以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下においては、本発明の電動補助車両の一例として3輪の電動補助自転車について説明する。本発明の実施形態における左右、前後、上下とは、電動補助自転車10のシート92に乗員がそのハンドル82に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
上述したように、荷物運搬用の台車が接続された電動補助自転車では、総重量が大きくなるため、走行負荷が増え、電力消費量が増える。このため、台車が接続された電動補助自転車では、台車が接続されない自転車よりもバッテリの減りが早く、補助動力を発生させながら走行可能な距離が短くなってしまうことになる。
特許文献1は、電動補助自転車の本体に複数のバッテリを搭載し、各バッテリの残量を常時検出して何れか1つのバッテリを選択して使用することにより、航続距離を伸ばすことを提案している。仮に特許文献1の電動補助自転車に台車を接続した場合は、バッテリを1個のみ搭載する電動補助自転車に台車を接続した場合と比較して、航続距離を伸ばすことができると考えられる。しかし、特許文献1の構成では、台車を接続しない電動補助自転車単独の状態での重量が増えることになってしまい、電動補助自転車単独での運転時の走行負荷が増え、乗員に負担を強いることになる。
以下に説明する本発明の実施形態によれば、電動補助車両単独の状態での重量を増やすことなく、従来の電動補助車両と同様に軽快な走行を可能としつつ、台車が電動補助車両に接続された状態においては、補助動力を発生させながら走行可能な距離を伸ばすことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る電動補助自転車10を示す側面図である。図1は、荷物運搬用台車14(以下、台車14と略記する)が接続されている状態の電動補助自転車10を示している。
電動補助自転車10は、前後方向に延びるフレーム16を有する。フレーム16は、ヘッドチューブ18、ダウンチューブ20、シートチューブ22、ブラケット部24、チェーンステイ26、シートステイ28、および後輪支持ユニット30を含む。
ヘッドチューブ18は、フレーム16の前端部に設けられている。ダウンチューブ20は、ヘッドチューブ18から後方斜め下方に向かって延びるように設けられている。シートチューブ22は、ダウンチューブ20の後端部から上方斜め後方に向かって延びるように設けられている。ブラケット部24は、ダウンチューブ20の後端部およびシートチューブ22の下端部から後方に向かって延びるように設けられている。
シートステイ28は、シートチューブ22の上端部から後方斜め下方に向かって延びるように設けられている。シートステイ28の下端部は、チェーンステイ26に接続されている。
ヘッドチューブ18には、ハンドルステム80が回転自在に挿通されている。ハンドルステム80の上端部には、ハンドル82が固定されている。ハンドル82には、図示しないブレーキレバーが設けられており、乗員は、ブレーキレバーを操作することによって電動補助自転車10にブレーキをかけることができる。ハンドルステム80の下端部には、フロントフォーク84が固定されている。フロントフォーク84の下端部には、前輪86が車軸を介して回転可能に支持されている。電動補助自転車10においては、ハンドル82を左右に切ることによって、前輪86が左右に向きを変える。それによって、電動補助自転車10の向きを変えることができる。
シートチューブ22には、シートパイプ90が挿入されている。シートパイプ90の上端部には、シート92が設けられている。ブラケット部24には、駆動ユニット94が設けられている。駆動ユニット94は、ペダルクランク96、ペダル98a、98b、ドライブスプロケット100および電動モータ102を含む。乗員がペダル98a、98bを踏み込むことによって、ペダルクランク96が回転する。
ドライブスプロケット100は、ペダルクランク96の一方向の回転に従って回転するように、一方向クラッチ(図7)を介してペダルクランク96に取り付けられている。ドライブスプロケット100は、無端状のチェーン104を介して後輪支持ユニット30の下部に設けられる回転シャフト356(図2)に連結されている。電動モータ102は、ドライブスプロケット100の後方斜め下方に設けられ、ペダルクランク96の回転を補助するためのトルクを発生する。シートチューブ22よりも後方において、駆動ユニット94には、電動モータ102の駆動等に用いられる電力を蓄えるためのバッテリ106が設けられている。シートチューブ22には、バッテリ106を固定する錠177が設けられている。また、駆動ユニット94には、電動補助自転車10の動作を制御するコントローラ120(図7)が設けられている。
