以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は流路形成基板の圧電アクチュエーター側の要部平面図であり、図3は、図2のA−A′線に準じたインクジェット式記録ヘッドの断面図であり、図4は、図3の要部を拡大した断面図であり、図5は、図4のB−B′線断面図である。
図示するように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドIは、ヘッド本体9、ケース部材40等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されている。本実施形態では、ヘッド本体9は、流路形成基板10と、連通板15と、ノズルプレート20と、保護基板30と、コンプライアンス基板45と、を具備する。
ヘッド本体9を構成する本実施形態の基板である流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、結晶面方位が(110)のシリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された凹部としての圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に直交する方向を第3の方向Zと称する。なお、本実施形態では、説明理解を容易にするために各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるべきものでないことを言及しておく。
また、流路形成基板10の一方面側(積層方向であって−Z方向)には、連通板15とノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の一方面に設けられた連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側に設けられたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけで良いので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面と称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部(絞り流路、オリフィス流路)18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を第3の方向Zに貫通して設けられている。また、第2マニホールド部18は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、各圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
また、ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。すなわち、ノズル開口21は、第1の方向Xに並設された列が、第2の方向Yに複数列、本実施形態では、2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。なお、本実施形態では、弾性膜51及び絶縁体膜52によって振動板50が形成されるが、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方のみを設けるようにしてもよい。また、振動板50として、弾性膜51及び絶縁体膜52に加えてさらに他の膜を形成するようにしてもよい。
また、振動板50上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とを有する圧電アクチュエーター300が形成されている。
図4及び図5に示すように、圧電アクチュエーター300を構成する第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けられ、後述する能動部310毎に独立した個別電極を構成する。そして第1電極60は、圧力発生室12の第1の方向Xにおいては、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で形成されている。すなわち、圧力発生室12の第1の方向Xにおいて、第1電極60の両端部は、圧力発生室12に対向する領域の内側に位置している。
また、第1電極60は、第2の方向Yにおいては、一端部側が圧力発生室12に対向する領域の内側に設けられており、他端部側が、圧力発生室12の外側まで引き出されている。本実施形態では、第1電極60のマニホールド100側の一端部を圧力発生室12に対向する領域内に設け、マニホールド100とは反対側の他端部を圧力発生室12の外側まで延設するようにした。なお、第1電極60の材料は、金属、金属酸化物等の導電性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等が好適に用いられる。なお、本実施形態では、詳しくは後述するが、能動部310が第1の方向Xに並設された列が第2の方向Yに2列設けられており、この2列の能動部310の第2の方向Yの外側に2つのマニホールド100が設けられている。したがって、第1電極60を圧力発生室12に対向する領域から圧力発生室12の第2の方向Yの外側への引き出しは、マニホールド100とは反対側で行われる。すなわち、2列の能動部310から引き出された第1電極60は、2列の能動部310の間で配線基板211と接続されるため、配線基板211と第1電極60とを接続する領域を低減して、インクジェット式記録ヘッドの小型化を図ることができる。ちなみに、第1電極60を2列の能動部310の外側にそれぞれ引き出した場合、能動部310の列毎に配線基板211が必要になり、部品点数が増加すると共に、配線基板211と第1電極60とを接続するスペースが必要になり大型化してしまう。
