JP6276927B2 - ハイドロゲル形成性組成物及びそれより作られるハイドロゲル - Google Patents

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Description

本発明は、ハイドロゲルに関し、より詳しくは、高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲル形成性組成物、及びそれより作られる、優れた力学物性を持つ高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルに関する。また、優れた伸縮性を有する高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルに関する。
高分子ハイドロゲルは、水が主成分であるため安全性が高く、安価に製造することができ、そして環境への負荷が低いため、ソフトマテリアル素材として注目されており、芳香剤、ゼリーや紙おむつ等に利用されている。
しかし、高分子ハイドロゲルの多くは架橋密度に分布を持った不均一な構造を有するため、力学的に脆弱である。
そこで、このような力学物性の欠点を補うために、高分子とナノ微粒子とのコンポジットタイプのハイドロゲルが注目されている。
優れた力学物性を持つ高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルとしては、層剥離したクレイ粒子存在下、アクリルアミド系モノマーを水中でラジカル重合させて得られるナノコンポジットゲルが報告されている(特許文献1及び非特許文献1)。また、類似の報告例として、ポリ(メタ)アクリルアミド中にカルボン酸塩又はカルボキシアニオン構造の基を一部含有する高分子と、クレイ粒子からなるナノコンポジットゲルも知られている(特許文献2)。さらに、ポリアクリル酸ナトリウム、クレイ粒子、及び末端にカチオン性の官能基を有するポリイオンデンドリマーとを混合することにより得られるハイドロゲルが報告されている(特許文献3及び非特許文献2)。
一方、汎用の高分子であるポリアクリル酸塩とクレイからなる乾燥粘土膜が知られており、表面保護材として検討されている(特許文献4)。
また、ポリアクリル酸ナトリウムとクレイの水分散液の粘度変化に関する研究が知られている(非特許文献3)。これは優れた力学物性を持つハイドロゲルに関する研究ではない。
特開2002−053629号公報 特開2009−270048号公報 国際公開第2011/001657号 特開2009−274924号公報
K. Haraguchi, et al., Adv. Mater., 14(16), 1120 (2002) T. Aida, et al., Nature, 463 339 (2010) Colloids and Surfaces, A Physicochemical and Engineering Aspects (2007), 301(1-3), 8-15
特許文献1乃至特許文献3、並びに非特許文献1及び非特許文献2には、優れた力学物性を持つ高分子/ナノ微粒子コンポジットゲルが開示されている。
しかし、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1に開示された高分子/ナノ微粒子コンポジットゲルは、その作製過程において重合反応を要する。また、特許文献3及び非特
許文献2に開示されたハイドロゲルは、その作製過程において特殊な高分子(ポリイオンデンドリマー)を使用する必要がある。
また、特許文献4では、中間物としてゲル状のペーストが作製されているが、該ゲル状のペーストは力学的に脆弱である。該ゲル状のペーストはシートに塗布されており、乾燥後の膜が優れた力学物性を持つものである。
そのため、汎用性の高い高分子を用いた、より簡易的で汎用な手法によって作製することができる、優れた力学物性を持つ高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルが望まれている。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、工業的に入手容易な汎用性の高い高分子と粘土鉱物(本明細書では、クレイ粒子とも記載する。)を用い、混合するだけで作製することができる、優れた力学物性を持つ高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルの提供を目的とする。また、優れた伸縮性を有する高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルの提供を目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電解質高分子と、クレイ粒子と、該クレイ粒子の分散剤とを混合することにより、優れた力学物性を持つ高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルが得られることを見出し、本発明を完成させた。
また、電解質高分子、クレイ粒子、及び該クレイ粒子の分散剤の含有量を調整することにより、優れた伸縮性を有する高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、第1観点として、電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び該クレイ粒子の分散剤(C)を含むことを特徴とする、ハイドロゲル形成性組成物に関する。
