以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下においては、本発明の車両の一例として3輪の電動補助自転車について説明する。本発明の実施形態における左右、前後、上下とは、電動補助自転車10のシート50に乗員がそのハンドル36に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る電動補助自転車10を示す側面図である。図1は、荷物運搬用台車14(以下、台車14と略記する)が接続されている状態の電動補助自転車10を示している。電動補助自転車10は、三輪の電動補助自転車であり、前後方向に延びるフレーム16を有する。フレーム16は、操舵輪である前輪44を回転可能に支持する前フレーム部18と、駆動輪である後輪56を回転可能に支持する後フレーム部20を有し、前フレーム部18は後フレーム部20に対して揺動軸方向に沿って揺動する。また、本実施形態では、台車14は、後フレーム部20よりも後方に延びるようにかつ着脱可能に後フレーム部20に接続される。
前フレーム部18は、ヘッドチューブ22、ダウンチューブ24、サドルチューブ26、ブラケット部28、チェーンステイ30、一対のサドルステイ32(図1では1本のみ図示)、ハンドルステム34、ハンドル36、フロントフォーク38、およびサドルパイプ40を含む。
ヘッドチューブ22は、前フレーム部18の前端部に設けられる。ダウンチューブ24は、ヘッドチューブ22から後方斜め下方に向かって延びるように設けられる。サドルチューブ26は、ダウンチューブ24の後端部から上方斜め後方に向かって延びるように設けられる。ブラケット部28は、ダウンチューブ24の後端部およびサドルチューブ26の下端部から後方に向かって延びるように設けられる。
チェーンステイ30は、ブラケット部28の後端部から後方に向かって延びるように設けられる。一対のサドルステイ32は、サドルチューブ26の上端部から後方斜め下方に向かって延びるように設けられる。一対のサドルステイ32の下端部は、チェーンステイ30にそれぞれ接続される。
ハンドルステム34は、ヘッドチューブ22に回転可能に挿入される。ハンドル36は、ハンドルステム34の上端部に固定される。ハンドル36の一端側(左端側)には、後述する一対の制動装置204a、204bを作動させるために操作されるレバー42が設けられ、ハンドル36の他端側(右端側)には、後述する制動装置46を作動させるために操作されるレバー(図示せず)が設けられる。
フロントフォーク38は、ハンドルステム34の下端部に固定される。フロントフォーク38の下端部には、前輪44が回転可能に支持される。フロントフォーク38の上部には、前輪44を制動するための制動装置46が設けられる。上述のハンドル36の他端側に設けられるレバー(図示せず)と制動装置46とを連結するように、ワイヤ48が設けられる。乗員が上記レバーを操作することによって、ワイヤ48を介して制動装置46が操作される。これにより、制動装置46によって前輪44が制動される。制動装置46としては、例えば、キャリパーブレーキを用いることができる。
サドルパイプ40は、サドルチューブ26に挿入される。サドルパイプ40の上端部には、サドル50が設けられる。
図2は、前フレーム部18の後端部および後フレーム部20を示す平面図であり、図3は、前フレーム部18の後端部および後フレーム部20を示す後方斜視図である。図4は、前フレーム部18の後端部および後フレーム部20を示す背面図であり、図5は後フレーム部20を示す側面図である。なお、図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、台車14の荷台部54の図示を省略している。また、図3および図5には、後述する規制装置146が取り付けられた状態の後フレーム部20が示されている。
図1から図5を参照して、後フレーム部20は、本体部52および荷台部54を含む。図2から図4を参照して、本体部52は、一対の後輪56、58を支持する一対の支持フレーム部60、62を含む。また、本体部52は、支持フレーム部60、62を支持し且つ支持フレーム部60、62の間を左右方向に延びる複数のクロスフレーム部64、66、68を含む。なお、図1においては、図面が煩雑になることを避けるために後輪56のスポークの図示は省略している。
図3を参照して、支持フレーム部60は、板状の爪部60a、60b、平面視略C字状(略U字状)の保護フレーム部60c、60d、および保護フレーム部60cと保護フレーム部60dとを連結する連結フレーム部60eを含む。
図2および図4を参照して、爪部60aと爪部60bとは、左右方向において互いに対向するように設けられる。後輪56は、車軸70aを介して爪部60a、60bに回転可能に支持される。図3を参照して、保護フレーム部60cは、爪部60aと爪部60bとを連結し、且つ爪部60a、60bから前方斜め上方に延びるように設けられる。保護フレーム部60dは、爪部60aと爪部60bとを連結し、且つ保護フレーム部60cよりも下方において爪部60a、60bから前方斜め下方に延びるように設けられる。連結フレーム部60eは、爪部60bの前方において上下方向に延びて保護フレーム部60c、60dを連結する。
支持フレーム部62は、支持フレーム部60と略左右対称となる構成を有し、爪部60a、60b、保護フレーム部60c、60dおよび連結フレーム部60eと同様の爪部62a、62b、保護フレーム部62c、62dおよび連結フレーム部62eを有する。図2および図4を参照して、後輪58は、車軸70bを介して爪部62a、62bに回転可能に支持される。これにより、一対の後輪56、58は、左右方向に並んで配置され且つ後フレーム部20に支持される。
図3を参照して、クロスフレーム部64の左端は連結フレーム部60eに接続され、右端は連結フレーム部62eに接続される。クロスフレーム部66は、クロスフレーム部64よりも下方に設けられる。クロスフレーム部66の左端は保護フレーム部60dに接続され、右端は保護フレーム部62dに接続される。クロスフレーム部68はクロスフレーム部64、66よりも後方に設けられる。クロスフレーム部68の左端は爪部60bに接続され、右端は爪部62bに接続される。
図2から図4を参照して、後フレーム部20はさらに、前後方向に延びる連結フレーム部72、74および上下方向に延びる連結フレーム部76、78を含む。図2を参照して、連結フレーム部72、74の前端はそれぞれクロスフレーム部64に接続され、後端はそれぞれクロスフレーム部68に接続される。図3および図4を参照して、連結フレーム部76、78の上端はそれぞれクロスフレーム部64に接続され、下端はそれぞれクロスフレーム部66に接続される。連結フレーム部76、78はそれぞれ、電動補助自転車10の左右方向における中心側に傾くように下から上に延びる。
