〔第1実施形態〕
以下、三次元計測装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る三次元計測装置1の概略構成を示す模式図であり、図2は三次元計測装置1の電気的構成を示すブロック図である。以下、便宜上、図1の紙面前後方向を「X軸方向」とし、紙面上下方向を「Y軸方向」とし、紙面左右方向を「Z軸方向」として説明する。
三次元計測装置1は、マイケルソン干渉計の原理に基づき構成されたものであり、特定波長の光を出力可能な2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)と、該投光系2A,2Bからそれぞれ出射される光が入射される干渉光学系3と、該干渉光学系3から出射される光を撮像可能な2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)と、投光系2A,2Bや干渉光学系3、撮像系4A,4Bなどに係る各種制御や画像処理、演算処理等を行う制御装置5とを備えている。
ここで、「制御装置5」が本実施形態における「画像処理手段」を構成し、「干渉光学系3」が本実施形態における「所定の光学系(特定光学系)」を構成する。尚、本願に係る各実施形態においては、光の干渉を生じさせること(干渉縞画像を撮像すること)を目的として、入射する所定の光を2つの光(計測光及び参照光)に分割し、該2つの光に光路差を生じさせた上で、再度合成して出力する光学系を「干渉光学系」という。つまり、2つの光を内部で干渉させた上で干渉光として出力する光学系のみならず、2つの光を内部で干渉させることなく、単に合成光として出力する光学系についても「干渉光学系」と称している。従って、本実施形態にて後述するように、「干渉光学系」から、2つの光(計測光及び参照光)が干渉することなく合成光として出力される場合には、少なくとも撮像される前段階(例えば撮像系の内部など)において、所定の干渉手段を介して干渉光に変換することとなる。
まず、2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)の構成について詳しく説明する。第1投光系2Aは、第1発光部11A、第1光アイソレータ12A、第1無偏光ビームスプリッタ13Aなどを備えている。ここで「第1発光部11A」が本実施形態における「第1照射手段」を構成する。
図示は省略するが、第1発光部11Aは、特定波長λ1の直線偏光を出力可能なレーザ光源や、該レーザ光源から出力される直線偏光を拡大し平行光として出射するビームエキスパンダ、強度調整を行うための偏光板、偏光方向を調整するための1/2波長板などを備えている。
かかる構成の下、本実施形態では、第1発光部11Aから、X軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする波長λ1(例えばλ1=1500nm)の直線偏光がZ軸方向左向きに出射される。ここで「波長λ1」が本実施形態における「第1波長」に相当する。以降、第1発光部11Aから出射される波長λ1の光を「第1光」という。
第1光アイソレータ12Aは、一方向(本実施形態ではZ軸方向左向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではZ軸方向右向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第1発光部11Aから出射された第1光のみを透過することとなり、戻り光による第1発光部11Aの損傷や不安定化などを防止することができる。
第1無偏光ビームスプリッタ13Aは、直角プリズム(直角二等辺三角形を底面とする三角柱状のプリズム。以下同様。)を貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面13Ahには例えば金属膜などのコーティングが施されている。「第1無偏光ビームスプリッタ13A」が本実施形態における「第1導光手段」を構成する。
以下同様であるが、無偏光ビームスプリッタは、偏光状態も含め、入射光を所定の比率で透過光と反射光とに分割するものである。本実施形態では、1:1の分割比を持った所謂ハーフミラーを採用している。つまり、透過光のP偏光成分及びS偏光成分、並びに、反射光のP偏光成分及びS偏光成分が全て同じ比率で分割されると共に、透過光と反射光の各偏光状態は入射光の偏光状態と同じとなる。
尚、本実施形態では、図1の紙面に平行な方向(Y軸方向又はZ軸方向)を偏光方向とする直線偏光をP偏光(P偏光成分)といい、図1の紙面に垂直なX軸方向を偏光方向とする直線偏光をS偏光(S偏光成分)という。「P偏光」が「第1の偏光方向を有する第1偏光」に相当し、「S偏光」が「第2の偏光方向を有する第2偏光」に相当する。
また、第1無偏光ビームスプリッタ13Aは、その接合面13Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1無偏光ビームスプリッタ13Aの接合面13AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第1光アイソレータ12Aを介して、第1発光部11AからZ軸方向左向きに入射する第1光の一部(半分)をZ軸方向左向きに透過させ、残り(半分)をY軸方向下向きに反射させるように配置されている。
第2投光系2Bは、上記第1投光系2Aと同様、第2発光部11B、第2光アイソレータ12B、第2無偏光ビームスプリッタ13Bなどを備えている。ここで「第2発光部11B」が本実施形態における「第2照射手段」を構成する。
第2発光部11Bは、上記第1発光部11Aと同様、特定波長λ2の直線偏光を出力可能なレーザ光源や、該レーザ光源から出力される直線偏光を拡大し平行光として出射するビームエキスパンダ、強度調整を行うための偏光板、偏光方向を調整するための1/2波長板などを備えている。
かかる構成の下、本実施形態では、第2発光部11Bから、X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする波長λ2(例えばλ2=1503nm)の直線偏光がY軸方向上向きに出射される。ここで「波長λ2」が本実施形態における「第2波長」に相当する。以降、第2発光部11Bから出射される波長λ2の光を「第2光」という。
第2光アイソレータ12Bは、第1光アイソレータ12Aと同様、一方向(本実施形態ではY軸方向上向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではY軸方向下向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第2発光部11Bから出射された第2光のみを透過することとなり、戻り光による第2発光部11Bの損傷や不安定化などを防止することができる。
第2無偏光ビームスプリッタ13Bは、第1無偏光ビームスプリッタ13Aと同様、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面13Bhには例えば金属膜などのコーティングが施されている。「第2無偏光ビームスプリッタ13B」が本実施形態における「第2導光手段」を構成する。
また、第2無偏光ビームスプリッタ13Bは、その接合面13Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2無偏光ビームスプリッタ13Bの接合面13BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第2光アイソレータ12Bを介して、第2発光部11BからY軸方向上向きに入射する第2光の一部(半分)をY軸方向上向きに透過させ、残り(半分)をZ軸方向右向きに反射させるように配置されている。
次に干渉光学系3の構成について詳しく説明する。干渉光学系3は、偏光ビームスプリッタ(PBS)20、1/4波長板21,22、参照面23、設置部24などを備えている。
偏光ビームスプリッタ20は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面(境界面)20hには例えば誘電体多層膜などのコーティングが施されている。
偏光ビームスプリッタ20は、入射される直線偏光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)に分割するものである。本実施形態における偏光ビームスプリッタ20は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっている。また、本実施形態における偏光ビームスプリッタ20は、入射する所定の光を2つの光に分割する「分割手段」を構成すると共に、これらを再び合成する「合成手段」を構成することとなる。
偏光ビームスプリッタ20は、その接合面20hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、偏光ビームスプリッタ20の接合面20hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
より詳しくは、上記第1無偏光ビームスプリッタ13AからY軸方向下向きに反射した第1光が入射する偏光ビームスプリッタ20の第1面(Y軸方向上側面)20a、並びに、該第1面20aと相対向する第3面(Y軸方向下側面)20cがY軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ20の第1面20a」が本実施形態における「第1入出力部」に相当する。
一方、第1面20aと接合面20hを挟んで隣り合う面であって、上記第2無偏光ビームスプリッタ13BからZ軸方向右向きに反射した第2光が入射する偏光ビームスプリッタ20の第2面(Z軸方向左側面)20b、並びに、該第2面20bと相対向する第4面(Z軸方向右側面)20dがZ軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ20の第2面20b」が本実施形態における「第2入出力部」に相当する。
また、偏光ビームスプリッタ20の第3面20cとY軸方向に相対向するように1/4波長板21が配置され、該1/4波長板21とY軸方向に相対向するように参照面23が配置されている。
1/4波長板21は、本実施形態における「第1の1/4波長板」に相当するものであり、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。つまり、偏光ビームスプリッタ20の第3面20cから出射される直線偏光(参照光)は1/4波長板21を介して円偏光に変換された上で参照面23に対し照射される。また、参照面23で反射した参照光は、再度、1/4波長板21を介して円偏光から直線偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ20の第3面20cに入射する。
一方、偏光ビームスプリッタ20の第4面20dとZ軸方向に相対向するように1/4波長板22が配置され、該1/4波長板22とZ軸方向に相対向するように設置部24が配置されている。
1/4波長板22は、本実施形態における「第2の1/4波長板」に相当するものであり、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。つまり、偏光ビームスプリッタ20の第4面20dから出射される直線偏光(計測光)は1/4波長板22を介して円偏光に変換された上で設置部24に置かれた被計測物としてのワークWに対し照射される。また、ワークWにて反射した計測光は、再度、1/4波長板22を介して円偏光から直線偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ20の第4面20dに入射する。
次に2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)の構成について詳しく説明する。第1撮像系4Aは、1/4波長板31A、第1偏光板32A、第1撮像手段を構成する第1カメラ33Aなどを備えている。
1/4波長板31Aは、第2無偏光ビームスプリッタ13BをZ軸方向左向きに透過してきた直線偏光(第1光の参照光成分及び計測光成分)をそれぞれ円偏光に変換するためのものである。
第1偏光板32Aは、1/4波長板31Aにより円偏光に変換された第1光の各成分を選択的に透過させるものである。これにより、回転方向の異なる第1光の参照光成分と計測光成分とを特定の位相について干渉させることができる。「第1偏光板32A」が本実施形態における「第1位相シフト手段」及び「干渉手段」を構成する。
本実施形態に係る第1偏光板32Aは、Z軸方向を軸心として回転可能に構成されると共に、その透過軸方向が45°ずつ変化するように制御される。具体的には、透過軸方向がY軸方向に対し「0°」、「45°」、「90°」、「135°」となるように変化する。
これにより、第1偏光板32Aを透過する第1光の参照光成分及び計測光成分を4通りの位相で干渉させることができる。つまり、位相が90°ずつ異なる干渉光を生成することができる。具体的には、位相が「0°」の干渉光、位相が「90°」の干渉光、位相が「180°」の干渉光、位相が「270°」の干渉光を生成することができる。
第1カメラ33Aは、レンズや撮像素子等を備えてなる公知のものである。本実施形態では、第1カメラ33Aの撮像素子として、CCDエリアセンサを採用している。勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、例えばCMOSエリアセンサ等を採用してもよい。
第1カメラ33Aによって撮像された画像データは、第1カメラ33A内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置5(画像データ記憶装置54)に入力されるようになっている。
具体的には、第1光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が第1カメラ33Aにより撮像されることとなる。
第2撮像系4Bは、第1撮像系4Aと同様、1/4波長板31B、第2偏光板32B、第2撮像手段を構成する第2カメラ33Bなどを備えている。
1/4波長板31Bは、第1無偏光ビームスプリッタ13AをY軸方向上向きに透過してきた直線偏光(第2光の参照光成分及び計測光成分)をそれぞれ円偏光に変換するためのものである。
第2偏光板32Bは、第1偏光板32Aと同様、1/4波長板31Bにより円偏光に変換された第2光の各成分を選択的に透過させるものである。これにより、回転方向の異なる第2光の参照光成分と計測光成分とを特定の位相について干渉させることができる。「第2偏光板32B」が本実施形態における「第2位相シフト手段」及び「干渉手段」を構成する。
本実施形態に係る第2偏光板32Bは、Y軸方向を軸心として回転可能に構成されると共に、その透過軸方向が45°ずつ変化するように制御される。具体的には、透過軸方向がX軸方向に対し「0°」、「45°」、「90°」、「135°」となるように変化する。
これにより、第2偏光板32Bを透過する第2光の参照光成分及び計測光成分を4通りの位相で干渉させることができる。つまり、位相が90°ずつ異なる干渉光を生成することができる。具体的には、位相が「0°」の干渉光、位相が「90°」の干渉光、位相が「180°」の干渉光、位相が「270°」の干渉光を生成することができる。
第2カメラ33Bは、第1カメラ33Aと同様、レンズや撮像素子等を備えてなる公知のものである。本実施形態では、第1カメラ33Aと同様、第2カメラ33Bの撮像素子として、CCDエリアセンサを採用している。勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、例えばCMOSエリアセンサ等を採用してもよい。
第1カメラ33Aと同様、第2カメラ33Bによって撮像された画像データは、第2カメラ33B内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置5(画像データ記憶装置54)に入力されるようになっている。
具体的には、第2光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が第2カメラ33Bにより撮像されることとなる。
ここで制御装置5の電気的構成について説明する。図2に示すように、制御装置5は、三次元計測装置1全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース51、キーボードやマウス、あるいは、タッチパネルで構成される「入力手段」としての入力装置52、液晶画面などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置53、カメラ33A,33Bにより撮像された画像データ等を順次記憶するための画像データ記憶装置54、各種演算結果を記憶するための演算結果記憶装置55、各種情報を予め記憶しておく設定データ記憶装置56を備えている。なお、これら各装置52〜56は、CPU及び入出力インターフェース51に対し電気的に接続されている。
次に三次元計測装置1の作用について説明する。尚、後述するように、本実施形態における第1光及び第2光の照射は同時に行われるものであり、第1光の光路と第2光の光路が一部で重なることとなるが、ここでは、より分かりやすくするため、第1光及び第2光の光路ごとに異なる図面を用いて個別に説明する。
まず第1光の光路について図3を参照して説明する。図3に示すように、波長λ1の第1光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第1発光部11AからZ軸方向左向きに出射される。
第1発光部11Aから出射された第1光は、第1光アイソレータ12Aを通過し、第1無偏光ビームスプリッタ13Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ13Aに入射した第1光の一部はZ軸方向左向きに透過し、残りはY軸方向下向きに反射する。
このうち、Y軸方向下向きに反射した第1光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)は、偏光ビームスプリッタ20の第1面20aに入射する。一方、Z軸方向左向きに透過した第1光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
ここで、捨て光となる光を、必要に応じて波長計測あるいは光のパワー計測に利用すれば、光源を安定化させ如いては計測精度の向上を図ることができる(以下同様)。
偏光ビームスプリッタ20の第1面20aからY軸方向下向きに入射した第1光は、そのP偏光成分がY軸方向下向きに透過して第3面20cから参照光として出射される一方、そのS偏光成分がZ軸方向右向きに反射して第4面20dから計測光として出射される。
偏光ビームスプリッタ20の第3面20cから出射した第1光に係る参照光(P偏光)は、1/4波長板21を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、参照面23で反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第1光に係る参照光は、再度、1/4波長板21を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ20の第3面20cに再入射する。
一方、偏光ビームスプリッタ20の第4面20dから出射した第1光に係る計測光(S偏光)は、1/4波長板22を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、ワークWで反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第1光に係る計測光は、再度、1/4波長板22を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ20の第4面20dに再入射する。
ここで、偏光ビームスプリッタ20の第3面20cから再入射した第1光に係る参照光(S偏光)が接合面20hにてZ軸方向左向きに反射する一方、第4面20dから再入射した第1光に係る計測光(P偏光)は接合面20hをZ軸方向左向きに透過する。そして、第1光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として偏光ビームスプリッタ20の第2面20bから出射される。