第2観点として、前記電解質高分子(A)が有機酸塩構造又は有機酸アニオン構造を有する電解質高分子である、第1観点に記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第3観点として、前記電解質高分子(A)がカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造を有する電解質高分子である、第2観点に記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第4観点として、前記電解質高分子(A)が完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩である、第3観点に記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第5観点として、前記電解質高分子(A)が重量平均分子量100万乃至1000万の完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩である、第4観点に記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第6観点として、前記クレイ粒子(B)が水膨潤性ケイ酸塩粒子である、第1観点乃至第5観点のいずれか1つに記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第7観点として、前記クレイ粒子(B)がスメクタイト、ベントナイト、バーミキュライト、及び雲母からなる群より選ばれる水膨潤性ケイ酸塩粒子である、第6観点に記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第8観点として、前記分散剤(C)が水膨潤性ケイ酸塩粒子の分散剤である、第1観点乃至第7観点のいずれか1つに記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第9観点として、前記分散剤(C)がオルトリン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びポリリン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、第8観点に記載のハイドロゲル形成性組成物に関する。
第10観点として、第1観点乃至第9観点のいずれか1つに記載のハイドロゲル形成性組成物から作られるハイドロゲルに関する。
第11観点として、各々第1観点乃至第9観点のいずれか1つに特定されるところの、
前記電解質高分子(A)、前記クレイ粒子(B)、及び前記分散剤(C)、並びに水又は含水溶媒を混合してゲル化させることを特徴とするハイドロゲルの製造方法に関する。
第12観点として、電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び該クレイ粒子の分散剤(C)を含むハイドロゲル形成性組成物から作られ、直径6mm、長さ2cmの円柱形を成すハイドロゲル成形体において、長さ方向に2倍以上に伸縮可能な伸縮性ハイドロゲルに関する。
第13観点として、前記ハイドロゲル100質量%中、前記電解質高分子(A)の含有量が0.1質量%乃至2.0質量%、前記クレイ粒子(B)の含有量が1.0質量%乃至5.0質量%、及び前記分散剤(C)の含有量が0.1質量%乃至1.0質量%である、第12観点に記載のハイドロゲルに関する。
第14観点として、前記電解質高分子(A)が重量平均分子量100万乃至1000万の完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩、前記クレイ粒子(B)がスメクタイト、ベントナイト、バーミキュライト、及び雲母からなる群より選ばれる水膨潤性ケイ酸塩粒子、並びに前記分散剤(C)がオルトリン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びポリリン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、第12観点又は第13観点に記載のハイドロゲルに関する。
第15観点として、各々第12観点乃至第14観点のいずれか1つに特定されるところの、前記電解質高分子(A)、前記クレイ粒子(B)、及び前記分散剤(C)、並びに水又は含水溶媒を混合してゲル化させることを特徴とする伸縮性ハイドロゲルの製造方法に関する。
本発明のハイドロゲルは優れた力学物性を有する、すなわち、充分な強度を有するものである。例えば、典型的には容器等の支持体がなくてもゲルの形状を保持できる程度のかたさ(「弾性率」)や強度(「破断応力」)を有するものである、いわば自己支持性を有するものとなる。本明細書では、「自己支持性」とは、段落[0024]で説明する一軸圧縮試験において、ハイドロゲルのひずみ率80%時点での応力が10kPa乃至1000kPaである強度をいう。
また、本発明のハイドロゲルは、電解質高分子、クレイ粒子、分散剤並びに水又は含水溶媒を混合することにより作製することができる。
さらに、本発明のハイドロゲルは、成分(B)クレイ粒子の含有量を変化させることで、弾性率を調整することができる。
また、本発明の伸縮性ハイドロゲルは、直径6mm、長さ2cmの円柱形を成すハイドロゲル成形体において、長さ方向に2倍以上に伸縮することができる。
図1は、実施例28における膨潤度測定の結果を示す図である。 図2は、図1に記載されたA、B及びC各時点における、ハイドロゲルを示す写真である。 図3は、実施例29における応力変化の測定結果を示す図である。 図4は、図3から求めたクレイ粒子の濃度と弾性率との関係を示す図である。 図5は、実施例30における応力変化の測定結果を示す図である。 図6は、図5から求めた電解質高分子の濃度と弾性率との関係を示す図である。 図7は、分散剤の濃度と弾性率との関係を示す図である。 図8は、分散剤の濃度と弾性率との関係を示す図である。 図9は、分散剤の濃度と弾性率との関係を示す図である。 図10は、図9に記載されたD及びE各組成における、一軸圧縮試験後のハイドロゲルを示す写真である。 図11は、延伸下における小角X線散乱(SAXS)測定結果を示す図である。 図12は、実施例37における応力変化の測定結果を示す図である。 図13は、実施例38における伸縮測定の測定結果を示す写真である。 図14は、実施例38における伸縮測定の測定結果を示す写真である。
