特定の方法に制限されるものではない。
図4を参照すると、本発明の実施形態に係る組立体装置の例を詳細に示している。図4Aには、本発明の実施形態に係るシームレス円柱状マスクを製造するのに使用可能な組立体装置400全体が図示されている。装置400はピン406で1つにまとめられているプレート402を備えていてもよい。プレート402は、シリンダーの対向端(図示せず)で1つにまとめられていてもよく、ピン406は好ましくはシリンダーの軸と一列になっている。例示として、第1プレート402aは組立時に上部プレートとして合わせることができ、第2プレート402bは底部プレートとして合わせることができる。第1プレート402aはさらに、ポリマーをシリンダー間の空間に注ぎ込むために通す穴を備えていてもよい。プレートはさらに、マスクシリンダーおよび鋳造シリンダーの側壁の位置と揃っており、それらを決まった位置に保持することを容易にする溝410を備えていてもよい。
図4Cは、本発明の実施形態に係る第1プレート402aの上面図を図示する。穴408の位置はマスクシリンダーを囲む鋳造シリンダーの中の空間に対応してもよい。図4Cに示すように、本発明の実施形態における円柱状マスクの製造中に、第1溝410aはマスクシリンダー412と位置あわせされてもよく、第2溝410bは鋳造シリンダー414と位置あわせされてもよい。図4B〜4Cに示す実施形態では、穴408は溝410aおよび410bの間に、マスクシリンダー412および鋳造シリンダー414の表面が並ぶところに位置し、2つのシリンダー間の空間にポリマー前駆体416を注ぎ込むのをより容易にしている。なお、穴408は組立体装置をポリマー前駆体416が挿入されることを可能とする任意の多種多様な形状、パターン、穴の数等で設計されてもよく、図4Cに示す穴は図示目的のみで提供されている。さらに、円形のプレートが全般的に図示されているが、他の形状も用いることができ、図面に示されるプレートは図示目的のみである。
図4Dは、本発明の実施形態に係るプレート402の平面図である。プレート402は、円柱状マスクの製造中に装置400がシリンダーを決まった位置に保持することができるように溝410を含んでいてもよい。プレート402は、本発明の実施形態の円柱状マスクの製造中に、マスクシリンダーと位置あわせする第1溝410aおよび鋳造シリンダーと位置あわせする第2溝410bとを含んでいてもよい。なお、溝410は円柱状マスクの製造に用いられるシリンダーによって任意の多種多様な形状およびパターンで設計されてもよく、図面に示される溝は例示目的のみで提供されている。また、第1プレート402aおよび第2プレート402bの両方が、図4A〜4Dに示すように、シリンダーの配置を決められた位置に保持するための溝を有していてもよい。
図5A〜5Dを参照すると、本発明の実施形態に係る、円柱状マスクを製造するプロセスフローが図示されている。図5Aでは、シリンダーを決められた位置に保持してそれらの中心軸を位置あわせする組立体装置を用いて、鋳造シリンダー504がマスクシリンダー502の周りに同軸に組立てられて組立体506を成形する。図5Aでは、取付具は第1プレート508a、第2プレート508b、およびプレート508に取付可能であり、シリンダー502および504の対向端でそれらを1つにまとめることが可能なピン510を含む。シリンダー502および504は、例えば、ガラス、金属、ポリマー、またはその他の材料などの多種多様な材料からなってもよい。
マスクシリンダー502は、UVまたはシリンダーマスクを採用するフォトリソグラフィプロセスに用いられるその他の放射線を透過する材料からなることが好ましい。マスクシリンダー502の材料の例としては溶融シリカが含まれる。鋳造シリンダー504は鋳造が成功するための安定した寸法を有し、除去プロセスを受けることができる材料からなることが好ましく、例えば、上記のとおりである。鋳造シリンダーはUVまたはその他の放射線を透過してもよいが、全ての実施形態においてそのように構成されなくてもよい。
鋳造シリンダー504の内面は円柱状マスクの外面にある可撓性層のための所望のパターンに対応するマスクパターンを、図5に図示する鋳造プロセス中にポリマーがパターニングされるように含んでいてもよい。同様に、マスクシリンダー502の外面は円柱状マスクの内面の可撓性層のためのマスクパターンを有していてもよい。あるいは、シリンダー502および504の表面はパターンを有さず、ポリマーの外面が、可撓性層が形成された後に様々なリソグラフィ法によってパターニングされてもよい。図5Bでは、鋳造シリンダー504の内面とマスクシリンダー502の外面との間のシリンダーの間の空間に液体ポリマー512を挿入してもよい。例示として、ポリマー前駆体512の挿入は、取付具を介して組立体506上に注ぎ、トッププレート508aに残る開口514を通してマスクシリンダーを囲む鋳造シリンダーの中の空間に注ぐことで得られる。図5Cでは、ポリマーは、例えばUV照射、温度処理、またはその他の硬化手段516を組立体506に施すことで硬化する。図5Dでは、鋳造シリンダー504は硬化ポリマー518から外され、可撓性外側層として円柱状マスク520を硬化ポリマー518と共に残す。パターン形成されたシリンダーを製造プロセスで用いなかった場合、図5のプロセスはさらに、鋳造シリンダー504を外した後に、可撓性外側層518の外面を所望のマスクパターンでパターニングすることを含んでもよい。
なお、パターンはポリマーの表面、好ましくは接触リソグラフィ用に外面において形成して、円柱状マスクを基板へのパターン転写で用いられるようにするべきである。本発明の実施形態では、ポリマーの外面を多種多様な手段でパターニングすることができる。本発明の実施形態では、液体ポリマーで鋳型を充填する前にマスクパターンを鋳造シリンダーの内面に設けて、マスクシリンダーの鋳造中にマスクパターンがポリマーの外面に転写されるようにしてもよい。他の実施形態では、ポリマーの外面は鋳造シリンダーを外した後にパターニングしてもよい。選択されたパターニングの方法にかかわらず、マスクパターンを形成するときはステッチエラーを避けてパターンがシームレスになるように注意するべきである。したがって、本発明の実施形態の円柱状マスクはシームレス可撓性層だけではなく、可撓性層の表面上にシームレスパターンを有することが好ましい。
なお、鋳造シリンダーの内面のパターニングまたはマスクシリンダーの外面のパターニングは、本発明の実施形態に係る多種多様な技術を用いて行うことができる。例えば、シリンダーの内または外面は、本明細書のセクションIII、および、その開示全体が参照によって引用される、本願の譲受人に譲られて同時係属中である2012年5月2日に出願された特許出願第61/641,650号(代理人整理番号RO−014−PR)に記載されるように、より小さなマスターマスクで連続的にインプリントすることでパターニングされてもよい。別の例として、ナノインプリントリソグラフィ、ナノコンタクトプリンティング、フォトリソグラフィなどの任意の多種多様な周知技術を用いて、シリンダー表面をパターニングすることができる。別の例として、シリンダー表面は陽極酸化処理を用いてパターニングすることができる。これは、例えば、アルミニウムからなる鋳造シリンダーを用いることで得ることができる。陽極酸化するためのアルミニウム表面は、例えば、アルミニウム層をシリンダーの表面に被着することで代替的に提供することができる。続いて、そのアルミニウム表面に陽極酸化処理によってナノ多孔性表面を生成することができる。別の例として、ナノ粒子またはナノ球体の自己組織化によって内面のパターニングを行うことができる。ナノ粒子またはナノ球体は、浸漬法、噴霧法、またはその他の方法を用いて懸濁液から被着することができる。乾燥後、シリンダー材料をこれらナノ粒子またはナノ球体をエッチングマスクとして用いてエッチングしてもよく、その後にこのようなエッチングマスクを外すまたはエッチング除去してもよい。
鋳造シリンダーを外した後の、円柱状マスクの外面上のポリマーのパターニングは、本発明の実施形態に係る多種多様な方法を用いて行うことができる。例えば、ポリマーの外面は、上記のように、本明細書のセクションIII、および本願の譲受人に譲られて同時係属中である、特許出願第61/641,650号(代理人整理番号RO−014−PR)に記載されるように、より小さなマスターマスクで連続的にインプリントすることでパターニングされてもよい。別の例として、ポリマーの外面は、ナノインプリントリソグラフィ、ナノコンタクトプリンティング、フォトリソグラフィ、ナノスフィアリソグラフィ、自己組織化、干渉リソグラフィ、アルミニウム陽極酸化法等、任意の多種多様な周知技術を用いてパターニングされてもよい。
また、円柱状マスクの可撓性層は単一のポリマー層に限定されず、異なる性質を有する多層ポリマーを含んでもよい。本発明の実施形態は、円柱状マスクの可撓性外側層のための2層ポリマーを形成することを含んでもよい。2層ポリマーの最外層は、より柔らかい最内ポリマー層よりも高い耐久性を有するより硬い層であってもよく、これによって柔軟性ポリマー層でできるものよりも高解像度または高アスペクト比のナノ構造のパターニングを可能とする。鋳造シリンダーの内面は、製造の最後に最外ポリマー層からの取り外しを容易にするために剥離コーティングで前処理してもよい。2層ポリマーを形成することは、最外層の液体ポリマーを鋳造シリンダーの内側のパターン形成された表面に被着することを伴ってもよい。2層ポリマーを得るには、単層緩衝材と同様に、鋳造シリンダーの取り外し後に外面をパターニングしてもよい(鋳造シリンダーの内側をパターニングする代わりに)。硬いポリマー層は次に、例えば、温度処理、UV照射、またはその他の手段によって硬化することができる。硬化後、他のより柔らかい最内ポリマー層への粘着を促進するために、この硬いポリマー層の内面を表面処理してもよい。表面処理は、例えば、プラズマ処理、コロナ放電、粘着コーティングの被着、またはその他の手段によって行われてもよい。次に、より柔らかい最内ポリマー層を、上記の単層ポリマーの方法と同様に形成することができる。また、以前に製造されたポリマー層の外面上に新しいポリマー層を鋳着することによって、ここに記載される鋳造プロセスを連続的に繰り返して多層円柱状マスクを形成することもできる。この場合、前の鋳造シリンダーを外した後、新しいポリマー層用に以前に製造されたポリマー層の外面と新しい鋳造シリンダーの内面の間に空間を残すように、毎回、より大きな鋳造シリンダーを用いるべきである。
2つ以上のポリマー層を用いる実施形態では、前のパターンを被覆する材料および前のパターンの両方の光学指数がその指数で一致することが好ましい。また、結果として得られたマスクを用いるフォトリソグラフィツールが、増加する直径を有するマスクに対応するように構成されることが好ましい。
図6を参照すると、本発明の実施形態に係る、その外側可撓性層として2層ポリマーを有する円柱状マスクを形成するためのより詳細なプロセスフローを図示している。例示として、2層ポリマーである可撓性外側層を有する円柱状マスクを製造することは、図6Aに図示するように、鋳造シリンダー602の内面をパターニングすることを含んでもよい。パターニングされた内面はその後に、図6Bに示すように、剥離コーティング604で処理してその後の最外ポリマー層の外面から鋳造シリンダーを剥離することを容易にしてもよい。図6Cでは、多層可撓性外側積層体の最外層を形成するために鋳造シリンダーの内面に液状ポリマー材料606が被着される。
ポリマーはいくつかの周知の方法によって被着されてもよい。例示目的であり、限定目的ではなく、ポリマーを浸漬、超音波噴霧、マイクロジェットまたはインクジェット型調剤、あるいは回転と組み合わせた浸漬によって被着してもよい。
ポリマー材料606は、好ましくはより硬いポリマー、例えば、その開示が参照によって本明細書に引用される、Truong,T.T.et al、Soft Lithography Using Acryloxy Perfluoropolyether Composite Stamps.Langmuir 2007,23,(5),2898−2905に記載のh−PDMSであってもよい。より耐久性のある外側層を用いることで、円柱状マスクの外側積層体として、単層ポリマーに行うことが可能なより高い解像度またはより高いアスペクト比のナノ構造のパターニングを可能とする。図6Dでは、最外ポリマー層606はUV照射、温度処理、またはその他の硬化処理608aによって硬化される。図6Eでは、ポリマー層間の粘着を促進するために、硬化の後に外側ポリマー層606の内面の表面処理を、例えば、プラズマ処理、コロナ放電、粘着コーティングの被着、またはその他の手段によって行ってもよい。図6Fでは、外側ポリマー層606をその内面に有する鋳造シリンダー602は、ピン614によってシリンダー602および610の対向端に1つにまとめて保持されているプレート612を有する組立体装置を用いてマスクシリンダー610の周りに組立てられている。図6Gでは、液体ポリマー618が鋳造シリンダーの中に、装置の上面プレート612aにある穴または開口620を介して注入される。液体ポリマー618は外側ポリマー層よりも柔らかくてもよい内側ポリマー層と対応してもよく、液体ポリマー618は鋳造シリンダー602の内面とマスクシリンダーの外面との間、より具体的には外側ポリマー層の内面とマスクシリンダーの外面との間の空間の空間に挿入される。図6Hでは、内側ポリマー層618は硬化手段608bを適用することで硬化され、これは組立体616に対するUV照射、加熱、またはその他の手段であってもよい。図6Iでは、鋳造シリンダー602が外され、マスクシリンダー610の外面に内側ポリマー層618および外側ポリマー層606を備える可撓性外側層を有する円柱状マスク622を残す。円柱状マスク622は、図6Aの工程で鋳造シリンダー602の内面に塗布されたマスクパターンに対応するパターン形成された外面を有する。
さらに、ポリマー層(複数可)の厚さは様々な用途特定条件によって変動してもよい。ポリマー層(複数可)の厚さは、好ましくは約0.5mm〜5mmの範囲内であるが、その必要があるわけではない。2層ポリマーが用いられるとき、より柔らかい最内層が比較的厚く、例えば、約0.5〜5mmの範囲内であってもよく、より硬い最外のパターン形成された層は、比較的薄く、例えば、約0.5〜10μmの範囲内であってもよい。