偏光ビームスプリッタ20の第2面20bから出射された第1光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第2無偏光ビームスプリッタ13Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ13Bに対しZ軸方向左向きに入射した第1光に係る合成光は、その一部がZ軸方向左向きに透過し、残りがY軸方向下向きに反射する。このうち、Z軸方向左向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第1撮像系4Aに入射することとなる。一方、Y軸方向下向きに反射した合成光は、第2光アイソレータ12Bによりその進行を遮断され、捨て光となる。
第1撮像系4Aに入射した第1光に係る合成光(参照光及び計測光)は、まず1/4波長板31Aにより、その参照光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換され、その計測光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換される。ここで、左回りの円偏光と右回りの円偏光は回転方向が異なるので干渉しない。
第1光に係る合成光は、続いて第1偏光板32Aを通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが第1偏光板32Aの角度に応じた位相で干渉する。そして、かかる第1光に係る干渉光が第1カメラ33Aにより撮像される。
次に第2光の光路について図4を参照して説明する。図4に示すように、波長λ2の第2光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第2発光部11BからY軸方向上向きに出射される。
第2発光部11Bから出射された第2光は、第2光アイソレータ12Bを通過し、第2無偏光ビームスプリッタ13Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ13Bに入射した第2光の一部はY軸方向上向きに透過し、残りはZ軸方向右向きに反射する。
このうち、Z軸方向右向きに反射した第2光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)は、偏光ビームスプリッタ20の第2面20bに入射する。一方、Y軸方向上向きに透過した第2光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
偏光ビームスプリッタ20の第2面20bからZ軸方向右向きに入射した第2光は、そのS偏光成分がY軸方向下向きに反射して第3面20cから参照光として出射される一方、そのP偏光成分がZ軸方向右向きに透過して第4面20dから計測光として出射される。
偏光ビームスプリッタ20の第3面20cから出射した第2光に係る参照光(S偏光)は、1/4波長板21を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、参照面23で反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第2光に係る参照光は、再度、1/4波長板21を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ20の第3面20cに再入射する。
一方、偏光ビームスプリッタ20の第4面20dから出射した第2光に係る計測光(P偏光)は、1/4波長板22を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、ワークWで反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。その後、第2光に係る計測光は、再度、1/4波長板22を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ20の第4面20dに再入射する。
ここで、偏光ビームスプリッタ20の第3面20cから再入射した第2光に係る参照光(P偏光)は接合面20hをY軸方向上向きに透過する一方、第4面20dから再入射した第2光に係る計測光(S偏光)は接合面20hにてY軸方向上向きに反射する。そして、第2光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として偏光ビームスプリッタ20の第1面20aから出射される。
偏光ビームスプリッタ20の第1面20aから出射された第2光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第1無偏光ビームスプリッタ13Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ13Aに対しY軸方向上向きに入射した第2光に係る合成光は、その一部がY軸方向上向きに透過し、残りがZ軸方向右向きに反射する。このうち、Y軸方向上向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第2撮像系4Bに入射することとなる。一方、Z軸方向右向きに反射した合成光は、第1光アイソレータ12Aによりその進行を遮断され、捨て光となる。
第2撮像系4Bに入射した第2光に係る合成光(参照光及び計測光)は、まず1/4波長板31Bにより、その参照光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換され、その計測光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換される。ここで、左回りの円偏光と右回りの円偏光は回転方向が異なるので干渉しない。
第2光に係る合成光は、続いて第2偏光板32Bを通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが第2偏光板32Bの角度に応じた位相で干渉する。そして、かかる第2光に係る干渉光が第2カメラ33Bにより撮像される。
次に、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について詳しく説明する。まずは、設置部24へワークWを設置した後、第1撮像系4Aの第1偏光板32Aの透過軸方向を所定の基準位置(例えば「0°」)に設定すると共に、第2撮像系4Bの第2偏光板32Bの透過軸方向を所定の基準位置(例えば「0°」)に設定する。
続いて、第1投光系2Aから第1光を照射すると同時に、第2投光系2Bから第2光を照射する。その結果、干渉光学系3の偏光ビームスプリッタ20の第2面20bから第1光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射されると同時に、偏光ビームスプリッタ20の第1面20aから第2光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射される。
そして、偏光ビームスプリッタ20の第2面20bから出射された第1光に係る合成光を第1撮像系4Aにより撮像すると同時に、偏光ビームスプリッタ20の第1面20aから出射された第2光に係る合成光を第2撮像系4Bにより撮像する。
尚、ここでは第1偏光板32A及び第2偏光板32Bの透過軸方向がそれぞれ「0°」に設定されているため、第1カメラ33Aでは第1光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第2カメラ33Bでは第2光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。
そして、各カメラ33A,33Bからそれぞれ撮像された画像データが制御装置5へ出力される。制御装置5は、入力した画像データを画像データ記憶装置54に記憶する。
次に制御装置5は、第1撮像系4Aの第1偏光板32A、及び、第2撮像系4Bの第2偏光板32Bの切替処理を行う。具体的には、第1偏光板32A及び第2偏光板32Bをそれぞれ透過軸方向が「45°」となる位置まで回動変位させる。
該切替処理が終了すると、制御装置5は、上記一連の1回目の撮像処理と同様の2回目の撮像処理を行う。つまり、制御装置5は、第1投光系2Aから第1光を照射すると同時に、第2投光系2Bから第2光を照射し、偏光ビームスプリッタ20の第2面20bから出射された第1光に係る合成光を第1撮像系4Aにより撮像すると同時に、偏光ビームスプリッタ20の第1面20aから出射された第2光に係る合成光を第2撮像系4Bにより撮像する。これにより、第1光に係る位相「90°」の干渉縞画像が取得されると共に、第2光に係る位相「90°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。
以降、上記1回目及び2回目の撮像処理と同様の撮像処理が2回繰り返し行われる。つまり、第1偏光板32A及び第2偏光板32Bの透過軸方向を「90°」に設定した状態で3回目の撮像処理を行い、第1光に係る位相「180°」の干渉縞画像を取得すると共に、第2光に係る位相「180°」の干渉縞画像を取得する。
その後、第1偏光板32A及び第2偏光板32Bの透過軸方向を「135°」に設定した状態で4回目の撮像処理を行い、第1光に係る位相「270°」の干渉縞画像を取得すると共に、第2光に係る位相「270°」の干渉縞画像を取得する。
このように、4回の撮像処理を行うことにより、三次元計測を行う上で必要な全ての画像データ(第1光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第2光に係る4通りの干渉縞画像データからなる計8つの干渉縞画像データ)を取得することができる。
そして、制御装置5は、画像データ記憶装置54に記憶された第1光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第2光に係る4通りの干渉縞画像データを基に、位相シフト法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
まずは一般的な位相シフト法による高さ計測の原理について説明する。第1光又は第2光に係る4通りの干渉縞画像データの同一座標位置(x,y)における干渉縞強度、すなわち輝度I1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)、I4(x,y)は、下記[数1]の関係式で表すことができる。
ここで、Δφ(x,y)は、座標(x,y)における計測光と参照光との光路差に基づく位相差を表している。また、A(x,y)は干渉光の振幅、B(x,y)はバイアスを表している。但し、参照光は均一であるため、これを基準として見ると、Δφ(x,y)は「計測光の位相」を表し、A(x,y)は「計測光の振幅」を表すこととなる。
従って、計測光の位相Δφ(x,y)は、上記[数1]の関係式を基に、下記[数2]の関係式で求めることができる。
また、計測光の振幅A(x,y)は、上記[数1]の関係式を基に、下記[数3]の関係式で求めることができる。
次に、上記位相Δφ(x,y)と振幅A(x,y)から、下記[数4]の関係式を基に撮像素子面上における複素振幅Eo(x,y)を算出する。ここで、iは虚数単位を表している。
続いて、複素振幅Eo(x,y)を基に、ワークW面上の座標(ξ,η)における複素振幅Eo(ξ,η)を算出する。
まずは、下記[数5]に示すように、上記複素振幅Eo(x,y)をフレネル変換する。ここで、λは波長を表す。
これをEo(ξ,η)について解くと、下記[数6]のようになる。
さらに、得られた複素振幅Eo(ξ,η)から、下記[数7]の関係式を基に、計測光の位相φ(ξ,η)と、計測光の振幅A(ξ,η)を算出する。
計測光の位相φ(ξ,η)は、下記[数8]の関係式により求めることができる。
計測光の振幅A(ξ,η)は、下記[数9]の関係式により求めることができる。
その後、位相−高さ変換処理を行い、ワークWの表面の凹凸形状を3次元的に示す高さ情報z(ξ,η)を算出する。
高さ情報z(ξ,η)は、下記[数10]の関係式により算出することができる。
次に2波長位相シフト法の原理について説明する。波長の異なる2種類の光を用いることで計測レンジを広げることができる。
波長の異なる2種類の光(波長λ1,λ2)を用いて計測を行った場合には、その合成波長λ0の光で計測を行ったことと同じこととなる。そして、その計測レンジはλ0/2に拡大することとなる。合成波長λ0は、下記式(M1)で表すことができる。
λ0=(λ1×λ2)/(λ2−λ1) ・・・(M1)
但し、λ2>λ1とする。
ここで、例えばλ1=1500nm、λ2=1503nmとすると、上記式(M1)から、λ0=751.500μmとなり、計測レンジはλ0/2=375.750μmとなる。
2波長位相シフト法を行う際には、まず波長λ1の第1光に係る4通りの干渉縞画像データの輝度I1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)、I4(x,y)を基に(上記[数1]参照)、ワークW面上の座標(ξ,η)における第1光に係る計測光の位相φ1(ξ,η)を算出する(上記[数8]参照)。ここで求められる位相φ1(ξ,η)が本実施形態における「第1計測値」に相当し、これを算出する処理機能により「第1計測値取得手段」が構成される。
尚、第1光に係る計測の下、座標(ξ,η)における高さ情報z(ξ,η)は、下記式(M2)で表すことができる。
z(ξ,η)=d1(ξ,η)/2
=[λ1×φ1(ξ,η)/4π]+[m1(ξ,η)×λ1/2] ・・・(M2)
但し、d1(ξ,η)は、第1光に係る計測光と参照光との光路差を表し、m1(ξ,η)は、第1光に係る縞次数を表す。
よって、位相φ1(ξ,η)は下記式(M2´)で表すことができる。
φ1(ξ,η)=(4π/λ1)×z(ξ,η)−2πm1(ξ,η) ・・・(M2´)
同様に、波長λ2の第2光に係る4通りの干渉縞画像データの輝度I1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)、I4(x,y)を基に(上記[数1]参照)、ワークW面上の座標(ξ,η)における第2光に係る計測光の位相φ2(ξ,η)を算出する(上記[数8]参照)。ここで求められる位相φ2(ξ,η)が本実施形態における「第2計測値」に相当し、これを算出する処理機能により「第2計測値取得手段」が構成される。
尚、第2光に係る計測の下、座標(ξ,η)における高さ情報z(ξ,η)は、下記式(M3)で表すことができる。
z(ξ,η)=d2(ξ,η)/2
=[λ2×φ2(ξ,η)/4π]+[m2(ξ,η)×λ2/2] ・・・(M3)
但し、d2(ξ,η)は、第2光に係る計測光と参照光との光路差を表し、m2(ξ,η)は、第2光に係る縞次数を表す。
よって、位相φ2(ξ,η)は下記式(M3´)で表すことができる。
φ2(ξ,η)=(4π/λ2)×z(ξ,η)−2πm2(ξ,η) ・・・(M3´)
続いて、波長λ1の第1光に係る縞次数m1(ξ,η)、又は、波長λ2の第2光に係る縞次数m2(ξ,η)を決定する。縞次数m1,m2は、2種類の光(波長λ1,λ2)の光路差Δd及び波長差Δλを基に求めることができる。ここで光路差Δd及び波長差Δλは、それぞれ下記式(M4),(M5)のように表すことができる。
Δd=(λ1×φ1−λ2×φ2)/2π ・・・(M4)
Δλ=λ2−λ1 ・・・(M5)
但し、λ2>λ1とする。
尚、2波長の合成波長λ0の計測レンジ内において、縞次数m1,m2の関係は、以下の3つの場合に分けられ、各場合ごとに縞次数m1(ξ,η)、m2(ξ,η)を決定する計算式が異なる。ここで、例えば縞次数m1(ξ,η)を決定する場合について説明する。勿論、縞次数m2(ξ,η)についても、同様の手法により求めることができる。
例えば「φ1−φ2<−π」の場合には「m1−m2=−1」となり、かかる場合、m1は下記式(M6)のように表すことができる。
m1=(Δd/Δλ)−(λ2/Δλ)
=(λ1×φ1−λ2×φ2)/2π(λ2−λ1)−λ2/(λ2−λ1)・・・(M6)
「−π<φ1−φ2<π」の場合には「m1−m2=0」となり、かかる場合、m1は下記式(M7)のように表すことができる。
m1=Δd/Δλ
=(λ1×φ1−λ2×φ2)/2π(λ2−λ1)・・・(M7)
「φ1−φ2>π」の場合には「m1−m2=+1」となり、かかる場合、m1は下記式(M8)のように表すことができる。
m1=(Δd/Δλ)+(λ2/Δλ)
=(λ1×φ1−λ2×φ2)/2π(λ2−λ1)+λ2/(λ2−λ1)・・・(M8)
そして、このようにして得られた縞次数m1(ξ,η)又はm2(ξ,η)を基に、上記式(M2),(M3)から高さ情報z(ξ,η)を得ることができる。かかる処理機能により「高さ情報取得手段」が構成される。そして、このように求められたワークWの計測結果(高さ情報)は、制御装置5の演算結果記憶装置55に格納される。
以上詳述したように、本実施形態では、波長λ1の第1光を偏光ビームスプリッタ20の第1面20aから入射させると共に、波長λ2の第2光を偏光ビームスプリッタ20の第2面20bから入射させることにより、第1光に係る参照光及び計測光と、第2光に係る参照光及び計測光がそれぞれ異なる偏光成分(P偏光又はS偏光)に分割されるため、偏光ビームスプリッタ20に入射した第1光と第2光は互いに干渉することなく、別々に偏光ビームスプリッタ20から出射されることとなる。つまり、偏光ビームスプリッタ20から出射される光を所定の分離手段を用いて第1光と第2光とに分離する必要がない。
その結果、第1光及び第2光として波長の近い2種類の光を用いることができ、三次元計測に係る計測レンジをより広げることができる。加えて、第1光に係る出力光の撮像と、第2光に係る出力光の撮像を同時に行うことができるため、総体的な撮像時間を短縮でき、計測効率の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、基準となる参照面23を1つ備えた1つの干渉光学系3に対し2種類の光を用いる構成となっているため、参照光と計測光とに光路差を生じさせる光路区間が2種類の光で同一となる。このため、2つの干渉光学系(干渉計モジュール)を用いる構成に比べて、計測精度が向上すると共に、2つの干渉光学系の光路長を正確に一致させる困難な作業を行う必要もない。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。第2実施形態では、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに関連する構成が第1実施形態と異なる。
本実施形態に係る第1撮像系4Aは、1/4波長板31Aを透過した第1光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を4つの光に分割する分光手段としての分光光学系125を備えると共に、第1偏光板32Aに代えて、前記分光光学系125から出射された4つの光の所定成分を選択的に透過させるフィルタ手段としてのフィルタユニット126とを備え、該フィルタユニット126を透過した4つの光を第1カメラ33Aにより同時撮像する構成となっている。
第1撮像系4Aと同様、第2撮像系4Bは、1/4波長板31Bを透過した第2光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を4つの光に分割する分光手段としての分光光学系125を備えると共に、第2偏光板32Bに代えて、前記分光光学系125から出射された4つの光の所定成分を選択的に透過させるフィルタ手段としてのフィルタユニット126とを備え、該フィルタユニット126を透過した4つの光を第2カメラ33Bにより同時撮像する構成となっている。
尚、本実施形態における第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる分光光学系125及びフィルタユニット126は同一構成であるため、以下、第1撮像系4Aを例にして図5を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第1カメラ33Aの光軸方向が、第1撮像系4Aに入射する第1光に係る合成光L0の入射方向(進行方向)と平行するように設定されている。つまり、本実施形態では、第1光に係る合成光L0の入射方向であるZ軸方向に沿って設定されている。
分光光学系125は、無偏光型の4つの光学部材(プリズム)を組み合わせて一体とした1つの光学部材として構成されている。より詳しくは、分光光学系125は、合成光L0の進行方向(Z軸方向)に沿って、干渉光学系3に近い側より順に第1のプリズム131、第2のプリズム132、第3のプリズム133、第4のプリズム134が配置された構成となっている。