図1に示す電動補助自転車10では、後輪支持ユニット30は、チェーンステイ26に対してローリング可能である。また、台車14の積載部374の前端374aは、左後輪108および右後輪114(図2)の前端よりも前方に位置している。
図2は、台車14が接続されていない状態での電動補助自転車10の後部を示す平面図である。チェーン104は左後輪108と伝達機構Tを介して連結されている。なお、チェーンステイ26およびシートステイ28としては、公知の種々の3輪自転車に用いられているチェーンステイおよびシートステイを利用できるので、チェーンステイ26およびシートステイ28の詳細な説明は省略する。
伝達機構Tは、回転シャフト356およびチェーン358を含む。チェーン104は、回転シャフト356の右端部に連結される。チェーン358は、回転シャフト356の左端部と左後輪108とを連結する。このような構成によって、伝達機構Tを介してチェーン104から左後輪108に回転が伝達される。なお、伝達機構Tは、左後輪108および右後輪114の両方に回転を伝達してもよい。伝達機構Tとしては、公知の種々の3輪自転車に用いられている伝達機構を利用できるので、伝達機構Tの詳細な説明は省略する。
後輪支持ユニット30は、車軸110を介して左後輪108を回転可能に支持するためのブラケット360、362と、車軸116を介して右後輪114を回転可能に支持するためのブラケット364、366と、ブラケット360とブラケット364とを連結する支持チューブ368と、支持チューブ368に取り付けられる一対の連結ユニット370、372とを含む。後輪支持ユニット30は、チェーンステイ26を中心としてローリングできるように、チェーンステイ26に接続されている。なお、ブラケット360、362、364、366、支持チューブ368、および連結ユニット370、372以外の後輪支持ユニット30の構成としては、公知のローリングタイプの後輪支持ユニットの構成を利用できるので、後輪支持ユニット30の詳細な説明は省略する。
連結ユニット370は、平面視略U字形状のブラケット370aおよび左右方向に延びる円筒状のカラー370bを有する。ブラケット370aの両端部は、左右方向に拡がるように斜め後方に向かって延びている。カラー370bは、ボルト370cおよびナット370dを介してブラケット370aに支持されている。連結ユニット372は、連結ユニット370の左右対称となる構成を有し、ブラケット370aおよびカラー370bと同様のブラケット372aおよびカラー372bを有する。カラー372bは、ボルト372cおよびナット372dを介してブラケット372aに支持されている。
図3および図4は、台車14を示す側面図である。図3は、スタンド部材382が接地状態に設定されている状態の台車14を示す図である。図4は、スタンド部材382が非接地状態に設定されている状態の台車14を示す図である。スタンド部材382は、台車14の左側および右側にそれぞれ配置される一対の補助輪428を含む。本実施形態において、スタンド部材382の接地状態とは、スタンド部材382の一対の補助輪428が地面に接触している状態をいい、スタンド部材382の非接地状態とは、一対の補助輪428が地面に接触していない状態をいう。
台車14は、荷物を載せる積載部(荷台)374、積載部374から上方に延びるように設けられる柵部376、積載部374の後部に設けられる一対のキャスタ378、積載部374の略中央部に設けられるロック機構380を含む。ロック機構380に設けられたスタンド部材382は、上後方に向かって腕状に延びるハンドル部432を含む。ロック機構380およびスタンド部材382は、台車14を電動補助自転車10に接続する接続装置である。
積載部374は、左右に並んで配置されかつ前後方向に延びる一対のサイドフレーム384、および一対のサイドフレーム384を連結するように左右方向に延びるクロスメンバ386、388、390、392を有する。
クロスメンバ386とクロスメンバ388との間において各サイドフレーム384に、前後方向に延びかつ積載部374よりも下方に突出するブラケット394が設けられている。各ブラケット394は、例えば、サイドフレーム384の内側の側面に溶接されている。
クロスメンバ388の中央部から後方斜め下方に延びるようにブラケット395が設けられている。ブラケット395は、例えば、クロスメンバ388に溶接されている。ブラケット395は、ワイヤ470を支持している。
各キャスタ378は、車輪400および車輪400を回転可能に支持する支持フレーム402を含む。支持フレーム部402は、その上端部に、上下方向に延びる軸部402aを有する。軸部402aは、ベアリングユニット(図示せず)に回転可能に支持されている。これにより、キャスタ378が積載部374に対して軸部402aを中心として回動可能となる。
