JP6274636B2 - 晶析方法 - Google Patents
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Description
(1)回分式の晶析方法において、原料を含む液を降温して原料の結晶を析出させる降温工程と、析出した原料の結晶が完全に溶解する前まで(具体的には降温工程の温度よりも2〜4℃高い温度まで)、原料の結晶を含む液を昇温する昇温工程とを繰り返す方法(特許文献1)。
(2)連続式の晶析方法において、原料を含む液を、冷却された熱媒体によって晶析装置の冷却面を介して間接的に冷却して、原料の結晶を含む懸濁液を得た後、冷却された熱媒体を加熱された熱媒体に切り替えて、冷却面に付着したスケールを融解させる方法(特許文献2)。
本発明の晶析方法においては、冷却面を複数の領域に分割し、領域ごとに異なるタイミングにて融解操作を行うことが好ましい。
本明細書における「原料」とは、晶析操作によって結晶として析出させる目的物質である。
本明細書における「原料を含む液」とは、原料を融解した融液、または原料を溶媒に溶解した溶液である。
本明細書における「原料の結晶を含む懸濁液」とは、液中に原料の結晶が分散した状態、いわゆるスラリー状態にある液であり、分散した結晶の濃度や懸濁液の流動状態で制限されるものではない。
本明細書における「スケール」とは、原料を含む液中の原料が過飽和(または過冷却)の状態になることによって、晶析操作の経過とともに晶析装置の冷却面に析出する薄層状の結晶である。
本明細書における「融解操作」とは、晶析装置の冷却面に付着したスケール(固体)を加熱して融解する(液体にする)操作であり、懸濁液中の結晶を液に溶かして均一にする、いわゆる溶解操作とは区別される。
本発明の晶析方法に用いられる晶析装置は、原料を含む液(A)を、熱媒体(X)によって晶析装置の冷却面を介して間接的に冷却して、原料の結晶を含む懸濁液(B)とする晶析操作を実施できるものであればよく、特に限定はされない。
晶析装置としては、例えば、下記のものが挙げられる。
装置本体としては、原料を含む液(A)や原料の結晶を含む懸濁液(B)を貯留する晶析槽;原料を含む液(A)や原料の結晶を含む懸濁液(B)を循環させる循環ライン等が挙げられる。
(i)の晶析装置の冷却手段としては、熱媒体(X)によって装置本体の器壁を冷却できるものであればよく、ジャケット等が挙げられる。
(ii)の晶析装置の冷却手段としては、熱媒体(X)によって冷却手段の器壁を冷却できるものであればよく、コイル、流通式の熱交換器(多管式熱交換器等)等が挙げられる。
冷却手段としては、冷却効率や限られた容積の中でできるだけ大きな冷却面積を確保する点から、ジャケットまたはコイルが好ましい。
熱媒体(X)、熱媒体(Y)および熱媒体(Z)は、同じ種類の熱媒体であってもよく、異なる種類の熱媒体であってもよい。熱媒体(X)、熱媒体(Y)または熱媒体(Z)のいずれかに切り替える際に、切り替え後の熱媒体に切り替え前の熱媒体が混入するため、同じ種類の熱媒体が好ましく、同じ組成の熱媒体がより好ましい。また、融解操作時に用いる熱媒体(Y)の温度は、晶析操作時の熱媒体(X)の温度よりも高温で、また、晶析操作の再開時に用いる熱媒体(Z)の温度は、融解操作時の熱媒体(Y)の温度よりも低温であればよい。熱媒体としては、水、エタノール、各種アルコール、ブライン、シリコンオイル、炭化水素等が挙げられる。
晶析装置は、冷却手段の入口および出口における熱媒体(X)の温度ならびに装置本体内の液の温度を測定する温度測定手段と;熱媒体(X)の単位時間あたりの流量を測定する流量測定手段と;温度測定手段で測定された温度、流量測定手段で測定された流量および冷却面の面積に基づいて総括伝熱係数を算出する総括伝熱係数算出手段と;総括伝熱係数算出手段で算出された総括伝熱係数の変化に基づいて熱媒体切替手段を作動させる制御手段とをさらに有することが好ましい。
図1は、晶析装置の一例を示す概略断面図である。晶析装置は、原料を含む液(A)が供給され、かつ器壁の内面が冷却面とされた晶析槽1と;晶析槽1の器壁の外面側から器壁を冷却するジャケット2と;ジャケット2に、熱媒体(X)、熱媒体(Y)または熱媒体(Z)を供給する熱媒体供給手段(図示略)と;ジャケット3に供給される熱媒体を、熱媒体(X)、熱媒体(Y)または熱媒体(Z)のいずれかに切り替える熱媒体切替手段(図示略)と;晶析槽1内を撹拌する撹拌装置3とを有する。