圧電体層70は、第2の方向Yが所定の幅となるように第1の方向Xに亘って連続して設けられている。圧電体層70の第2の方向Yの幅は、圧力発生室12の第2の方向Yの長さよりも広い。このため、圧電体層70は、第2の方向Yの両端部が、圧力発生室12に対向する領域の外側まで設けられている。このような圧電体層70の第2の方向Yのマニホールド100側の一端部は、第1電極60の端部よりも外側に位置している。すなわち、第1電極60の圧力発生室12に相対向する領域内に設けられた一端部は、圧電体層70によって覆われている。また、圧電体層70の第2の方向Yのマニホールド100とは反対側の他端部は、圧力発生室12の外側に延設された第1電極60の他端部よりも内側(圧力発生室12側)に位置している。なお、圧電体層70の外側まで延設された第1電極60には、例えば、金(Au)等からなる個別リード電極91が接続されており、この個別リード電極91には、駆動回路210等が実装された配線基板211が接続される。
また、圧電体層70には、各隔壁11に対向する凹部71が形成されている。この凹部71の第1の方向Xの幅は、各隔壁11の第1の方向Xの幅と略同一、もしくはそれよりも広くなっている。これにより、振動板50の圧力発生室12の幅方向端部に対向する部分(いわゆる振動板50の腕部)の剛性が抑えられるため、圧電アクチュエーター300を良好に変位させることができる。なお、凹部71は、圧電体層70を厚さ方向である第3の方向Zに貫通して設けられていても、また、貫通することなく、圧電体層70の厚さ方向の途中まで設けられていてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABO3で示されるペロブスカイト構造の結晶膜(ペロブスカイト方結晶)からなることができ、Aは、鉛を含み、Bは、ジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも一方を含むことができる。前記Bは、例えば、さらに、ニオブを含むことができる。具体的には、圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3:PZT)、シリコンを含むニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O3:PZTNS)などを用いることができる。
また、圧電体層70は、鉛を含まない非鉛系圧電材料、例えば、鉄酸ビスマスや鉄酸マンガン酸ビスマスと、チタン酸バリウムやチタン酸ビスマスカリウムとを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物などとしてもよい。
第2電極80は、圧力発生室12の第1の方向Xにおいて、圧電体層70上に連続して設けられ、後述する複数の能動部310に共通する共通電極を構成する。第2の方向Yにおける第2電極80のマニホールド100側の一端部は、圧電体層70の一端部と略同じ位置まで設けられている。また、第2の方向Yにおける第2電極80のマニホールド100とは反対側の他端部は、圧力発生室12に対向する領域の外側まで延設されており、圧電体層70の他端部よりも外側(圧力発生室12とは反対側)に設けられている。これにより、圧電体層70の他端部は、第2電極80によって覆われている。このような第2電極80の材料は、金属材料であれば特に限定されないが、例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)等の金属材料を用いることができる。また、第2電極80は、金属材料の単一材料であっても、複数の材料が混合した複数材料であってもよい。
このような第2電極80は、本実施形態では、圧電体層70の第1電極60とは反対面上と、圧電体層70の側面上と、第1電極60上と、に亘って連続して設けられている。ちなみに、第1電極60上の第2電極80と、圧電体層70の主要部(詳しくは後述する能動部310)の第2電極80とは、除去部83を介して電気的に切断されている。すなわち、第1電極60上の第2電極80と、圧電体層70の主要部に設けられた第2電極80とは、同一層からなるが電気的に不連続となるように形成されている。ここで、除去部83は、圧電体層70上のノズル開口21側に設けられており、第2電極80を第3の方向Zに貫通して電気的に切断するものである。このような除去部83は、第1の方向Xに亘って連続して設けられている。