積載部374の下方の位置には、電動補助自転車10のモータ102への電力供給に用いられるバッテリ106sを載せるための搭載部171が設けられている。搭載部171は、例えば、サイドフレーム384の内側の側面に溶接されている。積載部374には、バッテリ106sを固定する錠173が設けられている。
柵部376は、一対のサイドフレーム384の前端部に接続されかつ上方に延びる一対の第1ハンドルフレーム404、一対の第1ハンドルフレーム404を連結するクロスメンバ406、408、一対のサイドフレーム384の後端部に接続されかつ上方に延びる第2ハンドルフレーム410、第2ハンドルフレーム410の上部において左右方向に延びるように設けられるクロスメンバ412を含む。柵部376はさらに、一対の第1ハンドルフレーム404と第2ハンドルフレーム410とを連結する一対のサイドフレーム416、および一対のサイドフレーム416と一対のサイドフレーム384とを連結する複数の縦フレーム418を有する。第2ハンドルフレーム410の上端部には、レバー420が設けられる。
ロック機構380は、第1ユニット448、一対の第2ユニット450を含む。第2ユニット450は、台車14の左側および右側にそれぞれ配置される。第1ユニット448は、一対のブラケット394を連結するように設けられている。第2ユニット450は、図示しない締結部材(たとえば、ボルトおよびナット等)によってブラケット394に固定されている。
次に、電動補助自転車10と台車14との連結方法について説明する。台車14を電動補助自転車10に連結する際には、まず、後輪支持ユニット30(図2)のカラー370bおよび372bが一対の第2ユニット450の凹部482(図3)に嵌るように、台車14を電動補助自転車10側に移動させる。次に、ハンドル部432のレバー446を操作することによって、スタンド部材382の補助輪428が地面から離れ、スタンド部材382が非接地状態になる。また、台車14の左側および右側にそれぞれ設けられたスタンド部材382の一対の鉤状部422(図4)がカラー370bおよび372bの前方に移動し、カラー370bおよび372bが凹部482から抜け出てしまうことが防止される。すなわち、電動補助自転車10と台車14とが切り離されてしまうことが防止される。これにより、電動補助自転車10と台車14とが連結される。
なお、電動補助自転車10と台車14とを切り離す際には、上記と反対の動作を行うことによって、スタンド部材382を非接地状態から接地状態にすればよい。この動作に伴い、スタンド部材382の鉤状部422はカラー370bおよび372bの下方に移動し、カラー370bおよび372bを凹部482から切り離すことができる。
ここで、台車14が搭載するバッテリ106sについて説明する。搭載部171は、バッテリ106sを着脱可能に搭載する。バッテリ106sは、例えば、電動補助自転車10に搭載されたバッテリ106(図1)の予備のバッテリとして用いることができる。電動補助自転車10に搭載されたバッテリ106の残量が少なくなったときに、バッテリ106とバッテリ106sとを入れ替え、バッテリ106sを電動補助自転車10にセットすることで、補助動力を発生させながら走行可能な距離を伸ばすことができる。
バッテリ106と予備のバッテリ106sの両方を電動補助自転車10の本体に搭載した場合は、電動補助自転車10の本体の総重量が増えることになる。このため、台車14の未接続時における電動補助自転車10の走行負荷が増え、運転する乗員に負担を強いることになる。本実施形態では、台車14がバッテリ106sを搭載することにより、台車14の未接続時における電動補助自転車10の走行負荷が増えることを防止し、乗員は快適に電動補助自転車10を運転することができる。
ただし、台車14にバッテリ106sを載せた場合には、台車14に載せる荷物と干渉し、積載量が減少したり、荷物および/またはバッテリ106sの出し入れが不便になったりするおそれがある。また、台車14を構成する部材とバッテリ106sとが干渉しないようにすることが望ましい。特に、電動補助自転車10に対して着脱可能な機構を有する台車14では、そのような複雑な機構とバッテリ106sとが干渉しないようにすることが望ましい。本実施形態では、搭載部171は、使用者がバッテリ106sを着脱するときに、バッテリ106sと他の部材とが干渉しないように構成されている。