さらに、円柱状マスクを製造するためのポリマーは、例えば、Dow Corning(登録商標)社製のSylgard(登録商標)184、h−PDMS(「硬い」PDMS),ソフトPDMSゲルなどのポリジメチルシロキサン(PDMS)材料であってもよい。2層のポリマーが用いられる場合、例えば、柔らかい内側ポリマーはソフトPDMSゲルであってもよく、外側層はSylgard(登録商標)184であってもよい。別の例として、内側層がSylgard(登録商標)184で、外側層はh−PDMSであってもよい。なお、多種多様な他のエラストマー性およびポリマー材料を用いて円柱状マスクを製造してもよく、これらは本発明の範囲内である。他の使用可能なポリマーとしては、例えば、そのいくつかがNew Jersey州のCramburyにあるNorland products社から入手可能な、例えばメルカプトエステル系接着剤などの光学接着剤、ペルフルオロポリエーテル、またはその他のUV硬化可能または熱硬化可能ポリマーなどが挙げられる。
また、本発明の実施形態におけるポリマーの硬化に用いられる手段は、硬化されるポリマーの種類、用いられるシリンダー材料、およびその他の要因によってもよい。例えば、硬化はUV照射またはその他の手段を用いて熱的に行うことができる。
さらに、当業者であれば、本発明の教示から逸脱することなく、組立体装置の設計の様々な変形、またはシリンダーの配置を定められた位置に保持する方法を想到することができるであろう。
また、本発明は様々な基板およびデバイス用の様々な異なるパターンを形成するのに用いることができる。パターンには、異なる大きさの寸法を有する特徴を備えていてもよく、好ましくはマイクロまたはナノスケールの特徴を備えてもよく、より好ましくはナノスケールの特徴を備えてもよい。
本発明の実施形態は、「ローリングマスク(rolling mask)」ナノリソグラフィで知られるリソグラフィの種類と合わせて用いられてもよい。「ローリングマスク」近接場ナノリソグラフィシステムの例が、例えば、本明細書に参照によって引用される、本願の譲受人に譲られた国際特許出願公開第WO2009094009号に記載されている。このようなシステムの例を図7に示す。「ローリングマスク」は、光源712を含有する中空円柱711の形状のガラス(例えば、石英)フレームの形態であってもよい。上記の、シリンダー711の外面に形成されたエラストマー性フィルム713は、基板715に形成される所望のパターンにしたがって製造されたナノパターン714を有してもよい。ナノパターン714は位相シフト暴露を実施するように設計されてもよく、このような場合、ナノ溝、柱または柱状体のアレイとして製造されるか、任意の形状の特徴を含んでいてもよい。
例示目的で、限定する目的なく、シリンダー711上のナノパターン714は、約50ナノメートルの線幅および約200ナノメートル以上のピッチを有する平行線の形態の特徴を有していてもよい。一般的に、線幅は約1ナノメートル〜約500ナノメートルの範囲であってもよく、ピッチは約10ナノメートル〜約10ミクロンの範囲内であってもよい。ここに記載の例ではナノパターン714が一定間隔の平行線の形態であるが、ナノパターンは一定間隔および任意の形状を有する点を有する、一定に繰り返される2次元パターンであってもよい。さらに、パターン特徴(線または任意の形状)は不等間隔であってもよい。
シリンダー711のナノパターン714は、例えば基板715にコーティングされたフォトレジストなどの感光材料716と接触させられる。感光材料716は光源712からの放射線に暴露され、シリンダー711のパターン714はナノパターンが感光材料と接触する場所にて、感光材料716に転写される。基板715は、シリンダーが回転すると、ナノパターン714が感光材料と接触したままになるように翻訳される。感光材料の性質によって、放射線に暴露されるパターンの部分が除去可能または除去不可能になるように放射線と反応してもよい。
例示として、感光材料がポジ型フォトレジストとして知られる種類のフォトレジストである場合、光に暴露される材料の一部は現像剤に可溶となり、暴露されない材料の部分は現像剤に不可溶のままとなる。反例として、感光材料がネガ型フォトレジストで知られる種類のフォトレジストである場合、光に暴露される材料の一部は現像剤に不可溶となり、暴露されない部分の材料はフォトレジストによって溶かされる。
本発明の特定の実施形態では、感光材料716は基板をシリンダー711の前を2回以上通ることで暴露されてもよい。ピッチおよび線幅の充分に小さい値を得るために、1回通った結果として得られる暴露の線形パターンはそれぞれと並ぶようにはならない。結果として、一通過で得られた線は前の通過の際の線の間に生成される傾向がある。ピッチ、線幅、および通過の回数を慎重に選択することで、シリンダー711上のパターン714に含まれる線のピッチよりも小さいピッチを有する感光材料716の線のパターンを結果として得ることができる。
ポリマーをパターニングするとき、パターンにステッチエラーを避けるように注意するべきである。好ましくは、本発明の実施形態における円柱状マスクの製造は、シームレスパターンをシームレスポリマー層にパターニングすることを伴う。これによって、可撓性外側層自体がシームレスであり、可撓性層の表面に含まれるパターンもシームレスであるため、基板に繰り返しパターニングするときに円柱状マスクを使う際、基板に継ぎ目が転写されることを防ぐことができる。
さらに、本発明の実施形態は軸対称であるが円柱状でないローリングマスク、例えばその形状が円錐台形であるマスクの製造に適用されてもよい。このような場合、マスク素子および鋳造素子も、1つ以上のピンで1つにまとめられているプレートと同軸上に並べられてもよい。同軸上に組立てられた場合、マスク素子および鋳造素子の対向する表面は同様の形状および同一のアスペクト比を有し、それらの間の実質的に均一な厚みの空間が定められてもよい。
II.犠牲部品を用いた鋳造
このセクションIIの開示の態様は、犠牲鋳造部品を用いて回転式マスクを製造する方法および装置を含む。様々な他の方法および装置もこのセクションに含まれる。このセクションの態様に係る犠牲鋳造部品をパターン形成された鋳造部品と合わせて用いて回転式マスク用の可撓性層を鋳造してもよく、それよって表面のパターンを傷つけることなく、将来的に使用するパターン形成された鋳造部品を保全することを含む利益を与えることができる。このセクションの実施に対して他の様々な利点もあるであろう。
さらにこのセクションIIは、回転式マスクを製造するための同軸鋳造部品および組立体の使用を伴ういかなる任意のセクションを含むがそれに限定されない、本明細書の残りのセクションIおよびIII〜VIの様々な態様に適用可能および容易に実施可能である。例示目的であり、限定する目的なく、このセクションIIの開示の様々な態様は、多層回転式マスクの製造のために同軸組立部品の使用を伴う、本明細書のセクションVIに容易に実施可能である。
本開示の態様は様々なパターン部品組立体およびパターン部品組立体を有する「ローリングマスク」リソグラフィ用の近接場光リソグラフィマスクを製造するための方法を記載する。ローリングマスクリソグラフィでは、円柱状マスクはポリマーでコーティングされ、位相シフトリソグラフィまたはプラズモニックプリンティングのマスクを得るための所望の特徴でパターニングされる。ポリマーにパターニングされる特徴は、本願に記載のパターン部品組立体の使用を通してパターニングされてもよい。パターン部品は、約1ナノメートル〜約100ミクロンの範囲内、好ましくは約10ナノメートル〜約1ミクロン、より好ましくは約50ナノメートル〜約500ナノメートルの大きさのパターン特徴を備えていてもよい。円柱状マスクは、約1ナノメートル〜約1000ナノメートル、好ましくは約10ナノメートル〜約500ナノメートル、より好ましくは約50ナノメートル〜約200ナノメートルの範囲内の大きさの特徴を印刷するのに用いてもよい。
本開示の第1の態様は、第1の直径を有する円柱状パターン部品および第2の直径を有する犠牲鋳造部品を備える円柱状マスター型組立体を記載する。第2の直径は第1の直径よりも小さくてもよい。パターン特徴は円柱状パターン部品の内面に形成されてもよく、犠牲鋳造部品は円柱状パターン部品の内部に同軸で挿入されてもよい。続いて、ポリマー材料をパターン部品と犠牲鋳造部品との間の空隙に充填して円柱状マスクを形成してもよい。犠牲鋳造部品は、ポリマーが硬化された後に取り外してもよい。本開示の特定の態様によれば、犠牲鋳造部品は円柱状マスクを取り外せるように破砕してもよい。また、本開示の特定の態様では、円柱状マスクを取り外せるように犠牲鋳造部品を変形可能に提供する。
本開示の追加態様によれば、円柱状マスター型組立体は第1の直径を有する円柱状パターン部品と第2の直径を有する犠牲鋳造部品とを備えていてもよい。第2の直径は第1の直径よりも大きくてもよい。パターン部品は外面上に形成されるパターン特徴を有していてもよい。パターン部品は犠牲鋳造部品に同軸に挿入されてもよい。続いて、パターン部品と犠牲鋳造部品との間の空隙をポリマーで充填してもよい。ポリマーが硬化した後に犠牲鋳造部品を取り壊してもよく、それによりパターン部品上に円柱状マスクが残る。その後、円柱状マスクをパターン部品から剥がしとってもよい。
さらなる態様によれば、円柱状マスクは内半径を有する円柱状エラストマー部品と、外半径を有す堅固な透明円柱状部品とを備えていてもよい。ガスリテーナは、エラストマー部品の内面と堅固な透明円柱状部品の外面の間にガス体積を保持するように構成される。エラストマー部品は主要面を有し、その主要面にはナノパターンが形成されている。堅固な透明部品の外半径は、円柱状エラストマー部品内に収まるように大きさが定められている。
いくつかの実施例では、ガスリテーナは2つのシールを備えていてもよい。各シールは、ガス体積の対応する端を密閉する。このようなシールは、Oリングまたはガスケットの形状であってもよい。
いくつかの実施例では、ガス体積はエラストマー部品の主要面と堅固な透明円柱状部品の主要面との間に設けられた空気袋によって保持されてもよい。
いくつかの実施例では、ナノパターンが形成された円柱状エラストマー性部材の主要面は外側円柱状面である。
本願の出願者は「ローリングマスク」近接場ナノリソグラフィシステムを以前に、ここに参照によって引用される、国際特許出願公開第WO2009094009号に記載している。実施形態の1つを図7に示す。「ローリングマスク」は中空シリンダー711の形状を有するガラス(例えば、溶融シリカ)フレームからなり、光源712を含有する。シリンダー711の外面に積層されたエラストマー性円柱状ローリングマスク713は、所望のパターンにしたがって製造されたナノパターン714を有する。ローリングマスク713は放射線感光材料716でコーティングされた基板715と接触させられる。
ナノパターン714は位相シフト暴露を実施するように設計されていてもよく、このような場合、ナノ溝、柱または柱状体のアレイとして製造されるか、任意の形状の特徴を含有していてもよい。あるいは、ナノパターンはプラズモニックプリンティングのためのナノ金属アイランドのアレイまたはパターンとして製造されてもよい。ローリングマスク上のナノパターンは、約1ナノメートル〜約100ミクロン、好ましくは約10ナノメートル〜約1ミクロン、より好ましくは約50ナノメートル〜約500ナノメートルの範囲の大きさの特徴を有することができる。ローリングマスクは、約1ナノメートル〜約1000ナノメートル、好ましくは約10ナノメートル〜約500ナノメートル、より好ましくは約50ナノメートル〜約200ナノメートルの大きさの範囲の特徴をプリントするのに用いることができる。
ローリングマスク713上のナノパターン714は、円柱状マスター型組立体を用いて製造されてもよい。本開示の態様は、円柱状マスター型組立体、およびローリングマスク713上のナノパターンを形成する方法について記載する。
図8Aは、マスター型組立体800の俯瞰図である。マスター型組立体800は、円柱状パターン部品820と、犠牲鋳造部品830とを備える。円柱状パターン部品820は、第1の半径R1を有していてもよく、犠牲鋳造部品830は第2の半径R2を有していてもよい。本開示の第1の態様によれば、R1は、犠牲鋳造部品830を円柱状パターン部品820の内部に、空間840をその間に設けて同軸に挿入され得るよう、R2よりも大きくてもよい。
パターン部品820は、例えば、赤外線、可視および/または紫外線の波長を有する光放射を透過する材料からなってもよい。例示目的であり、限定する目的なく、シリンダーは溶融シリカなどのガラスであってもよい。なお、溶融シリカは半導体製造産業においては一般的に「石英」として参照される。石英は俗称であるが、「溶融シリカ」がよりよい表現である。技術的に、石英は結晶質であり、溶融シリカは非晶質である。図8Bに見られるように、パターン部品820の内面は、円柱状マスク713上のナノパターン714を形成するのに用いられる所望のパターン825でパターニングされてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、パターン825は構成された多孔マスクまたは自己組織化単分子膜(SAM)マスクと、本明細書のセクションIVおよび本願譲受人に譲り受けられ、その全体が参照によって本明細書に引用される、2013年1月31日に出願された名称「CYLINDRICAL MASTER MOLD AND METHOD OF FABRICATION(円柱状マスター型および製造方法)」の米国特許出願第13/756,348号(代理人整理番号RO−018−US)に記載されるフォトリソグラフィ技術と合わせて用いて形成されてもよい。
犠牲鋳造部品830は、円柱状ローリングマスク713が硬化された後にナノパターン714を傷つけることなく取り外せるべきである。本開示の態様によれば、犠牲鋳造部品830は、容易に取り壊すことができる材料から形成された薄壁シリンダーであってもよい。例示目的であり、限定する目的なく、材料は、ガラス、砂糖、またはPiccotex(商標)などの芳香族炭化水素樹脂、またはPiccolastic(商標)などの芳香族スチレン系炭化水素樹脂であってもよい。Piccotex(商標)およびPiccolastic(商標)は、Tennessee州のKings PortにあるEastman Chemical Company社の商標である。例示目的であり、限定する目的なく、犠牲鋳造部品830はおよそ1〜10mmの厚さ、またはここに含まれる任意の厚さ範囲内、例えば、2〜4mmの厚さを有していてもよい。円柱状マスク713のナノパターン714は犠牲鋳造部品830の表面に位置しておらず、そのため、ナノパターン714は取り外しの際に損傷を受けにくい。本開示の追加の態様によれば、犠牲鋳造部品830はパターン部品820または円柱状マスク713を傷つけない溶媒によって溶解された材料からなってもよい。例示として、適切な溶解可能な材料は、砂糖系材料であってもよく、溶媒は水であってもよい。犠牲鋳造部品830を取り壊す代わりに溶解することで、ナノパターン714に追加の保護を提供することができる。