尚、上記各プリズム131〜134は、それぞれ空気よりも屈折率の高い所定の屈折率を有する光学材料(例えばガラスやアクリル等)により形成されている。従って、各プリズム131〜134内を進む光の光路長は、空気中を進む光の光路長よりも光学的に長くなる。ここで、例えば4つのプリズム131〜134をすべて同じ材料により形成してもよいし、少なくとも1つを異なる材料により形成してもよい。後述する分光光学系125の機能を満たすものであれば、各プリズム131〜134の材質はそれぞれ任意に選択可能である。
第1のプリズム131は、正面視(Z−Y平面)平行四辺形状をなし、X軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第1のプリズム131」を「第1菱形プリズム131」という。
第1菱形プリズム131は、X軸方向に沿った長方形状の4面のうち、干渉光学系3側となるZ軸方向右側に位置する面131a(以下、「入射面131a」という)及びZ軸方向左側に位置する面131b(以下、「出射面131b」という)がそれぞれZ軸方向と直交するように配置され、Y軸方向下側に位置する面131c及びY軸方向上側に位置する面131dがそれぞれZ軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
この2つの傾斜した面131c,131dのうち、Y軸方向下側に位置する面131cには無偏光のハーフミラー141が設けられ、Y軸方向上側に位置する面131dには内側に向け全反射する無偏光の全反射ミラー142が設けられている。以下、ハーフミラー141が設けられた面131cを「分岐面131c」といい、全反射ミラー142が設けられた面131dを「反射面131d」という。
尚、図5においては、便宜上、分岐面131c(ハーフミラー141)及び反射面131d(全反射ミラー142)にあたる部位に散点模様を付して示している。「ハーフミラー141」が本実施形態における「第1分岐手段」を構成し、「全反射ミラー142」が「第1反射手段」を構成する。つまり、「第1菱形プリズム131」が本実施形態における「第1光分割手段」を構成する。
第2のプリズム132は、正面視(Z−Y平面)台形状をなし、X軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第2のプリズム132」を「第1台形プリズム132」という。
第1台形プリズム132は、X軸方向に沿った長方形状の4面のうち、Y軸方向上側に位置する面132a及びY軸方向下側に位置する面132bがそれぞれY軸方向と直交するように配置され、Z軸方向右側に位置する面132cがZ軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜するように配置され、Z軸方向左側に位置する面132dがZ軸方向と直交するように配置されている。
このうち、Z軸方向右側に位置する面132cは、第1菱形プリズム131の分岐面131c(ハーフミラー141)に密着している。以下、Z軸方向右側に位置する面132cを「入射面132c」といい、Z軸方向左側に位置する面132dを「出射面132d」という。「第1台形プリズム132」が本実施形態における「第1光路調整手段」を構成する。
第3のプリズム133は、平面視(X−Z平面)平行四辺形状をなし、Y軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第3のプリズム133」を「第2菱形プリズム133」という。
第2菱形プリズム133は、Y軸方向に沿った長方形状の4面のうち、Z軸方向右側に位置する面133a及びZ軸方向左側に位置する面133bがそれぞれZ軸方向と直交するように配置され、X軸方向手前側に位置する面133c及びX軸方向奥側に位置する面133dがそれぞれZ軸方向及びX軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
この2つの傾斜した面133c,133dのうち、X軸方向手前側に位置する面133cには無偏光のハーフミラー143が設けられ、X軸方向奥側に位置する面133dには内側に向け全反射する無偏光の全反射ミラー144が設けられている。以下、ハーフミラー143が設けられた面133cを「分岐面133c」といい、全反射ミラー144が設けられた面133dを「反射面133d」という。
尚、図5においては、便宜上、分岐面133c(ハーフミラー143)及び反射面133d(全反射ミラー144)にあたる部位に散点模様を付して示している。「ハーフミラー143」が本実施形態における「第2分岐手段」及び「第3分岐手段」を構成し、「全反射ミラー144」が「第2反射手段」及び「第3反射手段」を構成する。つまり、「第2菱形プリズム133」が本実施形態における「第2光分割手段」及び「第3光分割手段」を構成する。
第2菱形プリズム133のZ軸方向右側に位置する面133aのうち、Y軸方向下側半分は、第1台形プリズム132の出射面132dに密着し、Y軸方向上側半分は、第1菱形プリズム131の出射面131bと相対向した状態となっている。以下、Z軸方向右側に位置する面133aを「入射面133a」といい、Z軸方向左側に位置する面133bを「出射面133b」という。
第4のプリズム134は、平面視(X−Z平面)台形状をなし、Y軸方向に沿って延びる四角柱形状のプリズムである。以下、「第4のプリズム134」を「第2台形プリズム134」という。
第2台形プリズム134は、Y軸方向に沿った長方形状の4面のうち、X軸方向奥側に位置する面134a及びX軸方向手前側に位置する面134bがそれぞれX軸方向と直交するように配置され、Z軸方向右側に位置する面134cがZ軸方向及びX軸方向に対し45°傾斜するように配置され、Z軸方向左側に位置する面134dがZ軸方向と直交するように配置されている。
このうち、Z軸方向右側に位置する面134cは、第2菱形プリズム133の分岐面133c(ハーフミラー143)に密着している。以下、Z軸方向右側に位置する面134cを「入射面134c」といい、Z軸方向左側に位置する面134dを「出射面134d」という。「第2台形プリズム134」が本実施形態における「第2光路調整手段」及び「第3光路調整手段」を構成する。
第2菱形プリズム133の出射面133b及び第2台形プリズム134の出射面134dは、それぞれフィルタユニット126と相対向するように配置されている。
ここで、分光光学系125の作用について図5を参照しつつ詳しく説明する。1/4波長板31Aを透過した合成光L0は、第1菱形プリズム131の入射面131aに入射する。
入射面131aから入射した合成光L0は、分岐面131c(ハーフミラー141)にて2方向に分岐する。詳しくは、Y軸方向上側に向け反射する分光LA1と、Z軸方向に沿ってハーフミラー141を透過する分光LA2とに分岐する。
このうち、ハーフミラー141で反射した分光LA1は、第1菱形プリズム131内をY軸方向に沿って進み、反射面131d(全反射ミラー142)にてZ軸方向左側に向け反射し、出射面131bから出射する。出射面131aから出射した分光LA1は、Z軸方向に沿って空気中を進み、第2菱形プリズム133の入射面133aに入射する。
一方、ハーフミラー141を透過した分光LA2は、第1台形プリズム132の入射面132cに入射し、その内部をZ軸方向に沿って進み、出射面132dから出射する。出射面132dから出射した分光LA2は、第2菱形プリズム133の入射面133aに入射する。
本実施形態では、第1菱形プリズム131の分岐面131cから、第2菱形プリズム133の入射面133aに至るまでの両分光LA1,LA2の光路長が光学的に同一となるように、第1菱形プリズム131及び第1台形プリズム132の屈折率及び長さ(Z軸方向又はY軸方向の長さ)が任意に設定されている。
第2菱形プリズム133の入射面133aに入射した分光LA1,LA2は、分岐面133c(ハーフミラー143)にてそれぞれ2方向に分岐する。詳しくは、一方の分光LA1は、Z軸方向に沿ってハーフミラー143を透過する分光LB1と、X軸方向奥側に向け反射する分光LB2とに分岐する。他方の分光LA2は、Z軸方向に沿ってハーフミラー143を透過する分光LB3と、X軸方向奥側に向け反射する分光LB4とに分岐する。
このうち、ハーフミラー143で反射した分光LB2,LB4は、それぞれ第2菱形プリズム133内をX軸方向に沿って進み、反射面133d(全反射ミラー144)にてZ軸方向左側に向け反射し、出射面133bから出射する。出射面133aから出射した分光LB2,LB4は、それぞれZ軸方向に沿って空気中を進み、フィルタユニット126に入射する。
一方、ハーフミラー143を透過した分光LB1,LB3は、第2台形プリズム134の入射面134cに入射し、その内部をZ軸方向に沿って進み、出射面134dから出射する。出射面134dから出射した分光LB1,LB3は、それぞれフィルタユニット126に入射する。
本実施形態では、第2菱形プリズム133の分岐面133cから、フィルタユニット126に至るまでの4つの分光LB1〜LB4の光路長が光学的に同一となるように、第2菱形プリズム133及び第2台形プリズム134の屈折率及び長さ(Z軸方向又はX軸方向の長さ)が任意に設定されている。
フィルタユニット126は、X−Y平面視で同一矩形状をなす4つの偏光板126a,126b,126c,126dがX−Y平面に沿って2行2列のマトリクス状に配置されてなる(図6参照)。図6は、フィルタユニット126の概略構成を模式的に示す平面図である。
4つの偏光板126a〜126dは、Y軸方向に対する透過軸方向が45°ずつ異なる偏光板である。より詳しくは、透過軸方向が0°の第1偏光板126a、透過軸方向が45°の第2偏光板126b、透過軸方向が90°の第3偏光板126c、透過軸方向が135°の第4偏光板126dにより構成されている。
そして、分光光学系125から出射された4つの分光LB1〜LB4がそれぞれ各偏光板126a〜126dに入射するように配置されている。詳しくは、分光LB1が第1偏光板126aに入射し、分光LB2が第2偏光板126bに入射し、分光LB3が第3偏光板126cに入射し、分光LB4が第4偏光板126dに入射する。
これにより、フィルタユニット126を透過した4つの分光LB1〜LB4は、それぞれ位相を90°ずつ異ならせた干渉光となる。詳しくは、第1偏光板126aを透過した分光LB1は位相「0°」の干渉光となり、第2偏光板126bを透過した分光LB2は位相「90°」の干渉光となり、第3偏光板126cを透過した分光LB3は位相「180°」の干渉光となり、第4偏光板126dを透過した分光LB4は位相「270°」の干渉光となる。従って、フィルタユニット126は本実施形態における干渉手段を構成する。
本実施形態に係る第1カメラ33Aの撮像素子33Aiは、その撮像領域が、フィルタユニット126(偏光板126a〜126d)に対応して、4つの撮像エリアH1,H2,H3,H4に区分けされている。詳しくは、X−Y平面視で同一矩形状をなす4つの撮像エリアH1,H2,H3,H4がX−Y平面に沿って2行2列のマトリクス状に並ぶように区分けされている(図7参照)。図7は、撮像素子33Aiの撮像領域の概略構成を模式的に示す平面図である。
これにより、第1偏光板126aを透過した分光LB1が第1撮像エリアH1にて撮像され、第2偏光板126bを透過した分光LB2が第2撮像エリアH2にて撮像され、第3偏光板126cを透過した分光LB3が第3撮像エリアH3にて撮像され、第4偏光板126dを透過した分光LB4が第4撮像エリアH4にて撮像されることとなる。
つまり、第1撮像エリアH1にて位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第2撮像エリアH2にて位相「90°」の干渉縞画像が撮像され、第3撮像エリアH3にて位相「180°」の干渉縞画像が撮像され、第4撮像エリアH4にて位相「270°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。
さらに、本実施形態に係る画像データ記憶装置54は、第1カメラ33Aの撮像素子33Aiの第1撮像エリアH1にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第1画像メモリと、第2撮像エリアH2にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第2画像メモリと、第3撮像エリアH3にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第3画像メモリと、第4撮像エリアH4にて撮像された干渉縞画像データを記憶する第4画像メモリとを備えている。
次に、本実施形態において実行される形状計測処理の手順について詳しく説明する。干渉光学系3から第1撮像系4Aに対し第1光に係る出力光である合成光L0が入射されると、該合成光L0は、1/4波長板31Aを経て、分光光学系125により4つの分光LB1〜LB4に分割される。
これら4つの分光LB1,LB2,LB3,LB4は、それぞれ第1偏光板126a,第2偏光板126b,第3偏光板126c,第4偏光板126dを介して、第1カメラ33A(撮像素子33Ai)により同時撮像される。
第1カメラ33Aは、撮像素子33Aiの撮像エリアH1〜H4にて同時撮像された4通りの干渉縞画像(4つの分光LB1〜LB4)を1つの画像データとして制御装置4へ出力する。
制御装置4は、入力した画像データを4通りの干渉縞画像データ(撮像素子33Aiの撮像エリアH1〜H4に対応する範囲ごと)に分割して、画像データ記憶装置54内の第1〜第4画像メモリにそれぞれ記憶する。
そして、制御装置5は、第1カメラ33Aに係る第1〜第4画像メモリに記憶された第1光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第2カメラ33Bに係る第1〜第4画像メモリに記憶された第2光に係る4通りの干渉縞画像データを基に、上記第1実施形態と同様に、位相シフト法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
以上詳述したように、本実施形態では、上記第1実施形態の作用効果に加え、干渉光学系3から入射される合成光L0をマトリクス状に並ぶ4つの光LB1〜LB4に分光すると共に、該4つの光LB1〜LB4をフィルタユニット126(4つの偏光板126a〜126d)を介して単一の撮像素子により同時に撮像する構成となっている。そして、各カメラ33A,33Bによりそれぞれ撮像された4通りの干渉縞画像を基に位相シフト法によりワークWの形状計測を行う。結果として、計測精度の向上や、計測時間の短縮、装置の大型化抑制等を図ることができる。
加えて、本実施形態によれば、撮像素子の撮像領域をマトリクス状に4等分した撮像エリアH1〜H4を、4つの光LB1〜LB4にそれぞれ割り当てることができるため、例えば3分光方式に比べ、撮像素子の撮像領域を有効活用することができる。ひいては、さらなる計測精度の向上を図ることができる。例えばアスペクト比が4:3の一般的な撮像素子の撮像領域を4等分した場合、各分割領域のアスペクト比は同じく4:3となるため、各分割領域内のより広範囲を利用可能となる。ひいては、さらなる計測精度の向上を図ることができる。
尚、仮に回折格子を分光手段として用いた場合には分解能が低下するおそれがあるが、本実施形態では、1つの光L0を平行する2つの光LA1,LA2に分割し、さらに該2つの光LA1,LA2をそれぞれ平行する2つの光に分割することにより、平行する4つの光LB1,LB2,LB3,LB4に分光する構成の分光光学系125を採用しているため、分解能の低下抑制を図ることができる。
さらに、本実施形態における分光光学系125は、菱形プリズム131,133を直進して通り抜ける一方の光と、クランク状に折れ曲がって通り抜ける他方の光との光路長を調整する(光学的に同一とする)光路調整手段として、直進して通り抜ける一方の光の光路上に第1台形プリズム132,134を配置するといった比較的簡単な構成となっており、構成の簡素化を図ることができる。
また、本実施形態では、フィルタユニット126が、透過軸方向が0°の第1偏光板126a、透過軸方向が45°の第2偏光板126b、透過軸方向が90°の第3偏光板126c、透過軸方向が135°の第4偏光板126dにより構成されており、一つの撮像素子による一回の撮像で、位相が90°ずつ異なる4通りの干渉縞画像を取得することができる。結果として、3通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により形状計測を行う場合に比べて、より精度の高い計測を行うことができる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。第3実施形態では、干渉光学系に関連する構成が第1実施形態と異なる。尚、第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8は本実施形態に係る三次元計測装置200の概略構成を示す模式図である。以下、便宜上、図8の紙面前後方向を「X軸方向」とし、紙面上下方向を「Y軸方向」とし、紙面左右方向を「Z軸方向」として説明する。
三次元計測装置200は、マッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づき構成されたものであり、特定波長の光を出力可能な2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)と、該投光系2A,2Bからそれぞれ出射される光が入射される干渉光学系203と、該干渉光学系203から出射される光を撮像可能な2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)と、投光系2A,2Bや干渉光学系203、撮像系4A,4Bなどに係る各種制御や画像処理、演算処理等を行う制御装置5とを備えている。「制御装置5」が本実施形態における「画像処理手段」を構成し、「干渉光学系203」が本実施形態における「所定の光学系」を構成する。
まず、2つの投光系2A,2B(第1投光系2A,第2投光系2B)の構成について詳しく説明する。第1投光系2Aは、第1発光部11A、第1光アイソレータ12A、第1無偏光ビームスプリッタ13Aなどを備えている。ここで「第1発光部11A」が本実施形態における「第1照射手段」を構成し、「第1無偏光ビームスプリッタ13A」が本実施形態における「第1導光手段」を構成する。
かかる構成の下、本実施形態では、第1発光部11Aから、X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする波長λ1(例えばλ1=1500nm)の直線偏光がY軸方向上向きに出射される。ここで「波長λ1」が本実施形態における「第1波長」に相当する。以降、第1発光部11Aから出射される波長λ1の光を「第1光」という。
第1光アイソレータ12Aは、一方向(本実施形態ではY軸方向上向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではY軸方向下向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第1発光部11Aから出射された第1光のみを透過することとなり、戻り光による第1発光部11Aの損傷や不安定化などを防止することができる。
本実施形態では、図8の紙面に平行な方向(Y軸方向又はZ軸方向)を偏光方向とする直線偏光をP偏光(P偏光成分)といい、図8の紙面に垂直なX軸方向を偏光方向とする直線偏光をS偏光(S偏光成分)という。「P偏光」が「第1の偏光方向を有する第1偏光」に相当し、「S偏光」が「第2の偏光方向を有する第2偏光」に相当する。
第1無偏光ビームスプリッタ13Aは、その接合面13Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1無偏光ビームスプリッタ13Aの接合面13AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第1光アイソレータ12Aを介して、第1発光部11AからY軸方向上向きに入射する第1光の一部(半分)をY軸方向上向きに透過させ、残り(半分)をZ軸方向右向きに反射させるように配置されている。