図2を参照して、クロスフレーム部64および連結フレーム部72に接続されるように板状の支持部材80aが設けられ、クロスフレーム部68および連結フレーム部72に接続されるように板状の支持部材80bが設けられる。図2および図3を参照して、クロスフレーム部64および連結フレーム部74に接続されるように板状の支持部材80cが設けられ、クロスフレーム部68および連結フレーム部74に接続されるように板状の支持部材80dが設けられる。
支持部材80a、80b、80c、80dに支持されるように軸受部材82が設けられる。軸受部材82は、板状部82a、板状部82aの前端部から上方に延びる軸受部82b、および板状部82aの後端部から上方に延びる軸受部82cを含む。図3を参照して、軸受部82bは、左右方向における中央部に半円状の凹部82dを有する。同様に、軸受部82cは、左右方向における中央部に凹部(図示せず)を有する。
図2から図4を参照して、チェーンステイ30に一対のブラケット部84a、84bが設けられる。ブラケット部84aは、クロスフレーム部64、66の上方においてチェーンステイ30に固定され、ブラケット部84bは、チェーンステイ30の後端部に固定される。
図3および図4を参照して、ブラケット部84aとブラケット部84bとの間に、前後方向に延びる円柱状の軸部材86が設けられる。軸部材86の前端部は、締結部材(例えばボルト)を介してブラケット部84aに支持され、軸部材86の後端部は、締結部材88(例えばボルト)を介してブラケット部84bに支持される。軸部材86は、周方向に回動できるように軸受部82bの凹部82dおよび軸受部82cの凹部(図示せず)に嵌められる。すなわち、前フレーム部18の軸部材86は、周方向に回動できるように後フレーム部20の軸受部82bに支持される。これにより、前フレーム部18は、軸部材86を中心として揺動(ローリング)できるように後フレーム部20によって支持される。
図6は、電動補助自転車10を示す平面図であり、後フレーム部20に対して揺動する前フレーム部18を示している。前フレーム部18は、軸部材86(図3)に沿った揺動軸(ロール軸)85を中心にして、矢印87に示すように揺動(ローリング)する。例えば、前フレーム部18は、揺動軸85を中心として回転する方向の力を受けた時に後フレーム部20に対して揺動する。特に、カーブ走行時には、前フレーム部18は、第1フレームよりも大きくバンクする。
次に、図2を参照して、後フレーム部20に対して揺動した前フレーム部18を元の位置に戻そうとする力を発生する復元機構を説明する。チェーンステイ30の後端部から左右方向に延びるように一対の取付部90a、90bが設けられる。クロスフレーム部68から前方に延びるように一対の取付部92a、92bが設けられる。取付部90aと取付部92aとを連結するようにスプリング94aが設けられ、取付部90bと取付部92bとを連結するようにスプリング94bが設けられる。本実施形態では、前フレーム部18が軸部材86を中心として揺動した場合には、前フレーム部18を元の位置に戻そうとする力がスプリング94a、94bによって発生される。このように、本実施形態では、スプリング94a、94bが上記復元機構として機能する。
なお、図面が煩雑になることを避けるために、図2においてはスプリング94a、94bを簡略化して示し、図3および図4においては取付部90a、90b、92a、92bおよびスプリング94a、94bを図示していない。また、上記においては詳細な説明は省略したが、取付部90a、90b、92a、92bは、スプリング94a、94bを取り付けることができる構成であればよい。なお、スプリング94a、94bをチェーンステイ30およびクロスフレーム部68に直接取り付けることができる場合には、取付部90a、90b、92a、92bは設けなくてもよい。
図2および図4を参照して、複数の連結部96、98が後フレーム部20に設けられる。より具体的には、クロスフレーム部68の左端部に連結部96が設けられ、クロスフレーム部68の右端部に連結部98が設けられる。本実施形態では、連結部96、98は、クロスフレーム部68よりも後方に延びるようにクロスフレーム部68に設けられる。
図2を参照して、連結部96は、平面視において鉤状に屈曲した形状を有する支持部材96a、支持部材96aに対して上下動できるように支持部材96aに支持される移動部材96b、および支持部材96aが取り付けられる取付部材96cを含む。
支持部材96aは、前後方向に対して平行でかつ互いに対向する板状の支持部100、102を有する。支持部100および102は、上下方向に延びる長孔状の貫通孔(図示せず)を有する。移動部材96bは、円筒状の係止部104、ボルト106およびナット108を含む。係止部104は、支持部100と支持部102との間に配置される。係止部104にボルト106が通され、ボルト106の先端部にナット108が取り付けられる。移動部材96bは、支持部材96aに対して上下動できるように支持部材96aに支持される。
支持部材96aは、複数の締結部材114によって取付部材96cに固定される。本実施形態では、締結部材114は、ボルトおよびナットを含む。取付部材96cは、側面視略U字形状を有し、クロスフレーム部68に固定される。本実施形態では、取付部材96cは、クロスフレーム部68に溶接される。なお、支持部材96aと取付部材96cとが溶接されてもよい。
詳細な説明は省略するが、連結部98は、連結部96と左右対称となる構成を有し、支持部材96a、移動部材96b、取付部材96cと同様の支持部材98a、移動部材98b、取付部材98cを有する。
図3から図5を参照して、後フレーム部20の荷台部54は、平面視略U字形状の枠部116、左右方向に延び且つ枠部116に接続されるクロスフレーム部118、枠部116とクロスフレーム部118とを連結するように前後方向に延びる縦フレーム部120、122、124、および枠部116の前端部から後方斜め下方に延びる支持フレーム部126、128を有する。
枠部116は、左右対称となる形状を有する。枠部116は、左右方向に延びるフロントフレーム部116a、フロントフレーム部116aの左端から後方に延びるサイドフレーム部116b、フロントフレーム部116aの右端から後方に延びるサイドフレーム部116c、サイドフレーム部116bの後端から下方に延びるリアフレーム部116d、およびサイドフレーム部116cの後端から下方に延びるリアフレーム部116eを含む。
図3を参照して、フロントフレーム部116aの中央部は、後方に向かって凹むように略U字状に屈曲している。正面視逆U字状の一対の柵部材130a、130bがフロントフレーム部116aに設けられる。図3および図5を参照して、柵部材130a、130bは、フロントフレーム部116aから前方に延びた後、上方に延びる。
図3および図4を参照して、リアフレーム部116dは、その下端部にフランジ部116fを有し、リアフレーム部116eは、その下端部にフランジ部116gを有する。