図3は、ジャケット2が、ジャケット2a〜2eの多段から構成される晶析装置の例である。
図4は、ジャケット2が2段であり、かつ冷却面に付着したスケールを掻き取るためのスクレーパ4が撹拌装置3に取り付けられた晶析装置の例である。
本発明の晶析方法は、原料を含む液(A)を、熱媒体(X)によって晶析装置の冷却面を介して間接的に冷却して、原料の結晶を含む懸濁液(B)とする晶析操作の途中にて、熱媒体(X)を熱媒体(X)よりも高温の熱媒体(Y)に切り替えて晶析操作を中断し、原料の結晶を含む懸濁液(B)を、晶析操作を中断する直前の温度よりも2℃以上高くすることなく、熱媒体(Y)によって冷却面に付着したスケールのうち少なくとも冷却面との界面のスケールを融解することによって、冷却面に付着したスケールを除去する融解操作を行った後、熱媒体(Y)を、熱媒体(Y)よりも低温の熱媒体(Z)に切り替えて晶析操作を再開する方法である。
原料を含む液(A)は、間接冷却によって原料の結晶を析出するものであればよく、特に限定されない。
原料を含む液(A)は、原料を融解した融液であってもよく、原料を溶媒に溶解した溶液であってもよい。
原料を含む液(A)としては、工程液(原料と不純物との混合液)をそのまま用いてもよく、晶析操作を効率化または安定化にするために、工程液に特定の溶媒を添加したものを用いてもよい。
原料を含む液(A)が融液である場合、原料としては、アクリル酸(13℃)、メタクリル酸(16℃)、モノクロロ酢酸(63℃)、パラキシレン(13℃)、ベンゼン(5.5℃)、パラジクロロベンゼン(53℃)、ナフタレン(80℃)、カプロラクタム(70℃)等が挙げられる。( )内の数値は融点である。
通常の熱媒体(蒸気、蒸気ドレン、温水、ブライン、エタノール、シリコンオイル等)で融解できる点から、融点が0〜100℃の物質が好適である。熱媒体との温度差を取れ、晶析装置をよりコンパクトに設計できることから、融点が10〜50℃の物質はさらに好適である。
熱媒体(X)による原料を含む液(A)や原料の結晶を含む懸濁液(B)の間接冷却は、冷却手段に供給された、熱媒体(X)によって装置本体(または冷却手段)の器壁を冷却し、さらに冷却された器壁によって器壁の冷却面の側の原料を含む液(A)や原料の結晶を含む懸濁液(B)を冷却することによって行われる。
間接冷却によって晶析操作を行う場合、原料の結晶を含む懸濁液(B)14の温度Tc1(または原料を含む液(A)の温度)を、原料の結晶の融点Tm以下に冷却して行う。この際、器壁10の冷却面10aの近傍における原料の結晶を含む懸濁液(B)14(または原料を含む液(A))の温度が最も低くなるため、冷却面10aの近傍にて原料の結晶を含む懸濁液(B)14(または原料を含む液(A))が最も過飽和(または過冷却)の状態になる。そのため、冷却面10aに結晶が析出し、スケール12が形成されやすい。
晶析操作において晶析装置の冷却面にスケールがある程度付着した場合には、晶析操作の途中にて、熱媒体(X)を熱媒体(X)よりも高温の熱媒体(Y)に切り替えて晶析操作を中断し、後述する融解操作を開始する。
U=Q/(A・Δt) ・・・(1)。
Uは、総括伝熱係数であり、Qは、単位時間あたりの熱の移動量、すなわちQ=冷却手段の入口と出口との熱媒体の温度差×熱媒体の比熱×熱媒体の単位時間あたりの流量であり、Aは、冷却面の面積であり、Δtは、原料の結晶を含む懸濁液(B)と熱媒体との温度差である。
熱媒体(X)を熱媒体(X)よりも高温の熱媒体(Y)に切り替えることによって、晶析装置の冷却面に付着したスケールを融解し、冷却面に付着したスケールを除去する。
晶析装置の仕様や使用する環境にも依存するが、通常、スケールは冷却面に固着しているため、晶析操作において冷却された熱媒体の供給を停止しただけでは、スケールは容易には剥離しない。したがって、短時間で、効率的にスケールを融解、除去するためには、熱媒体(X)を熱媒体(X)よりも高温の熱媒体(Y)に切り替えることが必要である。