本開示のさらなる追加の態様によれば、鋳造部品830は、プラスチックまたはアルミニウムなどの展性材料からなる薄壁密閉シリンダーであってもよい。犠牲鋳造部品830を取り壊す代わりに、シール部品を、シリンダー内の空気を逃がして部品を倒すことによって取り外してもよい。さらに本開示の別の態様によれば、犠牲鋳造部品830は弾性材料からなる空気圧シリンダーであってもよい。空気圧シリンダーに適切な弾性材料の例としては、プラスチック、ポリエチレン、Delaware州のWilmingtonにあるE.I.du Pont de Nemours and Company社の登録商標であり、Teflon(登録商標)の名称で販売されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられるが、これに限らない。成形プロセスの間、犠牲鋳造部品830を膨張させてシリンダーを形成して、円柱状マスク713が硬化した後に鋳造部品830の空気を抜いて円柱状マスクを傷つけることなく外してもよい。いくつかの実施例では、このような空気圧シリンダーは、例えば製造にかかる費用が低いおよび簡単に洗浄できるかによって、再利用または使い捨てとしてもよい。
図9に示すように、本開示の態様は、円柱状マスク713を形成するための円柱状マスター型組立体800を用いてもよいプロセス900を記載する。最初に、960において、犠牲鋳造部品830を円柱状パターン部品820に同軸で挿入してもよい。次に、犠牲鋳造部品830および円柱状パターン部品820の間の空間840を、硬化したときに961でエラストマー性材料を形成する液状前駆体で充填する。例示目的であり、限定する目的なく、材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。
次に、962では、円柱状マスク713として作用するエラストマー性材料を形成するために、液状前駆体を硬化する。例示として、硬化プロセスは光放射への暴露を必要とする場合がある。放射源は、犠牲鋳造部品830が液状前駆体を硬化するように必要な放射の波長を透過する場合、マスター型組立体800内に同軸で設けてもよい。あるいは、放射源をマスター型組立体800の外に設けて、暴露は円柱状パターン部品820を通して行ってもよい。円柱状マスク713が硬化すると、犠牲鋳造部品830を962で外してもよい。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造部品830は破砕、溶解、空気抜けまたは崩壊によって取り外してもよい。
図10Aは、本開示の追加の態様に係る円柱状マスター型組立体1000の俯瞰図である。示されるように、円柱状パターン部品1020は第1の半径R1を有していてもよく、犠牲鋳造部品1030はR1よりも大きい第2の半径R2を有していてもよい。円柱状マスター型組立体1000は、犠牲鋳造部品1030の中に同軸に円柱状パターン部品1020を挿入して、2つの部品の間に空間1040を残すことで形成される。
パターン部品1020は、例えば赤外線、可視および/または紫外線の波長の光放射を透過する材料からできていてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、シリンダーはガラス、例えば石英であってもよい。図10Bの斜視図に示すように、パターン1025は円柱状パターン部品1020の外面に形成される。例示目的であり、限定する目的なく、パターン1025は電子ビーム直接書き込み、遠紫外線リソグラフィ、ナノスフィアリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、近接場位相シフトリソグラフィ、およびプラズモニックリソグラフィなどのナノリソグラフィ技術によって形成されてもよいが、これに限定されない。
犠牲鋳造部品1030は、円柱状ローリングマスク713が硬化された後に、ナノパターン714を傷つけることなく外すことができる。本開示の態様によれば、犠牲鋳造部品1030は、容易に破砕することができる材料から形成される薄壁シリンダーであってもよい。例示目的であり、限定する目的なく、材料はガラスであってよい。円柱状マスク713のナノパターン714は犠牲鋳造構成部品1030の表面に位置せず、したがってナノパターン714は外される際に傷を受けにくい。本開示の追加の態様によると、犠牲鋳造部品1030は、パターン部材1020または円柱状マスク713を傷つけない溶媒によって溶解された材料から製造されてもよい。例示として、適切な溶解可能材料は砂糖系材料であってよく、溶媒は水であってもよい。破砕する代わりに犠牲鋳造部品1030を溶解することで、ナノパターン714に追加の保護を提供することができる。
犠牲鋳造部品1030が外された後に、円柱状マスク713は図10Cに示すようにパターン部品1020上に残る。円柱状マスク713をパターン部品1020から外すには、円柱状マスク713をそれ自体から引き剥がしてもよい。パターン部品1020の一端から始まって、円柱状マスクは、それ自体の上をパターン部品1020の軸と平行の方向に引っ張り戻され、ナノパターン714が形成された内面が曝される。図10Dは円柱状マスク713が部分的に剥がされた時点での除去プロセスを図示する。円柱状マスク713は、除去プロセス中にそれ自体に折り返されるために、比較的薄く、例えば、厚さ4ミリメートル以下であるべきである。このように、第1および第2の半径間での差は4ミリメートル以下であるのが好ましい。円柱状マスク713全体がパターン部品1020から外された後は完全に裏表になっており、図10Eに示すように外面上にナノパターン714が曝されている状態となる。
図11のように、本開示の態様は、円柱状マスク713を形成するのに円柱状マスター型組立体1000を用いてもよいプロセス1100を記載する。最初に1160にて、円柱状パターン部品1020を犠牲鋳造部品1030に同軸に挿入する。次に、1161で犠牲鋳造部品1030と円柱状パターン部品1020との間の空間1040を、硬化されるとエラストマー性材料を形成する液状前駆体で充填する。例示目的であり、限定する目的なく、材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。
次に、1162で液状前駆体が硬化されて、円柱状マスク713として作用するエラストマー性材料を形成する。例示として、硬化プロセスは光放射の暴露を必要とする場合がある。放射源はマスター型組立体1000内に同軸に位置してもよい。あるいは、放射源はマスター型組立体1000の外に位置してもよく、鋳造部品1030が液状前駆体を硬化するのに必要な放射の波長を透過するのであれば、暴露は犠牲鋳造部品1030を通して行われればよい。円柱状マスク713が硬化した後に、犠牲鋳造部品1030は1163で外されてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、犠牲鋳造部品1030は破砕および/または溶解によって外してもよい。最後に、1164で円柱状マスクが、ナノパターン714が形成された内面が曝される形でそれ自体の上をパターン部品1020の軸と平行の方向に引き戻される。
図12Aは本開示の追加の態様に係る円柱状マスク1200を示す。円柱状マスク1200は図7に図示される円柱状マスクと実質的に同様であるが、エラストマー性ローリングマスク1213および堅固な中空シリンダー1211の間にガスリテーナ1218が追加されている。例示目的であり、限定する目的なく、エラストマー性ローリングマスク1213はパターン形成された表面1214を有していてもよく、プロセス900または1100に記載の方法と実質的に同じように形成されてもよい。堅固な中空シリンダーもまた、光放射に対して透過可能であってもよい。例示目的であり、限定する目的なく、中空シリンダーは溶融シリカなどのガラスであってもよい。光源1212は中空シリンダー1211の中に設けられてもよい。ガスリテーナ1218は、シリンダー1211の外面とエラストマー性マスク1213の内面との間にガス体積1217を保持する。ガスリテーナ1218は、エラストマー性ローリングマスク1213用に付加的な可撓性可変源を提供するべく、圧力がかけられてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、ガスリテーナ1218をシール対または膨張可能な空気袋で形成してもよい。
図12Bは、ガスリテーナ1218がシール対1218sによって形成される本開示の態様を図示する図12Aに示す円柱状ローリングマスク1201の線6−6に沿った断面図である。各シール1218sは、例えばOリングまたはガスケットが挙げられるがそれに限定されない、中空シリンダー、輪、またはトーラス様形状であってもよい。シール1218sは、適切なエラストマー性材料からなっていてもよい。エラストマー性マスク1213は次に、各端においてシール1218sを用いて、堅固な中空シリンダー1211から間隔を開けられていてもよい。エラストマー性マスク1213の内半径は、エラストマー性マスク1213の内面、シール1218sおよび堅固な中空シリンダー1211の堅固な外面によって囲まれているガス体積1217に圧力が印加されてもように選択されてもよい。ガス体積1217に圧力が印加されると、エラストマー性マスク1213は、エラストマー性マスク1213の内面とシリンダー1211の外面との間に保持されたガス体積1217の圧力によって、堅固な中空シリンダー1211の外面から間隔を開けて配置される場合がある。シリンダー1211は任意に、シール1218sを受けて、ガス体積に圧力が印加されたときにシールを保持するのを容易にできる大きさおよび形を有する溝を含んでいてもよい。
図12Cは、ガスリテーナ1218が空気袋1218Bによって形成される本開示の態様を図示する、図12Aに示す円柱状ローリングマスク1202の線6−6に沿った断面図である。空気袋1218Bは円柱状の形状を有し、堅固な中空シリンダー1211とエラストマー性マスク1213との間に配置されてもよい。空気袋1218B内のガス体積1217に圧力が印加されると、空気袋1218Bが堅固な中空シリンダー1211の外面の上にあるエラストマー性マスク1213を支える。
III.連続的なインプリントを用いたより大面積基板のパターニング
このセクションIIIに開示の態様は、より小さな面積のマスターマスクを用いて連続的なインプリントを行う仕組みを使用してより大面積マスターマスクをパターニングする方法および装置を含む。様々な他の方法および装置もまたこのセクションに含まれている。連続的なインプリントは多種多様な目的のために比較的大面積の基板をパターニングするのに用いることができ、これによってインプリント間の継ぎ目の可視度または影響を最小化または排除することを含む利点を与えることができる。このセクションの様々な他の利点は、このセクションを読むことで明らかになるであろう。
さらに、このセクションIIIは、パターン部品を用いることを伴う任意のセクションを含むがそれに限定されない、本明細書の残りのセクションI、IIおよびIV〜VIの様々な態様に適用可能であり、容易に実施可能である。例示目的であり、限定する目的なく、このセクションIIIの開示の様々な態様は、回転式マスクを作成するためのパターンを有する丸められた積層体(rolled laminate)の使用を伴う本明細書のセクションVの実施例に容易に適用可能である。
本発明の実施形態では、所望のパターンを有する小さなマスターマスクを、大面積基板を安価でパターニングするのに用いることができる。重合化または硬化されたポリマー前駆体液を用いて、小さなマスターを大面積基板に連続的にインプリントすることができる。インプリントのアレイは連続的なインプリントの仕組みによって形成され、パターンを有さない間隙ができないように連続的なインプリントがそれぞれその前のインプリントに部分的に重なっている。このようにして、マスターの所望のパターンを、次元が基板の大きさのみで制限される巨視的に連続的なパターンを生成して再現する。連続的なインプリントの仕組みは、結果としてパターン形成された層または構成されたコーティングを有して、マスターの個別のインプリントまたは再現の間にほぼ不可視の境界を有する大面積基板が得られる。
本発明の実施形態では、大面積基板をパターニングする方法は、パターンを有するマスターマスクで基板をインプリントすることを含んでいてもよく、パターンはパターニングされる基板の面積よりも小さい面積を有する。方法はさらに、基板の所望の面積がパターニングされるまでインプリントプロセスを連続的に繰り返すことを含んでも良い。それぞれの連続的なインプリントはポリマー前駆体液を被着することと、マスターマスクと基板との間のポリマー前駆体液を押圧することと、ポリマー前駆体液を重合化または硬化して固体材料を得ることとを含んでもよい。
なお、本発明の実施形態では、パターニングされる基板は多種多様な形状、大きさ、材料などであってもよいが、基板を連続的にインプリントするのに用いるマスターマスクより概して大きくあるべきである。マスターマスクもまた多種多様な形状、大きさ、材料などであってもよく、また多種多様な形状および大きさのパターンを有していてもよいが、パターニングされる基板の面積よりも概して小さくあるべきである。本発明の実施形態では、パターニングされる基板は多種多様な特徴を有していてもよく、例えば、柔軟、剛性、平坦または曲線状であってもよい。同様に、マスターマスクは多種多様な特徴を有していてもよく、例えば、柔軟または剛性であってもよい。
本発明の実施形態では、所望のパターンは多種多様な異なる大きさ、形状、および配置の特徴を含んでいてもよい。用途特定条件によって多種多様な特徴を有するパターンを用いて、様々な物理的またはその他の性質を基板に加えてもよい。
図13A〜13Cでは、本発明の実施形態に係るマスターマスクおよびマスターマスクを用いてより大きな面積の基板を製造する方法を示している。
図13Aでは、パターン1304を有するマスターマスク1302を図示し、マスターマスク1302を用いてより大面積の基板を繰り返しインプリントすることでより大面積の基板をインプリントすることができる。図13Aに図示されたマスターマスク1302は円形状を有し、そのパターン1304はマスクの長方形状の面積を覆うが、マスターマスク1302およびマスターパターン1304の両方は本発明の実施形態において多種多様な異なる形状および大きさであってよく、マスターパターン1304はマスターマスク1302の面積を全てまたは部分的に覆ってもよい。マスターパターン1304はより大面積基板の所望のパターンに対応するものであり、様々な用途特定条件によって変動してもよい。例えば、マスターパターン1304は、多くの構成されたコーティング用途で用いられているように、均一な柱のアレイまたは均一な穴のアレイを含んでいても良い。なお、本発明の構成されたコーティングの実施形態において、実験によって柱アレイのパターンが連続的なインプリントの境界上でより低い継ぎ目の可視性を得られることが示されたため、柱のアレイが穴のアレイよりも好ましい。例示として、図13Dおよび13Eは、円柱状マスクにおけるパターンを通してUV光に暴露し、暴露されたレジストを現像することで、フォトレジストに形成された柱のアレイの顕微鏡写真を提供する。