このような構成の圧電アクチュエーター300は、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加することで変位が生じる。すなわち両電極の間に電圧を印加することで、第1電極60と第2電極80とで挟まれている圧電体層70に圧電歪みが生じる。そして、両電極に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じて実質的に駆動する部分を能動部310と称する。これに対して、圧電体層70に圧電歪みが生じない部分を非能動部と称する。また、圧電体層70に圧電歪みが生じる能動部310において、圧力発生室12に対向する部分を可撓部と称し、圧力発生室12の外側の部分を非可撓部と称する。
本実施形態では、能動部310の第1の方向Xの端部は、第1電極60によって規定されている。そして、第1電極60の第1の方向Xの端部は、圧力発生室12に相対向する領域内に設けられている。したがって、能動部310の第1の方向Xの端部は、可撓部内に設けられていることになり、能動部310を駆動した際に、第1の方向Xにおいて能動部310と非能動部との境界における応力が振動板50の変形によって開放される。このため、能動部310の第1の方向Xの端部における応力集中に起因する焼損やクラック等の破壊を抑制することができる。
また、能動部310の第2の方向Yにおけるマニホールド100側の一端部は、圧力発生室12に対向する位置に設けられた第1電極60の一端部によって規定されている。つまり、第2の方向Yにおいてマニホールド100側では、第2電極80は圧力発生室12の外側まで延設されており、第1電極60は、圧力発生室12の内側に配置されている。したがって、第2の方向Yにおいてマニホールド100側では、第1電極60の端部によって、能動部310の端部(幅)が規定される。このため、能動部310の第2の方向Yにおけるマニホールド100側の端部は、可撓部内に設けられていることになり、能動部310を駆動した際に、第2の方向Yにおいてマニホールド100側の能動部310と非能動部との境界における応力が振動板50の変形によって開放される。よって、能動部310の第2の方向Yのマニホールド100側の端部における応力集中に起因する焼損やクラック等の破壊を抑制することができる。
また、第1電極60と圧電体層70との間には、絶縁層130が設けられている。絶縁層130は、第2の方向Yにおいて第1電極60の圧力発生室12の外側まで延設された端部側、すなわち、第1電極60の第2の方向Yにおけるマニホールド100とは、反対側である他端部側に設けられている。具体的には、絶縁層130は、第2電極80の端部、すなわち、本実施形態では、除去部83の圧力発生室12側の端部に第3の方向Zで相対向する領域に設けられている。また、第2の方向Yにおいて、絶縁層130のマニホールド100側の端部は、第3の方向Zで圧力発生室12に相対向する領域まで設けられている。すなわち、絶縁層130は、第2の方向Yにおいて、マニホールド100側の端部が、圧力発生室12に相対向する領域に設けられており、マニホールド100とは反対側の端部が、第2電極80の除去部83によって規定される端部よりも外側(圧力発生室12とは反対側)まで設けられている。これにより、絶縁層130の圧力発生室12に相対向する領域に設けられた端部によって、能動部310の第2の方向Yにおけるマニホールド100とは反対側の端部が規定されている。すなわち、第1電極60の圧電体層70側の面は、圧力発生室12よりも外側に延設された領域が絶縁層130によって覆われることで、圧電体層70に電界を印加することができない非能動部となっている。したがって、第1電極60の絶縁層130によって覆われていない領域が能動部310となっている。言い換えると、第2の方向Yにおいて、圧力発生室12の外側まで延設された端部側の第1電極60上には、第1電極60の圧電体層70側の面を覆って能動部310の第2の方向Yの端部を規定する絶縁層130が設けられている。そして、絶縁層130によって規定された能動部310を規定する第1電極60は、絶縁層130の流路形成基板10の面側を通る第1電極60によって能動部310の外側、すなわち、圧力発生室12の外側まで引き出されている。
なお、図5に示すように、絶縁層130は、第1の方向Xにおいて、複数の能動部310に亘って連続して設けられている。もちろん、絶縁層130は、第1電極60の第1の方向Xの端部よりも外側に延設されていれば、複数の能動部310毎に不連続となるように独立して設けられていてもよい。ただし、絶縁層130を能動部310毎に独立して設ける場合には、絶縁層130の端部を圧電体層70の端部よりも外側となるように設けることで、圧電体層70内に絶縁層130の端部による段差が形成されるのを抑制して、段差に応力集中等が発生するのを抑制することができる。
このような絶縁層130は、第1電極60を覆った領域で第1電極60が圧電体層70に電界を印加できなくする材料であればよく、例えば、酸化シリコン(SiOX)、酸化ジルコニウム(ZrOX)、酸化アルミニウム(AlOX)、酸化タンタル(TaOX)等の無機絶縁材料を用いることができる。ただし、絶縁層130は、圧電アクチュエーター300の内部に設けられると共に圧力発生室12に対向する領域に設けられて変形するものであるため、比較的薄くても絶縁性を有し、且つ靱性を有すると共に圧電アクチュエーター300と共に積層し易い材料であるのが好ましく、無機絶縁材料が好ましい。特に振動板50を構成する材料と同じ材料を用いることで容易に且つ高精度に形成することができる。
