JP6271136B2 - シャープペンシル用鉛芯挿通保持構造 - Google Patents
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Description
そこで、このような問題を解決しようとする従来技術として、例えば特許文献1に記載された発明では、円筒状の芯挿通管と、該芯挿通管の内周面に円筒状に嵌合された弾性筒体とを備えるとともに、前記弾性筒体の内周面に弾性突条を形成し、この弾性突条を、挿通される鉛芯の外周面に圧接することで、残芯の回転を防ぐようにしている。
このため、鉛芯に部分的な曲げ荷重が加わり、該鉛芯が折れてしまうおそれがある。すなわち、鉛芯の後部側がチャックに挟持された状態で、該鉛芯の前部側に前記交差方向の曲げ荷重が加わると、該鉛芯が折れてしまう可能性が高い。
特に、近年では、高齢者の色鉛筆画等の対応として、色付き鉛芯を用いたシャープペンシルが求められているが、色付き鉛芯を用いた場合には、いっそう芯折れを生じ易い傾向にあり、改善が求められている。
前記芯挿通管の内周面を前記突条よりも硬い硬質材料から形成するとともに、隣り合う前記突条の間に、前記芯挿通管の硬質面を露出させ、この硬質面を、挿通される鉛芯の外周面に近接又は接触させるようにし、前記芯挿通管の内周面に、前記芯挿通管の軸方向へわたる溝が、前記芯挿通管の周方向へ間隔を置いて複数設けられ、これら溝のそれぞれの内部に、前記突条が一体成形されていることを特徴とする。
この構成によれば、挿通される鉛芯の外周面に複数の突条が弾性的に接触するため、該鉛芯の回転を阻むことができる。しかも、芯挿通管における隣り合う突条の間の硬質面が、挿通される鉛芯の外周面に近接又は接触するため、挿通される鉛芯に曲げ荷重が加わって該鉛芯が折れてしまうのを防ぐことができる。
この構成によれば、芯挿通管に対する突条の止着強度を向上し、突条が芯挿通管から分離してしまうようなことを防ぐことができる。
この構成によれば、突条を芯ブレーカに一体化することで、突条の止着強度や成形性を向上することができ、その上、挿通される鉛芯を芯ブレーカから突条にかけて滑らかに導くことができる。
この構成によれば、挿通される鉛芯が回転するのを防ぐ作用効果や、鉛芯が折れてしまうのを防ぐ作用効果を、より効果的に発揮することができる。
この鉛芯繰出し機構1は、後端側で進退可能に保持された進退管10と、該進退管10を後方へ付勢する付勢部材20と、進退管10の前端側を挿入支持するとともに付勢部材20の前端を受ける支持管30と、該支持管30内に進退可能に支持されるとともに鉛芯を挟持したり解放したりするチャック40と、該チャックの前端側に環状に嵌め合せられたチャックリング50と、チャック40前端部及びチャックリング50を覆うようにして支持管30の前端側に接続された芯挿通管60と、該芯挿通管60内で鉛芯を弾性的に保持する弾性保持体70とを備え、内部に挿通される鉛芯xを芯挿通管60の先端開口から繰り出す。
そして、この鉛芯繰出し機構1は、円筒状の鉛芯収容管2の前端側に接続されて、多機能筆記具やシャープペンシルの軸筒に収納される。
接続部11は、図示例によれば鉛芯収容管2を螺合可能な雌ネジ部としているが、鉛芯収容管2を圧入嵌合する構造としてもよい。
縮径部12は、支持管30に挿入可能であって且つ付勢部材20を環状に装着可能な円筒状に形成される。
この付勢部材20の他例としては、支持管30内で進退管10と支持管30とを弾発する圧縮コイルバネとした態様や、進退管10と支持管30の間を引っ張る引張バネとした態様等とすることも可能である。
複数の爪部41は、径内方向へ撓むことで鉛芯xを回転不能且つ後退不能に把持し、弾性的に復元し開動することで鉛芯xを解放する。
この芯挿通管60は、少なくとも、後述する突条72よりも硬い硬質材料から形成され、本実施の形態の好ましい一例によれば、硬質な金属材料によって形成される。なお、芯挿通管60の材質の他例としては、硬質合成樹脂材料等とすることも可能である。
この鉛芯保持部62には、比較的大きな内周面を確保した大径部62aと、該大径部62aより小さな内周面を確保した小径部62bとを有する(図1及び図2参照)。
大径部62aは、その後半部と前半部の間の段部62a1によって縮径される段付き円筒状の内周面を有し、該内周面によって後述する芯ブレーカ71を、回転不能且つ進退不能に保持している。
この小径部62bの内周面には、前後方向へわたる溝62b1が、該小径部62bの周方向へ間隔を置いて複数設けられ、これら溝62b1のそれぞれの内部に、後述する突条72が進退不能に固定されている。
これらの溝62b1は、小径部62b内周面に対するブローチ加工によって形成されるが、他の切削加工や、成形加工等によって形成することも可能である。
詳細に説明すれば、この弾性保持体70は、芯ブレーカ71と、該芯ブレーカ71の前方へ延設された複数(図示例によれば三つ)の突条72とによって一体に構成される。
これら複数の突条72は、これらに内接する仮想内接円が、挿通される鉛芯xの外径よりも小さくなるように、その突出量が設定されている(図4参照)。したがって、各突条72は、挿通される鉛芯xに圧接されて、その突端側を若干凹ませるように弾性変形することになる。