クレイ粒子、例えば、ロックウッド・アディティブズ社製のラポナイト(LAPONITE、ロックウッド・アディティブス社登録商標)は、端面が正に、一方、表面が負に帯電している円盤状粒子であって、ナトリウムイオンを介して層状構造を形成している。このラポナイト粒子に水を添加すると、ナトリウムイオンに水分子が水和し、層剥離する。そして、ラポナイト粒子の正に帯電している端面とラポナイト粒子の負に帯電している表面とが、静電相互作用により結合し、その結果、ラポナイト粒子はカードハウス構造を形成し、水分散液の粘性を高めることが知られている。
一方、二リン酸ナトリウム(別名:ピロリン酸ナトリウム)などの分散剤は、正に帯電したラポナイト粒子の端面に吸着してラポナイト粒子の分散を促進し、さらにカードハウス構造の形成を抑制することも知られている。
クレイ粒子が水に均一に分散された状態の中に電解質高分子を加えると、新たにクレイ粒子と電解質高分子間の相互作用が発生し、均一な高分子/クレイネットワークが構築され、力学物性に優れた高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルが形成されるものと考えられる。
すなわち、本発明は、クレイ粒子(B)に分散剤(C)及び電解質高分子(A)を配合することにより、力学物性に優れた高分子/ナノ微粒子コンポジットハイドロゲルが得られることを見出したものであって、電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)を含むことを特徴とする、ハイドロゲル形成性組成物に関する。
本発明のハイドロゲル形成性組成物及びそれより作られるハイドロゲルは、上記成分(A)乃至成分(C)の他に、本発明の所期の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の成分を任意に配合してもよい。
[ハイドロゲル形成性組成物]
<成分(A):電解質高分子>
本発明の成分(A)は、電解質高分子であって、好ましくはアニオン性電解質高分子であり、より好ましくは有機酸塩構造又は有機酸アニオン構造を有する電解質高分子である。
そのような電解質高分子としては、例えば、カルボキシル基を有するものとして、ポリ(メタ)アクリル酸塩、カルボキシビニルポリマーの塩、カルボキシメチルセルロースの塩;スルホニル基を有するものとして、ポリスチレンスルホン酸塩;ホスホニル基を有するものとして、ポリビニルホスホン酸塩等が挙げられる。前記塩としては、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。なお、本発明では、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方をいう。
また、電解質高分子(A)は架橋又は共重合されてもよく、完全中和物又は部分中和物のいずれも使用できる。
前記電解質高分子(A)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算で好ましくは100万乃至1000万であり、より好ましくは重量平均分子量200万乃至700万である。
また、市販品で入手できる電解質高分子(A)は、市販品に記載されている重量平均分子量として、好ましくは100万乃至1000万であり、より好ましくは重量平均分子量
200万乃至700万である。
前記の中でも、本発明では、電解質高分子(A)は、カルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造を有することが好ましく、特に完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩であることが好ましい。具体的には、完全中和又は部分中和ポリアクリル酸ナトリウムが好ましく、特に重量平均分子量200万乃至700万の完全中和又は部分中和された非架橋型高重合ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
前記電解質高分子(A)の含有量は、ハイドロゲル100質量%中に0.01質量%乃至20質量%、好ましくは0.1質量%乃至10質量%であり、より好ましくは0.1質量%乃至2.0質量%である。
なお、本明細書等では、質量%をwt%とも表記する。
<成分(B):クレイ粒子>
本発明の成分(B)は、クレイ粒子であって、好ましくはクレイナノ微粒子である。具体的には、好ましくは水膨潤性ケイ酸塩粒子である。
クレイ粒子(B)としては、例えば、スメクタイト、ベントナイト、バーミキュライト、及び雲母等が挙げられ、水又は含水溶媒を分散媒としたコロイドを形成するものが好ましい。なお、スメクタイトとは、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのグループ名称である。クレイの一次粒子の形状としては、円盤状、板状、球状、粒状、立方状、針状、棒状、無定形等が挙げられ、直径5nm乃至1000nmの円盤状又は板状のものが好ましい。
クレイの好ましい具体例としては、層状ケイ酸塩が挙げられ、市販品として容易に入手可能な例として、ロックウッド・アディティブズ社製のラポナイトXLG(合成ヘクトライト)、XLS(合成ヘクトライト、分散剤として二リン酸ナトリウム含有)、XL21(ナトリウム・マグネシウム・フルオロシリケート)、RD(合成ヘクトライト)、RDS(合成ヘクトライト、分散剤として無機ポリリン酸塩含有)、及びS482(合成ヘクトライト、分散剤含有);コープケミカル株式会社製のルーセンタイト(コープケミカル株式会社登録商標)SWN(合成スメクタイト)及びSWF(合成スメクタイト)、ミクロマイカ(合成雲母)、及びソマシフ(コープケミカル株式会社登録商標、合成雲母);クニミネ工業株式会社製のクニピア(クニミネ工業株式会社登録商標、モンモリロナイト)、スメクトン(クニミネ工業株式会社登録商標)SA(合成サポナイト);株式会社ホージュン製のベンゲル(株式会社ホージュン登録商標、天然ベントナイト精製品)等が挙げられる。
前記クレイ粒子(B)の含有量は、ハイドロゲル100質量%中に0.01質量%乃至20質量%、好ましくは0.1質量%乃至15質量%である。