図3を参照して、クロスフレーム部118の中央部は、後方に向かって凹むように略U字状に屈曲している。正面視逆U字状の柵部材130cがクロスフレーム部118に設けられる。図3および図5を参照して、柵部材130cは、クロスフレーム部118から後方に延びた後、上方に延びる。
図3を参照して、縦フレーム部120は、フロントフレーム部116aの左端部とクロスフレーム部118の左端部とを連結する。縦フレーム部122は、フロントフレーム部116aの中央部とクロスフレーム部118の中央部とを連結する。また、縦フレーム部124は、フロントフレーム部116aの右端部とクロスフレーム部118の右端部とを連結する。側面視逆U字状の柵部材130dが縦フレーム部120に設けられ、側面視逆U字状の柵部材130eが縦フレーム部124に設けられる。柵部材130dは、縦フレーム部120から左方向に延びた後、上方に延びる。柵部材130eは、縦フレーム部124から右方向に延びた後、上方に延びる。
図3および図5を参照して、荷台部54に荷物132を積む場合には、荷物132は、例えば、柵部材130a、130b、130c、130d、130eの内側において、フロントフレーム部116a、クロスフレーム部118、および縦フレーム部120、122、124に支持される。
図3から図5を参照して、支持フレーム部126は、その下端部にフランジ部126aを有する。支持フレーム部128は、その下端部にフランジ部128aを有する。
枠部116のフランジ部116fは、正面視逆U字状の取付部材134aを介して保護フレーム部60cに取り付けられ、枠部116のフランジ部116gは、正面視逆U字状の取付部材134bを介して保護フレーム部62cに取り付けられる。支持フレーム部126のフランジ部126aは、側面視逆U字状の取付部材134cを介してクロスフレーム部66に取り付けられ、支持フレーム部128のフランジ部128aは、側面視逆U字状の取付部材134dを介してクロスフレーム部66に取り付けられる。これにより、荷台部54が本体部52に支持される。
取付部材134aは、例えば、保護フレーム部60cに溶接され、取付部材134bは、例えば、保護フレーム部62cに溶接される。取付部材134c、134dはそれぞれ、例えば、クロスフレーム部66に溶接される。フランジ部116f、116g、126a、128aはそれぞれ、例えば、図示しない締結部材(ボルトおよびナット等)によって取付部材134a、134b、134c、134dに固定されてもよく、例えば取付部材134a、134b、134c、134dに溶接されてもよい。
サイドフレーム部116bから左方向に延びるように、断面略C字状の取付部材136が設けられる。取付部材136は、例えば、サイドフレーム部116bに溶接される。取付部材136の左端面に、上方斜め後方に延びる板状の支持部材138が取り付けられる。図4および図5を参照して、支持部材138は複数の締結部材140によって取付部材136に固定される。本実施形態では、締結部材140は、ボルトおよびナットを含む。
図3から図5を参照して、サイドフレーム部116bの後端部およびリアフレーム部116dの上端部を覆うように、断面略C字状の支持部材142aが設けられる。支持部材142aは、例えば、サイドフレーム部116bおよびリアフレーム部116dに溶接される。サイドフレーム部116cの後端部およびリアフレーム部116eの上端部を覆うように、断面略C字状の支持部材142bが設けられる。支持部材142bは、例えば、サイドフレーム部116cおよびリアフレーム部116eに溶接される。クロスフレーム部118の左端部から下方に延びるように、正面視略U字状の係止部材144aが設けられ、クロスフレーム部118の右端部から下方に延びるように、正面視略U字状の係止部材144bが設けられる。係止部材144a、144bは、例えば、クロスフレーム部118に溶接される。
図3、図5を参照して、後輪56、58の前転および後転を規制するための規制装置146が支持部材138、142a、142bおよび係止部材144a、144bに取り付けられる。規制装置146は、揺動部材148、リンク部材150、作用部材152および一対の弾性部材154a、154bを含む。本実施形態では、弾性部材154a、154bとして、それぞれコイルばねが用いられる。
揺動部材148は、棒状の操作部材156および操作部材156の下端部に設けられる板状のリンク部材158を含む。操作部材156は、例えばリンク部材158に溶接される。リンク部材158は、側面視略L字形状を有する。リンク部材150は、上下方向に延びる一対の板状部材160を含む。
作用部材152は、L字状の一対の接触部材164、および電動補助自転車10の幅方向(左右方向)に延びかつ一対の接触部材164を保持する保持部材166を含む。各接触部材164は、短冊状の揺動部164a、および揺動部164aの下端から電動補助自転車10の幅方向に延びる短冊状の接触部164bを有する。
軸部材166aは、一対の接触部材164を連結するように、電動補助自転車10の幅方向(左右方向)に延びる。軸部材166aは、その左端部にフランジ状の位置決め部166dを有し、右端部にフランジ状の位置決め部166eを有する。
図3および図5を参照して、支持部材138とリンク部材158とが連結部材168を介して連結される。より具体的には、操作部材156が少なくとも荷台部54の上方に延びるように、リンク部材158が支持部材138に取り付けられる。本実施形態では、連結部材168は、ボルト、ナットおよびカラーを含む。
リンク部材150の一対の板状部材160の上端部の間に、リンク部材158の後端部が配置される。リンク部材150とリンク部材158とは、連結部材170を介して連結される。本実施形態では、連結部材170は、ボルト、ナットおよびカラーを含む。
リンク部材150の一対の板状部材160の下端部の間に、左側の接触部材164の揺動部164aの下端部が配置される。リンク部材150と揺動部164aとは、連結部材172を介して連結される。本実施形態では、連結部材172は、ボルト、ナットおよびカラーを含む。
作用部材152の軸部材166aは、支持部材142a、142bの後方に配置される。より具体的には、位置決め部166d、166eが支持部材142a、142bの外側に位置するように軸部材166aが配置される。軸部材166aは、クロスフレーム部118と略等しい高さに配置され且つクロスフレーム部118よりも後方に配置される。本実施形態では、左側の接触部材164の接触部164bは後輪56の前方に配置され、右側の接触部材164の接触部164bは後輪58の前方に配置される。
軸部材166aの後方斜め上方から支持部材142aに板状の支持部材174aが取り付けられ、軸部材166aの後方斜め上方から支持部材142bに板状の支持部材174bが取り付けられる。支持部材174a、174bはそれぞれ、中央部が半円筒状に湾曲した形状を有する。