このように絶縁層130を設けることで、第2の方向Yにおける能動部310のマニホールド100とは反対側の端部を圧力発生室12に相対向する領域内に配置することができる。したがって、第2の方向Yにおける能動部310のマニホールド100とは反対側の端部は、可撓部内に設けられていることになり、能動部310を駆動した際に、第2の方向Yにおいてマニホールド100とは反対側の能動部310と非能動部との境界における応力が振動板50の変形によって開放される。このため、能動部310の第2の方向Yのマニホールド100側の端部における応力集中に起因する焼損やクラック等の破壊を抑制することができる。また、本実施形態の絶縁層130は、第2電極80の第2の方向Yにおけるマニホールド100とは反対側の端部に相対向するように設けられているため、能動部310が流路形成基板10の圧力発生室12の外側の非可撓部に形成されていない。したがって、流路形成基板10の非可撓部に形成された能動部310と非能動部との境界に応力が集中して、圧電体層70が破壊されるのを抑制することができる。ちなみに、絶縁層130が第2電極80の端部に相対向する領域に設けられていないと、延設された非可撓部に第1電極60と第2電極80とが圧電体層70を挟んだ状態となり、非可撓部に能動部310が形成されてしまう。このように非可撓部に能動部310が形成されると、非可撓部は変形によって応力の開放ができずに、非可撓部上の能動部310と非能動部との境界で破壊が生じてしまう。
さらに、本実施形態では、第2の方向Yにおいて、能動部310が、圧力発生室12の長さよりも短くなるため、能動部310を小型化して、能動部310の容量を低減することができる。したがって、能動部310を駆動する際の消費電力を低減することができる。また、能動部310を小型化することで、流路形成基板10の小型化、インクジェット式記録ヘッドIの小型化も実現できる。
また、本実施形態では、第2電極80の第2の方向Yにおけるマニホールド100とは反対側の端部を、圧力発生室12の外側まで延設し、第2の方向Yにおける可撓部と非可撓部との境界に跨がって絶縁層130を設けるようにした。したがって、絶縁層130によって可撓部と非可撓部との境界の剛性を向上して、可撓部と非可撓部との境界における応力集中による圧電アクチュエーター300の破壊を抑制することができる。なお、本実施形態では、第2の方向Yにおいて、マニホールド100とは反対側のみに絶縁層130を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、マニホールド100側の可撓部と非可撓部との境界部分に跨がって絶縁層130を設けるようにしてもよい。これにより、第2の方向Yのマニホールド100側における可撓部と非可撓部と境界部分の剛性を向上して、マニホールド100側においても、可撓部と非可撓部と境界の破壊を抑制することができる。また、マニホールド100側にも絶縁層130を設けることで、圧電アクチュエーター300の第2の方向Yの両側で、可撓部と非可撓部との境界の剛性の差を減少させて、対称に近い変形を行わせることができ、可撓部の変形を安定させることができる。
ちなみに、本実施形態のように絶縁層130を設けずに、能動部310の第2の方向Yの端部を規定するには、例えば、第2電極80の第2の方向Yの端部を圧力発生室12に相対向する領域内に設けることで実現できるが、圧力発生室12に対向する圧電アクチュエーター300、すなわち、可撓部の第2電極80が設けられていない領域の剛性が著しく低下し、能動部310と非能動部との境界で応力集中による破壊が発生する虞がある。本実施形態では、第2の方向Yにおいて第2電極80を圧力発生室12の外側まで設けることで、可撓部内における非能動部の剛性が低下するのを抑制して、能動部310と非能動部との境界部分の破壊を抑制することができる。
また、本実施形態の圧電アクチュエーター300では、第2電極80が圧電体層70を覆っているため、第1電極60と第2電極80との間で電流がリークすることがなく、圧電アクチュエーター300の破壊を抑制することができる。ちなみに、第1電極60と第2電極80とが近接した状態で露出されていると、圧電体層70の表面を電流がリークし、圧電体層70が破壊されてしまう。ちなみに、第1電極60と第2電極80とが露出されていても距離が近くなければ、電流のリークは発生しない。
このような圧電アクチュエーター300の第1電極60と、第2電極80とには、本実施形態の配線層である個別リード電極91と、共通リード電極92とが接続されている。個別リード電極91及び共通リード電極92は、導電性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等を用いることができる。また、個別リード電極91及び共通リード電極92は、第1電極60及び第2電極80や振動板50との密着性を向上する密着層を有してもよい。
ここで、個別リード電極91は、圧電体層70の外側まで延設された各第1電極60上から振動板50上にまで引き出されている。
共通リード電極92は、第2電極80上(圧電体層70上の第2電極80上)から振動板50上にまで引き出されている。また、共通リード電極92は、流路形成基板10の第1の方向Xの両端部に、第2の方向Yに連続するように設けられている。