<成分(C):クレイ粒子の分散剤>
本発明の成分(C)は、前記クレイ粒子(B)の分散剤であって、好ましくは水膨潤性ケイ酸塩粒子の分散剤である。
分散剤(C)として、ケイ酸塩の分散性の向上や、層状ケイ酸塩を層剥離させる目的で使用される分散剤又は解膠剤を使用することができる。
前記クレイ粒子(B)は、約3質量%以下の低含量の水分散を行う際、分散剤(C)を使用しなくても均一に分散が可能な場合もあるが、本発明のハイドロゲルを作製するためには、分散剤(C)は必須な成分である。分散剤(C)を使用せず、前記電解質高分子(A)と前記クレイ粒子(B)のみを水中で混合した場合は、自己支持性を有する該ハイドロゲルは作製できず、ペースト状の粘性物となる。
分散剤(C)としては、オルトリン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナ
トリウム、及びポリリン酸ナトリウムが挙げられる。その中でも、好ましくは二リン酸ナトリウムである。
前記分散剤(C)の含有量は、ハイドロゲル100質量%中に0.001質量%乃至20質量%、好ましくは0.01質量%乃至10質量%であり、より好ましくは0.1質量%乃至2.0質量%である。
なお、本発明では、上記成分(B)として分散剤を含有するクレイ粒子を使用する場合は、成分(C)である分散剤をさらに添加しても、添加しなくてもよい。
前記電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)の好ましい組合せとしては、ハイドロゲル100質量%中、成分(A)として重量平均分子量200万乃至700万の完全中和又は部分中和された非架橋型高重合ポリアクリル酸ナトリウム0.1質量%乃至10質量%、成分(B)として水膨潤性スメクタイト0.1質量%乃至15質量%、及び成分(C)として二リン酸ナトリウム0.01質量%乃至10質量%である。
また、前記電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)のより好ましい組合せとしては、ハイドロゲル100質量%中、成分(A)として重量平均分子量200万乃至700万の完全中和又は部分中和された非架橋型高重合ポリアクリル酸ナトリウム0.1質量%乃至2.0質量%、成分(B)として水膨潤性スメクタイト0.1質量%乃至15質量%、及び成分(C)として二リン酸ナトリウム0.1質量%乃至2.0質量%である。
本発明のヒドロゲル形成性組成物は、アルコールを含んでいてもよい。
前記アルコールとは、好ましくは水に自由に溶解する水溶性アルコールであり、より好ましくは炭素原子数1乃至8のアルコールであり、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、i−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、イソオクタノールなどが挙げられる。
[ハイドロゲル及びその製造方法]
本発明のハイドロゲルは、前記ハイドロゲル形成性組成物を混合したのち、静置してゲル化させることにより得られる。
ハイドロゲル形成性組成物を用いたゲル化は、ハイドロゲル形成性組成物の2成分の混合物若しくはその水溶液又は水分散液と、残りの1成分若しくはその水溶液又は水分散液とを混合することによってゲル化させることができる。又、各成分の混合物に対して水を添加することによってもゲル化が可能である。
その中でも、操作の簡便さの観点から、上記電解質高分子(A)の水溶液又は水分散液、並びに上記クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)の水溶液又は水分散液とを混合することによってゲル化させることが好ましい。
ハイドロゲル形成性組成物中の各成分を混合する方法としては、機械式又は手動による撹拌の他、超音波処理を用いることができるが、機械式撹拌が好ましい。機械式撹拌には、例えば、マグネチックスターラー、プロペラ式撹拌機、自転・公転式ミキサー、ディスパー、ホモジナイザー、振とう機、ボルテックスミキサー、ボールミル、ニーダー、ラインミキサー、超音波発振器等を使用することができる。
混合する際の温度は、水溶液又は水分散液の凝固点乃至沸点、好ましくは−5℃乃至100℃であり、より好ましくは0℃乃至50℃である。
また、混合直後に泡が発生する場合は、遠心機を用いて泡抜きを行うことが好ましい。遠心機を用いて泡抜きを行う時間としては、例えば、10分乃至20分である。
混合直後は強度が弱くペースト状であるが、静置することでゲル化する。静置時間は2時間乃至100時間が好ましい。静置温度は−5℃乃至100℃であり、好ましくは0℃乃至50℃である。また、混合直後のゲル化する前に型に流し込んだり、押出成型したりすることにより、任意形状のゲルを作製することができる。
得られるハイドロゲルの強度は、一軸圧縮試験により測定することができる。例えば、直径10mm、高さ6mmの円柱状のハイドロゲルを作製し、室温で4日間静置した後、オリエンテック社製のTENSILE TESTER STM−20を用いて測定できる。測定方法は、成形した試料を圧縮速度10mm/分で圧縮し、応力変化を測定する。
ひずみ率80%(ΔL/L=0.8)時点での応力を、上記一軸圧縮試験における測定により求めた。ここで、ΔLは圧縮長、Lは自然長を表す。応力は圧縮による面積変化を考慮(圧縮の間、体積は不変という仮定の下計算)して求めた。
本発明で得られるハイドロゲルのひずみ率80%(ΔL/L=0.8)時点での応力は、10kPa乃至1000kPaであり、高強度が要求される用途に関しては、下限値としては、12kPa、20kPa、50kPa、70kPaが挙げられ、上限値としては、150kPa、300kPa、500kPaが挙げられる。その一例としては、12kPa乃至150kPa、50kPa乃至500kPa、70kPa乃至150kPa、70kPa乃至500kPaである。
[伸縮性ハイドロゲル]