また、搭載部171は、積載部374に荷物が積載された状態において、バッテリ106sと荷物とが干渉することなくバッテリ106sを着脱できるように構成されている。例えば、搭載部171を積載部374の下方に配置することで、バッテリ106sと荷物とが干渉することなくバッテリ106sを着脱することができる。また、例えば、搭載部171は、積載部374の後部に設けられたキャスタ378と干渉しない位置に配置される。
また、図1および図4に示すように、搭載部171は、台車14と電動補助自転車10とが接続された状態において、バッテリ106sと電動補助自転車10とが干渉することなくバッテリ106sを着脱できるように構成されている。例えば、電動補助自転車10の後輪108および114(図2)とバッテリ106sとが接触することなくバッテリ106sを着脱可能な位置に搭載部171は配置されている。
また、台車14と電動補助自転車10との接続動作時および切断動作時にハンドル部432は操作されるため、電動補助自転車10に接続されている状態でのハンドル部432の姿勢と、接続されていない状態でのハンドル部432の姿勢とは異なっている。本実施形態では、このような台車14が電動補助自転車10に接続されている状態と接続されていない状態との両方の状態において、バッテリ106sとハンドル部432とが干渉することなくバッテリ106sを着脱できるように搭載部171は構成されている。例えば、ハンドル部432のレバー446が一番下がったときの位置よりも下方に、搭載部171を配置することで、ハンドル部432と干渉することなくバッテリ106sを着脱することができる。
また、搭載部171は、台車14と電動補助自転車10との接続時に電動補助自転車10と接触するロック機構380から見て、電動補助自転車10とは反対側に位置する。例えば、台車14と電動補助自転車10との接続時にロック機構380よりも後方に搭載部171が位置するようにすることで、接続動作時および切断動作時にバッテリ106sが電動補助自転車10と干渉することを防止することができる。これにより、バッテリ106sが他の部材と接触して損傷することを防止することができる。
次に、バッテリ106および106sの着脱方法の例を説明する。図5(a)は、電動補助自転車10に設置されたバッテリ106を示す図であり、図5(b)は、そのバッテリ106を電動補助自転車10から取り外す動作を示す図である。
駆動ユニット94(図1)の上部には、バッテリ106が設置されるバッテリ受け部175(図5(a))が設けられている。バッテリ受け部175は、電動補助自転車10の車幅方向(左右方向)の一方側からバッテリ106が着脱可能である。この例では、バッテリ受け部175は、電動補助自転車10の左側からバッテリ106が着脱可能である。
バッテリ106を装着するときは、バッテリ106の底部をバッテリ受け部175に接触させ、その接触部分を支点として、バッテリ106を回転させることでバッテリ受け部175に固定される。バッテリ受け部175に配置されたバッテリ106は、錠177によっても固定される。
電動補助自転車10からバッテリ106を取り外すときは、図5(b)に示すように、鍵179で錠177を開錠し、バッテリ106の底部を支点としてバッテリ106を左側へ傾け、それから左斜め上方向にバッテリ106を引き抜くことで、電動補助自転車10からバッテリ106を取り外すことができる。
図6は、台車14の搭載部171に対してバッテリ106sを抜き差しする方向181を示す図である。電動補助自転車10のバッテリ受け部175および台車14の搭載部171は、電動補助自転車10の車幅方向の同じ一方側からバッテリ106および106sが着脱可能である。搭載部171の位置は、台車14の車幅方向中心398に対して車幅方向の一方側に偏っている。この例では、搭載部171は、台車14の左側に偏って設けられている。バッテリ106sの装着時、バッテリ106sは台車14の左側から搭載部171に差し込む。また、バッテリ106sを取り外す時は、搭載部171から台車14の左側へバッテリ106sを引き抜くことで、台車14からバッテリ106sを取り外すことができる。このように、電動補助自転車10および台車14において、同じ側(例えば左側)からバッテリ106および106sを着脱することにより、使用者によるバッテリの積み替え作業を効率良く行うことができる。
また、電動補助自転車10にバッテリ106を固定する錠177(図5(a))と、台車14にバッテリ106sを固定する錠173(図4)とは、同じ鍵179を用いて施錠と開錠が行えるようになっていてもよい。別々の鍵ではなく同じ鍵179を用いることにより、バッテリの積み替え時に複数の鍵を使用するという煩雑さが発生しない。