第2投光系2Bは、第2発光部11B、第2光アイソレータ12B、第2無偏光ビームスプリッタ13Bなどを備えている。ここで「第2発光部11B」が本実施形態における「第2照射手段」を構成し、「第2無偏光ビームスプリッタ13B」が本実施形態における「第2導光手段」を構成する。
かかる構成の下、本実施形態では、第2発光部11Bから、X軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した方向を偏光方向とする波長λ2(例えばλ2=1503nm)の直線偏光がY軸方向下向きに出射される。ここで「波長λ2」が本実施形態における「第2波長」に相当する。以降、第2発光部11Bから出射される波長λ2の光を「第2光」という。
第2光アイソレータ12Bは、一方向(本実施形態ではY軸方向下向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではY軸方向上向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第2発光部11Bから出射された第2光のみを透過することとなり、戻り光による第2発光部11Bの損傷や不安定化などを防止することができる。
第2無偏光ビームスプリッタ13Bは、その接合面13Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2無偏光ビームスプリッタ13Bの接合面13BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第2光アイソレータ12Bを介して、第2発光部11BからY軸方向下向きに入射する第2光の一部(半分)をY軸方向下向きに透過させ、残り(半分)をZ軸方向左向きに反射させるように配置されている。
次に干渉光学系203の構成について詳しく説明する。干渉光学系203は、2つの偏光ビームスプリッタ211,212(第1偏光ビームスプリッタ211,第2偏光ビームスプリッタ212)、4つの1/4波長板215,216,217,218(第1の1/4波長板215,第2の1/4波長板216,第3の1/4波長板217,第4の1/4波長板218)、2つの全反射ミラー221,222(第1全反射ミラー221,第2全反射ミラー222)、設置部224などを備えている。
偏光ビームスプリッタ211,212は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面(境界面)211h,212hには例えば誘電体多層膜などのコーティングが施されている。
偏光ビームスプリッタ211,212は、入射される直線偏光を偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)に分割するものである。本実施形態における偏光ビームスプリッタ211,212は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっている。また、本実施形態における偏光ビームスプリッタ211,212は、入射する所定の光を2つの光に分割する「分割手段」を構成すると共に、入射する所定の2つの光を合成する「合成手段」を構成することとなる。
第1偏光ビームスプリッタ211は、その接合面211hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1偏光ビームスプリッタ211の接合面211hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
より詳しくは、上記第1無偏光ビームスプリッタ13AからZ軸方向右向きに反射した第1光が入射する第1偏光ビームスプリッタ211の第1面(Z軸方向左側面)211a、並びに、該第1面211aと相対向する第3面(Z軸方向右側面)211cがZ軸方向と直交するように配置されている。「第1偏光ビームスプリッタ211(第1面211a)」が本実施形態における「第1入出力部」に相当する。
一方、第1面211aと接合面211hを挟んで隣り合う面である第1偏光ビームスプリッタ211の第2面(Y軸方向上側面)211b、並びに、該第2面211bと相対向する第4面(Y軸方向下側面)211dがY軸方向と直交するように配置されている。
第2偏光ビームスプリッタ212は、その接合面212hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2偏光ビームスプリッタ212の接合面212hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
より詳しくは、上記第2無偏光ビームスプリッタ13BからZ軸方向左向きに反射した第2光が入射する第2偏光ビームスプリッタ212の第1面(Z軸方向右側面)212a、並びに、該第1面212aと相対向する第3面(Z軸方向左側面)212cがZ軸方向と直交するように配置されている。「第2偏光ビームスプリッタ212(第1面212a)」が本実施形態における「第2入出力部」に相当する。
一方、第1面212aと接合面212hを挟んで隣り合う面である第2偏光ビームスプリッタ212の第2面(Y軸方向下側面)212b、並びに、該第2面212bと相対向する第4面(Y軸方向上側面)212dがY軸方向と直交するように配置されている。
1/4波長板215,216,217,218は、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する光学部材である。
第1の1/4波長板215は、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cとZ軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第1の1/4波長板215は、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから出射される直線偏光を円偏光に変換してZ軸方向右向きに出射する。また、第1の1/4波長板215は、Z軸方向左向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cに向けZ軸方向左向きに出射する。
第2の1/4波長板216は、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dとY軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第2の1/4波長板216は、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから出射される直線偏光を円偏光に変換してY軸方向下向きに出射する。また、第2の1/4波長板216は、Y軸方向上向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dに向けY軸方向上向きに出射する。
第3の1/4波長板217は、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dとY軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第3の1/4波長板217は、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから出射される直線偏光を円偏光に変換してY軸方向上向きに出射する。また、第3の1/4波長板217は、Y軸方向下向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dに向けY軸方向下向きに出射する。
第4の1/4波長板218は、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cとZ軸方向に相対向するように配置されている。つまり、第4の1/4波長板218は、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから出射される直線偏光を円偏光に変換してZ軸方向左向きに出射する。また、第4の1/4波長板218は、Z軸方向右向きに入射する円偏光を直線偏光に変換した上で、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cに向けZ軸方向右向きに出射する。
全反射ミラー221,222は、入射光を全反射させる光学部材である。このうち、本実施形態における参照面を構成する第1全反射ミラー221は、第1偏光ビームスプリッタ211及び第1の1/4波長板215を通りZ軸方向に延びる軸線と、第2偏光ビームスプリッタ212及び第3の1/4波長板217を通りY軸方向に延びる軸線とが交差する位置において、Y軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
これにより、第1全反射ミラー221は、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから(第1の1/4波長板215を介して)Z軸方向右向きに出射された光を、Y軸方向下向きに反射させ、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dに(第3の1/4波長板217を介して)入射させることができる。また逆に、第1全反射ミラー221は、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから(第3の1/4波長板217を介して)Y軸方向上向きに出射された光を、Z軸方向左向きに反射させ、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cに(第1の1/4波長板215を介して)入射させることができる。
一方、第2全反射ミラー222は、第1偏光ビームスプリッタ211及び第2の1/4波長板216を通りY軸方向に延びる軸線と、第2偏光ビームスプリッタ212及び第4の1/4波長板218を通りZ軸方向に延びる軸線とが交差する位置において、Y軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
これにより、第2全反射ミラー222は、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから(第2の1/4波長板216を介して)Y軸方向下向きに出射された光を、Z軸方向右向きに反射させ、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cに(第4の1/4波長板218を介して)入射させることができる。また逆に、第2全反射ミラー222は、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから(第4の1/4波長板218を介して)Z軸方向左向きに出射された光を、Y軸方向上向きに反射させ、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dに(第2の1/4波長板216を介して)入射させることができる。
設置部224は、被計測物としてのワークWを設置するためのものである。本実施形態ではワークWとして、フィルムなどの透光性を有するものを想定している。設置部224は、第2偏光ビームスプリッタ212及び第2全反射ミラー222を通りZ軸方向に延びる軸線上において、第4の1/4波長板218と第2全反射ミラー222との間に配置されている。
次に2つの撮像系4A,4B(第1撮像系4A,第2撮像系4B)の構成について詳しく説明する。第1撮像系4Aは、1/4波長板31A、第1偏光板32A、第1撮像手段を構成する第1カメラ33Aなどを備えている。
1/4波長板31Aは、第2無偏光ビームスプリッタ13BをZ軸方向右向きに透過してきた直線偏光(後述する第1光の参照光成分及び計測光成分)をそれぞれ円偏光に変換するためのものである。
第1偏光板32Aは、1/4波長板31Aにより円偏光に変換された第1光の各成分を選択的に透過させるものである。これにより、回転方向の異なる第1光の参照光成分と計測光成分とを特定の位相について干渉させることができる。「第1偏光板32A」が本実施形態における「第1位相シフト手段」及び「干渉手段」を構成する。
本実施形態に係る第1偏光板32Aは、Z軸方向を軸心として回転可能に構成されると共に、その透過軸方向が45°ずつ変化するように制御される。具体的には、透過軸方向がY軸方向に対し「0°」、「45°」、「90°」、「135°」となるように変化する。
これにより、第1偏光板32Aを透過する第1光の参照光成分及び計測光成分を4通りの位相で干渉させることができる。つまり、位相が90°ずつ異なる干渉光を生成することができる。具体的には、位相が「0°」の干渉光、位相が「90°」の干渉光、位相が「180°」の干渉光、位相が「270°」の干渉光を生成することができる。
結果として、第1カメラ33Aにより、第1光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。尚、第1カメラ33Aによって撮像された画像データは、第1カメラ33A内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置5(画像データ記憶装置54)に入力される。
第2撮像系4Bは、1/4波長板31B、第2偏光板32B、第2撮像手段を構成する第2カメラ33Bなどを備えている。
1/4波長板31Bは、第1無偏光ビームスプリッタ13AをZ軸方向左向きに透過してきた直線偏光(後述する第2光の参照光成分及び計測光成分)をそれぞれ円偏光に変換するためのものである。
第2偏光板32Bは、1/4波長板31Bにより円偏光に変換された第2光の各成分を選択的に透過させるものである。これにより、回転方向の異なる第2光の参照光成分と計測光成分とを特定の位相について干渉させることができる。「第2偏光板32B」が本実施形態における「第2位相シフト手段」及び「干渉手段」を構成する。
本実施形態に係る第2偏光板32Bは、Z軸方向を軸心として回転可能に構成されると共に、その透過軸方向が45°ずつ変化するように制御される。具体的には、透過軸方向がY軸方向に対し「0°」、「45°」、「90°」、「135°」となるように変化する。
これにより、第2偏光板32Bを透過する第2光の参照光成分及び計測光成分を4通りの位相で干渉させることができる。つまり、位相が90°ずつ異なる干渉光を生成することができる。具体的には、位相が「0°」の干渉光、位相が「90°」の干渉光、位相が「180°」の干渉光、位相が「270°」の干渉光を生成することができる。
結果として、第2カメラ33Bにより、第2光に係る位相「0°」の干渉縞画像、位相「90°」の干渉縞画像、位相「180°」の干渉縞画像、位相「270°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。尚、第2カメラ33Bによって撮像された画像データは、第2カメラ33B内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置5(画像データ記憶装置54)に入力される。
次に三次元計測装置200の作用について説明する。尚、後述するように、本実施形態における第1光及び第2光の照射は同時に行われるものであり、第1光の光路と第2光の光路が一部で重なることとなるが、ここでは、より分かりやすくするため、第1光及び第2光の光路ごとに異なる図面を用いて個別に説明する。
まず第1光の光路について図9を参照して説明する。図9に示すように、波長λ1の第1光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第1発光部11AからY軸方向上向きに出射される。
第1発光部11Aから出射された第1光は、第1光アイソレータ12Aを通過し、第1無偏光ビームスプリッタ13Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ13Aに入射した第1光の一部はY軸方向上向きに透過し、残りはZ軸方向右向きに反射する。
このうち、Z軸方向右向きに反射した第1光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)は、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aに入射する。一方、Y軸方向上向きに透過した第1光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aからZ軸方向右向きに入射した第1光は、そのP偏光成分がZ軸方向右向きに透過して第3面211cから参照光として出射される一方、そのS偏光成分がY軸方向下向きに反射して第4面211dから計測光として出射される。
第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから出射した第1光に係る参照光(P偏光)は、第1の1/4波長板215を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、第1全反射ミラー221にてY軸方向下向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
その後、第1光に係る参照光は、第3の1/4波長板217を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dに入射する。
一方、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから出射した第1光に係る計測光(S偏光)は、第2の1/4波長板216を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、第2全反射ミラー222にてZ軸方向右向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
その後、第1光に係る計測光は、設置部224に設置されたワークWを透過した後、第4の1/4波長板218を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cに入射する。
そして、第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから入射した第1光に係る参照光(S偏光)が接合面212hにてZ軸方向右向きに反射する一方、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから入射した第1光に係る計測光(P偏光)は接合面212hをZ軸方向右向きに透過する。そして、第1光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから出射される。
第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから出射された第1光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第2無偏光ビームスプリッタ13Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ13Bに対しZ軸方向右向きに入射した第1光に係る合成光は、その一部がZ軸方向右向きに透過し、残りがY軸方向上向きに反射する。このうち、Z軸方向右向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第1撮像系4Aに入射することとなる。一方、Y軸方向上向きに反射した合成光は、第2光アイソレータ12Bによりその進行を遮断され、捨て光となる。
第1撮像系4Aに入射した第1光に係る合成光(参照光及び計測光)は、まず1/4波長板31Aにより、その参照光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換され、その計測光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換される。ここで、左回りの円偏光と右回りの円偏光は回転方向が異なるので干渉しない。
第1光に係る合成光は、続いて第1偏光板32Aを通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが第1偏光板32Aの角度に応じた位相で干渉する。そして、かかる第1光に係る干渉光が第1カメラ33Aにより撮像される。
次に第2光の光路について図10を参照して説明する。図10に示すように、波長λ2の第2光(偏光方向がX軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)が第2発光部11BからY軸方向下向きに出射される。