軸部材166aは、支持部材142a、142bと支持部材174a、174bとによって揺動可能に支持される。これにより、作用部材152は、軸部材166aを中心として揺動可能となる。支持部材174a、174bは、例えば、ボルトおよびナットを含む締結部材(図示せず)によって支持部材142a、142bに取り付けられる。
弾性部材154aの前端部は荷台部54の係止部材144aに引っ掛けられ、後端部は保持部材166に引っ掛けられる。弾性部材154bの前端部は荷台部54の係止部材144bに引っ掛けられ、後端部は保持部材166に引っ掛けられる。これにより、作用部材152の後方への揺動が規制される。
図5を参照して、規制装置146が後輪56、58の回転を規制していないときは、操作部材156は鉛直方向に対して略平行になる。このとき、リンク部材158の2つの揺動中心(連結部材168の中心および連結部材170の中心)のうちの一方の揺動中心(連結部材170の中心)は、側面視において、リンク部材158の他方の揺動中心(連結部材168の中心)および軸部材166aの中心を結ぶ仮想的な直線Lの上方に位置する。
操作部材156を後方に傾けることによって、リンク部材158は、リンク部材158の後端部が下方に移動するように、連結部材168を中心として揺動する。これにより、連結部材170は前方斜め下方に移動する。連結部材170が前方斜め下方に移動することによって、リンク部材150の上端部が、前方斜め下方に移動する。これにより、リンク部材150の下端部が後方斜め下方に移動する。
リンク部材150の下端部が後方斜め下方に移動することによって、連結部材172が後方斜め下方に移動する。これにより、左側の接触部材164の揺動部164aの下端部が後方斜め下方に押され、接触部材164が軸部材166aを中心として揺動する。一対の接触部材164は保持部材166(軸部材166a)によって連結されているので、右側の接触部材164は、一方の接触部材164とともに軸部材166aを中心として揺動する。これにより、一対の接触部164bが後方斜め下方に移動し、後輪56、58の外周面(より具体的には後輪56、58のタイヤの外周面)に接触する。その結果、後輪56、58の回転が規制される。本実施形態では、後輪56、58の外周面が凹むように、一対の接触部164bが後輪56、58の外周面に接触する。
図1を参照して、ブラケット部28に、駆動ユニット176が設けられる。駆動ユニット176は、クランク178、一対のペダル180a、180b、および電動モータ182を含む。本実施形態では、クランク178は、クランク軸および一対のクランクアームを含む。ペダル180aは、クランク178の左端部に設けられ、ペダル180bは、クランク178の右端部に設けられる。また、駆動ユニット176には、電動補助自転車10の動作を制御するコントローラ320(図11)が設けられている。
クランク178の回転は、伝達機構Tを介して後輪56に伝達される。図1および図2を参照して、伝達機構Tは、クランク178に設けられる円板状の第1回転部材184(図1)、車軸70aと同軸状に設けられかつ後輪56に接続される一方向クラッチ186(図2)、および車軸70aと同軸状に設けられ且つ一方向クラッチ186を介して後輪56に連結される円板状の第2回転部材188(図2)を含む。第1回転部材184および第2回転部材188としては、例えばスプロケットまたはプーリーを用いることができる。
伝達機構Tはさらに、複数の支持部材190を介して後フレーム部20に回転可能に支持される円柱状の中間軸192、中間軸192の一端部に設けられる円板状の第3回転部材194(図2)、中間軸192の他端部に設けられる円板状の第4回転部材196(図2)、第1回転部材184(図1)と第3回転部材194とを連結するチェーン198、および第4回転部材196と第2回転部材188(図2)とを連結するチェーン200を含む。
なお、図2においては、図面が煩雑になることを避けるために複数の支持部材190の図示を省略している。支持部材190の詳細な説明は省略するが、例えば、保護フレーム部60c、60d(図3)の前端部から前方に延びるように1つの支持部材190が設けられ、クロスフレーム部64、66(図3)の略中央部から前方に延びるように1つの支持部材190が設けられる。
第3回転部材194および第4回転部材196としてはそれぞれ、例えばスプロケットまたはプーリーを用いることができる。チェーン198および200の代わりとして、例えばベルトが用いられてもよい。本実施形態では、クランク178から後輪56への回転の伝達経路において、中間軸192は第1回転部材184よりも下流側に設けられ、一方向クラッチ186および第2回転部材188は中間軸192よりも下流側に設けられる。
一方向クラッチ186は、第2回転部材188の前転を後輪56に伝達するが、後輪56の前転を第2回転部材188に伝達しない。したがって、伝達機構Tは、クランク178の前転を後輪56に伝達するが、後輪56の前転をクランク178に伝達しない。
図1を参照して、電動モータ182は、クランク178の回転を補助する。駆動ユニット176には、電動モータ182の駆動等に用いられる電力を蓄えるためのバッテリ202が設けられる。
図2を参照して、車軸70aと同軸状に後輪56用の制動装置204aが設けられ、車軸70bと同軸状に後輪58用の制動装置204bが設けられる。制動装置204a、204bとしてはそれぞれ、例えばドラムブレーキを用いることができる。図1を参照して、制動装置204aおよび制動装置204b(図2)は、連結ユニット206を介してレバー42に連結される。連結ユニット206は、例えば複数のワイヤを含む。本実施形態では、レバー42が操作されることによって制動装置204a、204bが作動され、後輪56、58が制動される。このように、電動補助自転車10では、後輪56、58の回転を規制するための規制装置146と後輪56、58を制動するための制動装置204a、204bとがそれぞれ独立して設けられる。
次に、電動補助自転車10に連結される台車14について説明する。図7および図8は、台車14を示す側面図であり、図9は台車14を示す正面図である。なお、図7および図9は、電動補助自転車10に連結されていないときの台車14の状態を示し、図8は、電動補助自転車10に連結されているときの台車14の状態を示す。
図7から図9を参照して、台車14は、荷台部208、荷台部208から上方に延びる柵部210、荷台部208の後部を支持する一対のキャスタ212、一対のキャスタ212よりも前方において荷台部208に設けられる一対のブラケット部214、216、およびブラケット部214、216に支持されるスタンド部材218を含む。
荷台部208は、公知の種々の台車の荷台部と同様に構成され、例えば、複数のフレーム部および複数の板材によって構成される。柵部210は、公知の種々の台車の柵部と同様に構成され、複数のフレーム部によって構成される。キャスタ212は、車輪212aを有する。キャスタ212としては、公知の台車に用いられている公知の種々のキャスタを用いることができる。一対のキャスタ212は、左右方向に並ぶように荷台部208に取り付けられる。