また、台車14は、電動補助自転車10に接続されていない状態(図3に示す状態)では、車輪400および補助輪428が地面に接地し、積載部374等を含む台車14全体を支持している。本実施形態では、搭載部171に搭載されたバッテリ106sの重心Gは、平面視において車輪400の接地点400aおよび補助輪428の接地点428a同士を結ぶ直線で囲まれた領域183内に位置している。これにより、バッテリ106sの重量により台車14のバランスが崩れることを防止することができる。なお、本実施形態の台車14では、キャスタ378が軸部402a(図3)を中心として回動するため、車輪400の接地点400aは、図6のように円の軌跡を描く。接地点400aがどの位置にある場合でも、接地点同士を結ぶ直線で囲まれた領域183内に、バッテリ106sの重心Gが位置するようにする。
また、この例では接地する車輪の数は4個であったが、車輪の数は3個以上であればよく、これら複数の車輪同士を結ぶ直線で囲まれた領域183内にバッテリ106sの重心Gが位置するようにする。
また、本実施形態では、搭載部171に搭載されたバッテリ106sの少なくとも一部は、平面視における台車14の投影面と重なっている。これにより、バッテリ106sの台車14からのはみ出し量を減らすことができ、台車14単独での取回し時に、バッテリ106sが邪魔になることを防止することができる。また、搭載部171に搭載されたバッテリ106sの全体が、台車14の投影面と重なっていてもよい。
次に、 図7を用いて、電動補助自転車10のアシスト制御を行う際の信号の授受及び動力の伝達について説明する。図7は、電動補助自転車10の構成要素を示すブロック図である。
電動補助自転車10のコントローラ120は、乗員のペダル踏力に応じて電動モータ102を駆動制御することによってアシスト制御を行う。コントローラ120は、ペダルクランク96のトルクを検出するトルクセンサ97から出力されるトルク値に基づいて、乗員のペダル踏力を検知する。また、コントローラ120は、検知したペダル踏力に応じて電動モータ102の出力を制御する。また、コントローラ120は、電動補助自転車10の変速段及びアシストモード(詳細は後述する)も考慮して電動モータ102の出力を制御する。
コントローラ120は、踏力検知部122、変速段検知部124、補助力演算部123、メモリ121、モータ制御部125を有する。踏力検知部122は、トルクセンサ97によって検出されたペダルクランク96のトルクに基づいて、乗員のペダル踏力を求める。変速段検知部124は、電動モータ102の回転数及び前輪86の車速に基づいて、現在の変速段を検知する。
補助力演算部123は、踏力検知部122によって検知されたペダル踏力、変速段検知部124によって検知された変速段、アシストモード、クランク回転センサ95によって検出されたペダルクランク96の回転数に基づいて、電動モータ102に要求される駆動力を求める。メモリ121は、複数種類のアシスト比に関する情報を記憶しており、ペダル踏力、変速段及びアシストモードに応じた駆動力に関するデータを記憶している。補助力演算部123は、ペダル踏力、変速段及びアシストモードに応じて、メモリ121から必要なデータを読み出すことにより、上記駆動力を求める。なお、メモリ121はコントローラ120外部に設けられていてもよい。
モータ制御部125は、補助力演算部123によって求められた必要な駆動力を電動モータ102が出力するように、電動モータ102の駆動を制御する。また、モータ制御部125は、アシストモードの変更操作に応じて電動モータ102による駆動力を変更する。電動補助自転車10のアシストモードの一例としては、"強"、"標準"、"オートエコ"、"切"の4モードがある。電動モータ102の駆動力は、同じペダル踏力に対して、"強"、"標準"、"オートエコ"の順に小さくなる。
アシストモードが"標準"の場合、電動モータ102は、電動補助自転車10が発進、平坦路走行または上り坂走行の際に駆動力を発生させる。アシストモードが"強"の場合、電動モータ102は、"標準"の場合と同様、電動補助自転車10が発進、平坦路走行または上り坂走行の際に駆動力を発生させる。電動モータ102は、アシストモードが"強"の場合には、同じペダル踏力に対して"標準"の場合よりも大きな駆動力を発生させる。アシストモードが"オートエコ"の場合、電動モータ102は、電動補助自転車10が発進または上り坂走行の際に、同じペダル踏力に対して"標準"の場合よりも小さな駆動力を発生する。アシストモードが"切"の場合、電動モータ102は、駆動力を発生しない。
このように、上述のアシストモードに応じて、乗員のペダル踏力に対する電動モータ102のアシスト比が変わる。アシスト比とは、乗員のペダル踏力に対する電動モータ102の駆動力の比である。本実施形態では、アシストモードを4段階に切り替えている。しかしながら、アシストモードの切替えは3段階以下であってもよいし、5段階以上であってもよい。