原料の結晶を含む懸濁液(B)14中の結晶の溶解を最小限に抑えるためには、融解操作における原料の結晶を含む懸濁液(B)14の温度Th1と、図5における晶析操作を中断する直前の原料の結晶を含む懸濁液(B)14の温度Tc1温度との差は、小さいほどよい。具体的には、Th1−Tc1は、2.0℃未満であり、0.5℃以下が好ましく、0.1℃以下がより好ましい。Th1−Tc1が2.0℃未満の場合には、原料の結晶を含む懸濁液(B)14の温度上昇は小さいため、原料の結晶を含む懸濁液(B)14中の結晶の溶解量は少なく、また、温度上昇に必要な時間も短い。よって、実質的に晶析操作は中断されないとみなすことができる。Th1−Tc1が0.1℃以下であれば、原料の結晶を含む懸濁液(B)14中の結晶はほとんど溶解しない。
熱媒体(Y)18の温度Th4は、スケール12の融点Tmよりも高ければよい。なお、熱媒体(Y)18の温度Th4とスケール12の融点Tmとの温度差が大きい方が、短時間にスケール12を融解させる上で有利であるが、温度差が大きすぎると懸濁液(B)14中の結晶を溶解してしまう可能性がある。また、温度差が小さい方が、スケール12のみを融解させやすいが、温度差が小さすぎると、装置構造によっては融解、あるいは脱離できないスケール12が生じる可能性がある。よって、熱媒体(Y)18の温度Th4は、スケール12の融点Tm+5〜50℃が好ましく、スケールの融点Tm+5〜20℃がより好ましい。
融解操作の時間は、原料の結晶を含む懸濁液(B)14の組成、温度、物性、熱媒体(Y)18の温度、装置本体のサイズ、構造、器壁10の伝熱材料等に影響を受ける。
融解操作の時間は、できるだけ短いほうが好ましい。融解操作の時間が長くなると、冷却面10aに付着したスケール12は確実に融解される一方、原料の結晶を含む懸濁液(B)14中の結晶の溶解も進むため、晶析のためのエネルギが無駄となり、また、原料の結晶の生産性も低下する。
この際の融解操作の時間の下限は、冷却面10aとスケール12との界面およびその近傍のスケール12を融解するために必要な時間となる。融解操作の時間の上限は、晶析操作を中断する直前の温度+2℃に到達するまでの時間となる。
例えば、原料の結晶を含む懸濁液(B)(比重:1)が10m3、結晶の濃度が30質量%、冷却面の面積が20m2、スケール(比重:1.1)の厚さが0.1mmとすると、従来の融解・溶解操作で融解・溶解させる結晶量は、10,000kg×0.3=3,000kgである。一方、本発明における融解操作の場合、スケール(比重:1.1)だけを融解させるとして、その量は20m2×(0.1÷1000)m×1.1T/m3×1000kg/T=2.2kgである。また、スケールを剥離させるためには、界面近傍を融解させるだけでよいため、スケールを剥離させるために必要な厚さを例えば0.01mmとすれば、0.22kgのスケールを融解させればよいことになる。すなわち、本発明によれば、従来の方法に比べて再結晶化にかかるエネルギの無駄や生産性の低下を抑えることができる。
融解操作によって晶析装置の冷却面に付着したスケールを除去した後、できればただちに、熱媒体(Y)を、熱媒体(Y)よりも低温の熱媒体(Z)に切り替えて晶析操作を再開、継続する。
・器壁の冷却面側に温度検知端を埋め込み、冷却面の温度Th3を測定し、原料の結晶を含む懸濁液(B)の温度Th1との温度差から検知する方法。
・所定時間の融解操作を行った後、晶析操作を再開した際の総括伝熱係数から検知する方法。
・掻き取り式のスクレーパを有する場合は、掻き取りの消費動力から検知する方法。
晶析操作が連続式(連続プロセス)であっても回分式(回分プロセス)であっても、スケールの融解操作は同じである。
図7および図8は、本発明の晶析方法における熱媒体および懸濁液の温度の時間変化を示すグラフである。温度の記号は図5および図6と同様である。
上述した晶析操作および融解操作を有する晶析工程で得られた結晶は、分離してそのまま製品とすることもできるが、通常はそのままでは純度が不十分である。その場合には、精製工程にてさらなる精製を行って、高純度化してもよい。
精製工程においては、上述した精製装置等を用いることができる。