ブラケット部214は、正面視逆U字形状を有する。ブラケット部214は、その前縁に、後方に向かって凹む一対の凹部214aを有する。ブラケット部216はブラケット部214と同様の形状を有し、その前縁に一対の凹部216aを有する。
図10は、スタンド部材218を示す斜視図である。スタンド部材218は、左右に並んで配置される一対の脚部220a、220b、脚部220a、220bを連結するように左右方向に延びるクロスメンバ222、左右に並んで配置され且つ脚部220a、220bに回転可能に支持される一対の補助輪224a、224b、脚部220aに接続されかつ脚部220a、220bに対して略平行な方向に向かって腕状に延びる操作部材226、および脚部220a、220bから前方に延びる一対の板状の係止部材228a、228bを含む。係止部材228a、228bはそれぞれ、側面視において略L字形状を有する。
図7から図9を参照して、スタンド部材218は、前後方向に揺動できるように一対のブラケット部214、216に支持される。本実施形態では、係止部材228aがブラケット部214に支持され、係止部材228bがブラケット部216に支持される。図8を参照して、本実施形態では、操作部材226を円弧方向に揺動させることによって、補助輪224a、224bが円軌道R上を通るように円弧方向に移動する。これにより、一対のキャスタ212(車輪212a)よりも前方において補助輪224a、224bを地面に接触させたり、補助輪224a、224bを地面から離したりすることができる。
次に、電動補助自転車10と台車14との連結方法について説明する。図7を参照して、台車14を電動補助自転車10に連結する際には、補助輪224a、224bを地面に接触させた状態で、台車14を電動補助自転車10側に移動させる。そして、連結部96の移動部材96bをブラケット部214の凹部214aに嵌めるとともに、連結部98の移動部材98bをブラケット部216の凹部216aに嵌める。
次に、図8を参照して、係止部材228aおよび係止部材228b(図9)によって移動部材96bおよび移動部材98b(図2)の前方が塞がれるように、スタンド部材218を回動させる。これにより、移動部材96bと係止部材228aとが互いに係止されるとともに、移動部材98bと係止部材228bとが互いに係止され、電動補助自転車10と台車14とが連結される。
本実施形態では、移動部材96bは支持部材96aに対して前後方向に移動できず、移動部材98bは支持部材98aに対して前後方向に移動できない。したがって、台車14を電動補助自転車10に連結した状態において、移動部材96b、98bのうちの一方が他方に対して前方に移動することを防止できる。これにより、台車14が後フレーム部20に対して左右方向に揺動することを防止できる。
なお、図面が煩雑になることを避けるために図示していないが、台車14は、スタンド部材218の位置を固定するためのロック機構を有する。このロック機構によって、スタンド部材218を図7に示す位置に固定することができるとともに、図8に示す位置に固定することもできる。すなわち、補助輪224a、224bを地面に接触する状態に維持することができるとともに、地面に接触しない状態に維持することもできる。
台車14を電動補助自転車10から切り離して用いる場合には、補助輪224a、224bが台車14の前輪として機能し、一対のキャスタ212が台車14の後輪として機能する。
図1を参照して、本実施形態では、電動補助自転車10の操作部材156および台車14の操作部材226はともに、電動補助自転車10の幅方向において、電動補助自転車10の中心に対して一方側(例えば左側)に設けられる。これにより、電動補助自転車10および台車14において、同じ側(例えば左側)から操作部材156および操作部材226の両方を操作できるので、使用者の作業を効率良く行うことができる。
次に、図11を参照して、電動補助自転車10のアシスト制御を行う際の信号の授受及び動力の伝達について説明する。図11は、電動補助自転車10の構成要素を示すブロック図である。
電動補助自転車10のコントローラ320は、乗員のペダル踏力に応じて電動モータ182を駆動制御することによってアシスト制御を行う。コントローラ320は、クランク178のトルクを検出するトルクセンサ179から出力されるトルク値に基づいて、乗員のペダル踏力を検知する。また、コントローラ320は、検知したペダル踏力に応じて電動モータ182の出力を制御する。また、コントローラ320は、電動補助自転車10の変速段及びアシストモードも考慮して電動モータ182の出力を制御する。
コントローラ320は、踏力検知部322、変速段検知部324、補助力演算部323、メモリ321、モータ制御部325を有する。踏力検知部322は、トルクセンサ179によって検出されたクランク178のトルクに基づいて、乗員のペダル踏力を求める。変速段検知部324は、電動モータ182の回転数及び前輪44の車速に基づいて、現在の変速段を検知する。
補助力演算部323は、踏力検知部322によって検知されたペダル踏力、変速段検知部324によって検知された変速段、アシストモード、クランク回転センサ195によって検出されたクランク178の回転数に基づいて、電動モータ182に要求される駆動力を求める。メモリ321は、複数種類のアシスト比に関する情報を記憶しており、ペダル踏力、変速段及びアシストモードに応じた駆動力に関するデータを記憶している。補助力演算部323は、ペダル踏力、変速段及びアシストモードに応じて、メモリ321から必要なデータを読み出すことにより、上記駆動力を求める。なお、メモリ321はコントローラ320外部に設けられていてもよい。
モータ制御部325は、補助力演算部323によって求められた必要な駆動力を電動モータ182が出力するように、電動モータ182の駆動を制御する。また、モータ制御部325は、アシストモードの変更操作に応じて電動モータ182による駆動力を変更する。電動補助自転車10のアシストモードの一例としては、"強"、"標準"、"オートエコ"、"切"の4モードがある。電動モータ182の駆動力は、同じペダル踏力に対して、"強"、"標準"、"オートエコ"の順に小さくなる。
アシストモードが"標準"の場合、電動モータ182は、電動補助自転車10が発進、平坦路走行または上り坂走行の際に駆動力を発生させる。アシストモードが"強"の場合、電動モータ182は、"標準"の場合と同様、電動補助自転車10が発進、平坦路走行または上り坂走行の際に駆動力を発生させる。電動モータ182は、アシストモードが"強"の場合には、同じペダル踏力に対して"標準"の場合よりも大きな駆動力を発生させる。アシストモードが"オートエコ"の場合、電動モータ182は、電動補助自転車10が発進または上り坂走行の際に、同じペダル踏力に対して"標準"の場合よりも小さな駆動力を発生する。アシストモードが"切"の場合、電動モータ182は、駆動力を発生しない。