第2発光部11Bから出射された第2光は、第2光アイソレータ12Bを通過し、第2無偏光ビームスプリッタ13Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ13Bに入射した第2光の一部はY軸方向下向きに透過し、残りはZ軸方向左向きに反射する。
このうち、Z軸方向左向きに反射した第2光(偏光方向がX軸方向及びY軸方向に対し45°傾斜した直線偏光)は、第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aに入射する。一方、Y軸方向下向きに透過した第2光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aからZ軸方向左向きに入射した第2光は、そのS偏光成分がY軸方向上向きに反射して第4面212dから参照光として出射される一方、そのP偏光成分がZ軸方向左向きに透過して第3面212cから計測光として出射される。
第2偏光ビームスプリッタ212の第4面212dから出射した第2光に係る参照光(S偏光)は、第3の1/4波長板217を通過することにより左回りの円偏光に変換された後、第1全反射ミラー221にてZ軸方向左向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
その後、第2光に係る参照光は、第1の1/4波長板215を通過することで、左回りの円偏光からP偏光に変換された上で第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cに入射する。
一方、第2偏光ビームスプリッタ212の第3面212cから出射した第2光に係る計測光(P偏光)は、第4の1/4波長板218を通過することにより右回りの円偏光に変換された後、設置部224に設置されたワークWを透過する。その後、第2光に係る計測光は、第2全反射ミラー222にてY軸方向上向きに反射する。ここで、光の進行方向に対する回転方向は維持される。
第2全反射ミラー222にて反射した第1光に係る計測光は、第2の1/4波長板216を通過することで、右回りの円偏光からS偏光に変換された上で第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dに入射する。
そして、第1偏光ビームスプリッタ211の第3面211cから入射した第2光に係る参照光(P偏光)が接合面211hをZ軸方向左向きに透過する一方、第1偏光ビームスプリッタ211の第4面211dから入射した第2光に係る計測光(S偏光)は接合面211hにてZ軸方向左向きに反射する。そして、第2光に係る参照光及び計測光が合成された状態の合成光が出力光として第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから出射される。
第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから出射された第2光に係る合成光(参照光及び計測光)は、第1無偏光ビームスプリッタ13Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ13Aに対しZ軸方向左向きに入射した第2光に係る合成光は、その一部がZ軸方向左向きに透過し、残りがY軸方向下向きに反射する。このうち、Z軸方向左向きに透過した合成光(参照光及び計測光)は第2撮像系4Bに入射することとなる。一方、Y軸方向下向きに反射した合成光は、第1光アイソレータ12Aによりその進行を遮断され、捨て光となる。
第2撮像系4Bに入射した第2光に係る合成光(参照光及び計測光)は、まず1/4波長板31Bにより、その参照光成分(P偏光成分)が右回りの円偏光に変換され、その計測光成分(S偏光成分)が左回りの円偏光に変換される。ここで、左回りの円偏光と右回りの円偏光は回転方向が異なるので干渉しない。
第2光に係る合成光は、続いて第2偏光板32Bを通過することにより、その参照光成分と計測光成分とが第2偏光板32Bの角度に応じた位相で干渉する。そして、かかる第2光に係る干渉光が第2カメラ33Bにより撮像される。
次に、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について詳しく説明する。まずは、設置部224へワークWを設置した後、第1撮像系4Aの第1偏光板32Aの透過軸方向を所定の基準位置(例えば「0°」)に設定すると共に、第2撮像系4Bの第2偏光板32Bの透過軸方向を所定の基準位置(例えば「0°」)に設定する。
続いて、第1投光系2Aから第1光を照射すると同時に、第2投光系2Bから第2光を照射する。その結果、干渉光学系203の第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから第1光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射されると同時に、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから第2光に係る合成光(参照光及び計測光)が出射される。
そして、第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから出射された第1光に係る合成光を第1撮像系4Aにより撮像すると同時に、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから出射された第2光に係る合成光を第2撮像系4Bにより撮像する。
尚、ここでは第1偏光板32A及び第2偏光板32Bの透過軸方向がそれぞれ「0°」に設定されているため、第1カメラ33Aでは第1光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像され、第2カメラ33Bでは第2光に係る位相「0°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。
そして、各カメラ33A,33Bからそれぞれ撮像された画像データが制御装置5へ出力される。制御装置5は、入力した画像データを画像データ記憶装置54に記憶する。
次に制御装置5は、第1撮像系4Aの第1偏光板32A、及び、第2撮像系4Bの第2偏光板32Bの切替処理を行う。具体的には、第1偏光板32A及び第2偏光板32Bをそれぞれ透過軸方向が「45°」となる位置まで回動変位させる。
該切替処理が終了すると、制御装置5は、上記一連の1回目の撮像処理と同様の2回目の撮像処理を行う。つまり、制御装置5は、第1投光系2Aから第1光を照射すると同時に、第2投光系2Bから第2光を照射し、第2偏光ビームスプリッタ212の第1面212aから出射された第1光に係る合成光を第1撮像系4Aにより撮像すると同時に、第1偏光ビームスプリッタ211の第1面211aから出射された第2光に係る合成光を第2撮像系4Bにより撮像する。これにより、第1光に係る位相「90°」の干渉縞画像が取得されると共に、第2光に係る位相「90°」の干渉縞画像が撮像されることとなる。
以降、上記1回目及び2回目の撮像処理と同様の撮像処理が2回繰り返し行われる。つまり、第1偏光板32A及び第2偏光板32Bの透過軸方向を「90°」に設定した状態で3回目の撮像処理を行い、第1光に係る位相「180°」の干渉縞画像を取得すると共に、第2光に係る位相「180°」の干渉縞画像を取得する。
その後、第1偏光板32A及び第2偏光板32Bの透過軸方向を「135°」に設定した状態で4回目の撮像処理を行い、第1光に係る位相「270°」の干渉縞画像を取得すると共に、第2光に係る位相「270°」の干渉縞画像を取得する。
このように、4回の撮像処理を行うことにより、三次元計測を行う上で必要な全ての画像データ(第1光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第2光に係る4通りの干渉縞画像データからなる計8つの干渉縞画像データ)を取得することができる。
そして、制御装置5は、画像データ記憶装置54に記憶された第1光に係る4通りの干渉縞画像データ、及び、第2光に係る4通りの干渉縞画像データを基に、位相シフト法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、マッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成の下で、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図11は本実施形態に係る三次元計測装置300の概略構成を示す模式図である。以下、便宜上、図11の紙面前後方向を「X軸方向」とし、紙面上下方向を「Y軸方向」とし、紙面左右方向を「Z軸方向」として説明する。
三次元計測装置300は、フィゾー干渉計の原理に基づき構成されたものであり、特定波長の光を出力可能な2つの投光系302A,302B(第1投光系302A,第2投光系302B)と、該投光系302A,302Bからそれぞれ出射される光が入射される干渉光学系303と、該干渉光学系303から出射される光を撮像可能な2つの撮像系304A,304B(第1撮像系304A,第2撮像系304B)と、投光系302A,302Bや干渉光学系303、撮像系304A,304Bなどに係る各種制御や画像処理、演算処理等を行う制御装置5とを備えている。「制御装置5」が本実施形態における「画像処理手段」を構成し、「干渉光学系303」が本実施形態における「所定の光学系」を構成する。
まず、2つの投光系302A,302B(第1投光系302A,第2投光系302B)の構成について詳しく説明する。第1投光系302Aは、第1発光部311A、第1光アイソレータ312A、第1無偏光ビームスプリッタ313Aなどを備えている。ここで「第1発光部311A」が本実施形態における「第1照射手段」を構成する。
図示は省略するが、第1発光部311Aは、特定波長λ1の直線偏光を出力可能なレーザ光源や、該レーザ光源から出力される直線偏光を拡大し平行光として出射するビームエキスパンダ、強度調整を行うための偏光板、偏光方向を調整するための1/2波長板などを備えている。
かかる構成の下、本実施形態では、第1発光部311Aから、Y軸方向を偏光方向とする波長λ1(例えばλ1=1500nm)の直線偏光がZ軸方向右向きに出射される。ここで「波長λ1」が本実施形態における「第1波長」に相当する。以降、第1発光部311Aから出射される波長λ1の光を「第1光」という。
第1光アイソレータ312Aは、一方向(本実施形態ではZ軸方向右向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではZ軸方向左向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第1発光部311Aから出射された第1光のみを透過することとなり、戻り光による第1発光部311Aの損傷や不安定化などを防止することができる。
第1無偏光ビームスプリッタ313Aは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面313Ahには例えば金属膜などのコーティングが施されている。「第1無偏光ビームスプリッタ313A」が本実施形態における「第1導光手段」を構成する。
尚、本実施形態では、図11の紙面に平行な方向(Y軸方向又はZ軸方向)を偏光方向とする直線偏光をP偏光(P偏光成分)といい、図11の紙面に垂直なX軸方向を偏光方向とする直線偏光をS偏光(S偏光成分)という。「P偏光」が「第1の偏光方向を有する第1偏光」に相当し、「S偏光」が「第2の偏光方向を有する第2偏光」に相当する。
また、第1無偏光ビームスプリッタ313Aは、その接合面313Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第1無偏光ビームスプリッタ313Aの接合面313AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第1光アイソレータ312Aを介して、第1発光部311AからZ軸方向右向きに入射する第1光の一部(半分)をZ軸方向右向きに透過させ、残り(半分)をY軸方向下向きに反射させるように配置されている。
第2投光系302Bは、第2発光部311B、第2光アイソレータ312B、第2無偏光ビームスプリッタ313Bなどを備えている。ここで「第2発光部311B」が本実施形態における「第2照射手段」を構成する。
第2発光部311Bは、上記第1発光部311Aと同様、特定波長λ2の直線偏光を出力可能なレーザ光源や、該レーザ光源から出力される直線偏光を拡大し平行光として出射するビームエキスパンダ、強度調整を行うための偏光板、偏光方向を調整するための1/2波長板などを備えている。
かかる構成の下、本実施形態では、第2発光部311Bから、X軸方向を偏光方向とする波長λ2(例えばλ2=1503nm)の直線偏光がZ軸方向右向きに出射される。ここで「波長λ2」が本実施形態における「第2波長」に相当する。以降、第2発光部311Bから出射される波長λ2の光を「第2光」という。
第2光アイソレータ312Bは、一方向(本実施形態ではZ軸方向右向き)に進む光のみを透過し逆方向(本実施形態ではZ軸方向左向き)の光を遮断する光学素子である。これにより、第2発光部311Bから出射された第2光のみを透過することとなり、戻り光による第2発光部311Bの損傷や不安定化などを防止することができる。
第2無偏光ビームスプリッタ313Bは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面313Bhには例えば金属膜などのコーティングが施されている。「第2無偏光ビームスプリッタ313B」が本実施形態における「第2導光手段」を構成する。
また、第2無偏光ビームスプリッタ313Bは、その接合面313Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、第2無偏光ビームスプリッタ313Bの接合面313BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。より詳しくは、第2光アイソレータ312Bを介して、第2発光部311BからZ軸方向右向きに入射する第2光の一部(半分)をZ軸方向右向きに透過させ、残り(半分)をY軸方向上向きに反射させるように配置されている。
次に干渉光学系303の構成について詳しく説明する。干渉光学系303は、偏光ビームスプリッタ320、1/4波長板321、ハーフミラー323、設置部324などを備えている。
偏光ビームスプリッタ320は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面(境界面)320hには例えば誘電体多層膜などのコーティングが施されている。
本実施形態における偏光ビームスプリッタ320は、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を反射する構成となっている。
偏光ビームスプリッタ320は、その接合面320hを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、偏光ビームスプリッタ320の接合面320hがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
より詳しくは、上記第1無偏光ビームスプリッタ313AからZ軸方向右向きに透過した第1光が入射する偏光ビームスプリッタ320の第1面(Z軸方向左側面)320a、並びに、該第1面320aと相対向する第3面(Z軸方向右側面)320cがZ軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ320の第1面320a」が本実施形態における「第1入出力部」に相当する。
一方、第1面320aと接合面320hを挟んで隣り合う面であって、上記第2無偏光ビームスプリッタ313BからY軸方向上向きに反射した第2光が入射する偏光ビームスプリッタ320の第2面(Y軸方向下側面)320b、並びに、該第2面320bと相対向する第4面(Y軸方向上側面)320dがY軸方向と直交するように配置されている。「偏光ビームスプリッタ320の第2面320b」が本実施形態における「第2入出力部」に相当する。
そして、偏光ビームスプリッタ320の第3面320cとZ軸方向に相対向するように1/4波長板321が配置され、さらにそのZ軸方向右側にて、該1/4波長板321とZ軸方向に相対向するようにハーフミラー323が配置され、さらにそのZ軸方向右側にて、該ハーフミラー323とZ軸方向に相対向するように設置部324が配置されている。但し、ハーフミラー323は、周期的な干渉縞(キャリア)を生じさせるために、厳密にはZ軸方向に対し僅かに傾いた状態で設置されている。
1/4波長板321は、直線偏光を円偏光に変換しかつ円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。つまり、偏光ビームスプリッタ320の第3面320cから出射される直線偏光(P偏光又はS偏光)は1/4波長板321を介して円偏光に変換された上でハーフミラー323に対し照射される。
ハーフミラー323は、入射光を1:1の比率で透過光と反射光とに分割するものである。具体的には、1/4波長板321からZ軸方向右向きに入射する円偏光の一部(半分)を計測光としてZ軸方向右向きに透過させ、残り(半分)を参照光としてZ軸方向左向きに反射させる。そして、ハーフミラー323を透過した円偏光(計測光)が設置部324に置かれた被計測物としてのワークWに対し照射される。つまり、「ハーフミラー323」が本実施形態における「参照面」を構成することとなる。また、「ハーフミラー323」は、入射する所定の光を2つの光に分割する「分割手段」を構成すると共に、これらを再び合成する「合成手段」を構成することとなる。
次に2つの撮像系304A,304B(第1撮像系304A,第2撮像系304B)の構成について詳しく説明する。第1撮像系304Aは、第1撮像手段を構成する第1カメラ333Aを備え、第2撮像系304Bは、第2撮像手段を構成する第2カメラ333Bを備えている。
各カメラ333A,333Bは、レンズや撮像素子等を備えてなる公知のものである。本実施形態では、カメラ333A,333Bの撮像素子として、CCDエリアセンサを採用している。勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、例えばCMOSエリアセンサ等を採用してもよい。
各カメラ333A,333Bによって撮像された画像データは、各カメラ333A,333B内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置5(画像データ記憶装置54)に入力されるようになっている。
次に三次元計測装置300の作用について説明する。尚、後述するように、本実施形態における第1光及び第2光の照射は同時に行われるものであり、第1光の光路と第2光の光路が一部で重なることとなるが、ここでは、より分かりやすくするため、第1光及び第2光の光路ごとに異なる図面を用いて個別に説明する。
まず第1光の光路について図12を参照して説明する。図12に示すように、波長λ1の第1光(Y軸方向を偏光方向とするP偏光)が第1発光部311AからZ軸方向右向きに出射される。
第1発光部311Aから出射された第1光は、第1光アイソレータ312Aを通過し、第1無偏光ビームスプリッタ313Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ313Aに入射した第1光の一部はZ軸方向右向きに透過し、残りはY軸方向下向きに反射する。
このうち、Z軸方向右向きに透過した第1光は、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aに入射する。一方、Y軸方向下向きに反射した第1光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
偏光ビームスプリッタ320の第1面320aからZ軸方向右向きに入射した第1光(P偏光)は、接合面320hをZ軸方向右向きに透過して第3面320cから出射される。
偏光ビームスプリッタ320の第3面320cから出射した第1光は、1/4波長板321を通過することで、Y軸方向を偏光方向とするP偏光から右回りの円偏光に変換された上でハーフミラー323に照射される。