図7に示すように、モータ制御部125によって駆動制御される電動モータ102の回転数は、モータ回転センサ105によって検出される。モータ回転センサ105によって検出されたモータ回転数は、コントローラ120の変速段検知部124に信号として入力される。この変速段検知部124には、上述のように、前輪86の車速に関する情報も入力される。前輪車速センサ87は、例えば前輪86の回転軸近傍に設けられ、検出した車速に関する情報を変速段検知部124に出力する。
コントローラ120のモータ制御部125によって駆動制御された電動モータ102の出力は、減速機(ギア)103によって減速される。その後、電動モータ102から出力された駆動力は、一方向クラッチ113を介してチェーン104に伝達される。そして、チェーン104によって、電動モータ102の駆動力は、回転シャフト356に伝達される。そして、回転シャフト356からチェーン358を介して後輪108の駆動軸110に伝達される。
一方、乗員がペダル98a、98bを回転させたときにペダルクランク96に加わるペダル踏力は、一方向クラッチ93を介して、チェーン104に伝達される。乗員のペダル踏力は、チェーン104、回転シャフト356、チェーン358を介して後輪108の駆動軸110に伝達される。
このように、電動モータ102の駆動力及び乗員のペダル踏力は、後輪108の駆動軸110に伝達される。すなわち、電動モータ102の駆動力及び乗員のペダル踏力は、チェーン104によって足し合わされて、電動補助自転車10の動力となる。
図7に示す例では、駆動軸110に変速機構111が設けられている。伝達された回転動力は、変速機構111によって設定された変速比で変速される。変速機構111は、ハンドル82等に設けられた変速操作部83(図1)を乗員が操作することにより、変速比を変更する。後輪108には、一方向クラッチ112を介して動力が伝達される。なお、後輪108および114の両方に動力が伝達されてもよい。
なお、本実施形態では、バッテリ106sを載せる搭載部171を台車14の積載部374の下方に配置したが、搭載部171はそれとは異なる位置に配置してもよい。例えば、図8および図9に示すように、台車14の周囲に搭載部171を配置してもよい。図8に示す例では、台車14の周囲の後部に搭載部171が配置されている。図9に示す例では、台車14の周囲の前部に搭載部171が配置されている。この場合、バッテリ106sの抜き差しは上下方向に行ってもよい。このような搭載部171の配置位置およびバッテリ106sの抜き差し方向181により、バッテリ106sの着脱時に、台車14を構成する他の部材、搭載した荷物、電動補助自転車10と干渉することを防止することができる。
また、図10、図11および図12に示すように、台車14の周囲に搭載部171を配置し、電動補助自転車10のバッテリ受け部175(図5(b))と同様に、バッテリ106sの底部を搭載部171に接触させ、その接触部分を支点として、バッテリ106sを回転させることで搭載部171に固定してもよい。このような搭載部171の配置位置およびバッテリ106sの着脱方法により、バッテリ106sの着脱時に、台車14を構成する他の部材、搭載した荷物、電動補助自転車10と干渉することを防止することができる。
また、バッテリ106sは、弾性体によって台車14に固定されてもよい。図13は、バッテリ106sの固定具として用いる弾性体171aを示す図である。弾性体171aは、例えば、ゴムバンドおよびネット等である。例えば、フック形状を有する搭載部171が台車14の周囲に設けられ、バッテリ106sを支持する弾性体171aをフック部分に引っ掛けることにより、バッテリ106sを台車14に固定してもよい。また、弾性体171aが搭載部171として機能し、弾性体171aが台車14の一部に固定されることにより、バッテリ106sを台車14に固定してもよい。バッテリ106sの着脱は、弾性体171aを台車14に対して着脱することにより行うことができる。このような搭載部171の配置位置およびバッテリ106sの着脱方法により、バッテリ106sの着脱時に、台車14を構成する他の部材、搭載した荷物、電動補助自転車10と干渉することを防止することができる。
また、台車14の積載部374上にバッテリ106sを載置し、弾性体171aによりバッテリ106sを固定してもよい。この方法では、バッテリ106sの着脱時に、台車14を構成する他の部材および電動補助自転車10と干渉することを防止することができる。
図6に示す構成と同様に、図8から図13の構成では、電動補助自転車10および台車14における同じ左側に使用者が位置する状態で、バッテリ106および106sを着脱することができるため、使用者によるバッテリの積み替え作業を効率良く行うことができる。