図13Bは、大面積基板1306をインプリントするのに用いるマスターマスク1302を図示する。マスターマスク1302は、基板の所望の面積がパターニングされるまで、基板1306の一部分を繰り返しインプリントするのに用いることができる。マスターマスク1302を用いたそれぞれの連続的なインプリントは、基板1306の前にインプリントされた部分1308と重なっていてもよく、基板1306に残されたインプリント1308のパターンはマスクパターン1304に対応する。
図13Cは、本発明の実施形態に係る、連続的に繰り返すインプリントスキーマ中の個別のインプリントを図示する。図13Cでは、ポリマー前駆体液1310は、その液体がマスターマスク1302および基板1306の間で押圧されながら広がることが見受けられる。例示目的であり、限定する目的なく、ポリマー前駆体液1310はモノマー、ポリマー、部分架橋ポリマー、またはその任意の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態に係る図13A〜13Cに図示されるインプリントの仕組みは、気泡の存在を最小化するポリマー前駆体液の広がりを制御し、マスターパターンの特徴を充填し、マスターマスク上に含まれるマスクパターンの境界外および以前に硬化されたインプリントのオープン領域に液体が流れ出ることを防止するための方法を含むことが好ましい。各インプリント中にポリマー前駆体液の広がりを制御するのに用いることのできる方法は多種多様ある。図13Cに示す例では、ポリマー前駆体液1310の広がりを制御することは、マスターマスク1302と基板1306との間における接触線1312に沿った圧力の連続する線を維持することを含む。機械的圧力を接触線1312に沿って印加して、ポリマー前駆体液1310の広がりを圧力1314の方向に基板1306のオープン領域に向けるように強制し、マスターパターン1304の境界線内に液体1310を維持するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、連続する圧力の線を維持することは、基板1306用にフレキシブル基板を用いることでより容易にすることができ、これによってマスターマスク1302と基板1306との間により明確化された接触線1312を生成することができる。他の実施形態では、マスターマスク1302用にフレキシブルマスクを用いることで連続する圧力線を維持することを容易にすることができる。さらに他の実施形態では、マスク1302または基板1306としてそれぞれ曲線状マスクまたは曲線状基板を用いることで、連続する圧力線を維持することを容易にすることができる。さらに他の実施形態では、ポリマー前駆体液1310の広がりをその他の手段によって制御してもよい。
図14A〜14Gを参照すると、本発明の実施形態に係る、基板をパターニングする方法のプロセスフローが図示されている。図14A〜14Gにおいて、基板1404をパターニングするのにマスターマスク1402を用いており、マスターマスク1402は基板1404より小さくあるべきである。具体的には、マスク1402のマスターパターン1406の面積は基板1404のパターニングされる面積より小さくあるべきであり、マスターパターン1406はより大面積の基板1404の所望のパターンに対応するべきである。マスターマスク1402は基板1404が完全にパターニングされるまで、または少なくとも基板1404の所望の面積がパターニングされるまで連続的にインプリントすることで、基板1404をパターニングするのに用いられる。
図14Aでは、ポリマー前駆体液1408が基板1404に被着され、ポリマー前駆体液1408は大面積基板1404のパターン形成された層または構成されたコーティングに対応する。なお、ポリマー前駆体液1408は多種多様な方法で被着することができる。例えば、図14A〜14Gに示される実施形態では、ポリマー前駆体液1408は基板1404上に、連続的なインプリントそれぞれのために不連続の液滴として被着される。他の実施形態では、ポリマー前駆体液1408をマスターマスク1402上に被着してもよい。さらに他の実施形態では、各インプリント前に不連続に液滴を被着するのとは逆に、ポリマー前駆体液1408を、連続的にパターニングプロセスを介して被着してもよい。なお、ポリマー前駆体液1408として用いられる材料は様々な用途特定条件によって変動してもよい。被着されるポリマー前駆体液1408の量は、例えば、層の所望の厚さ、所望のインプリント面積の大きさ、および形成される所望のパターンの特徴の深さならびにピッチなどを含む、様々な用途特定条件によって変動してもよい。
図14Bでは、マスターパターン1406をポリマー前駆体液1408に転写するべく、ポリマー前駆体液1408はマスターマスク1402と基板1404との間で押圧される。図14Bに示すようにポリマー前駆体液を押圧することは、注意しながら、また気泡を最小限に抑えるべくポリマー前駆体の広がりを制御し、マスターパターン1406の特徴を充填し、インプリントプロセス中にマスターパターン1406の面積内にポリマー前駆体液1408を維持する方法を使用して行われることが好ましい。ポリマー前駆体液の広がりを制御することは、例えば、図13Cに図示して上に説明したように、連続する圧力線を維持することを含んでもよい。図14A〜14Gでは、ポリマー前駆体液1408をマスターマスク1402と基板1404との間で押圧することは、マスターマスク1402を基板1404に押圧するようにして図示しているが、本発明はこのような実施形態に限定されない。本発明の実施形態では、ポリマー前駆体液をマスターマスク1402と基板1404との間で押圧することは、基板1404をマスターマスク1402に押圧することを伴ってもよい。他の実施形態では、マスターマスク1402と基板1404との間にあるポリマー前駆体液1408を押圧することは、例えばマスターマスク1402と基板1404とを互いに同時に押し合うなど、さらに他の手段で行うこともできる。
図14Cでは、パターン形成されたポリマー前駆体液は硬化手段1410を用いて硬化または重合化され、それはポリマー前駆体液の本質、特に、ポリマー前駆体液が硬化または重合化され得るメカニズムによって、UV放射源、熱源、またはその他の相当する手段であってもよい。ポリマー前駆体液が硬化または重合化された後、マスターマスク1402を外すことができ、連続的なインプリントを形成することができる。
図14Dでは、再度液体ポリマー前駆体液1408を被着することで、前にインプリントおよび硬化された部分1412と一部重なる連続的なインプリントを形成する。連続的なインプリント間での境界線の可視度を最小限に抑えるべく、ポリマー前駆体液の一部を、図14Dに図示するように、基板1404の前にインプリントされた部分1412の上に、マスターパターン1406が前にインプリントされた部分と重なる面積内に被着させるべきである。
図14Eでは、マスターパターン1406をポリマー前駆体液に転写して基板1404の別の部分をインプリントするために、ポリマー前駆体液1408は再度マスターマスク1402と基板1404との間で押圧される。ポリマー前駆体液1408の流れを制御する際に注意を払い、マスターパターン1406の境界線を越える、基板の前に硬化された部分1412の一部に流れないように防止するべきである。
図14Fでは、ポリマー前駆体液を、硬化手段1410を用いて再度硬化し、マスターマスク1402は硬化後に取り外すことができ、図14Gに示すように基板1404により大きなパターニングされた部分1412を残す。このプロセスは、基板1404が完全にパターニングされるまで、または基板1404の所望の面積がパターニングされるまで、連続的に繰り返すことができる。
基板の各部分がインプリントされた後、基板1404のパターニングされていない面積を所望のようにウェットクリーニングまたはドライクリーニングプロセスによって洗浄してもよい。例示として、ウェットクリーニングプロセスは、例えば、アセトンなどの一般的な有機溶媒などの化学物質の使用、粒子の物理的な除去および/またはプラズマ洗浄を含んでいてもよい。パターン形成されていない領域の選択的な洗浄プロセスは、パターン形成されている領域への損傷を防ぐためにシャドウマスク(図示せず)を用いる必要性を有する場合がある。パターン形成されている領域の汚染または損傷を防ぐべく、パターン形成された領域を任意に疎水性シランで選択的に処理してもよい。言い換えれば、パターン形成された領域は疎水性を有して形成されてもよく、パターン形成されていない領域は親水性を有して形成されてもよい。例示として、洗浄プロセスは、疎水性表面処理(パターン形成されたおよびパターン形成されていない領域の両方)と、それに続く、パターン形成されていない領域およびパターン形成されている領域の、次のインプリント中で重ねられる面積をプラズマ処理することを含んでもよい。
追加の実施形態では、基板にパターン形成されたおよびパターン形成されていない領域からなる市松模様型パターンを形成し、疎水性シランで処理した。次に、基板のパターン形成されていない表面と新しいインプリントが重なる場所の表面とがプラズマに暴露されるように、基板を、シャドウマスクを用いてプラズマ処理する。2つ目の工程で基板の全てのパターン形成されていない領域がインプリントされる。
図15A〜15Cでは、ここに記載される方法に係る、インプリントされた多種多様なパターン形成された基板を図示する。なお、本発明の実施形態は、多種多様な異なる形状および大きさを有するマスターマスクおよびマスターパターンを含んでいてもよく、連続的なインプリントは多種多様な異なるアレイおよび構成で配置されてもよい。同様に、マスターマスクでパターニングされるより大きな基板は、多種多様な形、大きさなどであってもよい。
図15A〜15Cに示す実施形態は2次元アレイおよび構成を示すが、本発明はこのような実施形態に限定されない。本発明の実施形態は、インプリンティングのスキームにおいて連続的なインプリントの2次元アレイ、連続的なインプリントの1次元アレイ、または連続的なインプリントのその他の構成を伴うインプリントの仕組みを含んでいてもよい。しかしながら、2次元アレイおよび構成は、連続するインプリントの間の継ぎ目の可視度を最小化できるために、本発明のいくつかの実施形態で好ましい。
図15Aでは、連続的なインプリント1504aの2次元長方形アレイがパターニングされた基板1502aを図示する。連続的なインプリントの間の境界線での継ぎ目線1506aの可視度が最小であるためマクロレベルでほとんど基板1502aのパターンは連続的および均一であることができる。本発明の様々な用途では、継ぎ目船の存在は、パターン形成または構造化された基板の所望の機能性質にほとんどまたは全く影響を与えない。
図15Bでは、基板1502bが、本発明の実施形態に係る連続的なインプリント1504bの2次元6画配列を有するように図示されている。
図15Cでは、基板1502cは、連続的なインプリントの間にランダム化された継ぎ目線1506cを形成する、連続的なインプリント1504cのランダム化された2次元構成を図示する。インプリントをランダム化することは、本発明のいくつかの用途において特定の利点を与えることができ、継ぎ目1506bの可視度を、規則的配列構造の代わりにランダム化されたパターンを提供することによってマクロレベルで最小化することができる。図15Cでは、本発明のいくつかの実施形態によると、図示される基板1502cは端から端まで完全にパターニングされており、パターニング可能な表面積の量は選択された基板の大きさのみにより制限される。
なお、継ぎ目線の量を特定上限まで増加させることで、基板上にインプリントされたパターンまたは構成によって生成された所望の性質に由来する損傷を最小限または全く与えずにこのような継ぎ目線の可視度を最小限にすることができる。例えば、本発明の実施形態の建築用ガラス実装において、ここに記載のインプリントの仕組みを用いてガラスに反射防止性を与えるためのナノ構造コーティングを塗布してもよい。継ぎ目線の数を増やすことで、ナノ構造によって与えられる必要な反射防止性を提供しながらもマクロレベルでの可視度を最小限とすることができる。これは、非常に高い費用をかけて、大面積全体を単一層でパターニングすることによって継ぎ目線を最小限に抑えようとする周知の方法と対比することができる。
本発明の実施形態では、パターニングされる基板は多種多様な形状および大きさであってもよいが、基板を連続的にインプリントするのに用いられるマスターマスクよりも概して大きくあるべきである。いくつかの実施形態では、パターニングされる基板は四角形、長方形、またはその他の形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、基板は平坦、曲線、またはその他の3次元表面であってもよい。いくつかの実施形態では、基板は150mm×150mm以上の寸法を有していてもよい。いくつかの実施形態では、パターニングされる基板は400mm×1000mm以上の寸法を有していてもよい。本発明の実施形態はまた、上記のものよりも小さい面積を有する基板を含んでいてもよいが、本発明の実施形態はより大きな面積の基板、例えば200cm2以上の面積を有するものに特に適用性を有すると信じられている。
本発明の実施形態では、マスターマスクは多種多様な形状および大きさを有していてもよく、ならびに様々な形状および大きさのパターンを有していてもよいが、パターニングされる基板の面積よりも概して小さくあるべきである。いくつかの実施形態では、マスターマスクは10mm〜50mmの寸法、および100mm2〜2500mm2の面積を有していてもよい。他の実施形態では、マスターマスクは上記のものの範囲外の寸法および面積を有していてもよいが、好ましい実施形態は10mm×10mm〜50mm×50mmの寸法を有する四角形のマスクを含む。いくつかの実施形態では、マスターマスクは、円形、長方形、またはその他の形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、マスターパターンはマスターマスクの表面全体またはマスターマスクの表面の一部を覆ってもよい。