以上説明した本発明の晶析方法にあっては、熱媒体(Y)によって晶析装置の冷却面に付着したスケールを間接的に融解する際に、原料の結晶を含む懸濁液(B)を、晶析操作を中断する直前の温度よりも2℃以上高くすることがないため、原料の結晶を含む懸濁液(B)中の結晶の溶解量が少ない。また、原料の結晶を含む懸濁液(B)を、晶析操作を中断する直前の温度よりも2℃以上高くすることがないため、加熱のための時間も短くでき、晶析操作が中断される時間も短い。よって、原料を含む液(A)から原料の結晶を生産性よく得ることができる。
また、冷却面に付着したスケールを定期的に除去可能となれば、晶析操作におけるΔT(原料の結晶を含む懸濁液(B)または原料を含む液(A)の温度と熱媒体(X)の温度との差)を大きくとることができるため、同じ冷却面の面積で処理量を増やすことができる、または、同じ処理量の晶析操作を小さなサイズの晶析装置で行うことができる。
原料を含む液(A−1):精製メタクリル酸の760gと試薬メタノールの40gとの混合液。
精製メタクリル酸は、三菱レイヨン社の製品で純度は99%以上である。試薬メタノールは、和光純薬社製の試薬1級で純度は99.8%以上である。精製メタクリル酸の融点は16℃、メタノールの融点は−96℃である。
原料を含む液(A−2):試薬パラキシレンの665gと試薬メタキシレンの35gとの混合液。
原料を含む液(A−2)の組成は、特開平11−207103号公報を参考にしたモデル液である。パラキシレンが目的物質であり、不純物としてモデル的にメタキシレンを用いたた。試薬パラキシレン、試薬メタキシレンともに和光純薬社製の試薬1級であり、純度は98%以上である。パラキシレンの融点は13℃、メタキシレンの融点は−48℃である。
原料を含む液(A−3):精製アクリル酸の760gと試薬メタノールの40gとの混合液。
精製アクリル酸は、和光純薬社製の試薬1級で純度は98.5%以上である。試薬メタノールは、和光純薬社製の試薬1級で純度は99.8%以上である。精製アクリル酸の融点は13℃、メタノールの融点は−96℃である。
本発明の晶析方法における晶析装置としては、間接冷却によって原料を含む液(A)を冷却し、懸濁状態の原料の結晶を得るものであれば、いずれも採用し得る。実施例、比較例においては、冷却面へのスケール付着を観察可能とするために、ガラス容器に撹拌装置およびU字管(SUS304製、内径6mm、外形8mmのパイプをU字型に曲げたもの)を設置したものを用いた。また、熱媒体(X)としてエチレングリコール水溶液であるブラインを用い、熱媒体(Y)として温水を用いた。
原料を含む液(A−1)をガラス容器20に入れ、撹拌しながら、ガラス容器20を氷水浴28(0〜0.5℃)に浸漬して冷却した。原料を含む液(A−1)の温度が低下して、6.9℃になった時点で結晶が析出し、原料の結晶を含む懸濁液(B−1)となった。その後、原料の結晶を含む懸濁液(B−1)は7.7℃まで昇温した。ガラス容器20を氷水浴28に浸漬したままで、U字管24内に熱媒体(X)(約−5℃)を流した。原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度が6.0℃となるまで冷却を継続した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)中の結晶の濃度は推算で20〜25質量%である。また、ガラス容器20の内部を観察すると、U字管24の冷却面には厚さが約2mm(目視)のスケールが固着していた。そこで、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、ただちに、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、25秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は6.0℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
実施例1と同様の操作を行って、U字管24の冷却面に厚さが約2mmのスケールを付着させた。そこで、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、ただちに、35℃の熱媒体(Y)を流したところ、13秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は6.0℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