また、共通リード電極92は、第2の方向Yにおいて、圧力発生室12の壁面上に、すなわち、可撓部と非可撓部との境界部分に跨って設けられた延設部93を有する。延設部93は、複数の能動部310の第1の方向Xに亘って連続して設けられており、第1の方向Xの両端部で共通リード電極92に連続する。すなわち、延設部93を有する共通リード電極92は、保護基板30側から平面視した際に、能動部310の周囲を囲むように連続して配置されている。本実施形態では、第2電極80上に形成された共通リード電極92と延設部93とが配線となる。つまり、流路形成基板10上に配線が設けられているとは、その流路形成基板10の直上も、間に他の部材が介在した状態(上方)も含むものである。
このように、延設部93を設けることで、可撓部と非可撓部との境界の剛性を向上して、可撓部と非可撓部との境界の応力集中における圧電体層70の破壊を抑制することができる。また、共通リード電極92が可撓部上には実質的に形成されていないため、能動部310の変位低下を抑えることができる。なお、本実施形態では、上述のように可撓部と非可撓部との境界部分には、絶縁層130が形成されているため、絶縁層130が設けられた領域には、延設部93を設けないようにしてもよい。また、上述のように、マニホールド100側にも絶縁層130を設けた場合には、マニホールド100側の可撓部と非可撓部との境界部分にも延設部93を設けないようにしてもよい。
さらに、延設部93は、能動部310の並設方向で、第2電極80と電気的に接続されて設けられている。このため、複数の能動部310の共通電極である第2電極80に、電圧(バイアス電圧)等を印加する際に、能動部310の並設方向で、電圧低下による不具合を抑制することができる。つまり、能動部310は、第1の方向Xに並設されており、第2電極80を薄く形成すると、電気抵抗値が上がってしまい、第1の方向Xにおいて、両端部側の能動部310と、中央部の能動部310とに印加される電圧に差が生じてしまう。このため、複数の能動部310を同じ電圧で駆動することができず、変位量にばらつきが生じて、インク滴の吐出特性のばらつきによる印刷不具合が生じてしまう。これに対して、第2電極80の電気抵抗値を下げるために、第2電極80の厚さを厚くすると、第2電極80が能動部310の変位を阻害し、能動部310の変位量の低下が生じてしまう。
本実施形態では、延設部93を設けることで、第2電極80に印加する電圧の低下を抑制することができる。したがって、第2電極80を厚く形成する必要がなく、能動部310の変位低下を抑制することができると共に、能動部310の駆動時の特性ばらつき、特に変位量のばらつきを抑制して、インク滴の吐出特性のばらつきを低減し、印刷品質を向上することができる。
このような圧電アクチュエーター300が形成された流路形成基板10上には、圧電アクチュエーター300を保護する保護基板30が接合されている。
保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護して収容するための空間である保持部31を有する。保持部31は、保護基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通することなく、流路形成基板10側に開口する凹形状を有する。保持部31は、本実施形態では、第1の方向Xに並設された圧電アクチュエーター300の列毎に独立して設けられている。すなわち、保持部31は、圧電アクチュエーター300の第1の方向Xに並設された列に亘って連続して設けられており、圧電アクチュエーター300の列毎、すなわち2つが第2の方向Yに並設されている。このような保持部31は、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、第2の方向Yにおいて、2つの保持部31の間に第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。個別リード電極91及び共通リード電極92は、この貫通孔32内に露出するように延設され、貫通孔32内で駆動回路210が実装された配線基板211が接続されている。
このような保護基板30の材料は、保護基板30が固定される流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましく、本実施形態では、シリコン単結晶基板を用いた。
また、このような構成のヘッド本体9には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体9と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接着剤によって固定されると共に、上述した連通板15にも接着剤によって固定されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体9とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体9とによって画成された第3マニホールド部42とによって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等)により