本発明の実施形態では、所望のパターンは多種多様な異なる大きさ、形状および構成の特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、所望のパターンは、マイクロスケールの特徴、ナノスケールの特徴、またはその他のスケールの特徴を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、特徴は100nm〜400nmの範囲内の寸法を有する特徴を含んでもよい。いくつかの実施形態では、特徴は穴、柱、またはその他の形状で形作られてもよい。いくつかの実施形態では、特徴は規則的配列構造またはランダム化パターンで構成されてもよい。
なお、図面は主に平坦な基板およびパターニング平坦面に対して図示されるが、本発明はそれに限定されない。本発明の実施形態は、曲線状の表面または多種多様なその他の形状を有する基板をパターニングするのに用いることができるが、このような表面をここに記載するようにより小さい面積のマスターマスクで連続的にインプリントする。
なお、本発明の実施形態は、非常に大きい面積の基板を、マイクロスケールまたはナノスケール上での小さい特徴寸法を有するパターンでパターニングする上で用いることができる。具体的には、本発明の実施形態は、ナノスケールの特徴寸法を有する大きい表面積上にナノ構造コーティングを提供するのに用いることができる。具体的には、本発明の実施形態は、例えば、1ナノメートル(nm)〜1000nmの特性寸法(CD)、CDの1.1倍〜CDの10倍のピッチ、および10nm〜10000nmの深さを有する柱または孔などの特徴のアレイを有するナノ構造コーティングを提供するのに用いることができる。本発明の好ましい実施形態は、50nm〜400nmの間のCD、CDの2倍のピッチ、および100nm〜1000nmの範囲内の深さを含む。CDは一般的に、深さに垂直な方向に沿った特徴の寸法である。CDの例としては、円形またはほぼ円形の特徴の幅または直径を含む。
本発明の実施形態では、マスターマスクパターンは多種多様な方法によって形成することができる。例えば、マスターマスクは電子線リソグラフィ、フォトリソグラフィ、干渉リソグラフィ、ナノスフィアリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、自己組織化、アルミナ陽極酸化、またはその他の手段によってパターニングすることができる。
なお、本発明の実施形態における基板は、多種多様な種類の材料および基板の種類であってもよい。例えば、基板は、プラスチックフィルム、ガラス、半導体、金属、その他の平滑基板、またはその他の材料からなってもよい。
なお、本発明の実施形態に係るパターニング形成された基板は、多種多様な異なる用途に用いられる表面を含んでいてもよい。例えば、本発明の実施形態は太陽パネル、情報ディスプレイ、建築用ガラス、および多種多様なその他の用途で用いることができる。例えば、本発明の実施形態は、ナノ構造の太陽電池、光吸収促進層、反射防止コーティング、自己洗浄コーティング、太陽電池およびディスプレイ用TCO、ナノ構造熱電電池、低−Eガラス、氷結防止コーティング、アンチグレアコーティング、高効率ディスプレイカラーフィルタ、FPDワイヤグリッド偏光子、LED光取出し層、ナノパターン磁気媒体、ナノパターン水ろ過媒体、薬剤送出用ナノ粒子、超高感度センサ、バッテリ用ナノ電極およびその他の用途で用いることができる。また、本発明の実施形態に係るパターン形成された基板は、上に記載されるものなどの他の大きな表面をパターニングするのに用いられる大きいマスクとして用いることもできる。
なお、様々な構造化されたコーティング用途では、均一なパターンが典型的に用いられる。ここに記載の連続的なインプリントを用いることでインプリント間での境界線に不均一を形成してしまう場合があるが、パターニングされた全体面積は巨視的に連続するように見え、パターンによって付与された所望の性質は、境界線によって影響を受けないか非常に最小限でしか受けることがない。
また、本発明の実施形態が主にインプリントの2次元アレイに基づいて記載されているが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、本発明の実施形態はインプリントの1次元アレイ、および1次元でしか繰り返されないインプリントを伴うその他のインプリントの仕組みを含んでいてもよい。しかしながら、2次元アレイおよび2次元に繰り返されるインプリントの仕組みが、インプリント間の境界線の可視度を最小限にするために好まれる。
IV.鋳造部品の表面パターニング
このセクションIVに開示される態様は、様々な暴露およびエピタキシャル技術を含む鋳造部品の表面をパターニングするための方法および装置を含む。様々な他の方法および装置もまたこのセクションに含まれる。このセクションの態様に係る、鋳造表面をパターニングすることは、回転式マスクの可撓性層の鋳造プロセスと合わせて用いることができ、これによって回転式マスクのパターンにおける継ぎ目を最小限にするか排除することを含んでもよい利点が得られる。このセクションの様々な他の利点はこのセクションを読むことで明らかになるであろう。
さらに、このセクションIVが、パターン形成された鋳造部品の使用を伴う任意のこのようなセクションを含むがこれに限定されない、本明細書の残りのセクションI〜III、VおよびVIの様々な態様に適用可能および容易に実施可能である。例示目的であり、限定する目的なく、このセクションIVの開示の様々な態様を、多層回転式マスクを形成するパターン鋳造部品の使用を伴う本明細書のセクションVIの実施例に容易に適用することができる。
本開示の態様は、例えば、「ローリングマスク」リソグラフィ用の近接場光リソグラフィマスクまたはナノインプリントリソグラフィ用マスク等のリソグラフィマスクの製造に有用である可能性を有する鋳型および鋳型の製造方法を記載する。ローリングマスクリソグラフィでは、円柱状マスクをポリマーでコーティングし、それを所望の特徴でパターニングすることで位相シフトリソグラフィまたはプラズモニックプリンティング用のマスクを得る。ポリマーにパターニングされる特徴は、本願に記載の鋳型を用いることを通してパターニングされてもよい。鋳型は、光学的に透明なシリンダーの内面から突出するパターニングの特徴を含んでいてもよい。突出する特徴は、約1ナノメートル〜約100ミクロン、好ましくは約10ナノメートル〜約1ミクロン、より好ましくは約50ナノメートル〜約500ナノメートルの範囲内の大きさであってよい。マスクは、約1ナノメートル〜約1000ナノメートル、好ましくは約10ナノメートル〜約500ナノメートル、より好ましくは約50ナノメートル〜約200ナノメートルの大きさの範囲内の特徴をプリントするのに用いることができる。
本開示の態様は、多孔質マスクを用いて製造してもよい鋳型を記載する。構造化された多孔質材の層は、光学的に透明なシリンダーの内面に被着または成長してもよい。成長した多孔質材の一例として、アルミニウム層の陽極酸化を用いて製造された多孔質アルミナ(陽極酸化アルミニウム−AAO)が挙げられる。シリンダーの内側は次に放射線感光材料でコーティングされてもよい。放射線感光材料は構造化された多孔質材に形成された孔を充填する。次に、放射線感光材料は光源にシリンダーの外側を暴露することで現像されてもよい。外側からの暴露は、残るレジストを硬化することなく、孔を充填した放射線感光材料を硬化することを可能とする。未硬化レジストおよび多孔質マスク材料は除去してもよく、それによって内面から突出する柱を有する鋳型を形成する。
本開示の追加の態様によると、エピタキシャル層をシリンダーの内面に生育してもよい。次に、構造化された多孔質材をエピタキシャル層に被着または別の方法で形成してもよい。続いて、多孔質層の孔をガイドとしてエピタキシャル層を生育してもよい。エピタキシャル層は構造化された多孔質層よりも厚い厚さに生育されてもよく、または、構造化された多孔質層はエピタキシャル柱を残すようにエッチバックされてもよい。本開示の特定の態様によれば、エピタキシャル材料は半導体であってもよい。エピタキシャル柱のそれぞれは、発光ダイオード(LED)として構成されてもよい。LED柱はさらに、放射線が個別の柱によって選択的に製造され得るように、個別に対応可能であるように構成されてもよい。
本開示の追加の態様によれば、鋳型はナノ球体の自己組織化単分子膜を有して形成されてもよい。単分子膜は、シリンダーの内面に形成された放射線感光材料の層の上に形成されてもよい。放射線感光材料は次にシリンダーの内側に位置する光源に暴露されてもよい。自己組織化単分子膜は暴露中に放射線感光材料の一部をマスキングする。暴露された領域は次に現像剤によって除去してもよい。自己組織化単分子膜によって保護された放射線感光材料は次に、ガラス様物質からなる柱を形成するために硬化されてもよい。
本開示の追加の態様によれば、形成されたナノ球体の自己組織化単分子膜は量子ドットを備えてもよい。量子ドットは、シリンダーの内面に形成された放射線感光材料の層の上に形成されてもよい。量子ドットは、各ドットの直接下にある放射線感光材料を暴露するのに用いられてもよい。このように、外部光源が必要ない場合がある。次に現像剤によって放射線感光材料の暴露されていない箇所を除去してもよい。放射線感光材料の暴露された箇所は次にガラス様物質を形成するべく硬化されてもよい。
本開示の追加の態様によれば、ナノ球体の自己組織化単分子膜をシリンダーの外面に形成してもよく、放射線感光材料をシリンダーの内面に形成してもよい。シリンダーの外部に位置する光源は、放射線感光材料を暴露する放射線を製造するのに用いてもよい。ナノ球体は、放射線感光材料の一部を放射線からマスキングしてもよい。暴露された部分を現像剤で除去して、柱を残してもよい。柱は硬化されてガラス様材料を形成してもよい。
本発明の追加の実施形態によれば、自己組織化単分子膜は量子ドットを備えていてもよい。量子ドットはシリンダーの外面に形成されてもよい。量子ドットは、シリンダーの内面に形成された放射線感光材料の部分を暴露するのに用いられてもよい。このように、外部の光源を必要としない場合がある。次に現像剤が放射線感光材料の暴露されていない箇所を除去してもよい。続いて、放射線感光材料の暴露された部分を硬化してガラス様物質を形成してもよい。シリンダーの内面に形成された放射線感光材料。
「ローリングマスク」近接場ナノリソグラフィシステムは、本明細書に参照によって引用される、国際特許出願公開第WO2009094009号に記載されている。実施例の1つを図7に示す。「ローリングマスク」は、光源712を含有する中空シリンダー711の形状のガラス(例えば、溶融シリカ)フレームからなる。シリンダー711の外面に積層されたエラストマー性フィルム713は、所望パターンにしたがってナノパターン714が積層されている。ローリングマスクは放射線感光材料716でコーティングされた基板715と接触するようにされる。
ナノパターン714は位相シフト暴露を実施するために設計されていてもよく、このような場合はナノ溝、柱または柱状体のアレイとして製造されており、または任意の形状の特徴を含んでいてもよい。あるいは、ナノパターンはプラズモニックプリンティング用のナノ金属アイランドのアレイまたはパターンとして製造されてもよい。ローリングマスクのナノパターンは、約1ナノメートル〜約100ミクロン、好ましくは約10ナノメートル〜約1ミクロン、より好ましくは約50ナノメートル〜約500ナノメートルの大きさの範囲内の特徴を有していてもよい。ローリングマスクは、約1ナノメートル〜約1000ナノメートル、好ましくは約10ナノメートル〜約500ナノメートル、より好ましくは約50ナノメートル〜約200ナノメートルの大きさの範囲内の特徴をプリントするのに用いてもよい。
シリンダー711上のナノパターン714は、マスター型を用いて製造してもよい。本開示の態様は、マスター方法、および、穴もしくは凹部を有するナノパターン714を形成する特徴を有する鋳型を形成する方法を記載する。ローリングマスクに穴または凹部を形成するために、マスター型には柱などの突出部を有していてもよい。
図16は、本開示の態様に係るマスター型1600の俯瞰図である。マスター型1600は外面1621および内面1622を有する中空シリンダー1620である。シリンダー1620は、可視および/または紫外線の波長内にある放射線を透過する材料からなる。例示目的であり、限定する目的なく、シリンダーは溶融シリカなどのガラスであってもよい。マスター型1600は、内面1622から外側に延伸する突出部1633を有する。
図17A〜17Gは、図16に示すマスター型1600の線3−3に沿った切断図である。各図は、本開示の態様に係るマスター型1600の製造に用いられるプロセス工程を図示する。
図17Aは、シリンダー1720の内面上の構造化された多孔質層1730の後のマスター型を図示する。例示目的であり、限定する目的なく、シリンダー1720は、溶融シリカなどの透明材料からなっていてもよい。なお、溶融シリカは、半導体製造産業においては一般的に「石英」と参照される。石英は俗称であるが、「溶融シリカ」はよりよい表現である。技術的に、石英は結晶質であり、溶融シリカは非晶質である。構造化された多孔質層1730は、構造化された多孔質層が配置される表面と垂直に並べられた高密度の円柱状孔1729を含む。孔1729の大きさおよび密度は、例えば、図16について上に記載したように、マスクパターンの所望の特徴に適切な任意の範囲内であってもよい。例示目的であり、限定する目的なく、ナノ構造化された多孔質層1730はシリンダー1720の内面1722上に形成された陽極酸素アルミニウム(AAO)の層であってもよい。AAOは、AAO層が設けられる表面と垂直に並べられた円柱状孔を含有する高密度自己組織化ナノ構造化材料である。AAOは、溶融シリカからなるシリンダー1720の内面1722にアルミニウム層を被着し、次にアルミニウム層を陽極酸化することで形成されてもよい。あるいは、シリンダー1720は完全にアルミニウムからなっていてもよく、このようなシリンダーの内または外面は多孔質表面を形成するべく陽極酸化してもよい。アルミニウム層を陽極酸化することは、アルミニウム層が陽極(アノード)として作用しながら、電解質(しばしば酸)を介して電流を通すことによって行われてもよい。
代替的な実施例では、ナノ構造化された多孔質層は、レーザアブレーションまたはイオンビームリソグラフィなどの自己組織化単分子膜または直接書き込み技術を用いて製造されてもよい。