本発明は、電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び該クレイ粒子の分散剤(C)を含むハイドロゲル形成性組成物から作られ、長さ方向に2倍以上に伸縮可能な伸縮性ハイドロゲルに関する。
すなわち、本発明の伸縮性ハイドロゲルは、直径6mm、長さ2cmの円柱形を成すハイドロゲル成形体において、長さ方向に2倍乃至10倍に伸縮可能であり、下限値としては、2倍、3倍が挙げられ、上限値としては6倍、8倍、10倍が挙げられる。
本発明において、前記電解質高分子(A)としては、上記<成分(A):電解質高分子>で述べた化合物を、前記クレイ粒子(B)としては、上記<成分(B):クレイ粒子>で述べた化合物を、及び前記クレイ粒子の分散剤(C)としては、上記<成分(C):クレイ粒子の分散剤>で述べた化合物を用いることができる。
また、本発明の伸縮性ハイドロゲルは、電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び該クレイ粒子の分散剤(C)の含有量を調整することにより作製されるため、前記電解質高分子(A)の含有量は、ハイドロゲル100質量%中に0.01質量%乃至5.0質量%、好ましくは0.1質量%乃至2.0質量%である。また、前記クレイ粒子(B)の含有量は、ハイドロゲル100質量%中に0.1質量%乃至10質量%、好ましくは1.0質量%乃至5.0質量%である。さらに、前記分散剤(C)の含有量は、ハイドロゲル100質量%中に0.01質量%乃至5.0質量%、好ましくは0.1質量%乃至1.0質量%である。
本発明の伸縮性ハイドロゲルにおいて、前記電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)の好ましい組合せとしては、ハイドロゲル100質量%中、成分(A)として重量平均分子量200万乃至700万の完全中和又は部分中和された非架橋型高重合ポリアクリル酸ナトリウム0.1質量%乃至2.0質量%、成分(B)として水膨潤性スメクタイト1.0質量%乃至5.0質量%、及び成分(C)として二リン酸ナトリウム0.1質量%乃至1.0質量%である。
また、本発明の伸縮性ハイドロゲルは、上記[ハイドロゲル及びその製造方法]で説明した方法と同じ方法で製造することができる。その中でも、操作の簡便さの観点から、上記電解質高分子(A)の水溶液又は水分散液、並びに上記クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)の水溶液又は水分散液とを混合することによってゲル化させることが好ましい。その際、前記電解質高分子(A)の水溶液又は水分散液と、前記クレイ粒子(B)、及び分散剤(C)の水溶液又は水分散液との混合比は、体積比で1:2乃至2:1が好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1:ラポナイトRD5wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%ハイドロゲルの製造]
二リン酸ナトリウム十水和物(ピロリン酸ナトリウム十水和物)(TSPP)(関東化学株式会社製)0.021g、水2.328gを混合し、マグネチックスターラーで均一なTSPP水溶液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。次にマグネチックスターラーでTSPP水溶液を撹拌しながら、TSPP水溶液にラポナイトRD(ロックウッド・アディティブズ社製)0.126gを少量ずつ加え、均一な水分散液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。その後、ポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)(和光純薬工業株式会社製:重合度22,000乃至70,000、30℃、2g/L水溶液の粘度350乃至560mPa・s)0.026gを少量ずつ加え、マグネチックスターラーに替えて、スパチュラを用いてASAPが完全溶解するまで手で撹拌した。
そして、遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡抜きを行い、室温下48時間静置させることでハイドロゲルを得た。
[実施例2乃至実施例5:ラポナイトRD7.5wt%乃至15wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%ハイドロゲルの製造]
ラポナイトRDが表1に示す各濃度であるハイドロゲルを、実施例1と同様に操作して作製した。
[実施例6:ラポナイトRD10wt%/ASAP0.25wt%/TSPP0.5wt%ハイドロゲルの製造]
二リン酸ナトリウム十水和物(ピロリン酸ナトリウム十水和物)(TSPP)(関東化学株式会社製)0.017g、水1.772gを混合し、マグネチックスターラーで均一なTSPP水溶液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。次にマグネチックスターラーでTSPP水溶液を撹拌しながら、TSPP水溶液にラポナイトRD(ロックウッド・アディティブズ社製)0.200gを少量ずつ加え、均一な水分散液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。その後、ポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)(和光純薬工業株式会社製:重合度22,000乃至70,000、30℃、2g/L水溶液の粘度350乃至560mPa・s)0.005gを少量ずつ加え、マグネチックスターラーに替えて、スパチュラを用いてASAPが完全溶解するまで手で撹拌した。
そして、遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡抜きを行い、室温下48時間静置させることでハイドロゲルを得た。
[実施例7乃至実施例12:ラポナイトRD10wt%/ASAP0.5wt%乃至5wt%/TSPP0.5wt%ハイドロゲルの製造]