また、図14のように、搭載部171の位置は、台車14の車幅方向中心398に対して右側に偏って設けられてもよい。この場合、図14および図15のように積載部374上に設けられていてもよいし、サイドフレーム416よりも右側に設けられていてもよい。バッテリ106sの抜き差しは例えば上下方向に行う。搭載部171を右側に偏って設けることで、使用者が左側から荷物を積み下ろしするときに、搭載部171およびバッテリ106sが邪魔にならないようにすることができる。
また、図16に示すように、搭載部171を台車14の積載部374の下方に配置し、バッテリ106sの抜き差しは前後方向に行ってもよい。このような搭載部171の配置位置およびバッテリ106sの抜き差し方向181により、バッテリ106sの着脱時に、台車14を構成する他の部材、搭載した荷物、電動補助自転車10と干渉することを防止することができる。
また、バッテリ106および106sを交換する際には、使用者が電動補助自転車10から降車しているので、電動補助自転車10を確実に停車させておくことが望ましい。例えば、台車14がパーキングブレーキを備える場合は、搭載部171におけるバッテリ106sの固定機構をパーキングブレーキと連動させ、パーキングブレーキを作動させているときにのみ、バッテリ106sの着脱が可能になるようにしてもよい。
また、バッテリの交換時には、一方のバッテリを取り外して手で持っている状態で、他方のバッテリを取り外して交換する作業は困難な場合がある。そのため、バッテリの交換時に、取り外したバッテリを一時的に置いておくスペースが台車14および/または電動補助自転車10に設けられていてもよい。また、台車14は搭載部171を複数個備えていてもよく、空いている搭載部171に取り外したバッテリを置くようにしてもよい。これにより、バッテリの交換作業をスムーズに行うことができる。例えば、台車14が搭載部171を2個備える場合、電動補助自転車10から取り外したバッテリ106を、一方の搭載部171に装着し、他方の搭載部171から予備のバッテリ106sを取り外して電動補助自転車10に装着するといった作業が可能になり、バッテリの交換作業をスムーズに行うことができる。
また、台車14は搭載部171を複数個備え、複数の搭載部171それぞれに予備のバッテリ106sを載せてもよい。台車14が複数の予備のバッテリ106sを搭載することにより、補助動力を発生させながら走行可能な距離をさらに伸ばすことができる。
また、台車14は、台車14の走行時の振動がバッテリ106sへ伝達することを低減させる緩衝器をさらに備えていてもよい。緩衝器は例えばオイルダンパーおよび弾性部材等であり、搭載部171の外部または内部に設けられ、バッテリ106sへの振動の伝達を低減することができる。
また、搭載部171には、搭載部171内部に入った雨水を外部へ排出する穴が形成されていてもよい。また、搭載部171は、バッテリ106sの端子を覆う保護カバーをさらに備えていてもよい。
また、搭載部171は、台車14に対して着脱可能であってもよい。
次に、図17から図21を用いて、台車14に搭載された状態のバッテリ106sから、電動補助自転車10へ電力を供給する実施形態を説明する。
図17は、台車14のバッテリ106sと、電動補助自転車10のコントローラ120およびバッテリ106とを電気的に接続するコネクタ197を示す図である。コネクタ197は着脱可能な構成を有しており、コネクタ197を接続したときは、電動補助自転車10と台車14とはコネクタ197を介して、電力の供給および情報の通信を行うことができる。
図18は、バッテリ106および106sとコントローラ120およびモータ102との電気的な接続状態を示す図である。この例では、バッテリ106および106sの両方がコントローラ120と電気的に接続されている。
バッテリ106および106sはそれぞれ、BMC(バッテリマネージメントコントローラ)191、スイッチ部195、逆流防止回路193を備えている。バッテリ106および106sが逆流防止回路193を備えることにより、一方のバッテリから他方のバッテリへ電流が流れることを防止することができる。なお、電動補助自転車10および台車14の少なくとも一方が、バッテリ106および106sの少なくとも一方に対する電流の逆流を防止する逆流防止回路を備えていてもよい。
BMC191は、コントローラ120からの指示に基づいて、スイッチ部195のオン/オフを切り替える。これにより、モータ102への電力供給に使用するバッテリをバッテリ106および106sの間で切り替えることができる。なお、この切り替えは、コントローラ120で行ってもよい。