図17Aに示すように、孔1729は層1730の深さ全体を貫通しなくてもよい。孔1729が構造化された多孔質層1730を通ってシリンダーの内面1722まで延伸しない場合、構造化された多孔質層の材料はエッチングプロセスでエッチバックされてもよい。エッチングプロセスが等方性である場合、孔1729の元の大きさはエッチングプロセス中に生育することが可能であるだけの小ささでなければならない。例えば、孔の最終直径を望ましくは300nmとし、孔1729の元の直径が50nmである場合、孔1729を300nmの直径に拡張するには多孔質材を125nmだけ等方性エッチングによって除去しなければならない。さらに、エッチングプロセスが等方性である場合、シリンダーの内面1722まで孔を延伸するためには孔の底から125nmの材料しか除去してはならない。内面1722に到達するようにより多くの材料を除去しなければならない場合、孔1729の直径は所望のものより大きくなってもよい。図17Bはナノ構造化された多孔質層1730を完全に延伸する拡大孔1729を図示する。
孔1729が適切な寸法および深さまでエッチングされた後、図17Cに示すように、放射線感光材料1731をナノ構造化された多孔質層1730および内面1722の暴露された部分の上に被着してもよい。例示目的であり、限定する目的なく、放射線感光材料1731は浸漬、噴射、ローリングまたはその任意の組み合わせによって被着してもよい。例示目的であり、限定する目的なく、放射線感光材料1731はフォトレジストまたはUV硬化可能ポリマーであってもよい。適切なフォトレジストの例としては、Dow Chemical社製TOK iP4300またはShipley1800シリーズなどの市販の製剤を含む。適切なUV硬化可能材料の例としては、ポリマーおよびガラス用のUV重合可能粘着材ポリマーが挙げられる。さらに、放射線感光材料1731は、ガラス様材料を製造するために、硬化後に材料をアニールすることを可能とするシリコンおよび他の成分を含有する。ガラス様材料の形成を補助する他の成分としては、酸素およびシリコンが挙げられる。放射線感光材料1731は固形状であってもよく、または暴露中に過度に流れなければ液層であってもよい。
次に、図17Dは孔1729の硬化材1732を示す。放射線感光材料1731は放射線源(図示せず)からの放射線1723に暴露されることによって硬化される。例示目的であり、限定する目的なく、放射線1723は紫外線光を生成する放射線源によって生成されてもよく、可視スペクトルにおける光を生成する放射線源によって放射線源1723を生成してもよい。放射線源はシリンダーの外部に配置されてもよく、シリンダー1720の壁を通り抜ける放射線1723を生成してもよい。シリンダー1720を通り抜ける照明は、AAO孔1729に被着される材料1731への暴露を制限する。さらに、この暴露によって、暴露波長のおおよそ倍の深さまで材料1731を硬化する。例示として、硬化するときに紫外線波長を用いられるときに、硬化材料1732はおよそ600nmの厚さを有してもよい。孔1729上の材料1731が硬化される前に孔1729の中の放射線感光材料を硬化させるためには、放射線感光材料1731の硬化感度が充分に高くなければならない。また、孔1729の直接上にある放射線感光材料1731が暴露されることを防ぐには、孔1729の深さが硬化材料1732の予想厚さよりも深くなければならない。
図17Eは、硬化材料1732が形成された後に過剰の放射線感光材料が除去された後のマスター型1700を示す。残された暴露されていない放射線感光材料1721は、現像剤または他の溶媒によって除去されてもよい。その後、図17Fに示すように、硬化材料1732はアニールされてガラス様材料1733を形成する。最後に、アニールが完了すると、AAO層1730はウェットエッチングプロセスによって選択的にエッチングされてもよい。図17Gはマスター型1700の最終構造を図示する。ガラス様材料1733はシリンダー1720の内面1722から突出する。
本開示の追加の態様によれば、突出部はエピタキシャル成長法を介して形成されてもよい。図18Aはマスター型1800の俯瞰図である。マスター型1800は、外面1821および内面1822を有する中空シリンダー1820である。シリンダー1820は、可視および/または紫外線波長における放射線を透過する材料からなる。例示目的であり、限定する目的なく、シリンダーは溶融シリカなどのガラスであってもよい。内面1822にエピタキシャルシード層1824が形成されてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、エピタキシャルシード層1824はシリコンまたはガリウムヒ素(GaAs)などの半導体材料であってもよい。マスター型1800はエピタキシャルシード層1824から外側に延伸する突出部1833を有する。突出部は、エピタキシャルシード層1824と同じ材料であってもよい。図18B〜18Dは、マスター型1800の線4−4に沿った切断図である。
図18Bはエピタキシャルシード層1824上に被着された構造化された多孔質層1830を示す図である。図18Bに示すように、孔1829は構造化された多孔質層1830の深さ全体を貫通していない場合がある。
孔1829が構造化された多孔質層1830を通ってエピタキシャルシード層1824まで延伸しない場合、構造化された多孔質層材料はエッチングプロセスでエッチバックされてもよい。エッチングプロセスが等方性である場合、孔1829の元の大きさはエッチングプロセス中に生育可能とするだけの小ささでなければならない。例えば、孔の最終直径が300nmであることが望ましく、元の孔1829の直径が50nmである場合、等方性エッチングは、孔1829の直径を300nmに拡大するために125nmのアルミニウムを除去しなければならない。さらに、エッチング液が等方性エッチング液である場合、孔をエピタキシャルシード層1824まで延伸させるために、孔の底から材料を125nmまでしか除去してはならない。エピタキシャルシード層1824まで到達するためにさらに材料を除去しなければならない場合、孔1829の直径は所望のものより大きくてもよい。図18Cは、構造化された多孔質層1830を完全に通り抜ける拡大孔1829を図示する。
孔1829が完成すると、例えば気相成長(VPE)が挙げられるがそれに限定されないエピタキシャル成長法によって、突出部1833を形成してもよい。突出部1833の成長は、構造化された多孔質層1830における孔1829によってガイドされる。突出部1833は、構造化された多孔質層1830を越えて突出できる高さまで成長してもよい。しかしながら、突出部1833を暴露するために構造化された多孔質層を続けてエッチバックする場合、突出部1833は構造化された多孔質層1830よりも短くてもよい。
本開示の態様によれば、半導体材料のエピタキシャル成長を通して形成された突出部1833は、さらにLEDであるように構成されてもよい。各突出部1833は、それぞれが所望の光を放射するように制御できるように個別に対応可能としてもよい。これは、鋳造工程が外部光源を必要としないため、マスター型の利用として有利である。突出部1833は物理的な鋳型として機能してもよく、同時に鋳造されるフォトマスクを硬化するのに用いられてもよい。さらに、個別の突出部を制御する能力は、1つのマスター型を、フォトマスクにおける材料を硬化する突出部を選択することで複数の異なるパターンを形成するために用いることを可能とする。
本開示のさらに別の追加の態様によれば、マスター型1900において突出部1933をパターニングするマスクとして自己組織化単分子膜を用いてもよい。図19A〜19Cは鋳型の製造中の異なるプロセス工程におけるマスター型1900の切断図である。図19Aは、シリンダー1920の内面1922に放射線感光材料1931の上に形成された自己組織化単分子膜(SAM)1940の形成を図示する。例示目的であり、限定する目的なく、SAM1940は金属ナノ球体または量子ドットから形成されてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、放射線感光材料1931はフォトレジストまたはUV硬化可能ポリマーであってもよい。さらに、放射線感光材料1931は、ガラス様材料を生成するために材料をアニールすることを可能とするシリコンおよび他の成分を含有する。
次に、図19Bでは、放射線感光材料1931は放射線源(図示せず)からの放射線1923に暴露される。例えば、SAM1940が金属ナノ球体を備える場合、プラズモニックリソグラフィを使用してもよい。金属ナノ球体は、プラズモニックマスクアンテナとして用いてもよい。放射線に暴露される放射線感光材料1931の部分は、放射線感光材料を現像するのに用いられる現像剤溶媒に可溶であってもよい。暴露されていない1932の放射線感光材料の部分は現像剤溶媒に不溶のままであってもよい。なお、本開示の代替的な態様は、放射線に暴露される放射線感光材料1931の部分が現像剤に不溶となり、暴露されない放射線感光材料の部分は現像剤に可溶のままである逆トーンプロセスを用いることを含む。SAM1940が量子ドットを備える本開示の代替的な態様は、放射線感光材料1931を暴露するのに付加的な光源を必要としない場合がある。図19B’に示すように、SAM1940における量子ドットは放射線感光材料1931を暴露するために活性化されてもよい。量子ドットによって暴露がされると、放射線感光材料は暴露によって硬化されてもよい。放射線感光材料1931の暴露されていない部分は、したがって、現像剤によって除去されてもよい。最後に、図19Cでは、突出部1933は硬化した放射線感光材料1932をガラス様材料に変換するようにアニールされる。
本開示の代替的な態様では、マスク自体が発光ダイオード(LED)からなる実施例を含む。このようなマスクは、例えば、プリントされる所望の特徴よりも小さい穴のアレイを有するポリマーマスクと、その上にある対応するLEDの層を用いて実施されてもよい。LEDの特定のサブセットは、プリントされたパターンを明らかにするためにつけられてもよい。
本開示の追加の態様によれば、SAM2040は図20Aに示すように、シリンダー2020の外表面2021に形成されていてもよい。SAM2040はSAM1940と実質的に同様であってもよい。SAM2040を外面に形成することで、図20Bに示すように暴露に使用される光をシリンダー2020の外から由来させることを可能とする。図20Bでは、放射線感光材料2031はシリンダー2020の外に位置する放射線源(図示せず)によって放射される放射線2023で暴露される。あるいは、SAM2040が量子ドットを備える場合、放射線2023を生成する放射線源を省くことができ、図20B’に示すように、代わりに放射線感光材料2031の暴露に量子ドットを用いてもよい。最後に、図20Cは暴露されていない放射線感光材料の除去、およびガラス様材料を形成する突出部2033のアニールを示す。
V.丸められた積層体を用いた回転式マスクの形成
このセクションVの態様の開示は、丸められた積層体を用いて回転式マスクを形成する方法および装置を含む。他の様々な方法および装置もまた、このセクションに含まれる。このセクションの態様に係る回転式マスクを形成することは、回転式マスク用の可撓性層を形成するのに用いてもよく、これによって、積層体の端が合う継ぎ目層を最小限に抑えるまたは排除することを含む利点を与えることができる。このセクションを実施することによって様々な他の利点もあってもよい。
さらに、このセクションVは、回転式基板の外面上に丸められた可撓性層を伴う任意のこのようなセクションを含むがそれに限られない、本明細書の残りのセクションI〜IVおよびVIの様々な態様に適用可能であり、容易に実施可能である。例示目的であり、限定する目的なく、このセクションVの開示の様々な態様は、可撓性層を形成するために同軸組立体を用いることを伴う、本明細書のセクションIの実施例に容易に適用可能である。
図21A〜21Gに、本開示の様々な態様に係る、自立ポリマーマスクを製造する方法2100を図示するプロセスフロー図を図示する。図21A〜21Gのプロセスフローにおける様々な工程は、自立ポリマーマスクを形成する上記の様々な態様にしたがって行うことができる。
方法2100は、図21Aおよび21Bに図示するように、まず、パターン形成されたマスター型/マスク2112(あるいは、次の製造プロセスのための主要回転式マスクのパターニング用に用いられるマスクである場合があるため、ここでは第1のマスターマスクまたは「サブマスター」マスクとも称する)を最初に作ることを含めてもよい。パターン形成されたサブマスターを、基板2105をパターニングしてサブマスター2112上にパターン2110を形成することで形成してもよい。サブマスターマスクをパターニングすることは、多種多様な方法で実現されてもよい。いくつかの実施例では、サブマスターマスクを形成するために基板をパターニングすることは、本明細書のセクションIIIの開示の様々な態様に係る、小さなマスクを用いて基板2105に連続して硬化インプリントを重ねることでサブマスターマスク用の擬似シームレスパターン2110を作成することを用いて伴う。さらなる実施例では、サブマスターは、例えば、ナノインプリントリソグラフィ、ナノコンタクトプリンティング、フォトリソグラフィ等の任意の多種多様な周知の技術を用いてパターニングされてもよい。
方法2100はさらに、図21Cに図示するように、サブマスター型2112のパターン形成された領域上に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのエラストマー性材料2115(あるいは、ここではポリマー前駆体液または液体ポリマー前駆体と称する)を鋳着することを含んでいてもよい。エラストマー性材料2115を鋳着することは、サブマスター上にポリマー前駆体液を被着してポリマー前駆体液を硬化することで硬化ポリマーを形成することを含んでいてもよい。したがって、サブマスター2112のパターンの態様をエラストマー性材料2115に転写して硬化時にパターン形成されたポリマーマスクを形成してもよい。エラストマー性材料2115は、パターン形成されたサブマスター2112の片2120がその上にエラストマー性材料2115を鋳着されていないように鋳着されてもよい。いくつかの実施例では、これは硬化後の鋳造材料2115の片を外すまたは切り落とすことで実現してもよい。さらなる実施例では、単にエラストマー性材料を鋳着しないか、パターン形成されたサブマスターの一部にポリマー前駆体液を被着しないようにして実現してもよい。さらなる実施例では、上記のいくつかの組み合わせによって実現されてもよい。パターン形成されたサブマスター2112の鋳着されていない部分2120はサブマスターの端にあってもよく、そのことで積層体の対向端と、積層体が鋳造部品の中に丸められた後に重畳することを可能としてもよい。