ハーフミラー323に照射された第1光は、その一部(半分)が計測光としてハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過し、残りが参照光としてZ軸方向左向きに反射する。ここで、透過光(計測光)及び反射光(参照光)とも、光の進行方向に対する回転方向(右回り)は維持される。
そして、ハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過した第1光に係る計測光(右回りの円偏光)は、設置部324に置かれたワークWに照射され反射する。ここでも、光の進行方向に対する回転方向(右回り)は維持される。
ワークWにて反射した第1光に係る計測光は、再度、ハーフミラー323をZ軸方向左向きに通過し、上記ハーフミラー323にてZ軸方向左向きに反射した第1光に係る参照光(右回りの円偏光)と合成される。回転方向が同じ右回りの円偏光である計測光及び参照光が合成されることで、両者は干渉する。
続いて、この第1光に係る干渉光は、1/4波長板321を通過することで、右回りの円偏光から、X軸方向を偏光方向とするS偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ320の第3面320cに再入射する。
ここで、偏光ビームスプリッタ320の第3面320cから再入射した第1光に係る干渉光(S偏光)は、接合面320hにてY軸方向下向きに反射し、出力光として偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから出射される。
偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから出射された第1光に係る干渉光は、第2無偏光ビームスプリッタ313Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ313Bに対しY軸方向下向きに入射した第1光に係る干渉光は、その一部がY軸方向下向きに透過し、残りがZ軸方向左向きに反射する。このうち、Y軸方向下向きに透過した干渉光は第1撮像系304A(第1カメラ333A)に入射し撮像されることとなる。一方、Z軸方向左向きに反射した干渉光は、第2光アイソレータ312Bによりその進行を遮断され、捨て光となる。
次に第2光の光路について図13を参照して説明する。図13に示すように、波長λ2の第2光(X軸方向を偏光方向とするS偏光)が第2発光部311BからZ軸方向右向きに出射される。
第2発光部311Bから出射された第2光は、第2光アイソレータ312Bを通過し、第2無偏光ビームスプリッタ313Bに入射する。第2無偏光ビームスプリッタ313Bに入射した第2光の一部はZ軸方向右向きに透過し、残りはY軸方向上向きに反射する。
このうち、Y軸方向上向きに反射した第2光は、偏光ビームスプリッタ320の第2面320bに入射する。一方、Z軸方向右向きに透過した第2光は、何らかの光学系等に入射することなく、捨て光となる。
偏光ビームスプリッタ320の第2面320bからY軸方向上向きに入射した第2光(S偏光)は、接合面320hにてZ軸方向右向きに反射して第3面320cから出射される。
偏光ビームスプリッタ320の第3面320cから出射した第2光は、1/4波長板321を通過することで、X軸方向を偏光方向とするS偏光から、左回りの円偏光に変換された上でハーフミラー323に照射される。
ハーフミラー323に照射された第2光は、その一部(半分)が計測光としてハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過し、残りが参照光としてZ軸方向左向きに反射する。ここで、透過光(計測光)及び反射光(参照光)とも、光の進行方向に対する回転方向(左回り)は維持される。
そして、ハーフミラー323をZ軸方向右向きに透過した第2光に係る計測光(左回りの円偏光)は、設置部324に置かれたワークWに照射され反射する。ここでも、光の進行方向に対する回転方向(左回り)は維持される。
ワークWにて反射した第2光に係る計測光は、再度、ハーフミラー323をZ軸方向左向きに通過し、上記ハーフミラー323にてZ軸方向左向きに反射した第2光に係る参照光(左回りの円偏光)と合成される。回転方向が同じ左回りの円偏光である計測光及び参照光が合成されることで、両者は干渉する。
続いて、この第2光に係る干渉光は、1/4波長板321を通過することで、左回りの円偏光から、Y軸方向を偏光方向とするP偏光に変換された上で偏光ビームスプリッタ320の第3面320cに再入射する。
ここで、偏光ビームスプリッタ320の第3面320cから再入射した第2光に係る干渉光(P偏光)は、接合面320hをZ軸方向左向きに透過して、出力光として偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから出射される。
偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから出射された第2光に係る干渉光は、第1無偏光ビームスプリッタ313Aに入射する。第1無偏光ビームスプリッタ313Aに対しZ軸方向左向きに入射した第2光に係る干渉光は、その一部がZ軸方向左向きに透過し、残りがY軸方向上向きに反射する。このうち、Y軸方向上向きに反射した干渉光は第2撮像系304B(第2カメラ333B)に入射し撮像されることとなる。一方、Z軸方向左向きに透過した干渉光は、第1光アイソレータ312Aによりその進行を遮断され、捨て光となる。
次に、制御装置5によって実行される形状計測処理の手順について詳しく説明する。まずは、設置部324へワークWを設置した後、第1投光系302Aから第1光を照射すると同時に、第2投光系302Bから第2光を照射する。その結果、干渉光学系303の偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから第1光に係る干渉光が出射されると同時に、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから第2光に係る干渉光が出射される。
そして、偏光ビームスプリッタ320の第2面320bから出射された第1光に係る干渉光を第1撮像系304Aにより撮像すると同時に、偏光ビームスプリッタ320の第1面320aから出射された第2光に係る干渉光を第2撮像系304Bにより撮像する。
そして、各カメラ333A,333Bからそれぞれ撮像された画像データが制御装置5へ出力される。制御装置5は、入力した画像データを画像データ記憶装置54に記憶する。
そして、制御装置5は、画像データ記憶装置54に記憶された第1光に係る干渉縞画像データ、及び、第2光に係る干渉縞画像データを基に、フーリエ変換法によりワークWの表面形状を計測する。つまり、ワークWの表面上の各位置における高さ情報を算出する。
ここで、一般的なフーリエ変換法による高さ計測の原理について説明する。第1光又は第2光に係る干渉縞画像データの同一座標位置(x,y)における干渉縞強度、すなわち輝度g(x,y)は、下記[数11]の関係式で表すことができる。
但し、a(x,y)はオフセット、b(x,y)は振幅、φ(x,y)は位相、fx0はx方向のキャリア周波数、fy0はy方向のキャリア周波数を表す。
そして、輝度g(x,y)を2次元フーリエ変換し、2次元空間周波数スペクトルを得る。この左右のスペクトルのうちの一方を残し、中央へシフトした後、逆フーリエ変換する。
このシフトしたスペクトルは、下記[数12]の関係式で表すことができるので、位相φについて解けば各座標の位相を求めることができる。
但し、c(x,y)はスペクトル。
そして、波長の異なる2種類の光を用いる場合には、上記第1実施形態と同様、まず波長λ1の第1光に係る干渉縞画像データの輝度g1(x,y)を基に、ワークW面上の座標(ξ,η)における第1光に係る位相φ1(ξ,η)を算出する。
同様に、波長λ2の第2光に係る干渉縞画像データの輝度g2(x,y)を基に、ワークW面上の座標(ξ,η)における第2光に係る位相φ2(ξ,η)を算出する。
続いて、このようにして得られた第1光に係る位相φ1(ξ,η)と、第2光に係る位相φ2(ξ,η)とから、ワークW面上の座標(ξ,η)における高さ情報z(ξ,η)を算出する。そして、このように求められたワークWの計測結果(高さ情報)は、制御装置5の演算結果記憶装置55に格納される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、フィゾー干渉計の原理に基づいた比較的簡素な構成の下で、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態について図面を参照しつつ説明する。図14は本実施形態に係る三次元計測装置の概略構成を示す模式図である。
本実施形態は、第2実施形態とは異なる分光光学系を備えたものであり、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した第1実施形態と第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに関連する構成が異なる。従って、本実施形態では、第1,第2実施形態と異なる構成部分について詳しく説明し、同一構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る第1撮像系4Aは、第2無偏光ビームスプリッタ13Bを透過した第1光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を4つの分光に分割する第1の分光手段としての分光光学系600Aと、該分光光学系600Aにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板610Aと、該1/4波長板610Aを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット615Aと、該フィルタユニット615Aを透過した4つの分光を同時に撮像するカメラ633Aとを備えている。
本実施形態に係る第2撮像系4Bは、第1無偏光ビームスプリッタ13Aを透過した第2光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を4つの分光に分割する第2の分光手段としての分光光学系600Bと、該分光光学系600Bにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板610Bと、該1/4波長板610Bを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット615Bと、該フィルタユニット615Bを透過した4つの分光を同時に撮像するカメラ633Bとを備えている。
尚、「1/4波長板610A」及び「1/4波長板610B」は、上記第1実施形態の「1/4波長板31A」及び「1/4波長板31B」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、4つの分光それぞれに対応して個別に1/4波長板を備える構成としてもよい。
「フィルタユニット615A」及び「フィルタユニット615B」は、本実施形態におけるフィルタ手段及び干渉手段を構成する。「フィルタユニット615A」及び「フィルタユニット615B」は、上記第2実施形態の「フィルタユニット126」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、4つの分光それぞれに対応して個別に透過軸方向が45°ずつ異なる4つの偏光板(偏光板126a,126b,126c,126d)を備えた構成としてもよい。
「カメラ633A」及び「カメラ633B」並びにこれらに関連する制御処理や画像データ記憶装置54等に係る構成は、上記第1,第2実施形態の「第1カメラ33A(撮像素子33Ai)」及び「カメラ633B」等に係る構成と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。
次に分光光学系600A及び分光光学系600Bの構成について図15〜図18を参照して詳しく説明する。尚、本実施形態における分光光学系600A及び分光光学系600Bは同一構成である。
以下、図15〜図18を参照して、分光光学系600A(600B)について説明する際には、便宜上、図15の紙面上下方向を「X´軸方向」とし、紙面前後方向を「Y´軸方向」とし、紙面左右方向を「Z´軸方向」として説明する。但し、分光光学系600A(600B)単体を説明するための座標系(X´,Y´,Z´)と、三次元計測装置1全体を説明するための座標系(X,Y,Z)は異なる座標系である。
分光光学系600A(600B)は、無偏光の2つの光学部材(プリズム)を貼り合せて一体とした1つの無偏光の光学部材である。
より詳しくは、分光光学系600A(600B)は、第2無偏光ビームスプリッタ13B(第1無偏光ビームスプリッタ13A)を透過した第1光に係る合成光(第2光に係る合成光)を2つの分光に分割する第1プリズム601と、該第1プリズム601により分割された2つの分光をそれぞれ2つの分光に分割して計4つの分光を出射する第2プリズム602とからなる。
第1プリズム601及び第2プリズム602は、それぞれ「ケスタープリズム」と称される公知の光学部材により構成されている。但し、本実施形態において、「ケスタープリズム」とは、「内角がそれぞれ30°、60°、90°となる直角三角形の断面形状を有する一対の光学部材(三角柱形状のプリズム)を貼り合せて一体とした正三角形の断面形状を有する正三角柱形状の光学部材であって、その接合面に無偏光のハーフミラーを有したもの」を指す。勿論、各プリズム601,602として用いられるケスタープリズムは、これに限定されるものではない。後述する分光光学系600A(600B)の機能を満たすものであれば、例えば正三角柱形状でないものなど、各プリズム601,602として本実施形態とは異なる光学部材(ケスタープリズム)を採用してもよい。
具体的に、第1の光学部材(第1のケスタープリズム)としての第1プリズム601は、平面視(X´−Z´平面)正三角形状をなすと共に、Y´軸方向に沿って延びる正三角柱形状をなす(図15参照)。「X´−Z´平面」が本実施形態における「第1の平面」に相当する。
第1プリズム601は、Y´軸方向に沿った長方形状の3つの面(第1面601a、第2面601b、第3面601c)のうち、第1面601aと第2面601bとの交線を通り第3面601cと直交する平面に沿ってハーフミラー601Mが形成されている。「ハーフミラー601M」が本実施形態における「第1分岐手段」を構成する。
第1プリズム601は、第3面601cがX´−Y´平面に沿ってZ´軸方向と直交するように配置されると共に、ハーフミラー601MがY´−Z´平面に沿ってX´軸方向と直交するように配置されている。従って、第1面601a及び第2面601bは、それぞれX´軸方向及びZ´軸方向に対し30°又は60°傾斜するように配置されている。
一方、第2の光学部材(第2のケスタープリズム)としての第2プリズム602は、正面視(Y´−Z´平面)正三角形状をなすと共に、X´軸方向に沿って延びる正三角柱形状をなす(図16参照)。「Y´−Z´平面」が本実施形態における「第2の平面」に相当する。
第2プリズム602は、X´軸方向に沿った正方形状の3つの面(第1面602a、第2面602b、第3面602c)のうち、第1面602aと第2面602bとの交線を通り第3面602cと直交する平面に沿ってハーフミラー602Mが形成されている。「ハーフミラー602M」が本実施形態における「第2分岐手段」を構成する。
第2プリズム602は、第1面602aがX´−Y´平面に沿ってZ´軸方向と直交するように配置されている。従って、第2面602b、第3面602c及びハーフミラー602Mは、それぞれY´軸方向及びZ´軸方向に対し30°又は60°傾斜するように配置されている。
そして、第1プリズム601の第3面601cと第2プリズム602の第1面602aとが接合されている。つまり、第1プリズム601と第2プリズム602は、ハーフミラー601Mを含む平面(Y´−Z´平面)と、ハーフミラー602Mを含む平面とが直交する向きで接合されている。
ここで、X´軸方向における第1プリズム601の第3面601cの長さと、X´軸方向における第2プリズム602の第1面602aの長さは同一となっている(図15参照)。一方、Y´軸方向における第1プリズム601の第3面601cの長さは、Y´軸方向における第2プリズム602の第1面602aの長さの半分となっている(図16、17参照)。そして、第1プリズム601の第3面601cは、第2プリズム602の第1面602aと第2面602bとの交線に沿って接合されている(図18等参照)。
両プリズム601,602は、それぞれ空気よりも屈折率の高い所定の屈折率を有する光学材料(例えばガラスやアクリル等)により形成されている。ここで、両プリズム601,602を同一材料により形成してもよいし、異なる材料により形成してもよい。後述する分光光学系600A(600B)の機能を満たすものであれば、各プリズム601,602の材質はそれぞれ任意に選択可能である。
続いて、分光光学系600A及び分光光学系600Bの作用について図面を参照しつつ詳しく説明する。但し、上述したとおり、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる分光光学系600A及び分光光学系600Bは同一構成であるため、以下、第1撮像系4Aに係る分光光学系600Aを例にして説明し、第2撮像系4Bに係る分光光学系600Bについては省略する。
分光光学系600Aは、第2無偏光ビームスプリッタ13Bを透過した第1光に係る合成光F0が第1プリズム601の第1面601aに対し垂直に入射するように配置されている(図14,15参照)。但し、図14においては、簡素化のため、分光光学系600Aの正面が手前側を向くように第1撮像系4Aを図示している。
第1面601aから第1プリズム601内に入射した合成光F0は、ハーフミラー601Mにて2方向に分岐する。詳しくは、第1面601a側に向けハーフミラー601Mで反射する分光FA1と、第2面601b側に向けハーフミラー601Mを透過する分光FA2とに分岐する。
このうち、ハーフミラー601Mで反射した分光FA1は、第1面601aにて第3面601c側に向け全反射し、第3面601cから垂直に出射する。一方、ハーフミラー601Mを透過した分光FA2は、第2面601bにて第3面601c側に向け全反射し、第3面601cから垂直に出射する。つまり、第1プリズム601の第3面601cから平行する2つの分光FA1,FA2が出射される。
第1プリズム601の第3面601cから出射した分光FA1,FA2は、それぞれ第2プリズム602の第1面602aに垂直に入射する(図16参照)。
第1面602aから第2プリズム602内に入射した分光FA1,FA2は、それぞれハーフミラー602Mにて2方向に分岐する。
詳しくは、一方の分光FA1は、第1面602a側に向けハーフミラー602Mで反射する分光FB1と、第2面602b側に向けハーフミラー602Mを透過する分光FB2とに分岐する。
他方の分光FA2は、第1面602a側に向けハーフミラー602Mで反射する分光FB3と、第2面602b側に向けハーフミラー602Mを透過する分光FB4とに分岐する。
このうち、ハーフミラー602Mで反射した分光FB1,FB3は、それぞれ第1面602aにて第3面602c側に向け全反射し、第3面602cから垂直に出射する。一方、ハーフミラー602Mを透過した分光FB2,FB4は、それぞれ第2面602bにて第3面602c側に向け全反射し、第3面602cから垂直に出射する。つまり、第2プリズム602の第3面602cから、2行2列のマトリクス状に並ぶ4つの光FB1〜FB4が平行して出射される。
分光光学系600A(第2プリズム602の第3面602c)から出射した4つの分光FB1〜FB4は、それぞれ1/4波長板610Aにより円偏光に変換された後、フィルタユニット615Aにマトリクス状に配置された各偏光板126a〜126dに入射する。
これにより、フィルタユニット615Aを透過した4つの分光FB1〜FB4は、それぞれ位相を90°ずつ異ならせた干渉光となる。そして、これらの4つの分光FB1〜FB4がカメラ633Aの撮像素子33Aiにより同時に撮像される。結果として、位相が90°ずつ異なる4通りの干渉縞画像が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1,第2実施形態と同様の作用効果が奏される。