実施例1と同様の操作を行って、U字管24の冷却面に厚さが約2mmのスケールを付着させた。そこで、ガラス容器20から氷水浴28を外したあと、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、25秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は6.0℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
熱媒体(X)の温度を−5℃から0℃に変更した以外は、実施例1と同じ晶析操作を行った。U字管24の冷却面には約1mmのスケールが付着していた。そこで、ガラス容器20を氷水浴28から外したあと、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、10秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は6.0℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
実施例1と同様の操作を行って、U字管24の冷却面に厚さが約2mmのスケールを付着させた。そこで、撹拌を止め、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、ただちに、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、25秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は6.0℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
原料を含む液(A−1)をガラス容器20に入れ、氷水浴28を取り外し、ガラス容器20の外側を木綿繊維で包んで断熱した。ついで、原料を含む液(A−1)を撹拌しながら、U字管24に熱媒体(X)(−5℃)を流して冷却した。原料を含む液(A−1)の温度が8.1℃になった時点で結晶が析出し、原料の結晶を含む懸濁液(B−1)となった。冷却を継続して原料の結晶を含む懸濁液(B−1)を7.7℃まで冷却すると、U字管24の冷却面に約2mmのスケールが付着し、また、原料の結晶を含む懸濁液(B−1)中に微少量の結晶が分散していた。そこで、熱媒体(X)を止めて、ただちに、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、25秒後にはU字管24の冷却面のスケールは剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は8.2℃であり、熱媒体(Y)を流す前後の温度差は0.5℃であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
実施例1と同様の操作を行って、U字管24の冷却面に厚さが約2〜3mmのスケールを付着させた。そこで、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、熱媒体(Y)も流さずに撹拌を継続したが、10分後でもスケールは剥離も融解もしなかった。
実施例1と同様の操作を行って、U字管24の冷却面に厚さが約2〜3mmのスケールを付着させた。そこで、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、ただちに、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、25秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は6.0℃のままであった。そのまま、熱媒体(Y)を流し続けたところ、約15分後には、原料の結晶を含む懸濁液(B−1)の温度は10℃を超え、結晶はすべて溶解していた。