次に、図21Dに図示するように、硬化ポリマー2115の欠損片部2120とパターン形成されたサブマスター2112の欠損片部2125が互いに食い違い状の位置となるように、片2125を以前の工程で形成された積層体のサブマスターから外してもよい。パターン形成されたサブマスターから外された片2125は、硬化ポリマーの欠損片2120に対する積層体の対向端にあってもよく、これによってこれらの片部分が互いに重なるように丸めることを可能とする。いくつかの実施例では、パターン形成されたサブマスター2112の片2125は、鋳造エラストマー性材料の片2120が外される前に外してもよい。
図21Eに示すように、次に、サブマスター2112の積層体および鋳造ポリマー2115は丸められて、サブマスター2112の基板2105のパターニングされていない表面が鋳造シリンダー2130の内面と接するように、鋳造シリンダー2130の中に配されてもよい。したがって、積層体の外面は、丸められたときに、鋳造シリンダー2130の内面と隣接していてもよい。いくつかの実施例では、積層体が丸められた鋳造シリンダー2130は犠牲鋳造部品であり、本明細書のセクションIIの開示の様々な態様を活用する。
鋳造シリンダー2130の内面に基板2105のパターン形成されていない表面を接触させて犠牲鋳造シリンダー2130の中に積層体を丸めるのではなく、いくつかの実施例では、本明細書のセクションIIの開示の様々な態様によれば、積層体は、サブマスターの基板のパターン形成されていない表面が犠牲鋳造シリンダーの外面と接触するように、犠牲鋳造シリンダーの周りに丸められている。
空隙2120をシリンダーの長さ方向に沿ってポリマーマスク2115内に形成してもよく、除去/未鋳造エラストマー性材料2115の片2120と対応していてもよい。ポリマーマスク2115の下の、サブマスター型2112のパターン形成された部分を空隙2120から暴露して、空隙2120を横切るようになっていてもよい。積層体の除去/欠損片の食い違い状の位置によって、空隙2120がサブマスター2112のパターン形成された部分に暴露されるものの、重ねられた部分によって丸められた積層体の対向端の間の境界で形成される別の継ぎ目が起きることなく、積層体が丸められることを可能とする。
図21Fに示すように、次に空隙2120をさらに液状エラストマー性材料で(すなわち、さらにポリマー前駆体液で)充填して、硬化ポリマー2115における空隙2120を充填してもよい。このようにして、サブマスター型2112上のパターンを硬化する時に追加されたエラストマー性材料に転写してもよく、これによって継ぎ目を充填して実質的にシームレスポリマーマスクパターンが形成される。いくつかの実施例では、空隙を充填することはセクションIの開示の様々な態様を用いてもよい。例えば、いくつかの実施例では、液体ポリマー前駆体を空隙に注ぎ込むことを可能とする組立体装置を用いて同軸シリンダーを組立ててもよい。
硬化後空隙2120が充填されていることで鋳造シリンダー2130をサブマスター型2112とポリマーマスク2115との積層体から外してもよい。ポリマーマスク2115はまた、サブマスター型2112から分離されて、図21Fに図示するように、外面に実質的にシームレスのパターン2140を有する自立ポリマーマスクを得てもよい。
いくつかの実施例では、鋳造エラストマー性材料は約1mm〜約3mmの範囲内の厚さを有するPDMSであり、1〜3mmの厚さの可撓性層を有する円柱状マスクを生成する。
いくつかの実施例では、サブマスターはPETフィルム基板を有していてもよく、パターンは、UV硬化ポリマーを用いてその上に形成してもよい。
本開示のいくつかの実施例では、自立ポリマーマスクおよびそれを製造する方法を含んでいてもよい。
いくつかの実施例では、方法はまず、パターン形成されたマスター型(ここで、パターン形成されたマスター型を代わりにマスターマスクと称してもよい)を作成することを含む。次に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のエラストマー性材料をマスター型のパターン形成された領域に鋳着して、硬化時にパターン形成されたポリマーマスクを形成する(ここで、エラストマー性材料は代替的にポリマー、プレポリマー、ポリマー前駆体、またはポリマー前駆体液と称してもよい)。ポリマーマスクはマスターマスク型の端で欠損部を有するように構成されており、ポリマーマスクの端の部分は切り落とされているか、マスター型の端でエラストマー性材料が片に鋳着されていなくてもよい。マスク型の積層体およびポリマーマスクは次に丸められ、基板からマスター型までが鋳造シリンダーと接触するように鋳造シリンダー内に配される。ポリマーマスク内に空隙がシリンダーの長手方向に形成され、空隙は硬化されたポリマーマスクの欠損部と対応し、ポリマーマスクの下のマスター型は空隙を介して暴露されて空隙を横切って延伸する。次に空隙が追加の液体エラストマー性材料で充填される。このようにして、マスター型上のパターンは硬化時に追加されたエラストマー性材料に転写され、ポリマーマスクパターンの継ぎ目を充填する。硬化後、マスター型とポリマーマスクとの積層体を鋳造シリンダーから取り外すことができ、ポリマーマスクをマスター型から同様に分離してもよく、自立ポリマーマスクを得る。
図22Aは、本開示の様々な態様に係るポリマーマスクを形成するのに用いることができる円柱状マスター型組立体2230の俯瞰図である。円柱状マスター型組立体2230は、鋳造シリンダー2232と、マスター型2234と、シリンダーの長手方向に沿った空隙2237を有するパターン形成されたポリマーマスク2236とを備える。図22Bは、図22Aに示される円柱状マスター型組立体の斜視図である。
パターン形成されたマスク2236は、多種多様な方法によってマスクパターンでパターニングされてもよい。一例では、マスター型の内面にマスクパターンを含んでいてもよく、そのパターンがポリマーマスクの外面に転写されてもよい。別の例としては、ポリマーマスクは後の製造工程および鋳造シリンダーの取り外しの後に、様々なリソグラフィ法を用いてポリマーの外面をパターニングすることでパターニングされてもよい。別の例としては、パターンは上記のいくつかを組み合わせることによってパターニングしてもよい。
マスター型2234の基板がパターン形成されると、エラストマー性材料を型2234のパターン形成された領域に鋳着されてもよい。いくつかの実施例では、エラストマー性材料はDow Corning社(商標)のSylgard184、h−PDMS、ソフトPDMSゲルなどのポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。エラストマー性材料は、任意のいくつかの周知の方法にしたがって被着されてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、エラストマー性材料は浸漬、超音波噴霧、マイクロジェットまたはインクジェット式投与、および回転と組み合わせた浸漬によって被着されてもよい。硬化プロセスの後に、PDMS等のポリマーは硬化され、マスター型2234上にパターン形成されたポリマーマスク2236を形成する。ポリマーを硬化することは、硬化されるポリマーの種類およびその他の要因によってもよい。例えば、硬化は、熱的に、UV照射またはその他の手段によって行うことができる。
マスター型2234とポリマーマスク2236との積層体は丸められ、基板からマスター型2234までが鋳造シリンダー2232と接触するように(すなわち、積層体の外面が鋳造シリンダーの内面と隣接するように)鋳造シリンダー2232に同軸に挿入される。ポリマーマスク2236の一端の一部が欠損しているため、シリンダー2232の長さ方向に沿ってポリマーマスクに空隙2237が形成され、下にあるマスター型は空隙から暴露されて空隙を横切って延伸する。マスター型2234(すなわち、パターン形成された基板)の片2239もまた、空隙2237に対応した食い違いの位置で、継ぎ目なくシリンダー2232の中に積層体を丸めることができるように積層体から外すことができる。図22A〜22Bに図示するように、積層体の端がそれぞれに重なるように丸められることを可能とするように、積層体の欠損片2237、2239は、積層体の対向端にあってもよい。
鋳造シリンダー2232は、本開示の円柱状マスター型組立体が形成された後に取り外し可能となるべきである。本開示の態様によると、鋳造シリンダー2232は容易に破砕可能な材料から形成された薄壁シリンダーであってもよい。例示目的であり、限定する目的なく、材料はガラス、砂糖、またはPiccotex(商標)などの芳香族炭化水素樹脂、またはPiccolastic(商標)などの芳香族スチレン系炭化水素樹脂であってもよい。Piccotex(商標)およびPiccolastic(商標)はTennessee州のKingsportにあるEastman Chemical Company社の商標である。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダー2232はおよそ1〜10mmの厚さ、または2〜4mmの厚さなど、そこの範囲に含まれる任意の厚さであってもよい。図22Aに示すように、ポリマーマスク2236は鋳造シリンダー2232と接触しておらず、したがってポリマーマスク上のナノパターンは取り外し中の損傷から保護される。本開示の追加の態様によると、鋳造シリンダー2232は、ポリマーマスク2236を傷つけない溶媒に溶解可能な材料からなっていてもよい。例示として、適切な溶解可能材料は砂糖に基づく材料であってもよく、溶媒は水であってもよい。破砕する代わりに鋳造シリンダー2232を溶解することで、ナノパターンへの付加的な保護を提供することができる。
本開示のさらに追加の態様によれば、鋳造シリンダー2232は、プラスチックまたはアルミニウムなどの展性材料からなる薄壁密閉シリンダーであってもよい。鋳造シリンダー2232を破砕する代わりに、密閉部品を、シリンダー内の空気を逃がすことで部品を倒して外してもよい。本開示のさらに別の態様によれば、鋳造部品2232は弾性材料からなる空気圧シリンダーであってもよい。空気圧シリンダーに適切な弾性材料の例としては、プラスチック、ポリエチレン、Teflon(登録商標)の名の下で販売され、Delaware州のWilmingtonにあるE.I. du Pont de Nemours and Company社の登録商標であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられるがこれに限らない。鋳造プロセスの間、鋳造シリンダー2232を膨らませてシリンダーを形成して、ポリマーマスク2236が硬化した後に鋳造シリンダー2232の空気を抜いてポリマーマスクを傷つけることなく取り外してもよい。いくつかの実施例では、このような空気圧シリンダーを、例えば、比較的安価で製造できるか、および容易に洗浄可能であるかによって再利用可能または使い捨てであってもよい。
次に、ポリマーマスク2236におけるシリンダーの長さ方向に沿う空隙2237を、液体PDMSなどのポリマーで充填する。硬化プロセスの間、マスター型2234のパターンは追加されたポリマーに転写される。このようにして、図22A〜22Bの円柱状マスター型組立体2230を形成してもよい。
液体ポリマーを硬化することは、UV照射、加熱、またはその他の手段を伴ってもよい。放射線を照射する例として、放射線源はマスター型組立体2230の中に同軸に位置してもよい。あるいは、放射線源をマスター型組立体2230の外に位置してもよく、暴露は、鋳造シリンダー2232およびマスター型2234が液体ポリマーを硬化するのに必要な放射線の波長を透過可能であるときに鋳造シリンダー2232およびマスター型2234を通り抜けて行われる。
マスター型2234およびパターン形成されたポリマーマスク2236の積層体は、その後に鋳造シリンダー2232から取り外してもよい。鋳造シリンダーの取り外しは、多種多様な方法で行われてもよい。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造部品2232は、破砕、溶解、空気抜け、または倒すことで取り外してもよい。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーはのこぎり、レーザ、湿式または乾式エッチング、もしくはその他の手段によって切断されてもよい。鋳造シリンダーを切断するとき、下にある層/マスクを傷つけないように注意する必要がある。鋳造シリンダーを切断するのにレーザを用いる場合は、鋳造シリンダーの内面に特別な層を被着してエッチ停止層として作用させてもよく、この層は鋳造シリンダー材料を切断するのに用いられる光を反射するようにされているべきである。切断は1つ以上の切断線を用いて、積層体から鋳造シリンダーをその後に剥がしやすくして行うことができる。一度鋳造シリンダーが切断されると、積層体からは機械的に剥がし取ることができる。例示目的であり、限定する目的なく、鋳造シリンダーはその中にあるマスター型およびポリマーマスクをエッチングで取り除かないエッチング薬剤を用いて化学的にエッチングして除去してもよい。鋳造シリンダーは他の手段によって除去されてもよく、このような除去の他の手段は本開示の範囲内である。いくつかの実施例では、鋳造シリンダー2232は本明細書のセクションIIの様々な態様に係る犠牲鋳造部品である。
次に、ポリマーマスク2236はマスター型2234から、例えば剥がしとることで分離されてもよく、結果として厚さ1〜3mmを有する自立PDMSマスクを得る。
本開示の態様は、自立ポリマーマスクを形成するための円柱状マスター型組立体2230を用いてもよいプロセス2300を含む。上記開示の様々な態様を含むフローチャート図示プロセス2300を図23に示す。プロセス2300の様々な態様は図22A〜22Bの鋳型組立体2230を参照して記載される。まず、2310にて、マスター型2234がパターニングされる。マスター型はより小さなマスターマスクで連続的にインプリントすることでパターニングされてもよい。2320では、エラストマー性材料またはポリマーをマスター型2234に鋳着して材料/ポリマーを硬化することで、パターン形成されたポリマーマスクが形成される。2330では、マスター型2234およびパターン形成されたポリマーマスク2236の積層体を丸めて鋳造シリンダー2232に同軸に挿入する。2340では、パターン形成されたポリマーマスク2236の中にある空隙を液体ポリマーで充填する。2342では、液体ポリマーが硬化プロセス中に硬化され、これによってマスター型上のパターンを硬化ポリマーまでの空隙に沿って転写する。2350では、鋳造シリンダー2232およびマスター型2234を取り除き、自立ポリマーマスクを形成する。
VI.鋳造部品を用いた多層マスクの形成