このように、上述のアシストモードに応じて、乗員のペダル踏力に対する電動モータ182のアシスト比が変わる。アシスト比とは、乗員のペダル踏力に対する電動モータ182の駆動力の比である。本実施形態では、アシストモードを4段階に切り替えている。しかしながら、アシストモードの切替えは3段階以下であってもよいし、5段階以上であってもよい。
図11に示すように、モータ制御部325によって駆動制御される電動モータ182の回転数は、モータ回転センサ105によって検出される。モータ回転センサ105によって検出されたモータ回転数は、コントローラ320の変速段検知部324に信号として入力される。この変速段検知部324には、上述のように、前輪44の車速に関する情報も入力される。前輪車速センサ187は、例えば前輪44の回転軸近傍に設けられ、検出した車速に関する情報を変速段検知部324に出力する。
コントローラ320のモータ制御部325によって駆動制御された電動モータ182の出力は、減速機(ギア)103によって減速される。その後、電動モータ182から出力された駆動力は、一方向クラッチ113を介してチェーン198に伝達される。そして、チェーン198によって、電動モータ182の駆動力は、回転シャフト192に伝達される。そして、回転シャフト192からチェーン200を介して後輪56の駆動軸70aに伝達される。
一方、乗員がペダル180a、180bを回転させたときにクランク178に加わるペダル踏力は、一方向クラッチ193を介して、チェーン198に伝達される。乗員のペダル踏力は、チェーン198、回転シャフト192、チェーン200を介して後輪56の駆動軸70aに伝達される。
このように、電動モータ182の駆動力及び乗員のペダル踏力は、後輪56の駆動軸70aに伝達される。すなわち、電動モータ182の駆動力及び乗員のペダル踏力は、チェーン198によって足し合わされて、電動補助自転車10の動力となる。
図11に示す例では、駆動軸70aに変速機構185が設けられている。伝達された回転動力は、変速機構185によって設定された変速比で変速される。図11に示す変速操作部183はハンドル36等に設けられ、乗員が変速操作部183を操作することにより変速機構185は変速比を変更する。後輪56には、一方向クラッチ186を介して動力が伝達される。なお、本実施形態では後輪56、58のうちの後輪56のみに動力が伝達されているが、後輪56、58の両方に動力が伝達されてもよい。また、変速操作部183および変速機構185は備えていなくてもよい。
次に、バッテリ202の着脱方法の例を説明する。図12(a)は、電動補助自転車10に設置されたバッテリ202を示す図であり、図12(b)は、そのバッテリ202を電動補助自転車10から取り外す動作を示す図である。
駆動ユニット176(図1)の上部には、バッテリ202が設置されるバッテリ受け部275(図12(a))が設けられている。バッテリ受け部275は、電動補助自転車10の車幅方向(左右方向)の一方側からバッテリ202が着脱可能である。この例では、バッテリ受け部275は、電動補助自転車10の左側からバッテリ202が着脱可能である。
バッテリ202を装着するときは、バッテリ202の底部をバッテリ受け部275に接触させ、その接触部分を支点として、バッテリ202を回転させることでバッテリ受け部275に固定される。バッテリ受け部275に配置されたバッテリ202は、錠277によっても固定される。
電動補助自転車10からバッテリ202を取り外すときは、図12(b)に示すように、鍵279で錠277を開錠し、バッテリ202の底部を支点としてバッテリ202を左側へ傾け、それから左斜め上方向にバッテリ202を引き抜くことで、電動補助自転車10からバッテリ202を取り外すことができる。
次に、予備バッテリ202Sおよび予備バッテリ202Sを載せるための搭載部271について説明する。図13は、予備バッテリ202Sを載せるための搭載部271を設けた後フレーム部20を示す側面図である。図13に示す例では、搭載部271は、後フレーム部20の荷台部54の下方の位置に設けられている。搭載部271は、例えば、クロスフレーム部64(図3)および/またはリアフレーム部116dに溶接されている。搭載部271は、ボルトとナットを用いてクロスフレーム部64および/またはリアフレーム部116dに固定されていてもよい。また、搭載部271には、予備バッテリ202Sを固定する錠が設けられていてもよい。
搭載部271は、予備バッテリ202Sを着脱可能に搭載する。予備バッテリ202Sは、例えば、電動補助自転車10の前フレーム部18に搭載されたバッテリ202(図1)の予備のバッテリとして用いることができる。バッテリ202の残量が少なくなったときに、バッテリ202と予備バッテリ202Sとを入れ替え、予備バッテリ202Sを前フレーム部18のバッテリ受け部275(図12(a))にセットすることで、補助動力を発生させながら走行可能な距離を伸ばすことができる。
ここで、前フレーム部18が後フレーム部20に対して揺動(ローリング)する電動補助自転車10において、予備バッテリ202Sを後フレーム部20に搭載する効果を説明する。
上記のように前フレーム部18側に電動モータ182、バッテリ202、トルクセンサ179を配置し、後フレーム部20側には予備バッテリ202Sを配置することにより、路面へと伝わる駆動力の確保と操舵性能の確保とを両立することが可能となる。例えば、電動モータ182、バッテリ202、予備バッテリ202S、トルクセンサ179の全てが前フレーム部18に集中した場合には、前フレーム部18側に荷重が集中し、駆動輪側への分布荷重が確保し難く、路面へと伝わる駆動力の確保が難しい。一方、電動モータ182、バッテリ202、予備バッテリ202S、トルクセンサ179の全てが後フレーム部20に集中した場合には、後フレーム部20側に荷重が集中し、操舵輪側への分布荷重が確保し難く、操舵性能の確保が難しい。しかし、上述のように、前フレーム部18側には電動モータ182、バッテリ202、トルクセンサ179を配置し、後フレーム部20側には予備バッテリ202Sを配置することにより、路面へと伝わる駆動力の確保と操舵性能の確保とを両立することが可能となる。
また、前フレーム部18側の重量を増やすことなく予備バッテリ202Sを搭載することができる。例えば、ローリングする前フレーム部18側に、電動モータ182、バッテリ202、予備バッテリ202S、トルクセンサ179の全てが集中した場合には、前フレーム部18側の重量が大きく増加するので、復元機構(図2のスプリング94a、94b)の強度を大きくする必要がある。しかし、ローリングする前フレーム部18側に電動モータ182、バッテリ202、トルクセンサ179を配置する形態において、後フレーム部20側に予備バッテリ202Sを配置することで、復元機構(図2のスプリング94a、94b)の強度は従来と同じままで、予備バッテリ202Sを搭載することができる。