コントローラ120は、所定の優先順位に応じて、モータ102への電力供給に使用するバッテリをバッテリ106および106sの間で切り替える。例えば、モータ102への電力供給に使用するバッテリ106として、電動補助自転車10に搭載されたバッテリ106よりも、台車14に搭載されたバッテリ106sを優先して選択する。例えば、荷物運搬業務中に、電動補助自転車10に接続する台車を別の台車14に交換する場合がある。この場合は、予め、電動補助自転車10に搭載されたバッテリ106よりも、台車14に搭載されたバッテリ106sを優先して使用しておくことで、バッテリ106の電力消費を抑え、台車交換後のバッテリ106および106sのトータルの充電量を大きくすることができる。
また、台車14に搭載されたバッテリ106sよりも電動補助自転車10に搭載されたバッテリ106を優先して選択してもよい。
コントローラ120は、バッテリ106および106sそれぞれの残量に応じて、モータ102への電力供給に使用するバッテリをバッテリ106および106sの間で切り替えてもよい。一方のバッテリの残量が少なくなったときに、他方のバッテリに切り替えることにより、補助動力を発生させながら走行を継続することができる。
また、台車14が電動補助自転車10に接続されたときに、台車14と電動補助自転車10とが自動的に電気的に接続されてもよい。例えば、電動補助自転車10の連結ユニット370(図2)および台車14の第2ユニット450(図4)が、コネクタ197と同様の機能を有する端子部を備え、台車14と電動補助自転車10との接続時にそれらの端子部が電気的に接触することにより、電気的に接続されてもよい。
また、バッテリ106sのBMC191は、電動補助自転車10と台車14が接続されていない場合は、バッテリ106sからの電流の出力をオフにしてもよい。これにより、電動補助自転車10との未接続時に、コネクタ197(または第2ユニット450)に電圧が印加されないようにすることができる。
また、電動補助自転車10は、台車14との接続の有無を検出する接続検出部をさらに備えていてもよい。この場合は、コントローラ120は、接続検出部の検出結果に応じて、バッテリ106sからの電流の出力のオンとオフを切り替えてもよい。
また、台車14のバッテリ106sから電動補助自転車10へ電流を供給する態様においては、電動補助自転車10はバッテリ106を搭載していなくてもよい。バッテリ106を搭載しないことにより、電動補助自転車10の総重量を軽くすることができる。
次に、図19から図21を用いて、台車14に搭載するバッテリ106sの形態を説明する。台車14のバッテリ106sから電動補助自転車10へ電流を供給する態様においては、台車14にバッテリ106sが常設されてもよい。また、常設される場合は、バッテリ106sの形状はバッテリ106の形状とは異なっていてもよい。図19は、バッテリ106sが台車14の積載部374に設けられた形態を示す図である。この例では、バッテリ106sは常設されており、着脱は行わないので、積載部374に設けたバッテリ106sの上から荷物を積載しても問題ない。
図20は、積載部374の下方に設置したバッテリ106sを示す図であり、図21は、台車14の周囲に設置したバッテリ106sを示す図である。バッテリ106sを常設する場合は、バッテリ106sの形状はバッテリ106の形状とは異なっていてもよく、着脱も行わないため、バッテリ106sの配置の自由度を高くすることができる。
なお、上記実施形態の説明において、電動補助車両として3輪の自転車を例示したが、本発明はそれに限定されず、例えば2輪の自転車であってもよい。
また、上記実施形態の説明において、台車の一例として、リヤカーのように車両の後方に接続される形態を示したが、本発明はそれに限定されず、例えばサイドカーのように車両の側方に接続されてもよい。あるいは、車両の前方に接続されてもよい。
また、上記実施形態の説明において、荷物運搬台車を例示したが、本発明はそれに限定されず、例えば台車に人(または動物)等の荷物以外のものが乗ってもよい。
また、上記実施形態の説明で示した各種の制御動作は、ハードウエアによって実現されてもよいしソフトウエアによって実現されてもよいし、それらの組み合わせによって実現されてもよい。そのような動作を実行させるコンピュータプログラムは、例えば電動補助自転車10に設けられたメモリに記憶され、コントローラ120(コンピュータ)によって動作が実行される。また、そのようなコンピュータプログラムは、それが記録された記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)から電動補助自転車10へインストールしてもよいし、インターネット等の電気通信回線を介してダウンロードしてもよい。また、無線通信を介してそのようなコンピュータプログラムを電動補助自転車10へインストールしてもよい。