このセクションVIの開示の態様は、多段階で同軸鋳造部品を用いる、多層マスクを形成する方法および装置を含む。様々な他の方法および装置もまたこのセクションに含まれる。このセクションの態様にかかる多層マスクの形成は回転式マスク用の可撓性層を形成するのに用いることができ、それによって回転式マスクが余分な緩衝性または可撓性を有することを含む利点を与えることができる。このセクションの実施には、他にも様々な利点があってもよい。
さらにこのセクションVIは、回転式マスクのパターン形成された可撓性層の形成を伴ってもよい任意のこのようなセクションを含むがそれに限定されない、本明細書の残りのセクションI〜Vの様々な態様に適用性を有し、容易に実施可能である。例示目的であり、限定する目的なく、このセクションVIの開示における様々な態様は、鋳造部品の表面をパターニングすることを伴う本明細書のセクションIVの実施例に容易に適用可能である。
本開示の態様は、多層ポリマーマスクおよびその製造方法を含む。多層ポリマーマスクを製造する方法は2つの段階を伴っていてもよい。
図24Aは、本開示のいくつかの実施例に係る多層ポリマーマスクを形成するための円柱状マスター型組立体の第1の段階の俯瞰図である。円柱状マスター型2410はシリンダーの内面に特徴/パターンが形成されている。次に、第1の鋳造シリンダー2420をマスター型2410に同軸に挿入して、鋳造シリンダー2420およびマスター型2410の間に円柱状領域を形成する。続いて、鋳造シリンダー2420とマスター型2410との間の円柱状領域を液体ポリマーで充填することで、硬化時にパターン形成されたポリマーマスク2430が得られる。その後、第1の鋳造シリンダー2420を取り外して、ポリマーマスク2430を円柱状マスター型2410の内側から剥がしとる。このようにして、自立ポリマーマスクを形成してもよい。いくつかの実施例では自立ポリマーマスク2430が、シリンダーの中に積層体が丸めいれられ、積層体の中の空隙を充填して円柱状マスク上に実質的にシームレスのパターンを生成する、本明細書のセクションVの態様を用いて代替的に形成される。いくつかの実施例では、第1の鋳造シリンダー2420が犠牲部品であり、第1の鋳造シリンダーを外すことはそのセクションの態様にしたがって行われる実施例を含む、本明細書のセクションIIの様々な態様を用いて自立ポリマーマスク2430が形成される。いくつかの実施例では、円柱状マスターマスクは本明細書のセクションIVの様々な態様にしたがってシリンダーの内面をパターニングすることで形成される。
図24Bは、本開示のいくつかの実施例に係る多層ポリマーマスクを形成するための、第2の段階における円柱状マスター型組立体の俯瞰図を示す。ポリマーマスク2430は保護フィルム2432で被覆され、保護フィルムが鋳造シリンダー2440の内面にあたるように第2の鋳造シリンダー2440に挿入される。溶融シリカマスクシリンダー2450が第2の鋳造シリンダー2440および被膜ポリマーマスク2430に同様に同軸に挿入され、これによって溶融シリカマスクシリンダーとポリマーマスク2430の内径との間に円柱状領域を形成する。この空隙は次に液体ポリマーで充填されて、硬化時に緩衝層2460が形成される。その後、第2の鋳造シリンダー2440および保護フィルム2432を外す。結果として、多層ポリマーマスクが形成される。いくつかの実施例では、第2の鋳造シリンダー2440は本明細書のセクションIIの様々な態様にかかる犠牲鋳造部品でもあり、そうすることで、第2の段階と同様のプロセスを繰り返すことで適宜追加の層を形成可能とする。
図2は、本開示の様々な態様に係るパターン形成されたポリマーマスクの形成に使用可能な組立体200を図示する。いくつかの実施例では、本開示の態様は多層ポリマーマスクを形成するための上述の第1の段階に用いられてもよい。組立体200は、マスター型204と、マスター型204に囲まれた第1の鋳造シリンダー202とを備える。第1の鋳造シリンダー202は図24Aの第1の鋳造シリンダー2420と対応していてもよい。第1の鋳造シリンダー202はまた、例えば図8Aの犠牲鋳造部品830などの犠牲鋳造シリンダーと対応していてもよい。マスター型204および鋳造シリンダー202は、それぞれの軸206が合うように同軸に組立てられ、これによって円柱状マスクのポリマー層の形を明確化できる均一の厚さを有する円柱状領域208がマスター型204の周りに形成される。鋳造シリンダー202の外径は多層マスクの最終の溶融シリカマスクシリンダー2450の外径よりも大きい。ポリマー前駆体はマスター型204と鋳造シリンダー202との間の空間208に鋳ぐるみさせることができる。マスター型204および鋳造シリンダー202は、それらの軸を合わせる組立体装置(図式せず)を用いて決められた位置に保持することができ、例えば装置の開口または穴を通して液体ポリマーを組立体の円柱状領域208に注ぎ込むことを可能とする。ポリマー前駆体の鋳ぐるみは、例えば、組立体装置の上部から鋳型204とシリンダー202との間の空間に液状または半液状のポリマー前駆体材料を注ぎ込むことで行うことができる。ポリマー前駆体はモノマー、ポリマー、部分架橋ポリマー、または液状もしくは半液状の形態の任意の混合物であってもよい。ポリマー前駆体を硬化して円柱状マスクの内側ポリマー層を形成してもよい。ポリマー前駆体を硬化することは、UV照射または加熱することを伴ってもよい。硬化プロセスの間、マスター型204の内面のパターンをポリマーの外面に転写してもよい。
上述の第1の段階では、マスター型2410の内面をパターニングすることを多種多様な技術を用いて行ってもよい。例えば、マスター型の内面は、上記の本明細書のセクションIIIにて記載するように、より小さなマスターマスクで連続的にインプリントすることでパターニングすることができる。別の例として、シリンダー表面は、ナノインプリントリソグラフィ、ナノコンタクトプリンティング、フォトリソグラフィ等、任意の多種多様な周知の技術を用いてパターニングされてもよい。
上述の第1の段階では、鋳造シリンダー2420を外してもよい。パターン形成されたポリマーマスクを同様にマスター型2410から剥がし取って、約1〜3mm厚さの自立ポリマーマスクを形成してもよい。なお、鋳造シリンダー2420およびポリマーマスク2430を外すことは、本開示に上述した様々な方法を含む、多種多様な方法で行うことができる。
上述の第1の段階では、ポリマーマスク2430は保護層2432で被覆されていてもよい。一例では、保護層はポリエチレンテレフタレート(PET)の膜であってもよい。保護層2432をポリマーマスク2430に被着してもよく、被膜ポリマーマスク2430はその後、保護フィルム2432が第2の鋳造シリンダー2440の内面にあたるように第2の鋳造シリンダー2440に同軸に挿入される。第2の鋳造シリンダー2440の内径は、上述の第1の段階にて用いられたマスター型2410の内径と同等である。第2の鋳造シリンダー2440は、図22Aおよび図22Bの鋳造シリンダー2232に関連して記載される、またはセクションIIにて犠牲鋳造部品を参照して記載したように、容易に破砕可能な材料から形成された薄壁シリンダーであってもよい。いくつかの実施例では、保護フィルムは第2の鋳造シリンダー2440を個々の部分から作られることを可能とする。
上述の第2の段階では、溶融シリカマスクシリンダー2450などの回転式マスク用の基板は、第2の鋳造シリンダー2440および被膜ポリマーマスク2430に同軸に挿入される。溶融シリカマスクシリンダー2450は、その外径がポリマーマスク2430の内径よりも小さい中空のシリンダーであってもよく、それによってマスクシリンダーの外面とポリマーマスク2430の内面との間に、均一の厚さを有する円柱状領域をマスクシリンダー2450の周りに形成する。
上述の第2の段階では、ポリマーマスク2430と溶融シリカマスクシリンダー2450との間に形成された円柱状領域を液体ポリマーで充填して、硬化時にポリマーマスクの内面に緩衝層2460を形成してもよい。液体ポリマーは本開示に上記する様々な方法を含む多種多様な方法で円柱状領域の中へ挿入されてもよい。
上記の第2の段階では、第2の鋳造シリンダー2440を外してもよい。また、保護フィルム2432を、硬化緩衝層2460を有するポリマーマスク2430から分離してもよい。結果として、ポリマーマスク2430と緩衝層2460とを含む多層ポリマーマスクを形成することができる。鋳造シリンダーと保護フィルムの取り外しは、本開示の他の箇所で記載する様々な方法など、多種多様な方法で行われてもよい。
本開示の態様は、多層ポリマーマスクを形成するために円柱状マスター型組立体2400および2401を用いてもよいプロセス2500を含む。フローチャート図示プロセス2500を図25に示し、上記開示の様々な態様を含んでいてもよい。プロセス2500の様々な態様もまた、図24A〜24Bを参照して記載される。2510では、方法2500はマスター型の内面がパターンを含むようにマスター型/マスク2410をパターニングすることを含んでいてもよい。2520では、パターン形成されたマスター型2410と第1の鋳造シリンダー2420とを、鋳型およびシリンダーの軸が同一となるように同軸に組立てる。鋳造シリンダー2420はその外径がマスター型2410の内径よりも小さくて型とシリンダーとの間に空間が残るような中空シリンダーであってもよい。2530では、型2410と鋳造シリンダー2420との間の空間が液体ポリマー前駆体で充填され、結果として硬化時にパターン形成されるポリマーマスクを得る。2540では、第1の鋳造シリンダー2420を外してパターン形成されたポリマーマスク2430をマスター型2410から剥がし取ることで、自立ポリマーマスクを形成する。いくつかの実施例では、鋳造シリンダー2420は、マスターマスク2410が将来の使用のために保全可能であるように、本明細書のセクションIIの様々な態様に係る犠牲鋳造部品であってもよく、鋳造シリンダー2420は、鋳造シリンダー2420を外した後に、破砕、溶解、倒壊、または続けて硬化ポリマーがマスターマスク2410から2540にて外せる形で他の方法によって外される。2550では、ポリマーマスク2430は保護層またはフィルム2432で被覆される。2560では、被膜ポリマーマスク2430は第2の鋳造シリンダー2440に同軸に挿入される。2570では、溶融シリカマスクシリンダー2450が第2の鋳造シリンダー2440および被膜マスク2430に同軸に挿入される。溶融シリカマスクシリンダー2450は、外径がポリマーマスク2430の内径よりも小さく、そのことでシリンダーとマスクとの間に空間を残す中空シリンダーであってもよい。2580では、溶融シリカマスクシリンダー2450とポリマーマスク2430との間の空間に追加の液体ポリマー前駆体を充填して、硬化時に緩衝層2460を形成する。2590では、鋳造シリンダー2440および保護フィルムを外して多層ポリマーマスクを形成してもよい。いくつかの実施例では、鋳造シリンダー2440は犠牲鋳造部品であってもよい。
本開示の様々な態様に係る多層マスクを形成することで、いくつかの利点を提供することができる。例えば、外層を形成するのに用いられる上述の第1の鋳造シリンダー2420などの鋳造シリンダーは、継ぎ目を有する分離可能な部品で作成されてもよく、これによって潜在的にプロセスを簡略化し、費用を抑えることができる。パターン形成されていない表面と接触する層を形成するのに用いられるポリマー、例えば、上述の外側層2430の内面と隣接する内側層を形成するために用いられるポリマー2460もまた、このような別々の部品を用いることで発生する継ぎ目を充填することができる。同様に、本開示のいくつかの実施例では、パターン形成された表面上に設けられた保護フィルムは、例えば上述の第2の鋳造シリンダー2440などの鋳造管が分離可能部品から作成可能であるようにし、保護フィルムは、フィルムで被覆されたパターン形成された特徴に分離可能部品の継ぎ目が転写されるのを防いでもよい。さらに、いくつかの実施例では、鋳造プロセスに用いられる型またはマスク、例えば、円柱状マスター型2410は、鋳造材料を外すのに壊される必要がないため、その後の使用に保全することができ、破壊プロセスによって鋳造材料が損傷されるのを防ぐことができる。
当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく本開示の様々な態様が他の様々な態様と組み合わせることができることを容易に理解することができるであろう。例示目的であり、限定する目的なく、当業者であれば上記セクションI〜VIの開示の様々な態様が、本開示を実施するのにかかわる製造方法および回転式マスクに、多数の異なる順番で組合せ可能であることを容易に理解することができるであろう。
なお、本開示の様々な態様が可撓性層を主に2つ有する多層マスクを参照して説明されているが、本開示の態様は2つより多い数の可撓性層を有する多層マスクを形成する上でも容易に実施可能である。
さらに、本開示の様々な態様は円柱状の形状を有する回転式マスクを参照して説明されているが、本開示の態様は、他の形状、例えば、円錐台形素子またはその他の軸対称の形状を有する回転式マスクにおいても容易に実施可能である。
さらに、本開示の様々な態様は、シームレスまたは擬似シームレス特徴パターン相違所望表面、例えば、鋳造シリンダーの内外面、最終のマスキングシリンダー、層、またはその他の製造プロセスに用いられる素子を製造するために反転、入れ替え、再配列などしてもよい。
より全般的に、上記が本発明の好ましい実施形態の完全な記載であるが、様々な代替、変形および等価物を用いることが可能であることを理解することが重要である。したがって、本発明の範囲は上記記載を参照して決定されるのではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲とその等価物の範囲によって決定されるものである。ここに記載の任意の特徴は、好ましいか否かにかかわらず、ここに記載の他の任意の特徴と、好ましいか否かにかかわらず、組み合わせ可能である。
続く請求項では、不定冠詞「a」または「an」がオープンエンドの移行句、例えば「comprising」を含む請求項で用いられている場合、その不定詞は、他に特筆しない限りは、その冠詞に続く物が1つ以上の数であるように言及する。さらに、その後に同一の請求項表現を参照する「said」または「the」の用語を使用することでその意味が代わることはなく、非単一の意味を単に再度示すのみである。添付の請求項は、表現「means for」または「step for」を用いて明白に限定が記載されない限りは、ミーンズプラスファンクションの限定またはステッププラスファンクションの限定を含むように理解されるものではない。