ASAPが表2に示す各濃度であるハイドロゲルを、実施例6と同様に操作して作製した。
[実施例13:ラポナイトRD5wt%/ASAP1wt%/TSPP0.25wt%ハイドロゲルの製造]
二リン酸ナトリウム十水和物(ピロリン酸ナトリウム十水和物)(TSPP)(関東化学株式会社製)0.0084g、水1.8727gを混合し、マグネチックスターラーで均一なTSPP水溶液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。次にマグネチックスターラーでTSPP水溶液を撹拌しながら、TSPP水溶液にラポナイトRD(ロックウッド・アディティブズ社製)0.100gを少量ずつ加え、均一な水分散液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。その後、ポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)(和光純薬工業株式会社製:重合度22,000乃至70,000、30℃、2g/L水溶液の粘度350乃至560mPa・s)0.02gを少量ずつ加え、マグネチックスターラーに替えて、スパチュラを用いてASAPが完全溶解するまで手で撹拌した。
そして、遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡抜きを行い、室温下48時間静置させることでハイドロゲルを得た。
[実施例14及び実施例15、並びに比較例1:ラポナイトRD5wt%/ASAP1wt%/TSPP0.0wt%乃至0.75wt%ハイドロゲルの製造]
TSPPが表3に示す各濃度であるハイドロゲルを、実施例13と同様に操作して作製した。また、比較例として、TSPPを用いずにハイドロゲルを作製したところ、ハイドロゲルは作製できず、ペースト状の粘性物が得られた(比較例1)。
[実施例16乃至実施例19、並びに比較例2:ラポナイトRD10wt%/ASAP1wt%/TSPP0.0wt%乃至1.0wt%ハイドロゲルの製造]
TSPPが表4に示す各濃度、ラポナイトRDの濃度が10wt%、及びASAPの濃度が1wt%であるハイドロゲルを、実施例13と同様に操作して作製した。また、比較例として、TSPPを用いずにハイドロゲルを作製したところ、ハイドロゲルは作製できず、ペースト状の粘性物が得られた(比較例2)。
[実施例20乃至実施例24、並びに比較例3:ラポナイトRD15wt%/ASAP1wt%/TSPP0.0wt%乃至1.25wt%ハイドロゲルの製造]
TSPPが表5に示す各濃度、ラポナイトRDの濃度が15wt%、及びASAPの濃度が1wt%であるハイドロゲルを、実施例13と同様に操作して作製した。また、比較例として、TSPPを用いずにハイドロゲルを作製したところ、ハイドロゲルは作製できず、ペースト状の粘性物が得られた(比較例3)。
[実施例25乃至実施例27:各分子量のASAP1wt%を用いたラポナイトXLG10wt%/TSPP0.5wt%ハイドロゲルの製造]
ラポナイトRDをラポナイトXLG(ロックウッド・アディティブズ社製)に、またポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)を重合度2,700乃至7,500(和光純薬工業株式会社製、25℃、100g/L水溶液の粘度75乃至125mPa・s)、重量平均分子量200万乃至300万(アロンビスMX:東亞合成株式会社製)、及び重量平均分子量400万乃至500万(アロンビスSX:東亞合成株式会社製)に変更し、実施例3と同様に操作した。
[実施例28:各濃度のラポナイトRDを用いたハイドロゲルの膨潤度・ゲル化率測定]
膨潤度をWgel(t)/Wdry、ゲル化率をWdry/Wcal×100と定義し、実施例1、実施例3及び実施例5で作製したハイドロゲルについて膨潤度とゲル化率を求めた。
ここで、Wgel(t)は膨潤開始からt時間後の試料の質量、Wdryは膨潤試料を凍結乾燥した後の試料の質量、Wcalは仕込み組成から求めた膨潤開始前の溶質(ASAP+ラポナイト+TSPP)の質量を表す。試料は遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡を抜き、直径6mm、長さ8mmの円柱形に成形した。
成形した試料を200mLの蒸留水に浸漬させ、所定時間経過後に取り出し、試料に付着した余分な水滴を拭き取った後、天秤で質量(Wgel(t))を測定した。試料が平衡膨潤状態に達したのちに凍結乾燥を行い、試料の質量(Wdry)を測定した。膨潤度測定の結果を図1に示す。また、図2は図1に記載されたA、B及びC各時点における、ハイドロゲルを示す。その結果、ゲル化率は65%乃至80%であった。また、ラポナイトRDの濃度が5wt%であり、ASAPの濃度が1wt%であり、かつTSPPの濃度が0.5wt%であるハイドロゲル(実施例1)は、膨潤度において、最大1200倍を示した。
[実施例29:各濃度のラポライトRDを用いたハイドロゲルの一軸圧縮試験]
実施例1乃至実施例5にて作製したハイドロゲル、及び比較例1乃至比較例3にて得られたペースト状の粘性物について、オリエンテック社製のTENSILE TESTER
STM−20を用いて応力変化を測定した。試料は遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡を抜き、直径10mm、高さ6mmの円柱形に成形し、室温で4日間静置した。
成形した試料を圧縮速度10mm/分で圧縮し、応力変化を測定した。σ=Eε(ε=ΔL/L)の関係より、応力σ−ひずみε曲線の圧縮率の小さい領域の傾きから弾性率Eを求めた。ここで、ΔLは圧縮長、Lは自然長を表す。応力は圧縮による面積変化を考慮(圧縮の間、体積は不変という仮定の下計算)して求めた。応力変化の測定結果を図3に示す。また、ひずみ率80%(ΔL/L=0.8)時点での応力値を表7に示す。その結果、分散剤(TSPP)添加により高い応力値を示した。なお、比較例1乃至比較例3のペースト状の粘性物は、ひずみ率80%時点で大きく崩壊していた。さらに、ラポナイト濃度と弾性率との関係を図4に示す。その結果、ラポナイト濃度が高いほど、弾性率は高い値を示した。