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板211が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIでは、インクを噴射する際に、カートリッジ等のインク貯留手段から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路210からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に弾性膜51及び絶縁体膜52をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部断面図及びそのC−C′線断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、流路形成基板10には、振動板50である弾性膜51と、弾性膜51上に形成された第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を有する圧電アクチュエーター300と、が形成されている。
第1電極60は、弾性膜51上に形成された第1層61と、圧電体層70側に形成された第2層62と、を具備し、第1層61と第2層62との間には、絶縁層130Aが設けられている。
すなわち、流路形成基板10上には、流路形成基板10側から弾性膜51、第1層61、絶縁層130A、第2層62が第3の方向Zに順次積層されている。
第1層61は、第2の方向Yにおいて、両端部が圧力発生室12の外側まで延設されている。また、第1層61は、第1の方向Xにおいて、両端部が隔壁11に相対向する領域に達するまで形成されている。
絶縁層130Aは、第1層61に第1の方向X及び第2の方向Yにおいて、圧力発生室12の外側まで延設されている。すなわち、第1層61の圧電体層70側の表面は略覆われている。
第2層62は、絶縁層130Aと圧電体層70との間に設けられている。第2層62は、絶縁層130Aに第3の方向Zを貫通して設けられたコンタクトホール131を介して第1層61と接続されている。
そして、絶縁層130Aは、第1の方向Xの端部が、圧力発生室12内に相対向する領域内、すなわち可撓部内に設けられており、能動部310の第1の方向Xを規定している。また、第2層62の第2の方向Yの端部も同様に、圧力発生室12に相対向する領域内、すなわち、可撓部内に設けられており、能動部310の第1の方向Xを規定している。
すなわち、第1層61の第2層62に相対向する領域の外側の表面は、絶縁層130Aによって覆われることで、第2層62と絶縁層130Aとの境界によって能動部310の第2の方向Yの端部が規定されている。つまり、本実施形態では、絶縁層130Aは、第1電極60(第1層61)と圧電体層70との間に設けられて能動部310の長手方向である第2の方向Yの端部を規定しており、第1電極60(第1層)は、絶縁層130Aの流路形成基板10側において、能動部310から圧力発生室12の外側まで延設されている。
このように、第1電極60の第2層62によって、能動部310の第2の方向Yの両端部を可撓部内に設けることで、能動部310と非能動部との境界における応力が弾性膜51の変形によって開放される。このため、能動部310の第2の方向Yの端部における応力集中に起因する焼損やクラック等の破壊を抑制することができる。
また、本実施形態では、絶縁層130Aを第1層61と第2層62との間に設け、第1層61と第2層62とをコンタクトホール131を介して接続するようにした。このようなコンタクトホール131は、第2の方向Yの中央部に設けることで、能動部310の変形を第2の方向Yで対称として、変位特性を向上することができる。すなわち、コンタクトホール131を第2の方向Yにずらして設けると、剛性にばらつきが生じて、能動部310を第2の方向Yで対称に変形させることができなくなってしまう虞があるからである。
なお、本実施形態では、コンタクトホール131を能動部310に対して第2の方向Y及び第1の方向Xの中央部に1つだけ設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第2の方向Yに所定の間隔で複数のコンタクトホール131を並設するようにしてもよい。これにより、第1層61と第2層62との接触面積が増大し、電気抵抗値を下げることができる。
また、コンタクトホール131が第2層62の第1層61側の面の全面に亘って設けられていてもよい。すなわち、実質的に第1層61上の第2層62が設けられていない領域のみに絶縁層130Aが設けられていてもよい。このような構成であっても、同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、第1層61の第2の方向Yの両端部を圧力発生室12の外側まで延設するようにしたが、特にこれに限定されず、引き出す側とは反対側の端部、すなわち、マニホールド100側の端部を第2層62の端部と同じ位置に設けてもよい。また、第1層61のマニホールド100側の端部は、第2層62の端部よりも内側、すなわち、マニホールド100とは反対側に設けられていてもよい。
また、第1層61の第1の方向Xの両端部を隔壁11に相対向する領域に達するまで形成することで、第1層61の端部による段差が圧電アクチュエーター300の応力集中を抑制することができる。なお、第1層61は、特にこれに限定されない。ここで、第1層61の変形例を図7に示す。