また、後フレーム部20の荷台部54には荷物132(図5)が載せられるが、図13に示す例では、予備バッテリ202Sは荷台部54の下方の位置に設けられているので、予備バッテリ202Sは荷物132と干渉することはない。また、予備バッテリ202Sと荷物132とが干渉することなく予備バッテリ202Sを着脱することができる。
図14は、後フレーム部20の搭載部271に対して予備バッテリ202Sを抜き差しする方向332Sを示す図である。前フレーム部18のバッテリ受け部275および後フレーム部20の搭載部271は、電動補助自転車10の車幅方向の同じ一方側からバッテリ202および202Sが着脱可能である。搭載部271の位置は、台車14の車幅方向中心に対して車幅方向の一方側に偏っている。この例では、搭載部271は、後フレーム部20の左側に偏って設けられている。予備バッテリ202Sの装着時、予備バッテリ202Sは後フレーム部20の左前方側から搭載部271に差し込む。また、予備バッテリ202Sを取り外す時は、搭載部271から後フレーム部20の左前方側へ予備バッテリ202Sを引き抜くことで、台車14から予備バッテリ202Sを取り外すことができる。
また、図12(b)に示したように、バッテリ202は、前フレーム部18の左側からが着脱可能である。前フレーム部18に対してバッテリ202を抜き差しする方向を図14に矢印332で示している。このように、前フレーム部18および後フレーム部20において、同じ側(この例では左側)からバッテリ202および202Sを着脱することにより、使用者によるバッテリの積み替え作業を効率良く行うことができる。すなわち、電動補助自転車10の車幅方向の一方側(この例では左側)に使用者が位置した状態で、バッテリ202および202Sの着脱が可能であるため、バッテリの積み替え作業を効率良く行うことができる。
また、前フレーム部18にバッテリ202を固定する錠277(図12(a))と、後フレーム部20に予備バッテリ202Sを固定する錠(図示せず)とは、同じ鍵279を用いて施錠と開錠が行えるようになっていてもよい。別々の鍵ではなく同じ鍵279を用いることにより、バッテリの積み替え時に複数の鍵を使用するという煩雑さが発生しない。
また、本実施形態では、搭載部271に搭載された予備バッテリ202Sの重心Gは、平面視において、前輪44、後輪56、58それぞれの接地点を結ぶ直線で囲まれた領域334内に位置している。これにより、予備バッテリ202Sの重量により後フレーム部20のバランスが崩れることを防止することができる。なお、前輪44は回動するため、前輪44の接地点の位置は移動するが、前輪44の接地点がどの位置にある場合でも、接地点同士を結ぶ直線で囲まれた領域334内に、予備バッテリ202Sの重心Gが位置するようにする。
また、この例では接地する車輪の数は3個であったが、車輪の数は4個以上であってもよく、これら複数の車輪の接地点を結ぶ直線で囲まれた領域334内に予備バッテリ202Sの重心Gが位置するようにする。
また、本実施形態では、搭載部271に搭載された予備バッテリ202Sの少なくとも一部は、平面視における後フレーム部20の投影面と重なっている。これにより、予備バッテリ202Sの後フレーム部20からのはみ出し量を減らすことができ、予備バッテリ202Sが邪魔になることを防止することができる。また、搭載部271に搭載された予備バッテリ202Sの全体が、台車14の投影面と重なっていてもよい。
また、バッテリ202および202Sを交換する際には、使用者が電動補助自転車10から降車しているので、電動補助自転車10を確実に停車させておくことが望ましい。例えば、搭載部271における予備バッテリ202Sの固定機構を規制装置146と連動させ、規制装置146を作動させているときにのみ、予備バッテリ202Sの着脱が可能になるようにしてもよい。
また、バッテリの交換時には、一方のバッテリを取り外して手で持っている状態で、他方のバッテリを取り外して交換する作業は困難な場合がある。そのため、バッテリの交換時に、取り外したバッテリを一時的に置いておくスペースが前フレーム部18および/または後フレーム部20に設けられていてもよい。また、後フレーム部20は搭載部271を複数個備えていてもよく、空いている搭載部271に取り外したバッテリを置くようにしてもよい。これにより、バッテリの交換作業をスムーズに行うことができる。例えば、後フレーム部20が搭載部271を2個備える場合、電動補助自転車10から取り外したバッテリ202を、一方の搭載部271に装着し、他方の搭載部271から予備バッテリ202Sを取り外して電動補助自転車10に装着するといった作業が可能になり、バッテリの交換作業をスムーズに行うことができる。
また、後フレーム部20に搭載部271を複数個設け、複数の搭載部271それぞれに予備バッテリ202Sを載せてもよい。図15は、複数の搭載部271が設けられた後フレーム部20を示す図である。この例では、後フレーム部20の左側位置および右側位置のそれぞれに搭載部271が設けられている。後フレーム部20が複数の予備バッテリ202Sを搭載することにより、補助動力を発生させながら走行可能な距離をさらに伸ばすことができる。なお、この場合も、複数の搭載部271に搭載された予備バッテリ202Sのそれぞれの重心Gは、平面視において、前輪44、後輪56、58それぞれの接地点を結ぶ直線で囲まれた領域334内に位置していることが望ましい。これにより、複数の予備バッテリ202Sの重量により後フレーム部20のバランスが崩れることを防止することができる。
なお、本実施形態では、予備バッテリ202Sを載せる搭載部271を後フレーム部20の荷台部54の下方に配置したが、搭載部271はそれとは異なる位置に配置してもよい。例えば、図16および図17に示すように、荷台部54上に搭載部271を配置してもよい。
図16に示す例では、荷台部54の柵部材130dよりも外側に搭載部271が配置されている。これにより、予備バッテリ202Sと荷台部54に載せる荷物132(図5)とが干渉することを防止することができる。なお、電動補助自転車10が規制装置146を備える場合は、規制装置146が干渉しない位置に搭載部271を配置することが望ましい。図16に示す例では、荷台部54の前方部に搭載部271を配置することで、規制装置146との干渉を防止している。
また、図17に示す例では、荷台部54の柵部材130dよりも内側に搭載部271が配置されている。これにより、荷物132を載せるスペースが狭くなるが、予備バッテリ202Sと規制装置146とが干渉することはないため、予備バッテリ202Sの配置の自由度は高くなる。なお、予備バッテリ202Sおよび搭載部271の上側に荷物132を載せるようにすることで、荷物132を載せる十分なスペースを確保してもよい。また、この場合、予備バッテリ202Sおよび搭載部271の上側に、荷物132を支持するフレームを設けることで、荷物132の重量が予備バッテリ202Sおよび搭載部271に加わることを防止することができる。