[実施例30:各濃度のASAPを用いたハイドロゲルの一軸圧縮試験]
実施例6乃至実施例12で作製したハイドロゲルについて、実施例29に従って応力変化を測定した。応力変化の測定結果を図5に示す。また、ASAP濃度と弾性率との関係を図6に示す。その結果、ASAP濃度が1wt%のとき、弾性率は最も高い値を示した。
[実施例31:各濃度のTSPPを用いたハイドロゲルの一軸圧縮試験]
実施例13乃至実施例24で作製したハイドロゲル、及び比較例1乃至比較例3で得られたペースト状の粘性物について、実施例29に従って弾性率を求めた。
実施例13乃至実施例15、及び比較例1の結果については図7に、実施例16乃至実施例19、及び比較例2の結果については図8に、実施例20乃至実施例24、及び比較例3の結果については図9にそれぞれ示す。また、図10は図9に記載されたD及びE各組成における、一軸圧縮試験後のハイドロゲルを示す。その結果、図7では、TSPP濃度が0.25wt%のときに、また図8及び図9では、TSPP濃度が0.5wt%のときに、弾性率は最も高い値を示した。しかし、図10の比較から、Dのゲルでは崩壊が起こる一方で、Eのゲルは崩壊しなかった。この結果から、図9ではEの組成(TSPP濃度0.75%)のときに、ゲルが崩壊しない最も高い弾性率を示した。
[実施例32:各分子量のASAPを用いたハイドロゲルの一軸圧縮試験]
実施例25乃至実施例27で作製したハイドロゲルについて、実施例29と同様の操作から破壊応力及び破壊圧縮率を求めた。その結果を表8に示す。ASAPの重量平均分子量が大きくなるほど、破壊応力は高い値を示した。また、分子量の小さいASAPを用いて作製した実施例25のハイドロゲルでは圧縮率80%以下で破壊が見られ、ひずみに弱いことが示された。
[実施例33:小角X線散乱(SAXS)測定]
実施例3及び実施例1で作製したハイドロゲルについて、高エネルギー加速器研究機構の放射光小角X線散乱装置(BL−10C)を用いて、延伸下における小角X線散乱(SAXS)測定を行った。試料は遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡を抜き、長さ18mm、幅10mm、厚み1mmの直方体に成形した。
検出器としてイメージングプレート(R−AXIS)を用い、水平方向に一軸延伸した試料に対して測定を行った。その結果を図11に示す。延伸比が増加する程、延伸方向に対して垂直方向に散乱パターンが推移する。これはASAP高分子の延伸に伴いクレイ粒子の端面が延伸方向に揃い、表面が垂直方向に向いたためと考えられる。この結果から、クレイ粒子の端面とASAP間に相互作用があることと、高分子/クレイネットワークが構築されていることが考えられる。
[実施例34:ラポナイトRD1wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%伸縮性ハイドロゲルの製造]
二リン酸ナトリウム十水和物(ピロリン酸ナトリウム十水和物)(TSPP)(関東化学株式会社製)0.0335g、水3.883gを混合し、マグネチックスターラーで均一なTSPP水溶液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。次にマグネチックスターラーでTSPP水溶液を撹拌しながら、TSPP水溶液にラポナイトRD(ロックウッド・アディティブズ社製)0.039gを少量ずつ加え、均一な水分散液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。その後、ポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)(東亞合成株式会社製アロンビスSX:重量平均分子量400万乃至500万)0.040gを少量ずつ加え、マグネチックスターラーに替えて、スパチュラを用いてASAPが完全溶解するまで手で撹拌した。
そして、遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡抜きを行い、室温下48時間静置させることでハイドロゲルを得た。
[実施例35:ラポナイトXLG1.2wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%伸縮性ハイドロゲルの製造]
二リン酸ナトリウム十水和物(ピロリン酸ナトリウム十水和物)(TSPP)(関東化学株式会社製)0.0334g、水3.887gを混合し、マグネチックスターラーで均一なTSPP水溶液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。次にマグネチックスターラーでTSPP水溶液を撹拌しながら、TSPP水溶液にラポナイトXLG(ロックウッド・アディティブズ社製)0.048gを少量ずつ加え、均一な水分散液になるまで室温(約20℃)にて撹拌した。その後、ポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)(東亞合成株式会社製アロンビスSX:重量平均分子量400万乃至500万)0.039gを少量ずつ加え、マグネチックスターラーに替えて、スパチュラを用いてASAPが完全溶解するまで手で撹拌した。
そして、遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡抜きを行い、室温下48時間静置させることでハイドロゲルを得た。
[実施例36:ラポナイトRD1wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%伸縮性ハイドロゲルの製造]
ポリアクリル酸ナトリウム(ASAP)を重量平均分子量200万乃至300万(アロンビスMX:東亞合成株式会社製)に変更し、実施例34と同様に操作した。