加えて、本実施形態では、分光光学系600A,600Bにおいて、1つの光を平行する2つの光に分割する手段として、ケスタープリズムであるプリズム601,602を採用しているため、分割された2つの光の光路長が光学的に等しくなる。結果として、上記第2実施形態のように、分割された2つの光の光路長を調整する光路調整手段を備える必要がなく、部品点数の削減を図ると共に、構成の簡素化や装置の小型化等を図ることができる。
また、分光光学系600A,600Bに対し1つの光F0が入射されてから、4つの光FB1〜FB4が出射されるまでの間、光が光学部材内のみを進み、空気中に出ない構成となるため、空気の揺らぎ等による影響を低減することができる。
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態について図面を参照しつつ説明する。図19は本実施形態に係る三次元計測装置の概略構成を示す模式図である。
本実施形態は、第2実施形態や第5実施形態とは異なる分光光学系を備えたものであり、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した第1実施形態と第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに関連する構成が異なる。従って、本実施形態では、第1,第2,第5実施形態と異なる構成部分について詳しく説明し、同一構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る第1撮像系4Aは、第2無偏光ビームスプリッタ13Bを透過した第1光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を4つの分光に分割する第1の分光手段としての分光光学系700Aを備えている。
分光光学系700Aは、第2無偏光ビームスプリッタ13Bを透過した第1光に係る合成光を2つの分光に分割する無偏光ビームスプリッタ701Aと、該無偏光ビームスプリッタ701Aにより分割された2つの分光のうちの一方の分光をさらに2つの分光に分割する第1プリズム702Aと、前記無偏光ビームスプリッタ701Aにより分割された2つの分光のうちの他方の分光をさらに2つの分光に分割する第2プリズム703Aとを備えている。
さらに、本実施形態に係る第1撮像系4Aは、第1プリズム702Aにより分割された2つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板704Aと、第2プリズム703Aにより分割された2つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板705Aと、前記1/4波長板704Aを透過した2つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット706Aと、前記1/4波長板705Aを透過した2つの光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット707Aと、前記フィルタユニット706Aを透過した2つの分光を同時に撮像するカメラ708Aと、前記フィルタユニット707Aを透過した2つの分光を同時に撮像するカメラ709Aとを備えている。
一方、本実施形態に係る第2撮像系4Bは、第1無偏光ビームスプリッタ13Aを透過した第2光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)を4つの分光に分割する第2の分光手段としての分光光学系700Bを備えている。
分光光学系700Bは、第1無偏光ビームスプリッタ13Aを透過した第2光に係る合成光を2つの分光に分割する無偏光ビームスプリッタ701Bと、該無偏光ビームスプリッタ701Bにより分割された2つの分光のうちの一方の分光をさらに2つの分光に分割する第1プリズム702Bと、前記無偏光ビームスプリッタ701Bにより分割された2つの分光のうちの他方の分光をさらに2つの分光に分割する第2プリズム703Bとを備えている。
さらに、本実施形態に係る第2撮像系4Bは、第1プリズム702Bにより分割された2つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板704Bと、第2プリズム703Bにより分割された2つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板705Bと、1/4波長板704Bを透過した2つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット706Bと、1/4波長板705Bを透過した2つの光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット707Bと、フィルタユニット706Bを透過した2つの分光を同時に撮像するカメラ708Bと、フィルタユニット707Bを透過した2つの分光を同時に撮像するカメラ709Bとを備えている。
「無偏光ビームスプリッタ701A」及び「無偏光ビームスプリッタ701B」は、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材であって、その接合面には無偏光のハーフミラーが設けられている。
第1撮像系4Aに係る「第1プリズム702A」及び「第2プリズム703A」、並びに、第2撮像系4Bに係る「第1プリズム702B」及び「第2プリズム703B」は、公知のケスタープリズムであって、上記第5実施形態に係る「第1プリズム601」及び「第2プリズム602」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。
第1撮像系4Aに係る「1/4波長板704A」及び「1/4波長板705A」、並びに、第2撮像系4Bに係る「1/4波長板704B」及び「1/4波長板705B」は、上記第1実施形態の「1/4波長板31A」及び「1/4波長板31B」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、本実施形態に係る「1/4波長板704A」等は、それぞれ2つの分光に対応するものである。勿論、各分光それぞれに対応して個別に1/4波長板を備える構成としてもよい。
第1撮像系4Aに係る「フィルタユニット706A」及び「フィルタユニット707A」、並びに、第2撮像系4Bに係る「フィルタユニット706B」及び「フィルタユニット707B」は、上記第2実施形態の「フィルタユニット126」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、本実施形態に係る「フィルタユニット706A」等は、それぞれ2つの分光に対応するものである。例えば第1撮像系4Aに係る「フィルタユニット706A」が「偏光板126a,126b」を備え、「フィルタユニット707A」が「偏光板126c,126d」を備えた構成としてもよい(第2撮像系4bについても同様)。勿論、4つの分光それぞれに対応して個別に透過軸方向が45°ずつ異なる4つの偏光板(偏光板126a,126b,126c,126d)を備えた構成としてもよい。
第1撮像系4Aに係る「カメラ708A」及び「カメラ709A」、第2撮像系4Bに係る「カメラ708B」及び「カメラ709B」、並びに、これらに関連する制御処理や画像データ記憶装置54等に係る構成は、上記第1,第2実施形態の「第1カメラ33A」及び「第2カメラ633B」等に係る構成と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、本実施形態に係る「カメラ708A(撮像素子)」等は、それぞれ2つの分光に対応するものである。例えば第1撮像系4Aに係る「カメラ708A(撮像素子)」の撮像領域が「フィルタユニット706A(偏光板126a,126b)」に対応して2つの撮像エリア(H1,H2)に区分けされ、「カメラ709A(撮像素子)」の撮像領域が「フィルタユニット707A(偏光板126c,126d)」に対応して2つの撮像エリア(H3,H4)に区分けされた構成としてもよい(第2撮像系4Bについても同様)。かかる場合、アスペクト比が2:1の撮像素子を備えることが好ましい。
続いて、分光光学系700A及び分光光学系700Bの作用について説明する。但し、上述したとおり、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに用いられる分光光学系700A及び分光光学系700Bは同一構成であるため、以下、第1撮像系4Aに係る分光光学系700Aを例にして説明し、第2撮像系4Bに係る分光光学系700Bについては省略する。
第2無偏光ビームスプリッタ13Bを透過した第1光に係る合成光は、まず分光光学系700Aの無偏光ビームスプリッタ701Aに入射し、ハーフミラーにて2方向に分岐する。このうち、ハーフミラーで反射した分光は第1プリズム702Aに入射する。一方、ハーフミラーを透過した分光は第2プリズム703Aに入射する。
第1プリズム702Aの第1面に入射した分光は、ハーフミラーにて2方向に分岐する。詳しくは、第1面側に向けハーフミラーで反射する分光と、第2面側に向けハーフミラーを透過する分光とに分岐する。
このうち、ハーフミラーで反射した分光は、第1面にて第3面側に向け全反射し、第3面から垂直に出射する。一方、ハーフミラーを透過した分光は、第2面にて第3面側に向け全反射し、第3面から垂直に出射する。つまり、第1プリズム702Aの第3面から平行する2つの分光が出射される。
同様に、第2プリズム703Aの第1面に入射した分光は、ハーフミラーにて2方向に分岐する。詳しくは、第1面側に向けハーフミラーで反射する分光と、第2面側に向けハーフミラーを透過する分光とに分岐する。
このうち、ハーフミラーで反射した分光は、第1面にて第3面側に向け全反射し、第3面から垂直に出射する。一方、ハーフミラーを透過した分光は、第2面にて第3面側に向け全反射し、第3面から垂直に出射する。つまり、第2プリズム703Aの第3面から平行する2つの分光が出射される。
そして、第1プリズム702Aから出射した2つの分光は、それぞれ1/4波長板704Aにより円偏光に変換された後、フィルタユニット706A(例えば偏光板126a,126b)に入射する。
フィルタユニット706Aを透過した2つの分光は、例えば位相「0°」の干渉光と位相「90°」の干渉光になる。そして、これらの2つの分光がカメラ708Aの2つの撮像エリアにて同時に撮像され、例えば位相「0°」の干渉縞画像と位相「90°」の干渉縞画像とが得られる。
同様に、第2プリズム703Aから出射した2つの分光は、それぞれ1/4波長板705Aにより円偏光に変換された後、フィルタユニット707A(例えば偏光板126c,126d)に入射する。
フィルタユニット707Aを透過した2つの分光は、例えば位相「180°」の干渉光と位相「270°」の干渉光になる。そして、これらの2つの分光がカメラ709Aの2つの撮像エリアにて同時に撮像され、例えば位相「180°」の干渉縞画像と位相「270°」の干渉縞画像とが得られる。
結果として、第1撮像系4A(カメラ708A及びカメラ709A)により、位相が90°ずつ異なる4通りの干渉縞画像が取得されることとなる。
以上詳述したように、本実施形態では、上記第5実施形態と同様の作用効果が奏される。
〔第7実施形態〕
以下、第7実施形態について説明する。本実施形態は、2つの光源から出射される波長の異なる2種類の光を重ね合わせた状態で干渉光学系へ入射させ、ここから出射される光を光学分離手段により波長分離し、上記各波長の光に係る干渉光を個別に撮像する構成を、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した上記第1実施形態等(第5実施形態等を含む)に組み合わせ、波長の異なる4種類の光を利用した計測を可能としたものである。
以下、図面を参照しつつ詳しく説明する。図20は本実施形態に係る三次元計測装置の概略構成を示す模式図である。本実施形態は、上記第1実施形態等と、第1投光系2A及び第2投光系2B、並びに、第1撮像系4A及び第2撮像系4Bに関連する構成が異なる。従って、本実施形態では、上記各実施形態と異なる構成部分について詳しく説明し、同一構成部分については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る第1投光系2Aは、2つの発光部751A,752A、発光部751Aに対応する光アイソレータ753A、発光部752Aに対応する光アイソレータ754A、ダイクロイックミラー755A、無偏光ビームスプリッタ756Aなどを備えている。
「発光部751A」及び「発光部752A」は、「第1発光部11A」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、発光部751Aは第1の波長(例えば491nm)の直線偏光を出射し、発光部752Aは第2の波長(例えば540nm)の直線偏光を出射するといったように、両発光部751A,752Aは波長の異なる光を出射する。
「光アイソレータ753A」及び「光アイソレータ754A」は「第1光アイソレータ12A」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。
かかる構成の下、発光部751AからY軸方向下向きに出射された第1の波長の直線偏光(以下、「第1波長光」という)は、光アイソレータ753Aを介してダイクロイックミラー755Aに入射する。
同様に、発光部752AからZ軸方向左向きに出射された第2の波長の直線偏光(以下、「第2波長光」という)は、光アイソレータ754Aを介してダイクロイックミラー755Aに入射する。
ダイクロイックミラー755Aは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面755Ahに誘電体多層膜が形成されている。
ダイクロイックミラー755Aは、その接合面755Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、ダイクロイックミラー755Aの接合面755AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
本実施形態におけるダイクロイックミラー755Aは、少なくとも第1波長光を反射し、第2波長光を透過する特性を有する。これにより、図20に示す本実施形態の配置構成では、ダイクロイックミラー755Aに入射した第1波長光と第2波長光とが合成された上で無偏光ビームスプリッタ756Aに向けZ軸方向左向きに出射されることとなる。
以降、発光部751Aから出射される第1波長光と、発光部752Aから出射される第2波長光とを合成した合成光を「第1光」という。つまり、「発光部751A,752A」や「ダイクロイックミラー755A」等により本実施形態における「第1照射手段」が構成されることとなる。
「無偏光ビームスプリッタ756A」は、「第1無偏光ビームスプリッタ13A」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、ダイクロイックミラー755AからZ軸方向左向きに入射する第1光の一部(半分)をZ軸方向左向きに透過させ、残り(半分)をY軸方向下向きに反射させる。
本実施形態に係る第2投光系2Bは、2つの発光部751B,752B、発光部751Bに対応する光アイソレータ753B、発光部752Bに対応する光アイソレータ754B、ダイクロイックミラー755B、無偏光ビームスプリッタ756Bなどを備えている。
「発光部751B」及び「発光部752B」は、「第2発光部11B」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。但し、発光部751Bは第3の波長(例えば488nm)の直線偏光を出射し、発光部752Bは第4の波長(例えば532nm)の直線偏光を出射するといったように、両発光部751B,752Bは波長の異なる光を出射する。
「光アイソレータ753B」及び「光アイソレータ754B」は「第2光アイソレータ12B」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。
かかる構成の下、発光部751BからZ軸方向左向きに出射された第3の波長の直線偏光(以下、「第3波長光」という)は、光アイソレータ753Bを介してダイクロイックミラー755Bに入射する。
同様に、発光部752BからY軸方向上向きに出射された第4の波長の直線偏光(以下、「第4波長光」という)は、光アイソレータ754Bを介してダイクロイックミラー755Bに入射する。
ダイクロイックミラー755Bは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面755Bhに誘電体多層膜が形成されている。
ダイクロイックミラー755Bは、その接合面755Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、ダイクロイックミラー755Bの接合面755BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
本実施形態におけるダイクロイックミラー755Bは、少なくとも第3波長光を反射し、第4波長光を透過する特性を有する。これにより、図20に示す本実施形態の配置構成では、ダイクロイックミラー755Bに入射した第3波長光と第4波長光とが合成された上で無偏光ビームスプリッタ756Bに向けY軸方向上向きに出射されることとなる。
以降、発光部751Bから出射される第3波長光と、発光部752Bから出射される第4波長光とを合成した合成光を「第2光」という。つまり、「発光部751B,752B」や「ダイクロイックミラー755B」等により本実施形態における「第2照射手段」が構成されることとなる。
「無偏光ビームスプリッタ756B」は、「第2無偏光ビームスプリッタ13B」と同様の構成を有するものであり、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、ダイクロイックミラー755BからY軸方向上向きに入射する第2光の一部(半分)をY軸方向上向きに透過させ、残り(半分)をZ軸方向右向きに反射させる。
本実施形態に係る第1撮像系4Aは、無偏光ビームスプリッタ756Bを透過した第1光(2波長合成光)に係る参照光成分及び計測光成分の合成光を、第1波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)と、第2波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)とに分離するダイクロイックミラー800Aを備えている。以下、ダイクロイックミラー800Aについて詳しく説明する。
ダイクロイックミラー800Aは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面800Ahに誘電体多層膜が形成されている。
ダイクロイックミラー800Aは、その接合面800Ahを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、ダイクロイックミラー800Aの接合面800AhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
本実施形態におけるダイクロイックミラー800Aは、上記ダイクロイックミラー755Aと同様の特性を有するものである。すなわち、ダイクロイックミラー800Aは、少なくとも第1波長光を反射し、第2波長光を透過する特性を有する。
これにより、図20に示す本実施形態の配置構成では、ダイクロイックミラー800Aに入射した第1光に係る合成光は、Y軸方向下向きに出射される第1波長光(例えば491nm)に係る合成光と、Z軸方向左向きに出射される第2波長光(例えば540nm)に係る合成光とに分離されることとなる。
さらに、本実施形態に係る第1撮像系4Aは、ダイクロイックミラー800AからY軸方向下向きに出射される第1波長光に係る合成光を4つの分光に分割する分光光学系801Aと、該分光光学系801Aにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板803Aと、該1/4波長板803Aを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット805Aと、該フィルタユニット805Aを透過した4つの分光を同時に撮像するカメラ807Aとを備えている。