また、予備バッテリ202Sの固定具として弾性体を用いてもよく、予備バッテリ202Sはそのような弾性体によって後フレーム部20に固定されてもよい。弾性体は、例えば、ゴムバンドおよびネット等である。例えば、予備バッテリ202Sを支持する弾性体を後フレーム部20の部材に引っ掛けることにより、予備バッテリ202Sを後フレーム部20に固定してもよい。予備バッテリ202Sの着脱は、弾性体を後フレーム部20に対して着脱することにより行うことができる。
また、後フレーム部20は、後フレーム部20の走行時の振動が予備バッテリ202Sへ伝達することを低減させる緩衝器をさらに備えていてもよい。緩衝器は例えばオイルダンパーおよび弾性部材等であり、搭載部271の外部または内部に設けられ、予備バッテリ202Sへの振動の伝達を低減することができる。
また、搭載部271には、搭載部271内部に入った雨水を外部へ排出する穴が形成されていてもよい。また、搭載部271は、予備バッテリ202Sの端子を覆う保護カバーをさらに備えていてもよい。
また、搭載部271は、後フレーム部20に対して着脱可能であってもよい。
次に、図18、図19を参照して、後フレーム部20に配置された状態の予備バッテリ202Sから、前フレーム部18側へ電力を供給する実施形態を説明する。
図18は、バッテリ202および202Sとコントローラ320およびモータ182との電気的な接続状態を示す図である。この例では、バッテリ202および202Sの両方がコントローラ320と電気的に接続されている。
バッテリ202および202Sはそれぞれ、BMC(バッテリマネージメントコントローラ)291、スイッチ部295、逆流防止回路293を備えている。バッテリ202および202Sが逆流防止回路293を備えることにより、一方のバッテリから他方のバッテリへ電流が流れることを防止することができる。なお、前フレーム部18および後フレーム部20の少なくとも一方が、バッテリ202および202Sの少なくとも一方に対する電流の逆流を防止する逆流防止回路を備えていてもよい。
BMC291は、コントローラ320からの指示に基づいて、スイッチ部295のオン/オフを切り替える。これにより、モータ182への電力供給に使用するバッテリをバッテリ202および202Sの間で切り替えることができる。なお、この切り替えは、コントローラ320で行ってもよい。
コントローラ320は、所定の優先順位に応じて、モータ182への電力供給に使用するバッテリをバッテリ202および202Sの間で切り替える。例えば、モータ182への電力供給に使用するバッテリとして、後フレーム部20に搭載された予備バッテリ202Sよりも前フレーム部18に搭載されたバッテリ202を優先して選択する。また、前フレーム部18に搭載されたバッテリ202よりも、後フレーム部20に搭載された予備バッテリ202Sを優先して選択してもよい。
コントローラ320は、バッテリ202および202Sそれぞれの残量に応じて、モータ182への電力供給に使用するバッテリをバッテリ202および202Sの間で切り替えてもよい。一方のバッテリの残量が少なくなったときに、他方のバッテリに切り替えることにより、補助動力を発生させながら走行を継続することができる。
また、後フレーム部20の予備バッテリ202Sから電動補助自転車10へ電流を供給する態様においては、前フレーム部18はバッテリ202を搭載していなくてもよい。バッテリ202を搭載しないことにより、前フレーム部18の総重量を軽くすることができる。
図19は、後フレーム部20の予備バッテリ202Sと、前フレーム部18のコントローラ120およびバッテリ106とを電気的に接続する導電線297の配置を示す図である。
上述したように、前フレーム部18は、後フレーム部20に対して揺動(ローリング)する。前フレーム部18と後フレーム部20とを繋ぐ導電線297が、このような揺動のたびに大きく移動すると、導電線297に負荷がかかることになる。このため、揺動に伴う導電線297の移動量を小さくすることが望ましい。本実施形態では、導電線297を揺動軸(ローリング軸)に沿って配置している。これにより、揺動に伴う導電線297の移動量を小さくすることができる。
図19を参照して、例えば、上述したようにチェーンステイ30下部の軸部材86に沿った揺動軸を中心にして前フレーム部18が揺動する場合、その揺動軸に沿ったチェーンステイ30の下部に導電線297を固定する。これにより、導電線297を揺動軸に沿って配置することができ、揺動に伴う導電線297の移動量を小さくすることができる。これにより、導電線297にかかる負荷を低減させることができる。
なお、上記実施形態の説明において、車両として3輪の電動補助自転車を例示したが、本発明はそれに限定されず、例えば2輪の電動補助自転車であってもよい。また、本発明は電動補助車両に限定されず、電動バイク等であってもよい。
また、インホイールモータを使用する等、後フレーム部側に電動モータが配置される場合は、前フレーム部側に予備バッテリを配置してもよい。例えば、インホイールモータとメインのバッテリが後フレーム部側に配置される場合は、前フレーム部側に予備バッテリを配置することで、後フレーム部側に重量物が集中することを防止し、路面へと伝わる駆動力の確保と操舵性能の確保とを両立することが可能となる。
また、上記実施形態の説明において、台車の一例として、リヤカーのように車両の後方に接続される形態を示したが、本発明はそれに限定されず、例えばサイドカーのように車両の側方に接続されてもよい。あるいは、車両の前方に接続されてもよい。
また、上記実施形態の説明において、荷物運搬台車を例示したが、本発明はそれに限定されず、例えば台車に人(または動物)等の荷物以外のものが乗ってもよい。
また、上記実施形態の説明において、台車が接続可能な車両を例示したが、台車が接続されない車両にも本発明は適用可能である。
また、上記実施形態の説明で示した各種の制御動作は、ハードウエアによって実現されてもよいしソフトウエアによって実現されてもよいし、それらの組み合わせによって実現されてもよい。そのような動作を実行させるコンピュータプログラムは、例えば電動補助自転車10に設けられたメモリに記憶され、コントローラ320(コンピュータ)によって動作が実行される。また、そのようなコンピュータプログラムは、それが記録された記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)から電動補助自転車10へインストールしてもよいし、インターネット等の電気通信回線を介してダウンロードしてもよい。また、無線通信を介してそのようなコンピュータプログラムを電動補助自転車10へインストールしてもよい。