[実施例37:ラポナイト1wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%伸縮性ハイドロゲルの一軸圧縮試験]
実施例34及び実施例35にて作製した伸縮性ハイドロゲルについて、オリエンテック社製のTENSILE TESTER STM−20を用いて応力変化を測定した。試料は遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡を抜き、直径14mm、高さ8mmの円柱形に成形し、室温で5日間静置した。
成形した試料を圧縮速度10mm/分で圧縮し、応力変化を測定した。σ=Eε(ε=ΔL/L)の関係より、応力σ−ひずみε曲線の圧縮率の小さい領域の傾きから弾性率Eを求めた。ここで、ΔLは圧縮長、Lは自然長を表す。なお、ハイドロゲルは柔らかいため、円柱形から直円錐形に形状が若干変化している。したがって、直径14mm、高さ8mmの円柱形の体積とゲルの体積が同じであるという仮定の下でLを評価した。また、応力は初期断面積で割った応力を用いた。応力変化の測定結果を図12に、また弾性率を表9に示す。
[実施例38:ラポナイトRD1wt%/ASAP1wt%/TSPP0.5wt%伸縮性ハイドロゲルの伸縮測定]
実施例34及び実施例36にて作製した伸縮性ハイドロゲルについて、伸縮を測定した。試料は遠心分離(7,000rpmで10分間)で泡を抜き、直径6mm、高さ2cmの円柱形に成形し、室温で7日間静置した。
成形した試料を手に挟み、ハイドロゲルを延伸させた。その結果を図13に示す。延伸
前のハイドロゲルに対して、実施例34で作製した伸縮性ハイドロゲルは約7.5倍に、また実施例36で作製した伸縮性ハイドロゲルは約6倍に延伸した。
また、延伸測定後に張力を開放した。その結果を図14に示す。実施例34及び実施例36にて作製した伸縮性ハイドロゲルは、それぞれ、ほぼ元の長さまで収縮した。

Claims (12)

  1. 電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び該クレイ粒子の分散剤(C)を含む、ハイドロゲル形成性組成物であって、
    前記電解質高分子(A)が有機酸塩構造又は有機酸アニオン構造を有する電解質高分子であり、
    前記クレイ粒子(B)が水膨潤性ケイ酸塩粒子であり、
    前記分散剤(C)が水膨潤性ケイ酸塩粒子の分散剤であることを特徴とする、ハイドロゲル形成性組成物
  2. 前記電解質高分子(A)がカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造を有する電解質高分子である、請求項に記載のハイドロゲル形成性組成物。
  3. 前記電解質高分子(A)が完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩である、請求項1又は請求項2に記載のハイドロゲル形成性組成物。
  4. 前記電解質高分子(A)が重量平均分子量100万乃至1000万の完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のハイドロゲル形成性組成物。
  5. 前記クレイ粒子(B)がスメクタイト、ベントナイト、バーミキュライト、及び雲母からなる群より選ばれる水膨潤性ケイ酸塩粒子である、請求項に記載のハイドロゲル形成性組成物。
  6. 前記分散剤(C)がオルトリン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びポリリン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項に記載のハイドロゲル形成性組成物。
  7. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のハイドロゲル形成性組成物から作られる
    ハイドロゲル。
  8. 各々請求項1乃至請求項のいずれか1項に特定されるところの、前記電解質高分子(A)、前記クレイ粒子(B)、及び前記分散剤(C)、並びに水又は含水溶媒を混合してゲル化させることを特徴とするハイドロゲルの製造方法。
  9. 電解質高分子(A)、クレイ粒子(B)、及び該クレイ粒子の分散剤(C)を含むハイドロゲル形成性組成物から作られ、直径6mm、長さ2cmの円柱形を成すハイドロゲル成形体において、長さ方向に2倍以上に伸縮可能な伸縮性ハイドロゲルであって、
    前記電解質高分子(A)が完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩であり、
    前記クレイ粒子(B)が水膨潤性ケイ酸塩粒子であり、
    前記分散剤(C)が水膨潤性ケイ酸塩粒子の分散剤である、伸縮性ハイドロゲル
  10. 前記ハイドロゲル100質量%中、前記電解質高分子(A)の含有量が0.1質量%乃至2.0質量%、前記クレイ粒子(B)の含有量が1.0質量%乃至5.0質量%、及び前記分散剤(C)の含有量が0.1質量%乃至1.0質量%である、請求項に記載の伸縮性ハイドロゲル。
  11. 前記電解質高分子(A)が重量平均分子量100万乃至1000万の完全中和又は部分中和ポリアクリル酸塩、前記クレイ粒子(B)がスメクタイト、ベントナイト、バーミキュライト、及び雲母からなる群より選ばれる水膨潤性ケイ酸塩粒子、並びに前記分散剤(C)がオルトリン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びポリリン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項又は請求項10に記載の伸縮性ハイドロゲル。
  12. 各々請求項乃至請求項11のいずれか1項に特定されるところの、前記電解質高分子(A)、前記クレイ粒子(B)、及び前記分散剤(C)、並びに水又は含水溶媒を混合してゲル化させることを特徴とする伸縮性ハイドロゲルの製造方法。
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