原料を含む液(A−2)をガラス容器20に入れ、攪拌しながら、ガラス容器20を氷水浴28(0〜0.5℃)に浸漬して冷却した。原料を含む液(A−2)の温度が低下して、8.9℃になった時点で結晶が析出し、原料の結晶を含む懸濁液(B−2)となった。その後、原料の結晶を含む懸濁液(B−2)は11.2℃まで昇温した。ガラス容器20を氷水浴28に浸漬したままで、U字管24内に熱媒体(X)(約−5℃)を流した。原料の結晶を含む懸濁液(B−2)の温度が10.4℃となるまで冷却を継続した。この時のガラス容器20の内部を観察したところU字管24の冷却面には厚さが約2.0mmのスケールが付着していた。そこで、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、ただちに、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、約50秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−2)の温度は10.4℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
原料を含む液(A−3)をガラス容器20に入れ、撹拌しながら、ガラス容器20を氷水浴28(0〜0.5℃)に浸漬して冷却した。原料を含む液(A−3)液温度が低下して、4.7℃になった時点で結晶が析出し、原料の結晶を含む懸濁液(B−3)となった。その後、原料の結晶を含む懸濁液(B−3)は6.1℃まで昇温した。ガラス容器20を氷水浴28に浸漬したままで、U字管24内に熱媒体(X)(約−5℃)を流した。原料の結晶を含む懸濁液(B−3)の温度が5.4℃となるまで冷却を継続した。この時のガラス容器20の内部を観察したところU字管24の冷却面には厚さ約2.0mmのスケールが付着していた。そこで、U字管24に流していた熱媒体(X)を止め、ただちに、25℃の熱媒体(Y)を流したところ、約20秒後にはU字管24の冷却面のスケールが剥離した。この時の原料の結晶を含む懸濁液(B−3)の温度は5.4℃のままであり、熱媒体(Y)を流す前後の温度上昇は、測定限界以下(0.1℃以下)であった。ここで、熱媒体(Y)を止め、直ちに熱媒体(Z)として前述の熱媒体(X)を流して、晶析操作を再開した。
2 ジャケット
3 撹拌装置
4 スクレーパ
10 器壁
10a 冷却面
12 スケール
14 原料の結晶を含む懸濁液(B)
16 熱媒体(X)
18 熱媒体(Y)
20 ガラス容器
22 撹拌装置
24 U字管
26 温度計
28 氷水浴
30 熱媒体(X)供給流路
32 熱媒体(Y)供給流路
34 熱媒体(X)排出流路
36 熱媒体(Y)排水流路
38a 弁
38b 弁
38c 弁
38d 弁
Tc1 原料の結晶を含む懸濁液(B)14の温度
Tc2 スケール12の表面温度
Tc3 冷却面10aの温度
Tc4 熱媒体(X)16の温度
Th1 原料の結晶を含む懸濁液(B)14の温度
Th2 スケール12の表面温度
Th3 冷却面10aの温度
Th4 熱媒体(Y)18の温度
Tm 原料の結晶(スケール12)の融点
Claims (3)
- 原料を含む液(A)が供給され、かつ器壁の内面が冷却面とされた晶析槽と、晶析槽の器壁の外面側から器壁を冷却するジャケットとを有する晶析装置を用い、原料を含む液(A)を、ジャケットに供給された熱媒体(X)によって晶析装置の冷却面を介して間接的に冷却して、原料の結晶を含む懸濁液(B)とする連続式晶析操作の途中にて、
熱媒体(X)を、熱媒体(X)よりも高温の熱媒体(Y)に切り替えて晶析操作を中断し、
原料の結晶を含む懸濁液(B)を、晶析操作を中断する直前の温度よりも0.5℃を超えて高くすることなく、熱媒体(Y)によって冷却面に付着したスケールのうち少なくとも冷却面との界面のスケールを融解することによって、冷却面に付着したスケールを除去する融解操作を行った後、
熱媒体(Y)を、熱媒体(Y)よりも低温の熱媒体(Z)に切り替えて晶析操作を再開する、晶析方法。 - 晶析操作における総括伝熱係数の変化によって、冷却面へのスケールの付着を検知し、融解操作を開始する、請求項1に記載の晶析方法。
- 冷却面を複数の領域に分割し、領域ごとに異なるタイミングにて融解操作を行う、請求
項1または2に記載の晶析方法。
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