同様に、本実施形態に係る第1撮像系4Aは、ダイクロイックミラー800AからZ軸方向左向きに出射される第2波長光に係る合成光を4つの分光に分割する分光光学系802Aと、該分光光学系802Aにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板804Aと、該1/4波長板804Aを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット806Aと、該フィルタユニット806Aを透過した4つの分光を同時に撮像するカメラ808Aとを備えている。
尚、第1波長光に係る「分光光学系801A」、「1/4波長板803A」、「フィルタユニット805A」及び「カメラ807A」に係る構成、並びに、第2波長光に係る「分光光学系802A」、「1/4波長板804A」、「フィルタユニット806A」及び「カメラ808A」に係る構成は、それぞれ上記第5実施形態に係る「分光光学系600A」、「1/4波長板610A」、「フィルタユニット615A」及び「カメラ633A」に係る構成と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る第2撮像系4Bは、無偏光ビームスプリッタ756Aを透過した第2光(2波長合成光)に係る参照光成分及び計測光成分の合成光を、第3波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)と、第4波長光に係る合成光(参照光成分及び計測光成分)とに分離するダイクロイックミラー800Bを備えている。以下、ダイクロイックミラー800Bについて詳しく説明する。
ダイクロイックミラー800Bは、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型の公知の光学部材(ダイクロイックプリズム)であって、その接合面800Bhに誘電体多層膜が形成されている。
ダイクロイックミラー800Bは、その接合面800Bhを挟んで隣り合う2面のうちの一方がY軸方向と直交しかつ他方がZ軸方向と直交するように配置されている。つまり、ダイクロイックミラー800Bの接合面800BhがY軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜するように配置されている。
本実施形態におけるダイクロイックミラー800Bは、上記ダイクロイックミラー755Bと同様の特性を有するものである。すなわち、ダイクロイックミラー800Bは、少なくとも第3波長光を反射し、第4波長光を透過する特性を有する。
これにより、図20に示す本実施形態の配置構成では、ダイクロイックミラー800Bに入射した第3光に係る合成光は、Z軸方向左向きに出射される第3波長光(例えば488nm)に係る合成光と、Y軸方向上向きに出射される第4波長光(例えば532nm)に係る合成光とに分離されることとなる。
さらに、本実施形態に係る第2撮像系4Bは、ダイクロイックミラー800BからZ軸方向左向きに出射される第3波長光に係る合成光を4つの分光に分割する分光光学系801Bと、該分光光学系801Bにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板803Bと、該1/4波長板803Bを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット805Bと、該フィルタユニット805Bを透過した4つの分光を同時に撮像するカメラ807Bとを備えている。
同様に、本実施形態に係る第2撮像系4Bは、ダイクロイックミラー800BからY軸方向上向きに出射される第4波長光に係る合成光を4つの分光に分割する分光光学系802Bと、該分光光学系802Bにより分割された4つの分光をそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板804Bと、該1/4波長板804Bを透過した4つの分光の所定成分を選択的に透過させるフィルタユニット806Bと、該フィルタユニット806Bを透過した4つの分光を同時に撮像するカメラ808Bとを備えている。
尚、第3波長光に係る「分光光学系801B」、「1/4波長板803B」、「フィルタユニット805B」及び「カメラ807B」に係る構成、並びに、第4波長光に係る「分光光学系802B」、「1/4波長板804B」、「フィルタユニット806B」及び「カメラ808B」に係る構成は、それぞれ上記第5実施形態に係る「分光光学系600B」、「1/4波長板610B」、「フィルタユニット615B」及び「カメラ633B」に係る構成と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
上記構成により、位相が90°ずつ異なる第1波長光に係る4通りの干渉縞画像、位相が90°ずつ異なる第2波長光に係る4通りの干渉縞画像、位相が90°ずつ異なる第3波長光に係る4通りの干渉縞画像、及び、位相が90°ずつ異なる第4波長光に係る4通りの干渉縞画像を取得することができる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第5実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、本実施形態によれば、波長の異なる4種類の光を利用することにより、さらなる計測レンジの拡大を図ると共に、計測効率のさらなる向上を図ることができる。
また、第1波長光と第3波長光(例えば491nmと488nmの青系色の光)の2光を用いた計測と、第2波長光と第4波長光(例えば540nmと532nmの緑系色の光)の2光を用いた計測をワークWの種類に応じて切替えることができる。
結果として、波長の近い2種類の光を用いて計測レンジの拡大を図りつつも、ワークWの種類に応じて光の種類(波長)を切替えることができる。
例えば赤系光が適さないウエハ基板などのワークWに対しては、第1波長光と第3波長光(例えば491nmと488nmの青系色の光)の2光を用いた計測を行う一方、青系光が適さない銅などのワークWにたしては第2波長光と第4波長光(例えば540nmと532nmの緑系色の光)の2光を用いた計測を行うとよい。勿論、各光の波長は本実施形態の例に限定されるものではなく、他の波長の光を採用してもよい。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記各実施形態では、ワークWの具体例について特に言及していないが、被計測物としては、例えばプリント基板に印刷されたクリーム半田や、ウエハ基板に形成された半田バンプなどが挙げられる。
ここで半田バンプ等の高さ計測の原理について説明する。図21に示すように、電極501(基板500)に対するバンプ503の高さHBは、バンプ503の絶対高さhoから、該バンプ503周辺の電極501の絶対高さhrを減算することにより求めることができる〔HB=ho−hr〕。ここで、電極501の絶対高さhrとしては、例えば電極501上の任意の1点の絶対高さや、電極501上の所定範囲の絶対高さの平均値などを用いることができる。また、「バンプ503の絶対高さho」や、「電極501の絶対高さhr」は、上記各実施形態において高さ情報z(ξ,η)として求めることができる。
従って、予め設定された良否の判定基準に従いクリーム半田や半田バンプの良否を検査する検査手段を設けた半田印刷検査装置又は半田バンプ検査装置において、三次元計測装置1(200,300)を備えた構成としても良い。
尚、マイケルソン干渉計の光学構成を採用した上記第1実施形態等に係る三次元計測装置1や、フィゾー干渉計の光学構成を採用した上記第4実施形態に係る三次元計測装置300は、反射ワークに適しており、マッハ・ツェンダー干渉計の光学構成を採用した上記第3実施形態に係る三次元計測装置200は、透過ワークに適している。また、位相シフト法を用いることで、0次光(透過光)を排除した計測が可能となる。
但し、第3実施形態において、第2全反射ミラー222及び設置部224を省略し、第2全反射ミラー222の位置にワークWを設置し、反射ワークを計測可能な構成としてもよい。
また、上記各実施形態においてワークWを設置する設置部24(224,324)を変位可能に構成し、ワークWの表面を複数の計測エリアに分割し、各計測エリアを順次移動しつつ各エリアの形状計測を行っていき、複数回に分けてワークW全体の形状計測を行う構成としてもよい。
(b)干渉光学系(所定の光学系)の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1実施形態等では、干渉光学系として、マイケルソン干渉計の光学構成を採用し、第3実施形態ではマッハツェンダー干渉計の光学構成を採用し、第4実施形態ではフィゾー干渉計の光学構成を採用しているが、これに限らず、入射光を参照光と計測光に分割してワークWの形状計測を行う構成であれば、他の光学構成を採用してもよい。
(c)投光系2A,2B(302A,302B)の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態(第7実施形態を除く)では、第1投光系2A(302A)から波長λ1=1500nmの光が照射され、第2投光系2B(302B)から波長λ2=1503nmの光が照射される構成となっているが、各光の波長はこれに限定されるものではない。但し、計測レンジを広げるためには、2つの光の波長差をより小さくすることが好ましい。
また、第1投光系2A(302A)及び第2投光系2B(302B)から同一波長の光が照射される構成としてもよい。
上述したように、従来より、被計測物の形状を計測する三次元計測装置として、レーザ光などを利用した三次元計測装置(干渉計)が知られている。かかる三次元計測装置においては、レーザ光源からの出力光の揺らぎ等の影響により、計測精度が低下するおそれがある。
これに対し、例えば被計測物が比較的小さく、1つの光(1つの波長)でも計測レンジが不足しないような場合には、異なる2つの光源から同一波長の光を照射して、該2つの光でそれぞれ三次元計測を行うことにより、計測精度の向上を図ることができる。
しかしながら、2つの光で三次元計測を行おうとした場合、第1光に係る出力光の撮像と、第2光に係る出力光の撮像をそれぞれ異なるタイミングで行う必要があり、計測効率が低下するおそれがある。
例えば位相シフト法を利用した三次元計測において、位相を4段階に変化させる場合には、4通りの画像データを取得する必要があるため、2つの光を用いる場合には、それぞれ異なるタイミングで4回ずつ、計8回分の撮像時間が必要となる。
同一波長の2つの光を照射する本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの光を利用して、計測効率の向上を図ることのできる三次元計測装置を提供することにある。
本発明によれば、第1光に係る出力光の撮像と、第2光に係る出力光の撮像を同時に行うことができるため、計4回分(又は計3回分)の撮像時間で、2つの光に係る計8通り(又は6通り)の干渉縞画像を取得することができる。結果として、総体的な撮像時間を短縮でき、計測効率の向上を図ることができる。
特にマッハ・ツェンダー干渉計の原理に基づき構成された上記第3実施形態に係る三次元計測装置200においては、1つのワークWに対し異なる方向から2つの光(計測光)を照射することができるため、例えば複雑な形状を有するワークなどの全体像をより精度よく計測することが可能となる。
また、上記各実施形態では、投光系2A,2B(302A,302B)において、光アイソレータ12A,12B(312A,312B)等を備えた構成となっているが、光アイソレータ12A,12B(312A,312B)等を省略した構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、第1投光系2A(302A)と第2撮像系4B(304B)の両者の位置関係を第1無偏光ビームスプリッタ13A(313A)等を挟んで入れ替えた構成としてもよいし、第2投光系2B(302B)と第1撮像系4A(304A)の両者の位置関係を第2無偏光ビームスプリッタ13B(313B)等を挟んで入れ替えた構成としてもよい。
また、導光手段の構成は、上記各実施形態に係る無偏光ビームスプリッタ13A,13B(313A,313B)等に限定されるものではない。第1照射手段(第2照射手段)から出射される第1光(第2光)の少なくとも一部を第1入出力部(第2入出力部)に向け入射させると共に、第1入出力部(第2入出力部)から出射される第2光に係る出力光(第1光に係る出力光)の少なくとも一部を第2撮像手段(第1撮像手段)に向け入射させる構成であれば、他の構成を採用してもよい。つまり、第1実施形態においては、第1投光系2A(第2投光系2B)から照射された第1光(第2光)を偏光ビームスプリッタ20の第1面20a(第2面20b)に入射させ、かつ、偏光ビームスプリッタ20の第1面20a(第2面20b)から出射された第2光に係る出力光(第1光に係る出力光)を第2撮像系4B(第1撮像系4A)により撮像可能とする構成であれば、他の構成を採用してもよい。
また、上記各実施形態では、第1無偏光ビームスプリッタ13A(313A)及び第2無偏光ビームスプリッタ13B(313B)等として、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えばプレートタイプの所定のハーフミラーを採用してもよい。
同様に、上記各実施形態では、偏光ビームスプリッタ20(211,212,320)として、直角プリズムを貼り合せて一体としたキューブ型を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えばプレート型偏光ビームスプリッタを採用してもよい。
(d)上記各実施形態(第4実施形態を除く)では、位相の異なる4通りの干渉縞画像データを基に位相シフト法を行う構成となっているが、これに限らず、例えば位相の異なる2通り又は3通りの干渉縞画像データを基に位相シフト法を行う構成としてもよい。
勿論、第1実施形態等に係る三次元計測装置1や、第3実施形態に係る三次元計測装置200は、例えば第4実施形態のフーリエ変換法のように、位相シフト法とは異なる他の方法により三次元計測を行う構成にも適用することができる。
逆に、第4実施形態に係る三次元計測装置300は、位相シフト法など、フーリエ変換法とは異なる他の方法により三次元計測を行う構成にも適用することができる。
(e)上記第1,3実施形態では、位相シフト手段として、透過軸方向を変更可能に構成された偏光板32A,32Bを採用し、上記第2実施形態等においては、透過軸方向が異なる4つの偏光板からなるフィルタユニット126を採用している。
位相シフト手段の構成は、これらに限定されるものではなく、例えば第1実施形態においてピエゾ素子等により参照面23を光軸に沿って移動させることで物理的に光路長を変化させる構成を採用してもよい。
また、第3実施形態において、第2実施形態等に係る構成(フィルタユニット126など)を位相シフト手段として採用してもよい。また、全反射ミラー221(参照面)を、Y軸方向及びZ軸方向に対し45°傾斜した状態を維持しつつ、ピエゾ素子等により該傾斜方向と直交する方向に沿って移動させることで物理的に光路長を変化させる構成を位相シフト手段として採用してもよい。
また、第4実施形態において、位相シフト法を採用する場合には、例えばピエゾ素子等によりハーフミラー323(参照面)を光軸に沿って移動させることで物理的に光路長を変化させる構成を採用してもよい。
(f)上記各実施形態(第4実施形態を除く)では、2波長位相シフト法を行うにあたり、高さ情報z(ξ,η)を計算式により求める構成となっているが、これに限らず、例えば位相φ1,φ2、縞次数m1,m2、高さ情報zの対応関係を表した数表やテーブルデータを予め記憶しておき、これを参酌して高さ情報zを取得する構成としてもよい。かかる場合、必ずしも縞次数を特定する必要はない。
(g)分光手段の構成は上記第2実施形態等に限定されるものではない。例えば上記第2実施形態に係る分光光学系125等では、干渉光学系3から入射される光を4つに分光する構成となっているが、これに限らず、例えば3つに分光する構成など、少なくとも位相シフト法による計測に必要な数の光に分割可能な構成となっていればよい。
また、上記第2実施形態等では、入射される合成光L0等を、進行方向に直交する平面において光路がマトリクス状に並ぶ4つの光LB1〜LB4等に分割する構成となっているが、複数のカメラを用いて各分光LB1〜LB4等を撮像する構成であれば、必ずしもマトリクス状に並ぶように分光される必要はない。
また、上記第2実施形態等では、分光手段として、複数の光学部材(プリズム)を組み合わせて一体とした分光光学系125を採用しているが、これに限らず、分光手段として回折格子を採用してもよい。
(h)フィルタ手段の構成は上記第2実施形態等に限定されるものではない。例えば上記第2実施形態では、フィルタユニット126が、透過軸方向が0°の第1偏光板126a、透過軸方向が45°の第2偏光板126b、透過軸方向が90°の第3偏光板126c、透過軸方向が135°の第4偏光板126dにより構成され、透過軸方向が45°ずつ異なるこれら4つの偏光板126a〜26dを用いて、位相が90°ずつ異なる4通りの干渉縞画像を取得し、該4通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により形状計測を行う構成となっている。
これに代えて、位相が異なる3通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により形状計測を行う場合には、以下のような構成としてもよい。例えば図22に示すように、フィルタユニット126の第1偏光板126a、第2偏光板126b、第3偏光板126c、第4偏光板126dをそれぞれ、透過軸方向が0°の偏光板、透過軸方向が60°(又は45°)の偏光板、透過軸方向が120°(又は90°)の偏光板、計測光(例えば右回りの円偏光)及び参照光(例えば左回りの円偏光)を直線偏光に変換する1/4波長板と、計測光の直線偏光を選択的に透過させる偏光板とを組み合わせたものとした構成としてもよい。ここで、「1/4波長板」及び「偏光板」の組を所謂「円偏光板」とした構成としてもよい。
かかる構成によれば、一つの撮像素子による一回の撮像で、120°(又は90°)ずつ位相が異なる3通りの干渉縞画像に加えて、ワークWの輝度画像を取得することができる。これにより、3通りの干渉縞画像を基に位相シフト法により行う形状計測に加え、輝度画像を基にした計測を組み合せて行うことが可能となる。例えば位相シフト法による形状計測により得られた三次元データに対しマッピングを行うことや、計測領域の抽出を行うこと等が可能となる。結果として、複数種類の計測を組み合せた総合的な判断を行うことができ、計測精度のさらなる向上を図ることができる。
尚、図15に示した例では、第4偏光板126dとして、円偏光を直線偏光に変換する1/4波長板と、計測光の直線偏光を選択的に透過させる偏光板とを組み合わせたものを採用しているが、これに限らず、計測光のみを選択的に透過させる構成であれば、他の構成を採用してもよい。
さらに、第4偏光板126dを省略した構成としてもよい。つまり、フィルタユニット126の第1偏光板126a、第2偏光板126b、第3偏光板126cをそれぞれ透過した3つの光と、フィルタユニット126(偏光板)を介することなく直接入射される1つの光を同時に一つの撮像素子により撮像する構成としてもよい。
かかる構成によれば、第4偏光板126dとして、「1/4波長板」及び「偏光板」の組を配置した上記構成と同様の作用効果が奏される。つまり、一つの撮像素子による一回の撮像で、120°(又は90°)ずつ位相が異なる3通りの干渉縞画像に加えて、ワークWの輝度画像を取得することができる。
尚、計測光(例えば右回りの円偏光)と参照光(例えば左回りの円偏光)とをそのまま撮像したとしても、参照光は既知(予め計測して得ることが可能)であり均一なので撮像後の処理により、この参照光分を取り除く処理や均一光を取り除く処理を行うことにより、計測光の信号を抽出することが可能となる。
第4偏光板126dを省略した構成の利点としては、「1/4波長板」及び「偏光板」の組を配置した構成と比較して、これら「1/4波長板」及び「偏光板」を省略することができるため、光学部品が減り、構成の簡素化や部品点数の増加抑制等を図ることができる。
(i)上記各実施形態においては、レンズを備えたカメラを使用しているが、必ずしもレンズは必要なく、レンズのないカメラを使用しても上記[数6]の関係式を利用するなどしてピントの合った画像を計算により求めることにより行っても良い。