なお、前記仮想内接円は、図2に示す一例によれば、芯ブレーカ71前端側の円筒状内周面71bの内周面と略同径となる。すなわち、各突条72の突端と、円筒状内周面71bの内周面とは、略面一になっている。
また、各突条72は、芯挿通管60内周面の溝62b1に嵌り合うようにして、該溝62b1内に一体成形されている。このため、各突条72は、図4に示すように、その突端側の幅寸法wよりも、前記突端側に対する反対側の幅寸法Wが大きく成形される。
鉛芯繰出し機構1のチャック40内に鉛芯xが挿通された状態で、シャープペンシルの後端ノック部等の操作により、進退管10及びチャック40が前進すると、チャック40と共に前進したチャックリング50が、芯挿通管60内の係止段部61aに当接し、複数の爪部41がチャックリング50よりも前側で放射状に広がり、鉛芯xに対する締め付けが緩められる。したがって、鉛芯xは自重により前方へ前進する(図1及び図2参照)。
進退管10及びチャック40が後退すると、チャック40と共に後退したチャックリング50が、支持管30の前端に当接し、複数の爪部41が後方向きにチャックリング50内に入り込むことで狭まり、鉛芯xを締め付けるようにて把持する。
前記動作により前進した鉛芯xは、芯ブレーカ71に挿入され、該芯ブレーカ71前端側の部分(図示例によれば円筒状内周面71b)により弾性的に挟持される。そして、鉛芯xは、さらにチャック40の進退が繰り返されることで、複数の突条72の内側に侵入し、これら突条72の突端面によって弾性的に挟持される。この挟持状態では、芯ブレーカ71の前端側部分が、鉛芯x外周面に押圧されることで、弾性的に拡径し、各突条72の突端側も、鉛芯x外周面に押圧されることで弾性的に凹む。
しかしながら、鉛芯xは、その外周面が、芯挿通管60内の硬質面60aに近接又は接触した状態であるため、従来技術のように弾性筒体の弾性変形に起因する部分的な曲げ荷重を受けるようなことがなく、芯折れを生じ難い。
また、鉛芯xが更に前進し、チャック40によって挟持されない残芯となった場合(図2参照)には、この残芯(鉛芯x)の外周面に、複数の突条72が弾性的に圧接されるため、該残芯(鉛芯x)が被筆記面から受ける押圧力等により回転するを防ぐことができ、ひいては、該残芯(鉛芯x)をほとんど最後まで無駄なく使用することができる。なお、図2の一例によれば、二点鎖線で示す鉛芯xにおいて、空間S内の中央よりも前側の部分は残芯、後側の部分は後続芯である。
この鉛芯繰出し機構1’は、上記鉛芯繰出し機構1を部分的に変更したものであるため、主に、その変更部分について詳細に説明し、重複する説明は適宜省略する。
弾性保持体70’は、弾性を有する合成樹脂材料によって芯挿通管60内の前端側に一体成形され、芯ブレーカ71’と、該芯ブレーカ71’からその前方側へわたる範囲に延設された複数(図示例によれば三つ)の突条72’とによって一体に構成される。
各突条72’における前半部側は、上記突条72と同様に、芯挿通管60内周面の溝62b1に嵌り合っており、各突条72’における後半部側は、芯ブレーカ71’の内周面から径内方向へ突出している。
40:チャック
60:芯挿通管
60a:硬質面
61:チャック収容部
62:鉛芯保持部
62a:大径部
62b:小径部
70,70’:弾性保持体
71,71’:芯ブレーカ
72,72’:突条
x:鉛芯
Claims (3)
- 円筒状の内周面を有する芯挿通管と、該芯挿通管の内周面に周方向へ間隔を置いて配置された弾性材料からなる複数の突条とを備え、挿通される鉛芯の外周面を複数の前記突条によって保持しながら、この鉛芯を前記芯挿通管の先端開口から送出するようにしたシャープペンシル用鉛芯挿通保持構造において、
前記芯挿通管の内周面を前記突条よりも硬い硬質材料から形成するとともに、隣り合う前記突条の間に、前記芯挿通管の硬質面を露出させ、この硬質面を、挿通される鉛芯の外周面に近接又は接触させるようにし、
前記芯挿通管の内周面に、前記芯挿通管の軸方向へわたる溝が、前記芯挿通管の周方向へ間隔を置いて複数設けられ、これら溝のそれぞれの内部に、前記突条が一体成形されていることを特徴とするシャープペンシル用鉛芯挿通保持構造。 - 前記芯挿通管の内周面には、前方へ向かって徐々に縮径した内周面を有するとともにその前端側の内周面を鉛芯に弾圧接可能な芯ブレーカが設けられ、
前記突条は、前記芯ブレーカと一体に成形されるとともに前記芯ブレーカの前方へ延設されていることを特徴とする請求項1記載のシャープペンシル用鉛芯挿通保持構造。 - 複数の前記突条に内接する仮想内接円が、挿通される鉛芯の外径よりも小さくなるように、複数の前記突条の突出量を設定するとともに、前記芯挿通管の前記硬質面を、挿通される鉛芯の外径よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1又は2記載のシャープペンシル用鉛芯挿通保持構造。
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