図7に示すように、第1層61の第1の方向Xの両端部は、圧力発生室12に相対向する領域のうち、圧電体層70に第3の方向Zで相対向する領域内に設けられている。このように、第1層61の第1の方向Xの長さを圧電体層70に収まる範囲内に設けることで、可撓部には第1層61の端部によって段差が形成されるが、圧電体層70を、例えばスピンコート法等を用いたゾル−ゲル法等によって形成することで、第1層61の段差を圧電体層70によって吸収して形成することができる。すなわち、ゾルをスピンコート法によって塗布することで、第1層61の端部による段差が、ゾルの表面(第2電極80側の面)に段差として形成され難い。したがって、第1層61の端部を圧電体層70に第3の方向Zで相対向する領域内に設けることで、段差を吸収して、段差による変位点が形成されるのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、振動板50として、弾性膜51のみを設けるようにしたため、絶縁層130Aとして、上述した実施形態1の絶縁体膜52と同じ材料を用いることができる。これにより、絶縁層130Aに絶縁体膜52と同じ機能を持たせることができる。すなわち、例えば、絶縁層130Aとして酸化ジルコニウムを用いることで、絶縁層130Aは、圧電体層70に含まれる成分が流路形成基板10に拡散するのを防ぐ、所謂拡散防止層として機能させることができる。ちなみに、絶縁層130Aに絶縁体膜52と同じ機能を持たせるためには、例えば、図7に示すように、圧電体層70の流路形成基板10側の面の全面を覆う大きさで絶縁層130Aを形成するのが好ましい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1及び2では、基板である流路形成基板10に凹部として、第3の方向Zに貫通した圧力発生室12が形成された構成を例示したが、特にこれに限定されず、圧力発生室12は、流路形成基板10を第3の方向Zに貫通して設けられていなくてもよい。すなわち、圧力発生室12は、圧電アクチュエーター300側に開口すると共に第3の方向Zの途中まで設けられた凹部として設けられていてもよい。すなわち、凹部とは、厚さ方向の途中まで設けられたものも、厚さ方向に貫通するものも含むものである。
また、上述した実施形態1及び2では、基板(流路形成基板10)上に振動板50を介して第1電極60を設けた構成を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、振動板50を設けずに第1電極60を直接基板上に設けるようにしてもよい。すなわち、第1電極60が振動板として作用するようにしてもよい。つまり、基板の上方とは、基板の直上も、間に他の部材が介在した状態も含むものである。
また、例えば、上述した実施形態1及び2では、流路形成基板10とノズルプレート20とを連通板15を介して接合するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10とノズルプレート20とを直接接合するようにしてもよい。また、ノズルプレート20と流路形成基板10との間には連通板15以外の他の基板を介在させてもよい。
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図8に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッドIを有するインクジェット式記録ヘッドユニット1A、1B(以下、ヘッドユニット1A、1Bとも言う)は、インク供給手段を構成するインクカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、このヘッドユニット1A、1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。このヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1A、1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置IIでは、インクジェット式記録ヘッドI(ヘッドユニット1A、1B)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置IIは、液体貯留手段であるインクカートリッジ2A、2Bがキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段とインクジェット式記録ヘッドIとをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置IIに搭載されていなくてもよい。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
また、本願発明は、液体噴射ヘッドに搭載される圧電アクチュエーターに限定されず、他のデバイスに搭載される圧電アクチュエーターにも適用することができる。他のデバイスとしては、例えば、超音波発信機等の超音波デバイス、超音波モーター、圧力センサー、焦電センサー等が挙げられる。